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多田 健一; 近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(6), p.624 - 631, 2023/06
被引用回数:2 パーセンタイル:50.96(Nuclear Science & Technology)感度解析や不確かさ評価は評価済み核データの改良にとって重要な役割を担っている。現在の計算機性能の向上によって、連続エネルギーモンテカルロ計算コードを用いた感度解析や不確かさが可能となってきている。そこで本研究では、FRENDYのモジュールを用いて、連続エネルギーモンテカルロ計算コードで用いられるACEファイルの摂動ツールを開発した。本摂動ツールを用いて微視的断面積,核分裂当たりの中性子数,核分裂スペクトルを摂動させることができる。また、ユーザーが共分散データを用意すれば、ランダムサンプリング法を用いた不確かさ解析を行うこともできる。本摂動ツールの検証のため、実効増倍率の不確かさを感度解析コードSCALE/TSUNAMI及びMCNP/KSENと比較した。その結果、本摂動ツールを用いたランダムサンプリング法で得られた不確かさは、SCALE/TSUNAMIやMCNP/KSENとよく一致することを確認した。
多田 健一; 山本 章夫*; 国枝 賢; 今野 力; 近藤 諒一; 遠藤 知弘*; 千葉 豪*; 小野 道隆*; 東條 匡志*
Journal of Nuclear Science and Technology, 10 Pages, 2023/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)核データ処理コードは評価済み核データライブラリと放射線輸送計算を繋げる重要なコードである。核データ処理コードFRENDY第1版は簡単な入力データを用いてACE形式の断面積ファイルを生成するために2019年に公開された。FRENDY第1版の公開後、中性子多群断面積の生成、物質中の異なる核種間の共鳴干渉効果の考慮、共鳴上方散乱の考慮、ACEファイルの摂動、ENDF-6形式ファイルの修正など、多くの機能が開発された。これらの新機能をまとめ、FRENDY第2版を公開した。FRENDY第2版では、ACE形式の断面積ファイルからGENDF及びMATXS形式の中性子多群断面積ファイルを生成する。本論文では、FRENDY第2版で実装された新機能と本コードの中性子多群断面積生成機能の検証について説明する。
方野 量太; 大泉 昭人; 福島 昌宏; Pyeon, C. H.*; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Nuclear Science and Engineering, 20 Pages, 2023/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)京都大学臨界集合体A架台で測定された鉛ビスマスサンプル反応度を用いたデータ同化によって加速器駆動システムの冷却材ボイド反応度の鉛ビスマス非弾性散乱断面積に起因した不確かさを低減できることを実証した。サンプル反応度について、データ同化の式中に現れる実験不確かさと相関を再評価し、結果を明示した。不確かさ評価に用いる感度係数はMCNP6.2で評価し、データ同化はMARBLEを用いて実行した。鉛ビスマスに対してサンプル反応度は感度係数が大きいため、加速器駆動システムの冷却材ボイド反応度の断面積起因不確かさを6.3%から4.8%まで減少させ、本研究で設定した暫定的な目標精度5%を達成できることを示した。さらに、ADJ2017に使用された積分実験データを用いることで、マイナーアクチニドや鉄など他の支配的な核種に起因する不確かさを効果的に低減できることを示した。
遠藤 駿典; 奥平 琢也*; 安部 亮太*; 藤岡 宏之*; 広田 克也*; 木村 敦; 北口 雅暁*; 奥 隆之; 酒井 健二; 嶋 達志*; et al.
Physical Review C, 106(6), p.064601_1 - 064601_7, 2022/12
被引用回数:3 パーセンタイル:49.92(Physics, Nuclear)熱外中性子入射により形成される複合核において観測された、空間反転対称性の破れの大きな増幅は、今のところ複合核状態の入射チャネルにおけるパリティの異なる部分波の混合の結果として説明されている。さらに時間反転対称性の破れも同様のメカニズムで増幅されることが示唆されている。この入射チャネルにおける混合は、複合核共鳴から放出される個々のガンマ線のエネルギー依存なスピン-角相関を引き起こす。本研究ではJ-PARC・MLF・ANNRIにて偏極熱外中性子ビームを用い、Sn()Sn反応におけるガンマ線強度分布が、中性子の偏極方向に依存することを確認した。
石川 諒椰*; 鈴木 正敏*; 木野 康志*; 遠藤 暁*; 中島 裕夫*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 清水 良央*; 鈴木 敏彦*; 篠田 壽*; et al.
