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鈴木 机倫*; 立川 仁典*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 138(18), p.184307_1 - 184307_7, 2013/05
被引用回数:11 パーセンタイル:37.10(Chemistry, Physical)ZundelイオンHO
は、酸性水溶液における基本的かつ重要な分子単位の一つである。本研究では、H
O
とその重水素置換同位体D
O
及びT
O
の分子構造ゆらぎの量子効果と温度効果について、経路積分分子動力学シミュレーションを用いて詳しく解析した。温度100Kから900Kの範囲で調べたところ、温度上昇につれ水素結合に関係する酸素間距離,酸素水素間距離のゆらぎが急激に大きくなることを見いだした。また、結合していない水素の位置のゆらぎも温度上昇に伴い大きくなる。この温度変化はH
O
よりもD
O
やT
O
で大きくなるが、これは零点振動の大きさの違いに由来するものであると考えられる。
鈴木 机倫*; 石橋 宏章*; 八木 清*; 志賀 基之; 立川 仁典*
Progress in Theoretical Chemistry and Physics, 26, p.207 - 216, 2012/08
Zundel型イオンは特異的に強い水素結合を持つが、その詳細な構造は知られていない。本研究では、第一原理経路積分分子動力学シミュレーションを用いて、フッ素のZundel型イオンであるFH
イオン, F
H
イオンとその重水素置換体の構造について調べた。これらのイオンの水素結合において、H/D原子は、原子核の量子性のため、F原子間の中心のまわりで大きく構造がゆらいでいることがわかった。また、F
H
やF
H
のFHやFF原子間距離は、その重水素置換体のF
D
やF
D
のものよりも長くなる。この結果について、他のZundel型イオンO
H
, N
H
, O
H
, N
H
と比較したところ、それらの重原子間の平均距離とその重水素置換効果に相関があることを発見した。なお、F
H
については、実験結果や、振動配置間相互作用法による計算結果とよく一致していることがわかり、用いた手法の精度が極めて高いことが立証できた。本成果は、水素結合等での同位体効果やその量子性などを考慮する第一原理計算手法の開発とその検証にあたり、さまざまな分野での応用が期待できる。
小泉 亮人*; 鈴木 机倫*; 志賀 基之; 立川 仁典*
International Journal of Quantum Chemistry, 112(1), p.136 - 139, 2012/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)本論文発表では、金属水酸化物MOH(HO)クラスターの構造と動力学について、第一原理経路積分分子動力学法による計算機シミュレーションを行った成果について報告する。対象とした系では、アルカリ金属類(M=Li, Na, K)の場合は、M
イオンの移動と協同して、水酸化物イオンと水分子の間でプロトン移動が起きるが、これに反して、貴金属類(M=Cu, Ag, Au)の場合は、このようなプロトン移動プロセスは全く見られなかった。これは、貴金属と水の間の結合の方位性がプロトン移動の反応障壁を高くしているためであると考えられ、金属水酸化物クラスターに対する新たな知見と位置付けられる。なお、本成果は、科学研究費補助金研究の一環として実施され、原子力材料シミュレーションの高度化手法の金属水酸化物クラスターへ応用例であり、基礎化学の発展に資する成果である。
小泉 亮人*; 鈴木 机倫*; 志賀 基之; 立川 仁典*
Journal of Chemical Physics, 134(3), p.031101_1 - 031101_3, 2011/01
被引用回数:15 パーセンタイル:45.60(Chemistry, Physical)本論文では、開発した原子核の量子効果を考慮する第一原理計算手法を、水素結合を有する複数の化合物に応用した場合に得られた成果について発表する。なお、開発当該手法の特徴は、第一原理計算に、経路積分により原子核の量子効果を付加することで、より正確に化合物のダイナミクスが再現可能になった点にあり、その手法の適用例として恰好の対象となる同位体異性化合物のMH
O
とM
D
O
に対して、各々、M
Li, Na, Kとし、そのダイナミクスを比較することで、正イオンの並進運動とプロトン移動の連成が実現していることがわかった。また、小さな正イオンほど、M
H
O
の構造をより大きく歪ませるため、プロトン移動の障壁が高くなり、振動励起エネルギーが低くなることも判明した。これらの成果から、当該手法を用いると、従来、困難とされた水素同位体を含む化合物の詳細な構造解析が可能であることがわかる。以上、本研究成果によりさまざまな同位体を有する化合物の化学反応における同位体効果の理解が進展する。
