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鈴木 賢治*; 倉 己萌*; 三浦 靖史*; 城 鮎美*; 豊川 秀訓*; 佐治 超爾*; 梶原 堅太郎*; 菖蒲 敬久
材料, 71(12), p.1005 - 1012, 2022/12
放射光X線を用いてオーステナイト系ステンレス鋼の溶接部応力測定を実施した。溶接部のX線応力測定の課題は、回折スポットが半径方向および円周方向に広がることである。当該課題を解決するために溶接部からなる角棒の曲げひずみを70keVの放射光単色X線と二重露光法を用いて測定した。2次元検出器からの回折パターンは、テクスチャーマテリアルからのパターンのような鋭い弧を示した。当該結果より回折プロファイルを円周方向の回折強度を積分から取得し、回折角度は二重露光法を使用して決定した。その結果、溶接部の残留応力分布を測定することに成功した。
小松 一樹*; 岩崎 亜美*; 村田 康輔*; 山城 秀昭*; Goh, V. S. T.*; 中山 亮*; 藤嶋 洋平*; 小野 拓実*; 木野 康志*; 清水 良央*; et al.
Reproduction in Domestic Animals, 56(3), p.484 - 497, 2021/03
被引用回数:10 パーセンタイル:83.43(Agriculture, Dairy & Animal Science)福島第一原子力発電所事故後、野生アライグマは長期的な低線量率被ばくを受けた。捕獲したオスの野生アライグマの精巣の形態的特徴と、凍結保存精子の体外受精能力を調べたところ、長期的・低線量率被ばくはアライグマの生殖特性および機能に悪影響を及ぼしていないことがわかった。
大谷 将士*; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*; Liu, Y.*; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 三浦 昭彦; 小栗 英知
Journal of Physics; Conference Series, 1350, p.012078_1 - 012078_5, 2019/12
被引用回数:1 パーセンタイル:49.48(Physics, Particles & Fields)J-PARCリニアックは2018年から設計ピーク電流である50mAでの運転を行っている。このような大電流においては、とくに低エネルギー領域での縦横両方向のビームの特性を理解することが重要である。3MeV RFQと50MeV DTLの間の長さ3mのMEBTは、RFQ-DTL間のビーム整合やRCS入射ビームの中間構造を作る非常に重要なセクションである。この論文では、MEBTの最近の測定とビーム調整について報告する。
林 直樹; 畠山 衆一郎; 三浦 昭彦; 吉本 政弘; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*
Proceedings of 7th International Beam Instrumentation Conference (IBIC 2018) (Internet), p.219 - 223, 2019/01
J-PARCは、多目的なユーザー実験施設であり、加速器の安定性は、重要な課題の一つである。安定的な運転を実現するには、インターロックが起こった事象を集め、解析し、その本質的な要因を調べる必要がある。J-PARCリニアックでは、ビームロスモニタ,電流モニタの波形が記録から事象の分類を行った。リニアックでは、ロスモニタ一台のみの発報事象が非常に多くなっており、その解析を行った。その結果、多くはビーム停止が不要であることが判明し、ロスモニタの新しい運転条件を決めて発報頻度が低減するか、確認を始めたところである。また、J-PARC RCSでは、インターロック時の詳しいビーム位置を記録するための新しい機器を導入し、事象の解析を進めている。本論文では、現在の状況と今後について報告する。
大谷 将士*; 二ツ川 健太*; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 三浦 昭彦; 小栗 英知; Liu, Y.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 908, p.313 - 317, 2018/11
