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増田 毅*; 真辺 健太郎
Journal of Radiological Protection, 44(3), p.031517_1 - 031517_8, 2024/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)HやCを含む有機物を体内に取り込んだ場合、一定の割合で無機物に代謝されて素早く排泄される。一方、有機物のまま残留したHやCは無機物に比べて生物学的半減期が長く、被ばく線量への寄与が大きい。そのため、有機物の代謝割合が線量評価上重要となる。しかしながら国際放射線防護委員会(ICRP)は、動物実験又は炭素の物質収支から代謝割合を設定している。そこで、重水素やCで標識した有機物をヒトに経口摂取させて代謝割合を測定した結果を参照して線量評価を行った。その結果、ICRPの線量係数は、H有機物については適切であったものの、C有機物については2倍程度保守的な評価であることが明らかになった。
吉富 寛; 真辺 健太郎; 越智 康太郎; 河野 恭彦; 佐々木 道也*; 吉田 浩子*
保健物理(インターネット), 58(2), p.105 - 111, 2023/08
2023年2月7日sim11日にムンバイ(インド)で、第6回アジア・オセアニア放射線防護会議(AOCRP6)が開催された。本稿では、会議の概要や一般講演内容等について報告する。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(5), p.656 - 664, 2022/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)内部被ばく線量は、評価対象の体格特性に依存することが知られている。標準的コーカソイドの体格特性に基づく人体モデルを用いて評価された国際放射線防護委員会(ICRP)の線量係数を日本人に適用するにあたっては、コーカソイドと日本人の体格特性の違いによる線量係数の変動幅について把握しておくことが重要である。本研究では、平均的成人日本人モデルに基づく既存の比吸収割合データ(SAF)に対しICRP 2007年勧告に完全に準拠した最新の線量評価手法に合致するよう追加計算を伴う修正を行うとともに、平均的な日本人体格特性を反映した実効線量係数を評価し、ICRPの線量係数と比較した。その結果、8割程度の摂取条件については差違が10%以内となった。ただし、一部の摂取条件では、臓器質量の違いや胸腔周辺の皮下脂肪量の違いにより、40%程度変動することが確認された。本研究により得られた知見は、ICRPの線量係数を異なる体格特性を持つ集団に適用する際に有用である。なお、本研究で整備した日本人SAFの電子ファイルは付録として公開される。
高橋 史明; 真辺 健太郎; 佐藤 薫
JAEA-Review 2020-068, 114 Pages, 2021/03
現在の日本国内の放射線安全規制は、国際放射線防護委員会(ICRP)による1990年勧告の主旨に基づいて制定されているが、ICRPはこれに置き換わる2007年勧告を公開した。そのため、原子力規制委員会の下に設置されている放射線審議会では、最新の2007年勧告の主旨を国内の規制へ取り入れるための検討を進めている。また、ICRPは2007年勧告に準拠する内部被ばく評価に用いる実効線量係数の公開も進めており、内部被ばくの評価法に係る技術的基準の見直しも想定される。現在のところ、作業者や公衆の内部被ばく防護のための濃度限度について、改正に必要な実効線量係数の全ては公開されていない。一方で、既に公開されている実効線量係数については、作業者の内部被ばく防護で重要な核種へ適用されるものも含まれる。そこで、ICRPが平成28年(2016年)から令和元年(2019年)にかけて発刊した「職業人の放射性核種摂取(Occupational Intakes of Radionuclides)シリーズ」のparts2、3及び4に基づいて、新しい実効線量係数及び基本となる線量評価モデルやデータをレビューし、現在の国内における内部被ばく評価法に係る技術的基準からの変更点を調査した。さらに、今後の2007年勧告を踏まえた内部被ばく評価法に係る技術的基準の円滑な改正に供するため、課題等を整理した。
廣内 淳; 渡嘉敷 雄士*; 高原 省五; 真辺 健太郎
JAEA-Research 2021-001, 284 Pages, 2021/03