鈴木 机倫*; 立川 仁典*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 132(14), p.144108_1 - 144108_7, 2010/04
被引用回数:35 パーセンタイル:74.82(Chemistry, Physical)分子シミュレーションの1つの有効な新手法として、四次トロッター分解に基づいた効率的な経路積分ハイブリッドモンテカルロ法(PIHMC)を提案する。すなわち、二次の有効的な力を用いて短い試行トラジェクトリを生成することで計算のかかるヘシアン行列を避けつつ、最終的なアクセプタンスは四次の有効ポテンシャルで決めるというものである。計算効率について、標準的な2次,4次のPIHMCや経路積分分子動力学法(PIMD)と比較する。この方法を用いて、室温でのフッ素水イオン系の第一原理PIHMC計算を行い、その幾何学的同位体効果について焦点を当てて議論する。
志賀 基之; 鈴木 机倫*; 立川 仁典*
Journal of Chemical Physics, 132(11), p.114104_1 - 114104_7, 2010/03
被引用回数:17 パーセンタイル:49.04(Chemistry, Physical)脱プロトン化された水二量体HO
の化学シフトについて、第一原理経路積分シミュレーションを行った。このシミュレーションから水素結合性のプロトンの等方的遮蔽定数が温度とともに上昇することを予測される。その温度変化率は水素結合を作らないプロトンに比べて一桁大きい。これは低障壁水素結合におけるプロトンの量子的分布が高温と低温で著しく変化する結果から説明される。
鈴木 机倫*; 志賀 基之; 立川 仁典*
Journal of Chemical Physics, 129(144), p.144310_1 - 144310_8, 2008/10
被引用回数:49 パーセンタイル:84.85(Chemistry, Physical)4次トロッター展開による経路積分分子動力学法により、水ダイマーアニオン(HO
, D
O
, T
O
)の同位体効果について50K
600Kの温度範囲で調べた。200K以下の低い温度では、水素結合を担う水素が二つの酸素と同時に結合したO..
..O(ここに
=H,D,T)という状態を取るが、400K以上の高い温度では、水素がより非局在化してO..
-OとO-
..Oのような構造が共存する傾向がみられた。低温条件ではH体, D体, T体の順に重くなるほど平均酸素間距離は短くなるが、高温条件ではこの順番が逆転する。この現象を理解するにあたり、O-O伸縮モードと水素移動モードの間のカップリングが重要であると結論づけられる。
関 昌弘; 菱沼 章道; 栗原 研一; 秋場 真人; 阿部 哲也; 石塚 悦男; 今井 剛; 榎枝 幹男; 大平 茂; 奥村 義和; et al.
核融合炉工学概論; 未来エネルギーへの挑戦, 246 Pages, 2001/09
本書は、炉工学的基礎を有し核融合に関心のある方々に対して、核融合炉の原理とその実現に必要な多岐にわたる技術、さらに総合システムとしての核融合炉の理解に役に立つことを目指したものである。本文は2部構成になっており、第1部では核融合炉の原理と誕生までのシナリオを、そして第2部では、核融合炉を構成する主要な装置・機器に関する研究開発の現状を、最近のデータをもとにまとめてある。
鈴木 雅秀; 菱沼 章道; 山ノ内 直次*; 田村 学*; A.F.Rowcliffe*
Journal of Nuclear Materials, 191-194, p.1056 - 1059, 1992/00
被引用回数:4 パーセンタイル:41.66(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉環境下では、フェライト鋼において水素が(n,p)反応より約30atppm/dpa生成する。Fe同位元素を用いると、核分裂炉でも
Feの(n,p)反応により水素生成を模擬することができる。しかしながら
Feは通常大量には入手できず(~数gオーダ)、これを用いて鉄鋼材料を造ることは非常に困難である。ここでは、数gの
Feを用いて、通常溶解の組成、組織と同等なフェライト鋼を作製する技術を確立した。作製されたフェライト鋼は8Cr-2WVTa鋼の低放射化鋼(F-82H)であり、Feの96%が
Feで構成される。HFIRの照射により~20atppm/dpaの生成速度で水素を照射中に生じ、フェライト鋼の水素効果を調べることが可能となった。
鈴木 雅秀; 浜田 省三; P.J.Maziasz*; 實川 資朗; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 191-194, p.1351 - 1355, 1992/00
