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瀬野 康弘*; 中山 雅; 杉田 裕; 棚井 憲治; 藤田 朝雄
JAEA-Data/Code 2016-011, 164 Pages, 2016/11
地下300m以深への地層処分が定められている高レベル放射性廃棄物(HLW)の処分場の坑道などの支保工にはコンクリートの使用が想定されている。一般に、OPCを用いたコンクリートの浸出水のpHは1213を呈する。一方、緩衝材に用いられているベントナイトはpH約11以上の高アルカリ環境で変質し膨潤性能が低下する恐れがあり、これらのバリア機能が阻害される可能性が指摘されている。したがって、HLW処分場の支保工に使用されるセメント系材料にはバリア機能は求められていないものの、他のバリア機能を阻害しないこと、すなわち、低アルカリ性が求められている。原子力機構では、セメント系材料の低アルカリ化を目指し、コンクリートの浸出水のpHを11程度以下にすることを目標とし、OPCにシリカフュームとフライアッシュを混合させた低アルカリ性セメント(HFSC)を開発した。HFSCのHLW処分場用支保工材料への適用性に関する研究は、幌延深地層研究センターの深度140m, 250mおよび350mの水平坑道において施工を行い適用の目途を得ている。本資料は、HFSCのこれまでに実施した種々の配合試験で得られたHFSCコンクリートのフレッシュ性状や硬化物性値等について整理した。
瀬野 康弘*; 野口 聡*; 中山 雅; 杉田 裕; 須藤 俊吉; 棚井 憲治; 藤田 朝雄; 佐藤 治夫*
JAEA-Technology 2016-011, 20 Pages, 2016/07
放射性廃棄物の地層処分では、地下施設の建設にセメント系材料の使用が想定されている。一般に、土木・建築分野で使用されている普通ポルトランドセメント(以下、OPC)を用いた場合、セメント起源の高アルカリ性間隙水(pH=12.5以上)が浸出し、周辺の緩衝材や岩盤の性能を低下させる可能性がある。そこで、セメント系材料に起因する浸出水のpHを低下させることを目的として、低アルカリ性セメントが開発されている。日本原子力研究開発機構では、低アルカリ性セメントの候補として、フライアッシュ高含有シリカフュームセメント(High-volume Fly ash Silica fume Cement、以下、HFSC)を開発した。これまでに幌延深地層研究センター地下研究施設の坑道で、HFSCを用いた吹付けコンクリートの原位置施工試験を通じ、吹付けコンクリートとしての施工性を確認してきた。本報告は、実際の地下施設の施工において適用可能と考えられる配合で作製されたHFSCセメントペースト硬化体について、その長期的なpH挙動を把握することを主な目的として実施している浸漬試験について、これまでに得られた結果をまとめたものである。
平野 享*; 瀬野 康弘*; 引間 亮一; 松井 裕哉
JAEA-Research 2011-019, 51 Pages, 2011/09
超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標とする研究プロジェクトである。その中で実施された、深度200mにおける立坑掘削中のひずみ計測は、超深地層研究所計画で研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)での目標の一つとされる「研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」を主な目的とするものである。具体的には、深度200mからの換気立坑掘削に先立ち、研究坑道からボーリング孔(07MI1012号孔)を掘削して孔中に埋設型ひずみ計・連続式挿入型傾斜計・光ファイバ式ひずみ計を設置し、換気立坑掘削に伴う応力解放や、湧水抑制対策の一環として実施したプレグラウトの影響が、岩盤ひずみ・変位としてどのように現れるのかを原位置調査によって把握した。
平野 享; 瀬野 康弘*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2010-013, 51 Pages, 2010/06
超深地層研究所計画の第2段階では「研究坑道の掘削を伴う調査・研究による地質環境モデルの構築」が目標の一つとして設定されており、そのための調査研究の一環として本調査を実施した。深度200mの研究坑道から土岐花崗岩にボーリング孔を掘削し、研究坑道周辺の土岐花崗岩の物理・力学的特性,岩盤初期応力を把握した。その結果、岩石の物理・力学的特性はMIZ-1号孔の調査結果と同程度であると認められた。また、岩盤初期応力は、最大主応力1の方向がおおむね水平でNW-SE方向、その値は10.6MPaと認められ、SHに換算するとMIZ-1号孔の調査で予測された深度200mにおけるSHの方向や値とおおむね一致した。以上のことから、第1段階のMIZ-1号孔の調査は、深度200mにおいて有効であったと考えられる。そのほか深度200400mの掘削ずりから取得した物理・力学的特性と合わせて検討した結果、特性に認められるばらつきの割合は同一深度で約20%、深度方向で約40%であり、岩盤の不均一性の現われであると考えられた。
