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中村 孝史*; 山本 幸男*; 荒川 正和*; 丸山 晃生*; 吉越 章隆
産業応用工学会論文誌, 11(2), p.109 - 114, 2023/09
SPring-8のBL23SUに設置された表面化学実験ステーションは、放射光軟X線を使って様々な機能性材料の表面および界面の研究に利用されている。固体表面とガスとの化学反応の理解を進めるためには、ガスの精密流量制御が必須である。本論文では、超高真空(分子流領域)におけるガスと表面の反応の実験精度および再現性を改善するための自動ガス流量コンピュター制御システムを報告する。ガス圧力制御のために、スローリークバルブのフィードバック制御システムを開発した。開発したシステムによって、装置エキスパートの実験者と同等以上の反応実験が可能となった。
月森 和之; 安藤 勝訓; 矢田 浩基; 一宮 正和*; 安濃田 良成*; 荒川 学*
Transactions of the 24th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-24) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/08
2層ベローズは層間の摩擦の影響があるため、解析上の取り扱いが1層ベローズよりも難しい。本研究では、2層ベローズと1層ベローズに対する内圧をパラメータとしたバネ定数試験を実施し、2層ベローズのバネ定数は、内圧によらず1層ベローズのほぼ2倍であることを実験的に明らかにした。また、2層と1層のベローズ両方でインプレーン座屈が観察された。両者の変形挙動は類似していたが、2層ベローズの座屈圧力は1層ベローズのほぼ2倍であった。これらは層間の摩擦を無視できることを意味しており、2層ベローズの解析においては半分の圧力負荷の1層ベローズに置き換えることができることを明らかにした。
田中 成岳*; 木村 仁*; Faried, A.*; 酒井 真*; 佐野 孝昭*; 猪瀬 崇徳*; 宗田 真*; 岡田 幸士*; 中島 政信*; 宮崎 達也*; et al.
Cancer Science, 101(6), p.1487 - 1492, 2010/06
被引用回数:12 パーセンタイル:31.68(Oncology)大気マイクロPIXEを用いて、食道ガン細胞株において、主要な化学療法薬であるシスプラチンの細胞内局在性を調べ、同細胞株のシスプラチンに対する感度を決定した。2種類のヒト食道扁平上皮癌(ESCC)細胞株(TE-2とTE-13)のシスプラチンに対する感受性は、MTT分析,フローサイトメトリ、及びDNA断片化分析を用いて確認した。これらの細胞試料に対して大気マイクロPIXE分析を行うとともに、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いて両細胞株における、「マルチ-ドラッグ」抵抗性タンパク質2(MRP2)のmRNA発現を評価した。この結果、TE-2セルはTE-13セルよりシスプラチンに敏感であることが明らかとなった。この研究結果は、大気マイクロPIXEが個別細胞のシスプラチン感受性を定量評価する方法として有効であることを示唆した。また、最終的には細胞膜の中のMRP2がESCC細胞のシスプラチン感受性を制御する重要な役割を担っているのではないかという推測に至った。
長嶺 竹明*; 高田 久嗣*; 草壁 孝彦*; 中里 享美*; 酒井 卓郎; 及川 将一*; 神谷 富裕; 荒川 和夫; 伊波 匡彦*
Biological Trace Element Research, 124(1), p.60 - 69, 2008/07
被引用回数:2 パーセンタイル:6.91(Biochemistry & Molecular Biology)本研究は、オキナワモズクから抽出したフコイダンの投与による金属元素の細胞内変化を調べるために行った。TRL1215細胞(ラット正常肝細胞)にフコイダン0, 0.1及び1.0mg/mLを加えて処理し、細胞内元素分布を大気マイクロPIXE法で測定した。フコイダンを投与した細胞にはAl, Mg, Fe及びZnが集積されることを見いだすとともに、Br(BrdU)が細胞核に局在して集積し、Brの分布とAlの分布が空間的によく一致していることを見いだした。この結果は、フコイダンに結合しているAlが核内に移動していることを示唆するものである。
中里 享美*; 長嶺 竹明*; 鈴木 慶二*; 草壁 孝彦*; Moon, H. D.*; 及川 将一*; 酒井 卓郎; 荒川 和夫
Biometals, 21(1), p.83 - 91, 2008/02
被引用回数:15 パーセンタイル:29.28(Biochemistry & Molecular Biology)Cd毒性に対する必須金属の役割を明らかにするために、1.5年から2年間で100mg/LのCdを経口投与した4匹のマウスを用い、メタロチオネインによる評価と大気マイクロPIXE法による必須金属元素の細胞内分布の測定を行った。その結果、Cdを曝露したマウスの肝臓と腎臓には亜鉛が著しく集積していることが見いだされた。1.5年間Cdを曝露したマウスの元素分布では大部分のCdが亜鉛と結合しており、亜鉛は経口投与されたCd毒に対する保護に寄与していることが示唆された。
荒川 和夫; 及川 将一*; 島田 博文*; 神谷 富裕; 中野 隆史*; 遊佐 顕*; 加藤 弘之*; 佐藤 隆博; 上松 敬; 柏木 啓次; et al.