被引用回数:13 パーセンタイル:74.29(Materials Science, Multidisciplinary)日本の核融合炉材料候補材(JPCA)中のTi富化MC型析出物のHFIR照射下での析出挙動についてまとめられた。300Cで34dpaまで照射を行うと、微細なMCが析出する。しかしながら、さらに58dpaまで照射を続けると、MCの密度は減少する。MCの化学組成は、析出物の大きさに強く依存する。熱的に生成したMCも、照射を行うと、照射によって誘起した析出と同様な化学組成、サイズ依存性を有するようになる。本報告では、化学組成のサイズ依存性と析出の照射下での安定性について議論した。
沢井 友次; 鈴木 雅秀; P.J.Maziasz*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 187, p.146 - 152, 1992/00
被引用回数:6 パーセンタイル:52.88(Materials Science, Multidisciplinary)原研とオークリッジ国立研究所の間で行われている核融合材料の照射効果に関する日米協力試験では、オークリッジ国立研究所の原子炉ORR及びHFIRを用いて、日米双方の候補材の高照射、高He生成下での照射特性を調べている。このなかで、耐スエリング性については、TEM観察のみならず、TEM試料の高精度浸漬密度法により評価されているがTEM観察による結果が系統的に相対的に大きなスエリング量を与える。このため、TEM観察によるボイド測定法を詳細に検討し、両者の差を生ぜしむ最も大きな要因を考察した。TEMによるボイド量の測定では、膜厚を決定する際、コンタミネーションスポット法(CSS法)によらざるを得ないという実験的制約がある。これは、等厚干渉縞がでにくいこと、オーソドックスなステレオ法も困難であるという損傷組織に起因する。ここではCSS法の結像理論の再構築を試み、より正確な膜厚の推定法も示している。
鈴木 雅秀; 沢井 友次; P.J.Maziasz*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.718 - 721, 1991/00
被引用回数:5 パーセンタイル:53.57(Materials Science, Multidisciplinary)フェライト鋼は耐スエリング特性に優れていることが知られており、核融合炉第一壁の有力な候補材料である。原研では日米協力試験の一つとして、2相のフェライト鋼である10Cr-2Moを、米国オークリッジ国立研究所にある原子炉HFIR(High Flux Isotope Reactor)により、400C~600
Cの温度範囲で57dpaまでの照射を行った。照射材料を透過電子顕微鏡を用いて観察することにより、ミクロ組織の進展について、以下の知見を得た。観察結果については、ヘリウム効果の観点から、考察を行った。(1)400
Cでの照射材では、ボイドは大きくは成長しておらず、多くの転位ループと微細な析出物が観察された。(2)500
Cでは57dpa照射後、ボイドが急激に成長しており、多くのボイドはX相に付着していることがわかった。(3)600
Cでは析出物が大きく成長していたが、ボイドの成長はみられなかった。
浜田 省三; 鈴木 雅秀; P.J.Maziasz*; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.515 - 518, 1991/00
被引用回数:8 パーセンタイル:65.75(Materials Science, Multidisciplinary)中性子照射によるスエリングに及ぼす析出物の影響を調べるために、オーステナイトステンレス鋼をHFIRで300~500Cで最大57dpa(~4500appm He)まで照射し微細組織を観察した。実験に用いた試料は改良ステンレス鋼(JPCA)、Type316、2つの低炭素鋼の溶体化処理材(SA)および20%冷間加工材(CW)である。400
C以下の照射温度では観察される析出物は少なく、スエリングは材料や照射前処理に依存せず小さい。500
CでSAではスエリングは、特に低炭素鋼において、大きい。すべての材料で粗大化したM
C
やM
Cが観察され、低炭素鋼では間化合物も観察された。CWではJPCAがスエリングが最も小さく、小さなMCが母相内に均一に観察された。これにより57dpaまでの高照射によってもCWではMCが安定に母相内に存在し、スエリング抑制効果を十分に残していることが明らかになった。
北條 喜一; 實川 資朗; 鈴木 雅秀; 浜田 省三; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 179-181, p.496 - 499, 1991/00
