検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 42 件中 1件目~20件目を表示

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

使用言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

論文

地球科学分野における加速器質量分析を活用した研究の最前線

本多 真紀

Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan, 70(4), p.282 - 283, 2022/12

加速器質量分析(AMS)における計測技術と化学分離技術の発展によって、AMSで$$^{244}$$Pu (半減期8.1$$times$$10$$^{7}$$年)、$$^{60}$$Fe (半減期2.62$$times$$10$$^{6}$$年)、$$^{90}$$Sr (半減期28.9年)の高感度分析が可能になった。これによって、例えば海底堆積物の一種である鉄・マンガンクラスト中の$$^{244}$$Puを分析した研究では、これまでは核実験由来の$$^{244}$$Puに埋もれていた、太陽系外から飛来した$$^{244}$$Puの定量に成功した。更に、$$^{244}$$Puは中性子星合体などで生成されることを明らかにする等、重元素の起源となる天体サイト(生成場)の解明に繋がる研究成果を得た。本トピックスでは$$^{244}$$Pu,$$^{60}$$Fe,$$^{90}$$Srについて、AMSを活用した研究の最前線を紹介する。

論文

Challenging studies by accelerator mass spectrometry for the development of environmental radiology; Status report on the analysis of $$^{90}$$Sr and $$^{135}$$Cs by AMS

本多 真紀; Martschini, M.*; Wieser, A.*; Marchhart, O.*; Lachner, J.*; Priller, A.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 坂口 綾*

JAEA-Conf 2022-001, p.85 - 90, 2022/11

加速器質量分析(AMS)は、原子核実験で主に利用させれてきたタンデム加速器に質量分析を組み合わせた分析法である。AMSの測定対象は半減期が10$$^{3}$$-10$$^{8}$$年の放射性核種である。この程度の半減期の放射性核種に対しては、その放射能を測定するよりも、その質量を測定する手法の方が10$$^{3}$$-10$$^{6}$$倍の感度で測定可能である。この特徴を利用してAMSは地球惑星科学、原子力分野等の研究に幅広く適応されている。様々な研究の中でもWallner et al. (2021, 2016)は地球惑星科学の分野で優れた成果を得ている。彼らは環境試料に含まれる$$^{60}$$Feと$$^{244}$$Puの超高感度分析に成功した。これらは天体内で起こる中性子の連続捕獲(r-process)によって生成される放射性核種である。この他に、発表者らの最新の研究ではレーザーによる同重体分離とAMSとを組み合わせた新AMSシステム(ウィーン大学VERA)による環境試料中の$$^{90}$$Srと$$^{135}$$Csの超高感度分析に成功した。環境中の$$^{90}$$Sr測定手法としては娘核種$$^{90}$$Yのミルキングによる$$beta$$線測定が依然主力であるが、本成果によってAMSが実用的な新規分析法となることが示された。本発表では$$^{90}$$Srと$$^{135}$$Csを中心に超高感度分析の技術開発の現状を報告する。

論文

Novel $$^{90}$$Sr analysis of environmental samples by ion-laser interaction mass spectrometry

本多 真紀; Martschini, M.*; Marchhart, O.*; Priller, A.*; Steier, P.*; Golser, R.*; 佐藤 哲也; 塚田 和明; 坂口 綾*

Analytical Methods, 14(28), p.2732 - 2738, 2022/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:45.92(Chemistry, Analytical)

環境放射線学の発展に資するために加速器質量分析装置(AMS)による高感度$$^{90}$$Sr分析法を開発した。AMSの利点は、$$^{90}$$Sr/$$^{88}$$Srの原子比が10$$^{-14}$$の様々な環境試料を簡単な化学分離で分析できることである。本研究では$$^{90}$$Sr濃度が既知の3種類のIAEA試料(コケ土、動物の骨、シリアの土壌:各1g)を分析し、化学分離とAMS測定の妥当性を評価した。$$^{90}$$Srの測定は、優れた同重体分離性能を有するウィーン大学のイオンレーザーインターアクション質量分析装置(ILIAMS)と組み合わせたAMSシステムで実施した。$$^{90}$$SrのAMSにおける$$^{90}$$Zrの同重体干渉は、まず化学分離によって除去された。Sr樹脂と陰イオン交換樹脂を用いた2段階のカラムクロマトグラフィーにおけるZrの分離係数は10$$^{6}$$であった。試料中に残存する$$^{90}$$ZrはILIAMSによって効率的に除去された。この簡単な化学分離で一般的な$$beta$$線検出よりも低い検出限界$$<$$0.1mBqを達成した。$$^{90}$$Sr濃度に関して本研究のAMS測定値とIAEAの公称値が一致したことから、AMSによる新規の高感度$$^{90}$$Sr分析は土壌や骨の高マトリクス試料に対しても信頼できることを示した。

