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長谷川 伸; 大橋 仁; 前川 康成; 片貝 良一*; 吉田 勝
Polymer Journal, 41(7), p.533 - 540, 2009/07
被引用回数:3 パーセンタイル:11.09(Polymer Science)放射線を利用して温度とpH両方に応答するグラフトゲル膜を新たに作製し、Co, Niイオンに対するLiイオンの選択透過性を、それぞれの透過係数比(P, P
)から評価した。水溶性モノマーの
線照射によりグラフト重合と架橋が同時進行することを利用して、温度応答性ポリ(A-ProOMe)ゲル膜を得た。次に、pH応答性ポリアクリル酸(ポリAAc)をポリ(A-ProOMe)ゲル膜上にグラフト重合することで、温度とpH両方に応答するグラフトゲル膜を調製した。AAcグラフト率が15%の膜は30
C, pH6.0において最も高いCo, Niイオンに対するLiイオンの透過係数比、P
=2.8とP
=3.5を示した。Liイオンの選択透過性を示したグラフトゲル膜の電子顕微鏡観察から、温度応答性マトリックスに囲まれたポリ(AAc)がイオンチャンネルとなること、その隣接したカルボキシル基の金属イオンとの相互作用が、その選択透過に重要であることが明らかとなった。
奥 浩之*; 山田 圭一*; 小林 京子*; 片貝 良一*; Ashfaq, M.*; 花岡 宏史*; 飯田 靖彦*; 遠藤 啓吾*; 長谷川 伸; 前川 康成; et al.
Peptide Science 2008, p.439 - 442, 2009/03
マラリアは、熱帯及び亜熱帯地域における主な死因の一つである。これまでの研究において、エノラーゼ基質結合部位の部分配列に由来する人工ペプチド抗原としてマラリアワクチン抗原の有用性を検証してきた。人工抗原ペプチドは、抗原性ペプチドに5(6)-カルボキシフルオロセインを用いて蛍光ラベルして合成した。合成したペプチドは、乳酸とグリコール酸の共重合体(PLGA)を用いて乳化重合後、ホモジナイズし、ナノ粒子化した。この粒子へ再度0.5%ポリビニルアルコールを加えた後、乳化,ホモジナイズして粒子径0.3から1.5mmのナノ粒子を調製した。蛍光強度からみた生体外での徐放試験において、ペプチド抗原のみから作製したナノ球体を用いた場合、薬剤は、保留日数に対してほぼ0次で急激に放出されるのに比べ、PLGAナノ粒子に調製した試料は、1g/7日間で徐放されることがわかった。1.0mg(蛍光入り薬剤4.0
g)のナノ粒子を用いたハダカネズミによる生体内試験において、蛍光強度は、12日間かけ次第に減少し、今回調製されたナノ微粒子は持続的に抗原を徐放することがわかった。
木村 祥亮; 浅野 雅春; Chen, J.; 前川 康成; 片貝 良一*; 吉田 勝
Radiation Physics and Chemistry, 77(7), p.864 - 870, 2008/07
被引用回数:33 パーセンタイル:87.35(Chemistry, Physical)エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜に線を前照射し、次いでトルエン,イソプロパノール(iPrOH),テトラヒドロフラン(THF),テトラクロロエタン(TCE)からなる有機溶媒の存在下でスチレン(St)/ジビニルベンゼン(DVB)モノマーを後グラフト重合して得られたグラフト膜をスルホン化することで燃料電池用高分子電解質膜を作製し、電解質膜のプロトン伝導性,耐久性などに及ぼす溶媒効果について調べた。50%グラフト率で比較した場合、iPrOHで作製した電解質膜のスルホン酸基は膜表面部位に分布していたが、トルエン,THF,TCEで作製すると膜全体にスルホン酸基が均一に分布し、伝導性に違いが生じた。また、重合溶媒にTCEを用いるとほかの溶媒に比べて耐久性が著しく向上することがわかった。
木村 祥亮*; Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成; 片貝 良一*; 吉田 勝
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 263(2), p.463 - 467, 2007/10
被引用回数:18 パーセンタイル:74.43(Instruments & Instrumentation)重イオンビームを利用し異方伝導経路を持つ固体高分子型燃料電池膜の開発を進めている。この目的に対し、ETFEフィルム基材に450MeVのキセノンイオンを照射することでナノ損傷領域からなる潜在飛跡を形成、次いで線グラフト重合法によりポリスチレングラフト鎖を導入、最終的にスルホン化工程を経て異方導電性電解質膜を作製した。