平野 享; 瀬野 康弘*; 松井 裕哉
JAEA-Research 2010-005, 41 Pages, 2010/06
超深地層研究所計画は、深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備及び深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市において実施している研究プロジェクトである。プロジェクトは、現在、研究坑道の掘削を伴う研究段階(第2段階)にある。第2段階の調査研究においては、「研究坑道の掘削を伴う調査・研究による地質環境モデルの構築」及び「研究坑道の掘削による深部地質環境の変化の把握」が成果目標の一つとして設定されており、調査の種類や量と個別目標や課題に対する理解度や精度との関係を実例で把握し、調査の有効性の評価,サイトスケールで作成された第1段階の地質環境モデルの妥当性評価,ブロックスケールの同モデルの構築等を行うものとしている。その中で、岩盤力学に関する調査研究では、おおむね深度100m間隔で岩盤力学ボーリング調査を実施し、適宜、坑内での変位・ひずみ計測などの調査を実施し、これらを通じて上記目標や課題を達成するものとした。本報告は、以上に述べた調査研究の一環として、2008年度に実施した岩盤力学に関する調査研究成果をとりまとめたものである。
平野 享; 中間 茂雄; 山田 淳夫*; 瀬野 康弘*; 佐藤 稔紀*
JAEA-Research 2010-002, 48 Pages, 2010/06
超深地層研究所計画の第2段階では「研究坑道の掘削を伴う調査・研究による地質環境モデルの構築」が成果目標の一つとして設定されており、そのための調査研究の一環として本調査を実施した。土岐夾炭累層に設けた深度100mの研究坑道からボーリング孔を掘削し、被覆層の力学的な地質環境(岩石の物理・力学的特性,岩盤初期応力)を把握した。その結果、岩石の物理・力学的特性はMIZ-1号孔の調査結果と同程度の値が示され、第1段階の調査で深度100mの物理・力学的特性がおおむね予測されていることを確認した。また、初期応力状態は、最大主応力の方向が、MIZ-1号孔の調査において土岐夾炭累層の下位に位置する土岐花崗岩で認められた方向と類似しており、また、広域ひずみ場とも調和していた。しかし、応力値は土岐花崗岩での値に外挿して得られるものとは異なり、土岐夾炭累層と土岐花崗岩の境界において初期応力が不連続的に変化する(応力のデカップリングが生じている)ものと考えられた。
平野 享; 中間 茂雄; 山田 淳夫*; 瀬野 康弘*; 佐藤 稔紀*
JAEA-Research 2009-031, 58 Pages, 2009/11
超深地層研究所計画の地上からの調査予測研究段階では深層ボーリング孔(MIZ-1号孔)による岩盤力学的な深部地質環境の把握とそれに基づく地質環境モデルの構築が課題の一つである。本報告書は2004年度に行ったMIZ-1号孔における岩盤力学調査の結果をとりまとめたものである。ボーリングコアを用いた室内試験では見かけ比重=2.62,一軸圧縮強度=173MPa等を示し、研究所用地の土岐花崗岩が正馬様用地の土岐花崗岩と似ていることを示した。また、ボーリングコアを用いた初期応力測定ではボーリング時の応力解放ひずみが微小のためDSCAを除いて信頼できる結果が得られなかった。DSCAの結果と水圧破砕法による初期応力測定では最大主応力がおおむね水平でNW-SE方向にあると示された。水平面内の主応力と鉛直応力の大小関係を比較すると、おおむね深度400mより浅いところでは逆断層型、深度600mより深いところでは正断層・横ずれ断層型の環境であった。以上を踏まえて、既往の地質構造モデルを基本に本調査の結果を解釈した地質構造モデルを作成した。
西尾 和久; 松岡 稔幸; 見掛 信一郎; 鶴田 忠彦; 天野 健治; 大山 卓也; 竹内 竜史; 三枝 博光; 濱 克宏; 吉田 治生*; et al.
JAEA-Review 2009-001, 110 Pages, 2009/03
独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めている。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」における2006年度に実施した(1)調査研究、(2)施設建設、(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
西尾 和久; 松岡 稔幸; 見掛 信一郎; 鶴田 忠彦; 天野 健治; 大山 卓也; 竹内 竜史; 三枝 博光; 濱 克宏; 吉田 治生*; et al.
