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遠藤 由大*; 深谷 有喜; 望月 出海*; 高山 あかり*; 兵頭 俊夫*; 長谷川 修司*
Carbon, 157, p.857 - 862, 2020/02
被引用回数:18 パーセンタイル:78.62(Chemistry, Physical)本研究では、全反射高速陽電子回折を用いて、Ca挿入2層グラフェン超伝導体の原子配置を明らかにした。構造解析の結果、Ca原子は、従来予想されていたグラフェン間ではなく、2層グラフェンの直下に挿入されることが判明した。電気伝導測定では、この原子配置においてのみ超伝導転移(4K)を示すことも明らかにした。今回の結果は、Ca挿入2層グラフェンにおける原子配置と超伝導発現の相関を初めて明らかにした成果である。
深谷 有喜; 河裾 厚男*; 一宮 彪彦*; 兵頭 俊夫*
Journal of Physics D; Applied Physics, 52(1), p.013002_1 - 013002_19, 2019/01
被引用回数:11 パーセンタイル:19.98(Physics, Applied)最近、物質の表面構造を調べることを目的に、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を開発した。TRHEPD法は反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。入射する視射角に依存して、陽電子は物質表面で全反射もしくは、表面下数層に徐々に侵入する特徴がある。したがって、深いバルクからの影響なしに、最表面およびその直下の構造についての情報を得ることができる。本レビュー論文では、TRHEPDの特徴と固体表面および2次元物質の構造決定に適用した例について報告する。
兵頭 俊夫*; 和田 健*; 望月 出海*; 木村 正雄*; 峠 暢一*; 設楽 哲夫*; 深谷 有喜; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 飯田 進平*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012003_1 - 012003_8, 2017/02
被引用回数:3 パーセンタイル:77.44本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設(SPF)で得られた最近の成果を報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)実験では、ルチル型TiO(110)(
)表面、Cu(111)およびCo(0001)基板上のグラフェン、Al(111)基板上のゲルマネンの構造を明らかにした。ポジトロニウム負イオン(Ps
)ステーションでは、Ps
の共鳴状態の観測に成功した。ポジトロニウム飛行時間測定(Ps-TOF)ステーションでは、ポジトロニウムの生成効率の増大とポジトロニウム生成・放出過程におけるエネルギー損失を観測した。陽電子ビームラインにパルスストレッチングセクションが導入され、陽電子ビームのパルス幅が1.2
sから20msまで可変になった。
深谷 有喜; 松田 巌*; Feng, B.*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 社本 真一
2D Materials (Internet), 3(3), p.035019_1 - 035019_7, 2016/09
被引用回数:44 パーセンタイル:82.6(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、アルミニウム基板上のゲルマネン(グラフェンのゲルマニウム版)の構造決定を行った。測定した回折スポット強度の非対称性から、ゲルマネンの構造が方向に対して鏡面対称性を持たないことがわかった。動力学的回折理論に基づく強度解析から、単位格子当たり1個のゲルマニウム原子が真空側に突出する非対称な構造であることがわかった。これは、これまでに提案されている2個のゲルマニウム原子が突出した対称的な構造モデルとは異なる。これまでに報告された他の実験結果は、今回決定した構造モデルにより説明可能である。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 兵頭 俊夫*
表面科学, 37(9), p.451 - 456, 2016/09
本論文では、30年間構造が確定しなかった、触媒の担体として知られるルチル型の二酸化チタン表面の構造解析について報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いて、陽電子の回折スポット強度の視射角依存性の測定および、動力学的回折理論に基づく強度解析を行った。その結果、最近Wangらが理論的に提唱した構造モデルを用いると実験結果をよく説明できることがわかった。
深谷 有喜; 圓谷 志郎; 境 誠司; 望月 出海*; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 社本 真一