論文

${it Neocalanus cristatus}$ (Copepoda) from a deep sediment-trap; Abundance and implications for ecological and biogeochemical studies

池上 隆仁*; 乙坂 重嘉*; 本多 牧生*; 喜多村 稔*; 三野 義尚*; 成田 尚史*; 小林 卓也

Frontiers in Marine Science (Internet), 9, p.884320_1 - 884320_11, 2022/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)

2011年8月5日から2013年6月23日の期間において日本の太平洋沖に設置したセディメントトラップで採取されたメソ動物プランクトンスイマー(沈降粒子ではなく、能動的にトラップに入ってきた動物プランクトン)の季節変動を解析した。スイマーのほとんどはNeocalanus cristatus(亜寒帯域を代表するカイアシ類で成長に伴い深層に潜る(季節的鉛直移動))と中深層に生息するメソ動物プランクトンであり、トラップの設置水深の動物プランクトン相をよく反映していた。観察されたNeocalanusの成長段階はすべて亜成体$$sim$$成体であることから、Neocalanusの個体数フラックスは季節的鉛直移動に伴う鉛直方向のフラックス(アクティブフラックス)と見なすことができる。Neocalanusのアクティブフラックスによる炭素輸送量を計算したところ、北太平洋の外洋域の沈降粒子による有機炭素フラックスに匹敵した。

論文

Developing accelerator mass spectrometry capabilities for anthropogenic radionuclide analysis to extend the set of oceanographic tracers

Hain, K.*; Martschini, M.*; G$"u$lce, F.*; 本多 真紀; Lachner, J.*; Kern, M.*; Pitters, J.*; Quinto, F.*; 坂口 綾*; Steier, P.*; et al.

Frontiers in Marine Science (Internet), 9, p.837515_1 - 837515_17, 2022/03

 被引用回数:11 パーセンタイル:96.12(Environmental Sciences)

Vienna Environmental Research Accelerator (VERA)における加速器質量分析(AMS)の最近の大きな進歩は、検出効率向上とアイソバー抑制向上であり、環境中の極微量の長寿命放射性核種を分析する可能性を開くものである。これらの核種は$$^{233}$$U, $$^{135}$$Cs, $$^{99}$$Tc及び$$^{90}$$Srであり、通常は安定して海水中に溶存していることから、海洋混合・循環や放射性物質の広がりを研究する海洋トレーサーへの適応が重要になる。特に、同位体比$$^{233}$$U/$$^{236}$$Uと$$^{137}$$Cs/$$^{135}$$Csは元素分別の影響を受けないため、放出源の特定に有力なフィンガープリントであることが我々の研究によって実証されている。検出効率の向上により、10Lの海水試料で主要長寿命アクチニド$$^{236}$$U, $$^{237}$$Np, $$^{239,240}$$Pu, $$^{241}$$Amに加え、非常に稀な$$^{233}$$Uを分析することが可能となり、北西太平洋におけるアクチノイドの典型的な深度プロファイルを得ることに成功した。特に$$^{90}$$Sr分析に関しては、IAEAの標準物質(例えばIAEA-A-12)を用いて我々の新しいアプローチが海洋学的研究へ応用可能であることを示した。我々の推定では、$$^{90}$$Srと$$^{135}$$Csそれぞれの分析に必要な海水はわずか(1-3)Lである。

論文

福島第一原子力発電所事故後10年間の陸域における$$^{129}$$Iの研究成果まとめ

本多 真紀

地球化学, 55(4), p.176 - 192, 2021/12

ヨウ素129 ($$^{129}$$I)は半減期1570万年で$$^{129}$$Xeに壊変する放射性核種である。地球環境中に存在する$$^{129}$$Iの分析を通じた研究は、惑星科学や地球科学の分野だけでなく、近年では原子力分野においても重要な役割を果たしている。特に2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故では、広範囲にわたる$$^{131}$$Iの分布及び土壌沈着量を推計し、事故初期の内部被ばく線量評価に貢献した。これは近年の$$^{129}$$I関連の研究における最も大きな研究成果の1つである。今後は、陸から河川への$$^{129}$$Iの移行や、海域での事故由来の$$^{129}$$Iの輸送メカニズムを解明する研究、水生生物等への濃縮を調査する研究が進んでいくと予想される。本稿では筆者が注力してきた研究(土壌中の$$^{129}$$Iの動態)を中心に、事故から10年間の様々な研究で得られた成果を報告する。

