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S.W.H.Eijt*; R.Currat*; J.E.Lorenzo*; P.Gregoire*; 片野 進; T.Janssen*; B.Hennion*; Y.Vysochanskii*
Journal of Physics; Condensed Matter, 10(22), p.4811 - 4844, 1998/00
被引用回数:51 パーセンタイル:88.32(Physics, Condensed Matter)強誘電体SnP
Se
の中性子非弾性散乱による格子振動の研究と、長周期不整合構造によるサテライト反射の中性子散乱実験を行った。この結果、音響フォノンと光学フォノンのエネルギー分散関係が得られ、不整合構造相に近づくにつれて、横波光学モードが強くソフト化する(エネルギーが急激に低下する)ことがわかった。得られたフォノンの振舞はこの物質が示す常誘電相-不整合相-強誘電相という相転移に対応している。
片野 吉男; 大野 英雄; 勝田 博司
Journal of Nuclear Materials, 141-143, p.396 - 400, 1986/00
被引用回数:2 パーセンタイル:32.21(Materials Science, Multidisciplinary)核融炉への高熱負荷材料あるいは電気絶縁材料として窒化珪素(SiN
)は耐熱衝撃や電気絶縁特性が優れていることから有望視されている。しかし焼結時に用いる焼結助剤の安定性が、後の特性に影響を及ぼす。そこで本研究では電気伝導性に着目し、高温での焼結剤の挙動について電気伝導と微細組織観察から調べた。 市販のSi
N
焼結材を用い、空気中で700から1000
Cの温度範囲で電気伝導度を測定した結果、800
C付近で温度依存性に変化が認められた。つまり800
Cまでの活性化エネルギー30KCal/mol(126KT/mol)に対し800
C以上の高温領域では23KCal/mol(96KT/mol)とおよそ30%も減少した。この原因を走査電顕および透過電顕で微細組織を観察すると、焼結助剤に用いられているAl
O
粒界相のAlが加熱によってSi
N
粒内に拡散しているために生じた効果である事を明らかにした。
大野 英雄; 長崎 正雅; 石山 孝; 片野 吉男; 勝田 博司
Journal of Nuclear Materials, 141-143, p.392 - 395, 1986/00
被引用回数:3 パーセンタイル:40.66(Materials Science, Multidisciplinary)高強度・高じん性セラミックスと言われる部分安定化ジルコニアを核融合炉用電気絶縁あるいはRF窓材料として使用する場合、高温での相変態が問題となる。本研究では、ZrO-Y
O
系及びZrO
-MgO系部分安定化ジルコニアを様々な条件で作成し、その高温での相安定性を電気伝導度、X線及び中性子線回折、ならびにレザーラマン分光法で調べた。これらの結果、高温における相安定性は結晶粒径により大きく左右されることが明らかとなった。たとえば、3mol%Y
O
を含む部分安定化ジルコニアの場合、混合法で作成した焼結体(粒径5~10
m)の使用上限温度は約700Kであるが、共沈法で作成した微細粒子粉末(粒径1
m以下)焼結体は1300Kにおいても長時間安定性を示した。また、これらの材料の中性子およびイオン照射に伴う相安定性についてものべる。
鈴木 建次; 片野 吉男; 有賀 武夫; 浜田 省三; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 133-134, p.585 - 589, 1985/00
被引用回数:2 パーセンタイル:37.24(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉の第一壁材料では損傷組織に及ぼすヘリウムの影響が大きな問題になっているので、炭素量を0.15wt%まで含有する改良ステンレス鋼(PCA)におけるヘリウム気泡の析出挙動と炭素量との関係について検討した。1273および1373Kで30分間保持後急冷した試料に1.0MeVのヘリウムイオンを350および1023Kで約0.1dp(約2
10
ppm)のピーク値になるまで照射した。照射後、試料の損傷領域における組織を電子顕微鏡で観察した。1023Kでヘリウムイオン照射した炭素含有量の異なる改良ステンレス鋼における組織観察によれば、炭素含有量の増加に伴ってヘリウム気泡の直径は11nmから4nmと減少するのに反して数密度は2
10
/m
