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Tang, J.*; Seo, O.*; Rivera Rocabado, D. S.*; 小板谷 貴典*; 山本 達*; 難波 優輔*; Song, C.*; Kim, J.*; 吉越 章隆; 古山 通久*; et al.
Applied Surface Science, 587, p.152797_1 - 152797_8, 2022/06
被引用回数:11 パーセンタイル:69.49(Chemistry, Physical)水素貯蔵材料として重要な立方体形状Pdナノ粒子の水素吸収と拡散メカニズムをX線光電子分光とDFT計算を用いて調べた。表面領域では粒子の大きさによらず、ほぼ同様の水素吸収挙動を示した。四面体サイトよりも八面体サイトの水素占有率が大きいことがわかった。表面の乱れによってPd-H結合が弱くなるため、小さいサイズのPdナノ粒子に吸収された水素原子は、より活発に粒子内部に拡散することが分かった。これが低水素圧での水素吸着に重要な役割を果たしている。
Zhao, Y.*; Suzuki, T.*; Iimori, T.*; Kim, H.-W.*; Ahn, J. R.*; 堀尾 眞史*; 佐藤 祐輔*; 深谷 有喜; Kanai, T.*; Okazaki, K.*; et al.
Physical Review B, 105(11), p.115304_1 - 115304_8, 2022/03
被引用回数:1 パーセンタイル:6.98(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、時間・角度分解光電子分光を用いて、SiC基板上に作製したグラフェン層におけるキャリアダイナミクスについて調べた。光ポンピング後の準結晶グラフェンのディラックバンドでは、電子ドーピングに層依存性が観測された。また、光誘起キャリア輸送量は基板からの距離に依存することがわかった。フラット基板及びステップ基板上の単層グラフェンの結果から、キャリアの生成源は界面のステップ状態に由来することがわかった。本メカニズムは、密度汎関数計算による電子構造を基にした動的モデルにより記述できる。
深谷 有喜; Zhao, Y.*; Kim, H.-W.*; Ahn, J.-R.*; 吹留 博一*; 松田 巌*
Physical Review B, 104(18), p.L180202_1 - L180202_5, 2021/11
被引用回数:17 パーセンタイル:70.83(Materials Science, Multidisciplinary)2層グラフェンはねじれ角に応じて多彩な物性を発現する。30のねじれ角を持つ2層グラフェンでは、相対論的ディラックフェルミオンを有する二次元準結晶となる。本研究では、陽電子回折を用いて、SiC(0001)基板上に合成したグラフェン準結晶の原子配置を解明した。グラフェン準結晶の層間隔は3.46
であり、通常のAB積層型に比べ0.17
広がることがわかった。この値は、グラフェン間のカップリングの強さを決定するうえで重要なパラメーターとなる。
佐藤 祐輔*; 深谷 有喜; Cameau, M.*; Kundu, A. K.*; 志賀 大亮*; 湯川 龍*; 堀場 弘司*; Chen, C.-H.*; Huang, A.*; Jeng, H.-T.*; et al.
