Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
深谷 裕司; 沖田 将一朗; 神田 峻*; 後藤 正樹*; 中嶋 國弘*; 左近 敦士*; 佐野 忠史*; 橋本 憲吾*; 高橋 佳之*; 宇根崎 博信*
KURNS Progress Report 2021, P. 101, 2022/07
日本原子力研究開発機構では、2018年から高温ガス炉の核的予測技術向上に係る研究開発を開始した。その目的は、商用炉初号基のためのフルスケールモックアップ実験を回避するために一般化バイアス因子法を導入することと黒鉛減速特性を生かした中性子計装システムの改良である。このために、B7/4"G2/8"p8EU(3)+3/8"p38EU炉心をKUCAのB架台に2021年に構築した。
深谷 裕司; 後藤 実; 中川 繁昭; 中嶋 國弘*; 高橋 和暉*; 左近 敦士*; 佐野 忠史*; 橋本 憲吾*
EPJ Web of Conferences, 247, p.09017_1 - 09017_8, 2021/02
日本原子力研究開発機構は高温ガス炉の核的予測精度向上のための研究開発を始めた。その目的は、初めての商用高温ガス炉のためのフルモックアップ試験を省略できる一般化バイアス因子法とHTTR試験で未臨界度を測定するための炉雑音解析の導入である。そのために、B7/4"G2/8"p8EUNU+3/8"p38EU(1)と名付けた黒鉛減速炉心をKUCAのB架台に構成した。炉心は、燃料集合体,ドライバ燃料集合体,黒鉛反射体,ポリエチレン反射体で構成されている。HTTRの平均濃縮度と炉内スペクトルを実現するために、燃料集合体は濃縮ウラン板と天然ウラン板と黒鉛板から構成される。しかしながら、小さな炉心で臨界に達するためにはドライバ燃料が必要となる。この炉心は、一般化がイアス因子法導入のための基準炉心だけではなく、炉雑音解析技術開発のために炉雑音の測定を行う。本研究では、臨界実験の概要を報告する。黒鉛減速体系の炉心構成はKUCAでも珍しく、高温ガス炉開発だけではなく、溶融塩炉のような、他の黒鉛減速炉心開発にも期待できる。
左近 敦士*; 中嶋 國弘*; 高橋 和暉*; 芳原 新也*; 佐野 忠史*; 深谷 裕司; 橋本 憲吾*
EPJ Web of Conferences, 247, p.09009_1 - 09009_8, 2021/02
黒鉛反射熱中性子炉では、燃料領域から遠くに配置された検出器であっても、ある程度の相関振幅を検出する可能性がある。これは、黒鉛中の中性子の平均自由行程が水やポリエチレンよりも長いためである。そこで、本研究の目的は、原子炉騒音分析のためのグラファイト反射器への中性子検出器配置の高い柔軟性を実験的に確認することである。京都大学臨界集会(KUCA)の黒鉛減速反射炉心において炉雑音解析を実施した。BF比例中性子計数管(直径1インチ)を黒鉛反射領域に配置し、検出器を炉心からそれぞれ約35cmと30cmの厚さの黒鉛で隔離した。臨界状態と未臨界状態で、検出器からの時系列信号データを取得し、高速フーリエ変換(FFT)アナライザーにより分析し、周波数領域でのパワースペクトル密度を取得した。炉心から遠く離れた検出器から得られたパワースペクトル密度には、有意な相関成分を含むことが確認できた。また、パワースペクトル密度理論式にデータに最小二乗法で適合さることにより、即発中性子減衰定数を決定した。臨界状態での減衰定数は63.3
14.5[1/s]となった。2つの検出器間の相互パワースペクトル密度とコヒーレンス関数データから決定された減衰定数とよい一致を示した。予想通り、炉心から約35cmの位置に検出器を設置することで、原子炉のノイズ解析が可能であることが確認された。
深谷 裕司; 後藤 実; 中川 繁昭; 中嶋 國弘*; 高橋 和暉*; 左近 敦士*; 佐野 忠史*; 橋本 憲吾*
Proceedings of International Conference on the Physics of Reactors; Transition To A Scalable Nuclear Future (PHYSOR 2020) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2020/03