から4
10
/m
と増加する。これらの結果は炭素含有量が増加することによりヘリウム気泡の核生成が促進される結果、ヘリウム気泡の成長を抑制することを示している。
有賀 武夫; 片野 吉男; 鈴木 建次; 池田 裕二郎; 中村 知夫; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 133-134, p.667 - 670, 1985/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉炉物理用中性子源の14MeV中性子を室温で3.010
/n
まで照射した純バナジウム試料中の欠陥集合体の分布を電子顕微鏡で観察し第1次ノックオン原子(PKA)のエネルギー分布との関係を調べた。欠陥集合体は、孤立した3~15nmのものと70nmの大きさの領域に数個のサブカスケードに分割した大きさ5~15nmの集合体が特徴的に観察された。集合体の数密度は2
10
/m
であるが、個々のカスケード(1つのPKAに起因)としてはその1/2程度である。これは3
10
/m
まで照射したバナジウム中のPKA密度の約1/4に相当する。さらに、最も頻度高く観察された10~15nmの大きさの集合体は、2体衝突近似の格子照射損傷計算の結果から、約20KeVのPKAによるものと推定され、典型的なサブカスケードに分割した集合体は100~数百KeVのPKAに起因している。これはPKAのエネルギー分布で100~400KeVのPKAが約50%を占めることと顕著な相関を示すものと認められた。
片野 吉男; 有賀 武夫; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 132, p.32 - 40, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.21(Materials Science, Multidisciplinary)ステンレス鋼へのN-イオン照射効果については、既に照射によるボイドスエリング挙動(J.Nucl.Mater 103-104(1981)1053)及び深さ分布挙動(同誌122-123(1984)191)をそれぞれ発表して来たが、本研究では、照射による析出効果について電子顕微鏡により組織観察で調べた。1.1MeVのN-イオンを照射温度803Kで照射量60dpaまで行なった。この時損傷ピーク位置おける照射速度は約0.3at%/dpaである。照射量20dpaの組織観察では、クランクループ上又は母相中に微細な析出物が観られ、電子線回折(SAD)の結果'相の回折斑点が認められ、X-線分析(EDS)により、それらは、Ni及びSi偏析による
'相(Ni
Si)であることがわかった。更に照射量を42および60dpaにすると、各々の照射量と共に板状折出物が観察され、それぞれ析出物の平均径は18nmおよび28nmであった。又数密度は、照射量に依存せず、約7.4
10
/m程度である。この板状析出物はSAD及びEDSの解析によりCrN相であることがわかった。このようにステンレス鋼へのN-イオン照射では高密度の
'相やCrN相の照射析出が起こることが明らかとなった。
鈴木 建次; 片野 吉男; 有賀 武夫; 白石 健介
JAERI-M 84-181, 37 Pages, 1984/10
エネルギーの高いイオンで照射した材料における照射損傷領域の組織観察法は材料の照射損傷を研究する上で有用な手段である。組織変化に及ぼす照射量の影響を解明するために、均質かつ時間的に安定なプロフィルを有するイオンビームが必要となる。2MVバンデグラフ加速器のセンターダクトにおけるイオンビームは上述の条件を比較的容易に満し得るけれども、装置の設置に対する許容空間は少ない。このため、大型装置と同様に排気、試料の加熱およびイオン電流密度の計測などができる小型イオン照射装置を製作し、得られる照射条件の検討を行った。その結果、本照射装置は材料の照射試験に充分使用できることがわかった。
有賀 武夫; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 122-123, p.1401 - 1405, 1984/00
溶体処理後923kで11,000h時効処理をした316及び316+0.58w/0Tiの析出相の組成分析を行った。316鋼では多種類の析出相が観察され、これらにはMo,Si,Crが多く含まれている。すなわち、316鋼の母相ではMo,Si,Cr量が平均の値より少なくなっている。これに対し、316+Ti鋼では、mC型の炭化物のみが生じ組成に大きな変化は認められない。これらの試料に973kでピーク値で510
