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吉村 和也; 眞田 幸尚; 佐藤 里奈; 中山 真理子*; 坪倉 正治*
Journal of Radiation Research (Internet), 64(2), p.203 - 209, 2023/03
被引用回数:2 パーセンタイル:37.05(Biology)福島第一原子力発電所事故後、多くの自治体や政府、研究機関によって住民の個人被ばく線量が評価されてきた。この評価には、個人線量計による測定やシミュレーションなど、目的に応じて様々な方法が用いられてきたが、評価内容や方法に関する情報は体系的に整理されていない。これまでに蓄積された個人被ばく線量評価の知見や経験を包括的にレビューし、評価手法の特徴を把握することは、政府の政策立案に続き、放射線防護やリスクコミュニケーションに非常に有用である。本報告書では、FDNPS事故後の住民被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みについて、第1部で概観し、第2部では、FDNPS事故後の住民被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みについて概観した。一方、個々の被ばく線量を評価する方法には、それぞれ不確実性や適切な評価のために考慮すべき点 が存在する。これらの知見や経験は、評価の実施や評価結果を政府の政策立案に活かすために重要であり、本稿のPart2でまとめている。
嶋田 和真; 飯島 正史*; 渡邊 正敏*; 高原 省五
Proceedings of Asian Symposium on Risk Assessment and Management 2021 (ASRAM 2021) (Internet), 17 Pages, 2021/10
東京電力福島第一原子力発電所事故時にオフサイトで活動した防災業務関係者の被ばく線量を評価した。先行研究のソースタームを用いて大気拡散シミュレーションを行い、防災業務関係者が活動した市町村内の大気中濃度及び地表面濃度を評価して、クラウドシャイン及びグランドシャインからの外部被ばく線量と、プルーム及び再浮遊核種の吸入による内部被ばく線量について、各市町村内での時間的及び空間的な変動幅を評価した。外部被ばく線量の評価結果について個人線量計の実測値と比較したところ、実測値は評価した幅に収まる値となっていた。また、内部被ばく線量も加えて一日当たりの被ばく線量を評価したところ、2011年3月12日から31日までの各一日における潜在的な実効線量は、比較的高線量の地域において数十mSv以上であった。これより、防災業務関係者の被ばく線量をICRPが推奨する参考レベルである20mSv未満に保つためにはマスクなどの内部被ばくに対する防護が講じられることを確認する必要がある。
菅谷 敏克; 阿部 大智*; 岡田 翔太; 仲田 久和; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2021-004, 79 Pages, 2021/05
研究施設等廃棄物の埋設処分に向けて、廃棄体等のトレンチ処分及びピット処分への区分や、重要核種を選定する際の参照値とするため、研究施設等廃棄物に含まれる可能性のある220核種について、トレンチ処分及びピット処分における基準線量相当濃度を試算した。基準線量相当濃度の試算に当たっては、廃棄物埋設施設の立地場所は様々な環境が考えられるため、原子力安全委員会がトレンチ処分及びピット処分の濃度上限値を算出するために用いられた被ばく経路に追加して、中深度処分で想定されている被ばく経路も追加した。また、埋設処分場の規模を、現在想定しているトレンチ処分約53万本、ピット処分約22万本を対象として設定した。本報告書で試算した基準線量相当濃度の結果は、立地場所が決定していない段階での廃棄体等のトレンチ処分及びピット処分への区分や、重要核種を選定する際の参照値として用いることを考えている。また、今後の処分施設のバリア機能の設置などの検討を考慮して、基準線量相当濃度の値を見直すこととする。なお、今後、立地場所の決定後、立地条件を踏まえて線量評価を行い、事業許可申請書に記載する廃棄体等の放射能及び放射能濃度を決定することとなる。
富田 純平
ぶんせき, 2019(3), p.112 - 113, 2019/03