日本原子力研究開発機構は高温ガス炉の核的予測精度向上のための研究開発を始めた。その目的は、初めての商用高温ガス炉のためのフルモックアップ試験を省略できる一般化バイアス因子法とHTTR試験で未臨界度を測定するための炉雑音解析の導入である。そのために、B7/4"G2/8"p8EUNU+3/8"p38EU(1)と名付けた黒鉛減速炉心をKUCAのB架台に構成した。炉心は、燃料集合体,ドライバ燃料集合体,黒鉛反射体,ポリエチレン反射体で構成されている。HTTRの平均濃縮度と炉内スペクトルを実現するために、燃料集合体は濃縮ウラン板と天然ウラン板と黒鉛板から構成される。しかしながら、小さな炉心で臨界に達するためにはドライバ燃料が必要となる。この炉心は、一般化がイアス因子法導入のための基準炉心だけではなく、炉雑音解析技術開発のために炉雑音の測定を行う。本研究では、臨界実験の概要を報告する。黒鉛減速体系の炉心構成はKUCAでも珍しく、高温ガス炉開発だけではなく、溶融塩炉のような、他の黒鉛減速炉心開発にも期待できる。
高橋 良和; 名原 啓博; 辺見 努; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 濱田 一弥; 松井 邦浩; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 23(3), p.4801504_1 - 4801504_4, 2013/06
被引用回数:11 パーセンタイル:51.85(Engineering, Electrical & Electronic)ITER計画において、原子力機構は2010年3月からトロイダル磁場(TF)コイル用導体を調達している6極の中で、先駆けて実機導体の製作を開始した。TFコイルは高さ14m,幅9mで、7個のダブルパンケーキから構成されている。導体の単長は最大760mであり、通電電流値は11.8Tの磁場中において68kAである。導体はケーブル・イン・コンジット型と呼ばれるもので、900本のNbSn素線と522本の銅素線で構成される撚線を円形のステンレス製ジャケットに挿入し、ジャケットを圧縮成型したものである。完成した導体の撚線の撚りピッチが、撚線製作時のピッチより長いことがわかった。この原因を究明するため、撚線の引張試験や引込中の撚線の回転測定などを行った。この結果、撚線をジャケットに挿入している間に、撚線が撚り戻る方向に回転したために、長くなったことが解明された。これらの結果を定量的に報告する。
名原 啓博; 辺見 努; 梶谷 秀樹; 尾関 秀将; 井口 将秀; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 高橋 良和; 松井 邦浩; 小泉 徳潔; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 23(3), p.4801604_1 - 4801604_4, 2013/06
被引用回数:10 パーセンタイル:49.2(Engineering, Electrical & Electronic)ITER中心ソレノイド用NbSn導体の性能試験を行った。定格負荷の10000サイクルの間、導体の分流開始温度はサイクル数に対してほぼ直線的に低下した。一方、70%の負荷のサイクルでは分流開始温度はほとんど低下しなかった。また、85%の負荷のサイクルでも分流開始温度はほとんど低下しなかったが、急に0.2Kも低下する現象が見られた。これは素線の何らかの大きな変形が導体内部で生じたものと考えられる。ACロスはTFコイル用導体の約4分の1に低下し、撚線のツイストピッチを短くした効果が現れた。性能試験後にサンプルを解体したところ、高磁場領域でNb
Sn素線が大きく変形していることを確認した。
中嶋 秀夫; 辺見 努; 井口 将秀; 名原 啓博; 松井 邦浩; 千田 豊; 梶谷 秀樹; 高野 克敏; 礒野 高明; 小泉 徳潔; et al.
