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論文

Microbiome analysis of the restricted bacteria in radioactive element-containing water at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station

藁科 友朗*; 佐藤 朝子*; 比内 浩; Shaikhutdinov, N.*; Shagimardanova, E.*; 森 宙史*; 玉木 聡志*; 斎藤 元文*; 眞田 幸尚; 佐々木 祥人; et al.

Applied and Environmental Microbiology, 90(4), p.e02113-23_1 - e02113-23_23, 2024/04

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Biotechnology & Applied Microbiology)

A major incident occurred at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station following the tsunami triggered by the Tohoku-Pacific Ocean Earthquake in March 2011, whereby seawater entered the torus room in the basement of the reactor building. Here, we identify and analyze the bacterial communities in the torus room water and several environmental samples. Samples of the torus room water (1 $$times$$ 10$$^{9}$$ Bq$$^{137}$$Cs/L) were collected by the Tokyo Electric Power Company Holdings from two sampling points between 30 cm and 1 m from the bottom of the room (TW1) and the bottom layer (TW2). A structural analysis of the bacterial communities based on 16S rRNA amplicon sequencing revealed that the predominant bacterial genera in TW1 and TW2 were similar. TW1 primarily contained the genus Limnobacter, a thiosulfate-oxidizing bacterium. $$gamma$$-Irradiation tests on Limnobacter thiooxidans, the most closely related phylogenetically found in TW1, indicated that its radiation resistance was similar to ordinary bacteria. TW2 predominantly contained the genus Brevirhabdus, a manganese- oxidizing bacterium. Although bacterial diversity in the torus room water was lower than seawater near Fukushima, $$sim$$70% of identified genera were associated with metal corrosion. Latent environment allocation - an analytical technique that estimates habitat distributions and co-detection analyses - revealed that the microbial communities in the torus room water originated from a distinct blend of natural marine microbial and artificial bacterial communities typical of biofilms, sludge, and wastewater. Understanding the specific bacteria linked to metal corrosion in damaged plants is important for advancing decommissioning efforts.

論文

第6回アジア・オセアニア放射線防護会議(AOCRP6)への参加報告

吉富 寛; 真辺 健太郎; 越智 康太郎; 河野 恭彦; 佐々木 道也*; 吉田 浩子*

保健物理(インターネット), 58(2), p.105 - 111, 2023/08

2023年2月7日$$$$sim$$$$11日にムンバイ(インド)で、第6回アジア・オセアニア放射線防護会議(AOCRP6)が開催された。本稿では、会議の概要や一般講演内容等について報告する。

論文

福島の森林域における森林斜面および渓流を介した放射性セシウム流出量

新里 忠史; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹*

第32回社会地質学シンポジウム論文集, p.13 - 16, 2022/11

福島の森林斜面および渓流におけるセシウム137の流出観測に基づいて、河川のセシウム137流出における森林域に存在するセシウム137の寄与を検討し、土砂流出量およびセシウム137濃度の観点から、比較的寄与が低い可能性を指摘した。

論文

Radiocesium transfer into freshwater planktonic ${it Chlamydomonas}$ spp. microalgae in a pond near the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant

佐々木 祥人; 舟木 泰智; 藤原 健壮

Limnology, 23(1), p.1 - 7, 2022/01

 被引用回数:1 パーセンタイル:5.30(Limnology)

福島第一原子力発電所近傍の池において微細藻類の生体および遺体への放射性セシウムの移行について調査した。生体においては、池内の微細藻類数と0.45$$mu$$m以上の池内の浮遊物質の放射性セシウム濃度に相関がみられたことから、微細藻類がその池における0.45$$mu$$m以上の浮遊物質の放射性セシウム濃度の支配要因であることが示された。水に対する微細藻類の移行係数は、1.6$$times$$10$$^{3}$$であった。また、微細藻類の遺体においても放射性セシウムが生体と同程度、吸着し沈殿することが明らかになった。