日本原子力研究開発機構が開発した確率論的事故影響評価(レベル3PRA)コードOSCAARでは、国際放射線防護委員会(ICRP)の刊行物に基づいた内部被ばく線量係数を使用して公衆の被ばく線量が評価されている。内部被ばく線量係数に係るパラメータの一つである消化管吸収率には推奨値が与えられている。しかしながら、の値には不確かさがあると報告されており、その不確かさによって内部被ばく線量がどの程度の影響を受けるのかの調査は限られている。そこで本報告書では、の不確かさによる内部被ばく線量への影響を調査するため、体内での放射性核種の移行モデルを用いてを変化させた解析を行い、内部被ばく線量係数との関係式を導出した。関係式を求めた結果、半減期が半日以上の核種に対しては、内部被ばく線量係数はの1次関数で近似でき、半減期が半日未満の核種に対しては、の3次関数で近似できることを示した。
真辺 健太郎; 小山 修司*
Radiation Protection Dosimetry, 189(4), p.489 - 496, 2020/05
被引用回数:1 パーセンタイル:10.11(Environmental Sciences)核医学検査における被ばく線量の最適化において正確な内部被ばく線量評価が求められる場合は、個人の特性を考慮することが必要である。そこで、本研究では、個人の臓器質量を反映した吸収線量評価を簡易的に実施するため、基準となる人体モデルに基づく吸収線量を個人の臓器質量によりスケーリングする手法を提案し、その実効性をTcコロイドの静注投与及びI標識ヨウ化ナトリウムの経口投与に対する線量評価で検証した。Tc又はIがよく集積する組織・臓器の吸収線量について本手法による評価値と詳細な解析に基づく評価値を比較したところ、赤色骨髄のように体内に広く分布する組織・臓器では誤差が大きかったものの、肝臓や脾臓、甲状腺のような実質臓器については精度よく評価できることが確認でき、本手法の実効性が示された。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
BIO Web of Conferences (Internet), 14, p.03011_1 - 03011_2, 2019/05
被引用回数:1 パーセンタイル:69.92(Public, Environmental & Occupational Health)線量係数は放射性核種1Bq摂取当たりの預託実効線量であり、内部被ばくに対する線量評価や防護基準値の設定における基礎的な量である。本研究では、国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告に従う内部被ばく線量評価コードの開発の一環として、最新の線量評価用モデル・データを用いた線量係数計算機能を開発した。開発した機能の品質は、本機能による計算結果とICRPが公開している作業者に対する線量係数データベースの収録値を比較することにより検証した。本発表では、線量係数の比較結果や、今後の開発計画について報告する。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(5), p.385 - 393, 2019/05
被引用回数:4 パーセンタイル:37.41(Nuclear Science & Technology)高エネルギー加速器施設では、高エネルギー粒子と施設構造物、施設内の空気等との核反応によって様々な放射性核種が生成され、施設作業者に対する潜在的な内部被ばく源となる。しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)が公開しているICRP 2007年勧告に従う線量係数(放射性核種1Bq摂取当たりの預託実効線量)の中には、半減期が10分未満の短半減期核種は含まれていない。そこで、本研究では対応する元素の体内動態モデル等に基づき、このような短半減期核種の吸入摂取及び経口摂取に対するICRP 2007年勧告に従う線量係数を評価した。その結果をICRP 1990年勧告に従う線量係数と比較したところ、吸入摂取では線量係数が減少し、経口摂取では増加する傾向が見られた。こうした線量係数の変化は、線量計算手順の変更や消化管モデルの改訂等が原因であることが明らかになった。この結果は、高エネルギー加速器施設におけるICRP 2007年勧告に対応した放射線防護計画の立案に有用なものとなる。
真辺 健太郎; 松本 雅紀*
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(1), p.78 - 86, 2019/01
被引用回数:9 パーセンタイル:66.45(Nuclear Science & Technology)不溶性放射性セシウム粒子が体内に取り込まれると、粒子として体内を移行すると予想される。この場合、溶解性粒子のように無数の放射性核種の挙動を平均的に表現して核種の壊変数を評価する手法を適用することができない。そこで、粒子が体内を確率論的に移行する挙動を模擬する手法を開発し、不溶性粒子の特性を考慮した体内動態モデルを構築した。これにより、セシウム粒子1個の確率論的な体内挙動を考慮して、各組織・臓器における壊変数を評価し、それに基づき内部被ばく線量を評価することが可能となった。この手順を多数回繰り返し、不溶性放射性セシウム粒子の吸入摂取に対する預託等価線量及び預託実効線量の確率密度関数を評価し、その99パーセンタイル値、平均値等を通常のセシウムモデルに基づく評価値と比較した。その結果、摂取粒子数が1個で線量値がごく低い場合は、預託実効線量の99パーセンタイル値は従来モデルによる評価値の約70倍程度となったが、粒子の不溶性に起因する線量の不確かさは預託実効線量が1mSv程度の被ばくレベルでは無視できる程度に小さいことが分かった。
