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廣内 淳; 渡邊 正敏*; 林 奈穂; 長久保 梓; 高原 省五
Journal of Radiological Protection, 45(1), p.011506_1 - 011506_11, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)原子力発電所事故によって汚染された地域に住む公衆は、初期から長期にわたって被ばくする。同じような事故シナリオであっても、放射線量や防護措置の一つである屋内退避の効果は、気象条件や周辺環境に左右される。原子力発電所事故の初期における放射線量と屋内退避の効果は、公衆だけでなく、原子力防災対策を計画する国や地方自治体にとっても重要な情報である。本研究では、レベル3PRAコードの一つであるOSCAARコードを用いて、過去のシビアアクシデント研究で利用された3つのシナリオ、原子力規制委員会が定めたシナリオ、福島第一原子力発電所事故に対応するシナリオの計5つの事故シナリオについて、日本国内の原子力施設を有するサイトにおける放射線量と屋内退避の効果を評価した。屋内退避の効果は、同一サイトにおける事故シナリオ間で最大約50%、同一事故シナリオのサイト間で約20%50%の差があった。事故シナリオ間の放射性核種組成の違いと、サイト間の風速の違いが、主にこのような屋内退避の効果の違いを引き起こした。
吉富 寛; 二川 和郎
JAEA-Research 2024-016, 26 Pages, 2025/02
原子力施設周辺の環境モニタリングにおいては、熱ルミネセンス線量計や蛍光ガラス線量計といった受動形線量計を用いた積算線量計測も行われている。受動形線量計の一種である光刺激ルミネセンス(OSL)線量計は、個人線量モニタリング用途として広く利用され、信頼性の高い測定が行われているものの、環境モニタリング用線量計としては活用されていない。OSL線量計を環境モニタリングに転用できれば、リーダや線量計といった既存の資源を活用することで、安価で信頼性の高い積算線量計測が実施できる可能性がある。酸化アルミニウム(-Al
O
:C)を用いたOSL線量計の環境モニタリングへの適用に際しての課題としては、(1)OSL線量計の信号量から空気吸収線量を評価するための線量評価アルゴリズムが整備されていないこと、(2)環境モニタリング用積算線量計測装置が有すべき性能が規定されているJISZ4346:2017への適合性が評価されていないこと、が挙げられる。そこで、本研究では、モンテカルロ計算により線量評価アルゴリズムを開発するとともに、開発した線量評価アルゴリズムを用いてJISZ4346:2017に基づく試験を実施し、適合性を評価した。その結果、OSL線量計測装置はJISZ4346:2017で規定される性能を有することが確認できた。有効測定範囲は0.1mGy
1Gy、定格エネルギー範囲は30keV
1.25MeV、定格入射角度範囲は0
60
、定格温度範囲は-20
C
40
C、定格湿度範囲は10%
90%である。これらはJISZ4346:2017で規定される最小定格範囲を満たしており、開発したOSL線量計を用いた線量評価システムを用いた線量計測装置は、環境モニタリングに必要な性能を十分に有していることを確認することができた。
古渡 意彦*; 吉富 寛; 谷 幸太郎*; 谷村 嘉彦; 栗原 治*
Radiation Protection Dosimetry, 200(16-18), p.1574 - 1579, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)This study attempted the reconstruction of organ doses of victims who are highly exposed to gamma rays in non-homogeneous exposure accident by a sealed Ir source in Gilan, Iran. According to the accident report by International Atomic Energy Agency (IAEA), a victim was highly exposed on his right chest and the dose estimation by means of biodosimtry and clinical observation were carried out. However, dose reconstruction by means of physical dosimetry was not completely made. In this study, a series of Monte Carlo (MC) calculations employing the PHITS 3.24 incorporated with the Adult male Mesh-type Reference Computational Phantom was performed to estimate organ doses with reference to an actual radiation accident involved in the
Ir sealed source, and to investigate issues on reconstruction of organ doses of victims who are highly exposed to radiation under non-homogeneous exposure accident. Calculated organ doses for the lungs, the red born marrow, and the small intestine by MC calculation were compared with experimental values taken from the literature and were within 23% in terms of mGy h
/Ci for the Gilan case. The averaged whole body dose was estimated to be 0.31 Gy, which are less than one-tenth than that estimated by biodosimetry (3.1-4.1 Gy). In the IAEA Gilan report, the average whole body dose was assumed to be 2 Gy for rough estimation of physical dose, having a large discrepancy with those estimated by the MC calculation.