バイオアッセイ試料中の放射性核種分析は、従来、煩雑な放射化学分離及び放射線計測により実施されてきた。しかしながら、近年、抽出クロマトグラフィーレジンの登場やICP-MSの感度向上及び干渉除去技術の進歩により、分析が迅速・簡便化されつつある状況にある。そこで、バイオアッセイ試料分析の例として、尿中のPu同位体及びSr分析に着目し、従来及び最近開発された分析法について紹介した。尿中のPu分析法では、従来の陰イオン交換法と
線スペクトロメトリーによる分析法及び最近発表されたTEVA, UTEVA, DGA resinを使用した抽出クロマトグラフィーと高効率試料導入装置を連結したSF-ICP-MS測定によるUを高濃度に含む尿中Pu迅速分析法を紹介した。尿中の
Sr分析法では、従来の発煙硝酸法によるSrの放射化学分離と
線測定による分析法、TRUとSr resinによるSrの迅速分離と分離直後の
線スペクトロメトリーを組み合わせた迅速分析法及びSr resinによるSrの分離とICP-MS測定を組み合わせた分析法について紹介した。
佐藤 薫; 高橋 史明; 遠藤 章; 小野 孝二*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 吉武 貴康*; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*
RIST News, (58), p.25 - 32, 2015/01
原子力機構では、国内でのCT診断時の患者の被ばく管理の向上に資するため、大分県立看護科学大学等との共同研究によりWAZA-ARIの開発を進め、2012年12月にその試用版を公開した。試用版のWAZA-ARIには、平均的成人日本人男性(JM-103)及び女性(JF-103)、4才児(UFF4)ファントムと放射線輸送計算コードPHITSを組み合わせて計算した臓器線量データベースが格納されている。WAZA-ARIでは、これらの臓器線量データベースの中から、撮影条件に応じた適切なデータが選択されて線量計算に利用される。試用版の公開以後、WAZA-ARIのホームページへのアクセス件数は月当たり概ね1000件を超えており、2014年9月末において28421件に達した。現在、試用版のWAZA-ARIの線量評価機能を拡張した本格運用版である、WAZA-ARI version 2の開発が進められており、2014年度中の公開を目指している。WAZA-ARI version 2では、利用者は自身で計算した線量データを登録し、国内での線量分布と比較する機能も追加されている。
佐藤 薫; 野口 宏; 江本 豊*; 古賀 佑彦*; 斎藤 公明
Radiation Protection Dosimetry, 123(3), p.337 - 344, 2007/02
被引用回数:43 パーセンタイル:92.10(Environmental Sciences)健康な日本人成人男性ボランティアのCT画像を利用して精密全身ボクセルファントム(以下、JMファントム)を開発した。JMファントムの特徴について、以前に原研で開発したボクセルMIRDファントム及び日本人成人男性ボクセルファントムとの比較を行った。JMファントムのボクセルサイズは、0.980.98
1mm
であり、線量評価にとって重要な臓器の形状等が精密に再現されている。また、JMファントムの臓器形状は、原研において以前開発した日本人成人ボクセルファントム(ボクセルサイズ:0.98
0.98
10mm
)と比較して、甲状腺や胃等の小さな、あるいは複雑な形状の臓器についてもリアリスティックに再現されていることを確認した。さらに、JMファントムの脳,腎臓,脾臓,膵臓,甲状腺及び膀胱における光子の自己吸収割合を評価し、他のファントムと比較した。その結果、臓器の重量,形状及び厚さは、光子の自己吸収割合の重要な決定要因の一つになることが示唆された。
山口 恭弘; 平山 英夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(Suppl.4), p.498 - 501, 2004/03
2000年4月から3年間、高エネルギー陽子加速器施設の放射線安全に関して、原研・大学プロジェクト共同研究が実施された。このプロジェクトには、2研究機関及び5つの大学から10の研究グループが参加し、原研高崎研究所のTIARAの準単色中性子場を用いて、次の3つのテーマに関する研究開発が実施された。また、研究の進捗状況を把握し協力体制を促進するために、研究会が開催された。(1)中性子線量評価のための物理データに関する研究,(2)数10MeV中性子用のモニタ・線量計の開発,(3)内部被ばく線量評価のための放射性エアロゾル・ガスの生成に関する研究。