真辺 健太郎
保健物理, 52(1), p.35 - 38, 2017/03
平成28年11月2日に大阪科学技術センターで「保物セミナー2016」が開催され、150名の参加があった。今回のセミナーは、「防護量と実用量 最新の動向」、「福島から考えるこれからのリスクコミュニケーション」及び「低線量放射線のヒトへの影響」の3つのテーマで構成されていた。各テーマでは、その分野の著名な専門家により、最新の動向や問題解決に向けた提案等の講演があった。他に、原子力規制庁の専門官による「放射線障害防止法関係の最近の動向」と題する特別講演があり、最近のトラブル事象や立入検査の実施状況、IAEAの総合的規制評価サービスを受け入れた結果等が紹介された。セミナーでは、各講演に対して、現在あるいは今後に想定される課題について参加者より質疑があり、その解決策等に関する議論も展開された。本稿は、セミナーでの講演や議論の概要、各テーマ等に関する著者の所感を取りまとめたものである。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
JAEA-Data/Code 2016-013, 48 Pages, 2016/12
国際放射線防護委員会ICRPは、2007年勧告において、コーカソイドの身体的特性を備えた男女別のボクセルファントムに基づく等価線量の男女平均値に組織加重係数を適用し、実効線量を評価することとした。内部被ばくに対する線量評価で必須の比吸収割合SAFは、その算出に使用するファントムの体重や臓器質量に依存する。したがって、今後ICRPが公開する2007年勧告対応の線量係数(放射性核種1Bq摂取あたりの預託実効線量)は、コーカソイドの身体的特性が反映されたSAFに基づき評価され、かつ男女平均されたものとなる。一方、成人日本人は成人コーカソイドに比べて小柄であり、臓器質量の特徴も異なる。ICRPの線量係数を日本人の放射線防護の目的に利用するにあたり、人種による身体的特性の違いが線量係数に及ぼす影響について把握することは重要である。本研究では、平均的成人日本人女性ファントムJF-103を汎用放射線輸送計算コードMCNPX2.6.0に組み込み、67個の線源領域と42個の標的臓器の組合せについて、10keVから10MeVの範囲の25種類の単色光子及び電子に対するSAFを計算した。本報告書のデータと、先に公開した平均的成人日本人男性ファントムJM-103の光子及び電子SAFデータを用いることにより、光子及び電子以外の放射線を放出しない放射性核種の摂取に対し、成人日本人の平均的な特性を反映させた性別毎及び性平均の線量係数を算出するためのSAFデータが整備された。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 高橋 史明
JAEA-Data/Code 2014-017, 60 Pages, 2014/10
国際放射線防護委員会ICRPは、2007年勧告において、コーカソイドの体格、臓器質量のデータに基づく人体モデルを線量評価のための標準ファントムと定めた。標準ファントムは、内部被ばく線量評価においては、比吸収割合SAFの算出に用いられる。一方、成人日本人は、成人コーカソイドに比べ小柄であり、臓器質量の特徴も異なる。SAFは体格や臓器質量に依存するため、両人種間の身体的特性の違いが線量係数に影響を及ぼす可能性がある。そこで、平均的成人日本人男性ファントムJM-103を汎用放射線輸送計算コードMCNPX 2.6.0に組み込み、67個の線源領域と41個の標的臓器の組合せについて、10keVから10MeVの範囲の25種類の単色光子及び電子に対するSAFを計算した。また、本研究の計算結果とICRPの成人男性の標準ファントムによるSAFを比較して、成人日本人とコーカソイド間の身体的特性の違いがSAFに及ぼす影響を分析した。本研究で計算したJM-103のSAFは、成人日本人男性と成人コーカソイド男性の身体的特性の違いが線量係数に及ぼす影響を評価するための基礎データとなる。
佐藤 達彦; 真辺 健太郎; 浜田 信行*
PLOS ONE (Internet), 9(6), p.e99831_1 - e99831_10, 2014/06