Proceedings of 4th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 32nd Linear Accelerator Meeting in Japan (CD-ROM), p.279 - 281, 2007/00
サブミリサイズに集束したイオンビームを用い、微小な病変部位を高精度で治療する技術はイオンマイクロサージェリー治療と呼ばれている。本研究では、脳下垂体腫瘍と眼疾患である加齢黄斑変性症を想定症例として、イオンマイクロサージェリー治療用ビーム形成システムを検討した。イオンマイクロサージェリー治療には、ビーム径0.1mmから1.0mmの平行度の高いペンシルビームの形成が要請されている。そこで、ペンシルビーム形成システムとして、ビームのエミッタンスを規定する2組のスリットシステム,エネルギー分析機能を有する2台の45偏向電磁石,3連四重極電磁石等から構成され、アイソセンターにおいて1:1で結像するようなテレスコピックな系を検討した。TRANSPORTコードを用いてイオン光学計算を行い、ペンシルビーム形成に必要な電磁石等の必要数量とその最適配置を求めた。さらに、加齢黄斑変性症に対する照射位置決めシステムを検討するとともに、重イオンビーム照射実験により眼底造影剤からの誘起蛍光画像の観測とスペクトルの計測に成功した。
長嶺 竹明*; 草壁 孝彦*; 高田 久嗣*; 中里 享美*; 酒井 卓郎; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 荒川 和夫
Cytokine, 34(5-6), p.312 - 319, 2006/06
被引用回数:8 パーセンタイル:16.47(Biochemistry & Molecular Biology)インターフェロンは抗ウイルス,抗腫瘍,免疫調節など多岐にわたる生理活性を有するが、その機序は未だ明らかになっていない。そこで、マイクロPIXEを利用して、インターフェロンの生理活性について亜鉛代謝の面から検討を行った。その結果、インターフェロンはS期の細胞核内へ亜鉛の移送を促進させることが確認された。このことから、細胞内でメタロチオネインと結合した亜鉛は、S期の核内へ移行し、遺伝子発現と関連していることを明らかにした。
中野 隆史*; 荒川 和夫; 桜井 英幸*; 長谷川 正俊*; 湯浅 和久*; 斎藤 悦子*; 高木 均*; 長嶺 竹明*; 草壁 孝彦*; 高田 久嗣*; et al.
International Journal of PIXE, 16(1&2), p.69 - 76, 2006/00
高度な加速器及びイオンビーム技術を利用して放射線腫瘍学,核薬学の新しい医学の科学の一分野を創出する新しい研究プログラムが開始され、その中の重要なテーマの一つである大気マイクロPIXE分析システムでは、マイクロビーム走査の範囲で厚みに変動のあるサンプルの元素マッピングの精度を向上するための高度化を行った。他方、本プログラムでは、癌に関する重要な生物医学課題にアプローチするため、本システムを使用して病気の発展に伴う微量元素の細胞内挙動を調べた。この論文では、このプログラムについて概説し、システム高度化の内容、及び課題に関する予備的な研究結果を示す。
遠藤 聖*; 柴田 靖*; 吉田 文代*; 中井 啓*; 山本 哲哉*; 松村 明*; 石井 慶造*; 酒井 卓郎; 佐藤 隆博; 及川 将一*; et al.