被引用回数:1 パーセンタイル:19.78(Materials Science, Multidisciplinary)この研究は日米協力による核融合炉材料の照射特性を取得する目的で行ったものである。特に、高レベル放射化材料(JPCA、773K、55dpa、4000at ppm He)(10R/hr以上)中に析出した微小粒子の分析をJEM-2000FX付設透過電子エネルギー損失分光器(EELS)を用いて行った。その結果、数十nmの析出相中にはNiの減少、Tiの増加が観察・測定できた。
浜田 省三; 鈴木 雅秀; P.J.Maziasz*; 菱沼 章道; 田中 三雄
Effects of Radiation on Materials,Vol. 1, p.172 - 184, 1990/00
316ステンレス鋼の液体化材(SA)および冷間加工材(CW)を50dpa、3500appmHeまで300~500Cの温度範囲でHFIRで照射し、透過電子顕微鏡により微細組織の変化およびスエリング挙動について調べた。400
C以下の照射では、SAとCWの微細組織の変化およびスエリングの差は小さかった。500
Cを超える照射では両者の挙動の差が大きくなった。スエリングについてはSAでは2%以上となり、CWの3倍以上になった。微細組織の変化については、SAではたくさんの大きな炭化物(M
C)が観察され、一方、CWでは少量の小さな析出物が観察された。このことからSAのスエリング挙動は照射誘起・促進析出物(M
C)の挙動と強い関係のあることが明らかになった。
鈴木 雅秀; 菱沼 章道; P.J.Maziasz*; 沢井 友次
Journal of Nuclear Materials, 170, p.270 - 275, 1990/00
被引用回数:4 パーセンタイル:46.87(Materials Science, Multidisciplinary)10Cr-2Moフェライト鋼をHFIRで500C、57dpaまで照射を行った後のミクロ組織を調べた。ヘリウムの効果を見る目的で本鋼には1wt%のNiが添加されており、57dpa後のヘリウム生成量は約300appmとなる。34dpa照射後には、微細なヘリウムバブルが一面に存在するのが観察されるが、57dpa後には、ボイドが生長を始めているのが認められる。これらのボイドは、照射誘起析出相である
-相の生成と大きな関係があることが、組織観察、析出物解析等より明らかとなった。
鈴木 雅秀; 浜田 省三; P.J.Maziasz*; 田中 三雄; 菱沼 章道
Effects of Radiation on Materials, p.160 - 171, 1989/00
核融合炉構造材料の候補材であるJPCAが日米協力実験のもとHFIRで照射されている。300~600C、34dpaまでの照射では、JPCAは照射前の熱処理状態に依らずよい耐スエリング性を示すことはすでに報告されている。本実験では、500
Cで57dpaまで照射されたJPCAの耐スエリング性について明らかにした。液体化処理材では大きなボイドスエリングが観測され、耐スエリング性の低下が著しいことがわかったた。冷間加工材および時効材は57dpaの照射下でもいまだによい耐スエリング性を示した。耐スエリング性は試料中の析出物(ここではMC)の挙動と密接に関係しており、ここでは一つのモデルを仮定して照射下でのMC析出物の安定性について議論した。
田中 三雄; 鈴木 雅秀; 浜田 省三; 菱沼 章道; 近藤 達男
Fusion Engineering and Design, 9, p.153 - 158, 1989/00
核融合次期装置を含む実験炉を建設する上で、不可欠な技術である構造材料の溶接にとなう、溶接部の中性子照射劣化について報告する。材料(316ステンレス鋼及び改良ステンレス(JPCA))は、現行の日米協力HFIR/ORR共同照射プログラムの一環として55C(冷却水温度)で50dpa(~1
10
/cm
)、生成ヘリウム約4000appm、までHFIRで照射され、その後、引張特性及び組織観察が行われた。
浜田 省三; P.J.Maziasz*; 田中 三雄; 鈴木 雅秀; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 155-157, p.838 - 844, 1988/00
被引用回数:27 パーセンタイル:89.76(Materials Science, Multidisciplinary)日本協力照射実験においてHFIRで照射された316ステンレス鋼のスエリングの照射温度依存性について報告する。試料は316の溶体化材(SA)と20%冷間加工材(CW)で300-600Cで30dpaまでHFIRで照射された。照射温度が400
C以下ではスエリングは試料の照射前熱処理に依存せず、0.2%前後と小さな値であった。温度が500
Cを超えるとSAとCWのスエリング挙動に大きな差が現われた。すなわち、CWのスエリングは温度が600
Cまで上昇しても0.3%以下と小さかった。一方、SAでは500
Cでスエリングは最大(1.2%)となった。SAにおける高温でのスエリングの増加は粒内に形成する大きな析出相(M
C)に付着した巨大なボイドに依るものであることが分かった。