論文

放射性セシウム流出量に及ぼす林床状況の影響; 福島の山林の事例

新里 忠史; 佐々木 祥人; 渡辺 貴善; 雨宮 浩樹*

第31回社会地質学シンポジウム論文集, p.19 - 22, 2021/11

福島の山地森林における林床状況とセシウム137($$^{137}$$Cs)流出量の関連を把握するため、除染地,未除染地および林野火災の延焼跡地において3年間の長期観測を実施した。除染や延焼により失われた林床被覆が回復するのに伴い$$^{137}$$Cs流出量は減少し、除染地では除染直後の3.24%から0.61%へ、延焼跡地では延焼直後の2.79%から0.03%へと低下した。林床被覆が60%を超えると未除染地や非延焼地と同程度の流出量となり、林床被覆60%は、観測地における流出影響の閾値と考えられる。延焼跡地では林床被覆の回復に伴い、流出物の主体が土壌粒子からリター片に変化したことも、$$^{137}$$Cs流出量の低下に寄与した。山地森林の林床が本来有する土壌侵食に対する保護機能は、$$^{137}$$Cs流出抑制に効果的である。

論文

High temperature gas-cooled reactors

武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.

High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02

本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950$$^{circ}$$Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。

報告書

Status of study of long-term assessment of transport of radioactive contaminants in the environment of Fukushima (FY2018) (Translated document)

長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.

JAEA-Research 2020-007, 249 Pages, 2020/10

JAEA-Research-2020-007.pdf:15.83MB

2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性核種は、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌などが生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することで空間線量率が上がってしまうのではないか(外部被ばくに関する懸念)、森林から河川に流出した放射性セシウムが農林水産物に取り込まれることで被ばくするのではないか、規制基準値を超えて出荷できないのではないか(内部被ばくに関する懸念)などの懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。日本原子力研究開発機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。

論文

Numerical study of transport pathways of $$^{137}$$Cs from forests to freshwater fish living in mountain streams in Fukushima, Japan

操上 広志; 佐久間 一幸; Malins, A.; 佐々木 祥人; 新里 忠史

Journal of Environmental Radioactivity, 208-209, p.106005_1 - 106005_11, 2019/11

AA2018-0485.pdf:1.87MB

 被引用回数:19 パーセンタイル:58.74(Environmental Sciences)

本報告では、セシウム137の森林内での循環と河川への流出、渓流に生息する淡水魚への移行を考慮したコンパートメントモデルを構築し、福島の環境に基づいて一般化した流域を対象に解析を行い、淡水魚へ移行するセシウム137の森林内の流出源を推定した。その結果、セシウム137の流出源は、落葉の河川への直接流入、落葉層からの側方流入、土壌層からの側方流入の3つからなることがわかった。また、森林内のセシウム137の循環は事故後10年程度で平衡状態に近づき、それに伴って河川水や淡水魚のセシウム137濃度は物理減衰程度になると推測された。

論文

除染後の落葉広葉樹林林縁地における放射性セシウム流出量の経年変化

渡辺 貴善; 佐々木 祥人; 新里 忠史; 三田地 勝昭*; 伊藤 聡美

KEK Proceedings 2019-2, p.114 - 119, 2019/11

森林の除染作業では、森林の地面に堆積している落葉がすべて取り除かれて、土砂が露出した状態になる場合がある。その後、土砂が露出した地面が下草や落葉で覆われるようになると、雨による地面の侵食の大きさが変化し、放射性セシウムの流出量も変化すると考えられる。本件は、森林の除染後の放射性セシウムの流出と地面の被覆率の変化を調べたものである。除染された福島県内の落葉広葉樹林において、観測区画を設定し、除染後の3年間にかけて放射性セシウムの流出を観測した。観測の結果、沈着した放射性セシウムに対する流失した放射性セシウムの流出率は、年々減少していくことがわかった。対して、森林の地面の被覆率は年ごとに増加する傾向にあった。以上から、森林の除染後、下草や落葉による地面の被覆が増えるにつれて、放射性セシウムの流出率が低下していくことが確認された。