被引用回数:1 パーセンタイル:10.93(Instruments & Instrumentation)加速器のビームの質を改善するためにはビーム診断系が非常に重要である。陽子や重イオンリニアックの低エネルギー部において、ビーム進行方向の性質は、垂直方向のそれと比較して、測定方法が確立しているとは言い難い状況である。我々はRFデフレクタを用いた新しい縦方向バンチ長の測定方法を開発した。シミュレーションを元に縦方向バンチ長測定の不定性を0.5と見積もった。さらに、上流側バンチャー空洞の高周波振幅を振り各点におけるバンチ長を測定ことで縦方向エミッタンスも測定した。測定結果は0.130.01 degMeVであり、シミュレーションによる予想と無矛盾であった。
守屋 克洋; 川根 祐輔*; 三浦 昭彦; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*
Journal of Physics; Conference Series, 1067, p.072009_1 - 072009_3, 2018/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Particles & Fields)J-PARCリニアックでは、ビーム縦方向分布を観測するバンチシェイプモニタ(BSM)の高精度化を行っている。ビームをワイヤに当てることで、ビームと同じ時間(縦方向)構造を持つ2次電子をワイヤから生成する。この電子を高周波電場を用いて縦方向の情報を横方向に移すことで縦方向分布を観測する。このとき高周波電場の周波数は加速周波数と同期させる必要がある。BSMのRFディフレクタは2本の電極から構成され、目的の周波数が共振周波数となるように電極長を変えることで実現する。しかし電極長の製作精度は0.5mmであるため、従来の調整方法では周波数設定精度は390kHzであった。今回新たにチューナとして円柱ブロックを挿入することで、共振周波数を高精度に調節できることが数値シミュレーション(CST Studio)の結果から判明した。具体的には円柱挿入量0.1mmに対してを25kHzまで調節可能となる。これにより、共振周波数の粗い調節を電極長を変えることで、細かい調節を円柱ブロックを挿入することで共振周波数を極めて高い精度で調節できるようになる。現在、このチューナ付きBSMの製作を行っている。今回の発表では数値計算結果について報告する。
三浦 昭彦; 川根 祐輔*; 守屋 克洋; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*; 福岡 翔太*
Proceedings of 9th International Particle Accelerator Conference (IPAC '18) (Internet), p.2183 - 2186, 2018/06
J-PARCリニアックでは、ビーム運転中のロスを抑制するため、四極電磁石の電流値と加速空洞の振幅の精密な調整を行っている。これらは、ワイヤスキャナモニタを用いた、ビーム進行方向に鉛直な方向のプロファイル測定、及びバンチシェイプモニタを用いた、位相の拡がり測定に基づいている。これらのモニタでは、ビームを金属ワイヤに直接当てることで計測を行っているため、熱負荷の観点から、融点の高いタングステンを採用している。今後、ビーム電流が高くなると、ワイヤの到達温度が上昇するため、高温でも十分な引張強度が必要になる。そこで、小型の真空チャンバを製作し、ビームによる熱負荷を印加電流で模擬し、ワイヤにかける張力とワイヤ径をパラメータとしたワイヤ破断試験を実施した。この結果、ビーム電流が高くなると、現状の低い張力であっても破断する可能性が示された。ビーム電流が高くなった時、ワイヤにかける張力を低めにするか、太い径のワイヤにすればよいことが分かった。
林 直樹; 菊澤 信宏; 三浦 昭彦; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*
Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.540 - 544, 2017/12
J-PARCリニアックは、安定な利用運転を行っているが、最近は、リニアック・ロスモニタ単独1台のみによるインターロック事象が増加している。その回数は、RFQトリップ回数に迫るほどであり、運転効率の改善に向けて、対策が必要となってきた。そこで、各事象毎のデータを詳しく解析し、事象を3つに分類、それぞれに特徴的な、ロスモニタの分布・パターンを見出した。リニアックのロスモニタは、一般的なものではあるが、時間分解能重視のため、J-PARCの他のリングシンクロトロンとは異なった設定、プリアンプの入力インピーダンスは50、生信号での閾値・幅をインターロック条件としている点についても改善のための検討・試行を実施した。
