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岩松 和宏*; 室屋 裕佐*; 山下 真一*; 木村 敦; 田口 光正; 勝村 庸介*
Radiation Physics and Chemistry, 119, p.213 - 217, 2016/02
被引用回数:1 パーセンタイル:9.40(Chemistry, Physical)TIARA施設において、多チャンネルの光検出器を利用した、200から950nmまでの波長範囲を計測可能な光吸収スペクトル測定システムを構築し、AVFサイクロトロンからの12.5MeV/u He, 18.3MeV/u C及び17.5MeV/u Neイオンを用いた時間分解光吸収測定実験を行った。放射線化学反応のよく調べられているKSCN水溶液を試料としてイオン照射した結果、従来の100分の1程度の計測時間で(SCN)
の過渡吸収スペクトルが観測され、260-660nmにおける吸光度の感度は0.001-0.003であった。NaBr水溶液を試料とした場合には、Br
とBr
に起因する2つの吸収ピークが同時観測され、その時間挙動が明らかになった。以上、イオン照射による化学反応を短い計測時間で詳細に観測できるシステムの構築に成功した。
越水 正典*; 岩松 和宏*; 田口 光正; 倉島 俊; 木村 敦; 柳田 健之*; 藤本 裕*; 渡辺 賢一*; 浅井 圭介*
Journal of Luminescence, 169(Part B), p.678 - 681, 2016/01
被引用回数:27 パーセンタイル:80.47(Optics)TIARAのAVFサイクロトロンを用いてパルスイオンビームを発生し、Liガラスシンチレータ(GS20)の発光を計測した。20MeV H, 50MeV He
,および220MeV C
を照射した結果、400nm付近に、発光中心としてドープされているCe
イオンの5d-4f遷移に帰属されるバンドが観測された。発光のタイムプロファイル計測では、20MeV H
では顕著に立ち上がりが遅く、高LETほど立ち上がりが速くなった。一方、減衰挙動には顕著な相違はなかった。これは、高密度エネルギー付与によって誘起された励起状態間相互作用によって、ホストガラスからCe
へのエネルギー移動過程が促進されたことが原因と考えられる。
柳田 健之*; 越水 正典*; 倉島 俊; 岩松 和宏*; 木村 敦; 田口 光正; 藤本 裕*; 浅井 圭介*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 365(Part B), p.529 - 532, 2015/12
被引用回数:11 パーセンタイル:69.12(Instruments & Instrumentation)CeをドープしたLiCaAlF結晶にX線及び20MeV H
, 50MeV He
, 220MeV C
イオン照射を行い、発光のその場観察を行った。X線照射では数nsの早い発光成分と数10nsの遅い成分が観測された。一方、イオン照射では、早い発光は観測されなかった。早い発光の消滅は、イオン照射で形成された高密度励起による励起状態間の相互作用が原因と考えられる。また、遅い発光では、その立ちあがりと減衰にLET依存性が観測された。これは、LiCaAlF
の励起状態からCe
へのエネルギー移動及び励起状態間相互作用による消光過程が競争的に起きていることが原因と考えられる。
山下 真一*; 岩松 和宏; 前橋 佑樹*; 田口 光正; 端 邦樹; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*
RSC Advances (Internet), 5(33), p.25877 - 25886, 2015/02
被引用回数:13 パーセンタイル:37.65(Chemistry, Multidisciplinary)ブロマイド(Br)は水酸化(OH)ラジカルと反応して分子吸光係数の大きな中間体を生じるため、放射線誘起水中OHラジカルの反応プローブとして使われてきた。放射線照射後ナノ秒領域のOHラジカルの挙動を解明するためにはBr
の濃度を高くする必要があるものの、高濃度のBr
とOHラジカルの反応機構は不明であった。N
OおよびArで飽和した0.9-900mMのNaBr水溶液へのパルス電子線照射によって生じたOHラジカルとBr
の反応中間体の時間挙動を光吸収により計測した。Br
はOHラジカルと反応してBrOH
、さらにBr
を生じる。異なる実験条件で得られたBrOH
やBr
のタイムプロファイルに対して、既報の反応速度式、速度定数を用いたスパーモデルシミュレーションを行った結果、10mM以上の高濃度条件では、2BrOH
Br
+ 2OH
の反応(反応度度定数: k=3.8
10
M
s
)を新たに考慮することで実験結果をよく再現できることを明らかにした。