Physical Review Materials (Internet), 4(6), p.064005_1 - 064005_6, 2020/06
被引用回数:9 パーセンタイル:34.16(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、放射光角度分解光電子分光を用いて、Al(111)表面上の33周期を持つSi層の電子バンド構造を解明した。実験では、線形のエネルギー分散に起因する閉じたフェルミ面を観測した。ハニカム状のシリセンをモデル構造とした第一原理計算の結果、これは基板との混成状態を起源としたディラックコーン様の金属バンドと考えられる。Al(111)表面上のSi層は、基板との相互作用によりディラック電子を発現し、いわゆるXeneと呼ばれる2次元物質群のモデルシステムになりうることを示唆する。
Tang, J.*; 山本 達*; 小板谷 貴典*; 吉越 章隆; 徳永 拓馬*; 向井 孝三*; 松田 巌*; 吉信 淳*
Applied Surface Science, 480, p.419 - 426, 2019/06
被引用回数:14 パーセンタイル:53.84(Chemistry, Physical)他のPd合金よりも水素拡散係数が高く経済的に低コストなPdCu合金の水素吸着および吸収プロセス中の物質移動を調べた。この研究では、bcc構造の規則相(B2相)とfcc構造およびB2構造の混合相との比較が行われた。放射光を用いたその場超高真空X線光電子分光法および雰囲気X線光電子分光法を実施し、温度に対するPdおよびCu原子の化学状態を追跡した。初期吸着過程と吸収過程は2相で類似していたが、バルクへの水素拡散速度は混合相よりも規則相の方が高かった。水素吸着/吸収過程におけるPdとCu原子のダイナミクスは温度に大きく依存した。水素雰囲気では、Pd原子は373Kより下では表面偏析し、Cu原子は373Kより上で表面偏析した。本結果は理論計算とよく一致し水素透過材料の開発に向けた有益な情報となる。
深谷 有喜; 松田 巌*
物性研だより, 57(2), p.7 - 8, 2017/07
最近我々は、全反射高速陽電子回折法を用いて、アルミニウム基板上のゲルマネン(グラフェンのゲルマニウム版)の構造を明らかにした。ゲルマネンは新奇スピン物性の発現が期待される新材料である。本稿では、ゲルマネンが理論予測に反して非対称なバックリング構造を形成することを報告する。
深谷 有喜; 松田 巌*; Feng, B.*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 社本 真一
2D Materials (Internet), 3(3), p.035019_1 - 035019_7, 2016/09
被引用回数:53 パーセンタイル:86.53(Nanoscience & Nanotechnology)本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)法を用いて、アルミニウム基板上のゲルマネン(グラフェンのゲルマニウム版)の構造決定を行った。測定した回折スポット強度の非対称性から、ゲルマネンの構造が方向に対して鏡面対称性を持たないことがわかった。動力学的回折理論に基づく強度解析から、単位格子当たり1個のゲルマニウム原子が真空側に突出する非対称な構造であることがわかった。これは、これまでに提案されている2個のゲルマニウム原子が突出した対称的な構造モデルとは異なる。これまでに報告された他の実験結果は、今回決定した構造モデルにより説明可能である。
深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 松田 巌*; 河裾 厚男
Physical Review B, 88(20), p.205413_1 - 205413_4, 2013/11
被引用回数:68 パーセンタイル:90.18(Materials Science, Multidisciplinary)電子線形加速器ベースの輝度増強された高強度の陽電子ビームを用いた反射高速陽電子回折法により、Ag(111)表面上のシリセンの構造を決定した。ロッキング曲線の解析から、シリセンはバックリングした構造を持つことが明らかになり、その上層と下層の間隔は0.83であることが分かった。またシリセンの下層と第一Ag層の間隔は、2.14
と決定した。これらの値は、0.05
の誤差範囲内で、以前の理論研究により予測されていた値とよく一致することが分かった。
津田 修一; 吉田 忠義; 中原 由紀夫; 佐藤 哲朗; 関 暁之; 松田 規宏; 安藤 真樹; 武宮 博; 谷垣 実*; 高宮 幸一*; et al.
