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報告書

幌延深地層研究計画における地下施設での調査研究段階; (第3段階: 必須の課題2015-2019年度)研究成果報告書

中山 雅; 雑賀 敦; 木村 駿; 望月 陽人; 青柳 和平; 大野 宏和; 宮川 和也; 武田 匡樹; 早野 明; 松岡 稔幸; et al.

JAEA-Research 2019-013, 276 Pages, 2020/03

JAEA-Research-2019-013.pdf:18.72MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」、「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。原子力機構の第3期中長期計画では、本計画について、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証に重点的に取り組む。また、平成31年度末までに研究終了までの工程やその後の埋戻しについて決定する。」としている。本稿では、第3期中長期計画期間のうち、平成27年度から令和1年度までの地下施設での調査研究段階(第3段階)における調査研究のうち、原子力機構改革の中で必須の課題として抽出した(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証、の3つの研究開発課題について実施した調査研究の成果を取りまとめた。

論文

Research on hydrogen safety technology utilizing the automotive catalyst

大野 瞳*; 竹中 啓恭*; 喜多 知輝*; 谷口 昌司*; 松村 大樹; 西畑 保雄; 日野 竜太郎; Reinecke, E.-A.*; 高瀬 和之*; 田中 裕久*

E-Journal of Advanced Maintenance (Internet), 11(1), p.40 - 45, 2019/05

Safety management technology of hydrogen gas is extremely important not only for nuclear power generation but also for future society. A brand-new passive autocatalytic recombiner (PAR) system utilizing the monolithic "intelligent catalyst" has been studied for the long-term storage of high-concentration radioactive materials related to the decommissioning of nuclear reactors. The monolith-type automotive catalyst showed high hydrogen conversion activity from a room temperature in a large scale reactor of REKO-4. It became clear that natural convection by reaction is greatly improved by roughening the cell density of the monolith catalyst especially under static environmental conditions such as in a storage container. Taking advantage of this superior catalytic property, we aim to complete the safety technology for storage containers at an early stage and advance the development of highly active catalyst from further low temperature.

論文

各種環境での電気化学測定; 原子力II(地層処分)深部地下環境における炭素鋼の腐食モニタリング

谷口 直樹; 中山 雅

材料と環境, 67(12), p.487 - 494, 2018/12

高レベル放射性廃棄物の地層処分における炭素鋼オーバーパックについて、深部地下環境における腐食挙動のモニタリング手法と測定事例の現状を概説する。交流インピーダンス法を用いた室内試験による腐食モニタリングに関する研究事例より、電極配置などの測定系の代表例を紹介する。また、地下研究施設における工学的スケールでの原位置試験において腐食モニタリングが試みられており、その方法と現状の測定結果について述べる。

論文

原子力分野における知識マネジメントの適応

樽田 泰宜; 柳原 敏*; 井口 幸弘; 北村 高一; 手塚 将志; 香田 有哉

知識共創(インターネット), 8, p.IV 2_1 - IV 2_12, 2018/08

原子力知識マネジメント(NKM)は2002年にIAEAが組織力の強化という文脈で原子力知識の重要性を勧告したことから始まる。IAEAの提案するNKMに対しては理論的な側面は十分に検討されていない点や、主要な概念や手法などが十分に定義されておらず科学的な一貫性が欠如しているという指摘がある(Kanke 2016)。例えば、原子炉施設のライフサイクルには設計、建設、運転、廃止(措置)がある。NKMというアイデアは、炉の情報・歴史を保存、次の炉での活用、廃止措置段階で過去情報へのアクセス、課題解決や新しい知識の創造といった側面で有効に機能するであろう。しかし、2002年当初は原子力知識の強化という文脈であり、そこに管理(management)という文脈を付加したような情報管理に傾注する傾向があり、KMという知識の創造が十分に研究されていない。また、Kankeが指摘するように理論的側面には議論の余地が多く残されている。本研究ではKM分野の学術の裾野の拡張を射程とし、今後の原子力分野における知識マネジメントの位置づけを明確化することでNKMを発展させることを目的に、システム科学的な視点で検討すべき課題を整理及び同定し、NKM研究の議論を深める。