被引用回数:9 パーセンタイル:35.70(Multidisciplinary Sciences)福島第一原子力発電所の事故以降、国内外で内部被ばくのリスクに関心が高まっている。放射性同位元素(RI)が細胞核内に取り込まれた場合、その内部被ばくのリスクと同じ吸収線量の線による外部被ばくのリスクの比(生物学的効果比、RBE)は、1を超える可能性がある。そこで、本研究では、粒子輸送計算コードPHITSを用いて、様々なRIが細胞核、細胞質及び細胞外に局在した場合の放射線挙動を詳細に解析し、ミクロレベルで見た吸収線量の空間的かつ確率的分布を計算した。その結果、福島原発事故で放出された主要なRI(Cs, Cs及びI)による内部被ばくと線による外部被ばくでは、ミクロレベルで見た吸収線量分布にほとんど差はなく、そのRBEは、バイスタンダー効果など最新の生物学的知見を考慮しても最大で1.04程度であることが分かった。この結果は、最新の国際放射線防護委員会(ICRP)による勧告の妥当性を証明するものである。
真辺 健太郎; 佐藤 薫; 遠藤 章
Physics in Medicine & Biology, 59(5), p.1255 - 1270, 2014/03
被引用回数:5 パーセンタイル:23.75(Engineering, Biomedical)国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年基本勧告では、実効線量の評価において、標準的なコーカソイドの体格特性に基づくファントムを用いることとしている。内部被ばく線量評価に用いられる比吸収割合(SAF)は、その算出に使用するファントムの体格特性に依存する。そこで、コーカソイドに比べて小柄で、脂肪量が少ない日本人の体格特性が内部被ばく線量評価に及ぼす影響を解析した。まず、平均的成人日本人ファントム(JM-103)を放射線輸送計算コードMCNPXに組み込み、内部被ばくの線量評価で重要な光子及び電子に対するSAFを計算した。ICRP標準成人男性ファントムの電子SAFは文献値を参照し、光子SAFはJM-103と同様に計算した。各ファントムのSAFを用いて、923の放射性核種の2894の摂取ケースに対する実効線量係数相当量(以下、実効線量係数と呼ぶ)を算出し、相互に比較した。その結果、両者の違いは最大で約40%となったが、97%のケースでは違いが10%以内であることが明らかになった。また、体格、臓器・組織の質量等の違いが実効線量係数に与えた影響を解析した。本研究により得られた知見は、コーカソイドの体格特性が反映されたICRPの実効線量係数を、異なる体格特性を持つ人種に適用する際に有用となる。
佐藤 薫; 真辺 健太郎; 遠藤 章
Radioisotopes, 61(6), p.315 - 320, 2012/06
放射線被ばくに対する線量評価では、体格・臓器質量が臓器線量に影響するため、評価対象者の体格特性を可能な限り考慮して線量を評価することが求められるケースがある。日本人は、西欧人よりも小柄であるため、その体格・臓器質量を反映したファントムの開発が求められていた。これまでに原子力機構では、ある特定の成人日本人のCT画像を利用して、Otoko, Onago, JM, JFと呼ばれる複数の男女のボクセルファントムを開発した。本研究では、JM, JFファントムをもとに、体格・臓器質量について、成人日本人の平均的な特性を持ち、かつ、ICRP 2007年勧告(ICRP Publication 103)において実効線量の算定で必要とされているすべての臓器を有する男性(JM-103)及び女性(JF-103)のボクセルファントムを新たに開発した。そして、JM-103及びJF-103について、光子に対する比吸収割合を計算し、Otoko, Onago, JM, JFによる値と比較した。その結果、各ファントムの光子吸収割合は、臓器質量に強く依存することを明らかにした。このことから、平均的成人日本人の体格を模擬したJM-103及びJF-103は、ICRP 2007年勧告に基づき、標準的な成人日本人に対する線量のための有効なツールと考えられる。
真辺 健太郎; 遠藤 章
Radioisotopes, 60(9), p.375 - 384, 2011/09
国際放射線防護委員会(ICRP)が、従来、線量計算に利用してきた放射性核種データICRP Publication 38 (ICRP38)と、2008年に新たに出版された放射性核種データICRP107を用いて、データの更新が作業者の経口摂取に対する線量係数に与える影響について調べた。また、報告者らが以前実施した吸入摂取に対する線量係数の分析結果とあわせて、放射性核種データの改訂が内部被ばく線量係数に及ぼす影響を総合的に検討した。774核種,876の化学形について経口摂取に対する線量係数を計算し比較した結果、線量係数が10%以上増加又は減少した化学形の数は、それぞれ68及び21であった。これらの比較的大きな違いを示した原因は、放出放射線のエネルギーの変化,放出される電子と光子のエネルギーの割合,壊変様式,半減期の変化等であった。これらの結果を吸入摂取に対する線量係数の分析結果と比較したところ、電子と光子のエネルギーの割合の変化は、経口摂取の方が、線量係数に及ぼす影響が大きいことがわかった。一方、線エネルギースペクトルの形状の変化は、吸入摂取の場合にのみ線量係数に影響を与えることが明らかになった。
