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若杉 圭一郎; 山口 正秋; 小尾 繁*; 長尾 郁弥; 加藤 智子; 鈴木 祐二*; 江橋 健; 梅木 博之*; 新堀 雄一*
日本原子力学会和文論文誌, 16(1), p.15 - 33, 2017/03
本研究では、我が国の幅広い地域で確認されており、かつサイト選定で影響を回避することが困難な隆起・侵食に着目し、これが高レベル放射性廃棄物地層処分に与える影響を定量的に把握するための安全評価手法を開発した。従来は、隆起速度と侵食速度が等しいとの仮定の下、処分場が一定の速度で地表に接近するという簡易な評価が行われていたが、本研究では、我が国で多く確認されている隆起速度と侵食速度が異なるケースを取り扱うことが可能なモデルを開発し、隆起・侵食に伴う起伏や処分場深度の時間変化、廃棄体ごとの風化帯/地表に到達する時間などを、地形発達モデルに基づき評価した。さらに、このモデルを用いて隆起・侵食を考慮した安全評価を試行した結果、我が国の最頻値の隆起速度(0.3mm/y)を想定したケースの総線量の最大値は、国際機関で示されている放射線防護基準のめやす値(300Sv/y)を下回った。さらに、既往のモデルによる評価との比較により、地表の起伏に起因して廃棄体が風化帯へ分散して侵入する効果を定量的に把握した。以上のことから、本評価手法を用いることにより、隆起・侵食を現象に即して取り扱うことが可能になったとともに、既往の評価の安全裕度を定量的に把握することが可能となった。
江橋 健; 川村 淳*; 稲垣 学*; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*; 宮原 要; Apted, M. J.*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1665, p.39 - 45, 2014/07
隆起・侵食が地層処分の安全機能に与える影響については、サイト選定によって回避することが基本であるものの、評価が超長期に渡ることに起因してその不確実性を完全に排除することができず、その影響を仮想的に評価する可能性がある。本研究においては、仮想的な堆積岩分布域を対象として、隆起・侵食に起因する地質環境条件の変化が地層処分の核種移行に与える影響について、より現実に即して評価するためのアプローチを例示した。このアプローチは、既存の概念モデル(モダンアナログ的な観点と地史に基づく外挿の考え方)を応用したものであり、隆起・侵食による地質環境条件の変化に関する組合せを効果的に抽出可能であることに加え、処分事業の初期段階のように情報が限られた段階における地質環境調査や隆起・侵食に関する将来予測に対して、有効なフィードバック情報となりうるものである。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 早野 明; 牧野 仁史; 若杉 圭一郎; 三ツ井 誠一郎; 小田 治恵; 北村 暁; 大澤 英昭; et al.
JAEA-Research 2013-037, 455 Pages, 2013/12
原子力機構(JAEA)及び原子力発電環境整備機構(NUMO)は、平成24年度に引き続き、JAEAがこれまで蓄積してきた技術やノウハウを、NUMOが今後行う精密調査地区の選定等の処分事業に直接適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくことを目的として、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマについて検討した。(1)水理の観点からみた母岩の適性を評価する方法に関する検討については、平成24年度に引き続き、結晶質岩を対象とした地下水移行時間の評価ツリーを拡充するとともに、新たに堆積岩を対象とした評価ツリーを作成した。(2)シナリオの構築に関する検討については、平成24年度の状態設定手順を実務的な観点から見直し、緩衝材を対象として試行した。また、安全機能への不確実性の影響について解析的検討を行った。(3)核種移行パラメータの設定に関する検討については、母岩の分配係数を対象に、国内外の事例調査をもとに複数の条件変換手法を含む設定手法を整理し、堆積岩及び花崗岩への適用を通じ妥当性や課題を確認した。さらに、溶解度について、溶解度制限固相の決定を含む設定手法を検討し、主要核種への適用を通じ妥当性や課題を確認した。
柴田 雅博; 澤田 淳; 舘 幸男; 牧野 仁史; 早野 明; 三ツ井 誠一郎; 谷口 直樹; 小田 治恵; 北村 暁; 大澤 英昭; et al.
