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廣内 淳; 長久保 梓; 高原 省五
日本原子力学会誌ATOMO
, 68(5), p.287 - 290, 2026/05
原子力発電所事故後の居住環境における被ばく評価は、汚染地域での住民生活を管理するために必要不可欠な情報の一つである。事故初期に一般家屋への屋内退避は防災計画の主軸の一つとして位置づけられており、屋内退避の効果および屋内退避時の被ばく線量は原子力防災計画や放射線防護対策を策定する国や自治体にとって重要な情報となる。本稿では、屋内退避に係るパラメータの調査と確率論的リスク評価コードを利用して解析した屋内退避の効果を紹介するとともに、屋内退避の課題について言及する。
廣内 淳; 高原 省五; 渡邊 正敏*
Health Physics, 130(1), p.87 - 93, 2026/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故後の住民の帰還に伴い、住民の線量は安全を醸成するために測定された。しかしながら、各住民の線量は同じエリアに住む住民でさえ、その振る舞いや居住環境によって異なる。従来の研究では、被験者は外出時には個人線量計を胸部に着用するように言われているが、室内では着用の必要が無かった。本研究では、就寝時に個人線量計を着用した場合と着用しなかった場合の線量指示値の違いを調査した。放射線量の高い2つの家屋において、成人ファントムの胸部上(着用時を模擬)、頭上付近(未着用時を模擬)に個人線量計を置き、その指示値を比較した。さらに、指示値の違いの原因を調査するため、放射線輸送計算を用いて就寝時の線量を計算した。結果として、着用時の線量は未着用時に比べて1階で約4%、2階で約15%低かった。さらに線量と線量比(未着用時/着用時)は窓からの距離に応じて、それぞれ約20%、約30%異なった。
平岡 大和; 真辺 健太郎; 廣内 淳; 高原 省五
Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2025 (ASRAM 2025) (Internet), p.487 - 494, 2025/08
Evacuation by private vehicle is a basic evacuation strategy during a nuclear emergency in Japan. When vehicles are evacuated from the contaminated areas, screening is conducted to inspect for radioactive contamination. If the radioactive contamination of vehicles exceeds criteria, decontamination is performed by wiping with wet waste cloths. Therefore, insights into the effectiveness of wet cloth wiping are necessary to conduct decontamination in an optimized manner. However, detailed information on the effectiveness of wiping each component of a vehicle by wet waste cloths is not sufficient. The present study simulated cesium contamination deposited on vehicle surfaces during a nuclear accident and experimentally assessed the effectiveness of wet cloth wiping for decontaminating newly manufactured vehicle components (windshield, hood panel, and aluminum alloy). The results showed that the decontamination factor (DF) for the windshield was approximately 8 to 26, while the DF for the hood panel was more than 32 and that for the aluminum alloy was more than 31. Furthermore, it was observed that decontamination effectiveness did not change after the second wiping.
廣内 淳; 高原 省五; 渡邊 正敏*