KEK Proceedings 2022-2, p.61 - 66, 2022/11
福島県の野生ニホンザルの肝臓・膀胱・大腿筋を用いて、低線量放射線による生物影響の要因と考えられる酸化ストレスとその防御機構である抗酸化活性のバランスを調べた。その結果、福島第一原子力発電所事故に起因する非常に低い線量率の放射線被ばくによって、事故から7年から10年が経過しても放射線に対する生物の応答反応が外部被ばく・内部被ばくに共通して持続すること、その変動傾向は臓器によって異なるものの、いずれも酸化ストレスと抗酸化機構が関連して変動する可能性が示唆された。
方野 量太; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Nuclear Science and Engineering, 196(10), p.1194 - 1208, 2022/10
被引用回数:1 パーセンタイル:29.26(Nuclear Science & Technology)本研究では、炉心核特性の核反応断面積に対する感度係数を効率的に行うROM-Lasso法を提案した。本手法は、求めたい感度係数ベクトルを、Reduced Order Modeling (ROM)の考えた方に基づき、Active Subspace (AS)と呼ばれる部分空間基底で展開する。その後、各展開係数をランダムサンプリングにより得られる多数の微視的多群断面積摂動セットと炉心核特性を用いたLasso線形回帰によって求める。本手法はForward計算のみ実施するためAdjoint法の適用が困難な場合でも適用が可能である。さらに、ASは感度係数ベクトルをより少ない次元数で再現する実効的な部分空間であり、元の次元数(入力パラメータ数)より大幅に未知数を削減することから、ASを用いないLasso推定と比較し劇的に計算コストを改善する。本論文では検証計算としてADS燃焼計算における感度係数評価を行い、ASを求める具体的な処方を示し、提案手法の適用性を示した。
遠藤 駿典; 静間 俊行*; Zen, H.*; 平 義隆*; Omer, M.; 河村 しほり*; 安部 亮太*; 奥平 琢也*; 北口 雅暁*; 清水 裕彦*
UVSOR-49, P. 38, 2022/08
To measure the circular polarization of gamma-rays, the gamma-ray polarimeter was developed. The analyzing power of the polarimeter was measured using circularly polarized gamma-rays in UVSOR BL1U. Magnetic hysteresis of the polarimeter was also observed. The analyzing power was obtained as 2.120.04%.
方野 量太; 山本 章夫*; 遠藤 知弘*
Proceedings of International Conference on Physics of Reactors 2022 (PHYSOR 2022) (Internet), p.2032 - 2041, 2022/05
ADS炉心核特性の反応断面積に対する感度係数評価を、炉心解析システムに大幅な変更を加えることなく効率よく行うために、ROM-Lasso法を提案した。ROM-Lasso法では、まず感度係数ベクトルはAcitve Subspace (AS)と呼ばれる部分空間基底に展開され、実効的な未知数を大幅に削減する。続いて、ランダムサンプリングを実行して得られる炉心核特性と展開係数との罰則化線形回帰分析を通じて展開係数を決定し、感度係数ベクトルを推定する。ROM-Lasso法ではASを用いることで必要な炉心計算回数を大幅に低減することができる。本発表では燃焼末期の冷却材ボイド反応度の感度係数評価を例に、サンプル数やASの取り方で推定精度がどのように変化するかを示す。
加藤 篤志; 久保 重信; 近澤 佳隆; 宮川 高行*; 内田 昌人*; 鈴野 哲司*; 遠藤 淳二*; 久保 幸士*; 村上 久友*; 鵜澤 将行*; et al.
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Sustainable Clean Energy for the Future (FR22) (Internet), 11 Pages, 2022/04
プール型ナトリウム冷却高速炉の概念設計研究を行っている。本検討では、日本の地震対策、原子炉容器の熱流動、崩壊熱除去システムの設計などの主な課題の報告を行う。日本に650MWeのタンク型ナトリウム炉が設置される場合、厳しい地震に対する設計が必要で、原子炉構造を強化している。また、新たに3次元免震システムの開発も進めている。
乗松 航*; 松田 啓太*; 寺澤 知潮; 高田 奈央*; 増森 淳史*; 伊藤 圭太*; 小田 晃司*; 伊藤 孝寛*; 遠藤 彰*; 舟橋 良次*; et al.