木村 英雄; 武田 聖司; 高橋 知之*
JAERI-Data/Code 99-033, 54 Pages, 1999/06
計算コードGSA-GCLは、埋設濃度上限値を上回る低レベル放射性廃棄物等の処分方策及び処分概念の安全性を検討する目的のために開発されたものである。本評価手法は、特定のサイトを前提とした評価コードではないが、地下水流解析コード等の詳細モデルの解析結果に基づき、処分施設から生態圏に至る移行経路を推定することで、ある程度サイト特性を反映させた解析も可能となっている。本報告書は、本コードの数学モデル、コード構造及び使用法を記述したものである。
天野 光
プラズマ・核融合学会誌, 73(12), p.1360 - 1361, 1997/12
環境中におけるトリチウムの移行挙動をパソコンを用いて簡易に評価するモデルとして、これまでいくつか報告されている。大きく分けて、事故時評価用モデルと平常時評価用モデルとに分けられる。本論文は、我々が現在開発中のパソコンを用いて簡易に環境中におけるトリチウムの移行挙動を評価するモデルETDOSEについて解説したものである。トリチウムの化学形がHT及びHTOについて大気中の拡散にはガウスプルームモデルを用い、気象データを発生頻度により分配する。これらの大気中拡散、地表への沈着、HTであれば地表に棲息している微生物によるHTOへの酸化、土壌から大気への再放出、HTOとしての大気及び根からの植物への取り込み、土壌中でのHTOの移行、等がモデル化され、被ばく線量も算出できる。現在このモデルを用いて、IAEAが主催する国際共同研究BIOMASSでモデル検証を行っている。
山口 恭弘
日本原子力学会誌, 36(7), p.624 - 630, 1994/00
被引用回数:2 パーセンタイル:27.68(Nuclear Science & Technology)近年放射線防護の分野においても、数値シミュレーション技術を用いた被ばく線量計算が盛んに行われている。シミュレーションによって計算された線量換算係数は、人体の被ばく線量評価や線量測定器の校正に利用されている。本稿では、数値シミュレーションと線量評価の関係、線量の計算方法等について述べる。また、これに関係した最近の話題として、ICRP 1990年勧告が与えた影響について紹介する。
小野 孝二*; 古場 裕介*; 松本 真之介*; 仲田 佳広*; 奥田 保男*; 赤羽 恵一*; 佐藤 薫; 高橋 史明; 吉武 貴康*; 長谷川 隆幸*; et al.
no journal, ,
医療において、CT撮影は有益な診断方法として利用されている。その一方で、撮影に伴って生じる被ばく線量は患者の体型に依存して変化する。したがって、CT撮影による被ばく線量を正確に評価するためには、個々の患者体型の違いを考慮することが必要となる。そこで、原子力機構では、大分県立看護科学大学、放射線医学総合研究所との共同研究において、CT撮影による被ばく線量評価システムWAZA-ARIの機能拡張版であるWAZA-ARIv2を開発し、平成27年1月より本格運用を開始した。WAZA-ARIv2では、利用者が入力した患者の性別、年齢(0才, 1才, 5才, 10才, 15才, 成人)、肥満度(小柄, 平均, 大柄, 特大柄)等の情報に基づいて、患者の体型を詳細に考慮した被ばく線量評価が可能である。今後、さらにWAZA-ARIv2の機能拡張を進め、低管電圧条件や80列以上のマルチスライスCT装置を用いた撮影時の被ばく線量評価についても可能にする計画である。本発表では、体型の違いを詳細に考慮して患者の被ばく線量を評価することが可能なWAZA-ARIv2のシステム及び将来計画ついて報告する。
富田 純平; 阿部 琢也; 坂口 綾*; 宮田 佳樹*; 長尾 誠也*; 山本 政儀*
no journal, ,
南相馬市内から採取した水試料(井戸水・湧水・水道水)中の人工放射性核種(Cs・
Cs・
Sr)及び天然放射性核種(U・Ra同位体、
K)濃度を測定した。水試料中の
Sr及び
Cs濃度は、それぞれ検出限界(約0.08)以下
3.4及び検出限界(約0.5)以下
4.2 mBq L
であった。水試料中の
Sr濃度は、概ねグローバルフォールアウト由来のものと同程度である一方、放射性Csについては、低濃度であるが、2011年3月に補正した
Cs/
Cs放射能比から、福島第一原子力発電所事故の影響が示唆された。水中の
U、濃度は、0.69
2455 ng L
であった。検出された
Ra及び
Ra濃度は、それぞれ0.14
2.7及び0.18
9.2 mBq L