Journal of Radiological Protection, 45(2), p.021506_1 - 021506_13, 2025/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)屋内退避は原子力発電所事故時の放射線被ばくを緩和するための重要な防護措置である。吸入被ばくを低減する屋内退避の効果は一般的に屋内外の積算線量の比である低減係数を用いて評価される。屋内での線量は主に自然換気率、浸透率、室内での沈着率に依存する。加えて、自然換気率は風速に依存する。今までの研究では、低減係数は一定値として扱われるか、風速一定の条件で計算された。しかしながら、実際には風速は変動する。本研究では風速の時間変化による低減係数への影響を調査し、これら変動を考慮するための簡易的な補正方法を開発した。結果として、風速の時間変化はファクター2程度の低減係数の違いを生じさせることを示した。さらに簡易補正方法を用いることで、補正した低減係数は、実際の風速変動を利用して計算した低減係数と平均で10%以内で一致した。さらに計算コストは20倍以上削減できることを示した。
廣内 淳; 渡邊 正敏*; 林 奈穂; 長久保 梓; 高原 省五
JAEA-Research 2024-015, 114 Pages, 2025/03
原子力事故によって汚染された地域では、事故後の初期及び長期にわたって、居住環境での滞在を通じて放射線を被ばくする。同じ事故シナリオであっても、原子力サイトごとに気象条件や周辺環境が違うため被ばく線量が異なり、防護措置の一つである屋内退避をした場合の被ばく低減効果も異なる。事故初期において屋内退避をした場合に想定される被ばく線量、または想定される被ばく低減効果などの情報は、住民や原子力防災計画を策定する国・自治体にとって重要な情報となる。そこで本報告書では、日本における原子力施設を有するサイトで、過去のシビアアクシデント研究で示された3つのシナリオ、原子力規制委員会で定められている放出シナリオ、東京電力福島第一原子力発電所事故を想定したシナリオの5つの事故シナリオに対して、確率論的事故影響評価コードの一つであるOSCAARを用いて被ばく線量及び屋内退避による被ばく低減効果を評価した。被ばく低減効果はサイト間で約20%の違いが見られ、これは風速のサイト間の違いによることを示した。
廣内 淳; 渡邊 正敏*; 林 奈穂; 長久保 梓; 高原 省五
Journal of Radiological Protection, 45(1), p.011506_1 - 011506_11, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)原子力発電所事故によって汚染された地域に住む公衆は、初期から長期にわたって被ばくする。同じような事故シナリオであっても、放射線量や防護措置の一つである屋内退避の効果は、気象条件や周辺環境に左右される。原子力発電所事故の初期における放射線量と屋内退避の効果は、公衆だけでなく、原子力防災対策を計画する国や地方自治体にとっても重要な情報である。本研究では、レベル3PRAコードの一つであるOSCAARコードを用いて、過去のシビアアクシデント研究で利用された3つのシナリオ、原子力規制委員会が定めたシナリオ、福島第一原子力発電所事故に対応するシナリオの計5つの事故シナリオについて、日本国内の原子力施設を有するサイトにおける放射線量と屋内退避の効果を評価した。屋内退避の効果は、同一サイトにおける事故シナリオ間で最大約50%、同一事故シナリオのサイト間で約20%
50%の差があった。事故シナリオ間の放射性核種組成の違いと、サイト間の風速の違いが、主にこのような屋内退避の効果の違いを引き起こした。
廣内 淳; 鯨岡 郁雄; 高原 省五; 高田 モモ*; Schneider, T.*; 甲斐 倫明*
Journal of Radiological Protection, 45(1), p.011508_1 - 011508_14, 2025/03
被引用回数:1 パーセンタイル:50.28(Environmental Sciences)異なる要因によるリスクを比較できるリスク指標は、国民の理解を深める上で有用である。国際放射線防護委員会(ICRP)は、低線量における放射線被ばくによる健康影響を定量化するために"デトリメント"という概念を開発した。しかし、デトリメントは放射線分野に特有のものであり、他のリスクと単純に比較することはできない。そこで本研究では、公衆衛生分野等で利用されるリスク指標(障害調整生存年数(DALY)、生涯罹患リスク、生涯死亡リスク)に着目し、放射線被ばくによるそれらのリスク指標を33カ国間で計算した。全固形がんの生涯死亡・罹患リスクとDALYは、国によって男性で1.5-2.0倍、女性で1.2-1.5倍の差が見られ、これらの値は発展途上国ほど低いことが示された。さらに、各部位のリスク指標値の大小関係はデトリメントと同様の傾向を示し、これらのリスク指標値はデトリメントの代替指標として利用できる可能性を示した。
鯨岡 郁雄; 野口 芳宏*; 嶋田 和真; 廣内 淳; 高原 省五