JAEA-Technology 2013-037, 54 Pages, 2013/10
東京電力福島第一原子力発電所事故後における広域の詳細な空間線量率マップを作成するために、原子力機構は走行サーベイシステムKURAMA-IIを用いた測定を文部科学省の委託を受けて実施した。KURAMAは、一般乗用車に多数搭載して広範囲の空間線量率を詳細かつ短期間に把握することを目的として京都大学原子炉実験所で開発されたシステムである。KURAMAは、エネルギー補償型線検出器で測定した線量率をGPSの測位データでタグ付けしながら記録する測定器、データを受け取り可視化のための処理や解析を行うサーバ、エンドユーザがデータを閲覧するためのクライアントから構成される。第2世代のKURAMA-IIでは更なる小型化、堅牢性の向上、データ送信の完全自動化等の機能が強化されたことによって、100台の同時測定が可能となり、広域の詳細な線量率マッピングをより短期間で実施することが可能になった。本報告では、KURAMA-IIによる測定データの信頼性を確保するために実施した基盤整備と、KURAMA-IIを空間線量率マッピング事業に適用した結果について述べるとともに、多数のKURAMA-IIを使用した走行サーベイの精度を保証するための効率的なKURAMA-IIの管理方法を提案した。
深谷 有喜; 松田 巌*; 湯川 龍*; 河裾 厚男
Surface Science, 606(23-24), p.1918 - 1921, 2012/12
被引用回数:5 パーセンタイル:22.57(Chemistry, Physical)反射高速陽電子回折を用いて、Si(111)--(Ag,Cs)表面超構造の原子配置を調べた。動力学的回折理論に基づくロッキング曲線の解析から、Cs原子は、下地の
-Ag構造から3.04Aの高さに位置し、一辺10.12Aの三角形構造を形成していることを明らかにした。このCs原子の吸着位置は、貴金属吸着により発現するSi(111)-
-AgやSi(111)-
-(Ag,Au)表面とは大きく異なっており、アルカリ金属と貴金属の電子構造の違いにより、この差が生じたと考えられる。
深谷 有喜; 久保 敬祐*; 平原 徹*; 山崎 詩郎*; Choi, W. H.*; Yeom, H. W.*; 河裾 厚男; 長谷川 修司*; 松田 巌*
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 10, p.310 - 314, 2012/07
Si(111)--Ag表面は、典型的な二次元金属系として精力的に研究されている。この表面上に微量の貴金属又はアルカリ金属原子を吸着させると、表面電気伝導度の急激な上昇に伴い、
超構造が発現する。冶金学的見地から、この
超構造は、二次元電子化合物として興味が持たれている。本研究では、反射高速陽電子回折(RHEPD),角度分解光電子分光(ARPES),走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、AuとAg原子吸着による
超構造の原子配置と電子状態を調べた。ARPESとSTMの測定から、異なったAuとAgの組成比を持つ
と似た電子状態を形成していることがわかった。RHEPDによる構造解析から、AuとAgの組成比が異なっても、ほぼ同一の原子配置をとることがわかった。
望月 出海; 深谷 有喜; 河裾 厚男; 矢治 光一郎*; 原沢 あゆみ*; 松田 巌*; 和田 健*; 兵頭 俊夫*
Physical Review B, 85(24), p.245438_1 - 245438_6, 2012/06
被引用回数:19 パーセンタイル:59.17(Materials Science, Multidisciplinary)走査型トンネル顕微鏡,反射高速陽電子回折,角度分解光電子分光を用いてGe(001)表面上のPt吸着ナノワイヤーの原子配置と相転移について調査した。理論計算から提案されていた、頂上のGeダイマー鎖が2層目のPt列を架橋するよう配置したモデルが基本構造であることがわかった。低温(80K以下)では、Geダイマーは表面垂直方向に交互に傾き(asymmetric)、このためp(44)周期が形成される。高温(110K以上)では、それらのGeダイマーは水平(asymmetric)になり、p(4
2)周期が形成される。この相転移現象において、Geダイマー鎖に起因した電子状態は、電子エネルギー的に深く分散していたものが、Fermi準位近傍まで上昇する。
深谷 有喜; 松田 巌*; 橋本 美絵*; 久保 敬祐*; 平原 徹*; 山崎 詩郎*; Choi, W. H.*; Yeom, H. W.*; 長谷川 修司*; 河裾 厚男; et al.