論文

コシアブラ若木の地上部および地下部における放射性セシウム分布

伊藤 聡美; 佐々木 祥人; 新里 忠史; 渡辺 貴善; 三田地 勝昭*

KEK Proceedings 2019-2, p.132 - 137, 2019/11

東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の事故により、環境中に放出された放射性物質は現在、福島県内の森林,表層土壌に多く沈着している。この影響により、食用林産物は、福島県の一部地域で出荷制限されているものも存在する。新芽を食用とするウコギ科のコシアブラは広い地域で出荷が制限されている山菜である。本発表では、山菜採取の対象となりやすい若木を対象として土壌の放射性セシウム深度分布、コシアブラ若木の地上部(葉,樹幹)と地下部(根)における植物体量および、放射性セシウム量について調査した結果、土壌中の放射性セシウムが多く分布する深度0-10cmに根の90%以上が存在することが分かったため、これらの調査結果について報告する。

論文

${it In-situ}$ investigation of radioactive Cs mobility around litter zone in contaminated forest using spent mushroom substrata

大貫 敏彦*; 坂本 文徳; 香西 直文; 山崎 信哉*; 佐々木 祥人; 新里 忠史

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.814 - 821, 2019/09

 被引用回数:3 パーセンタイル:28.63(Nuclear Science & Technology)

食用きのこを栽培した後の副産物である廃菌床(SMS)を利用して、福島県の森林地帯のリター層における放射性セシウム移動の現地調査を行った。粉末状のSMSを0.35$$times$$0.55mのプラスチックバックに詰め、およそ六ヶ月間森林に設置した。その際、バックをそのまま(No treatment)、バックを木製の箱で覆う(With box)、バックを置いた土壌の山側にゼオライトを設置(With zeolite)の3条件を試験した。SMSバックの下の土壌とリターからSMSへの移行係数(TF)を評価した。その結果、設置六ヶ月の「No treatment」と「With zeolite」のTFはおよそ0.01から0.05であった。一方、「With box」のそれは「No treatment」と「With zeolite」の二ヶ月と四ヶ月設置のTFより一桁低いが、六ヶ月ではほぼ同じ値であった。このことは、SMSへの放射性セシウムの濃集は林間雨によるものが主であることを示唆している。さらに、たとえ放射性セシウムが土壌に強固に結合していても、数ヶ月の設置では真菌がリター層の放射性セシウム濃集に関与していることが示唆された。

報告書

福島における放射性セシウムの環境動態研究の現状(平成30年度版)

長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.

JAEA-Research 2019-002, 235 Pages, 2019/08

JAEA-Research-2019-002.pdf:21.04MB

2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出され、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌等が生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することに対する懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。原子力機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。

論文

Role of filamentous fungi in migration of radioactive cesium in the Fukushima forest soil environment

大貫 敏彦; 坂本 文徳; 香西 直文; 難波 謙二*; 根田 仁*; 佐々木 祥人; 新里 忠史; 渡辺 直子*; 小崎 完*

Environmental Science; Processes & Impacts, 21(7), p.1164 - 1173, 2019/07

 被引用回数:13 パーセンタイル:50.33(Chemistry, Analytical)

福島第一原子力発電所事故により降下した放射性セシウム(以下、Csとする)の挙動及び関連する放射線学的影響は、表層土壌から森林生態系へのCsの移動性に大きく関係する。本研究では、福島県飯舘の森林で採取した野生きのこ子実体へのCs蓄積量を測定した。土壌から野生きのこ子実体へのCs移行係数(TF)は10$$^{-2}$$から10$$^{2}$$の間であった。この範囲は、チェルノブイリ事故後にヨーロッパのきのこについて報告された値、及び核実験降下物に対する日本のきのこについて報告された値の範囲と類似していた。野生きのこのTF値と、704種類のきのこ菌糸をCsを含む栄養寒天培地で生育したときのTF値とを比較したところ、野生きのこのTF値の方が低かった。寒天培地に1重量%の鉱物(ゼオライト等)を加えたところTFは0.1以下になった。添加した鉱物がきのこによるCs吸収を低下させることが明らかとなった。