守屋 克洋; 岡部 晃大; Liu, Y.*; 三浦 昭彦; 二ツ川 健太*
Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1081 - 1083, 2017/12
J-PARCでは、ビームの位相幅(縦方向プロファイル)を測定するためのバンチシェイプモニタ(BSM)の高度化を進めている。リニアックと後段シンクロトロン(RCS)を結ぶビーム輸送ライン(L3BT)でビーム位相幅の測定が可能になれば、縦方向マッチング、ビームローディング観測、横方向モニタと組み合わせた縦横結合共鳴観測などが実施できる。それにより、現状に比べてより精細な線形加速器のビーム加速調整、及び、空間電荷効果を考慮したビーム力学理論の検証が可能になり、ビームロスの低減と運転安定化が期待できる。そこで、L3BT用BSMの設計に際し、L3BTを通過するビームを数値計算上で再現し、BSMの本体設計や設置位置等の検討を開始した。BSM1台でビーム縦方向のパラメータを求めるために、上流の空洞電圧を変えてBSMでビーム位相幅への影響を測定(以下,縦方向Q-scan)すればよいが、空洞の収束力やBSMとの位置関係によっては、必要な精度が得られない可能性がある。そこで数値計算を行い、必要な精度を得るための条件を求めBSMの設計を行った。また既存のモニタを用いて縦方向Q-scan時のビーム位相幅の変化を観測した結果、数値計算と同様の結果が得られた。これは、J-PARC L3BTにBSMを導入することでビーム縦方向のパラメータを新たに観測できることを意味する。
三浦 昭彦; 福岡 翔太*; 宮尾 智章*; 川根 祐輔*; 二ツ川 健太*
Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.560 - 562, 2017/12
J-PARCリニアックでは、ビーム輸送中のビームロスを抑制し、安定な運転を実施するため、ワイヤを用いたプロファイルモニタにより、4極電磁石や加速空洞のチューニングを行っている。これらのモニタでは、加速したビームが金属ワイヤに衝突させることで信号を得るためるため、ビームの熱負荷による温度上昇を考慮して設計する必要がある。また、ワイヤをフレームに固定する際、重力や熱による伸びによって生じたたわみをばねによる引張りにより除去している。そこで、ピークビーム電流を上昇することに備え、ワイヤ取付け時の張力、ビーム負荷による温度上昇を模擬した実験を行い、直径20m, 30mに対する張力と破断に至る温度の関係を得た。この実験により、ビーム電流が大きいとワイヤ取付け時の低い張力であっても破断する可能性が示された。ビーム電流が上昇してもワイヤが健全であるためには、ワイヤにかける張力は低めにしておくことが必要であるとともに、径も太いものを選択したほうが良いことが分かった。
岡藤 孝史*; 三浦 一浩*; 佐郷 ひろみ*; 村上 久友*; 久保 幸士*; 佐藤 健一郎*; 若井 隆純; 下村 健太
日本機械学会M&M2017材料力学カンファレンス講演論文集(インターネット), p.591 - 595, 2017/10
次世代高速炉の容器は、容器径が増大し、相対的に薄肉化することに加え、近年の想定地震荷重の増大に対応するため水平免震化されることにより、長周期の水平地震荷重が負荷された状態で、相対的に大きな鉛直荷重を繰り返し受けることになる。加えて、容器材料として、従来のオーステナイト系ステンレス鋼のほか、高降伏応力かつ加工硬化係数の小さい改良9Cr-1Mo鋼の適用も見込まれる。高速炉高温構造設計規格で規定されている座屈評価法は、厚肉容器の塑性座屈を主対象としており、繰返し荷重の影響も考慮されていない。そこで、既往研究の知見も踏まえ、薄肉円筒容器構造の軸圧縮、曲げ、せん断の弾性座屈とそれらの相互作用、および鉛直荷重の繰返し負荷による座屈荷重低下を考慮でき、かつ改良9Cr-1Mo鋼製容器にも適用可能な新たな座屈評価式を提案し、改良9Cr-1Mo鋼製円筒容器に対する座屈試験と数値解析を実施し、当該座屈評価法の適用性と解析精度を検討した。
近藤 恭弘; 浅野 博之*; 千代 悦司; 平野 耕一郎; 石山 達也; 伊藤 崇; 川根 祐輔; 菊澤 信宏; 明午 伸一郎; 三浦 昭彦; et al.