Radiation Protection Dosimetry, 200(16-18), p.1561 - 1567, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)国産の放射線誘発がんリスクの推定モデルを実装した計算コードを開発するために、公開されている他国の既存の計算コード(RadRAT (U.S.NIH)、Blue Book Model (U.S.EPA)、Korean-Specific Model(FNC Technology Co, Ltd))と、これらのコードの基本となるBEIR VII(米国科学アカデミーの電離放射線の放射線健康リスクに関する報告書)を調査し、3つのコードとBEIR VIIモデルの計算結果を比較した。各コードとBEIR VIIで計算した全固形がんの生涯寄与リスクのうち、特にKorean-Specific Modelで計算した結果については、他と有意な差が認められた。この原因の一つはいくつかの組織や臓器のリスク移転に関するパラメータがコード間で異なっていることであり、このことは日本版コードの開発において慎重に検討されるべき課題の一つである。
廣内 淳; 鯨岡 郁雄; 高原 省五; 高田 モモ*; Schneider, T.*; 甲斐 倫明*
Journal of Radiological Protection, 44(2), p.021510_1 - 021510_10, 2024/06
被引用回数:3 パーセンタイル:55.60(Environmental Sciences)リスクに基づく放射線防護基準の根拠を検討する際には、統計的なベンチマークデータが必要である。これまでは、英国王立協会のリスク評価研究がベンチマーク統計として用いられてきたものの、1983年のデータであり、最近の医療インフラや生活水準に関するデータが反映されていない。そこで本研究では、ベンチマークデータとしてベースラインがん罹患率と死亡率に着目し、33か国のデータを比較した。ここでは、各国のがん罹患率と死亡率のデータを用いて計算した生涯死亡リスクと生涯罹患リスク、障害調整生存年(DALYs)を算出し、各国でそれらの値を比較した。結果の一つとして、すべての固形がんの生涯死亡・罹患リスクとDALYsは、国によって男性で2-4倍、女性で2-3倍の差が見られた。また、これらの値は発展途上国ほど低いことが示された。本研究では、ベースラインのがん死亡・罹患率に基づく健康リスクを、放射線によるがんリスクと比較する際の基準とすべきであると提案した。
中西 千佳*; 太田 雅和; 廣内 淳; 高原 省五
JAEA-Research 2023-012, 29 Pages, 2024/02
OSCAARプログラムは日本原子力研究開発機構で開発した原子炉事故の確率論的リスク評価プログラムである。OSCAARプログラムに含まれる、土壌表面に沈着した放射性核種の再浮遊による長期被ばくに関するモデルを改良するために、セシウム137の再浮遊係数を計算した。再浮遊係数の計算には、大気-土壌-植生の一次元モデルSOLVEG-Rを用いた。風速は粒子の再浮遊挙動に影響の大きい気象因子であることから、風速一定とした場合の再浮遊係数の年平均値を計算した。高さ1mにおける再浮遊係数の年平均値は、風速6m s
未満では変動幅が比較的小さく、風速6m s
以上では風速の上昇に対応して顕著な増加傾向を示した。風速1m s
から7m s
での再浮遊係数の値は10
から10
m
の範囲内であった。
廣内 淳; Charnock, T.*
JAEA-Research 2023-013, 57 Pages, 2023/12
近年、ICRPは環境線源からの外部被ばくに対する線量換算係数をICRP Publ.144として発表した。European Model for Inhabited Areas(ERMIN)は、ICRP Publ.144の「地面上および地面内の平面状線源」の状況に非常に近い「オープンエリア」環境を含む、いくつかの理想的な居住環境下の線量換算係数を整備している。この研究では、ガンマ線による外部被ばくにおける線量換算係数、空気カーマから実効線量への換算係数、ベータ線による線量換算係数について、ERMINでの値とICRP Publ.144での値とを比較し、最新知見に基づいてERMINの幾つかの改良点を示した。まずICRP Publ.144に基づいて新しい「オープンエリア」環境を作成した。新しい線量換算係数を作成し、以前は深さに依存していないものから、土壌の深さを考慮した9つの係数に変更した。ERMINでは制動放射線が考慮されていなく、Cs-137、Pr-143、Pr-144、Ru-106、Sr-89、Sr-90、Y-90、Y-91の線量換算係数がERMINとICRP Publ.144で大きく異なっていた。ICRP Publ.144に基づく補正係数を用いて、制動放射線を考慮した線量換算係数を作成した。
廣内 淳; Charnock, T.*
JAEA-Research 2023-009, 47 Pages, 2023/10
