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高柳 智弘; 杉田 萌; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 小野 礼人; 山本 風海; 金正 倫計
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 32(6), p.4101405_1 - 4101405_5, 2022/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Engineering, Electrical & Electronic)パルス電磁石を高精度に設計するためには、励磁するパルスパターン形状に依存して発生する渦電流の効果を正確に確認する必要がある。渦電流の効果の違いによってコイルに流れる電流分布は変わるため、その結果、磁場分布の変動やコイルの発熱にも影響を与える。J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS)用の新型バンプマグネットを用いて評価試験を実施した。台形型のパルスパターンを用いて励磁し、磁場が変化するパターンの立ち上がり部と磁場の時間変化が無いフラットトップ部で磁場分布が異なることを磁場測定で確認し、励磁パターンと磁場分布の時間変化の関係性を明らかにした。これらの結果を使用することで、磁場分布の影響を受ける入射ビームの軌道制御に対しても高精度なコントロールが可能となり、また、励磁パターンのパルスの時間幅、発熱対策、且つ、コイル形状の最適化も可能になった。ここでは、実施した試験の結果、評価・検証の結果を紹介する。
山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09
被引用回数:1 パーセンタイル:75.92(Nuclear Science & Technology)J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。
地村 幹; 原田 寛之; 金正 倫計
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2022(6), p.063G01_1 - 063G01_26, 2022/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Physics, Multidisciplinary)高強度イオンリニアックの低エネルギー領域では、強い空間電荷場により、わずか数メートルの距離でビームエミッタンスが急速に増大する。このビームエミッタンスの増大は、ビーム損失や装置の放射化につながり、加速器機器の定期保守やビーム強度増強の際に大きな問題となる。本研究では、3次元粒子追跡シミュレーションと理論的考察に基づいて、空間電荷場によるビームエミッタンス増大の要因を調べた。J-PARCのリニアックをモデル化した数値シミュレーションによって、空間電荷場の非線形項が直接ビームエミッタンス増大とビームハローの形成を引き起こすことを明確にした。また、空間電荷場の非線形項の一つとして生じる八極磁場を用いて、ビームエミッタンス増大を緩和する方法を世界で初めて提案した。この方法をシミュレーションに適用し検証した結果、ビームエミッタンス増大を有意に緩和することに成功した。
山田 逸平; 和田 元*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Journal of Physics; Conference Series, 2244, p.012077_1 - 012077_6, 2022/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.33J-PARCのような大強度加速器の安定な運転には、非破壊型モニタを用いたビームの常時監視によるビーム損失の低減が重要である。これまでの研究にて、ガスシートとビームの相互作用を利用する非破壊型プロファイルモニタを開発し、その有効性を実証した。開発したモニタはシートガスの密度を広い範囲で制御できるほか、ビーム誘起蛍光を直接カメラで検出するため、任意の露光時間に設定することで容易に信号の平均化が可能である。この特性を利用したビームプロファイルの時間発展測定の可能性を検証した。ビームパルス50sに対して1
s刻みにビームプロファイルを測定した結果、ビームプロファイルは先頭の10
sで大きく変化しており、その後安定することを明らかにした。また、このプロファイルの時間発展は初段の高周波加速空洞であるRFQのフィードフォワード制御に依存することも明らかにした。以上から、今後のJ-PARCビームの安定化に新たな指標を提案できる可能性を見出した。
小野 礼人; 高柳 智弘; 杉田 萌; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計
JAEA-Technology 2021-044, 53 Pages, 2022/03
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の3GeVシンクロトロン加速器には、1MWの大強度ビームを生成するために開発された電磁石用の電源装置が多数配置されている。これらの電源装置は、陽子ビームの軌道制御の要求に合わせて専用に開発されており、多種多様な出力波形の形式、定格仕様、更には異なる筐体のサイズや電源回路で構成されている。J-PARCは、運転を開始してから10年が経過し、経年劣化を原因とする故障から部品の交換や機器の更新の必要性が生じている。それら機器のトラブルを未然に防ぐことが出来れば、ユーザーの利用時間を計画通り確保でき、成果の最大化に資するとともに、さらには加速器を運用する運転員への負担を軽減することができる。メンテナンスとは、機器を正常な状態に保つことであり、メンテナンスによって故障個所や経年劣化部分を早期に発見して整備することにより、機器の寿命を延ばすことが可能である。本報告書では、電磁石電源グループで実施しているメンテナンス作業の事例を基に、メンテナンス時に必要な手続き、資格等が必要な作業とその注意点、作業を安全に行うための手順書、リスクアセスメントといった資料の作成方法等について報告する。
勅使河原 誠; 中村 充孝; 金正 倫計; 曽山 和彦
JAEA-Technology 2021-022, 208 Pages, 2022/02