Proceedings of 11th World Congress on Neutron Capture Therapy (ISNCT-11) (CD-ROM), 2 Pages, 2004/10
原研の高崎研究所にあるシングルエンド加速器(Micro PIXE)を用いて細胞内でのホウ素及びガドリニウムの定量を試みた。Micro PIXEは直径1m以下のマイクロビームを用いて元素分布の分析を可能にするものである。実験の結果、P, S, Gd等の分布を分析することが可能であることがわかった。しかし、K及びGdが細胞周辺に分布していることから、細胞壁の破壊や細胞内への取り込み不全が考えられた。今後、これらの問題に対処するとともに、細胞内のホウ素分布を求め、BNCTの有効活用に資する予定である。
西川 宏之*; 惣野 崇*; 服部 雅晴*; 大木 義路*; 渡辺 英紀*; 及川 将一*; 荒川 和夫; 神谷 富裕
JAERI-Review 2003-033, TIARA Annual Report 2002, p.254 - 256, 2003/11
原研TIARAの軽イオン及び重イオンマイクロビーム装置を用い、マイクロビーム二次元走査によりフォトにクス基盤材料であるシリカガラスに導波、発光、調光機能を持つ微細な三次元構造を形成するための基礎研究を行った。細い短冊状にマイクロビーム照射した試料について顕微PL-ラマン分光及びAFMによるマッピングを行い、誘起される種々の構造変化を調べ、NBOHCによる650nmのPL帯の強度の分布、及び飛程近傍での高密度化による表面での凹部の生成が観測された。高品質なフォルター素子の作成を目指した光ファイバへのHマイクロビーム照射実験では、コア部の局所領域に屈折率変化を誘起することができた。
福田 光宏; 倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進; 神谷 富裕; 及川 将一*; 中村 義輝; 奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.33 - 36, 2003/09
被引用回数:4 パーセンタイル:33.7(Instruments & Instrumentation)数百MeVの重イオンマイクロビームはバイオ研究に必要とされる重要なプローブである。原研AVFサイクロトロンでは、生体機能解明研究に適した260MeV Neマイクロビームのシングルイオンヒット技術の開発を行っている。ビーム径1mのマイクロビームを生成するためには、集束レンズでの色収差の影響を最小限に抑えるようにビームのエネルギー幅をE/E=0.02%にする必要がある。サイクロトロンビームのエネルギー幅は加速電圧波形と位相アクセプタンスに依存し、正弦波を用いた従来の加速法では0.1%が通例である。第5高調波電圧を基本波電圧に重畳することによりエネルギー利得の均一化に必要なフラットトップ電圧波形を作ることができ、エネルギー幅の最小化が実現される。そこで、既設の基本波共振空洞に連結し、基本波周波数の5倍の周波数帯域(55-110MHz)の第5高調波を発生させるための同軸型共振空洞を設計・製作した。パワー試験において、ディー電極の端部に設置した加速電圧ピックアップ電極からの信号をモニターすることにより、第5高調波電圧が基本波電圧に正常に重畳されていることを確認した。
佐藤 隆博; 石井 慶造*; 神谷 富裕; 酒井 卓郎; 及川 将一*; 荒川 和夫; 松山 成男*; 山崎 浩道*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.113 - 116, 2003/09
被引用回数:1 パーセンタイル:12.48(Instruments & Instrumentation)数keVの低いエネルギーのX線と数MeVの後方散乱陽子の両方の検出が可能な検出システムを開発した。この新しい検出システムは大立体角多素子検出器、アクティブリセット式前置増幅器、主増幅器、マルチプレクサルータ、ADC、データ収集コントローラで構成されている。従来のマイクロPIXE分析では検出器の立体角が小さいために数時間を必要としたが、本研究では検出素子を複数化することで検出効率を向上させた。多数の検出素子を五角形のピラミッド状に配置し、試料を覆う構造になっている。マイクロビームは検出器の中央に設けられたパイプを通って試料に照射される。五角形のピラミッドの各面に9個の検出素子があり、検出器全体の立体角は1sterad以上を達成した。この新しい測定システムを用いるとマイクロPIXEの測定時間は従来の10分の1となる。また、多素子化したことで素子あたりの後方散乱陽子の検出数が少なくなるために、従来用いていた後方散乱陽子ストッパーが不要になる。これにより、通常のマイクロPIXE分析では測定が困難であったN, C, Oの分布の分析が後方散乱陽子を検出することで可能となった。