Proceedings of 24th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2012) (CD-ROM), 8 Pages, 2013/03
ITER機構及び6国内機関(中国,欧州,日本,韓国,ロシア,米国)は、協力してITERマグネット・システムを製作している。日本,ロシア,中国,韓国は既に実機の超伝導導体の製作を実施している。TFコイル用のラジアルプレートの製作では、欧州及び日本で品質検証が終了し、実機施策の準備が整った。日本は1/3サイズの試作ダミー巻線を実機大ダミー巻線試作の前に実施し、製作方法を検証した。欧州では、実機製作に必要な治具類の準備とその性能検証が進行中である。また、日本は、2個の実機大TF構造物を試作し、製作方法の最適化と工業化を実施した。コレクション・コイルの製作進捗はTFコイル同様に順調であり、巻線治具等の準備はほとんど終了し、品質検証が開始された。その他のマグネットにおいても、2020年の初期プラズマ点火達成に向けて、順調に製作が進んでいる。
布谷 嘉彦; 名原 啓博; 松井 邦浩; 辺見 努; 高橋 良和; 礒野 高明; 濱田 一弥; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4803804_1 - 4803804_4, 2012/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Engineering, Electrical & Electronic)核融合炉に用いられるCIC超伝導導体のコンジット表面の電圧と超伝導撚線の電界との関係について詳しく考察し、電圧タップによる臨界電流特性の評価方法を確立した。コンジット表面の電圧タップで計測する電位は、コンジットの抵抗と素線-コンジット間の抵抗により定まる電圧タップ近傍の面領域で、コンジットに接する複数の素線の平均電位となるため、緩和された電位となる。ここで、撚りの効果のために各素線は導体内に均一に分布していると見なせることに着目すると、ある素線の長手方向の電界の分布を断面内の分布に置き換えて考えることができ、統計的な処理が可能となる。その結果、導体長手方向の2箇所に位置する電圧タップ対により測定される電圧は統計的な誤差を含む形で表せることを見いだし、電圧タップと撚線の電位についての一般的な関係式を導出することができる。本関係式を用いることにより、撚線の電界を正確に把握でき、導体の臨界電流特性を評価できる。これまでに測定したITER用超伝導導体の実験結果を紹介し、関係式の有効性について述べる。
高橋 良和; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 名原 啓博; 松井 邦浩; 辺見 努; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4801904_1 - 4801904_4, 2012/06
被引用回数:7 パーセンタイル:42.2(Engineering, Electrical & Electronic)ITER計画において、原子力機構は2010年3月からトロイダル磁場(TF)コイル用導体を調達している6極の中で、先駆けて実機導体の製作を開始した。TFコイルは高さ14m,幅9mで、7個のダブルパンケーキから構成されている。導体の単長は最大760mであり、通電電流値は11.8Tの磁場中において68kAである。導体はケーブル・イン・コンジット型と呼ばれるもので、900本のNbSn素線と522本の銅素線で構成されている。2010年12月までに、約60トンのNb
Sn素線を製作した。これは、日本の分担分の約55%に相当する。また、11本の実機導体を製作し、日本分担分(33本)の約30%に相当する。実機導体は、ほぼ毎月1本ずつ製作している。本発表では、760mの銅ダミー導体の製作を通して確立した導体製作技術を中心に、高品質を確保する品質管理技術などの量産技術を紹介する。この量産体制の確立は、ITER建設の推進に大きく貢献している。
辺見 努; 布谷 嘉彦; 名原 啓博; 吉川 正敏*; 松井 邦浩; 梶谷 秀樹; 濱田 一弥; 礒野 高明; 高橋 良和; 小泉 徳潔; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4803305_1 - 4803305_5, 2012/06
