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中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; Solomon, D. K.*; 宮川 和也; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 松本 拓也*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 小野 昌彦*; et al.
Applied Geochemistry, 104, p.60 - 70, 2019/05
被引用回数:8 パーセンタイル:39.25(Geochemistry & Geophysics)地下水に溶存している希ガス(He, Ne, Ar, Kr, Xe)は、地下水の起源や滞留時間、涵養温度などの推定に使われる。地下水に溶存しているガスを全て定量することが望ましいが、一方で、地下水の採取に伴う溶存ガスの脱ガスを避けることは難しい。本研究は、地下水の採取に伴う溶存希ガスの脱ガス挙動について調べ、その補正方法を提案するものである。地下施設及び深層ボーリングから地下水試料を採取し、原位置の圧力を維持した状態で採取した試料と、圧力を低下させて脱ガスさせた試料との比較を行った。その結果、溶存ガス圧が低い試料(約4.6気圧以下)については、大気圧下で脱ガスさせた場合、気液平衡が成り立つことが分かった。一方で、溶存ガス圧が高い試料(約32気圧)については、気液平衡が成り立たないことが分かった。気液平衡が成り立つ試料については、脱ガスの影響を補正することが可能であるが、気液平衡が成り立たない試料については、補正が困難であり、さらなる検討が必要である。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 後藤 和幸*; 柏谷 公希*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 國丸 貴紀*; 武田 匡樹
Geochimica et Cosmochimica Acta, 192, p.166 - 185, 2016/11
被引用回数:10 パーセンタイル:36.60(Geochemistry & Geophysics)岐阜県東濃地域に分布する花崗岩中の地下水について、He法およびC法を利用した年代測定を行った。6本の深度1000m級のボーリング孔を利用して合計30区間から地下水試料を採取した。地下水の流動経路に沿って、He濃度は増加し、C濃度は減少する傾向があり、両者から推定される年代値には線形相関が認められた。このような複数の指標を利用して年代測定を行うことにより、信頼性の高い年代値が取得できると考えられる。
萩原 大樹; 岩月 輝希; 長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*
日本水文科学会誌, 45(2), p.21 - 38, 2015/07
大規模地下施設の建設・操業においては、長期間にわたる地下水の地上への排水に伴い、周辺の地下水環境が変化する可能性がある。本研究では、地下施設周辺の浅層地下水の深部への侵入を推定するための評価手法の構築を目的として、瑞浪超深地層研究所(MIU)の深度500mまでの建設期間中、地下水中の主要化学成分、安定同位体比(D及びO), リチウム(H)さらに浅層地下水の指標となるクロロフルオロカーボン類(CFCs)や六フッ化硫黄(SF)について、約5年間、モニタリングを継続してきた。その結果、地下施設の建設に伴う排水の影響により、深度200-400mまで浅層地下水が侵入してきており、浅層地下水の混入率はHとCFC-12濃度から最大で50%程度と見積もられた。これは、花崗岩中に深度数百m規模、排水量が数万トン/月程度の地下施設を建設し、数年間操業した場合に周辺の地下水環境に与える影響の大きさを示す事例となる。また、HとCFCsを併用した調査解析が、地下施設の建設に伴う排水による浅層地下水の地下深部への侵入を確認するための効果的な方法であることが示された。
目黒 義弘; 富岡 修; 高橋 邦明; 和田 隆太郎*; 山本 誠一*; 福里 隆一*
Proceedings of 8th International Symposium on Supercritical Fluids (ISSF 2006) (CD-ROM), 6 Pages, 2006/11