論文

Research concept of decommissioning knowledge management for the Fugen NPP

樽田 泰宜; 柳原 敏*; 井口 幸弘; 北村 高一; 手塚 将志; 香田 有哉

Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 6 Pages, 2018/07

2002年、IAEAは原子力の知識、技術、応用の強化の重要性について言及した。この背景には原子力に係わる職員の高齢化や原子力を学ぶ場の減少が指摘されている。こうした中、原子力知識マネジメント(NKM)と呼ばれる新しい研究分野が立ち上がり、原子力知識や情報の管理としてデータベースの開発が進められている。一方、日本の原子力施設では、運転経験者の退職やそれによる知識・技能の喪失が指摘されている。そこで、本研究では、過去の情報・知識を利用するためのプロトタイプ・データベースシステムを提案する。廃止措置の完了例は、日本ではJPDRが1件のみであり事例は多くはない。そのため大型水炉として初の事例である「ふげん」を対象とする。本研究のプロトタイプ開発から、過去のデータを準備するだけでは十分でない点を指摘した。これは、どのような情報を収集すべきか、そしてそれをいかにして活用すべきか、といった点に関して議論が十分になされていないためである。つまり、既存の情報の活用として運転時代の知識は重要であるものの、廃止措置はそれとは異なるタスクであり、収集された情報をそのまま使用することは必ずしも適切ではないのである。

論文

${{it In situ}}$ X-ray absorption spectroscopy study on water formation reaction of palladium metal nanoparticle catalysts

松村 大樹; 谷口 昌司*; 田中 裕久*; 西畑 保雄

International Journal of Hydrogen Energy, 42(11), p.7749 - 7754, 2017/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:82.66(Chemistry, Physical)

Proper management of hydrogen gas is extremely important for the safety security of nuclear power plants. Hydrogen removal by the water formation reaction on a catalyst is one of the candidates for creating hydrogen safety system. We observed in situ and real-time-resolved structure change of palladium metal nanoparticles during the water formation reaction by using X-ray absorption spectroscopy technique. The effect of carbon monoxide poisoning on catalytic activity was also studied. We have found that the creation of oxidized surface layer on palladium metal nanoparticles plays an important role of the water formation reaction process.

論文

Development of new type passive autocatalytic recombiner, 1; Experimental study on degradation of catalyst

上地 優; 松村 大樹; 谷口 昌司*; 西畑 保雄; 田中 裕久*; 平田 慎吾*; 原 未来也; 日野 竜太郎

Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 4 Pages, 2015/05

原子力発電所の過酷事故時においては、多量の水素が格納容器又は原子炉建屋へ放出される可能性がある。受動的触媒式再結合器(PAR)は、水素濃度緩和と安全な自己管理の最も有効な手段の一つである。既存のPARの性能向上のため、特に重量やサイズに着目した新形式のPARの開発を進めているところである。本研究では、自動車触媒の活性に対する水蒸気共存の影響について実験的な検討を実施した。その結果、水蒸気は、触媒反応の開始をわずかに遅らせる傾向があるものの、定常的な影響はないことを明らかにした。

論文

Towards optimizing the performance of self-regenerating Pt-based perovskite catalysts

Jarrige, I.*; 石井 賢司; 松村 大樹; 西畑 保雄; 吉田 雅洋*; 岸 浩史*; 谷口 昌司*; 上西 真里*; 田中 裕久*; 笠井 秀明*; et al.