Nanotechnology, 31(14), p.145711_1 - 145711_7, 2020/04
被引用回数:6 パーセンタイル:38.16(Nanoscience & Nanotechnology)炭化珪素(SiC)基板上にエピタキシャル成長した炭化ホウ素(BC)薄膜の熱分解によって、ホウ素をドープしたエピタキシャルグラフェンが成長することを示した。SiC上のBCとBC上のグラフェンの界面は、一定の方位関係を持ち、ダングリングボンドのない安定した構造を局所的に持っていた。BCの最初の炭素層はバッファー層として機能し、その上にグラフェンが積層していた。BC上のグラフェンは、ホウ素が高濃度にドープされており、正孔濃度は210 - 210 cmの広い範囲で制御できた。高濃度にホウ素をドープしたグラフェンはスピングラス挙動を示し、これはスピンフラストレーションシステムにおける局所的な反強磁性秩序の存在を示唆している。炭化物の熱分解は、さまざまな用途向けの新しいの機能エピタキシャルグラフェンをウェーハスケールで得るための技術であると期待できる。
梶本 亮一; 横尾 哲也*; 中村 充孝; 川北 至信; 松浦 直人*; 遠藤 仁*; 瀬戸 秀紀*; 伊藤 晋一*; 中島 健次; 河村 聖子
Physica B; Condensed Matter, 562, p.148 - 154, 2019/06
被引用回数:15 パーセンタイル:60.55(Physics, Condensed Matter)Seven time-of-flight quasielastic/inelastic neutron scattering instruments are installed on six beamlines in the Materials and Life Science Experimental Facility (MLF) at the Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC). Four of these instruments are chopper-type direct-geometry spectrometers, one is a near-backscattering indirect-geometry spectrometer, and the other two are spin-echo-type spectrometers. This paper reviews the characteristic features, recent scientific outcomes, and progress in development of MLF spectrometers.
近藤 諒一*; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*; 多田 健一
Proceedings of International Conference on Mathematics and Computational Methods applied to Nuclear Science and Engineering (M&C 2019) (CD-ROM), p.1493 - 1502, 2019/00
核データ処理コードFRENDYのモジュールを用いて、ACE形式の断面積に任意の摂動を与える機能を開発した。本機能では、ACE形式の断面積を共分散データに基づいてランダムサンプリングし、各断面積の実効増倍率や中性子生成時間の感度を評価することができる。本機能の妥当性を評価するため、Godiva炉心を用いて摂動論に基づく決定論的手法(TSUNAMI-1D)及び確率論的手法(MCNP6.2)の結果と比較したところ、統計誤差の範囲内で一致することを確認した。また、不確かさ低減手法を適用したところ、実効増倍率と中性子生成時間の相関性を用いることで中性子生成時間の不確かさが低減することが分かった。
方野 量太; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*; 辻本 和文
Journal of Nuclear Science and Technology, 55(10), p.1099 - 1109, 2018/10
被引用回数:3 パーセンタイル:29.78(Nuclear Science & Technology)本研究では、炉心核特性の感度係数表に対して、罰則化線形回帰手法adaptive smooth-lassoを考案した。提案手法は、ランダムサンプリングにより得られる多数の微視的多群断面積摂動セットと炉心核特性を用いた線形回帰によって感度係数を評価する。提案手法は、Forward計算のみ実施するため、Adjoint計算の実施が困難な複雑な炉心計算に対しても適用可能である。本研究では微視的多群断面積に対する炉心核特性の感度係数の特徴を考慮した罰則項を提案し、数値計算を通じて提案手法が先行研究の手法と比較してより少ない計算コストで高精度に感度係数を評価できることを示した。
中島 健次; 川北 至信; 伊藤 晋一*; 阿部 淳*; 相澤 一也; 青木 裕之; 遠藤 仁*; 藤田 全基*; 舟越 賢一*; Gong, W.*; et al.
Quantum Beam Science (Internet), 1(3), p.9_1 - 9_59, 2017/12
J-PARC物質・生命科学実験施設の中性子実験装置についてのレビューである。物質・生命科学実験施設には23の中性子ビームポートがあり21台の装置が設置されている。それらは、J-PARCの高性能な中性子源と最新の技術を組み合わせた世界屈指の実験装置群である。このレビューでは、装置性能や典型的な成果等について概観する。
瀬戸 秀紀; 伊藤 晋一; 横尾 哲也*; 遠藤 仁*; 中島 健次; 柴田 薫; 梶本 亮一; 河村 聖子; 中村 充孝; 川北 至信; et al.
Biochimica et Biophysica Acta; General Subjects, 1861(1), p.3651 - 3660, 2017/01
被引用回数:32 パーセンタイル:80.4(Biochemistry & Molecular Biology)1MWクラスのパルス中性子源であるJ-PARCの物質・生命科学実験施設には、23の中性子ビームラインがあり、21台の装置が稼働、建設中である。このうち6台は中性子非弾性、及び、準弾性実験のための装置であり、生命科学研究に大いに寄与するものである。
玉村 修司*; 遠藤 亮*; 清水 了*; 岩月 輝希; 天野 由記; 大味 泰*; 五十嵐 敏文*
Journal of MMIJ, 128(10,11), p.570 - 575, 2012/10
北海道幌延地区の第四系と新第三系の声問層を帯水層とする地下水中で、微生物の競争排除則とメタン生成反応の非平衡度に基づき、ギ酸及び酢酸がメタン生成微生物の基質となっている可能性を評価した。微生物の競争排除則では、声問層を帯水層とする地下水中で酢酸が基質となっている可能性が示唆され、非平衡度による評価では、還元的なすべての地下水中で、両有機酸が基質となっている可能性が示唆された。これらのことから、還元的な環境では両有機酸がメタン生成微生物の基質となっていること、特に新第三系声問層を帯水層とする地下水中では、酢酸濃度は微生物の競争排除則により規定されている可能性が指摘された。
松井 義典; 高橋 広幸; 山本 雅也; 仲田 祐仁; 吉武 庸光; 阿部 和幸; 吉川 勝則; 岩松 重美; 石川 和義; 菊地 泰二; et al.