被引用回数:44 パーセンタイル:86.29(Engineering, Electrical & Electronic)ITER CS導体の性能評価及び設計の妥当性を検証するため、スイスのCRPPが所有するサルタン試験装置でCS導体の性能試験を実施した。分流開始温度(Tcs)測定は試験開始時、6000回までの繰り返し通電試験の間及び昇温再冷却後にTcsの測定を実施したところ、1000回までの繰り返し通電試験の結果から測定されたTcsはNbSn素線の性能と設計歪から推定されたTcsを満足した。しかし、継続的なTcsの低下が観測され、1000回から6000回の繰り返し通電によるTcsの低下は約0.6Kであった。一方、2000年に原子力機構で実施したCSインサート試験では、1000回から10000回まで繰り返し通電によるTcsの劣化は約0.1Kであり、同様の低下は確認されていない。Tcsの低下の原因を調査するために、(1)中性子回折による歪測定、(2)切断によるジャケットの歪測定、(3)素線分解調査、(4)フィラメントの破断状況、(5)計算モデルの構築と解析についてCS導体試験サンプルの調査を実施した。その結果、低下の原因が試験サンプルの短尺形状及び狭い磁場分布に起因する試験方法にあることを示した。
松井 邦浩; 小泉 徳潔; 辺見 努; 高野 克敏; 中嶋 秀夫; 木村 諭*; 飯島 亜美*; 酒井 正弘*; 大勢持 光一*; 嶋田 守*
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4203005_1 - 4203005_5, 2012/06
被引用回数:6 パーセンタイル:38.56(Engineering, Electrical & Electronic)原子力機構は、国内機関として9個のITER TFコイル調達を担当している。TFコイルの製作では、熱処理によって長さが変化する超伝導導体を、電磁力の支持及び電気絶縁の信頼性向上の役割を果たすラジアル・プレートの溝に挿入する。このTFコイルの製作では、0.01%程度の高精度の巻線技術、導体長さ及び巻線形状の変化を評価する熱処理技術、耐放射線性の高いシアネート・エステルとエポキシの混合樹脂による絶縁含浸技術の確立が重要である。そのため、TFコイルの製作に向けた上記技術の確立のために、2009年3月から小規模及び実規模の試作を実施している。実規模試作では、TFコイルの1/3規模のダブルパンケーキ(DP)の巻線を行い、目標精度で巻線できることを確認した。また、それらの1/3規模DPを使用して、熱処理及び絶縁含浸試験を実施した。熱処理試験では、熱処理による導体の長さ及び巻線形状の変化を評価しており、これらを考慮してTFコイルの巻線製作を実施する必要がある。絶縁含浸試験では、要求性能である2.2kVの耐電圧性能を有すること、巻線の内部まで十分に含浸されていることを確認した。
名原 啓博; 布谷 嘉彦; 礒野 高明; 濱田 一弥; 高橋 良和; 松井 邦浩; 辺見 努; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 海老澤 昇; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4804804_1 - 4804804_4, 2012/06
被引用回数:17 パーセンタイル:65.06(Engineering, Electrical & Electronic)ITER TFコイル用NbSn導体のうち、原子力機構は日本の国内実施機関として415mの導体を9本、760mの導体を24本調達する。調達の第一段階として、TF導体の製作能力を確認するため、長さ4mの導体を2本組合せてサンプルを製作し、SULTAN装置を使って試験した。その結果、各導体の最小の分流開始温度
は6.22Kと6.02Kであり、設計値(5.7K)を満たすことを確認した。そこで原子力機構はTF導体の量産を開始し、まず100mの導体と415mの導体を製作した。第二段階として、量産プロセスの適切性を確認するため、これら2本の導体からそれぞれ4mの導体を切り出し、SULTAN装置で試験した。その結果、各導体の最小の
は6.16Kと5.80Kであり、設計値を上回ったことで、量産プロセスが適切であることを実証した。
小泉 徳潔; 松井 邦浩; 辺見 努; 高野 克敏; 千田 豊; 井口 将秀; 中嶋 秀夫; 嶋田 守*; 大勢持 光一*; 牧野 吉延*; et al.