Carbon, 103, p.1 - 4, 2016/07
被引用回数:19 パーセンタイル:58.51(Chemistry, Physical)本研究では、全反射高速陽電子回折法を用いて、貴金属および遷移金属基板上のグラフェンの構造を調べた。動力学的回折理論に基づく構造解析から、CuおよびCo基板上のグラフェンの高さをそれぞれ3.34および2.06
と決定した。Cu基板上のグラフェンの高さはグラファイトの層間距離に近く、グラフェン・Cu基板間の相互作用は非常に弱いことがわかった。一方、Co基板上のグラフェンの高さは、Cu基板上のものに比べ1
以上も低く、Co基板上のグラフェンは基板と強く相互作用していることが実験的に確かめられた。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 設楽 哲夫*; 朝倉 清高*; 兵頭 俊夫*
Physical Chemistry Chemical Physics, 18(10), p.7085 - 7092, 2016/03
被引用回数:17 パーセンタイル:65.04(Chemistry, Physical)本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、30年来議論が続くルチル型の二酸化チタン表面の原子配置を決定した。陽電子の反射強度の入射角依存性を測定し、様々な構造モデルを仮定した計算結果との比較を行った。構造解析の結果、OnishiとIwasawaが提唱した構造モデルに最表面の酸素原子の非対称性を取り入れることにより、実験結果をよく説明できることがわかった。
深谷 有喜; 兵頭 俊夫*
放射線と産業, (139), p.13 - 17, 2015/12
物質の諸性質は構成原子の種類と配置で決まる。バルクの物質の原子配置はX線回折で確定され、その他の機能や性質はそれぞれ適切な他の手段で測定される。すなわち、構造解析と機能解析は物質研究の独立な二本柱である。固体表面についても、構造解析と電子状態や機能の解析は独立な二本柱のはずであるが、残念ながら、構造解析の決定版が存在しない。X線や電子線の回折は、バルク部分も同時に見てしまうので、その部分の構造も同時に決めなくてはならない難しさがある。これに対して、電子の反粒子である陽電子の回折は、最表面と表面直下双方の原子配置に敏感であり、しかも、表面から注目する深さより深い領域からのバックグラウンドを含まないという、際だった特徴がある。このため、表面科学における二本柱のうち、構造解析を担う決定版となる可能性が高い。本稿では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を中心に、表面研究における陽電子回折法の有用性を議論する。
深谷 有喜; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 望月 出海*; 和田 健*; 設楽 哲夫*; 一宮 彪彦*; 兵頭 俊夫*
Applied Physics Express, 7(5), p.056601_1 - 056601_4, 2014/05
被引用回数:18 パーセンタイル:62.82(Physics, Applied)本研究では、全反射条件下におけるSi(111)-再構成表面からの反射高速陽電子回折(RHEPD)パターンが、結晶内部のバルク原子からの寄与を含まないことを報告する。このことは、バルク原子を含む通常の試料の測定においても、最表面原子の情報のみを反映した回折パターンを観測可能であることを意味する。
深谷 有喜; 前川 雅樹; 望月 出海*; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 河裾 厚男
Journal of Physics; Conference Series, 505, p.012005_1 - 012005_6, 2014/04
被引用回数:1 パーセンタイル:52.51反射高速陽電子回折(RHEPD)は、陽電子の全反射が存在するため、最表面を研究する上で非常に有力な手法である。全反射条件下では、陽電子の結晶表面への侵入深さは約0.2nmと見積もられる。この深さは、1-2原子層分に相当する。したがって、RHEPDは表面敏感であり、最表面の原子配置を精度よく決定することができる。本講演では、Na線源を用いたRHEPD実験により明らかにした2つの表面系を取り上げる。1つはSi(111)-
-In表面でありロッキング曲線の解析から、基底構造がヘキサゴン構造から構成されることを明らかにした。もう1つはSi(111)-
-Ag表面であり、パターン解析から最表面のAg原子の配置を明らかにした。最近、我々は高エネルギー加速器研究機構(KEK)の低速陽電子実験施設にて、電子線形加速器を用いて発生した高強度・高輝度陽電子ビームを利用した新たなRHEPD装置を開発した。全反射条件下におけるSi(111)-
表面からの微弱な分数次の回折スポットの観測に成功した。この新たなRHEPD装置を用いた最表面構造解析の展開についても報告する。