八巻 徹也; 塚田 淳一; 浅野 雅春; 片貝 良一*; 吉田 勝
Journal of Fuel Cell Science and Technology, 4(1), p.56 - 64, 2007/02
被引用回数:22 パーセンタイル:46.03(Electrochemistry)橋架け構造を付与したポリテトラフルオロエチレン膜に放射線グラフト法によってポリスチレン側鎖を導入した後、スルホン化することでイオン交換膜が作製できる。この作製法では、グラフト反応時に多官能性モノマーを加えることで側鎖にも橋架け構造を導入し膜の耐久性を高めることが可能である。そこで本研究では、新規な橋架け剤としてビス(ビニルフェニル)エタン(BVPE)を独自に分子設計・化学合成し、これをスチレンと放射線グラフト共重合することにより、PTFE骨格だけでなくグラフト鎖にも橋架け構造を有する「二重橋架け」イオン交換膜を作製した。BVPEによる高密度な橋架け構造は耐久性を従来の10倍以上に向上させることが可能であることが確認された。
廣木 章博; 前川 康成; 片貝 良一*; 山下 俊*; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*; 吉田 勝
Macromolecules, 39(12), p.4132 - 4137, 2006/06
被引用回数:5 パーセンタイル:16.54(Polymer Science)重合と架橋が同時に進行する放射線重合法の特性を活かし、アクリロイル-L-プロリンメチルエステルモノマーを水-アルコール混合溶液中で線照射することでAPMゲルを合成した。作製したポリマーゲルは、水中で14
C付近を境に低温膨潤-高温収縮する温度応答挙動を示した。水中0
Cから40
Cへ急激に温度変化させたときのゲルの収縮速度は、
線照射時に存在するアルコールの種類によって大きく異なることがわかった。例えば、メタノール存在下で作製したゲルは、およそ1日で収縮したのに対し、1-プロパノール存在下では、収縮するのにおよそ半年を要した。このような超低速応答は、素早い収縮過程とゆっくりとした収縮過程の2段階から成っていた。その存在比は、各アルコール由来の
-ヒドロキシアルキルラジカルの安定性と相関しており、ラジカルが安定であるほどゆっくりした収縮過程の割合が高くなっていることが明らかとなった。GC/MS分析より、プロリン残基にアルコールが付加した化合物が存在していることがわかった。
-ヒドロキシアルキルラジカルが安定であるほど生成物の量は増加したことから、アルコール付加体の生成により形成された局所的な水素結合領域が超低速応答を発現していると推察した。
長谷川 伸; 大橋 仁; 前川 康成; 片貝 良一*; 吉田 勝
Radiation Physics and Chemistry, 72(5), p.595 - 600, 2005/04
被引用回数:16 パーセンタイル:71.22(Chemistry, Physical)温度と、pH応答性ゲル膜は、温度応答性のアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)のポリマーゲル上にpH応答性ポリ(アクリル酸(AAc))を線グラフトで合成した。AAc15mol%グラフト鎖を持つポリ(A-ProOMe)のゲル膜は、温度とpH両方の応答性を示した。温度官能基が収縮し、pH官能基が膨潤している30
C, pH6.0の条件で、Li, Co, Ni混合イオンからLiイオンの選択透過性が達成できた。
Chen, J.; 長谷川 伸; 大橋 仁; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一; 坪川 紀夫*
Macromolecular Rapid Communications, 23(2), p.141 - 144, 2002/01
被引用回数:9 パーセンタイル:33.27(Polymer Science)14に下限臨界共溶温度(LCST)をもつポリ(アクリロイル-L-プロリンメチルエステル)ゲルの体積相転移挙動をin situ観察するため、5
から60
まで温度を徐々に昇温させながらゲル膜を透過したリチウムイオンの電気伝導度の変化を測定した。電解質溶液のみの場合、一般的な性質として、電気伝導度は温度とともに直線的に増加する。ゲル膜では電気伝導度がLCST直下の温度まで増加したのち、急激な低下を示すことがわかった。この低下はL-プロリンメチルエステル基に基づく疎水性相互作用によりゲルのネットワークが収縮したことに起因している。これらの結果から、電気伝導度のin situ観察は、ゲル膜の僅かな体積変化を調べる手段として有用であることが結論できた
廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一*