反応容器の大きさが約4000cmの工学規模の超臨界二酸化炭素リーチング装置を作成した。この装置に、物質移動速度を促進するための、超音波振動,圧力変調,攪拌装置を設置した。ウラン酸化物を付着させた海砂,焼却灰,多孔質アルミナブロックを模擬試料として作成し、同装置を用いてこれら試料から硝酸-トリブチルリン酸錯体を反応剤として含む超臨界二酸化炭素中へのウランの分離を試みた。一回の分離試験に用いる反応剤の量を150g、錯形成工程の圧力を15MPa、温度を60C、時間を15分とし、溶解操作の圧力を20MPa、温度を60C、使用CO量を15kgとして、ウランの分離を行った結果、数回の分離操作によって海砂試料及びアルミナブロック試料から99%以上のウランを分離することができた。物質移動速度促進装置を作動させることによって、ウランの分離効率が向上することを確認した。これによって焼却灰試料からも99%以上のウランを分離できた。
渡辺 武志*; 津島 悟*; 山本 一良*; 富岡 修; 目黒 義弘; 中島 幹雄; 和田 隆太郎*; 長瀬 佳之*; 福里 隆一*
Proceedings of 2nd International Symposium on Supercritical Fluid Technology for Energy and Environment Applications (Super Green 2003), p.363 - 366, 2004/00
乾式再処理において使用される固体陰極に付着した溶融塩(LiCl-KCL)を分離,回収する方法を開発することを目的とし、メタノール,エタノール,TBPなどをモディファイヤーとして用いる超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法による海砂-アルカリ金属塩の混合試料からのアルカリ金属の分離挙動を調べた。抽出剤として、ジシクロヘキサノ-18C6, 18C6, 15C5を用いた。メタノールをモディファイヤーとして用いるSFL法によってLiClを分離,回収できた。クラウンエーテルを抽出剤として用いることによってKとSrを高効率に分離できることを見いだした。分離効率は15C518C6DC18C6の順に大きくなった。
長瀬 佳之*; 増田 薫*; 和田 隆太郎*; 山本 一良*; 富岡 修; 目黒 義弘; 福里 隆一*
Proceedings of 2nd International Symposium on Supercritical Fluid Technology for Energy and Environment Applications (Super Green 2003), p.254 - 257, 2004/00
超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法を用いた放射性廃棄物の除染法を開発している。これまでに以下のことを明らかにした。(1)ウランの分離にはTBP-HNO錯体が、アルカリ金属の分離にはクラウンエーテルが有効な抽出剤であること。(2)SFL操作条件の中で4080Cの温度範囲においては高温であるほど、1540MPaの圧力範囲では低圧であるほどウランの分離効率が高いこと。(3)抽出剤であるTBP-HNO錯体を含む超臨界二酸化炭素中においてステンレス鋼(SUS316)が腐食せず安定であること。
飯田 健*; 富岡 雄一*; 吉本 公博*; 緑川 正彦*; 塚田 裕之*; 折原 操*; 土方 泰斗*; 矢口 裕之*; 吉川 正人; 伊藤 久義; et al.
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 41(2A), p.800 - 804, 2002/02
被引用回数:16 パーセンタイル:53.76(Physics, Applied)SiCは高周波、高パワー,高温,放射線照射下等、過酷な環境下で動作する素子用材料として優れた物性を持つ。また熱酸化で表面にSiO層が形成されMOS構造が作製できるが、酸化層/SiC界面には欠陥が多いため、物性値から期待される性能が得られない。そこで本研究では、分光エリプソメーター(SE)を用いて、その界面欠陥の発生原因を光学的に追究した。試料には、SiC基板を乾燥酸化して得た60nm程度の酸化膜を用いた。これをHF溶液を用いて斜めにエッチングし、酸化膜の光学的周波数分散特性を、膜厚をパラメータとして測定した。得られた値は、セルマイヤーの式を用いたカーブフィッティング法により、屈折率に変換した。その結果、SiC上の酸化層の見かけの屈折率は、Si酸化膜より小さくなった。また、屈折率は酸化膜厚の減少と共にも小さくなり、膜厚が1nm程度では1にまで近づいた。この屈折率の膜厚依存性は、酸化層がSiO層と高屈折率界面層から成ると仮定することで説明できる。このことから、酸化層/SiC界面には屈折率の高い界面中間層が存在し、それらが界面欠陥を発生させていると推定された。
富岡 雄一*; 飯田 健*; 緑川 正彦*; 塚田 裕之*; 吉本 公博*; 土方 泰斗*; 矢口 裕之*; 吉川 正人; 石田 夕起*; 小杉 良治*; et al.