佐藤 薫; 古田 琢哉; 佐藤 大樹; 津田 修一
PLOS ONE (Internet), 19(10), p.e0309753_1 - e0309753_26, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)これまでに、放射線事故や医療被ばくの線量評価を目的とした数値ファントムとして、標準日本人体型の成人男性(JM-103)及び成人女性(JF-103)のボクセルファントムを開発した。しかし、JM-103及びJF-103は記述形式や解像度の制約により、被ばく時の姿勢を考慮した線量評価に対応できない課題があった。そこで本研究では、JM-103及びJF-103をベースとして、柔軟な変形が可能なポリゴンメッシュ形式の成人日本人ファントム(男性:JPM、女性:JPF)を開発した。JPM及びJPFには、1mm厚以下の微小な放射性感受性領域を有する皮膚及び水晶体の詳細モデルが組み込まれている。光子または電子を外部から前方照射する場合について、実効線量、皮膚及び水晶体(全領域及び放射性感受性領域)の線量を計算した結果、皮膚及び水晶体の全領域の計算結果について、JPM及びJPFはJM-103及びJF-103及びICRP等の文献値と矛盾しないことを確認した。さらに、これまで計算できなかった放射線感受性の高い微小な部位における線量を計算するとともに、その入射エネルギー依存性評価が可能となった。今後、構築したJPM及びJPFに現在開発中の姿勢変形技術を適用することによって、被ばく時の姿勢を考慮した、個人に対する詳細な線量評価手法を開発する予定である。
増田 毅*; 真辺 健太郎
Journal of Radiological Protection, 44(3), p.031517_1 - 031517_8, 2024/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)Hや
Cを含む有機物を体内に取り込んだ場合、一定の割合で無機物に代謝されて素早く排泄される。一方、有機物のまま残留した
Hや
Cは無機物に比べて生物学的半減期が長く、被ばく線量への寄与が大きい。そのため、有機物の代謝割合が線量評価上重要となる。しかしながら国際放射線防護委員会(ICRP)は、動物実験又は炭素の物質収支から代謝割合を設定している。そこで、重水素や
Cで標識した有機物をヒトに経口摂取させて代謝割合を測定した結果を参照して線量評価を行った。その結果、ICRPの線量係数は、
H有機物については適切であったものの、
C有機物については2倍程度保守的な評価であることが明らかになった。
斎須 要文*; 安藤 維彦*; 内山 恵三*; 上野 敏弘*; 瀧澤 孝一*; 遠藤 裕司*; 吉村 和也; 眞田 幸尚
Journal of Radiological Protection, 44(2), p.021518_1 - 021518_16, 2024/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)Following the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, evacuation orders were issued for the surrounding communities. In order to lift the evacuation order, it is necessary to determine individual external doses in the evacuated areas. The purpose of this study was to determine the quantitative relationship between individual external doses and ambient dose rates per hour as conversion coefficients. More specifically, individual external doses of Tokyo Electric Power Company Holdings employees in difficult-to-return zone were measured broadly over a long period (FY2020 to FY2022). To obtain highly accurate estimates, we used not only ambient dose rates based on airborne radiological monitoring data, but also Integrated dose rate map data that had been statistically corrected to correspond to local ambient dose rate gradients on the ground. As a result, the conversion coefficients based on the ambient dose rate map measured by airborne radiological monitoring were 0.42 for the Evacuation-Order Lifted Zones (ELZs), 0.37 for the Special Zones for Reconstruction and Rehabilitation (SZRRs), and 0.47 for the Difficult-to-Return Zones (DRZs) without a SZRRs. On the other hand, the conversion coefficients based on the Integrated dose rate map which is a highly accurate dose rate map based on statistical analysis of various types of monitoring that have been studied in government projects in recent years, were 0.78 for the ELZs, 0.72 for the SZRRs and 0.82 for the DRZs. Using these conversion coefficients, the individual external dose can be estimated from two representative ambient dose rate maps provided by the government.