越水 正典*; 倉島 俊; 田口 光正; 岩松 和宏; 木村 敦; 浅井 圭介*
Review of Scientific Instruments, 86(1), p.013101_1 - 013101_5, 2015/01
被引用回数:12 パーセンタイル:50.03(Instruments & Instrumentation)多くの熱中性子検出用シンチレータでは、(n,)反応により生じる
線によりシンチレーションが生じる。
線により固体中で生じる電離や励起状態の空間的密度は、
線や電子線の場合と比較すると非常に大きい。そのため、励起状態間相互作用が生じ、シンチレーションスペクトルや減衰挙動に影響を与えうる。この励起状態間相互作用の様相を材料設計の観点から制御することが可能となれば、
線の検出イベントと(n,
)反応を利用した中性子の検出イベントとのスペクトルや減衰挙動の差に基づいた弁別が可能となる。そのためには、励起状態間相互作用の様相を観測する手段が必要である。そこで、シンチレーションの短時間プロファイルを計測するシステムを構築し、サイクロトロンで加速したシングルパルスビームによりBC-400やBaF
などの高速シンチレータを照射してその特性評価を行ったので報告する。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 勝村 庸介
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 36(3), p.329 - 332, 2011/09
高LET放射線の一つである重イオンの照射効果を解明することを目的に、イオン照射直後の短寿命活性種の反応挙動を光吸収法により明らかにした。照射には20MeV, Hイオンを選択し、スパー間距離を制御するために照射エネルギーを減弱させながらパルスイオン照射及びオンライン分光測定を行った。OHラジカルのプローブであるNaBrの水溶液へのH
イオン照射によりBr
の生成が観測された。375nmの吸光度から評価されるBr
の生成収率は、NaBr濃度が1から1000mMに増加するに従い、0.73から0.85molecules/100eVへわずかに増加した。一方、平均スパー間距離が13nmから7nmと短くなるに従い、Br
の生成収率は0.9から0.3molecules/100eVへ減少した。これは、スパーの重なりの増加により、初期活性種同士の再結合反応の割合が増え、溶質との反応割合が減少したためと考えられる。
松井 義典; 高橋 広幸; 山本 雅也; 仲田 祐仁; 吉武 庸光; 阿部 和幸; 吉川 勝則; 岩松 重美; 石川 和義; 菊地 泰二; et al.
JAEA-Technology 2009-072, 144 Pages, 2010/03
日本原子力研究開発機構は、平成17年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構との統合によって誕生した。この統合を最大限に利用したプロジェクトが、旧電源開発促進対策特別会計法及び特別会計に関する法律(エネルギー対策特別会計)に基づく文部科学省からの受託事業「長寿命プラント照射損傷管理技術に関する研究開発」である。この「長寿命プラント照射損傷管理技術に関する研究開発」において、材料の照射損傷評価指標の確立に重要な、世界で類のない、高速実験炉「常陽」と研究用原子炉であるJRR-3を利用した組合せ照射材を平成18年から平成19年の約2年間の短期間で取得した。本報告は、これら常陽,JRR-3の実験炉施設及びWASTEF, JMTRホットラボ,MMF, FMFのホット施設を利用した組合せ照射における作業計画から作業結果及び照射試験における照射温度と照射量の評価をまとめたものである。
小林 進悟*; 長谷部 信行*; 細島 岳大*; 石崎 健士*; 岩松 和弘*; 三村 光輝*; 宮地 孝*; 宮島 光弘*; Pushkin, K.*; 手塚 千幹*; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 45(10A), p.7894 - 7900, 2006/10
被引用回数:13 パーセンタイル:43.85(Physics, Applied)高圧のキセノンとキセノン水素混合ガス中での電子の特性エネルギーの測定を行い、その値を初めて取得した。測定結果から、特性エネルギーの非線形成分の密度効果は、1MPaまでは15%以下であることを断定できる。また、高圧キセノン中に水素を混合することで電子の特性エネルギーを減少させることができることがわかり、このことを利用すれば、キセノンガスを用いた放射線撮像装置の解像度劣化要因である電子の拡散を抑えることができる。
田口 光正; 岩松 和宏; 須郷 由美; 倉島 俊; 山口 真*; 勝村 庸介