appmのHeを注入した後電子顕微鏡組織を観察した。時効した316鋼では、非常に小さい気泡が数多く生じており、これらの気泡によるスエリング量は0.3%で、比較のためHeを注入した溶体化処理のままの316鋼のスエリング量の2%に比べて、非常に小さい。これに対して、時効処理をした316+Ti鋼ではかなり大きな気泡が生じ、この気泡によるスエリングは5.5%と非常に大きい。このことは、ステンレス鋼中の気泡の生成・成長は材料組成の局所的な変化に対して非常に敏感であることを示している。
有賀 武夫; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 122-123, p.191 - 195, 1984/00
溶体処理をした316ステンレス鋼に803kで10dpaまで炭素イオン照射をすると、イオンの入射表面から0.35および1.3mの距離に、それぞれ、0.02および0.002%のスエリングピークが現われ、0.5~0.8
mの間はボイドが生じない。なお、計算によるはじき出し損傷のピーク位置は0.83
mにある。照射量を42dpaに増やすと試料表面に近い方のピークは0.5
mの位置で約20%と非常に大きくなる。窒素イオンを、この温度で、42dpaまで照射した試料でも、0.4~0.5および1.1~1.2
mの位置にスエリングピークが現われ、0.7~1.1
mの間にはボイドが生じない。これに対して、923kで炭素イオンを10dpaまで照射した試料には0.5~0.6
mの位置に0.07%のスエリングピークが現われるにすぎない。これらの現象は、入射イオンの照射欠陥と結合した拡散によって説明できる。
實川 資朗; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(9), p.671 - 677, 1984/00
被引用回数:14 パーセンタイル:78.81(Nuclear Science & Technology)照射下に於けるミクロ組織の変化に対する外力の効果を調べるために、超高圧電子顕微鏡を用いて電子線照射下の純ニッケル中のミクロ組織変化を試料引張ステージを用いて、その場観察してみた。照射温度は723K,電子線束は110
e/m
sとした。外力が加わっている試料では、照射により生じたフランク・ループが、10nm程度にまで成長するとUnfaultすることが観察された。外力を加えていない試料中に発生したフランク・ループも外力が加えられるとUnfaultした。Unfaultを生じさせ得る外力の大きさは、照射温度723Kのとき、
112
Unfault方向の剪断応力で、3.7MPa以上であることがわかった。Unfaultして生じた完全転位ループの成長速度は、フランク・ループのそれより3倍程度と大きかった。外力の加わっている試料中に於いては、これらの完全転位ループは、その大きさがある大きさを越えるまで成長すると、すべり運動をして拡がった。
白石 健介; 有賀 武夫; 片野 吉男
Journal of Nuclear Materials, 103-104, p.1053 - 1058, 1981/00
イオン照射における試料表面の効果および注入されるガス原子の影響を調べるために、316ステンレス鋼に723Kから923Kの温度範囲で20dpaまで窒素イオンを照射した。803Kで14dpaまで照射した試料には試料表面から0.35mまでの範囲にはボイドが生じないし、0.5
m程度までは試料表面の影響を受ける。この試料の異常に大きな表面効果は照射した窒素イオンの影響によると考えられる。注入した窒素が少ない場合には窒素はボイドの生成を抑えスエリングを少なくする。しかし、照射温度が高くなると窒素は気泡として析出するのでボイドの生成を助け、スエリングが大きくなる。803Kの照射では注入した窒素量が0.1%となる15dpaを超えるとスエリングが急激に大きくなる。また、注入した窒素は照射誘起析出の生成核として作用する。すなわち、803Kで14dpaまで照射した試料には、非照射の熱処理では観察されない、
'相が観られる。この
'相には珪素が析出していることを確認した。
菱沼 章道; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 15(9), p.690 - 696, 1978/09