兵頭 俊夫*; 深谷 有喜; 前川 雅樹; 望月 出海*; 和田 健*; 設楽 哲夫*; 一宮 彪彦*; 河裾 厚男
Journal of Physics; Conference Series, 505(1), p.012001_1 - 012001_5, 2014/04
被引用回数:7 パーセンタイル:92.14反射高速陽電子回折(RHEPD)は1992年に提唱され、1998年に初めて実証された。それ以来、RHEPDは表面科学の分野へ多くの寄与を果たしている。最近、原子力機構のRHEPD装置を高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設に移設し、輝度増強した高強度陽電子ビームラインへの接続を行った。この陽電子ビームの高強度化により、鮮明なRHEPDパターンが得られるようになった。Si(111)-表面をテスト試料として用い、RHEPDパターンの観測を行った。陽電子のエネルギーは10kVに設定した。このエネルギーでは、全反射の臨界角は2
となる。全反射条件下の視射角1.3
で観測したRHEPDパターンは、計算結果と非常によく一致することが分かった。全反射したRHEPDパターンは、本質的に付着原子と表面第一層の原子だけで決定できることも分かった。この手法により、最表面から内部へ向かった表面近傍の構造解析が可能である。我々はこの手法を全反射陽電子回折法と呼ぶ。
深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 松田 巌*; 河裾 厚男
Physical Review B, 88(20), p.205413_1 - 205413_4, 2013/11
被引用回数:63 パーセンタイル:91.19(Materials Science, Multidisciplinary)電子線形加速器ベースの輝度増強された高強度の陽電子ビームを用いた反射高速陽電子回折法により、Ag(111)表面上のシリセンの構造を決定した。ロッキング曲線の解析から、シリセンはバックリングした構造を持つことが明らかになり、その上層と下層の間隔は0.83であることが分かった。またシリセンの下層と第一Ag層の間隔は、2.14
と決定した。これらの値は、0.05
の誤差範囲内で、以前の理論研究により予測されていた値とよく一致することが分かった。
深谷 有喜; 前川 雅樹; 望月 出海; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 河裾 厚男
Journal of Physics; Conference Series, 443(1), p.012068_1 - 012068_6, 2013/06
被引用回数:12 パーセンタイル:96.8結晶表面上に異種原子を吸着させることにより、バルク構造とは異なったさまざまな表面超構造を作製することが可能である。これらの表面超構造は、パイエルス不安定性、モット絶縁化、バイポーラロン形成、ラシュバ効果などさまざまな興味深い物性を示す。この物性を理解するには、表面超構造の原子配置の決定が最も基本的かつ重要なことである。反射高速陽電子回折(RHEPD)は、表面第一層で全反射が起こるため、表面敏感なツールである。最表面構造とその動的過程を調べるために、われわれはNa線源を用いたRHEPD装置を開発した。最近、われわれは高エネルギー加速器研究機構(KEK)の低速陽電子施設において、リニアックにより発生した高強度陽電子ビームを利用した新しいRHEPD装置の開発に展開している。現在、これまで捉えることのできなかった表面超構造に由来する高次の回折スポットの観察に成功している。本発表では、これまでのRHEPD実験の成果と今後の発展について報告する。
望月 出海; 深谷 有喜; 河裾 厚男; 矢治 光一郎*; 原沢 あゆみ*; 松田 巌*; 和田 健*; 兵頭 俊夫*
Physical Review B, 85(24), p.245438_1 - 245438_6, 2012/06
被引用回数:19 パーセンタイル:62.9(Materials Science, Multidisciplinary)走査型トンネル顕微鏡,反射高速陽電子回折,角度分解光電子分光を用いてGe(001)表面上のPt吸着ナノワイヤーの原子配置と相転移について調査した。理論計算から提案されていた、頂上のGeダイマー鎖が2層目のPt列を架橋するよう配置したモデルが基本構造であることがわかった。低温(80K以下)では、Geダイマーは表面垂直方向に交互に傾き(asymmetric)、このためp(44)周期が形成される。高温(110K以上)では、それらのGeダイマーは水平(asymmetric)になり、p(4
2)周期が形成される。この相転移現象において、Geダイマー鎖に起因した電子状態は、電子エネルギー的に深く分散していたものが、Fermi準位近傍まで上昇する。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 柳下 明*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 設楽 哲夫*; 満汐 孝治*; 立花 隆行*; 長嶋 泰之*; 深谷 有喜; et al.