JAEA-Review 2008-073, 99 Pages, 2009/03
独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、第1段階「地表からの調査予測研究段階」,第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」,第3段階「研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めている。本報告書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所基本計画」に基づき、超深地層研究所計画の第2段階「研究坑道の掘削を伴う研究段階」における2005年度に実施した(1)調査研究,(2)施設建設,(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
西尾 和久; 大山 卓也; 見掛 信一郎; 水野 崇; 三枝 博光; 竹内 竜史; 天野 健治; 鶴田 忠彦; 濱 克宏; 瀬野 康弘; et al.
JAEA-Review 2008-072, 28 Pages, 2009/02
独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構)東濃地科学センターでは、地層処分技術に関する研究のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」,「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」,「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなる約20年の計画であり、現在は、第2段階である「研究坑道の掘削を伴う研究段階」を進めている。本計画書は、2002年2月に改訂した「超深地層研究所基本計画」に基づき、2008年度の超深地層研究所計画の(1)調査研究計画,(2)施設建設計画,(3)共同研究計画等を示したものである。
市川 康明*; 瀬野 康弘*; 平野 享; 中間 茂雄; 松井 裕哉
JAEA-Research 2008-090, 52 Pages, 2008/11
本報告書は、2007年度に実施した研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。続いて、第2章では、長期挙動予測評価手法の開発において解明が必要と考えられる石英の圧力溶解反応現象について、現象の理論的取り扱いと均質化法をベースにした数値解析手法を考案し、その適用例としてベントナイトに含まれる石英粒子の溶解を解析している。次の、第3章と第4章は、第3段階の研究で評価手法の検証が行えるよう、主要な研究対象とする土岐花崗岩をモデルとする基礎的な検討を行ったものである。このうち、第3章では、応力緩和状態下の土岐花崗岩に認められる微視的変形状況を約1か月まで顕微鏡で観察し、鉱物表面の変形から内部のひずみを計算している。また、第4章では、微視・巨視問題を同時に扱うことのできる均質化解析を用いて土岐花崗岩の巨視的な力学的挙動を再現するとともに、微視問題には強不連続解析を導入して土岐花崗岩内のマイクロクラック進展を再現している。
瀬野 康弘*; 中間 茂雄; 山田 淳夫*; 平野 享; 佐藤 稔紀*
JAEA-Research 2008-084, 35 Pages, 2008/11
岐阜県瑞浪市において日本原子力研究開発機構が実施している超深地層研究所計画では、平成17年3月に第1段階(地上からの調査研究)が終了し、現在、第2段階(地下施設建設時の調査研究)を進めている。第2段階においては、第1段階の成果との比較から、調査量と個別目標や課題に対する理解度や不確実性との関連性を評価する。そのうち、岩盤力学に関する分野では、深度100mごとの連絡坑道から岩盤力学調査ボーリングを行って、第1段階で構築したサイトスケールにおける岩盤力学モデルを評価し、地表からの調査手法を評価するとともに、そのモデルを新しい情報に基づいて更新したブロックスケールの岩盤力学モデルを構築することを目標としている。またそのほかに、重要な課題とされる力学的な掘削影響や長期挙動の評価に関する研究を実施する計画である。本報告書は、第2段階の調査研究のうち、2006年度に実施した岩盤力学に関する以下の成果を取りまとめたものである。(1)-100m連絡坑道における岩盤力学に関する調査研究,(2)三次元応力場同定手法の高度化に関する研究,(3)ボーリングコアを用いた岩盤応力評価手法の高度化に関する研究,(4)長期岩盤挙動評価に関する研究。
大久保 誠介*; 瀬野 康弘*; 平野 享; 中間 茂雄; 松井 裕哉