被引用回数:7オーステナイト鋼のボイドスウェリングの機構を明らかにするために、市販の316-ステンレス鋼およびハステロイ-Xに対応する高純度Fe-(v-Ni合金を試作し、そのスウェリング挙動を調べた。照射は超高圧電子顕微鏡を使って、1MeVの電子線を300~600Cの温度範囲でおよそ30dpaまで行った。Ni基合金のスウェリングは同じ条件で照射したFe基合金に較べて小さい。それは生成するボイドの数と大きさが共に小さいためである。鉄基合金のボイド生成核はそのまわりに溶質原子であるNiの偏析による歪場によって安定化され容易にボイドへ成長する。いっぽうNi基合金ではそのような偏析が起らないため、ボイドの生成核は不安定であり、そのままでは成長しにくい。とくに高温(2500
C)照射で生じるボイドの数は極端に小さくなる。またFe基合金のボイドの成長はNi基合金に較べて早いのは、照射によって生じた転位の上昇運動が前者の方がより活発であるためである。
菱沼 章道; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 15(4), p.288 - 295, 1978/04
被引用回数:6ハステロイ-Xを超高圧電子顕微鏡を使って、400~600Cの温度範囲でおよそ40dpaまで電子線照射して、そのスウェリング挙動を調べた。ハステロイ-Xのスウェリングはすべての温度で同じ照射量の316-ステンレス鋼に比べて小さく、それはボイドの大きさが小さいためである。その原因はボイドが生成するまでの照射時間(潜伏時間)が長いこと、および転位の上昇運動が遅いためである。潜伏時間はボイドの生成核の安定度に依存する。すなわちハステロイ-Xでは316-ステンレス鋼に観られるような溶質原子のボイド生成核の表面への偏析による安定化が起こらないための転位密度が充分大きくなるまでボイドの生長が起こらない。ボイドの安定度はまた空孔の過飽和度の小さい温度領域でボイドの数密度に強く影響をおよぼし、高温(600
C)での非常に小さいスウェリングの原因となる。
菱沼 章道; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 14(10), p.723 - 730, 1977/10
被引用回数:14溶体化処理した316-ステンレス鋼を加速電圧1MVの超高圧電子顕微鏡を用い、370-630Cの温度範囲で約30dpaまでの電子線の照射によるボイドスウエリングの照射量および照射温度依存性を調べた。 照射量が約5dpaを超えるとボイドの密度と転位密度は一定となり、
V/V=A(dpa)
の実験式で表される。照射温度が高くなるにつれて指数nは増加し、比例定数Aは減少する。照射温度が550
Cの場合、指数nは1.5である。これはボイドの成長が空孔子の拡散によって支配されているためである。高温(
550
C)では、空孔子のボイド表面での反応がボイドの成長を規制し、nは1.5よりも大きくなる。また低い照射温度(≦550
C)でのボイドの成長は転位の影響を受け、nの値は1.5よりも小さくなると考えられる。照射量が30dpaのときスウエリングが最大となる照射温度は570
Cである。この温度は照射量が多くなるにつれて高温側にずれる。
菱沼 章道; 片野 吉男; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 14(9), p.664 - 672, 1977/09
被引用回数:11超高圧電子顕微鏡の中で厚さの異るステンレス鋼を550Cで電子線照射し、ボイドの生長の様子を連続観察した。バルクの性質を示す1.5
mの厚さの試料では、ボイドはおよそ4dpa程度の照射量でボイドとして観察されるがその時はすでにボイドの密度は飽和に達っしている。さらに照射を続けても新たに生成するボイドは極くわずかで、ボイド同士の合体によってむしろその密度は減少する。スウエリングはおよそ30dpaまで照射量の1.5乗に比例して増加する。いっぽう0.4
mの厚さのうすい試料では、ボイドの密度はおよそ25dpaまで照射量と共に増加する。また、試料表面近くで成長したボイドは試料表面で消滅するため、みかけのスウエリング量は飽和する傾向がある。挙動の厚さによる違いは、照射によって生じる空孔子点、格子間原子および転位の大きな消滅源としての作用が、うすい試料の表面ではより大きいためと考えられる。
菱沼 章道; 片野 吉男; 深谷 清; 白石 健介
Journal of Nuclear Science and Technology, 13(11), p.656 - 662, 1976/11
被引用回数:8超高圧電子顕微鏡を用いて電子線照射したステンレス鋼に生ずる照射欠陥の様子を照射温度および照射量の関数として連続観察した。300C以下の照射温度では転位ループは大きく成長しないが、照射温度を400