JAEA-Technology 2009-072, 144 Pages, 2010/03
日本原子力研究開発機構は、平成17年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構との統合によって誕生した。この統合を最大限に利用したプロジェクトが、旧電源開発促進対策特別会計法及び特別会計に関する法律(エネルギー対策特別会計)に基づく文部科学省からの受託事業「長寿命プラント照射損傷管理技術に関する研究開発」である。この「長寿命プラント照射損傷管理技術に関する研究開発」において、材料の照射損傷評価指標の確立に重要な、世界で類のない、高速実験炉「常陽」と研究用原子炉であるJRR-3を利用した組合せ照射材を平成18年から平成19年の約2年間の短期間で取得した。本報告は、これら常陽,JRR-3の実験炉施設及びWASTEF, JMTRホットラボ,MMF, FMFのホット施設を利用した組合せ照射における作業計画から作業結果及び照射試験における照射温度と照射量の評価をまとめたものである。
奥 浩之*; 山田 圭一*; 小林 京子*; 片貝 良一*; Ashfaq, M.*; 花岡 宏史*; 飯田 靖彦*; 遠藤 啓吾*; 長谷川 伸; 前川 康成; et al.
Peptide Science 2008, p.439 - 442, 2009/03
マラリアは、熱帯及び亜熱帯地域における主な死因の一つである。これまでの研究において、エノラーゼ基質結合部位の部分配列に由来する人工ペプチド抗原としてマラリアワクチン抗原の有用性を検証してきた。人工抗原ペプチドは、抗原性ペプチドに5(6)-カルボキシフルオロセインを用いて蛍光ラベルして合成した。合成したペプチドは、乳酸とグリコール酸の共重合体(PLGA)を用いて乳化重合後、ホモジナイズし、ナノ粒子化した。この粒子へ再度0.5%ポリビニルアルコールを加えた後、乳化,ホモジナイズして粒子径0.3から1.5mmのナノ粒子を調製した。蛍光強度からみた生体外での徐放試験において、ペプチド抗原のみから作製したナノ球体を用いた場合、薬剤は、保留日数に対してほぼ0次で急激に放出されるのに比べ、PLGAナノ粒子に調製した試料は、1g/7日間で徐放されることがわかった。1.0mg(蛍光入り薬剤4.0g)のナノ粒子を用いたハダカネズミによる生体内試験において、蛍光強度は、12日間かけ次第に減少し、今回調製されたナノ微粒子は持続的に抗原を徐放することがわかった。
伊藤 慶文*; Batchuluun, C.*; 安田 啓介*; 石神 龍哉*; 遠藤 伸之*
平成18年度財団法人若狭湾エネルギー研究センター研究成果報告集,9, p.27 - 30, 2007/09
化学処理を伴うガスクロマトグラフィ・質量分析法(GC/MS法)を金属中に含まれるHe原子量計測のために適用した。He含有金属小片サンプルの作製には、200kVイオン注入装置を使用した。容積約36cc(又は約9cc)のH型反応管内の1気圧窒素雰囲気でHe含有Cu小片を0.5ccの20%硝酸水溶液に浸し溶解後、Heを含むガスを採取した。GC/MS装置でHeを分析した結果、金属に含まれるHe個数が10個から10個の範囲で、検出されたHe強度と注入したHe原子数の間には良い比例関係が示された。
玉置 哲男*; 酒井 拓彦*; 遠藤 寛*; 羽賀 一男; 高橋 亮一*
Nuclear Technology, 99(1), p.58 - 69, 1992/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)遅発中性子(DN)法燃料破損検出(FFD)系の計数率信号の処理により破損検出感度を向上させる技術の開発を目標に、東芝教育訓練用原子炉TTR-1に設置された炉内核分裂生成物挙動試験ループFPI-IIにおいてDN系計数率変動の測定解析を実施した。殊に、計数率雑音と他の運転パラメータの変動との相関に注目し、その雑音源を明らかにする目的で多変量自己回帰(AR)モデルを用いた時系列解析を行った。その結果、定状的な燃料破損状態で生じる計数率変動の周波数特性は白色であること、その振幅は高流量、高温になるほど増大すること、低温時には配管等の構造材表面へのFP沈着効果のために系統温度の変動が計数率変動の大きな要因となること、が示された。