放射線緊急事態の復旧段階における意思決定では、様々な選択肢の復旧戦略を実行する人々の予測線量、コスト、労力、廃棄物の量、廃棄物の放射能濃度を提供することが重要である。European Model for Inhabited Areas(ERMIN)は、これらの情報を提供することができる。米国環境保護庁が開発したWaste Estimation Support Tool(WEST)は、放射線事故とその後の除染作業によって発生する廃棄物の潜在的な量と放射能濃度を推定することに焦点を当てたものである。本研究では、ERMINとWESTの廃棄物計算手法を比較し、ERMINツールのさらなる開発に役立てることを目的とした。ERMINとWESTの比較から、ERMINの改善点として、1)壁や天井の除染オプションを評価できるように内装をよりよく表現すること、2)廃棄物のエンドポイントを液体と固体に細分化すること、3)コンクリートの表面に対する高圧洗浄や消火を追加すること、4)異なる建物環境に対してさまざまな建ぺい率を追加することが提案された。
Cs occurring near the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康
Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08
被引用回数:3 パーセンタイル:15.90(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊した
Csの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中
Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としての
Cs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中
Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状
Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子への
Csの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中
Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中
Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。
廣内 淳; 高原 省五; 駒ヶ峯 弘志*
Journal of Radiological Protection, 42(4), p.041503_1 - 041503_12, 2022/12
被引用回数:3 パーセンタイル:30.55(Environmental Sciences)屋内退避は原子力災害時の放射線被ばくに対する対策の一つである。吸入被ばくに対する屋内退避の効果は、屋内と屋外の累積放射能濃度または線量の比として定義される低減係数で表される。屋内濃度は、主に空気交換率,浸透率,屋内での沈着率に依存する。空気交換率は、風速,家屋の床面積で規格化した隙間面積,総建ぺい率などの周辺環境条件に依存する。本研究では、様々な環境条件下で粒子とI
に対する低減係数の不確かさの範囲を検討し、低減係数の不確かさに最も影響を与えるパラメータを把握するために感度解析を行った。不確実性解析の結果から、算出された低減係数は環境条件や住宅の気密性によって大きく変動した。粒子とI
の低減係数の不確かさの範囲はそれぞれ最大0.9および0.3であり、新しい家屋ほど小さかった。感度解析の結果、風速は低減係数に最も影響を与えるパラメータであった。また、風速は新しい家屋では低減係数に与える影響が小さかった。
廣内 淳; Charnock, T.*
Proceedings of 14th International Conference on Radiation Shielding and 21st Topical Meeting of the Radiation Protection and Shielding Division (ICRS-14/RPSD 2022) (Internet), p.195 - 198, 2022/09
ERMIN (European Model for Inhabited Areas)は、欧州の二つの原子力事故意思決定支援システムにモジュールを提供しており、放射性核種に汚染された居住地域の人々の線量を計算するコードである。ERMINはEMRAS IIプログラムによって他のモデルと比較検証されている。ERMINの入力パラメータは、主にチェルノブイリ事故後に取得されたパラメータが基となっている。しかし、これらのパラメータは国や地域によって異なる可能性がある。ERMINを他の地域に適用した場合の計算線量の不確実性やばらつきを理解するためには、各パラメータが線量にどの程度影響するかを調べることが重要である。そこで、本研究では福島原子力発電所事故後に測定されたパラメータに関する文献を調査し、日本でのパラメータとERMINで使用されているパラメータを比較した。さらにそれらのパラメータ値および不確かさを用いて線量を計算し、線量の違いおよび各パラメータの線量への寄与を調査した。その結果、特に保持力と土壌浸透に関するパラメータ,空気交換率,室内での沈着率が線量評価に大きな影響を与えることを示した。