論文

$$^{60}$$Fe and $$^{244}$$Pu deposited on Earth constrain the r-process yields of recent nearby supernovae

Wallner, A.*; Froehlich, M. B.*; Hotchkis, M. A. C.*; 木下 哲一*; Paul, M.*; Martschini, M.*; Pavetich, S.*; Tims, S. G.*; Kivel, N.*; Schumann, D.*; et al.

Science, 372(6543), p.742 - 745, 2021/05

 被引用回数:40 パーセンタイル:96.93(Multidisciplinary Sciences)

鉄よりも重い元素の半分は、極短時間に無数の中性子を捕獲する過程(r過程)によって生成される。理論的研究によって、このr過程の物理的な条件や基礎課程は明らかになってきているが、その天体サイトと元素合成量に関してはいまだに議論の的で、超新星爆発や中性子星合体などが候補に挙がっている。我々のグループでは、太平洋で採取したマンガンクラスト試料から太陽系外起源の超微量の$$^{60}$$Fe(半減期260万年)と$$^{244}$$Pu(半減期8,060万年)を加速器質量分析で定量した。$$^{60}$$Feは主に巨大質量の星が爆発(超新星爆発)してその一生を終えるときに形成・放出される一方で、$$^{244}$$Puはr過程のみで生成される。$$^{60}$$Feの分析結果からは過去1,000万年の間に太陽系近傍で起こった2つの異なる重力崩壊型の超新星爆発による$$^{60}$$Feの地球への流入があったことが明らかになった。$$^{244}$$Pu/$$^{60}$$Feの流入比は、どちらの重力崩壊型の超新星爆発でも同様の値であった。$$^{244}$$Puの分析結果から求めた$$^{244}$$Puの地球への流入量は、超新星爆発がr過程を支配していると仮定した理論予想値よりも低かった。つまり本研究結果は、超新星爆発がr過程を支配しているのではなく、中性子星合体など他の寄与があることを示唆している。

論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:43 パーセンタイル:96.93(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

A Sensitive method for Sr-90 analysis by accelerator mass spectrometry

笹 公和*; 本多 真紀; 細谷 青児*; 高橋 努*; 高野 健太*; 落合 悠太*; 坂口 綾*; 栗田 沙緒里*; 佐藤 志彦; 末木 啓介*

Journal of Nuclear Science and Technology, 58(1), p.72 - 79, 2021/01

 被引用回数:8 パーセンタイル:71.58(Nuclear Science & Technology)

Strontium-90 ($$^{90}$$Sr) is one of the most important fission products due to the potential health risks of its uptake and retention in the human body. Conventional analysis techniques involve beta-counting, which requires ingrowth of $$^{90}$$Y over a period of two weeks or more. Accelerator mass spectrometry (AMS) has the potential to shorten the analysis time while offering a lower limit of detection than beta-counting. Here, Sr in samples was recovered as SrF$$_{2}$$ to provide sufficient negative ions in the caesium-sputtering ion source. In the sample preparation step, 95-98% of Sr was recovered and 99-100% of Zr removed by ion-exchange separation. Sr recovery was $$sim$$30% in the precipitation process, and this can be improved. The recovered $$^{90}$$Sr was mixed with PbF$$_{2}$$ at an SrF$$_{2}$$:PbF$$_{2}$$ weight ratio of 4:1. A maximum 500 nA beam current of Sr$$_{3}$$ ions was obtained from SrF$$_{2}$$ samples. A five-anode gas ionization detector was used to avoid isobaric interference from $$^{90}$$Zr. The $$^{90}$$Sr/Sr atomic ratio background of $$sim$$6 $$times$$ 10$$^{-13}$$ (equivalent to $$sim$$3 mBq $$^{90}$$Sr) was comparable with that achieved at other AMS facilities. Good linearity $$^{90}$$Sr/Sr atomic ratios was obtained from 1.75 $$times$$ 10$$^{-10}$$ to 3.38 $$times$$ 10$$^{-9}$$. Suitable techniques for sample preparation and measurement were thus achieved for $$^{90}$$Sr analysis by AMS.