論文

3Dレーザースキャナーによる測量から求めた治山ダムへの放射性セシウムの堆積量

渡辺 貴善; 大山 卓也; 石井 康雄; 新里 忠史; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 佐々木 祥人

KEK Proceedings 2017-6, p.122 - 126, 2017/11

土砂移動に伴う放射性セシウム流出量が最も高いと見込まれる地形の急峻な山地森林を対象として、治山ダムの土砂堆積量と土砂の放射性セシウム濃度を測定し放射性セシウムの森林からの流出量を算出した。治山ダムの堆積量の計測には3Dレーザースキャナーを用いることで、詳細な堆積物の変化を求めた。

論文

The Succession of bacterial community structure in groundwater from a 250-m gallery in the Horonobe Underground Research Laboratory

伊勢 孝太郎; 佐々木 祥人; 天野 由記; 岩月 輝希; 南條 功*; 浅野 貴博*; 吉川 英樹

Geomicrobiology Journal, 34(6), p.489 - 499, 2017/07

 被引用回数:5 パーセンタイル:12.84(Environmental Sciences)

幌延深地層研究センターの250m水平坑道に掘られた09-V250-M02 and 09-V250-M03ボアホール中における微生物群集変化について調査を行った。09-V250-M02において、掘削直後に採取したサンプルについてクローンライブラリー解析を行ったところ、$$varepsilon$$-Proteobacteriaが最も優占していた。$$varepsilon$$-Proteobacteriaは硫化物を硫黄に酸化して増殖する独立栄養細菌であることが知られている。4年経過後の微生物群集は大きく変化し、OP9やChloroflexiなどの深海底において検出されることが多い種が優占していた。これらのことから、掘削直後には空気による酸化の影響が大きく見られたが、時間経過とともに微生物群集は深海底などで検出される微生物群集と似た構造と変化することが示された。

論文

Translocation of radiocesium released by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident in Japanese chestnut and chestnut weevil larvae

佐々木 祥人; 石井 康雄; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 渡辺 貴善; 新里 忠史

The Horticulture Journal, 86(2), p.139 - 144, 2017/04

2011年3月に発生した福島第一原子力発電事故により飛散した放射性セシウムの栗に対する移行を明らかにするために、果実の各部位と葉のオートラジオグラフィと放射性セシウム濃度を調べた。栗の果実は、可食部である子葉と鬼皮の間に薄皮をもつ。果実における放射性セシウム濃度は、鬼皮、薄皮、子葉ともに約1.0$$times$$10$$^{4}$$Bq・kg$$^{-1}$$で各部位においてほぼ同濃度であり、また葉もほぼ同濃度であった。さらに果実に寄生するクリシギゾウムシの幼虫の放射性セシウム濃度は、果実の可食部である子葉の約7分の一であることが示された。

論文

Input and output budgets of radiocesium concerning the forest floor in the mountain forest of Fukushima released from the TEPCO's Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident

新里 忠史; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 佐々木 祥人; 石井 康雄; 渡辺 貴善

Journal of Environmental Radioactivity, 161, p.11 - 21, 2016/09

 被引用回数:29 パーセンタイル:65.40(Environmental Sciences)

東電福島第一原子力発電所の事故から2-3年経過後の福島県阿武隈山地の森林において、事故により放出された放射性セシウムの林床を基準とした流出及び入力量を推定した。放射性セシウムの流出入の観測は、落葉樹のコナラ林と常緑樹のスギ林に設置した観測区画において、表面洗食、林内雨、樹幹流、リターフォールを対象に実施した。その結果、福島県の降雨時期において、林床を基準とした放射性セシウムの入力量は、流出量と比較して4-50倍高い結果が得られた。これらの結果は、放射性セシウムはその著しく低い流出量のために森林内に留まる傾向にあることを示す。このため、森林における放射性セシウムの循環プロセスの理解が、放射性セシウムの濃度レベルの将来予測と森林に係る生活の再生における重要なであることを示す。