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 22(3), p.4200404_1 - 4200404_4, 2012/06
被引用回数:9 パーセンタイル:48.49(Engineering, Electrical & Electronic)原子力機構は、ITER計画において9個のTFコイルの調達を担当しており、この調達を次に記す3段階に分けて段階的に実施している。第一段階:技術的課題の解決と合理化検討、第二段階:治具の製作及び第一号コイルの製作、第三段階:残りの8個のコイル製作。このうち、第一段階として2009年3月から、中・実規模試作を実施した。これまでに実規模導体を用いた巻線試作,熱処理試作等を実施し、また、実規模ラジアル・プレートも試作した。これにより、TFコイル製作技術の課題を解消することができたとともに、製作の合理化も進めた。
小泉 徳潔; 松井 邦浩; 清水 辰也; 中嶋 秀夫; 飯島 亜美*; 牧野 吉延*
低温工学, 47(3), p.186 - 192, 2012/03
ITER-TFコイルのダブル・パンケーキ(DP)は、高さ14m,幅9m,厚さ0.1mの薄肉大型構造物である。DPでは、ラジアル・プレート(RP)の溝内に導体を挿入し、その上にカバー・プレート(CP)を被せて、RPとCPをレーザー溶接することで、導体をRP溝内で固定する構造を採用している。このCP溶接の長さは約1.5kmにも及ぶが、これによる溶接変形は平面度で1mm、輪郭度で約5mmの高い精度が要求されている。さらに、CPとRP間のギャップは、CP及びRPの製作精度から0.5mm以下となり、通常のレーザー溶接では溶接品質の確保が困難である。そこで、0.5mmの幅広のギャップに対してレーザー溶接を可能とする技術を開発し、さらに、実機短尺RPサンプルを用いて、面外変形を1mm以下に抑える溶接手順を確立した。加えて、実機短尺RPサンプルの試験結果から固有歪を導き、これを用いて解析的に、実機DPの面内変形が約5mmと評価できることを示した。RPの側面にビード・オン溶接することで、この面内変形を矯正する方法も考案し、TFコイルのCP溶接技術に目途を立てた。
松井 邦浩; 小泉 徳潔; 辺見 努; 中嶋 秀夫; 木村 諭*; 嶋田 守*
低温工学, 47(3), p.160 - 165, 2012/03
ITERのTFコイルには、NbSn素線を用いたケーブル・イン・コンジット(CIC)導体が使用される。巻線されたTF導体は、ITER運転中にTFコイルに加わる巨大な電磁力を支持する構造体であるラジアル・プレート(RP)の溝に挿入される。このTF導体とRP溝の隙間は0.5
3mmであるため、巻線の周長とRP溝の公差は
0.023%となる。RPの溝加工にも公差が必要であることから、巻線においては
0.01%の精度で導体長さを管理する必要がある。著者らは、上記課題を解決することを目的に、高精度で導体長さを管理する巻線装置の開発、TFコイルの1/3規模の大きさの巻線の試作を実施した。この結果、
0.01%の精度で導体長さを管理できる巻線装置を開発し、1/3規模巻線をほぼ設計どおりの形状に製作した。加えて、曲げにより導体の長さが変化することを明らかとし、実機TFコイルの製作に向けた知見を得ることができた。
松井 邦浩; 辺見 努; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; 木村 諭*; 中本 一成*
低温工学, 47(3), p.166 - 171, 2012/03
ITERのTFコイルには、NbSn素線を用いたケーブル・イン・コンジット(CIC)導体が使用される。巻線され熱処理されたTF導体は、ITER運転中にTFコイルに加わる巨大な電磁力を支持する構造体であるラジアル・プレート(RP)の溝に挿入される。一方、TF導体のようなCIC導体では、Nb
Sn素線とジャケットの熱収縮率の違いから熱処理によりその長さが変化する。この導体長さの変化は、TF導体のRP溝への挿入を困難とするとともに、巻線の形状を変化される可能性があるため、これらを事前に把握する必要がある。著者らは、TF導体及びTF導体を用いた1/3規模巻線の熱処理試作を実施した。その結果、熱処理による直状のTF導体の伸び量は0.064%、曲線状のTF導体では0.074%と評価できた。また、熱処理によって1/3規模巻線の形状が変化したものの、これを設計形状へと矯正した場合でも導体の超電導性能にほとんど影響を及ぼさないことを明らかにした。
辺見 努; 松井 邦浩; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; 飯島 亜美*; 酒井 正弘*
低温工学, 47(3), p.172 - 177, 2012/03
ITERトロイダル磁場(TF)コイルでは、20年間の運転により約10E22n/mの高速中性子に曝されるため、耐放射線性能として、中性子線と
線を併せて10MGyを超える照射に耐えることが要求される。そこで、耐放射線性が優れ、粘性が低いシアネートエステル(CE)・エポキシ(EP)混合樹脂を用いて、ダブル・パンケーキ(DP)及び巻線部(WP)の含浸を実施する必要がある。開発した混合樹脂をTFコイルの製作に使用するためには、気泡等が残らない含浸プロセスの開発及び絶縁層の品質確認を実施する必要がある。そこで、著者らは、含浸条件を選定するためにアクリル・モデル試験、硬化後のボイドの残留状況等を確認するために金属モデル試験、絶縁プロセス全体を確認するために1/3規模試験を段階的に実施し、TFコイルの電気絶縁に関する製作方法の検証を行った。その結果、耐放射線性に優れた混合樹脂を用いて想定した約60時間内に実機TFコイルの含浸が実施できる見通しが得られた。加えて、絶縁施工から耐電圧試験までの一連の作業プロセスを1/3規模試験を通じて検証することができた。
礒野 高明; 堤 史明; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 高橋 良和; 中嶋 秀夫; 石橋 達司*; 佐藤 豪*; 千田 敬司*; 鈴木 力男*; et al.