論文

The Surface composition of asteroid 162173 Ryugu from Hayabusa2 near-infrared spectroscopy

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.

Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04

 被引用回数:259 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)

小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。

論文

福島原発周辺土壌中の$$^{36}$$Clの深度・蓄積量分布

太田 祐貴*; 末木 啓介*; 笹 公和*; 高橋 努*; 松中 哲也*; 松村 万寿美*; 戸崎 裕貴*; 本多 真紀*; 細谷 青児*; 高野 健太*; et al.

JAEA-Conf 2018-002, p.99 - 102, 2019/02

福島第一原子力発電所事故により放出された放射性核種に長寿命の$$^{36}$$Cl(半減期: 30.1万年)がある。$$^{36}$$Clは放射性廃棄物の処理の際に土壌中における高い移動能と相まって重要な核種である。しかし、土壌中では無機塩素(Clinorg)が有機塩素(Clorg)に変換・保持されることで、その移動の機構は不明である。本研究では、汚染地域の無機$$^{36}$$Clの深度分布を得ることで$$^{36}$$Clの動態を検討し、事故による$$^{36}$$Cl汚染の程度を検討した。また、5cm表土に含まれる$$^{36}$$Clについても検討した。2017年における深度分布では、$$^{36}$$Cl濃度は表層で最も高くなり、深度とともに緩やかに減少した。一方で、$$^{36}$$Cl/Clはほぼ一定(平均値: 3.24$$pm$$0.55 ($$times$$10$$^{-12}$$))の値を示した。事故前の$$^{36}$$Cl/Clと比べると$$^{36}$$Cl/Clの増加を示し、事故由来の$$^{36}$$Clは土壌3.6g/cm$$^{2}$$(=5cm深)より深く移動していることが分かった。

論文

NIRS3; The Near Infrared Spectrometer on Hayabusa2

岩田 隆浩*; 北里 宏平*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 荒井 武彦*; 荒井 朋子*; 平田 成*; 廣井 孝弘*; 本田 親寿*; 今栄 直也*; et al.

Space Science Reviews, 208(1-4), p.317 - 337, 2017/07

 被引用回数:54 パーセンタイル:71.62(Astronomy & Astrophysics)

C型小惑星リュウグウを目指す小惑星探査機ハヤブサ2に搭載された近赤外分光計NIRS3は1.8から3.2ミクロンまでの感度を持つ。NIRS3は小惑星の反射スペクトルを計測することで、3ミクロンバンドに現れる水に起因する吸収を検出することを目的としている。InAsフォトダイオードリニアイメージセンサと188Kでの動作を可能とする受動冷却システムによって、本分光計は十分な感度とダークノイズを達成できる。NIRS3フライトモデルは打ち上げ前に地上で性能評価実験が行われ、小惑星表面の水質変成度を決定できるだけのSN比があることが確認された。小惑星表面の計測では、小惑星の熱変性度や、炭素質コンドライトとの対応関係を明らかにできるだろう。

論文

福島原発事故由来の放射性物質が付着した海底堆積物の再懸濁と水平輸送過程

本多 牧生*; 乙坂 重嘉

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 58(4), p.225 - 228, 2016/04

2015年8月に公表された、福島第一原子力発電所の南東沖115kmにおけるセジメントトラップ実験結果に関する論文(Buesseler et al., 2015)の内容を中心として、福島沖合海底への放射性セシウムの沈降移動や、沿岸-沖合間の水平輸送機構について解説する。時系列セジメントトラップで観測した粒子態放射性セシウム沈降量は、海底から再懸濁したとみられる鉱物粒子の移動量とともに顕著に変化した。このことから、沈降粒子中の放射性セシウムは、海洋表層から鉛直的に沈降したものに加え、海底付近を沖合に向かって移動したものを多く含むことがわかった。特に、2013年秋季に観測された放射性セシウムの粒子束の増加は、福島沖を複数の台風が通過したことが原因であると推定された。ただし、海底における放射性セシウムの沈着量と、沖合海底への輸送量を比較した結果、沿岸域の海底に沈着した放射性セシウムの大部分は沿岸域に留まっており、沖合に移動する割合は年に1$$sim$$2%程度であると見積もられた。

論文

Tracking the fate of particle associated Fukushima Daiichi cesium in the ocean off Japan