ACS Catalysis, 5(2), p.1112 - 1118, 2015/02

 被引用回数:11 パーセンタイル:59.75(Chemistry, Physical)

Self-regenerating automotive catalysts owe their remarkable performance to the repeated motion of the precious metal atoms in and out of the perovskite lattice under fluctuating oxidizing and reducing conditions, preventing coalescence of the metal nanoparticles. Here we use resonant inelastic X-ray scattering to characterize the occupied and unoccupied Pt 5d states in two self-regenerating Pt-perovskite catalysts, CaTi$$_{0.95}$$Pt$$_{0.05}$$O$$_3$$ and CaZr$$_{0.95}$$Pt$$_{0.05}$$O$$_3$$. Upon reduction, the element and symmetry-specific charge excitation spectra reveal a sizeable hybridization between the Pt 5d and the Ti 3d or Zr 4d states at the interface between the nanoparticles and the perovskite, which involves the occupied states and is thus invisible in X-ray absorption spectra. A correlation is found between the strength of this d-band hybridization and the proportion of Pt nanoparticles that remain buried below the surface during reduction, indicating that the motion of the Pt atoms towards the surface is hindered by this hybridization specifically, rather than by the Pt-O bonding. These results provide direct evidence that the strength of the metal-metal d-band hybridization plays a pivotal role in determining the efficiency of self-regeneration in perovskite catalysts.

論文

Development of new type passive autocatalytic recombiner, 1; Characterization of monolithic catalyst

上地 優; 谷口 昌司*; 西畑 保雄; 永石 隆二; 田中 裕久*; 平田 慎吾*; 原 未来也; 日野 竜太郎

Proceedings of 2nd International Conference on Maintenance Science and Technology (ICMST-Kobe 2014), p.87 - 88, 2014/11

原子炉におけるSAMのひとつである水素影響緩和のため、新形式の静的触媒式再結合器が開発されている。これは、重量削減や水素処理性能、環境耐性及び製品品質の向上のため、自動車用のモノリス担体触媒をもとに開発が進められている。本研究では、触媒の基本性能を明らかにするため水素再結合反応における活性化エネルギーを評価した。また、$$gamma$$線照射による劣化に関する評価も併せて実施した。実験結果から、量論組成ガス供給において、活性化エネルギーは5.7kJ/molと算出された。また、1.0MGyまでの$$gamma$$線照射では、劣化が生じることはなく、むしろ触媒活性を増加させる効果があることが分かった。

論文

Measurement of 100- and 290-MeV/A carbon incident neutron production cross sections for carbon, nitrogen and oxygen

執行 信寛*; 魚住 祐介*; 上原 春彦*; 西澤 知也*; 水野 貴文*; 高宮 大義*; 橋口 太郎*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; et al.

Nuclear Data Sheets, 119, p.303 - 306, 2014/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Nuclear)

重粒子線がん治療は、他の放射線治療に比べて正常部位への影響が小さいなどの利点により、近年注目を集めている。この治療では、患者の体内に入射した重イオンによる核反応で、中性子, $$gamma$$線等の二次放射線が生成される。治療施設の放射線安全設計のためには、二次放射線の生成量や角度分布を把握することが重要である。そこで、放射性医学総合研究所HIMAC加速器で、重粒子線がん治療に利用される290MeV/Aと体内での減速を想定した100MeV/Aの炭素ビームを用い、生体を構成する炭素,窒素及び酸素からの中性子生成断面積の実験データを15度から90度の角度領域で取得した。炭素ビームを入射するターゲットは、固体の炭素、アルミニウム化合物(窒化アルミニウム,酸化アルミニウム)及びアルミニウムで構成した。窒素及び酸素の断面積データは、アルミニウム化合物に対するデータから、アルミニウム単体によるデータを差し引き導出した。検出効率をSCINFUL-QMDコードで値づけた液体有機シンチレータ(NE213)を用いて中性子を検出し、運動エネルギーは飛行時間法(TOF)で求めた。取得した実験データと粒子・重イオン輸送計算コードPHITSの計算値との比較から、PHITSの核反応模型の精度を検証し、PHITSの重粒子線がん治療施設における放射線安全設計への応用についても議論する。

論文

Switching of intra-orbital spin excitations in electron-doped iron pnictide superconductors

飯村 壮史*; 松石 聡*; 宮川 仁*; 谷口 尚*; 鈴木 雄大*; 臼井 秀知*; 黒木 和彦*; 梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘; et al.