Materials Science Forum, 389-393, p.1029 - 1032, 2002/00
被引用回数:4 パーセンタイル:20.12(Materials Science, Multidisciplinary)SiC-MOSFET反転層の電子移動度は、理論値よりも小さい。これは、SiO/SiC界面にある残留炭素が原因であると考えられている。そこで、乾燥酸素法、及び水素燃焼酸化法で作製したドライ酸化膜、及びパイロジェニック酸化膜、そして低温で作製した酸化膜(LTO膜)について、それぞれのSiO/SiC界面の光学定数を分光エリプソメータにより測定し、それらの光学特性の違いを調べ、界面構造の光学的な違いと酸化膜の電気特性との関連性を追求した。その結果、どの酸化膜においても、界面層のA値(波長無限大における屈折率)の値はバルクSiOの屈折率(n=1.465)より高くなった。これは薄い高屈折率界面層が、SiO/SiC界面に存在することを意味しており、Si-Siボンドのような強いイオン分極を持つボンドが界面に存在することを示唆する。またAの値は、酸化方法に依存しており、LTO膜のA値はパイロジェニック酸化膜、ドライ酸化膜のものより小さくなった。これら酸化膜を用いて作製したMOSFETの電気特性は大きく異なることから、A値がSiC MOS構造の電気的特性と関連していると考えられた。
石田 夕起*; 高橋 徹夫*; 奥村 元*; 直本 保*; 土田 秀和*; 吉川 正人; 富岡 雄一*; 緑川 正彦*; 土方 泰斗*; 吉田 貞史*
Materials Science Forum, 389-393, p.1013 - 1016, 2002/00
被引用回数:5 パーセンタイル:23.77(Materials Science, Multidisciplinary)1200の乾燥酸素中で作製した酸化膜と4H-SiC基板界面の光学並びに電気特性の関連性を、容量-電圧(CV)、分光エリプソ(SE)、フーリエ変換赤外(FTIR)測定法を用いて追求した。CV特性からは、1200の乾燥酸素中で作製した酸化膜内部に多量の界面準位と負電荷が存在することがわかった。同じ酸化膜をSEで測定したところ、界面近傍に極めて屈折率の高い界面中間層が存在することが明らかとなった。同じ部位をFTIRで測定すると、溶融石英に比べて結合角の小さいSi-O-Si結合が多数存在する可能性が示唆された。これらの結果から、金属/酸化膜/半導体(MOS)構造のCV特性を大きく変化させている原因は界面中間層にあり、界面中間層の正体は、不完全な酸化で生ずるSuboxide層であると結論された。
濱 克宏; 岩月 輝希; 長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 後藤 和幸*
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所用地周辺において、地下水中の複数の放射性元素を利用した地下水の年代測定を実施した。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 加藤 利弘*; 林田 一貴
no journal, ,
超深地層研究所計画の一環として電力中央研究所との共同研究(共同研究件名「瑞浪超深地層研究所周辺の水理・物質移動毒性評価に関する研究」)を実施している。この共同研究は、超深地層研究所計画で進めている、物質移動モデル化技術の開発の一環として実施しているものである。本報告では、地下水年代調査および評価技術の開発のこれまでの結果について報告する。
萩原 大樹; 岩月 輝希; 長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*
no journal, ,
2015年度の研究奨励賞記念講演を下記の内容で行う。大規模地下施設の建設・操業においては、長期間にわたる地下水の地上への排水に伴い、周辺の地下水環境が変化する可能性がある。本研究では、地下施設周辺の浅層地下水の深部への侵入を推定するための評価手法の構築を目的として、瑞浪超深地層研究所(MIU)の深度500mまでの建設期間中、地下水中の主要化学成分、安定同位体比(D及びO), リチウム(H)さらに浅層地下水の指標となるクロロフルオロカーボン類(CFCs)や六フッ化硫黄(SF)について、約5年間、モニタリングを継続してきた。その結果、地下施設の建設に伴う排水の影響により、深度200-400mまで浅層地下水が侵入してきており、浅層地下水の混入率はHとCFC-12濃度から最大で50%程度と見積もられた。これは、花崗岩中に深度数百m規模、排水量が数万トン/月程度の地下施設を建設し、数年間操業した場合に周辺の地下水環境に与える影響の大きさを示す事例となる。また、HとCFCsを併用した調査解析が、地下施設の建設に伴う排水による浅層地下水の地下深部への侵入を確認するための効果的な方法であることが示された。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 加藤 利弘*; 林田 一貴