JAEA-Research 2012-032, 298 Pages, 2012/09
原子力機構(JAEA)と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、概要調査段階における処分場の設計・性能評価に関連する主要な技術テーマについて、原子力機構が蓄積してきた技術やノウハウを、NUMOが今後の処分事業に適用できるよう、実施主体の視点に沿って実用化を図っていくための具体的な考え方と進め方を策定するとともに、必要な開発課題と今後の計画を明らかにすることを目的として、2011年度に共同研究を実施した。実施テーマと概要は以下の通り。(1)対象母岩の選定に関する検討:母岩特性のうち水理に着目し、母岩特性を評価するための項目、及び地下水移行時間の評価手法について、地質環境の調査・評価と関連付けたうえで整理した。(2)シナリオの構築に関する検討:シナリオ構築手順を具体化するとともに、ガラス固化体の溶解と核種の浸出、オーバーパックの腐食、緩衝材の長期変遷について、現象理解に関する最新の知見を構造的に整理した。(3)核種移行パラメータの設定に関する検討:緩衝材の分配係数と拡散係数、母岩の分配係数を対象として、パラメータ設定の方法論を検討し、その方法論に従った試行を行った。(4)知識情報の品質確保に関する検討:知識情報の品質を確保するための考え方や手法を、(2)シナリオの構築で検討した状態設定に対する論拠に関する情報を例として検討した。
川村 淳; 江橋 健; 牧野 仁史; 新里 忠史; 安江 健一; 稲垣 学; 大井 貴夫
応用地質, 51(5), p.229 - 240, 2010/12
隆起・浸食/沈降・堆積は広域的に生ずる現象であり、長期的には高レベル放射性廃棄物地層処分への影響の不確実性を考慮する必要がある。著者らは、そのために隆起・浸食/沈降・堆積の可能性のある変遷のパターンとそれらに対する地質環境条件の変化を合理的に抽出し変動シナリオを構築する方法論として、隆起・浸食を取り扱うための「概念モデル」を検討した。概念モデルは、検討対象とする領域の地質環境条件をモダンアナログ的な観点から温度(T),水理(H),力学(M),化学(C)及び幾何形状(G)(THMCG)の分布状況で整理し、隆起・浸食/沈降・堆積の可能性のある変遷のパターンについては地史の情報を用いて整理するものである。この方法論に基づきその地域の地史とその周辺地域を含む現在の地質環境条件をモダンアナログ的な観点から情報整理することにより、構築される変動シナリオの科学的合理性の保持と、それを理解したうえでの簡略化が可能となった。また、具体的な地域が与えられた場合においても、本手法を適用することにより評価すべき現象と地質環境条件の変化を抽出でき見通しを得た。
川村 淳; 牧野 仁史; 笹尾 英嗣; 新里 忠史; 安江 健一; 浅森 浩一; 梅田 浩司; 石丸 恒存; 大澤 英昭; 江橋 健; et al.
JAEA-Research 2010-027, 85 Pages, 2010/09
日本原子力研究開発機構は、天然現象についてより現実的な影響評価を実施するための技術を整備しておくことという目的のために、高レベル放射性廃棄物地層処分への天然現象(地震・断層活動,火山・地熱活動,隆起・侵食/沈降・堆積及び気候・海水準変動)の影響を評価するための作業フレームを整備・高度化した。本報告では、作業フレームに則り、上記に挙げた天然現象に対して地質環境条件と天然現象の特性との関係の定量化及び処分環境における性能評価パラメータと地質環境条件との関係の定量化に関する情報整理を実施した。また、天然現象影響に関する研究を対象として、知識マネージメントの検討手法の一つである討論ダイヤグラムを用いた検討を試行し、今後の課題の抽出も試みた。その結果、天然現象とそれに起因する地質環境条件の変化については、既存の現象や現在の地質環境条件をモダンアナログとして用いるとともに地史の情報を組合せることにより、作業フレームに基づく統一的な情報整理の手法が適用可能であり、より適切なシナリオの選択が可能となる見通しを得た。また、討論ダイヤグラムの試行により、安全評価において重要な天然現象研究や地質環境に関するデータや知見などについて、その過不足も含めて効率的に課題点が抽出できる見通しを得た。
板津 透; 稲垣 学; 加藤 智子; 鈴木 祐二*; 小山田 潔*; 江橋 健; 川村 淳; 蛯名 貴憲*; 宮原 要