Physical Review B, 88(6), p.060501_1 - 060501_5, 2013/08

 被引用回数:24 パーセンタイル:22.98(Materials Science, Multidisciplinary)

We investigate the doping dependence of the magnetic excitations in two-superconducting-dome-system LaFeAsO$$_{1-x}$$D$$_{x}$$. Using inelastic neutron scattering, spin fluctuations at different wavenumbers were observed under both superconducting domes around $$x = 0.1$$ and 0.4, but vanished at $$x = 0.2$$ corresponding to the $$T_c$$ valley. Theoretical calculations indicate that the characteristic doping dependence of spin fluctuations is rationally explained as a consequence of the switching of the two intra-orbital nestings within Fe-3$$d_{YZ, ZX}$$ and 3$$d_{X^2-Y^2}$$ by electron doping. The present results imply that the multi-orbital nature plays an important role in the doping and/or material dependence of the $$T_{c}$$ of the iron pnictide superconductors.

論文

Perpendicular magnetic anisotropy with enhanced orbital moments of Fe adatoms on a topological surface of Bi$$_2$$Se$$_3$$

Ye, M.*; 黒田 健太*; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 岡本 和晃*; Zhu, S.-Y.*; 白井 開渡*; 宮本 幸治*; 有田 将司*; 仲武 昌史*; et al.

Journal of Physics; Condensed Matter, 25(23), p.232201_1 - 232201_5, 2013/06

 被引用回数:10 パーセンタイル:48.91(Physics, Condensed Matter)

トポロジカル絶縁体に磁性元素を入れると絶縁体表面に対して垂直方向に強磁性が発現するという理論研究があり、その実現は新しいスピントロにクス技術への足がかりになるものと期待されている。本研究では、トポロジカル絶縁体Bi$$_2$$Se$$_3$$の表面にFeを蒸着し、その磁性をFe L$$_{2,3}$$吸収端における軟X線磁気円二色性で、電子状態を角度分解光電子分光を用いて調べた。磁気円二色性実験ではFeの膜厚依存性、試料表面に対する角度依存性測定も行った。その結果、いずれのFe膜厚(0.013-0.9ML)においても強磁性発現は確認できなかったものの、試料表面に垂直方向に磁気モーメントが向く強い磁気異方性を持った常磁性状態が確認された。また軌道磁気モーメントがFe膜厚の小さい試料において増大し、スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントの比率が強い膜厚依存性を示すこともわかった。この結果はトポロジカル絶縁体に対する磁性元素の量を調節することにより、磁性及び量子輸送現象を制御できる可能性を示すものである。

論文

A Theoretical study of the reactivity of Cu$$_{2}$$O(111) surfaces; The Case of NO dissociation

岸 浩史*; Padama, A. A. B.*; Arevalo, R. L.*; Moreno, J. L. V.*; 笠井 秀明*; 谷口 昌司*; 上西 真里*; 田中 裕久*; 西畑 保雄

Journal of Physics; Condensed Matter, 24(26), p.262001_1 - 262001_5, 2012/07

 被引用回数:6 パーセンタイル:67.12(Physics, Condensed Matter)

NO分子解離に関するCu(111)とCu$$_{2}$$O(111)表面の電子状態を密度汎関数理論を用いた第一原理計算で比較した。NO分子の解離吸着反応の活性点として3回対称性のある銅原子及び酸素原子について注目した。銅原子と酸素原子の相互作用により、活性障壁が消失し、フェルミ準位直上に非占有状態が生じる。これらの知見はNO還元反応のための脱貴金属触媒の実現に向けて重要である。

論文

NO dissociation on Cu(111) and Cu$$_{2}$$O(111) surfaces; A Density functional theory based study

Padama, A. A. B.*; 岸 浩史*; Arevalo, R. L.*; Moreno, J. L. V.*; 笠井 秀明*; 谷口 昌司*; 上西 真里*; 田中 裕久*; 西畑 保雄

Journal of Physics; Condensed Matter, 24(17), p.175005_1 - 175005_6, 2012/05

 被引用回数:30 パーセンタイル:21.82(Physics, Condensed Matter)