西川 宏之*; 惣野 崇*; 服部 雅晴*; 西原 義孝*; 大木 義路*; 渡辺 英紀*; 及川 将一*; 神谷 富裕; 荒川 和夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 191(1-4), p.342 - 345, 2002/05
被引用回数:3 パーセンタイル:24.4(Instruments & Instrumentation)シリカガラスを用い、MeVエネルギーのイオンマイクロビームの照射効果を顕微フォトルミネッセンス(PL)・ラマン分光器と原子間顕微鏡(AFM)を用いて調べた。フォトルミネッセンス測定では、非架橋酸素ラジカル(≡Si-O)による欠陥を示す650nm帯が、イオンの飛跡に沿って分布している。また、マイクロビームの走査照射により生じた表面形状変化をAFMを用いて調べた結果、表面形状変化はビーム走査幅とイオン到達深度に良く対応して生じていることを明らかにした。さらに、照射と未照射の境界領域に強いPL強度分布を示す部分が生成することを見出した。この境界領域では、シリカガラス内部の高密度化とそれに付随して生じた表面形状変化による応力が原因で生成した欠陥と考えられる。
原田 聡*; 玉川 芳春*; 石井 慶造*; 田中 晃*; 佐藤 隆博; 松山 成男*; 山崎 浩道*; 神谷 富裕; 酒井 卓郎; 荒川 和夫; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 189(1-4), p.437 - 442, 2002/04
被引用回数:1 パーセンタイル:12.48(Instruments & Instrumentation)放射線誘起アポトーシスと微量元素の挙動の相互作用を詳しく調べるために、ヒト白血病細胞にCoの線をインビトロで照射し、微量元素の画像化を行った。アポトーシスの頻度はTUNEL染色をした後、顕微鏡で 400 倍に拡大して得た。また、マイクロPIXE分析で細胞内の微量元素の分布の測定を行った。アポトーシスの初期段階では鉄が細胞質に集中して見られたが、アポトーシスが進行すると鉄の集積は無くなり、細胞核でCaが集積しZnが減少した。このことから、アポトーシスの進行には (1)FeやFeを含む酵素による細胞質から細胞核への信号の伝達, (2) Ca に依存する酵素による細胞核の変性と核からのZnの放出、の2つの段階が存在するようである。このような微量元素の集積はアポトーシスの新しい標識になると思われる。
柏木 啓次; 及川 将一*; 島田 博文*; 百合 庸介; 上松 敬; 石井 保行; 齋藤 勇一; 酒井 卓郎; 奥村 進; 倉島 俊; et al.
no journal, ,
加齢黄班変性症,脳下垂体腫瘍,動脈瘤の治療部位の大きさはそれぞれ11mm, 3030mm, 3mm3mmである。これらを手術することなく切らずに重粒子線によって治療するためには、ビームスポット径が100マイクロメートルでビーム径が深度にほとんど依存しないペンシルビームの形成が必要である。本研究では、21世紀COEプログラムの一環として、このペンシルビームを患部に3次元的にスポットスキャニングするための最適なビーム輸送システムについてビーム光学的検討に基づく設計を行った。なお、この設計においては、群馬大学に建設予定の粒子線治療施設のビーム輸送ラインをモデルとした。ビーム光学計算コードにより偏向電磁石及び四重極電磁石等で構成される光学系に関して、目的のビームを得るためにそれらのパラメータの最適化を行った。次に、拡大ブラッグピークを得るためのレンジシフターの挿入によるビームの散乱効果(エミッタンスの増大)を評価した。本報告では、システムの全体構成とビーム光学計算について、ポスターにして詳細に解説する。
福田 光宏; 荒川 和夫; 佐藤 隆博; 奥村 進; 齋藤 勇一; 柏木 啓次; 宮脇 信正; 百合 庸介; 石井 保行; 小林 泰彦; et al.
no journal, ,
イオン照射施設TIARAでは、数百MeV級の重イオンを1個1個制御しながら1ミクロンの照準精度で細胞を狙い撃つマイクロイオンビーム形成技術及びシングルイオンヒット技術の開発を世界に先駆けて進めている。低線量放射線の生物影響の解明を目指し、マイクロイオンビームで細胞をピンポイントで狙い撃ちしてバイスタンダー効果等の放射線応答を実験的に初めて明らかにした。マイクロビーム形成技術をサブミリサイズのペンシルビーム形成に応用し、複雑な形状をした小さながんを治療する革新的なマイクロサージャリー技術について設計研究を行った。講演では、マイクロイオンビームの医学・医療・生物学応用を目指した研究開発の現状について報告する。
荒川 和夫; 福田 光宏*; 島田 博文*; 酒井 卓郎; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 上松 敬; 柏木 啓次; 奥村 進; 倉島 俊; et al.