J-PARCの定格出力1MWの物質・生命科学実験施設において、今後の具体的かつ現実的な高度化戦略を展開するため、線源性能に大きく影響する加速器技術(リニアックおよびRCS)、線源技術、中性子・ミュオン輸送技術、検出技術、そしてそれらが結実する中性子・ミュオン ビーム利用装置等の現状(所期設計値に対する到達度)について整理した。さらに、現状分析に基づき出力増強に向けた改良点等について報告する。
杉田 萌; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 高柳 智弘; 小野 礼人; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.641 - 644, 2021/10
J-PARCの3GeVシンクロトロン(RCS)では、水平シフトバンプ電磁石を用いて線形加速器からの入射ビームをRCSの周回軌道に合流する入射バンプ軌道を生成する。バンプ電磁石の励磁パターンは台形型のパルス波形で、立ち上がり・立ち下がり部の時間とフラット部の時間を、それぞれ150-500マイクロ秒と100-800マイクロ秒の間で変更可能である。このパルス波形をビームの要求条件に合わせることで必要な入射バンプ軌道をつくり、25Hzの繰り返し入射によって1MW大強度ビームを生成する。1MW大強度ビームの運転に際してはビームロスによる放射化の低減が求められ、そのためにはバンプ電磁石の磁場分布を0.2%以下の精度で測定し、高精度な入射バンプ軌道を確立する必要がある。そこで、バンプ電磁石への速いパルス励磁に対応できる高速応答性に優れた磁場測定器の選定評価試験を実施した。計測原理が異なる3種の磁場測定器(磁束計,ホールプローブ,積分型磁束計)を用いた比較検証を行ったところ、積分型磁束計の測定誤差が最も小さく、バンプ電磁石の磁場測定に適していることが分かった。
小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.831 - 834, 2021/10
J-PARCでは、直線型加速器の高周波加速用クライストロン電源のクライストロン短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用半導体クローバースイッチを開発している。1枚当たり、3kV, 40kA, 50sの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。制御電源供給には、120kVを想定し、各基板モジュールに充電される高電圧を利用する自己給電システムを採用している。このオーバル型基板モジュール10枚を10直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/4スケール(30kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。
高柳 智弘; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 杉田 萌; 富樫 智人; 山本 風海; 金正 倫計
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.53 - 57, 2021/10
J-PARCの3GeVシンクロトロン(RCS)キッカー電源を代替する半導体スイッチ電源の開発を進めている。パワー半導体の素子には、現在の主流であるシリコン(Si)製より高周波特性に優れ低損失なシリコンカーバイド(SiC)製の半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を採用し、回路基板の主要な部分は、低ノイズと低インダクタンスを実現した放射対称型のLinear transformer driver(LTD)回路で構成した。また、電源全体は、既存のキッカー電源の機能を有する回路に新たに追加する周回中の大強度ビームの誘導電流低減を目的として反射波吸収回路を1枚のモジュール基板で実装する主回路基板と、フラットトップの時間的一様性を要求仕様に合わせて補正する低電圧出力の補正基板の2種類の組み合わせで構成する。今回、1.7kVのSiC-MOSFETを使用した主回路基板を32枚と、100VのMOSFETによる補正基板を20枚使用し、キッカー電源として必要な定格40kVの出力を実現した。評価結果について報告する。
Saha, P. K.; 原田 寛之; 米田 仁紀*; 道根 百合奈*; 渕 葵*; 佐藤 篤*; 柴田 崇統*; 金正 倫計
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.656 - 660, 2021/10
We have significant progress on the preparation of POP (proof-of-principle) demonstration of 400 MeV H stripping to proton by using only lasers at J-PARC RCS. The motivation of this research is to establish H
charge-exchange injection by using lasers instead of a stripper foil conventionally used at present. A short foil lifetime and residual radiation caused by the foil scattering beam loss are extremely serious issues, especially at high-intensity operation. The R&D of the laser system is in good progress through experimental studies for 3 MeV H
beam at present. We developed a multi-reflection laser cavity system to reduce the seed laser power, which was also successfully tested for 3 MeV H
beam neutralization in July, 2021. Further development of the whole laser system is continued to start the POP demonstration study in 2022.
