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代永 佑輔; 吉川 清盛*; 島田 耕史
JAEA-Testing 2020-002, 19 Pages, 2020/05
岩石薄片の作製は地質学的研究の最も基礎的で重要な技術の一つである。岩石薄片は岩石の微細構造の観察、電子プローブマイクロアナライザおよびレーザーアブレーション付き誘導結合プラズマ質量分析装置といった機器分析用試料として使用されている。本稿は日本原子力研究開発機構東濃地科学センターで実施する岩石薄片の作製方法の手順を報告するものである。本作製法には初めて作業する者や経験の乏しい者でも作業をイメージして薄片作製ができるように、一般的な岩石薄片の作業手順に加え、当センターで実施している工夫や注意点のほかに使用器具のメンテナンスについても記した。
田村 浩司*; 遠山 伸一
日本原子力学会誌ATOMO, 61(5), p.413 - 415, 2019/05
原子炉廃止措置では、原子炉構造物の切断解体が必要とされる。従来の切断法に加え、レーザー法は遠隔制御性が高くブレードなどの交換部品の必要性がないなど利点が多く、有力な選択肢となり得る。原子炉は圧力容器など100mmを超える板厚の大きい鋼材で構成されており、このような厚板鋼材の切断に関してレーザー法は知見や実績に乏しい。そこで、近年利用が進んでいる高出力ファイバーレーザーを用い、鋼材切断を様々な条件で試行した結果、原子炉に用いられるような厚板に関してもレーザー切断が可能であることを実証した。また、廃炉現場の厚板鋼材切断に適用するためロボットを用いた遠隔制御を用いた切断の技術開発を行った。本稿ではその開発成果について解説する。
稲川 博文*
エバラ時報, (257), P. 38, 2019/04
ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点の一部として整備した水中切断技術を実証するための円筒型プール及び給・排水設備について紹介する。
阿部 雄太; 中桐 俊男; 綿谷 聡*; 丸山 信一郎*
JAEA-Technology 2017-023, 46 Pages, 2017/10
本件は、廃炉国際共同研究センター(Collaborative Laboratories for Advanced Decommissioning Science: CLADS)燃料溶融挙動解析グループにて平成27年度に実施した「プラズマトーチによる模擬燃料集合体加熱試験(Phase II)」で用いた試験体について実施したAbrasive Water Jet (AWJ)切断作業に関する報告である。模擬燃料集合体は、外周のるつぼ及び模擬燃料にジルコニア、制御ブレード及びステンレス、そして被覆管及びャンネルボックスにジルカロイ(Zr)を利用している。したがって、プラズマトーチを用いて高温に加熱し物質移行した模擬燃料集合体に対して、材料分析を実施するためには、硬度及び靭性の異なる材料を一度に切断する必要がある。加えて、本試験体は、大型かつ、溶融物を保持するためエポキシ樹脂が充填されている。これらの影響を鑑みて、AWJ切断を選定した。以下の点を工夫することで、本試験体をAWJで切断することができた。ホウ化物の溶融部分のように1回(ワンパス)で切断できない場合は、アップカットとダウンカットを繰り返す往復運動により切断を行った。切断が困難な箇所には、Abrasive Injection Jet(従来工法AIJ)方式より切断能力が高いAbrasive Suspension Jet(ASJ)方式を用いた。本作業を通じて、プラズマトーチを用いた模擬燃料集合体加熱試験における切断方法が確立できた。なお、切断作業では、AWJの先端で切断能力を失うと送り方向と反対に噴流が逃げる際に生じる湾曲した切断面が試験体中央部で確認できた。その結果を元に、切断面の荒さや切断時間の短縮のための課題の抽出を行った。
丸山 信一郎*; 綿谷 聡*
三井住友建設技術研究開発報告, (15), p.107 - 112, 2017/10