no journal, ,
脳下垂体腫瘍,脳動静脈瘤及び加齢黄班変性症を対象症例として、イオンマイクロサージェリー治療照射に必要なビームサイズ,体内患部位置(深さ),患部の大きさ,照射線量,照射回数などの検討、及び炭素イオンの必要エネルギー,粒子数,ビームスポットの体内での拡がり,エネルギー幅の拡がり等の物理的な検討を行った。さらに、マイクロサージェリー治療照射ビームラインのイオン光学計算を行い、ビーム径100m1mmの平行度の高い0.11.0mmのペンシルビームを形成する解を得るとともに、四重極電磁石,偏向電磁石,レンジシフターなどの構成要素とその最適配置位置を得た。照射技術として、レンジシフターとビームスキャニング電磁石の組合せにより、脳下垂体腫瘍等頭頚部内の深部を精密に照射するためのディスクリートスポットスキャニングシステムと重イオンビーム誘起蛍光測定法を用いた加齢黄班変性症に対する照射位置決めシステムを検討した。
櫻井 英幸*; 岡本 雅彦*; 新 雅子*; 竹内 愛子*; 長谷川 正俊*; 佐藤 隆博; 及川 将一*; 神谷 富裕; 荒川 和夫; 中野 隆史*
no journal, ,
シスプラチンは現在さまざまな種類の癌化学療法においてkey drugとなる薬剤である。癌細胞に取り込まれたシスプラチンを細胞内で可視化,定量化できれば、薬剤の取り込みや核への移行機構、また薬剤耐性などの研究に役立つものと思われる。大気マイクロPIXE(Particle Induced X-Ray Emission)は数MeVに加速したプロトンを試料に照射し、放出される特性X線を検出することにより、試料中に含まれる多くの元素を1mの分解能で解析できる技術である。この技術を用い、ヒト肺癌細胞内のシスプラチンの可視化・定量化を行った結果、標準試料を用いた解析では、試料内のシスプラチン濃度と測定されたPtカウント数の間に直線性が認められた。一方、培養細胞試料ではP, K, Clなどの細胞の局在を示す元素のほか、BrdUでラベルした核内Br及び細胞に取り込まれたPtの検出が可能で、シスプラチン接触時間の延長とともに細胞内Pt及び核内Ptのカウント数増加が観察された。これにより、同技術による細胞内におけるPtの可視化及び定量化が可能であることを確認できたが、生物・医学的に重要な意味を持つ極微量領域でのPt検出には、検出感度の向上が必要であることも明らかとなった。
島田 博文*; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 田口 光正; 奥村 進; 加藤 弘之*; 遊佐 顕*; 酒井 卓郎; 福田 光宏*; 佐藤 拓*; et al.
no journal, ,
イオンマイクロサージェリー治療で狭小・微細領域にある患部を正確に3次元精密照射するためには、従来の粒子線治療よりも精密な照射位置決め法、すなわち照準法の開発が必要不可欠である。加齢黄斑変性症に対する照射位置決め法として、眼底蛍光造影剤を用いて、眼底カメラにより患部位置を観察する方法を検討した。この方法は、飛程をレンジシフターで微調しながら重粒子線を照射することにより、患部に投与された眼底蛍光造影剤であるインドシアニングリーン(Indocyanine Green: ICG)等からの発光画像を観測して照射位置を決めるというものである。本研究では、眼底カメラを用いた照射位置決めシステムの検討と、220MeV及び320MeV炭素イオンを用いたICGとフルオレセインの発光測定の基礎実験を行った。その結果、人体に投与した際のICGの最高血中濃度(mg/mL, M)における発光画像を取得した。
草壁 孝彦*; 中里 享美*; 高田 久嗣*; 久永 悦子*; Moon, H. D.*; 中島 克行*; 鈴木 慶二*; 及川 将一*; 佐藤 隆博; 荒川 和夫; et al.
no journal, ,
大気マイクロPIXEを用いて、カドミウムの精巣障害について検討した。ラットにカドミウムを投与した精巣(精細管,間質)において、カドミウムと鉄の分布が確認された。さらに、精巣の単離細胞培養を行い、カドミウムを投与した後に細胞内の金属元素分布を測定した。その結果、細胞質内へのカドミウムの取り込みと細胞質における亜鉛の減少と鉄の増加が確認された。これまでのカドミウムが血液精巣関門を崩壊させている病理学的な知見と本実験結果から、カドミウムにより血液関門の崩壊が生じ、その結果精巣細胞内に流入した鉄が精巣組織障害の増強に関与していることを示唆する有力な証拠が得られた。