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所において地下水年代測定を実施した結果、地下水年代はおおむね2万年程度であることを確認できた。また、希ガス濃度から涵養温度を推定した結果、涵養温度は6Cで、現在の気温よりも9C程度低い結果であった。このため、研究所周辺の地下水は氷期に涵養した地下水であると推定できた。このように研究所周辺の地下水年代をC, He, 希ガス温度計という複数の方法を用いて、整合的に推定することができた。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 岡本 駿一*; 濱 克宏; 渡辺 勇輔; 岩月 輝希
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所において複数の地下水年代測定を実施した。Heはフラックスの寄与の異なるデータを収集できたことにより、フラックスの寄与を分離して、He年代を推定することができた。Cは前処理方法を沈殿法からガス化法に変更することにより、大気の汚染を除去でき、精度良く評価できるようになった。これらから流出域の地下水年代は2万年程度であることを確認できた。さらに、水素・酸素同位体比が浅層地下水よりも低く、希ガス濃度から推定した涵養温度は7Cと、現在の気温よりも7C程度低く、氷期に涵養したものと推定された。このように研究所周辺の地下水年代をC, He, 水素・酸素同位体比, 希ガス温度計という複数の方法を用いて、整合的に推定することができた。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 富岡 祐一*; 田中 靖治*; 濱 克宏; 岩月 輝希
no journal, ,
電力中央研究所と日本原子力研究開発機構の共同研究の一環として、地下水の年代測定を行う手法の開発を実施した。地下水中に存在する放射性同位体のうち、有機炭素中の炭素-14に着目し、この同位体を利用して年代測定を試みた。その結果、これまでに実施した地下水中のヘリウム-4を利用した年代測定結果と整合することを確認した。このことから、有機炭素中の炭素-14を利用した年代測定法の有効性を示すことができた。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 後藤 和幸*; 柏谷 公希*; 濱 克宏
no journal, ,
地下深部における地下水の流速は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価において重要な項目の一つである。一般に地下深部での地下水流速は非常に遅く、直接計測が困難である。このため、地下水中に溶存した放射性物質などに着目した地下水年代測定法が有効である。地下水年代測定法を天然の環境において適用するには幾つかの課題がある。例えば、C年代測定では、炭酸塩鉱物の溶解,有機物の分解などによりC同位体比が変化するため、これを補正する手法の構築が必要となる。本研究は、電力中央研究所との共同研究として、He及びCなどによる地下水年代測定を実施し、両者の結果の相互比較などを行った。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 加藤 利弘*; 林田 一貴
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所の研究坑道内に掘削されたボーリング孔から地下水を採取し、C, He, 希ガス温度計などによる地下水年代測定を実施した。その結果、Cの前処理方法を沈殿法からガス化法に変更することにより、C濃度が精度よく評価できるようになった。また、Heも流出域で、フラックスの寄与の異なるデータを収集できたことにより、フラックスの寄与を分離して、原位置生成に基づくHe年代を推定することができた。更に、希ガス濃度から涵養温度を推定することにより、研究坑道周辺の地下水は氷期に涵養した地下水の影響を強く受けていることを確認することができた。このように複数の指標を利用して地下水の滞留時間を推定し、それらの結果を相互に比較することにより、個々の結果の信頼性を向上させる方法は非常に有効であると考えられた。