福島第一原子力発電所(以下、1Fと称す)の廃止措置において、安全で確実な燃料デブリの取出しを行うためには、燃料デブリの形態や特性を推定することが不可欠となる。その推定のため、事故時の燃料集合体の溶融移行挙動調査が行われている。調査にあたり、燃料集合体溶融模擬材の切断が必要となり、切断にはジルコニウム合金とステンレスの溶融混合材料やセラミックの切断実績のあるアブレイシブウォータージェット(以下、AWJと称す)工法を適用することとした。結果、燃料集合体溶融模擬材を切断でき、切断可能な条件のデータを取得できた。今後、そのデータは、燃料デブリの取出しの検討に役立てることができる。
遠山 伸一; 峰原 英介*
デコミッショニング技報, (56), p.55 - 65, 2017/09
若狭湾エネルギー研究センター(WERC)ではレーザー技術の産業応用として、大強度ファイバーレーザーを用いた鋼材切断技術開発を行ってきた。現在は今後の国内の原子力発電所の営業停止に伴う原子力施設廃止措置に適用するための解体切断と除染について並行して技術開発を行っている。原子力施設廃止措置は、世界的にもその技術は開発途上にあるが、必要性が増しており技術開発の進展が待たれている。ファイバーレーザーは、他のレーザーと比較し取扱いが容易で、飛躍的な熱密度等の性能向上に伴い切断性能や剥離性能を持つ機器を開発することによって2次汚染や被ばくの抑制が可能となる。本報告では、原子炉解体のための厚板切断技術開発と高線量下でも稼働する除染機開発の最近の成果について、鋼材や機器の切断試験や構成機器の耐放射線試験結果を交えて示す。
手塚 将志; 中村 保之; 岩井 紘基; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2015-047, 114 Pages, 2016/03
東京電力福島第一原子力発電所は、炉心溶融に伴い炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このため「ふげん」では溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、2012年度から3カ年で、プラズマアーク切断技術を用いた切断試験を進めてきており、炉内構造物等の取出しに有効な工法であることを確認した。具体的には、原子炉構造材を模擬した試験体を用いた要素試験を実施し、対象物に応じて切断条件の最適化を図ることにより、溶断ドロス発生の抑制が可能であることを確認した。また、格納容器下部等に堆積していると想定される厚みが不明な燃料デブリに対し、対象を事前に加熱することで切断能力の向上を図る手法を構築した。さらに、プラズマアークで切断不可能なセラミック等の非導電材も切断可能なプラズマジェットと組み合わせた連携切断手法により、燃料デブリと溶融金属の混合材(模擬試験体)でも切断が可能であることを確認した。これらの成果から、プラズマ切断技術は、種々の条件に応じた最適な切断条件を設定することにより、燃料デブリ及び炉内溶融金属の取出し作業へ適用できる見通しを得た。
中村 保之; 岩井 紘基; 水井 宏之; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2015-045, 137 Pages, 2016/03
「ふげん」原子炉本体のうち圧力管、カランドリア管、炉心タンク等から構成される炉心領域は、約25年間の運転により放射能レベルが比較的高いこと、圧力管とカランドリア管をそれぞれ224本内蔵する二重管で構成される複雑で狭隘な構造であり、遮へい領域は、原子炉上下部及び側部は厚板部材からなる積層構造となっている。また、これらは、炭素鋼, ステンレス鋼, ジルコニウム合金, アルミニウム, コンクリート等の多種材料から構成されている。特に炉心領域の解体は、構造材が放射化していることや酸化しやすいジルコニウム合金を使用していることにも留意して、切断時の放射性粉じん等による被ばく低減及び発火防止対策の観点から、水中にて遠隔で解体する計画としている。以上のことを考慮し、コストに大きく影響を与える解体工期の短縮及び二次廃棄物発生量の低減、水中での適用性に加え、「ふげん」の炉心領域に特徴的な狭隘部にも適用可能な切断工法の選定を行った。
高橋 昭久*; 久保 誠*; Ma, H.*; 中川 彰子*; 吉田 由香里*; 磯野 真由*; 金井 達明*; 大野 達也*; 古澤 佳也*; 舟山 知夫; et al.