JAEA-Research 2008-065, 51 Pages, 2008/08
本報告書は、平成19年度に実施した研究をまとめたものである。第1章では、研究内容とその背景を概括した。続いて第2章では、平成9年度から継続している田下凝灰岩のクリープ試験結果について報告した。試験を開始して10年が経過し、測定結果に年変動が見られるなどの問題点も見られるが貴重なデータが得られている。さらに第3章では、一般化応力緩和試験をサーボ制御試験機で行うための制御プログラムを開発し、実際にそれを使って土岐花崗岩の一般化応力緩和試験を実施し、基礎的なデータを取得した。最後に第4章では拡張コンプライアンス可変型構成方程式を解析的に検討した。そこでは、第3章で得たデータをもとにして、構成方程式の土岐花崗岩を対象としたパラメータを求めるとともに、数値実験を実施している。
戸井田 克*; 須山 泰宏*; 瀬尾 昭治*; 渥美 博行*; 尾方 伸久
JAEA-Research 2008-035, 89 Pages, 2008/03
東濃地科学センターにおける地層科学研究では、地表から地下深部までの水理特性や地下水の地球化学特性を把握するために、各種の調査・検討を行っている。これらの研究では、調査の各段階において構築される各種モデルの不確実性をできるだけ定量的に記述し、それを効率よく低減する調査の進め方を明らかにすることが重要な課題である。一般に岩盤においては、それに伴う不確実性が均質な媒体に比較して大きいため、調査量と調査結果に含まれる不確実性との関係を評価することが極めて重要となる。この両者の関係を数学的に解析する手法の一つとして地球統計学的手法があり、これは地下に埋蔵する資源量の評価など他分野において用いられてきた実績がある。本研究では、地球統計学とファジー理論を応用し、不確実性を定量化し、その不確実性を低減するという新たなアプローチを考案した。平成18年度は、これまでに実施した2次元と3次元の地質構造のモデル化及び地下水流動解析結果を踏まえ、不確実性評価手法の体系化を行った。そして、体系化した手順に沿って一連の評価事例を整理した。また、本手法を効果的に活用できるように適用すべき原位置調査手法を提案するとともに、地質環境の不確実性の観点から地下施設設計時に考慮すべき事項を整理した。
市川 康明*; 瀬野 康弘; 中間 茂雄; 佐藤 稔紀
JAEA-Research 2008-005, 60 Pages, 2008/03
本報告書は、平成18年度に実施した成果をまとめたものであり、長期挙動予測評価手法の開発として行った「石英の溶解に関する試験的研究」及び「石英の溶解拡散に関する均質化解析」と、第3段階の調査研究計画の基礎情報としての「土岐花崗岩の一軸圧縮試験と応力緩和試験」の3点について報告するものである。本報告書の構成は、以下の通りである。第2章では、土岐花崗岩の微視的変形状況を一軸圧縮試験及び応力緩和試験条件下でレーザー共焦点顕微鏡によって観察している。すなわち、時間依存の巨視的な変形・応力挙動を測ると同時に、顕微鏡画像で結晶及びその境界面の特徴的なポイントを探して四角形メッシュを組み、そのメッシュ群の時間的なひずみ変化を算定した。第3章では、多結晶質岩石の微視レベルの破壊機構に深くかかわっている各鉱物の圧縮応力下の化学反応による溶解現象を確認するために、石英単結晶供試体及びガラスビーズを用いた圧縮試験を試み、溶解及び再沈殿した石英表面の形状をレーザー共焦点顕微鏡で観察している。第4章では、石英の圧力溶解反応現象についての理論的な取り扱い法、並びに均質化法をベースにした数値解析法を開発している。
大久保 誠介*; 瀬野 康弘; 中間 茂雄; 佐藤 稔紀*; 平野 享
JAEA-Research 2007-088, 118 Pages, 2008/03
本報告書は、平成17年度と18年度に実施した研究をまとめたものである。第2章では、長期挙動予測評価手法の開発として行った研究として、(1)平成9年度から継続している田下凝灰岩の長期クリープ試験の結果、(2)稲田花崗岩の中間温度領域におけるマルチステージクリープ試験結果、(3)一般化応力緩和試験に関する検討、(4)大久保が提案した構成方程式中のパラメータを求めるための新しい試験方法に関する考察、について報告した。とりわけ田下凝灰岩の長期クリープ試験は、試験を開始して9.5年が経過し、試測定結果に年変動が見られるなどの問題点も見られるが貴重なデータが得られている。第3章では、第3段階における上記研究の検証の基礎となる土岐花崗岩を対象とした力学試験を行い、その結果から時間依存性を考慮した構成方程式のパラメータを取得した結果について報告した。土岐花崗岩は花崗岩として標準的な力学物性値を持っていることが判明し、また、構成方程式の三次クリープ(破壊現象)を表現するパラメータが取得された。最後に付録として「岩盤の不均一性評価技術に関する研究」、「岩石の時間依存性を考慮した新岩盤分類法の検討」を示した。