Surface Science, 606(11-12), p.919 - 923, 2012/06
被引用回数:7 パーセンタイル:30.39(Chemistry, Physical)反射高速陽電子回折と光電子分光を用いて、Si(111)--Au表面上へのAg原子吸着により発現するSi(111)-
超構造(Si(111)-
-(Au,Ag)表面)の原子配置を調べた。光電子分光による測定から、Si(111)-
-(Au,Ag)表面は、AuとAg原子の組成比の異なった他のSi(111)-
超構造のものと似た電子状態を形成していることがわかった。反射高速陽電子回折のロッキング曲線と回折パターンの解析から、AuとAgの原子配置もまた、他のSi(111)-
超構造のものに近いことがわかった。これらの結果は、二次元電子化合物に特有の特徴と一致する。
深谷 有喜; 松田 巌*; 河裾 厚男; 一宮 彪彦*
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 150, 2011/01
Si(111)--Ag表面は、典型的な二次元金属として精力的に研究されている。Si(111)-
-Ag表面上に微量の貴金属原子(Cu, Ag, Au)やアルカリ金属原子(Na, K, Cs)を吸着させると、急激な表面電気伝導度の上昇とともに、
超構造が発現する。これまでの研究から、貴金属原子を吸着させた
超構造の場合、単位格子内の3個の吸着原子は、下地のSiトライマーを囲むように、大きなAg三角形の中心に位置することがわかった。しかし、アルカリ金属原子を吸着させた場合の
超構造の研究はほとんど行われておらず、その原子配置は不明である。本研究では、反射高速陽電子回折を用いて、Cs原子を吸着させた
超構造の原子配置を調べた。測定したロッキング曲線には、全反射領域において、Cs原子が吸着したことによるディップ構造が観測された。動力学的回折理論に基づく強度解析から、Cs原子が下地のAg層から3.04Aの高さに吸着していることがわかった。この値は、貴金属原子の場合に比べて約2.5A高い。これは、Cs原子の原子半径が貴金属原子に比べ約2倍大きいことが影響していると考えられる。また、Cs原子の吸着サイトは、貴金属原子の場合とは異なり、Ag原子の直上に位置していると考えられる。
松田 巌*; 中村 史一*; 久保 敬祐*; 平原 徹*; 山崎 詩郎*; Choi, W. H.*; Yeom, H. W.*; 成田 尚司*; 深谷 有喜; 橋本 美絵*; et al.
Physical Review B, 82(16), p.165330_1 - 165330_6, 2010/10
被引用回数:9 パーセンタイル:39.19(Materials Science, Multidisciplinary)一価金属の共吸着でSi(111)表面上に形成される超構造は、表面状態の電子数と吸着金属の原子数の割合が常に一定で形成される。このことは、
超構造が電子化合物の特性を持つことを意味している。われわれは、二次元表面合金相である
超構造の安定性を調べるために、Hume-Rothery型化合物における代表的な2つの理論、Jones model及びpseudopotential modelを用いて解析を行った。解析の結果、二次元表面合金相においてはJones modelが破綻しており、pseudopotential modelにおける二次元の表面状態電子を介した中距離原子間相互作用の重要性を見いだした。
深谷 有喜; 松田 巌*; 橋本 美絵; 成田 尚司*; 河裾 厚男; 一宮 彪彦
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 7, p.432 - 435, 2009/04
Si(111)--Ag表面上に、微量のAgやAuなどの貴金属原子を吸着させると、電気伝導度の上昇を伴って、
超構造が形成される。
-Agと
-(Ag,Au)超構造の原子配置は、これまでにさまざまな研究手法を用いて調べられており、これらの超構造はほとんど同一であると考えられる。最近、Si(111)-5
2-Au表面上へのAg原子の吸着によっても、
超構造(
-(Au,Ag))が発現することが見いだされた。この新しい
超構造の原子配置は、現在のところ全く不明である。そこで本研究では、反射高速陽電子回折(RHEPD)を用いて、この新しい
超構造の解明を行った。
-(Au,Ag)超構造からのRHEPDパターンの強度分布とロッキング曲線の形状は、
-(Ag,Au)超構造からのものに似ていることがわかった。これらの観測結果は、新しい
-(Au,Ag)超構造が他の
超構造に近い原子配置をとっていることを示唆している。詳細な原子配置を決定するために、動力学的回折理論に基づく強度計算を行い、他の