石川 諒尚; 古場 裕介*; 古田 琢哉; Chang, W.*; 米内 俊祐*; 松本 真之介*; 橋本 慎太郎; 平井 悠大*; 佐藤 達彦
Radiological Physics and Technology, 17(2), p.553 - 560, 2024/06
At the Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba (HIMAC), a series of retrospective studies are ongoing in patients treated with carbon ion radiotherapy (CIRT) to obtain the knowledge to improve tumor control and reveal the mechanism of the low risk of secondary cancer after CIRT. Dose-averaged linear energy transfer (LET) is generally used as a measure of treatment effectiveness or biological effects in such retrospective studies; however, it is conventionally evaluated from the relative biological effectiveness (RBE)-LET
fitted function used in the treatment planning system. In this study, we calculated the physical doses and their linear energy transfer (LET) distributions for a series of treatment plans for a homogeneous rectangular phantom and a human body phantom with typical CIRT beams using Monte Carlo (MC) simulation. The LET
was then deduced from the MC simulation and compared with the corresponding data obtained using the conventional method. The comparison suggested that the two types of LET
agreed well with each other, except around the distal end of the spread-out Bragg peak, where the MC simulation yielded significantly higher LET
values than that of the conventional method. This is because the RBE-LET
fitted function adopted in the conventional method ignores the contribution of the high-LET components, causing an overkill effect. Furthermore, an MC simulation was conducted to determine the material composition of water and realistic materials from the CT number in the planned image. The profiles of physical dose and LET
were in good agreement for both techniques. These results indicate the possibility of enhancing the efficiency of retrospective studies of CIRT using MC simulations in the future.
越智 康太郎; Barker, E.*; 中間 茂雄; Gleizes, M.*; Manach, E.*; Vincent, F.*; 眞田 幸尚
Journal of Disaster Research, 19(2), p.429 - 445, 2024/04
周辺線量当量率(空間線量率)分布のマッピング技術は、各国で統一された明確な基準はない。本研究では、日本原子力研究開発機構とフランス放射線防護・原子力安全研究所が共同で、福島第一原子力発電所周辺において、歩行サーベイ、車両サーベイ、無人ヘリコプターサーベイを実施し、各機関のモニタリング手法の有効性を確認した。例えば、歩行サーベイでは、検出器で得られた計数率を空間線量率に換算する際に、ガンマ線エネルギーの異なる放射性核種からの寄与を考慮するかどうかで、両機関が測定した空間線量率の間にずれが生じることが確認された。本研究のように、各国のマッピング技術を比較し、相互にフィードバックすることで、原子力発電所事故後のゾーニングシナリオの精度を向上させることができると思われる。
Kim, M.; 吉村 和也; 佐久間 一幸; Malins, A.*; 阿部 智久; 中間 茂雄; 町田 昌彦; 斎藤 公明
環境放射能除染学会誌, 12(2), p.39 - 53, 2024/04
東京電力福島第一原子力発電所事故から10年以上が経過したが、特定復興再生拠点など除染の進展に伴い避難指示が解除され、住民の帰還が今も継続している。このような現状の中、除染・耕作活動による空間線量率の低減効果を定量的に評価するために、福島県大熊町に位置する実エリアに対して 放射線量の詳細分布の推定を可能にする計算システム3D-ADRESを活用し、環境中の線源分布を詳細に再現するモデルを構築した。構築されたモデルを用いてモンテカルロシミュレーションを行い、観測に基づいた実際的な放射性Csの分布およびその時間に伴う変化を反映した空間線量率の計算を行った。その結果、対象地域に対し除染・耕作活動に応じた地上100cm空間線量率の面的な空間線量率分布が計算された。空間線量率の計算結果は、実測値を良く再現でき、除染や耕作の影響評価に本手法が妥当であることが確認された。この手法は、まだ立ち入りなどが制限されている一部の帰還困難区域において今後さらに除染などの線量率を低減させるための対策を進めていく際に参考になることが期待される。
外間 智規; 木村 仁宣; 外川 織彦
JAEA-Research 2023-010, 57 Pages, 2024/02
原子力災害時に住民の甲状腺中放射性ヨウ素放射能の簡易測定を行うことが計画されている。簡易測定にはスクリーニングレベル:0.20Sv/hが目安として設定されており、原子力災害等の状況に応じて適切に見直すこととされている。しかしながら、スクリーニングレベルの見直しに関する具体的な方針は定められていない。スクリーニングレベルの見直しについては、甲状腺内部被ばく線量の判断レベルや簡易測定の実施期間等、簡易測定の可否に係る要因について考慮する必要がある。本研究では、スクリーニングレベル:0.20
Sv/hの設定根拠を整理するとともに、原子力災害時におけるスクリーニングレベル見直しの実行性について考察を行った。スクリーニングレベルを0.025
0.50