吉本 政弘; 仲野谷 孝充; 山崎 良雄; Saha, P. K.; 金正 倫計; 山本 春也*; 岡崎 宏之*; 田口 富嗣*; 山田 尚人*; 山縣 諒平*
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.850 - 854, 2021/10
J-PARC 3GeVシンクロトロン加速器(RCS: Rapid Cycling Synchrotron)では、大強度陽子ビームを実現するために荷電変換フォイルを用いた荷電変換ビーム多重入射方式を採用している。この入射方式では、リニアックから入射される負水素ビームが荷電変換フォイルを通過する際に陽子に変換され、周回ビームに重ねることができる。そのため、ビームサイズを広げずに大強度ビームを蓄積することができる。一方で、ビーム入射期間中は、リニアックからの負水素ビームとRCSで周回する陽子ビームの双方がフォイルを通過するため、荷電変換フォイルのビーム照射に対する耐久性能の向上は大きな課題となっている。RCSでは、ホウ素を添加した炭素電極によるアーク放電法で製膜した薄膜(Hybrid type thick Boron-doped Carbon: HBC)を荷電変換フォイルとして用いている。HBCフォイルは、ホウ素を添加することで従来の純炭素薄膜と比較してビーム照射に対する寿命の向上に成功し、RCSにおいてもビーム強度700kWでの長期間利用運転及び1MWでの2日間連続運転試験で壊れることなく使用できることを示した。我々は、ホウ素添加によりビーム照射耐久性能が向上するメカニズムを明らかにし、さらなる長寿命化に向けたフォイルの実現を目的とし、量子科学技術研究開発機構(QST)高崎・イオン照射施設(TIARA: Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application)のイオンビームを用いた照射試験を行ってきた。これまで、ホウ素の添加量やカソード・アノード電極に使用するホウ素添加炭素電極と純炭素電極の組み合わせにより、イオンビーム照射による寿命が異なることが分かってきた。本報告では、ビーム照射試験の結果からHBCフォイル内のホウ素の役割に関する考察について報告する。
小野 礼人; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計
JAEA-Technology 2021-005, 40 Pages, 2021/05
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の3GeVシンクロトロン加速器には、1MWの大強度ビームを生成するために開発された電磁石用の電源装置が多数配置されている。これらの電源装置は、陽子ビームの軌道制御の要求に合わせて専用に開発されており、多種多様な出力波形の形式,定格仕様、更には異なる筐体のサイズや電源回路で構成されている。J-PARC用に開発されたこれらの電源装置には世界最先端の技術が集約されており、故障が少ない安定した運転、かつ故障時に大きなトラブルに発展しない安全な機器として運用するためには、新しい装置として特徴を良く理解した適切かつ的確な管理により機器装置の性能を維持しなければならない。しかし、それぞれの装置の仕様や機能は異なっており、更には製作メーカーも違っているため、装置の構造・構成・特徴に合わせた維持管理手法が必要である。維持管理の手法は大きく分けて3つのタイプがある。機器・部品の劣化による交換や後継機種への更新を目的とした週・月・年ごとに実施する「メンテナンス」、運転中の装置の状態を常時監視し、異常・異変の有無を確認する「日常点検」、突発的な故障の修理を目的とした「トラブル対応」に分類できる。本報告書では、電磁石電源グループで実施している保守管理の事例を基に、「メンテナンス」、「日常点検」、「トラブル事例」の内容を紹介する。特に、修理などの交換作業を容易にするアイデアを含めた作業管理手法、および装置の構成・構造・特徴に依らない、電源の保守作業時に必要な注意すべき点を整理して報告する。
山田 逸平; 和田 元*; 守屋 克洋; 神谷 潤一郎; Saha, P. K.; 金正 倫計
Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 24(4), p.042801_1 - 042801_13, 2021/04
被引用回数:2 パーセンタイル:55.26(Physics, Nuclear)大強度加速器のビームを測定するためには非破壊型モニタが必要である。本研究ではビーム誘起蛍光を利用した横方向ビームプロファイルを測定する非破壊型モニタを開発した。開発したモニタは希薄気体力学の技術を利用してシート状に形成したガスを導入し、ビーム照射により発生した蛍光像を検知することで、二次元プロファイルの測定を可能とする。このモニタから得られる信号をビームプロファイルに変換するための近似手法もあわせて考案した。このモニタおよびプロファイル変換手法をJ-PARCの3MeV水素負イオンビームのプロファイル測定に適用した。その結果、開発したモニタで得られたビームプロファイルは既存のプロファイルモニタであるワイヤスキャナモニタで得られたものと一致した。また、ガスシート導入によるビーム損失の評価として、ビーム電流の減少率を測定した。その結果、ビーム減少率はガス導入流量と比例し、0.004% 2.5%の電流値の減少が見られた。さらに、開発したモニタはJ-PARCビーム1パルス中のプロファイル変化を測定できる可能性を持つことを示した。