European Physical Journal D, 66(2), p.37 - 40, 2012/02
被引用回数:37 パーセンタイル:86(Optics)本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。はじめに、低速陽電子ビームを生成するためのコンバータ・モデレータアッセンブリの改良を行った。具体的には、コンバータ・モデレータのフレームをタンタルで作製し、モデレータ内部ではタングステン薄膜を井桁状に2セット組み、2段に配置した。この改良により、低速陽電子のビーム強度が以前のものに比べて一桁増大するに至った。この高強度陽電子ビームを用いて、二つの新たな研究が進展した。一つは、ポジトロニウム負イオンの光脱離実験を行い、レーザーによるポジトロニウムの中性化に成功した。二つ目は、反射高速陽電子回折(RHEPD)装置を開発し、これまでの線源法に比べて5-10倍の反射強度を得ることに成功した。今後、両実験のさらなる発展が見込まれる。
平出 哲也; 鈴木 直毅*; 斎藤 文修*; 兵頭 俊夫*
Physica Status Solidi (C), 4(10), p.3714 - 3717, 2007/09
被引用回数:6 パーセンタイル:82.86分子性固体中では、低温において捕捉電子と自由電子によるポジトロニウム形成が起こる。従来考えられてきた陽電子の運動エネルギーによる吸熱反応を伴うOre過程によるポジトロニウム形成,あるいは入射陽電子自体が引き起こすイオン化により生じる過剰電子がもたらすスパー過程によるポジトロニウム形成の機構は、いずれも「速い反応」である。しかし、最近、われわれが見いだした捕捉電子と自由陽電子から生じるポジトロニウムは、陽電子の入射後ある程度時間が経ってから生じることが予測され、われわれはこの遅延ポジトロニウム形成を、消滅寿命と消滅時の運動量の相関を測定することで実験的に検証した。今回、われわれは、測定で得られた寿命-運動量の相関に基づき、陽電子反応モデルの特定を試みた。すなわち、Ore過程やスパー過程による「速い」ポジトロニウム形成を逃れた自由陽電子が、その後でポジトロニウムを形成する場合には、自由陽電子の局在化を考慮するモデルが妥当との結果が得られた。これにより、寿命-運動量の相関をうまく説明できた。
鈴木 直毅*; 平出 哲也; 斎藤 文修*; 兵頭 俊夫*
Radiation Physics and Chemistry, 68(3-4), p.647 - 649, 2003/10
被引用回数:23 パーセンタイル:81.42(Chemistry, Physical)1980年台からいろいろな物質中で低温で陽電子消滅寿命測定を行うとポジトロニウム形成が増加する現象が見られてきた。1998年、平出らはこれを低温で陽電子の照射効果によって形成される捕捉電子と自由陽電子との反応であると説明し、予測されるいろいろな現象を実験で確かめ、従来の間違った解釈を改めた。われわれはさらに、今回、予測されていた、遅れて起こるポジトロニウム形成を、陽電子寿命-運動量相関測定(AMOC)により確認することに成功したので、その結果について報告する。
平出 哲也; 鈴木 直毅*; 斎藤 文修*; 兵頭 俊夫*
no journal, ,
低温域(-50C以下)では多くの物質中で分子運動が凍結され、電離の際に放出された電子は0.5