Sv/hの範囲で見直した場合の判断レベルと実施期間との関係を計算し、スクリーニングレベル見直しの実行性について考察を行った。その結果、スクリーニングレベルの見直しについては、適切な判断レベルと実施期間を選択しなければならないという技術的な制約はあるものの実行可能であることが分かった。しかしながら、原子力災害時の簡易測定の実際を想定した場合、スクリーニングレベル見直しについては、実施期間の延長が必要な状況において0.030
0.20
Sv/hの範囲で設定することが妥当であろうと評価した。
眞田 幸尚; 御園生 敏治; 尻引 武彦*
海洋理工学会誌, 27(2), p.37 - 44, 2023/12
本稿では、福島第一原子力発電所事故後に実施された海洋モニタリングの概況、USVの開発・運用経験、今後の原子力防災のためのツールとしての無人船舶の適用可能性などについてまとめた。海水で0.01Bq/L以下、海底土で10Bq/L以下。このような環境放射線モニタリングに使用するため、3機のUSVの運用試験を継続的に行っている。これらのUAVは、性能に応じて、海水サンプリング、海底土壌表層の直接測定、海底土壌サンプリングへの利用を視野に入れ、開発を進めている。今後の原子力発電所事故に備え、USVの開発促進が必要である。
休石 美佐*; Masoudi, P.*; 西村 拓*; 越智 康太郎; Ye, X.*; Aldstadt, J.*; Komissarov, M.*
Radiation Measurements, 168, p.106978_1 - 106978_16, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:23.64(Nuclear Science & Technology)本研究では、福島県の森林内の落葉及び常緑樹の直下で、可搬型及びバックパック式シンチレーション検出器を用いて空間線量率分布を調査した。地形の特徴が空間線量率に及ぼす影響を評価するために、5つの地形パラメータに対して、多変量適応回帰スプライン(MARS)による検討を行った。森林内の空間線量率分布は不均一であり、時間の経過と共に、空間線量率が1Sv/h以上変動していた。これは、地面の湿潤度などのパラメータが影響していることが示唆された。全てのパラメータに対するMARSモデルの決定係数(R
)は、0.54又はそれ以上であった。空間線量率と土壌汚染レベルに対する地形の影響が一致しているかどうかを議論するために、現場で測定された空間線量率と土壌中放射性セシウムの深度分布から推定された空間線量率を比較した。土壌試料から推定される空間線量率は、ほとんどが現場での測定値の範囲内であった。
古渡 意彦*; 吉富 寛; 永元 啓介*; 中上 晃一*; 盛武 敬*; 欅田 尚樹*
Radiation Protection Dosimetry, 199(15-16), p.1807 - 1812, 2023/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)An additional individual monitoring using ring badge must be made, when inhomogenous exposure around radiation workers' extremity were critical for radiation workers. The RPLD, the GD-302M and the GD-352M have a dimension of 13.0 mm in length and 2.8 mm in diameter for outer casing and will also be a promising candidate for individual monitoring of the extremities of medical personnel. We investigated the applicability of this commercially available RPLDs to extremity dose monitoring by performing a characterization of the dosemeters by experiments and Monte Carlo (MC) calculations. The results shows that the energy response of GD-352M fully meets the IEC requirement between 20 keV and 200 keV. We also found that no significant angular dependence of responses for each model was observed and orientation of irradiation hardly affected the response. In conclusion, we demonstrated the applicability of a small RPLD to the extremity monitoring in terms of (0.07) for medical personnel.
古渡 意彦*; 窪田 卓見*; 吉富 寛; 欅田 尚樹*
Radiation Protection Dosimetry, 199(11), p.1239 - 1247, 2023/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)We performed an experimental investigation on occupational exposure of the eye lens and the extremity of radiation workers engaged in handling of highly activated materials in a small research accelerator facility. Using a simplified physical phantom to simulate the relevant inhomogeneous radiation exposure situations, the personal dose equivalents obtained at the eye lens and the extremities of radiation workers handling heavily radioactive converters were measured together with the dose measured by personal dosemeters worn on their trunk. Results of a mockup experiments and the Monte Carlo calculations suggest that the quantitative estimation of the eye lens doses can be estimated from the trunk dose, while the extremity doses vary considerably from the dose readings from the trunk, depending on the use of simple point-source or volume source geometry.