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、アルファ粒子による地下水の分解によって生じる酸化性生成物の影響を明らかにすることが重要である。本研究では、アルファ粒子と同じ照射効果を引き起こすと考えられるHeイオンを水溶液試料に照射し、生成した活性種の挙動を観測することで地下水のアルファ線分解メカニズムを解明することを目的としている。短寿命な活性種の反応を観測するためにHeイオンのパルス照射とオンラインでの光吸収測定法を開発した。水の分解反応において水酸化(OH)ラジカルは最も重要な活性種と考えられている。そこで、OHラジカルのプローブとしてClイオンを選択し、NaCl水溶液試料を調製した。375nmにおいて、Cl
イオンとOHラジカルによって生成するClOH
イオンが観測された。吸光度のピーク値から見積もられた、ClOH
の生成収率はCl
イオン濃度の増加、すなわち捕捉時間が短くなるに従い増加することを明らかにした。
岩松 和弘*; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 勝村 庸介*
no journal, ,
高LET放射線の一つである重イオンビームの線質効果を理解することを目的に、水分子の分解によって生じる活性種との反応メカニズムのよくわかっているNaClやNaBrを溶解した水溶液試料へH(20MeV), He
(50MeV), C
(220MeV), Ne
(350MeV)イオンをパルス的に照射し時間分解分光測定を行った。照射で生じたOHラジカルと溶解しているBr
及びCl
の反応により生成した反応中間体、Cl
やBr
の収率の時間変化を調べた。いずれのイオン種においても、反応中間体の収率はOHラジカルの捕捉時間が遅くなるにつれて減少した。これは理論的に予測されているOHラジカルの時間依存性と同じ傾向であった。また、捕捉時間を一定にして、照射核種の質量やLETを大きくしたところ、反応中間体の収率は減少した。これはトラック内活性種密度の増加によるラジカル同士の再結合反応が原因と考えられる。
勝村 庸介; 山下 真一; 平出 哲也; 松浦 千尋*; 岩松 和弘*; 田口 光正
no journal, ,
福島第一原子力発電所4号機の水素爆発の原因を検討するため、沸騰あるいは非沸騰の水を用いて線照射で発生する水素の定量試験と濃度分布測定を行った。沸騰していない静水の場合、
線照射で発生する水素のG値(収率)は非常に小さいものの、沸騰している場合は純水でG=0.24, 3.5%食塩水ではG=0.54となった。一方、酸素の発生量は水素の1/5程度であった。また、非照射下において、100Lのアクリル箱に水溜を設置して内部の水素濃度分布について調べたところ、水が沸騰していない条件では箱内部で水素が均一に分布するものの、沸騰条件では水蒸気の移動に伴い、水蒸気が結露する壁近傍や低温部で水素が濃縮することを見いだした。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET(Linear Energy Transfer)放射線であるイオンビームは、低LET放射線である線や電子線とは異なる照射効果を持つ。イオンビームの照射効果は、その飛程にそって形成されるトラック内に生成する高密度、かつ不均一な活性種の反応に起因すると考えられている。そこで、トラック内反応において重要なOHラジカルの挙動解明を目的とし、H
(20MeV), He
(50MeV), C
(220MeV), Ne
(350MeV)イオンを用いてイオンビームパルスラジオリシス法を行った。OHラジカルとの反応がよく理解されているBr
をプローブとして用い、その反応で過渡的に生成するBr
の挙動を調べた。吸光度からBr
生成のG値(付与エネルギー100eVあたりの生成個数)を見積もったところ、LET値が増加するにつれてH
照射では4.8から0.36、He
照射では0.82から0.11、C
照射では0.13から0.03、Ne
照射では0.14からと0.03まで減少した。これはLET増加に伴いエネルギー付与密度が増え、水分解により生成したOHラジカルなどの初期分布密度が増加し、活性種同士の再結合反応によりOHラジカルの収量が減ったことに由来する。同じLET値では原子番号の大きいイオン種の照射による生成G値の方が大きくなる傾向が観測された。同一LET値では、原子番号の大きいイオン照射の方が、イオン速度が高いため2次電子の飛程が長く、エネルギー付与の空間的な広がりが大きいことでラジカル初期密度が小さくなるためである。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線であるイオンビームは、低LET放射線である線や電子線とは異なる照射効果を引き起こす。イオンビームの照射効果は、その飛程にそって形成されるトラック内に生成する高密度、かつ不均一な活性種による反応に起因すると考えられている。そこで、低LET放射線を用いて研究されてきた水溶液を用い、トラック内反応の解明を目的とし、イオンをパルス照射すると同時に時間分解能を有する光吸収測定法によりHydroxyl(OH)ラジカルなどの水中活性種挙動を調べた。O