と低濃度であった。検出された核種濃度を用いて、1年間1日2Lずつ飲料し続けた場合の成人の預託実効線量を計算したところ、最大で8.0
Sv y
であった。検出された核種濃度から求めた核種毎の平均値を用いて見積もった平均線量は、0.7
Sv y
であり、この場合の人工放射性核種の寄与は、全体の4%程度であった。
斎藤 公明
no journal, ,
住民の被ばく線量は、事故の影響評価や放射線防護対策を講ずるための基礎データであり、また住民自体が将来の生活を考える上の重要な情報である。被ばく線量の評価方法は個人線量計を用いた測定及び空間線量に基づく推定に大別され、一般に後者の方法は誤差が大きいと考えられている。本発表では両手法の特徴についてまとめるとともに、原子力機構が考案した手法を用いて原子力規制庁が実施している、生活行動経路に沿った詳細な空間線量率測定に基づく現実的な線量評価の内容と結果について紹介しながら、住民線量評価の今後の課題について議論する。
滝本 美咲; 山崎 巧; 高田 千恵; 岡田 和彦; 遠藤 章; 吉澤 道夫; 百瀬 琢麿
no journal, ,
大洗研究開発センター燃料研究棟で事故が発生した2017年6月6日に核燃料サイクル工学研究所の放射線保健室において作業員5名の肺モニタ測定を行った。その結果、Pu及び
Amを最大でそれぞれ2.2
10
Bq、2.2
10
Bq検出したと公表した。しかし、翌日、量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所の実施した肺モニタ測定ではPuの明確なエネルギーピークが確認されず、受け入れ時の体表面汚染検査にて胸部等から
線放出核種が検出されたことから、事故当日の肺モニタ測定結果は体表面汚染の影響を受けていたと考えられる。そこで、この体表面汚染の原因を検討するとともに、事故当日の測定条件及び解析結果から肺モニタ解析結果と体表面汚染との関係を評価した。
吉田 浩子*; 篠原 直秀*; 真辺 健太郎; 桧垣 正吾*
no journal, ,
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故による避難指示を解除し、今後住民の帰還及び居住を進めていくにあたっては、住家内の汚染状況調査及び居住に伴う線量評価が重要である。本研究では、汚染状況調査の結果を基に、ハウスダストや人の活動により再浮遊したエアロゾルの摂取による内部被ばく線量を評価した。その結果、180m以下のハウスダストを20mg/日で1日摂取した場合、及びハタキがけにより再浮遊したエアロゾルを吸入した場合、
Csによる預託実効線量はそれぞれ0.9
Sv及び3.2
Svとなった。また、再浮遊エアロゾルにわずかに含まれる不溶性粒子による線量は確率的に変動するが、その99パーセンタイル値は4.1
Svとなった。本発表では、住家のFDNPPからの距離など、住家の特徴と線量の関係についても報告する。
真辺 健太郎; 高橋 史明
no journal, ,
環境に放出された放射性核種に対する公衆の放射線防護に資するため、外部被ばくと内部被ばくを統合した線量評価システムの開発を進めている。内部被ばくで考慮すべき放射性エアロゾルの吸入摂取では、エアロゾルの粒径, 密度, 形状等により被ばく線量が変化し、特に粒径の影響が大きいことが知られている。しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)が公開している線量係数(単位放射能当たりの預託実効線量)は、粒径が一定の対数正規分布であると仮定して評価されたものである。また、既存のコードは、粒径分布について単一値または対数正規分布しか考慮できず、改訂ヒト呼吸気道モデル(改訂HRTM)における沈着領域区分にも対応していない。そこで、本研究では、環境中の多様なエアロゾル特性を考慮した内部被ばく線量評価を行うことを目的とし、ICRPの沈着モデルを用い、任意の粒径分布, 密度及び形状を考慮可能で、改訂HRTMの領域区分に対応した沈着割合を計算する機能を開発した。本機能は、ICRPによる軽作業時の成人男性に対する沈着割合データを精度よく再現した。今後、本機能を線量評価システムに組み込み、様々な摂取条件に対する内部被ばく線量係数評価を可能とする予定である。
内田 真弘; 前田 剛; 滝本 美咲; 高田 千恵; 辻村 憲雄
no journal, ,