古田 琢哉
Isotope News, (787), p.20 - 23, 2023/06
炭素線治療は従来の放射線治療よりも腫瘍部への線量が集中する優位性を持つが、正常組織での二次的ながんの発生原因となり得る照射を完全に無くすことは困難である。現状の線量評価では治療効果と周辺重要臓器の急性障害の回避を目的に治療部位近傍に限定した評価が行われており、2次発がんなどの副作用に影響する低線量の領域まで評価が行われていない。そこで、重粒子線治療の計画データを基に、重粒子ビーム照射体系を再構築し、PHITSによって、2次粒子の挙動も含めて重粒子線治療を正確に再現するシステムRT-PHITS for CIRTを開発した。このシステムを用いることで、過去に実施された重粒子線治療の患者全身における線量評価が可能で、評価結果を治療後の2次がん発生等の疫学データと組み合わせることで、放射線治療後の副作用と被ばく線量の相関関係を明らかにすることができる。
高橋 成雄*; 櫻井 大督*; 長尾 郁弥; 操上 広志; 眞田 幸尚
シミュレーション, 42(2), p.68 - 75, 2023/06
本稿では、事故後行われてきた地上および空中放射線モニタリングを通じて蓄積されてきた、空間線量率の時空間分布に関するデータから、放射性物質の沈着過程の理解や、除染作業による線量率低減度の評価に関する科学的知見を、視覚解析を通じて得ることができた事例を紹介する。また関連して、今後の原発事故からの復興の施策立案の一助となる重要な知見を効果的に得るための、今後の取り組みについての展望を図る。
高橋 成雄*; 操上 広志; 眞田 幸尚; 櫻井 大督*
ERAN2022年度成果報告書(インターネット), 1 Pages, 2023/04
本研究は、除染効果の多角的かつ定量的な評価を通じて、精度の高い除染効果評価技術の確立を目指すものである。試行的な解析により視覚解析技術の適用性を確認した。
横山 須美*; 浜田 信之*; 辻村 憲雄; 欅田 尚樹*; 西田 一隆*; 江崎 巌*; 加藤 昌弘*; 大久保 秀輝*
International Journal of Radiation Biology, 99(4), p.604 - 619, 2023/04
被引用回数:5 パーセンタイル:26.30(Biology)2011年4月、国際放射線防護委員会は、水晶体の職業被ばく限度の引き下げを勧告した。この新しい水晶体線量限度は、これまで多くの国で取り入れられており、また他の国でも規制実施に向けた議論が盛んに行われている。日本では、2013年4月に日本保健物理学会(JHPS)、2017年7月に放射線審議会で議論が開始され、2021年4月に新しい水晶体線量限度が規制実施されることになった。その経験を共有するために、日本での状況をまとめた論文を、2017年初頭までに入手可能な情報に基づく第1論文、2019年初頭までに第2論文と、順次発表してきた。本稿(シリーズ3回目)では、新たな水晶体線量限度の規制実施、審議会の意見を踏まえた関係省庁の最近の議論、安全衛生管理体制の構築過程、水晶体線量モニタリングと放射線安全に関するJHPSガイドライン、認可事業者の自主対策、水晶体線量校正方法の開発、原子力作業者の水晶体被ばくと水晶体への生物影響に関する最近の研究など、2022年半ばまでに入手できる最新の情報に関して検討することを目的とするものである。
眞田 幸尚; 時吉 正憲*; 西山 恭平*; 佐藤 里奈; 吉村 和也; 舟木 泰智; 阿部 智久; 石田 睦司*; 長峰 春夫*; 藤坂 基幸*
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(2), p.87 - 96, 2023/04
福島第一原子力発電所の事故以来、多くの除染作業が行われたが、作業員の被ばくに関するデータは必ずしも詳細に分析されているとは言い難い。本論文では、作業員が個人線量計とともに携行したGPS位置情報をもとに、作業区域の空間線量率や作業種別ごとの特徴を分析した。その結果、実測線量の50%以上が、空間線量率と実働時間から計算される計画線量の中央値の2倍以上であることがわかった。さらに、作業種別に分析した結果、解体作業者の被ばく線量が高い傾向にあり、これは、作業現場での線量を低減するために、作業前にほとんどの作業を実施していることが原因であることがわかった。また、空間線量から実効線量への換算を考慮すると、計画値が実測値より低くなる過小評価の事例が多く、適切な作業係数を設定することが管理上重要であると考えられる。
眞田 幸尚; 佐々木 美雪; 操上 広志; 三上 智
Journal of Nuclear Fuel Cycle and Waste Technology, 21(1), p.95 - 114, 2023/03
福島第一原子力発電所(FDNPS)事故後の数十年間で、事故初期と比較して環境線量率は著しく低下している。このような状況の中、政府プロジェクトとして、周辺線量率や放射性セシウム分布の調査が継続的に実施されている。分布の全体像を把握するためには、有人ヘリコプターや無人航空機(UAV)を用いた空中調査が最適である。しかし、住民の近くで正確に測定するためには、地上での調査が必要である。これらの方法の違いには、土地利用における放射性核種の堆積後の挙動に関する知見が含まれる。調査結果は、避難区域の解除や除染などの対策など、政策判断の基礎となるものである。これらの調査には、事故後の対応に関する重要な知見が含まれている。本稿では、FDNPSを中心とした政府プロジェクトの調査方法と現状を紹介する。また、住民に情報を提供するための可視化手法や周辺線量率のデータベースについても検討する。