飽和及びN
O飽和した90mMのNaBr水溶液を試料に用い、H
(20MeV), C
(220MeV)イオンを、イオンの照射エネルギーを変化させて照射を行った。吸光度からBr
生成のG値(付与エネルギー100eVあたりの生成個数)を見積もったところ、部分平均が18MeVのHイオン照射におけるG値は、水和電子を捕捉するO
飽和において、OHラジカルの理論値(3.8程度)と等しかったが、一方水和電子をOHラジカルに変換するN
O飽和条件では、OHラジカルと水和電子のG値(3.6程度)の和よりわずかに大きかった。またG値はHイオンより原子番号や価数の大きいCイオンの方が小さく、核子あたりのエネルギーの減少によるエネルギー付与密度の増加により減少した。これはエネルギー付与密度の増加に伴い水分解活性種の生成も密になるため、活性種同士の再結合反応によりOHラジカルの収量が減少したものと考えられる。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線であるイオンビームは、低LET放射線である線や電子線とは異なる照射効果を引き起こす。イオンビームの照射効果は、その飛程にそって形成されるトラック内に生成する高密度、かつ不均一な活性種による反応に起因すると考えられている。そこで、低LET放射線を用いて研究されてきたNaBr水溶液を用い、トラック内反応の解明を目的とし、イオンをパルス照射すると同時に時間分解能を有する光吸収測定法によりHydroxyl(OH)ラジカルの水中活性種挙動を調べた。O
飽和した100mMのNaBr水溶液へ、H
(20MeV/u), He
(12.5MeV/u), C
(18.3MeV/u), Ne
(17.5MeV/u)イオンを、イオンの照射エネルギーを変化させて照射を行った。OHラジカルはBr
と反応し、375nmに大きな吸収を持つBr
を生成する。吸光度からBr
生成の
値(付与エネルギー100eVあたりの生成個数)を見積もったところ、
値は原子番号の増加、又はエネルギーの減少に伴い4.8から大きく減少した。核子あたりのエネルギーが等しいとき、イオンビームのエネルギー付与断面積は等しい。またトラック内での単位長さあたりのエネルギー付与は原子番号の増加、又は核子あたりのエネルギーの減少に伴い増加する。それにより水分解活性種の初期密度が増加し、ラジカル同士の反応が増加することでBr
と反応するOHラジカル減少し、Br
の
値に反映されたと考えられる。
端 邦樹; 勝村 庸介*; 工藤 久明*; 山下 真一*; 上田 徹*; 中園 祥央*; 岩松 和弘*; Yo, S.*; 岡屋 慶子*; 雨宮 拓也*; et al.
no journal, ,
福島第一原子力発電所の事故後の対応で、炉内や使用済燃料プールへの海水注入の措置が取られた。これにより原子炉やプールの構造材はこれまでに想定されてこなかった腐食環境にさらされたことになる。放射線場にある海水の腐食環境を見積もるためには、ラジオリシス計算が有効な手段であるが、これには放射線誘起反応の速度定数や化学種の初期収率などの入力パラメータが必要となる。本研究では、塩素イオンとOHラジカルとの反応に焦点を当て、フラッシュフォトリシス法により反応速度定数の測定を行った。
勝村 庸介*; 松浦 千尋*; 山下 真一; 平出 哲也; 岩松 和宏; 田口 光正
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故において、水の放射線分解で発生する水素が、爆発を引き起こす可能性が危惧されてきた。今回の実験で、沸騰条件下での水の照射では、著しい水素が発生することを実験的に確認した。さらに、沸騰水の放射線分解時の水素発生G値を、純水と海水模擬食塩水で測定し、食塩水中からの水素発生の増大を観測した。また、室温条件下でも、ガスバブリングによって水素が発生し、気液界面増大が水素発生の大きな因子であることを確認した。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線のひとつであるイオンビームの特異的な照射効果の由来となっているトラック内反応の解明を目的に、これまで低LET放射線を用いて研究されてきたNaBr水溶液を用い、重イオンパルスラジオリシス法によりOHラジカルなどの水中活性種挙動を調べた。TIARA施設のAVFサイクロトロンからのH(19.2MeV), C
(15.8MeV/u), Ne
(12.8MeV/u)イオンを用い、N
O飽和したNaBr水溶液試料へ照射を行い時間分解分光測定を行った。異なる厚さのAl膜を用いイオンの照射エネルギーを下げて照射を行い、またNaBr濃度を900-0.009mMに変化させて照射も行った。OHラジカルはBr