瀬野 康弘; 中間 茂雄; 佐藤 稔紀*; 郷家 光男*; 多田 浩幸*; 櫻井 英行*
JAEA-Research 2007-081, 120 Pages, 2008/01
本報告書は、第2段階以降の調査・研究計画策定のための基礎情報を得ることを目的とし、研究坑道の深度500m付近の立坑と水平坑道の連接部を対象に、クラックテンソルモデルにより掘削損傷を考慮した3次元応力解析を行い、その応力状態を用いて仮想割れ目モデルによる透水性変化解析を行った結果について報告するものである。解析検討により得られた知見は以下のとおりである。(1)岩盤等級が下がると、立坑及び水平坑道の内空変位,支保工部材の応力は増加した。ただし、最大せん断応力,安全率,平均透水係数の増加領域の分布には変化がほとんど見られなかった。(2)連接部における立坑の内空変位は一般部の1.1倍に増加した。連接部の影響範囲は、水平坑道の代表径の2倍程度であった。また、連接部における水平坑道の内空変位は一般部の1.92.2倍に増加した。(3)掘削損傷領域の存在を考慮すると、立坑及び水平坑道とも、内空変位や支保工部材の応力は増加し、平均透水係数の最大増加率は大幅に増加した。(4)3次元的な亀裂分布に基づく岩盤挙動をより適切に表現するには2次元モデルより3次元モデルが有効である。
瀬野 康弘; 中間 茂雄; 佐藤 稔紀*; 森 孝之*; 森川 誠司*; 田部井 和人*; 須山 泰宏*; 村上 浩次*
JAEA-Research 2007-080, 112 Pages, 2008/01
本報告書は、第2段階以降の調査・研究計画策定のための基礎情報を得ることを目的とし、研究坑道の深度500m付近の立坑と水平坑道の連接部を対象に、MBCモデルによる掘削損傷を考慮した3次元予測解析結果について報告するものである。解析検討により得られた知見は以下のとおりである。(1)岩盤挙動は初期応力の作用方向,亀裂の幾何学的方向の影響を受ける。また、B級やCH級に比べ強度が劣るCL級では、変位や支保にかかる応力は大きくなる。(2)解析ステップの細分化が解析結果に与える影響は少ない。(3)掘削損傷域の有無による岩盤挙動に対する影響は比較的小さい。(4)立坑連接部では一般部に比べ支保の応力が1.31.6倍になる。(5)3次元的な亀裂分布に基づく岩盤挙動をより適切に表現するには2次元モデルより3次元モデルが有効である。
平野 享; 瀬野 康弘; 中間 茂雄; 大久保 誠介*
第37回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.397 - 402, 2008/01
本研究は、長期間の安定性が要求される高レベル放射性廃棄物の地層処分にかかわる処分坑道の設計手法の確立に資するため、時間依存性を考慮した岩石の応力-ひずみ関係の構成式を得ることを目的としている。構成式は既往の研究で提案された岩石の一次クリープと三次クリープを表現できるものであり、室内試験により求まるパラメータを含んでいる。本研究では、土岐花崗岩を対象とし、現地計測に比べて制約の少ない小型サンプルでの室内試験方法として、2種類のひずみ速度を載荷中に交互に切換える一軸圧縮試験により、三次クリープを表現するパラメータを得る方法を試行した。その結果、強度破壊点以降と三次クリープを記述する項に含まれるパラメータが得られることを確かめた。
三枝 博光; 瀬野 康弘; 中間 茂雄; 鶴田 忠彦; 岩月 輝希; 天野 健治; 竹内 竜史; 松岡 稔幸; 尾上 博則; 水野 崇; et al.
JAEA-Research 2007-043, 337 Pages, 2007/03
本報告書は、結晶質岩を対象として、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市で進めている深地層の研究施設計画である超深地層研究所計画における第1段階(地表からの調査予測研究段階)の調査研究成果をまとめたものである。この報告書では、第1段階の目標に対して調査研究の成果を適切に取りまとめるとともに、課題を抽出・整理し、第2段階(研究坑道の掘削を伴う研究段階)以降の調査研究の必要性について言及した。具体的には、結晶質岩(硬岩)を対象とした調査・評価のための方法論を示すとともに、重要な調査技術や解析技術を整備した。また、処分事業の基盤技術となる技術的知見やノウハウなどを整理した。さらに、第1段階において残された課題を整理し、第2段階以降の調査研究の必要性を明確化した。ここで取りまとめる成果は、地層処分技術の知識基盤として整備されるばかりでなく、処分事業並びに安全規制の両面を支える技術基盤の強化を図っていくうえで、有効に活用されるものである。