論文

The Transfer of radiocesium from the bark to the stemflow of chestnut trees (${it Castanea crenata}$) contaminated by radionuclides from the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident

佐々木 祥人; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 渡辺 貴善; 石井 康雄; 新里 忠史

Journal of Environmental Radioactivity, 161, p.58 - 65, 2016/09

AA2015-0311.pdf:1.93MB

 被引用回数:16 パーセンタイル:43.90(Environmental Sciences)

福島の森林に生育する栗の木から樹幹流中への放射性セシウムの移行について報告する。事故当時に存在していた木の樹皮表面には、放射性セシウムは不均一かつスポット状に分布していた。事故後に生じた新枝にはほぼ均一に存在していた。放射性セシウム濃度は、幹(直径2cm)、枝(直径5mm以下)、葉の順に低くなった。また、幹(直径2cm)においては、樹皮は、木部の約10倍の放射性セシウム濃度であった。樹幹流の溶存画分(0.45$$mu$$m以下)試験期間中のCs-137濃度は平均約10Bq/Lであり、pHは5.8でほぼ一定であった。樹幹流の溶存画分の電気伝導率は放射性セシウム濃度と強い正の相関がみられたことから、樹幹流中の電解質と放射性セシウムは同じ溶出機構であることが示唆された。樹幹流中の粒子画分(0.45$$mu$$m以上)の一部に放射性セシウムが強く付着している粒子が存在することが示された。

論文

Direct accumulation pathway of radioactive cesium to fruit-bodies of edible mushroom from contaminated wood logs

大貫 敏彦; 相場 幸敏*; 坂本 文徳; 香西 直文; 新里 忠史; 佐々木 祥人

Scientific Reports (Internet), 6, p.29866_1 - 29866_6, 2016/07

 被引用回数:10 パーセンタイル:29.52(Multidisciplinary Sciences)

放射性Csの汚染原木からキノコへの移行経路を、$$gamma$$線スペクトロスコピー、オートラジオグラフィー及びX線マイクロCTにより調べた結果、原木からキノコに直接移行する経路が存在することを明らかにした。

論文

Fate of radiocesium in freshwater aquatic plants and algae in the vicinity of the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

佐々木 祥人; 舟木 泰智; 伊利 沙汀; 土肥 輝美; 萩原 大樹

Limnology, 17(2), p.111 - 116, 2016/04

AA2015-0204.pdf:3.47MB

 被引用回数:12 パーセンタイル:43.16(Limnology)

福島第一原子力発電所周辺の河川(1地点)およびため池(4地点)に生育していた水草(5種)および藻類(3属)への放射性セシウムの移行挙動を調べた。堆積物-植物移行係数[($$^{137}$$Cs Bq/kg-dry weight plant)$$times$$( $$^{137}$$Cs Bq/kg-dry weight sediment)$$^{-1}$$]は、水草では河川に生育していたエビモが5.55と最も高く、ため池から採取したヒルムシロが3.34$$times$$10$$^{-2}$$と最も低く、同属の水草でも違いがあることが示された。糸状藻(${it Spirogyra}$ sp.)およびシアノバクテリアの水-植物移行係数[($$^{137}$$Cs Bq/kg-dry weight plant) $$times$$ ($$^{137}$$Cs Bq/L water)-1]は、それぞれ2.39$$times$$10$$^{3}$$、1.26$$times$$10$$^{3}$$であることが示された。採取水中におけるシアノバクテリア画分のみの$$^{137}$$Cs濃度は、4.87$$times$$10$$^{-1}$$Bq/Lであり、シアノバクテリアが生息していた水中のセシウム濃度と同オーダーであり、シアノバクテリアへの顕著な放射性セシウムの濃集は確認されなかった。

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