と反応し、375nmに光吸収を持つBr
を過渡的に生成する。吸光度のピーク値と入射エネルギーからイオン飛跡に沿って変化するBr
の収率(微分G値{d(G(Br
)E)/dE})を求めた。微分G値は、イオンのエネルギーの減少及び原子番号の増加、つまりイオンのエネルギー付与密度の増加に伴い6から0.1程度まで減少した。またNaBrの濃度が減少、つまりBr
のOHラジカル捕捉時間が遅くなるにつれBr
の微分G値は減少した。エネルギー付与密度増加により水分解活性種の初期生成密度が高くなること、又は時間経過に伴う活性種同士の再結合により、Br
と反応するOHラジカルが減少しBr
の収率が減少したと考察される。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線のひとつであるイオンビームの特異的な照射効果の由来となっているトラック内反応の解明を目的に、これまで低LET放射線を用いて研究されてきたNaBr水溶液を用い、重イオンパルスラジオリシス法によりOHラジカルなどの水中活性種挙動を調べた。AVFサイクロトロンからのH(20MeV), C
(18.3MeV/u)イオンを、N
O飽和した90mMのNaBr水溶液試料にパルス照射し、375nmの半導体レーザを用いて時間分解分光測定を行った。異なる厚さのAl膜を用いてイオンの照射エネルギーを下げ、LET値やトラック径を系統的に変化させた照射を行った。OHラジカルはBr
と反応し、375nmに光吸収を持つBr
を過渡的に生成する。Br
の吸光度はパルス照射開始と同時に立ち上がり、終了と同時に減少を始めた。Br
はおもに2分子反応で減衰し、Hイオンに比べCイオンの方が減衰挙動が早かった。これはCイオンの方がLETが高く、OHラジカルの生成密度が高いことに由来する。吸光度のピーク値からBr
のG値を見積もったところ、G値はイオンのエネルギー減少とともに減少した。これは理論計算の報告値のOHラジカルのエネルギー依存性と一致している。
岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線のひとつであるイオンビームの特異的な照射効果の由来となっているトラック内反応の解明を目的に、これまで低LET放射線を用いて研究されてきたNaBr水溶液を用い、重イオンパルスラジオリシス法によりOHラジカルなどの水中活性種挙動を調べた。AVFサイクロトロンからのH(20MeV), He
(12.5MeV/u), C
(18.3MeV/u), Ne
(17.5MeV/u)イオンを、N
O飽和した0.09-900mMのNaBr水溶液試料にパルス照射し、375nmの半導体レーザを用いて時間分解分光測定を行った。OHラジカルはBr
と反応し、375nmに光吸収を持つBr
を過渡的に生成する。Br
の吸光度はパルス照射開始と同時に立ち上がり、終了と同時に減少を始めた。吸光度のピーク値からBr
生成のG値を見積ると、G値はBr
の濃度が増加、つまりOHラジカルの捕捉時間が早くなるにつれて増加し、イオン種の原子番号が大きくなるにつれ、減少した。OHラジカルは時間経過、又はイオン種の原子番号増加に伴うエネルギー付与密度増加によるラジカル初期密度の増加に伴い減少するため、OHラジカル収率の理論報告と一致した結果が得られた。
岩松 和宏; 山下 真一*; 田口 光正; 木村 敦; 倉島 俊; 勝村 庸介
no journal, ,
高LET放射線であるイオンビームは低LET放射線である線や電子線などとは異なる照射効果を引き起こす。その照射効果はイオンビームの飛跡にそった高密度かつ不均一な活性種分布に由来する。イオンビームの照射効果の解明を目的に、低LET放射線での蓄積から放射線分解の挙動がよくわかっている水を媒体として研究を行った。水分解生成物のうち生成量も多く強力な酸化剤である水酸化(OH)ラジカルに着目し、そのプローブとしてBr
イオンを用い時間分解光吸収測定実験を行った。イオン種としては19.2MeV/uのH
、11.4MeV/uのHe
、15.8MeV/uのC
、12.8MeV/uのNe
を用いた。OHラジカルとBr
との反応で過渡的に生成するBr
の光吸収が375nm(
[Br
]=9000M
cm
)の波長で観測され、照射直後から2分子反応により減少した。吸光度から生成収率(個/100eV)を求めたところ、照射直後の収率は、原子番号の増加とともに1.8から0.6まで減少した。原子番号が大きくなるにつれ、トラック内のラジカル初期密度が増加し、ラジカル同士が反応し、その結果Brと反応したOHラジカルが減少したためと考えられる。Br
の減少速度は原子番号の増加とともに早くなった。これは、二分子反応で消滅するBr
の濃度が、LETすなわち原子番号の増加に伴い増加したことが原因と考えられる。現在、トラック構造モデルに基づいた3次元化学反応解析を進めている。