廣内 淳; 高原 省五; 駒ヶ峯 弘志*; 加藤 伸之*; 松井 康人*; 米田 稔*
Journal of Radiological Protection, 41(3), p.S139 - S149, 2021/09
被引用回数:4 パーセンタイル:32.33(Environmental Sciences)屋内退避は原子力事故時の放射線被ばくに対する防護対策の一つである。屋内退避の効果は低減係数によって表される。本研究では、低減係数を屋内外の積算放射能濃度比または線量比で定義した。屋内濃度は主に空気交換率,浸透率及び室内沈着率によって支配される。浸透率と室内沈着率は表面材質と隙間材質に依存する。I
と粒子のこれらのパラメータについて実験的に調査した。実験は2軒のアパート及び3軒の戸建て住宅に加えて、実験室のチャンバーで実施した。浸透率は、0.3
1
mの粒子で0.3
1、I
で0.15
0.7であり、いずれも空気交換率に依存していた。室内沈着率は、0.3
1
mの粒子で0.007
0.2h
、I
で0.2
1.5h
であり、いずれも床面材質に依存していた。
廣内 淳; 高原 省五; 吉村 和也
Journal of Environmental Radioactivity, 232, p.106572_1 - 106572_6, 2021/06
被引用回数:6 パーセンタイル:16.11(Environmental Sciences)家屋内での外部被ばく線量評価において、家屋内外の放射能分布の情報は有用である。本研究では、対象とした家屋周辺の土壌と家材サンプル(床,内壁,天井,外壁,屋根)を収集した。それらサンプルの放射能をHPGe検出器で測定した。地面に対する床、内壁、天井、外壁、屋根の相対表面濃度はそれぞれ3
10
7
10
, 6
10
4
10
, 7
10
3
10
, 2
10
1
10
, and 4
10
2
10
であった。相対表面濃度は材質、位置及び表面の向きによって異なった。
廣内 淳; 渡嘉敷 雄士*; 高原 省五; 真辺 健太郎
JAEA-Research 2021-001, 284 Pages, 2021/03
日本原子力研究開発機構が開発した確率論的事故影響評価(レベル3PRA)コードOSCAARでは、国際放射線防護委員会(ICRP)の刊行物に基づいた内部被ばく線量係数を使用して公衆の被ばく線量が評価されている。内部被ばく線量係数に係るパラメータの一つである消化管吸収率
には推奨値が与えられている。しかしながら、
の値には不確かさがあると報告されており、その不確かさによって内部被ばく線量がどの程度の影響を受けるのかの調査は限られている。そこで本報告書では、
の不確かさによる内部被ばく線量への影響を調査するため、体内での放射性核種の移行モデルを用いて
を変化させた解析を行い、内部被ばく線量係数と
の関係式を導出した。関係式を求めた結果、半減期が半日以上の核種に対しては、内部被ばく線量係数は
の1次関数で近似でき、半減期が半日未満の核種に対しては、
の3次関数で近似できることを示した。
山田 椋平; 河野 恭彦; 中嶌 純也; 廣内 淳; 辻 智也; 梅田 昌幸; 五十嵐 悠*; 小池 弘美*
保健物理(インターネット), 56(1), p.32 - 38, 2021/03
本報告は、日本保健物理学会若手研究会・学友会が2010年から取り組んできた社会コミュニケーション活動である千葉市科学フェスタ(2010年は「科学技術カフェ
シエスタ
」)への出展について、10回目の出展を機に、出展当初の経緯を振り返りつつ、近年の活動について取りまとめたものである。
普天間 章; 眞田 幸尚; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 菊池 陽*; 石崎 梓; et al.
JAEA-Technology 2020-019, 128 Pages, 2021/02
2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より放射性核種の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人ヘリコプター等を用いた航空機モニタリングが活用されている。本モニタリング技術を原子力施設等の事故時における緊急時モニタリングに活用し、モニタリング結果を迅速に提供するために、全国の発電所周辺におけるバックグラウンド放射線量や地形的特徴、管制区域等の情報を事前に整備している。また、緊急時モニタリングの実効性向上に資するために原子力総合防災訓練に参画し、緊急時航空機モニタリングを実施している。令和元年度は東通原子力発電所並びに六ヶ所再処理工場および志賀原子力発電所周辺について航空機モニタリングを実施し、バックグランド放射線量及びを管制区域等の情報を整備した。また、原子力総合防災訓練の一環として、中国電力島根原子力発電所周辺において緊急時航空機モニタリングを実施した。さらに、本モニタリングの代替技術として期待されている無人飛行機による、原子力災害を想定した運用技術開発に着手した。本報告書は、それらの結果および実施によって抽出された技術的課題についてまとめたものである。