核燃料サイクル工学研究所でこれまで使用されていた個人線量計(TLDバッジ)の生産が終了になり、それに代わる個人線量計の選定が進められている。また、2021年4月から眼の水晶体等価線量限度が引き下げられることを受け、新しい線量限度下での被ばく管理方法の検討を進めている。それらの背景から、本研究では2つの調査を行った。一つは、次期個人線量計候補の適用性の検討のために、減速中性子校正場を用いたエネルギー依存性及び方向依存性の調査を行った。その結果、エネルギー依存性については、当研究所の作業環境場において同等の性能が期待でき、方向依存性については、次期個人線量計候補がTLDバッジに比べて大きくなる結果となった。もう一つは、水晶体の被ばく線量評価方法の検討のために、頭頚部用の線量計と水晶体用線量計DOSIRISを用いた現場着用試験を行った。その結果、両線量計の評価値はよく一致し、頭頚部用の線量計でも十分な水晶体線量評価が可能であることが分かった。なお、評価値が2倍異なる作業者(1名)が散見されたが、作業内容を調査した結果、グローブボックスの下段近くで屈んだ状態で作業するなど特殊な事例であることが確認された。
高橋 史明; 真辺 健太郎; 佐藤 薫
no journal, ,
国内の放射線安全基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)による1990年勧告の主旨を踏まえて制定されている。一方、ICRPは1990年勧告に置き換わる2007年勧告を公開しており、その主旨を反映した国内基準の改正に関する検討も進められている。そこで、ICRPの職業被ばくによる内部被ばく線量評価に関する刊行物であるOIR(Occupational Intakes of Radionuclides)シリーズ等を調査し、今後の内部被ばく防護のための基準値の改正で留意すべき課題などを整理した。ICRPは、2007年勧告に準拠する内部被ばく線量評価のプロセスとして、摂取した核種の放射能に実効線量係数(Sv/Bq)を乗じる手法を引き続き採用した。ただし、OIRシリーズでは、現在の安全基準で考慮されている半減期10分未満の核種に対する実効線量係数は提供されていない。また、OIRシリーズのサブマージョン核種に対する線量評価データは、国内の空気中濃度限度の算定で基礎としたデータとは異なる条件で計算されている。これらのICRPが線量係数を提供しない核種や被ばく状況については、国内で独自にデータ整備を進めること等が課題となる。
高橋 史明
no journal, ,
現在の国内における放射線規制では、国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告の考え方を基本として関係法令等が制定されている。一方、ICRPは1990年勧告に置き換わる2007年勧告を公表しており、国内では新しい勧告を放射線規制へ取り入れる議論も進捗している。また、2007年勧告の考え方に従い、ICRPでは内部被ばく線量評価に用いる国際標準モデルやデータの更新も進めているため、2007年勧告の放射線規制へ取り入れに伴い国内の内部被ばくに関する規制基準値も更新される可能性がある。以上の背景から、本講演では2007年勧告に準拠した最新の線量評価モデルやデータ等について、従来からの変更点を中心に解説する。続いて、原子力規制庁からの受託事業により開発を進めている内部被ばく線量評価コードの概要を報告する。ここでは、2007年勧告に準拠した内部被ばく線量評価に用いる実効線量係数を計算する機能、モニタリング結果に基づく線量評価を行う機能等について、今後の基準値の更新や作業者の被ばく管理における活用策とともに紹介する。
小曽根 健嗣; 小川 理那; 天澤 弘也; 坂井 章浩; 佐藤 義行; 原賀 智子; 亀尾 裕; 仲田 久和
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、日本初の発電用原子炉である動力試験炉(JPDR)の解体により発生した、極低レベル放射性廃棄物のトレンチ処分の実地試験として、廃棄物埋設施設の施設管理を行っている。本施設は、2025年に埋設施設として日本で初めて廃止措置に移行する予定である。本発表では、廃止措置計画を定める前に実施した定期的な評価について報告する。本発表は(1)と(2)の2部構成とし、本報告(1)では、廃棄物埋設地近傍の環境の調査及び監視・測定結果を報告するとともに、最新の技術的知見及び平成25年に施行された新規制基準「第二種廃棄物埋設施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」に基づいた被ばく線量評価を実施するための、廃棄物埋設地及びその周辺で生活する公衆の生活環境の状態設定について報告する。被ばく線量評価結果については(2)で報告する。