Cに上げると六角形をしたフランク型,ダイヤモンド型転位ループと複雑な形をしたフランク型の転位ループが観察された。ダイヤモンド型転位ループは照射量と共に大きく成長し、転位線から転位鋼に発達する。いっぽうフランク型転位ループは一度完全転位ループとなり転位線へと変化する。500
Cで数dpa照射した試料では転位ループと歪のコントラストを持ったボイドの生成核が観察された。さらに照射すると転位ループは急激に成長し転位鋼を形成する。いっぽうボイドは照射量と共に成長するがその数はほとんど変らない。また500
Cでの照射では粒界の移動が観察された。
白石 健介; 深谷 清; 片野 吉男
JAERI-M 6214, 20 Pages, 1975/08
JRR-2を用いて高温(約600C)で8.0
10
n/cm
まで高速中性子照射したモリブデンの室温における引張性質の照射および照射後の熱処理による変化の様子を電子顕微鏡の変化と関連させて調べた。この中性子照射によって約4kg/mm
の硬化が生じるが、これは照射中に生じた直径50A程度の転位ループによるものである。照射した試料を800
Cで1時間熱処理すると3
10
/cm
の密度で小さなボイドが生成し、このボイドによって18kg/mm
の硬化が生じる。照射後の熱処理の温度を1000
C以上に上げるとボイドは成長し、その密度は減少する。1200
Cで1時間熱処理した試料には3
10
/cm
の密度で比較的大きなボイドが観られるが、この試料の硬化量は照射したままの試料の硬化量とほぼ同程度である。なお、800
Cから1200
Cの温度範囲で熱処理した試料には比較的大きな転位ループとやや不均一に分布したボイドが観察される。
白石 健介; 深谷 清; 片野 吉男
Journal of Nuclear Materials, 57(3), p.361 - 364, 1975/03
被引用回数:14高温(約600C)で8.0
10
n/cm
まで高速中性子照射したモリブデンの室温における引張性質の照射および照射後の熱処理による変化の様子を電子顕微鏡組織の変化と関連させて調べた。照射したままの試料には比較的大きな転位ループと小さな照射欠陥集合体とが観察され、これらの欠陥によって約4kg/mm
の硬化が生じる。この試料を800
Cで1時間熱処理すると3
10
/cm
の密度で小さなボイドが生成し、18kg/mm
の硬化が認められる。照射後の熱処理温度をさらに上げるとボイドは大きくなりその密度は減少し、これにともなって硬化量も減少する。1200
Cで1時間熱処理した試料には3
10
/cm
の密度でボイドが観られるが、この試料の硬化量は照射したままの試料の硬化量と同程度である。なお、800
Cから1200
Cの温度範囲で熱処理した試料には比較的大きな転位ループとやや不均一に分布したボイドが観察される。
菱沼 章道; 片野 吉男; 深谷 清; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 55(2), p.227 - 228, 1975/02
被引用回数:2原子炉材料で重要な問題となっているボイドによるスウェリングの現象を超高圧電子顕微鏡を利用して模擬実験を行なっているが、そこで重要な現象を見出した。ステンレス鋼を電子顕微鏡の中で照射しながら(照射湿度、550C)観察すると、比較的短時間にボイドは急激に形成されるが、まもなくその数は飽和し(約3
10
cm
)、ほとんど増えなくなる。その後照射を続けてもすでにあるボイドが成長するだけである。しかし照射を一時止め短時間(約15分間)時効して再び照射を始めると、ボイドの数はまた急激に増加することがわかった。この新しいボイドは時効中に核生成するものと考えられる。この現象は実際の原子炉でも重要であると考えられる。
白石 健介; 菱沼 章道; 片野 吉男
Radiat.Eff., 21(3), p.161 - 164, 1974/03
中性子照射したAl-Li合金にはHeの気泡が観られる。気泡の中の圧力が平衡圧より高い場合には、200KVの電子顕微鏡で試料の温度を200Cに上げて観察中に気泡の周囲に転位ループの列が生成する。
110
方向に並んだ転位ループは{111}面に載っており、a/2
110
のバーガース・ベクトルをもっている。加速電圧1000KVの超高圧電子顕微鏡による観察では、この転位ループ列の生成は50
Cの温度で短時間におこる。転位ループは、電子線照射によって生じた空格子点が歪の最も大きい気泡の表面近くで{111}面上に析出し、気泡による歪場によってa/2
110
のバーガース・ベクトルをもった完全転位ループになることによって生成すると考えられる。また、転位ループの列は過飽和に存在する空格子点に助けられた
110
方向への転位ループの辷りによるものであると考えられる。