JAEA-Review 2009-015, 59 Pages, 2009/07
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価の一つである生物圏評価においては、具体的な地質条件を踏まえて核種挙動を推定し、その結果を評価に反映させる検討が始まっている。本研究では、個別の地域において表層環境(天然バリアからの核種移行先となる帯水層や生物圏の環境)を考慮した生物圏評価手法を構築するためのいとぐちとして、評価に使用される表層水理解析(生物圏評価に利用されることを目的とした表層環境における水理・物質移行解析)について、特に帯水層中での地下水流動に重点を置いて、以下の検討を行った。(1)海外における表層水理解析に関する文献調査を行い、第四紀層中の核種移行を考慮した線量計算等の技術について把握した。(2)国内における表層水理解析に有用な地下水流動・物質移行調査技術に関する文献調査により、表層水理解析の特性(表層環境における層相変化が大きいこと等)に対して有用と思われる環境トレーサの利用法,不圧地下水位データを利用した透水係数の推定法等の情報を得た。(3)モデルサイトの表層環境における物質移行解析を試行し、幾つかのパラメータ値を変えて、計算濃度分布に与える影響を検討したところ、ソース位置の違いによる濃度分布の変化が比較的大きかった。(4)表層水理解析による計算結果を生物圏評価モデルへの入力値として利用するために、河川・湖沼・海域等への地下水・物質流出入量が求められるようなモデル設定・境界条件について検討した。
仲島 邦彦*; 小尾 繁*; 蛯名 貴憲*; 江橋 健; 稲垣 学
JAEA-Data/Code 2009-009, 62 Pages, 2009/07
第2次取りまとめで実施されたレファレンスケースの安全評価解析は、おもにMESHNOTEとMATRICSによって実施された。一方、近年オブジェクト指向的な特徴を有する汎用的なシミュレーションソフトウェアが広く利用されてきており「GoldSim」はその代表的なものである。JAEAでは第2次取りまとめ以降、第2次取りまとめの安全評価解析のフォローアップとして、GoldSimを用いて確率論的解析やパラメータの感度解析等を統計的手法により実施してきている。本報告書ではGoldSimによるモデルの構築手法の詳細についてまとめ、第2次とりまとめでの解析結果との比較を実施し、解析結果の再現性を確認した。また、GoldSimを用いて、第2次取りまとめにおけるレファレンスケースの核種移行解析作業が容易に行えるような、解析手順のガイドブックを整備した。本検討で作成されたアプリケーションのリソース(解析モデルのパーツ)は、今後、確率論的解析や、他の概念モデルとの組合せ等の高度化に資することが可能である。
川村 淳; 江橋 健; 牧野 仁史; 新里 忠史; 安江 健一; 大井 貴夫
JAEA-Research 2008-119, 32 Pages, 2009/03
隆起・侵食/沈降・堆積は広域的で避けることが困難な現象である。そのため、それらの現象が発端となる地質環境、処分環境及び処分システムの性能への影響を適切に評価する必要がある。日本原子力研究開発機構では現象のバリエーションと推移のパターン、及びそれらに起因して生ずる可能性のある地質環境条件の変化とそれらの時間的な推移等の多様な変動パターンを地球科学の研究に基づき温度,水理,力学,化学,幾何形状(THMCG)の変化の組合せとして系統的に整理する手法を構築した。隆起・侵食/沈降・堆積のどのような組合せによりどのような変化が現れるのか、また処分場の初期の地質環境条件の相違が変動後にどの程度影響しうるのか、構築した手法に基づき網羅的に整理する必要がある。これらは、変動後の地質環境条件の変化の方向やその変動幅に影響するため、隆起・侵食/沈降・堆積に関する重要な変動シナリオを同定するために必要な検討である。本研究は、隆起・侵食/沈降・堆積について発生する可能性のある組合せパターンを可能な限り列挙し、それらに対する考えられる地質環境条件の変化の検討を目的とした。その結果、列挙した現象の組合せパターンに起因する地質環境条件の変化の方向性や程度についてTHMCGを用いた検討比較により、高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価の観点から重要な現象を、根拠を提示しながら抽出することができる見通しを得た。