Proceedings of 28th International Linear Accelerator Conference (LINAC 2016) (Internet), p.298 - 300, 2017/05
J-PARC加速器の要素技術開発に必要な3MeV Hリニアックを構築した。イオン源にはJ-PARCリニアックと同じものを用い、RFQは、J-PARCリニアックで2014年まで使用したものを再利用している。設置作業の後、2016年6月からRFQのコンディショニングを開始した。このRFQは様々な問題を克服し、なんとか安定運転に達していたが、2年間運転できなかったので再度コンディショニングが必要であった。現状定格のデューティーファクタでは運転できてはいないが、短パルスならばビーム運転可能となっている。この論文では、この3MeV加速器のコミッショニングと最初の応用例であるレーザー荷電変換試験の現状について述べる。
田村 潤; 三浦 昭彦; 森下 卓俊; 岡部 晃大; 吉本 政弘; 青 寛幸*; 二ツ川 健太*; 丸田 朋史*; 宮尾 智章*; 根本 康雄*
Proceedings of 8th International Particle Accelerator Conference (IPAC '17) (Internet), p.2308 - 2310, 2017/05
J-PARCリニアックでは、加速負水素イオンビームと残留ガスの衝突により生ずるH粒子が、その高エネルギー加速部における残留線量の主要因の一つとして考えられている。このH粒子の分析・調査を行うため、機能分離型ドリフトチューブリニアックから環結合型リニアックへのビームマッチングセクションに新しいビーム診断系を設置した。このビーム診断系では、4つの偏向電磁石で加速負水素イオンビームにシケイン軌道を与えることにより、H粒子を分析する。ビームコミッショニングにてこのビーム診断系の炭素薄板とシンチレーション検出器を用いることにより、H粒子の信号を検出するとともに、これらが上流の真空圧力の変化に応じて変化することを実験で確認した。
林 直樹; 加藤 裕子; 三浦 昭彦; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*
Proceedings of 5th International Beam Instrumentation Conference (IBIC 2016) (Internet), p.368 - 371, 2017/03
通常運転中のビームロス要因について調べることは、重要である。真の要因対策ができれば、将来的に、インターロックの発報回数を減らすことができ、加速器運転の安定化にも資することができるからである。J-PARCリニアックでは、限定的であるが、インターロック時のロスモニタ、ビーム電流の波形を、複数台のオシロスコープで記録している。加速空洞のインターロックにより、ビームロスが発生するのは当然であるが、より詳細に、どのモニターがより高いロス信号を受けるか、空洞インターロックとビームロスのパターンの関係性を知ることが大切である。特に興味があるのは、空洞など機器インターロックの発報はなくて、ロスモニタのみがインターロック発報する事象である。これらの幾つかについて、分析を行い、考えられる対策について紹介する。
内藤 富士雄*; 穴見 昌三*; 池上 清*; 魚田 雅彦*; 大内 利勝*; 大西 貴博*; 大場 俊幸*; 帯名 崇*; 川村 真人*; 熊田 博明*; et al.
Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1244 - 1246, 2016/11
いばらき中性子医療研究センターのホウ素中性子捕獲療法(iBNCT)システムは線形加速器で加速された8MeVの陽子をBe標的に照射し、中性子を発生させる。この線形加速器システムはイオン源, RFQ, DTL, ビーム輸送系と標的で構成されている。このシステムによる中性子の発生は2015年末に確認されているが、その後システムの安定性とビーム強度を共に高めるため多くの改修を施した。そして本格的なビームコミッショニングを2016年5月中旬から開始する。その作業の進展状況と結果を報告する。
平野 耕一郎; 浅野 博之; 石山 達也; 伊藤 崇; 大越 清紀; 小栗 英知; 近藤 恭弘; 川根 祐輔; 菊澤 信宏; 佐藤 福克; et al.
Proceedings of 13th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.310 - 313, 2016/11
単位面積当たりの熱負荷を減らすため、67のビーム入射角を有するビームスクレーパをJ-PARCリニアックのRFQとDTLの間のMEBTで使用している。67ビームスクレーパは粒子数1.47E22個のHビームによって照射された。レーザ顕微鏡を用いてスクレーパのビーム照射による損傷部を観察すると、高さ数百mの突起物が無数にあった。ビームスクレーパの耐電力を調べるため、3MeVリニアックを新たに構築した。2016年末にスクレーパ照射試験を実施する予定である。今回は、J-PARCリニアックのビームスクレーパの現状、及び、ビームスクレーパの照射試験に用いる3MeVリニアックについて報告する。
横山 彰人; 加田 渉*; 佐藤 隆博; 江夏 昌志; Shimada, Keisuke*; 横田 佑也*; 三浦 健太*; 花泉 修*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 371, p.340 - 343, 2016/03