Buesseler, K. O.*; German, C. R.*; 本多 牧生*; 乙坂 重嘉; Black, E. E.*; 川上 創*; Manganini, S. M.*; Pike, S.*

Environmental Science & Technology, 49(16), p.9807 - 9816, 2015/08

 被引用回数:22 パーセンタイル:55.84(Engineering, Environmental)

福島第一原子力発電所の115km南東の沖合の定点において、水深500m(上層)と1000m(下層)の2層にセジメントトラップを設置し、3年間にわたって沈降粒子を採取した。採取した沈降粒子は主に鉱物で構成されており、沈降粒子の多くは定点周辺の陸棚域の海底を起源としていると推測された。沈降粒子中の$$^{137}$$Cs/$$^{210}$$Pb比を福島周辺海域の堆積物の値と比較した結果、沈降粒子は水深120m以浅の陸棚上部と500m以深の陸棚斜面の2種類の堆積物で構成していることがわかった。本研究で観測した沈降粒子による放射性Csの輸送量は、同原子力発電所の100km東で観測した先行研究での値に比べて一桁高かった。この観測点による違いは、放射性Csを沈着した陸棚堆積物が、南東向きの底層流によって沖合へと運ばれたためと推測された。ただし、この陸棚-沖合間の放射性Csの水平輸送量は、陸棚上の堆積物中に存在する放射性Csのごく一部であることから、この過程が福島第一原子力発電所周辺の海底における放射性Csの蓄積量を急速に減少させる能力は低いと考えられる。

論文

X-ray absorption spectroscopy and novel electronic properties in heavy fermion compounds YbT$$_{2}$$Zn$$_{20}$$ (T: Rh and Ir)

本多 史憲*; 広瀬 雄介*; 三宅 厚志*; 水牧 仁一朗*; 河村 直己*; 筒井 智嗣*; 綿貫 徹; 渡辺 真仁*; 竹内 徹也*; 摂待 力生*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 592(1), p.012021_1 - 012021_5, 2015/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:72.17(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)

重い電子系化合物YbT$$_{2}$$Zn$$_{20}$$(T: Rh and Ir)について、X線吸収分光法によりYb価数観察を行った。いずれの化合物でもYb価数は温度依存性を示し、約100K以下で冷却とともにYb価数が減少する変化が見られた。これは、同型化合物であるYbCo$$_{2}$$Zn$$_{20}$$において温度依存性が見られないこととは対照的な結果である。

論文

Analysis of translocation and distribution of photoassimilates in eggplant fruit in relation to positions of the source leaves using the positron-emitting tracer imaging system

菊地 郁*; 河地 有木; 石井 里美; 鈴井 伸郎; 伊藤 小百合; 石岡 典子; 本多 一郎*; 藤巻 秀

JAEA-Review 2009-041, JAEA Takasaki Annual Report 2008, P. 105, 2009/12

In the eggplant cultivation, defoliation is normally used to prevent the disease and insect as well as raise the efficiency of light interception for efficient fruit production. However the general guideline for defoliation is not established yet because fundamental knowledge about effects of defoliation on the nutritional balance in individuals has hardly been obtained. For these reason, it is important to clarify the accumulation mechanism of the photoassimilates which is translocated from each leaf to the fruit in eggplant. Previously, we succeeded to observe translocation of $$^{11}$$C-labeled photoassimilates from a leaf into a fruit and established a method for the quantitative analysis of photoassimilates using the positron-emitting tracer imaging system (PETIS). PETIS can noninvasively visualize the movement of $$^{11}$$C-labeled photoassimilates in plants and repetitive analyses using one plant are possible due to the short half-life (20 min) of $$^{11}$$C. In this study, we analyzed translocation of photoassimilates from each of major leaves to a fruit, and estimated the contribution of the respective leaves to accumulation of photoassimilates in the fruit using $$^{11}$$CO$$_{2}$$ and PETIS.