Polymer, 42(15), p.6403 - 6408, 2001/07
被引用回数:9 パーセンタイル:38.00(Polymer Science)線照射時の温度及び照射線量を細かく制御して合成したアクリロイル-L-プロリンメチルエステルゲルの膨潤-収縮速度を比較検討した。0
と40
の間の温度変化に伴うゲルの膨潤収縮速度は、ゲル化時の温度に大きく影響されることを見いだした。膨潤状態から収縮平衡に達するのに、LCSTより低温側で合成したゲルでは6時間、高温側で合成したゲルでは1分であることがわかった。また、SEMによる内部構造観察から、LCSTより低温側で合成したゲルは、収縮過程においてゲル表面を形成することがわかった。それに対し、高温側で合成したゲルは被覆を形成せず、多孔構造を保持していた。この被覆の存在がゲルの収縮速度を低下したと考えられる。ゲル化温度がLCSTより低温側では、ポリマー鎖が伸びた状態で架橋するのに対し、高温側では糸繭状態で架橋する。この差異が、ゲルの架橋構造を均一・不均一にし、被膜の形成を引き起こしたと推察される。
Hendri, J.*; 廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一*
Radiation Physics and Chemistry, 61(2), p.155 - 161, 2001/05
被引用回数:2 パーセンタイル:19.35(Chemistry, Physical)メタクリロイルL-アラニンイソプロピルエステル(MA-AlaOiPr)とメタクリロイルL-バリンメチルエステル(MA-ValOMe)は、ポリマー側鎖の異なった位置にメチル基とイソプロピル基をもつ位置異性体である。温度変化に追従したポリマーの体積相転移(VPTT)から、疎水基(メチル基とイソプロピル基)の位置効果を評価するため、32にVPTTをもつメタクリロイルL-アラニンメチルエステルと位置異性体を共重合した。コポリマーのVPTTと組成の直線プロットから求めたMA-AlaOiPrとMA-ValOMeのVPTTは、-25
と-78
に存在することがわかった。この結果から、アミノ酸残基にイソプロピル基を含むMA-ValOMeの方がMA-AlaOiPrに比べ、より強い疎水の場合をポリマー側鎖に付与できることが明らかとなった。
Hendri, J.*; 廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一*
Radiation Physics and Chemistry, 60(6), p.617 - 624, 2001/03
被引用回数:33 パーセンタイル:89.06(Chemistry, Physical)アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)とアクリル酸(AAc)を含むモノマー水溶液系に線を照射した場合、これらのモノマーは重合の過程で架橋反応が同時に進行することが知られている。この放射線重合反応を利用して、コポリマーゲル膜を合成し、温度、pH変化に追従した疎水性、空孔率、カルボキシル基などの変化と金属イオンの膜透過特性について調べた。70/30mol%A-ProOMe/AAcコポリマーゲル膜を用いて、30
で金属イオンの透過挙動を調べたところ、リチウムイオンがpH4.75以下で、セシウムイオンがpH4.65e以下で透過しなくなることがわかった。この透過挙動の違いを利用して、リチウムイオンとセシウムイオンを選択的に分離した。
廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 窪田 健二*; 片貝 良一*
Polymer, 42(5), p.1863 - 1867, 2000/12
被引用回数:42 パーセンタイル:79.71(Polymer Science)温度応答性アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)ゲルの体積相転移挙動を水とアルコールの混合溶媒系中で調べたところ、系中のアルコール成分の増加とともにゲルは、膨潤-収縮-再膨潤-再収縮と体積総変化を示すことがわかった。一方、温度応答性N-イソプロピルアクリルアミドゲルの場合、再収縮挙動は存在しないことが知られている。そこで、A-ProOMeゲルで観察された再収縮挙動の原因を明らかにするため、赤外分光法で解析を試みた。その結果、再収縮挙動は系中のアルコール成分の増加によって、水素結合性カルボニル基の割合が変化するため起こるとわかった。
吉田 勝; Hendri, J.*; 前川 康成; 久米 民和; 片貝 良一*; Said, A. E. A.; Hegazy, E. A.