山本 風海; 長谷川 和男; 金正 倫計; 小栗 英知; 林 直樹; 山崎 良雄; 内藤 富士雄*; 吉井 正人*; 外山 毅*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011016_1 - 011016_7, 2021/03
J-PARC施設は量子ビームを用いた様々な科学実験を行うために建設された。施設はリニアック, 3GeVシンクロトロン(RCS),主リング(MR)の3つの加速器とRCSおよびMRからビームを受ける実験施設群で構成される。J-PARCは、物質生命科学実験施設(MLF)において中性子を用いたユーザー利用運転を2008年12月より開始し、東日本大震災やハドロン実験施設における放射能の管理区域外へのリーク、中性子ターゲットの破損などによる比較的長期の中断を挟みながらも現在まで10年以上運転を継続してきた。これまでの加速器の運転統計データから、特に大きなトラブルが無ければ、MLFの運転稼働率は90%程度、MRがビームを供給するハドロン実験およびニュートリノ実験は85%程度の稼働率が確保できていることを確認した。また、近年ではイオン源の寿命が延びたことでその保守日数が低減され、その分運転日数に余裕を持つことができるようになった。そのため、トラブル発生時にその予備日を運転に回すことができ、稼働率はさらに改善している。運転中の停止頻度も、2018年夏にリニアックのビームロスモニタの設定を見直すことで劇的に低減することができた。
神谷 潤一郎; 古徳 博文; 引地 裕輔*; 高橋 博樹; 山本 風海; 金正 倫計; 和田 薫*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011023_1 - 011023_6, 2021/03
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の真空システムは、出力強度1MWのビーム運転においても安定にビームラインの真空を維持するために、運転開始から現在に至るまで綿密な保守を行う一方で各種高度化を続けてきた。広範囲で排気速度を保つターボ分子ポンプの主排気系への採用、ターボ分子ポンプのタッチダウントラブルを防ぐための長尺ケーブル化実施、極高真空領域まで計測可能な高精度真空計の導入、磁場遮蔽を兼ねた磁性材料真空容器の設置等である。そして、2018年の1MW出力でのビーム運転時のガス放出問題を受けて真空ポンプの増強を行い、2019年の1MWの10.5時間運転ではビームラインの圧力上昇は微小となり、真空を原因とするダウンタイムをなくすことができた。現在、高強度材料で回転数を上げたターボ分子ポンプの設計検討を行うなど、より高いビーム強度での多量の放出ガスへの対応策を進めているところである。本発表では、RCSの真空システムの10年間にわたる運転実績を総括するとともに、将来のより高強度なビーム運転を見据えた真空機器の高度化について発表する。
原田 寛之; Saha, P. K.; 金正 倫計
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011028_1 - 011028_6, 2021/03
近年、人類は宇宙に浮かぶ超巨大な原子核である中性子星に関する大きな発見をした。2010年に太陽の2倍の質量の中性子星を発見し、2017年には2つの中性子星が合体するときに発生する重力波を検出した。中性子星のような高密度物質を理解するために、高エネルギー重イオンビームを用いた実験研究が世界中で計画されている。大強度陽子加速器施設J-PARCは、400MeVリニアック, 3GeVシンクロトロン,主リングシンクロトロンの3つの加速器で構成されている。それらの加速器はMW級の大強度陽子ビームを標的に供給し、標的衝突後に生成される2次粒子ビームは様々な最先端の実験や研究に利用されている。このJ-PARCの大強度能力を最大限に生かすべく、重イオンビーム加速の検討を実施している。我々は世界最高強度に到達しうるJ-PARCにおける重イオンビームの加速スキームを提案する。本発表では、J-PARCにおける重イオンビームの加速スキームを紹介する。
原田 寛之; Saha, P. K.; 米田 仁紀*; 道根 百合奈*; 渕 葵*; 佐藤 篤*; 金正 倫計
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011026_1 - 011026_6, 2021/03
炭素膜を用いた荷電変換入射は、世界中で大強度陽子加速器で採用されている。それは、パルス型陽子ビームを大強度で生成する画期的な方法ではあるが、大強度がゆえに大きな課題がある。一つ目の課題は、陽子ビームの通過時もしくは衝突時に生じる膜の変形や破壊による短寿命である。もう一つの課題は、膜で散乱された粒子のビーム損失よる高放射化である。それゆえに、炭素膜に代わる非衝突型の荷電変換入射がさらなる大強度化に必要となる。そこで、本研究ではレーザーのみを使用した荷電変換入射手法を新たに考案した。その新たな手法は、「レーザー荷電変換入射」と呼ばれる。この手法を確立するために、J-PARCでは原理実証実験を計画している。本発表では、J-PARCにおけるレーザー荷電変換入射の実現に向けたレーザーシステム開発の現状を報告する。