低温工学, 47(3), p.147 - 152, 2012/03
ITERのトロイダル磁場(TF)コイル用導体は、超伝導撚線を外径約40mm,厚さ2mmのステンレス鋼管に挿入する構成であり、その運転条件は、電流68kA,磁場11.8Tである。日本は全量の25%のTFコイル用導体の製作を分担する。超伝導撚線は、超伝導線900本と銅線522本を5段階に分けて撚合せる。実機撚線製作開始前に、ITER TFコイル用撚線の製作実現性の確認のために試作を実施し、4次撚線の外径や5次撚線の圧縮方法を決定した。その後、ツイストピッチの変更があり、その試作において3次撚線時に問題が発生し、ダイスを変更する等の対策を行った。これらの試作後、実機撚線製作を開始し、約60%の製作を完了している。
高橋 良和; 礒野 高明; 濱田 一弥; 布谷 嘉彦; 名原 啓博; 松井 邦浩; 辺見 努; 河野 勝己; 小泉 徳潔; 押切 雅幸; et al.
Nuclear Fusion, 51(11), p.113015_1 - 113015_11, 2011/11
被引用回数:12 パーセンタイル:48.29(Physics, Fluids & Plasmas)ITER計画において、原子力機構はトロイダル磁場(TF)コイル用NbSn導体の調達を行っている。製造しているNb
Sn素線の量は、これまでの経験と比較して非常に多く、要求されている超伝導性能はITERの工学設計活動(EDA)において製作・試験されたモデルコイルの性能と比較して非常に高いものである。このため、素線製造において、製造過程における品質管理技術及び製品の検査結果を元に統計的管理を行うことが重要である。導体製造技術においては、精度の高い外径寸法及びジャケットの溶接部において高い気密性が要求されているため、品質管理として形状検査技術及び高感度なリーク試験方法を開発した。これらの技術を用いて、2010年1月に導体製作装置が完成し、760mの銅ダミー導体が成功裏に製作され、導体製造技術が適正なものであることが立証された。2010年3月より、世界に先駆けてTFコイル用導体の製造を開始した。
濱田 一弥; 高橋 良和; 礒野 高明; 布谷 嘉彦; 松井 邦浩; 河野 勝己; 押切 雅幸; 堤 史明; 小泉 徳潔; 中嶋 秀夫; et al.
Fusion Engineering and Design, 86(6-8), p.1506 - 1510, 2011/10
被引用回数:11 パーセンタイル:65.85(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構は、国際熱核融合実験炉(ITER)の日本の極内実施機関として、トロイダル磁場コイル及び超伝導導体の調達を担当している。TFコイル用導体は、直径0.8mmの超伝導素線900本,銅線522本を束ね合せて、直径43.7mm,肉厚2mmのステンレス保護管(ジャケット)に収めた構造であり、最大長さは760mである。超伝導導体の調達は、2008年から開始され、メーカーの協力を得て素線,撚線,ジャケット管及び導体製作装置の製作が進展した。その結果、2010年12月に導体を製作する準備が整った。まず、はじめに導体の製作作業要領を実証するために、760m長さの模擬導体の製作を行い、成功裏に完了した。TF導体の製作は日本以外に、欧州,韓国,米国,ロシア及び中国も担当しており、日本は他極に先駆けて導体製作技術を確立し、実機導体の製作を開始した。講演では、模擬導体製作技術として、溶接,検査,撚線の引込み,巻取り等に関する結果を報告する。