超構造との比較から、今回の新たな
-(Au,Ag)超構造を議論する。
河裾 厚男; 深谷 有喜; 橋本 美絵; 一宮 彪彦; 成田 尚司*; 松田 巌*
Materials Science Forum, 607, p.94 - 98, 2008/11
現在、われわれは反射高速陽電子回折による表面物性研究を行っている。反射高速陽電子回折の優位性は表面第一層での陽電子全反射の発現にある。報告では、幾つかの未知の表面構造と相転移について、最新の研究結果を報告する。
望月 出海*; 矢治 光一郎*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 原沢 あゆみ*; 松田 巌*
no journal, ,
Ge(001)表面にPtをサブモノレイヤー吸着させると、欠陥なしにサブミクロンの長さに達する1次元鎖構造が形成される。これまでにわれわれは、反射高速陽電子回折(RHEPD)法を用いて、この1次元鎖構造がナノワイヤーモデルで説明できることを示した。さらにこの原子鎖は、約80Kでパイエルス転移を起こすことが報告されているが、その詳細は明らかではない。本研究では、RHEPDと角度分解光電子分光(ARPES)法を用いて、1次元鎖の相転移機構について調べた。相転移前後で測定したロッキング曲線では、=2.3-3.2
付近に強度変化が見られた。動力学的回折理論に基づく強度解析から、この強度変化は原子鎖を構成する最表面Geダイマーが、高低差のある非対称構造から高低差のない対称構造へ変化することで説明できることがわかった。温度依存性の測定では、80-110Kで連続的な強度変化が見られ、変位型転移によるものと考えられる。またARPESによる表面電子バンド分散の測定から、低温相において格子変位と電荷密度波形成が競争的に起きていることが示唆された。
深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 松田 巌*; 河裾 厚男
no journal, ,
シリセンは、グラフェンのシリコン版であり、極めて高い電気伝導特性が期待される次世代デバイスの新材料である。シリセン自体は自然界には存在しないため、理論的研究が先行的に行われていたが、最近、Ag(111)表面上でシリセンの合成が成功したことにより、その物性の実験的解明が精力的に行われている。しかし、肝心の原子配置は実験的に解明されていない。そこで我々は、最表面に敏感な反射高速陽電子回折(RHEPD)法を用いて、Ag(111)表面上のシリセンの構造決定を行った。実験は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)低速陽電子実験施設(SPF)にて行った。電子線形加速器(LINAC)を用いて発生させた高強度陽電子ビームは、W薄膜を用いた透過型リモデレーターにより、輝度増強させた。Ag(111)表面上のシリセンからのRHEPDロッキング曲線を測定し、動力学的回折理論に基づく強度解析を行った。シリセンのバックリングの大きさとAg(111)表面からの高さをパラメータとしてカーブフィッティングを行い、シリセンのバックリングの大きさを0.83と決定した。したがって、シリセンはグラフェンのような平面構造ではなく、バックリング構造をとることが実験的に明らかになった。
深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 松田 巌*; 河裾 厚男
no journal, ,
全反射高速陽電子回折(TRHEPD)は、陽電子の全反射を利用する表面敏感なツールである。結晶中の陽電子のポテンシャルエネルギーの符号は、電子とは逆のプラスであるため、低視射角入射の陽電子ビームは結晶表面で全反射される。このとき、全反射した陽電子ビームの侵入深さは数オングストロームと見積もられる。この深さは1-2原子層分に相当するため、TRHEPDは結晶表面や基板上の二次元原子シートの構造決定に非常に有用である。シリセンは、シリコンの二次元原子シートである。シリセンはグラフェンでみられるディラックコーンのような興味深い物性を持つ可能性があり、次世代デバイスの有力な新材料として注目されている。最近、銀単結晶表面上でシリセンの合成の成功が報告された。このシリセンの原子配置は、理論的に計算されてはいたが、実験的には決定していなかった。ディラックコーンの形状は、シリセンのバックリングの大きさや、シリセンと基板との間隔に依存するため、これらのパラメーターを実験的に決定することは重要である。そこで我々は、TRHEPDを用いて銀単結晶表面上のシリセンの原子配置を決定した。動力学的回折理論に基づくロッキング曲線の解析から、バックリングの存在(0.83A)を確かめ、シリセンと基板との間隔を2.17Aと実験的に決定することに成功した。