Radiation Research, 182(3), p.338 - 344, 2014/09
被引用回数:57 パーセンタイル:90.46(Biology)DNA二本鎖切断(DSB)は相同組換え(HR)と非相同末端結合(NHEJ)により修復される。重粒子線治療における放射線増感剤の標的候補を明らかにすることを目的とした。がん抑制遺伝子p53欠損マウス胚線維芽細胞由来の野生型細胞, HR修復欠損細胞, NHEJ修復欠損細胞,二重修復欠損細胞を用いた。各細胞にX線,炭素線,鉄線,ネオン線,アルゴン線を照射し、コロニー形成法で生存率を調べた。10%生存率線量値(D10値)を用いて、増感比は(野生型細胞のD10値)/(修復欠損細胞のD10値)の式で算出した。D10値はいずれの線質においても、野生型細胞HR修復欠損細胞NHEJ修復欠損細胞二重修復欠損細胞の順に低くなった。HR修復欠損による増感比はLET無関係に一定で約2であった。一方、NHEJ修復欠損の増感比はLETが高くなるに従い減少するものの、HR修復欠損よりも高い増感効果を示した。高LET放射線の高RBEの要因はNHEJ修復の抑制と誤修復であり、炭素線における増感剤の主要な標的候補はNHEJ修復であることが示唆された。
赤木 浩; 深澤 裕; 横山 啓一; 横山 淳
Journal of Chemical Physics, 123(18), p.184305_1 - 184305_7, 2005/11
被引用回数:21 パーセンタイル:57.15(Chemistry, Physical)HOD分子のOD伸縮高振動状態(5状態)を243.1nmの紫外光で光分解した。OH結合切断とOD結合切断の分岐比を、生成したH及びD原子を検出することにより決定した。OH切断によって生成したH原子は検出されず、OD結合切断が主な分解過程であることがわかった。量子波束計算により、今回観測された高い選択性の原因が、(1)5状態がローカルモード的であること,(2)励起エネルギーが励起状態ポテンシャル曲面上の鞍点より低いこと、にあることを明らかにした。
横田 裕一郎; 鹿園 直哉; 田中 淳; 長谷 純宏; 舟山 知夫; 和田 成一; 井上 雅好*
Radiation Research, 163(5), p.520 - 525, 2005/05
被引用回数:20 パーセンタイル:50.50(Biology)一般的に高等植物は哺乳動物よりも放射線に強い。高等植物の放射線耐性機構を探索するために、タバコBY-2細胞及びその対照としてチャイニーズハムスターCHO-K1細胞に線を照射し、パルスフィールドゲル電気泳動法によりDNA2本鎖切断(DSB)を定量した。タバコBY-2細胞におけるDSB生成量(2.00.1DSBs GbpGy)はCHO-K1細胞のわずか1/3であり、一方で、平均致死線量の線照射による細胞あたりのDSB生成量は、タバコBY-2細胞(263.213.2)ではCHO-K1細胞より5倍多かった。これらの結果は、タバコBY-2細胞で認められた放射線耐性の原因として、DNA損傷が少ないばかりでなく、DNA損傷が効果的に修復されることを示唆している。
林 浩孝; 鳴海 一成; 和田 成一; 菊地 正博; 古田 雅一*; 上原 赫*; 渡辺 宏*
Journal of Plant Physiology, 161(10), p.1101 - 1106, 2004/10
被引用回数:10 パーセンタイル:23.05(Plant Sciences)ミドリムシの野生株及びクロロプラスト欠損変異株の電離放射線に対する耐性を調査した。線照射後のコロニー形成能は、クロロプラスト欠損変異株に比べて野生株の方が高かった。また、両株において、光培養した細胞の方が、暗培養した細胞よりも放射線に耐性であった。このことは、ミドリムシの放射線耐性に培養時の光照射条件が大きく寄与していることを示唆している。暗培養した細胞に比べて、光培養した細胞の方が、より高いDNA2本鎖切断修復能を有していることがコメットアッセイによって明らかになった。これらの結果は、ミドリムシがDNA2本鎖切断を克服するため、光に誘導される修復機構を持っていることを示唆している。
市毛 尚志; 平塚 一; 本田 正男; 宮 直之
平成14年度東京大学総合技術研究会技術報告集, p.2_91 - 2_93, 2003/03