發知 英明; 原田 寛之; 林 直樹; 金正 倫計; 岡部 晃大; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 風海; 山本 昌亘; et al.
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011018_1 - 011018_6, 2021/03
J-PARC RCSは、2019年7月に、1MWの連続(10.5時間)運転に成功したところである。高出力かつ安定な利用運転を実現するためには、1.21.5MW相当の更に高いビーム強度でのビームの振る舞いを精査することが必要になるため、RCSでは、2018年の10月と12月に1.2MW相当の大強度試験を実施した。当初は、1
程度の有意なビーム損失が出現したが、チューンや横方向ペイント範囲を最適化することで、そのビーム損失を10
レベルにまで低減することに成功した。また、数値シミュレーションでその実験結果を精度良く再現することにも成功している。本発表では、実験結果と計算結果の詳細比較からビーム損失の発生や低減のメカニズムを議論する。また、近い将来実施予定の1.5MW相当の大強度ビーム加速の実現に向けた取り組みも紹介する。
Saha, P. K.; 原田 寛之; 金正 倫計; 米田 仁紀*; 道根 百合奈*; 渕 葵*; 佐藤 篤*; Liu, Y.*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011025_1 - 011025_7, 2021/03
We proposed and also preparing for a POP (Proof-of-Principle) demonstration of a completely non-destructive H stripping method by using only lasers at J-PARC. To reduce the laser power, which is one of the critical issues in this case, we have studied an extensive manipulations of the H
beam as well advanced uses of the lasers in this research. These includes utilizing a dispersion derivative of the H
beam to cope with its large momentum spread, while multi-pass laser system to utilize multiple interactions of the H
beam with lasers. We have estimated that the laser power can be reduced to more than one order of magnitude by applying a combination of these two methods. The detail simulation and experimental results of the H
beam manipulations as well as development status of the multi-pass laser system are presented in this paper.
高柳 智弘; 小野 礼人; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 富樫 智人; 山本 風海; 金正 倫計; 小泉 勲*; 川又 俊介*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011020_1 - 011020_6, 2021/03
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、ビーム加速後の取出しに使用するキッカー電磁石の電源に、真空管の一種であるサイラトロンを使用してきた。しかし、より高耐圧、低損失かつ、高周波特性に優れた次世代電力用半導体であるSiC-MOSFETを使用することにより、電源の安定動作,小型化、及び省エネ化の高度化を進めている。RCSキッカー電源で採用されているサイラトロンスイッチ、同軸ケーブルタイプのPFN回路、および、反射波吸収用のエンドクリッパー等の主要な回路は、パワー半導体と蓄積用コンデンサーなどを用いることで一枚の回路基板上に実装可能とした。この回路基板は、単一で800V/2kAを出力できるため、複数枚の回路基板を直列多段に積み重ねることにより、必要な高電圧パルスを出力する。回路設計の詳細と、40kV/2kAの目標仕様に対して半分の20kV/2kAの出力を達成した結果を発表する。