真辺 健太郎; 遠藤 章
JAEA-Data/Code 2010-020, 148 Pages, 2010/11
現行の放射線障害防止法の告示等における線量係数,濃度限度等は、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告に基づいて整備されている。ICRPは、この1990年勧告に替わる新たな勧告(2007年勧告)を、2007年に公開した。2007年勧告は、実効線量の計算手順,計算に用いる組織加重係数,放射線加重係数等について改訂を行った。これらの改訂が、線量係数等の評価に与える影響を明らかにすることは、今後、2007年勧告を我が国の法令に取り入れるための検討を行ううえで重要である。本研究では、2007年勧告によって改訂された組織加重係数等に基づいて線量係数等を計算するとともに、1990年勧告に基づく線量係数等と比較し、違いの傾向とその原因を分析した。その結果、2007年勧告の方法に基づくと、吸入摂取に対する線量係数は、1990年勧告に基づく値に比べ減少する核種が多いこと、また、経口摂取に対する線量係数は、多くの核種においてほとんど変わらないことが明らかになった。さらに、線量係数の変化の原因としては、組織加重係数の改訂よりも、等価線量の計算方法の変更が大きく影響していることがわかった。
真辺 健太郎; 横山 須美
Applied Radiation and Isotopes, 68(3), p.418 - 421, 2010/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Inorganic & Nuclear)J-PARCの物質・生命科学実験施設の核破砕中性子源においては、水銀ターゲットの核破砕反応により、トリチウムが生成する。このトリチウムによる潜在的な内部被ばくに対する評価を行ううえで重要となるトリチウムの化学形について調べた。水銀ターゲット内でのトリチウムの生成を模擬するために、少量の金属リチウムを含む液体水銀試料を熱中性子ビームで照射した。リチウムの(n,)反応から生成するHTOとHTの比率と、試料中の水分含有量との関係を調べたところ、水分含有量の増加に伴い、HTOの比率が増加することが見いだされた。この関係に基づき、液体水銀ターゲットシステム内の気相の水分圧からHTOとHTの比率を評価するための式を導出した。この式を用いて、運転中の水銀ターゲットシステムの気相中のトリチウムは、約70%がHTOで存在することが予測された。
真辺 健太郎; 遠藤 章; Eckerman, K. F.*
Radiation Protection Dosimetry, 138(3), p.245 - 250, 2010/03
被引用回数:1 パーセンタイル:9.74(Environmental Sciences)新たに出版された放射性核種データICRP Publication 107(ICRP107)と、従来のデータICRP Publication 38(ICRP38)を用いて、放射性核種データの更新が線量係数に与える影響を調べた。DCALコードを用いて、90元素, 774核種, 1572ケースについて、職業人が放射性核種を吸入摂取した際の預託実効線量係数を計算した。ICRP107に基づく線量係数がICRP38に基づく線量係数に対して10%以上増加したのは98ケース、10%以上減少したのは54ケースであった。線量係数の違いは、壊変あたりに放出される全エネルギーの変更が主な原因であることが明らかになった。また、半減期、放射線の種類及び崩壊様式の変更も、線量係数の違いをもたらした。
横山 須美; 真辺 健太郎
JAEA-Research 2008-057, 29 Pages, 2008/06
J-PARCの物質・生命科学実験施設では、核破砕中性子源として、水銀ターゲットが使用される。水銀ターゲット中には、高エネルギー陽子と水銀との核破砕反応により、気相に放出されやすい放射性核種であるトリチウムやヨウ素が生成される。これらが施設内空気中に漏えいした場合、内部被ばくが発生する。しかし、被ばく線量評価に必要となるこれらの化学形や水銀から気相への移行挙動等、十分な知見が得られていない。そこで、本研究では、水銀ターゲット中で生成されるトリチウムとヨウ素に着目し、実験的にこれらの化学形及び気相移行挙動を明らかにし、内部被ばく防護の観点から考察を行った。この結果、トリチウムの場合、水銀中ではトリチウムガスとトリチウム水の両方の化学形が生成されるが、予想される水銀ターゲット容器内の気相条件下では、水として存在し、そのほとんどが水銀から気相へ移行すること、一方、ヨウ素は、ヨウ化水銀として存在し、気相へはほとんど移行しないことが明らかとなった。