JT-60に使用している遠心加速方式ペレット入射装置は、平成8年に開発を開始してから現在まで実験に使用してきた。しかし、平成14年6月のJT-60実験運転において固体燃料(ペレット)を射出できなくなる不具合が発生した。調査の結果、固体燃料切断装置の燃料切断・装填用プランジャの励磁コイル焼損と励磁コイルが高温になった場合に電源の出力を停止するための保護装置(電源内部に設置され、バイメタルを内蔵したサーマルプロテクタ)のバイメタルの接点が溶着している事が判明した。励磁コイルは真空槽内に設置されており、励磁コイルの絶縁被覆(ポリアミドイミド)の寿命により焼損したと思われる。また、保護装置については、切断装置本体の構造変更により励磁コイルの温度が高い状態が繰り返され寿命に至ったと思われる。本保護装置は励磁コイル焼損を防ぐ目的から故障しにくい構造にする必要がある。そこで、バイメタルを使用しない一方式による電源に改良することとした。本研究会においては、電源の改良内容と今後の予定について報告する。
Zhao, Y. L.*; 永目 諭一郎; 西中 一朗; 塚田 和明; 末木 啓介*; 中原 弘道*; 後藤 真一*; 谷川 勝至*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.30 - 33, 2002/11
アクチノイド核種の核分裂における質量分布と全運動エネルギー分布の系統的研究から、分裂直前の分裂核の形状と質量分布の形状の相関が、主に3種類に大別できることを見いだした。高いエネルギーの核分裂で観測されるのは、変形度1.65の切断時形状から半値幅が質量数20以上の対称な質量分布を形成する。また、低・中エネルギーの軽アクチノイド核分裂でよくみられるタイプは、1.53の形状から半値幅がほぼ一定の質量数15の非対称な質量分布を形成する。そして重・超アクチノイドの自発核分裂で特徴的なのは、1.33の切断時形状から半値幅が質量数9と幅の狭い対称な質量分布であることがわかった。
山岡 弘人*; 土屋 和之*; 阿波野 俊彦*; 岡 潔
石川島播磨技報, 42(5), p.260 - 264, 2002/09
国際熱核融合実験炉(ITER)の主要構造部材の交換保守のため、YAGレーザを用いた配管の遠隔切断・溶接システムの製作及びモックアップテストを実施した。製作したシステムはSUS316L, 100ASch40配管を内面からアクセスして切断後、そのままの開先に対して新規交換配管を芯合わせし、自動制御にて再溶接を行うものである。本稿では(1)平板等での予備試験結果、(2)得られた加工裕度範囲をもとに設計・製作したシステムの概要、(3)テストスタンドを利用した芯合せ結果及びモックアップによる加工試験結果について報告する。平板の溶接試験によりギャップ0.8mm、目違い2mmまでは継手として許容できることがわかり、要求寸法から切断面粗度を含めてこの範囲内までに芯合わせが可能であるよう保守ツールのモータ引付け駆動力を選定した。テストスタンドを利用した芯合わせ試験にて、要求寸法制約である配管ギャップ50mm、ずれ量10mmから上記裕度範囲内に芯合わせが可能であることがわかった。最終的にモックアップ試験により配管切断・芯合せ・再溶接の一連のプロセスを遠隔にて実施し、良好な再溶接継手が得られることを確認できた。
渡邊 立子; 斎藤 公明
Radiation and Environmental Biophysics, 41(3), p.207 - 215, 2002/08
被引用回数:21 パーセンタイル:51.15(Biology)100eVから1MeVまでの単一エネルギーの電子線による水溶液中でのプラスミドDNAの鎖切断の誘発について、モンテカルロシミュレーションによって研究を行った。鎖切断生成のメカニズムとして水ラジカルによる間接作用のみに注目し、モデル化を行った。このモデルに基づき、DNAの一本鎖切断(SSB)と二本鎖切断(DSB)の線量効果関係をシミュレートし、それぞれの生成収率を計算した。この結果、SSBは線形,DSBは線形-二次の線量効果関係が得られた。DSBについては、線量効果関係が電子のエネルギーに大きく依存し、1keVの電子によるDSBの大部分は線形成分、すなわち単一事象によって生じることがわかった。また、SSBとDSBはそれぞれ1keVで最小値と最大値をとる逆のエネルギー依存性がみられ、1keVの電子のような放射線飛跡末端での間接作用による重篤なDNA損傷の生成しやすさが示唆された。これらの結果は、実験値をよく再現しており、本研究での鎖切断生成のメカニズムのモデルの妥当性を示すもので、生体への放射線作用に重要な役割を示すラジカルによる間接作用のDNA切断機構に関する理解が深まった。