被引用回数:6 パーセンタイル:47.31(Instruments & Instrumentation)サイクロトロンでは、数百MeV級の重イオンマイクロビームを用いたシングルイオンヒット技術が生物細胞の照射実験で利用されており、高精度での位置検出が必要である。本研究では、ビーム照射によって誘起される発光(Ion luminescence: IL)を利用したリアルタイム検出法により、CaF:Eu, イメージインテンシファイア(I.I.), 観察用カメラ及び倒立型焦点顕微鏡を組み合わせた発光検出システムを開発した。しかし、位置分解能に関しては、I.I.の映像増強機構であるマイクロチャンネルプレートの直径6m以下にならないことが課題であった。そこで、発光検出システムのI.I.と観察用カメラを、対物レンズの倍率により分解能を調整できる電子増倍型(EMCCD)カメラに置き換える改良を行った。また、発光ピーク波長が435nmのCaF:Euを、EMCCDカメラの量子効率が90%以上の542nmに最も強い発光ピークを持つようにTbを添加した透明なガラス材料(G2000: 住田光学ガラス社)に替えた。この材料の1点を狙って260-MeV Neマイクロビームを3個/秒で照射した結果、隣接する数個のピクセルでILを捕捉できた。その重心ピクセルにおける発光強度は、ノイズ強度の140倍大きいため、1個/秒のイオン照射によるILでも補足可能と判断した。また、重心ピクセルを通る線上(水平方向と垂直方向)の強度分布から得たピークの半値幅は、それぞれの方向で4.5mであった。これは実測に基づくビーム径とほぼ一致しており、改良された発光検出システムはシングルイオンヒットによるILを直径数mの位置分解能でリアルタイム検出できることがわかった。
丸田 朋史*; Liu, Y.*; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*; 三浦 昭彦; 池上 雅紀*
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.432 - 436, 2015/09
J-PARCリニアックは2013年と2014年の2年にわたり、ビームの大強度化のために加速器本体の増強を実施した。2013年には既設加速器の下流に25台のACS空洞を増設し、ビームエネルギーを181MeVから400MeVに増強した。2014年はフロントエンド部(イオン源とRFQ)を交換し、最大ピーク電流を30mAから50mAとした。フロントエンド交換後初となるリニアックの単独ビーム試験を2014年10月に実施し、約2週間の試験を経た10月15日に50mAビームの加速に成功した。設計ピーク電流50mAの加速に成功したことは、J-PARC加速器の1MW利用運転に向けた重要な一歩である。ビーム試験修了以降、現在まで30mAのビームを安定的に下流に供給している。本発表では、フロントエンド部交換後のリニアック単独のビーム試験結果、ビームプロファイル、ロスの状況について報告する。
二ツ川 健太*; 川根 祐輔; 田村 潤; 根本 康雄; 林 直樹; 福岡 翔太*; 真山 実*; 三浦 昭彦; 宮尾 智章*
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1246 - 1250, 2015/09
J-PARCリニアックでは、加速周波数が324MHzのRFQ, DTL, SDTL空洞と972MHzのACS空洞で負水素イオンビームを400MeVまで加速している。SDTLとACSの間にあるビーム輸送路(MEBT2)では、2式のバンチャー空洞で位相方向のマッチングを行う必要があるが、リニアックにはビーム位相方向の形状を測定するモニタがなかった。そこで、ロシア原子核研究所と共同でバンチ・シェープ・モニタ(BSM)を開発し、SDTLの下流に設置して試験を行った。しかし、このBSMは真空特性が悪かったため、ACS空洞をインストールするときにビームラインから取り外し、試験・ベーキングを実施したが、高い真空度を確保するために、ポンプの追加などの増強が不可欠であった。そこで、J-PARC独自でのBSMの開発を開始し、BSM本体の真空対策だけでなく、ビームライン上でベーキングが行えるように設置場所を変更した。また、二次電子の輸送に関してもシミュレーションを実施し、形状の最適化も実施した。本件では、新規に製作したJ-PARC製のBSMの真空特性とオフラインの試験結果を報告する。
平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 川根 祐輔; 篠崎 信一; 三浦 昭彦; 森下 卓俊; 澤邊 祐希; 杉村 高志*; 内藤 富士雄*; Fang, Z.*; et al.
Proceedings of 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.944 - 947, 2015/09
J-PARC加速器リニアックの運転には、ビーム電流を50mAに増強する必要があるため、2014年にJ-PARCリニアックのイオン源、RFQ、及び、MEBT1の改造を行った。RFチョパ空洞とビームスクレーパがRFQとDTLの間にあるMEBT1の領域に設置されている。50mAビーム運転においてビームロスが増加するため、電極の間隔やビームパイプの内径を拡げた新RFチョッパ空洞を製作して、置き換えを行った。また、RFチョッパによって蹴られた高負荷ビームを受けるため、2台の新しいスクレーパを設置した。本件では、RFチョッパシステムとスクレーパのビーム照射試験結果について報告する。