Chitin and Chitosan; Chitin and Chitosan in Life Science, p.43 - 46, 2000/00
キトサンは酸性水溶液に溶解する。この条件下で線照射を行った場合、キトサンは分解することが知られている。しかしながら、キトサンのアミノ基を、あらかじめカルボキシル基を含む重合性単量体と水素結合させたのち放射線照射すると、重合と架橋反応が起こり、キトサンを含む架橋構造型多孔性ゲルが得られたことを見いだした。このゲルのpH特性を調べたところ、37
の場合、pH5でゲルの膨潤挙動が変化することがわかった。そこで、このpH応答性とキトサンの持つ抗菌性を組み合わせ、薬物を経皮から吸収されるためのゲル膜として薬物放出をインドメタシンを用いて検討した。その結果、薬物透過は、pH7で極大を示すことが判明した。
廣木 章博*; 岩上 秀明*; 吉田 勝; 諏訪 武; 浅野 雅春; 片貝 良一*
Designed Monomers and Polymers, 3(3), p.381 - 387, 2000/00
被引用回数:3 パーセンタイル:15.58(Polymer Science)-アミノ酸の側鎖アルキル基をメチル、エチル、プロピルと変化させたメタクリロイル-DL-アミノ酸メチルエステル(MA-DL-AAOMe)を合成し、放射線重合させて得られたゲルについて、温度変化に追従した膨潤収縮挙動を側鎖アルキル基の疎水性と関連づけて調べた。メタクリロイル-DL-アラニンメチルエステル(AA=Ala)ゲルの場合、22
C付近で体積相転移を示した。このゲルは、22
C以下の温度で膨潤、逆にこの温度より高くなると収縮する。一方、メタクリロイル-DL-アミノ酪酸メチルエステル(AA=Abu)及びメタクリロイル-DL-2-アミノ吉草酸メチルエステル(AA=nVal)ゲルでは、0
C
60
Cの測定温度範囲で、いずれも収縮状態(1以下の膨潤率)のみを保つことが分かった。このようなゲル(AA=Abu及びnVal)に膨潤収縮挙動をもたせるため、温度応答性をもつMA-DL-AlaOMeとの共重合を検討した。その結果、所定の温度における体積転移組成と組成の関係から求めた体積相転移温度は、MA-DL-AbuOMeゲルが-35
C、MA-DL-nValOMeゲルが-58
Cの値を示すことが分かった。
廣木 章博*; 吉田 勝; 長岡 範安*; 浅野 雅春; N.Reber*; R.Spohr*; 久保田 仁*; 片貝 良一*
Radiat. Eff. Defects Solids, 147, p.165 - 175, 1999/00
N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)のポリマーゲルは、32C付近に下限臨界共溶温度(LCST)を持つため、この温度の前後で可逆的な膨潤収縮挙動を示すことが知られている。孔径が2.5
mで、かつ形状が円柱状の貫通孔からなるイオン穿孔膜に、上述のNIPAAmゲルを放射線グラフトした。グラフトしたNIPPAmゲル層は温度変化に追従した、伸びたり縮んだりするため、孔のサイズ制御が可能となる。この機能性多孔膜の性能をp-ニトロフェノール(PNP)の透過から調べた。その結果、PNPの透過は、30
Cで著しく抑制され、7.12
10
cm/minの値を示した。これに対し、29
Cと31
Cでの透過は、30
Cに比べて約100倍近く加速された(29
Cが3.84
10
cm/min,31
Cが2.46
10
cm/min)。30
Cにおける透過の抑制は、29
C付近に存在する
温度の存在により説明することができる。
温度ではNIPPAmと水との親水性相互作用が見掛け上、消失する。この作用によって、30
Cで透過が抑制されたものと考えられる。
吉田 勝; 浅野 雅春; 諏訪 武; 片貝 良一*
Radiation Physics and Chemistry, 55(5-6), p.677 - 680, 1999/00
被引用回数:24 パーセンタイル:83.55(Chemistry, Physical)アクリロイル-L-プロリンエチルエステル(A-ProOEt)のホモポリマーゲルは、水中において、2C付近で体積相転移を示す。一方、このA-ProOEtゲルは、pH2.5-7.5の緩衝液中、37
Cで処理した場合、収縮状態(0.5以下の膨潤、Sw)のみを保持することがわかった。このA-ProOEtゲルに、末端にカルボキシル基を持つ温度・pH応答型メタクリロイルグリシン(MA-Gly)及び比較のためpH応答型メタクリル酸(MA-Ac)を導入し、コポリマーゲルを得た。A-ProOEt/MA-Gly(30/60mol%)からなるコポリマーゲルの場合、pH7.5の緩衝液中、37