坂本 文徳; 鈴木 英治*; 藤井 有起*
Journal of Biochemical and Biophysical Methods, 52(2), p.97 - 109, 2002/07
被引用回数:4 パーセンタイル:9.64(Biochemical Research Methods)遺伝子研究の隆盛により、多くの分野でDNA本体を対象とした研究が広範に行われている。その一つとして、研究者の希望する位置でDNAを切断させる研究が行われているが、DNAの切断位置の特定はマキサム-ギルバート法を利用する手法が一般的だった。しかし、この手法は煩雑な点や不確実な点が多く、あまり利用されてこなかった。そこで、それらの問題点を改善する目的で、Pとサンガー法を利用した特定法を新規に開発した。この新規手法は、切断されたDNAをPにより標識し、ポリアガロースゲル電気泳動後に、基準となる塩基配列とそのP標識DNAを比較することにより切断位置を特定するものである。この手法により、DNA切断位置の特定が、従来の方法に比べ、より簡便でより確実性が増し、また特定に要する時間は半分程度に短縮できた。さらに、この特定法の有効性を示すため、DNA切断物質の一種であるCu(II)TACH錯体によるDNAの切断位置を特定した。
Zhao, Y. L.*; 西中 一朗; 永目 諭一郎; 塚田 和明; 末木 啓介*; 谷川 勝至*; 後藤 真一*; 中原 弘道*
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences, 3(1), p.103 - 107, 2002/06
Po,Ac,Pa,Bk,Mdの核分裂における質量分布,運動エネルギー分布の相関を系統的に調べ、非対称分裂経路と対称分裂経路の観点から切断時形状,全運動エネルギーと質量分布の核分裂特性を明らかにした。核分裂経路の終点の切断時形状は、分裂核の励起エネルギーによらず、非対称分裂経路では変形度~1.65であり、対称分裂経路では~1.53であった。このことからそれぞれの分裂経路に対応した運動エネルギーの系統性を分裂核の質量数と原子番号だけで記述できる経験式を見いだした。また、質量分布の分布幅や分布のピーク位置などの形状についての特徴は、二つの分裂経路の始点に対応する核分裂障壁位置での変形度の対称性や相対的な高さと強く関係していることがわかった。
鳴海 一成; 佐藤 勝也; 菊地 正博
JAERI-Conf 2002-005, p.158 - 171, 2002/03
放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスの放射線感受性変異株を解析し、放射線耐性に重要な新規タンパク質(PprA)を発見した。PprAはDNA鎖切断を認識して結合し、ヌクレオチド分解酵素からDNA切断末端を保護し、効率的な修復をもたらす。またPprAは、DNAリガーゼによるDNA 鎖結合反応とRecAタンパク質を介するDNA組み換え修復反応を促進する活性を有する。このような性質により、PprAの広範囲での応用が期待される。
伊藤 政幸*
日本ゴム協会誌, 75(2), p.68 - 72, 2002/02
本稿はゴムの網目鎖構造が関与すると考えられる未確定の問題を解明するために、放射線を利用してゴムに切断と架橋とを定量的に制御して加え、得られた試料の物性を測定し、以下の各点を明らかにした。(1)ゴムの破断伸びについて、生ゴムに架橋のみが加えられた場合には、破断伸びは架橋密度の-1/2乗に比例し、Bucheの理論と一致する。しかし切断が併発すると、短鎖網目への応力の集中と切断によって生じたFree endがゴムの伸び配向を妨害し、破断伸びは小さくなる。(2)Moony-Rivlin式のCは弾性項とみなすことができ、Cは網目鎖間分子量の大きな鎖の絡み合いによる二次網目鎖によって発現する。(3)ゴム分子鎖が切断を受け、そこに酸化生成物が付加した場合、誘電緩和時間はFree endの長さが短いほど架橋点の束縛が強く、酸化生成物(極性基)の電場での運動が抑制されて緩和時間が長くなる。