Cu(111)表面とCu$$_{2}$$O(111)表面におけるNO分子の解離をスピン分極密度汎関数理論によって調べた。これはNOx還元反応のための銅をベースにした触媒の可能性を探るものである。吸着したNO分子の解離はどちらの表面でも起こる。酸化銅表面では遷移状態を経て反応が進むが、銅表面では途中でNO分子の脱離が起こる可能性があることが分かった。酸化銅の最表面に銅原子を配置することにより電子状態を変化させ、NO分子の吸着解離反応を制御できることが分かった。

論文

Quasiparticle interference on the surface of Bi$$_{2}$$Se$$_{3}$$ induced by cobalt adatom in the absence of ferromagnetic ordering

Ye. M.*; Eremeev, S. V.*; 黒田 健太*; Krasovskii, E. E.*; Chulkov, E. V.*; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 岡本 和晃*; Zhu, S. Y.*; 宮本 幸治*; et al.

Physical Review B, 85(20), p.205317_1 - 205317_5, 2012/05

 被引用回数:51 パーセンタイル:9.34(Materials Science, Multidisciplinary)

トポロジカル絶縁体Bi$$_2$$Se$$_3$$の表面にコバルトを蒸着した系に対して、コバルトの物性に注目して、トンネル分光,角度分解光電子分光,磁気円二色性及び理論計算を組合せて得られた研究成果である。原子力機構としての貢献は、磁気円二色性を用いてコバルトの磁性を調べた部分である。トポロジカル絶縁体表面では磁性元素が強磁性を示すという理論的予想があるが、今回の実験では、Bi$$_2$$Se$$_3$$とコバルトとの組合せでは強磁性を示さないという実験的証拠を示すことができた。

論文

生体元素からの中性子及び$$gamma$$線生成断面積の測定

魚住 祐介*; 執行 信寛*; 梶本 剛*; 森口 大輔*; 上山 正彦*; 吉岡 正勝*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; et al.

HIMAC-136, p.248 - 249, 2011/11

本発表では、平成22年度に放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用いて行った測定について報告する。重粒子線がん治療では、入射重イオンと生体組織を構成する元素との核反応により中性子及び$$gamma$$線が患者の体内にて生成される。これらの放射線による二次発がんリスクの評価には、重イオン核反応における生成二重微分断面積を広いエネルギー範囲で精度よく測定する必要がある。平成21年度は、既存の実験データのある炭素+炭素反応に対して測定を行い、最適な測定条件を検討した。平成22年度は、前年度までの検討を踏まえ、データの存在しない酸素+炭素反応の断面積を測定した。その結果、数百MeV領域から0.6MeVまでの極めて広いエネルギー範囲に渡って精度よく中性子生成二重微分断面積を取得できた。さらに、取得した実験データを利用してPHITSコードの精度検証を行った。PHITSは、前方角度領域において断面積をわずかに過小評価するものの、全体的に実験値をよく再現することがわかった。

論文

Neutron-production double-differential cross sections from heavy-ion interactions

佐藤 大樹; 森口 大輔*; 梶本 剛*; 古場 祐介*; 中村 泰博*; 執行 信寛*; 上山 正彦*; 魚住 祐介*; 吉岡 正勝*; 松藤 成弘*; et al.

Journal of the Korean Physical Society, 59(2), p.1741 - 1744, 2011/08

 被引用回数:3 パーセンタイル:69.23(Physics, Multidisciplinary)

重イオン相互作用からの中性子生成二重微分断面積に関する既存の実験データは、検出器の検出効率の評価に問題があり断面積を過大評価していることが知られていた。そこで、最新の検出効率計算コードを用いて既存のデータを再解析することにより、過大評価を改善した系統的な断面積データの評価を行った。また、放射線医学総合研究所の重イオン加速器を用いて、新たに中性子生成二重微分断面積を測定した。取得したデータは、既存のデータに比べ測定角度領域が後方角にまで及び検出下限エネルギーも10倍程度低い。両データは、同一核反応の同一角度において非常に良い一致を示した。さらに、各種シミュレーションコードの予測値と比較したところ、いずれのコードも前方角度領域の高エネルギー中性子生成を適切に再現できておらず、重イオン核反応模型の修正が必要であることが示唆された。

論文

Measurement of neutron-production double-differential cross-sections on carbon bombarded with 290-MeV/nucleon carbon and oxygen ions

佐藤 大樹; 森口 大輔*; 梶本 剛*; 上原 春彦*; 執行 信寛*; 上山 正彦*; 吉岡 正勝*; 魚住 祐介*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; et al.