江橋 健; 川村 淳; 稲垣 学; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*; 宮原 要
JAEA-Research 2008-117, 36 Pages, 2009/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、隆起・侵食は、適切なサイト選定や処分場の設計によって処分システムに及ぼす著しい影響を回避することが可能と考えられているものの、この現象が緩慢ながらも極めて長期間に渡って継続することから、現象の過去の履歴と処分システムへ与える潜在的な影響の理解に基づいて、隆起・侵食のシナリオを考慮した性能評価手法の信頼性を向上させることが重要である。本研究では、具体的な地質環境を対象とした影響評価に反映できるよう、仮想的な堆積岩分布域における地下水シナリオを対象として、概念モデルに基づく処分環境条件の時間変遷パターン、及びその影響解析について例示した。本検討を通じて、概念モデルが、隆起・侵食にかかわる場の特徴を取り込んだ処分環境条件の時間変遷の組合せを効果的に抽出可能であることに加え、核種移行モデル・パラメータの設定及びそれに基づく影響解析に対して有効な出発点となりうることについて見通しを得た。また、概念モデルに基づいた影響解析を通じて得られる知見は、処分事業の初期段階のように情報が限られた段階における地質環境調査や隆起・侵食に関する将来予測に対して、有効なフィードバック情報となりうるものである。
大井 貴夫; 稲垣 学; 川村 淳; 江橋 健
JAEA-Research 2008-111, 32 Pages, 2009/03
本報では、既存の研究によって整備された「放射性廃棄物の地層処分の安全性に影響を与える懸念事象の相対的重要度把握のための体系的評価手法」を紹介するとともに、「我が国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性; 地層処分研究開発第2次取りまとめ」の検討結果や既存の包括的感度解析の成果を用いて、本手法の適用性検討を行った。本手法に基づいて、さらなる情報整理を行うことにより、重要な研究をより効果的に行うことが可能になるとともに、放射性廃棄物の地層処分の安全評価の信頼性の向上が図られると考える。
江橋 健; 小尾 繁*; 大井 貴夫
原子力バックエンド研究, 15(2), p.99 - 115, 2009/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムの頑健性を提示するための重要な対策の一つとしては、設計においてあらかじめ適切に安全裕度を見込んだパラメータの設定を行うことが考えられる。このため、このような安全裕度の評価においては、「それぞれのシナリオに対する適切な条件設定に基づいて、保守的な値を考慮した解析結果や感度解析結果から、線量目安値を満足するパラメータの値あるいは範囲、すなわち、裕度を見積もること」が求められる。本論文においては、包括的感度解析手法を高レベル放射性廃棄物の性能評価に適用し、性能評価パラメータの安全裕度を評価するための考え方について提案する。提案に際しては、工学的な対策により性能の高度化を見込める可能性があるパラメータ(ガラス固化体溶出率,オーバーパックの破損時期,緩衝材の厚さ)に着目し、天然バリアをきわめて保守的に設定した条件下における性能評価パラメータの安全裕度の評価を例示した。このような考え方に基づいて抽出される情報は、頑健なバリアの構築やシナリオ解析に資するものと考える。
大井 貴夫; 稲垣 学; 川村 淳; 江橋 健
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1124, p.407 - 412, 2009/00