論文

アルカリ性条件における炭素鋼の腐食に伴う硝酸イオンの化学的変遷挙動のモデル化

本田 明; 増田 薫*; 今北 毅*; 加藤 修*; 西村 務*

材料と環境, 58(5), p.182 - 189, 2009/05

放射性廃棄物を地下に処分したときの炭素鋼等の廃棄物含有金属と廃棄物に含有される硝酸イオンの化学的相互作用のモデル化を、混成電位の概念に基づき行った。炭素鋼の腐食に伴う硝酸イオンの還元反応は、硝酸イオン$$rightarrow$$亜硝酸イオン$$rightarrow$$アンモニアなる逐次反応と見なし、この反応による還元電流が、炭素鋼がマグネタイトになる酸化電流とバランスするとしてモデル化した。モデルの入力パラメータとして必要な炭素鋼表面での腐食に伴う水の還元反応速度及び硝酸イオンの還元過程の反応速度の反応速度式と速度パラメータを電気化学測定実験により決定した。またこれらのカソード反応と釣り合う炭素鋼の溶解反応(アノード反応)の速度式と速度パラメータはNO$$_{3}$$$$^{-}$$を含まない浸漬実験に基づき決定した。これらの速度式を組合せてモデル化を行った。本モデルを用いた解析により、硝酸イオン共存下における浸漬実験の結果を説明することができた。

論文

Visualization of photoassimilate translocation in eggplant fruit using $$^{11}$$CO$$_{2}$$ and a positron-emitting tracer imaging system

菊地 郁*; 石井 里美; 藤巻 秀; 鈴井 伸郎; 松橋 信平; 本多 一郎*; 河地 有木

JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 110, 2008/11

To clarify the mechanism of the growth and development of fruits such as eggplant and tomato in relation to plant growth and yield, examination of the import of dry matter into fruits from other organs such as leaves is essential. Positron-emitting tracer imaging system (PETIS) noninvasively visualizes movement of $$^{11}$$C-labeled photoassimilate in plants. So we fed $$^{11}$$CO$$_{2}$$ to a leaf and monitored the translocation of $$^{11}$$C-labeled photoassimilate into the eggplant fruit by PETIS.

論文

Real-time analysis of photoassimilate translocation in intact eggplant fruit using $$^{11}$$CO$$_{2}$$ and a positron-emitting tracer imaging system

菊地 郁*; 石井 里美; 藤巻 秀; 鈴井 伸郎; 松橋 信平; 本多 一郎*; 宍戸 良洋*; 河地 有木

Journal of the Japanese Society for Horticultural Science, 77(2), p.199 - 205, 2008/04

ナス果実の肥育のメカニズムを明らかにするために、$$^{11}$$CO$$_{2}$$をナス植物体の葉に与え、$$^{11}$$C-光合成産物が果実内部へ流入及び蓄積する様子をPETISによって計測した。得られた画像データから、光合成産物の果実への到達時間,転流速度及び転流率を算出した。その結果、光合成産物は葉から果実へ1時間前後で到達することが明らかとなった。また、果柄における$$^{11}$$Cの放射線強度変化に対して伝達関数法を用いて、転流速度を約1cm min$$^{-1}$$と算出した。さらに全$$^{11}$$C投与量に対する果実への移行量は約8%と算出された。果実内部における光合成産物の蓄積過程を観察した例はこれまでなく、PETISを用いた光合成産物の蓄積過程の計測は今後果実発達や成熟過程を理解するうえで有効な手段であると考えられる。

論文

Imaging of translocation and spatial distribution of the assimilated carbon and nitrogen in the host-root parasite system by PETIS

関本 均*; 河地 有木; 本田 修三*; 山口 良恵*; 加藤 翔太*; 米山 香織*; 藤巻 秀; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡辺 智; et al.

JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 124, 2008/03

ハマウツボ科の根寄生植物であるオロバンキは、クロロフィルを持たず、ホスト植物と養水分をシェアしながら生育する全寄生植物である。根寄生植物の生存では、ホスト植物の光合成産物及びホスト植物根からの吸収窒素の誘因・収奪・貯留が重要な栄養獲得戦略の一つと考えられる。そこで、オロバンキを寄生させた植物根系を作成し、ポジトロン放出核種N-13で標識した硝酸イオンあるいはアンモニウムイオンを投与し、根系及び茎葉部への硝酸イオンの移行と寄生植物による誘因・収奪と貯留の様子をPETISによる可視化を試みた。その結果、硝酸イオンの茎葉部への分配割合は、オロバンキ非寄生系と寄生系に差は見られなかったが、アンモニウムイオンの茎葉部への分配割合は、非寄生系では60%であったのに対し、寄生系では20%と著しく低下していることが明らかとなり、オロバンキ塊茎は硝酸イオンではなくアンモニウムイオンを選択的に収奪していることが示唆された。

42 件中 1件目~20件目を表示