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 644(1), p.59 - 67, 2011/07

 被引用回数:12 パーセンタイル:25.68(Instruments & Instrumentation)

重粒子線がん治療の普及に伴い患者体内に入射した重イオンビームの核反応で生成される二次中性子の放射線影響に関心が集まっている。しかし、二次発がんの潜在的なリスク評価のために必要となる重イオンビームと生体構成元素との核反応に関する実験データは整備されておらず、放射線輸送コードの計算精度も十分に検証されていない。そこでわれわれは、放射線医学総合研究所HIMAC加速器を利用し、炭素+炭素反応及び酸素+炭素反応における中性子生成二重微分断面積(DDX)を測定した。論文では、有機シンチレータと飛行時間法を利用した測定手法の詳細を説明し、得られた結果を過去の実験データ及びPHITSコードの計算値と比較することで、測定手法の妥当性や放射線輸送コードの有用性について議論した。実験データは、数百MeVから0.6MeVまでの極めて広いエネルギー領域で精度よく取得されており、PHITSの結果は全エネルギー領域に渡りファクター2以内で実験値を再現した。

論文

Dynamic structural change in Pd-perovskite automotive catalyst studied by time-resolved dispersive X-ray absorption fine structure

松村 大樹; 西畑 保雄; 水木 純一郎; 谷口 昌司*; 上西 真里*; 田中 裕久*

Journal of Applied Physics, 107(12), p.124319_1 - 124319_5, 2010/06

 被引用回数:17 パーセンタイル:38.2(Physics, Applied)

自動車触媒として強い耐久性を持つPdペロブスカイト型触媒(LaFe$$_{0.9}$$Pd$$_{0.1}$$O$$_{3}$$)に対して、その場かつ実時間分割のXAFS測定を分散型光学系のセットアップにて行い、Pd近傍の局所構造を観測した。還元雰囲気下では、標準試料であるアルミナ担持Pd触媒と同様な構造変化速度の温度依存性を示した。一方酸化雰囲気下では、2段階の酸化物への構造変化を示すアルミナ触媒よりも速い速度で変化することが観測された。これは、酸化雰囲気下においてペロブスカイト型触媒が置換型固溶体を形成することに関連していることが考えられる。

論文

Dynamic structural change of Pd particles on LaFeO$$_{3}$$ under redox atmosphere and CO/NO catalytic reaction studied by dispersive XAFS

松村 大樹; 岡島 由佳; 西畑 保雄; 水木 純一郎; 谷口 昌司*; 上西 真里*; 田中 裕久*

Journal of Physics; Conference Series, 190, p.012154_1 - 012154_6, 2009/11

 被引用回数:8 パーセンタイル:10.18

ランタン鉄酸化物上のパラジウム金属微粒子は、担体であるランタン鉄酸化物とパラジウム粒子が酸化雰囲気下において複合酸化物を形成することにより、酸化還元サイクルを多く繰り返しても金属粒子の粒径がさほど大きくならないことが知られている。われわれはPd金属微粒子の動的構造変化を、酸化還元雰囲気変化及びCO-NO触媒反応という条件の下、分散型XAFS光学系において直接観測した。実験の結果、ランタン鉄酸化物上のPd原子は、還元雰囲気時の金属微粒子への変化においてはアルミナ上のものと変わらない反応速度を示す一方、酸化雰囲気下における酸化物への構造変化においては一段階の速やかな構造変化を示し、二段階のゆっくりとした構造変化を示すアルミナ上の微粒子とは大きく異なることがわかった。また、CO-NO触媒反応時においても、多くの違いを観測した。

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