放射性廃棄物の地層処分の安全評価においては、さまざまな観点から懸念事象が抽出され、それらに対する研究が精力的に進められてきている。しかし、これまで、処分の安全評価におけるこれらの相対的な重要性を把握するための体系的な検討はなされていない。これらの相対的な重要性を明示することは、処分の安全評価の信頼性を向上に資する重要な課題である。本研究では、処分のシナリオや評価ケース及び個々の評価研究の相対的重要度の提示を可能とする体系的な評価手法を構築することを目的として、(1)処分の安全性に対する多様な懸念事象の影響を統一的な方法で評価するための総合評価作業フレームの整備,(2)評価パラメータの類型化や感度解析の結果得られる影響特性情報のフィードバックに基づいて重要度を把握するための情報整理手順の整備に関する検討を行った。
江橋 健; Hwang, Y.-S.*; Lee, Y.-M.*; 大井 貴夫; 小尾 繁*
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(11), p.1138 - 1149, 2008/11
被引用回数:12 パーセンタイル:60.93(Nuclear Science & Technology)本検討においては、日本原子力研究開発機構と韓国原子力研究所間の研究協力の一環として、原子力機構が開発した包括的感度解析手法を韓国地層処分概念に適用し、感度解析を実施した。この適用の目的は、直接処分の概念に対して、線量の目標値を満足するニアフィールドパラメータの閾値を抽出できるかどうかについて確認することである。その結果、天然バリアが保守的な条件下において、線量の目標値を満足するニアフィールドパラメータの閾値が例示された。このことから、直接処分の概念に対する包括的感度解析手法の適用性を確認した。さらには、韓国の地層処分において、Iに対するニアフィールド領域の重要な特性としては人工バリア周辺の地下水流量及び廃棄体からの溶解であることが示唆された。このようなアプローチは、直接処分の概念におけるシナリオ解析や頑健なバリアの構築に資するものである。
川村 淳; 安江 健一; 新里 忠史; 常盤 哲也; 江橋 健; 大井 貴夫; 牧野 仁史; 石丸 恒存; 梅田 浩司
Proceedings of 2008 East Asia Forum on Radwaste Management Conference (2008 EAFORM 2nd Conference) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2008/10
隆起・侵食は火山活動などとは異なり広域的で緩慢な現象であるため、現象に起因する地質環境条件の変化をサイトにおける地質環境調査などから明示的に捉えることが困難である。本研究では、隆起・侵食による地質環境条件の変化を地史及びモダンアナログの観点から捉える方法論を検討した。その結果、地史及びモダンアナログに基づくことにより、隆起・侵食速度や場(山地,平野部あるいは沿岸域など)の差異による現象のバリエーションと推移のパターン、及びそれらに起因して生ずる可能性のある地質環境条件の変動パターンとそれらの時間的な変遷を温度-水理-力学-化学-幾何形状(THMCG)の情報として系統的に把握できるようになった。また、既に開発された現象論に基づき現実的かつ段階的に天然現象の発生から処分への影響を取り扱い評価シナリオやモデルを構築する枠組みをこの検討手順に適用することにより、現実に即した隆起・侵食シナリオを構築できる見通しを得た。
江橋 健; 小尾 繁*; 大井 貴夫
JAEA-Research 2008-019, 142 Pages, 2008/03
本検討においては、高レベル放射性廃棄物の性能評価に包括的感度解析手法を適用し、一方のバリアのパラメータを保守的に設定した条件下において、一方のバリアの分析対象パラメータに関する重要度や成立条件を抽出することができるかどうかについて検討した。検討の結果、人工バリア及び天然バリアのパラメータに関する重要度や成立条件をそれぞれ例示した(例えば、降水系間隙水及び天然バリアが保守的な条件の場合に、ガラス溶解速度が2.5g/m/y以下であれば、Cs-135の最大線量は10Sv/yを下回る)。本検討を通じて、包括的感度解析手法が、保守的な条件下において、それぞれのバリアのパラメータに関する重要度や成立条件の抽出に適用可能であることを示した。本検討における手法の有用性の検討や抽出された感度特性は、地層処分計画の初期段階におけるシナリオ解析や頑健なバリアの構築に資するものと考える。
川村 淳; 大井 貴夫; 新里 忠史; 安江 健一; 常盤 哲也; 丹羽 正和; 島田 耕史; 黒澤 英樹; 浅森 浩一; 河内 進; et al.