3eV程度で束縛され長時間安定に存在できる。このような物質中に入射された陽電子は通常のスパー(放射線がエネルギーを付与することで形成される活性種が集まった領域)内過程によってポジトロニウム形成するが、この過程を逃れた陽電子は、その後拡散する過程で弱く束縛された電子を捕まえることによりさらにポジトロニウム形成が可能となる。この過程は通常のポジトロニウム形成に比べ比較的遅く起こることを実験により示してきた。今回、これら実験データを物質中における陽電子の局在化も考慮し、解析を試みた。その結果、ポリエチレン中、20Kにおいて陽電子は数十ピコ秒程度で局在し、拡散できなくなることがわかった。
深谷 有喜; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 河裾 厚男
no journal, ,
反射高速陽電子回折(RHEPD)法は、10-20keVのエネルギーの陽電子ビームを物質表面に低角度で入射させ、回折した陽電子の強度分布を観測する手法である。RHEPDでは、陽電子がプラスの電荷を持つことにより、最表面で全反射回折を起こすことが最大の特徴である。この全反射回折を利用すると、最表面の原子配列や熱振動状態をバルクの影響なしに知ることができる。この有用性を実証するために、われわれはNa陽電子線源を用いてRHEPD装置の開発を行ってきた。本研究の目的は、高エネルギー加速器研究機構の低速陽電子実験施設において、高輝度の陽電子ビームを用いたRHEPD実験を行うことである。従来の線源を用いたRHEPD実験では困難であった、表面超構造による微弱な回折スポットを観測することにより、表面原子配置の詳細な決定や表面相転移の研究を行う。本研究では、低速陽電子実験施設の実験ステーションに自作したビームポートを接続し、ガイド磁場から解放された陽電子ビームの特性評価を行った。その後、ビームポートに超高真空チャンバーを設置し、回折パターンの観察とロッキング曲線の測定を行った。Si(111)-7
7表面からのRHEPDパターン観察においては、7
7超構造に付随する多数の分数次スポットを観察することができた。さらに、ロッキング曲線の測定においては、強度のばらつきが非常に小さく、高次のブラッグピークも明瞭に現れた。
和田 健*; 兵頭 俊夫*; 柳下 明*; 池田 光男*; 大澤 哲*; 設楽 哲夫*; 満汐 孝治*; 鈴木 亮平*; 立花 隆行*; 長嶋 泰之*; et al.
no journal, ,
KEK低速陽電子実験施設の最近の進展について報告する。はじめに、低速陽電子ビームを生成するためのモデレーター・コンバーターの交換を行った。コンバーターとモデレーターのフレームをタンタルで作製した。モデレーターは、25m厚のタングステン薄膜を井桁状に2セット組み、2段に配置した。モデレーター・コンバーター交換前後の低速陽電子ビームの強度を比較したところ、毎秒7
10
個に増大した。続いて、陽電子ビームを用いた物性研究として、以下の2つの実験が進展した。ポジトロニウム負イオンの実験に関しては、アルカリ金属を蒸着したタングステン表面から、ポジトロニウム負イオンが高い効率で生成することがわかった。さらに、短パルス陽電子ビームとレーザーを用いて、ポジトロニウム負イオンの光脱離実験を行い、エネルギーが揃ったポジトロニウムを取り出すことに成功した。また、KEK低速陽電子実験施設のビームラインに反射高速陽電子回折(RHEPD)実験装置を設置し、RHEPD実験を開始した。Si(111)-7
7表面超構造の陽電子回折パターンの観察に成功し、ばらつきが非常に小さいロッキング曲線の測定にも成功した。現状で、5-10倍の反射強度を得ている。今後は、さらなるビーム強度の増大及び実際の表面超構造物性の研究に展開させる。