Cで処理したところ、2時間後に平衡膨潤(Sw=46)に到達した。これに対し、MA-Acを含むコポリマーゲルでは、9時間後でさえ平衡膨潤(Sw=18)に到達しなかった。この結果から、MA-Glyのように温度・pH応答機能を兼ね備えたアミノ酸基をもつゲルの方がpH応答機能のみのMA-Acよりも大腸デリバリー用のゲルとして優れていることが明らかとなった。
廣木 章博*; 吉田 勝; 山下 淳子*; 浅野 雅春; N.Reber*; R.Spohr*; 熊倉 稔*; 片貝 良一*
J. Polym. Sci., Part A, 36(10), p.1495 - 1500, 1998/00
アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を水の共存下で放射能重合させ、多孔性ゲル膜を合成した。電子顕微鏡観察から、このゲル膜の多孔構造は、A-ProOMeの直鎖状ポリマーのもつ下限臨界共溶温度(LCST、14C)以下では迷宮細孔構造からなることが判明した。この迷宮細孔の形、サイズは、温度によって制御できる。例えば、温度を低温から高温に変化させた場合、孔の形は連続した迷宮細孔から独立した孔に、また、そのサイズは20
mから0.02
mまで変わる。このような温度応答機能をもつ多孔性ゲル膜の特性を、p-ニトロフェノール(p-NP)の透過から調べた。その結果、迷宮細孔構造からなるゲル膜(10
C)からのp-NPの透過定数は0.60
10
cm/minの値をもつことが分かった。一方、独立した微細孔からなるゲル膜(18
C)からのp-NPの透過定数は検出限界以下の値(0.10
10
cm/min)であった。
吉田 勝; 浅野 雅春; 諏訪 武; N.Reber*; R.Spohr*; 片貝 良一*
Advanced Materials, (9), p.757 - 758, 1997/09
被引用回数:28 パーセンタイル:97.96(Chemistry, Multidisciplinary)イオン穿孔膜にアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線グラフトし、温度変化に追従して孔が開閉する温度応答性多孔膜を合成した。A-ProOMeに基づくゲル層は14Cで体積相転移を起こすため、これ以下の温度で膨潤、逆にこれ以上温度で収縮する。この温度応答性多孔膜(10
孔/cm
)の特性をP-ニトロフェノールの透過から評価した。14
C以下の温度の場合、物質の透過は8.2
10
cm/minであった。これに対し、温度が14
C以上になると、物質の透過は5
10
cm/minまで増大した。この結果から、物質の透過が温度応答機能をもつゲルの働きによって制御できることが示された。
吉田 勝; 浅野 雅春; 大道 英樹; 上村 渉*; 熊倉 稔*; 片貝 良一*
Macromolecules, 30(9), p.2795 - 2796, 1997/05
被引用回数:16 パーセンタイル:57.67(Polymer Science)アクリロイル-L-プロリンメチルエステルのポリマーは、水中において14Cに曇点をもち、この温度以下で水溶性ポリマーとなり、この温度以上で凝集沈澱をともなうことが知られている。このポリマーゲルは14
C付近で体積相転移を起こす。体積相転移温度はアルカンスルフォン酸ナトリウム(ASN)を含む水溶液中で処理すると変化することを見出した。すなわち、ASNは体積相転移温度を上昇させる働きをもつ。この場合、相転移を誘発させるASNの最も低い濃度は臨界ミセル濃度(cmc)と密接な関係をもつことが明らかとなった。このようなASNによる効果はメチレンセグメントの長さ、すなわち疎水効果に因るものである。
吉田 勝; 長岡 範安*; 浅野 雅春; 諏訪 武; 久保田 仁*; 片貝 良一*
J. Polym. Sci., Part A, 35, p.3075 - 3077, 1997/00
N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)は62Cに融点を持つ結晶性モノマーであり、水に可溶である。このモノマーを、融点以下での結晶状態、逆にこの温度以上での溶融状態、あるいは水に溶解させた状態で放射線を照射すると、いずれの計においても、重合が起こることを見い出した。この場合、放射線による重合過程で、架橋剤が存在しないにもかかわらず自己架橋と分解が同時に起こることも明らかとなった。得られたポリマーゲルは、32
Cで体積相転移をともなう。0
Cと50
Cで測定した体積変化の比は架橋密度によって影響される。そこで、この関係から、NIPAAmの放射線による重合過程での架橋と分解のメカニズムを考察した。