JAEA-Research 2008-018, 47 Pages, 2008/03
本報告では、総合評価体系の一環として作業フレームの高度化を図り、地質環境条件(THMCG)と天然現象の特性との関係の定量化と処分環境における性能評価パラメータとTHMCG条件との関係の定量化に関する情報整理の考え方について検討した。また、上記の考え方に基づく情報整理手法をすべての天然現象へ適用し、その手法の適用性の確認を実施した。その結果、上記情報整理については、THMCGの変化に関する情報から、地層処分の安全評価において重要な天然現象研究や地質環境に関するデータや知見などについて、その過不足も含めた情報を効率的に整理できる見通しを得た。また、急激かつ局所的な現象である火山・熱水活動及び地震・断層活動のみならず、緩慢かつ広域的な現象である隆起・侵食/気候・海水準変動にも総合評価体系の考え方に基づく情報整理の手法が適用可能であることを確認できた。また、シナリオのスクリーニング技術に関しては、情報整理により適切なシナリオの選択が可能となる見通しを得た。
大井 貴夫; 高瀬 博康*; 稲垣 学; 小山田 潔*; 曽根 智之; 三原 守弘; 江橋 健; 仲島 邦彦*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.985, p.129 - 134, 2007/00
放射性廃棄物の地層処分の安全評価の信頼性を得るためには、多様な不確実性の影響を考慮する必要がある。本研究では、統計的手法に基づいて不確実性の観点から決定論的影響解析を補完することができる包括的感度解析手法を開発した。この手法は、キーパラメータや任意の目標値を下回るためのパラメータ値の組合せである成立条件を抽出することができる手法である。このアプローチを日本のTRU廃棄物の地層処分の安全評価に適用し、システムの安全性に対する不確実性の影響を包括的に評価するとともに、システムの性能の特性や今後の重要な研究課題をわかりやすく示した。
宮原 要; 吉川 英樹; 大井 貴夫; 柴田 雅博; 澤田 淳; 笹本 広; 飯島 和毅; 前川 恵輔; 川村 淳; 加藤 智子; et al.
JAEA-Review 2006-015, 29 Pages, 2006/03
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価に関する研究を対象として、これまでの研究成果を踏まえ、今後5年を目途に実施すべき研究の項目とその内容等を研究計画書としてまとめた。本計画書では、高レベル放射性廃棄物地層処分に関する国の基盤的研究開発を対象に体系的かつ中長期的にまとめられた研究開発計画である「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発全体マップ」の性能評価分野の研究開発要素の枠組みを参考とし、「日本原子力研究開発機構の中期計画」を踏まえ、「日本原子力研究開発機構に期待する安全研究」を勘案して、これまでの研究によって示された課題等を対象とし、今後5年を目途に実施すべき研究の項目とその内容等を記述した。個々の研究の計画では、研究の必要性や反映の意義に基づいた目的と「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発第2次取りまとめ(第2次取りまとめ)」までに実施された研究成果、「高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する知識基盤の構築(H17レポート)」までになされた研究成果とをまとめて、「目的とこれまでの成果」として記述するとともに、今後の当面5年程度の計画を「当面5年程度(平成22年度頃まで)の計画」として記述した。
前川 恵輔; 澤田 淳; 原 彰男; 武部 篤治; 牧野 仁史; 若杉 圭一郎; 加藤 智子; 江橋 健; 柴田 勝志*
放射性廃棄物安全研究年次計画(平成13年度平成17年度)研究成果報告集, p.117 - 129, 2006/03
サイトが特定された場合に得られると考えられる個々の地質環境の特性やそれに基づく設計情報及び地表環境条件を的確に安全評価に反映することにより、より現実的で詳細な評価ができる安全評価モデルを構築し、安全裕度の把握や安全評価手法の信頼性向上に資することを目的に研究を実施した。人工バリア中核種移行解析モデルにおいてより詳細にモデル化するべきプロセスを整理し、複数の廃棄体を考慮することにより生ずる廃棄体間の濃度干渉効果、及び掘削影響領域での核種移行プロセスを詳細にモデル化するべき対象として抽出した。これらのプロセスに対して、モデル化検討を行った結果、「人工バリア周辺母岩中の地下水流動や核種移行特性の不均質性を考慮可能な廃棄体間濃度干渉モデル化手法の開発」や「人工バリアとその周辺の掘削影響領域における核種移行の二次元的な解析における計算精度の向上の見通しの取得」等の見通しを得た。「生物圏評価モデルの高度化」については、海域及び土壌をGBIとした生物圏評価のコンパートメントモデルの検討、及び実際の地表環境条件に対する既存のモデル化手法の適用性の検討により、生物圏評価の手法の高度化に向けての課題・問題点を明らかにすることができた。また、今後のデータ取得・整備の優先度などを考えるうえでの基盤的な情報を得ることができた。また、安全評価手法体系化については、重要となる方法論や必要となる技術を明らかにするとともに、技術情報やその流れを管理・運用するための技術情報管理システムの操作性の向上を図ることができた。