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廃炉環境国際共同研究センター; 自然科学研究機構*
JAEA-Review 2022-059, 34 Pages, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和3年度に採択された「中赤外レーザー分光によるトリチウム水連続モニタリング手法の開発」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、中赤外レーザーを用いたキャビティリングダウン計測システムによる「濃度60Bq/ccレベル」トリチウム水短時間計測の原理実証を成果目的とする。令和3年度は、上記目標を達成するため、(1)キャビティリングダウン装置に関する研究、及び(2)環境条件下における水素同位体組成評価と標準試料作製(再委託先: 弘前大学)を行った。(1)においては、中赤外キャビティリングダウン試験を行った。実験室に光学ベンチ(3m1.2m)を設置し、光学ベンチ上に設計した光キャビティを構築した。次に、キャビティリングダウン計測に必須なレーザー光源を開発した。波長4.34
mから4.72
mの範囲に可変可能で、最高出力22mW、ビーム品質M
=1.1のレーザー開発に成功した。(2)においては、標準試料の作製として、複数の試薬会社より市販されている重水標準溶液を利用して水素同位体標準溶液作製を進め、安定同位体である重水試料の準備を行った。また市販の重水試薬を購入し、約100Bq/Lの標準試料作製準備が整った。さらに、屋内外の同位体比計測の測定準備を行った。低バックグラウンド液体シンチレーション計数装置の性能評価を行い、試料量10mLで2,400分計測すると検出下限値は約0.6Bq/Lであることを確認した。これにより一般環境中トリチウム濃度を計測する準備が整った。
永瀬 文久; 大友 隆; 上塚 寛*
Nuclear Technology, 208(3), p.484 - 493, 2022/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)Ag-In-Cd制御棒合金をアルゴンあるいは酸素中、1073-1673Kで60-3600s間加熱し、元素放出挙動を調べた。1123Kと1173Kの間の温度で合金の明らかな液化が起こるが、それ以下の温度では元素放出は少なかった。アルゴン中では、1173Kで3600s後に、1573Kでは60s後にほぼ全てのCdが放出されたが、AgとInの放出割合はそれぞれ3%以下及び8%以下であった。酸素中では、1573K以下でのCd放出は非常に少ないが、1673Kでは短時間に30-50%が放出された。調べた範囲では酸素中のAgとInの放出は少なかった。実験結果との比較から、従来の経験モデルはシビアアクシデント時に制御棒が破損した直後に相当する比較的低い温度範囲でCdの放出を過小評価している可能性がある。
勅使河原 誠; 池田 裕二郎; 大井 元貴; 原田 正英; 高田 弘; 柿白 賢紀*; 野口 学*; 島田 翼*; 清板 恭一*; 村島 大亮*; et al.
Nuclear Materials and Energy (Internet), 14, p.14 - 21, 2018/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)J-PARCの1MWパルス中性子源では、中性子パルスの成形に用いるデカップラとして、異なる共鳴吸収材から構成し、1eVと高い中性子吸収エネルギーを有するAg-In-Cd合金を開発した。このデカップラによりパルス成形された中性子は、粉末解析の実験装置において最高分解能を更新したが、中性子照射によって生成される長半減期の108mAgの放射能が高いため使用済み機器の取扱においては短所であった。そこで、放射能を大幅に減らす代替材としてAuを使用したAu-In-Cd材の開発を行ってきた。しかしながら、実機のモデレータ・反射体に実用化する上で、大型のAu-In-Cd板と構造材のA5083材とをHIP接合し十分な接合強度を得ることが課題であった。本研究では、Au-In-Cd材の表面状態、大型化した熱容量の変化による接合部界面温度に関わる検討を行い、実規模大のHIP接合において、最適接合条件を見つけることができた。この結果、反射体へのAu-In-Cd材の実用化に成功し、中性子性能を損なわず、大幅な放射能低減の見通しを得た。
岩元 大樹; 明午 伸一郎
EPJ Web of Conferences, 153, p.01016_1 - 01016_9, 2017/09
被引用回数:2 パーセンタイル:80.99The impact of different spallation models implemented in the particle transport code PHITS on the shielding design of Transmutation Experimental Facility (TEF) was investigated. For 400-MeV proton incident on a lead-bismuth eutectic target. An effective dose rate at the end of a thick radiation shield (3-m-thick iron and 3-m-thick concrete) calculated by the Lige intranuclear cascade (INC) model version 4.6 (INCL4.6) coupled with the GEM code (INCL4.6/GEM) yields
1.5 times higher than the Bertini INC model (Bertini/GEM). A comparison with experimental data for 500-MeV proton incident on a thick lead target shows that the INCL4.6/GEM is in fairly good agreement with the experiment, which suggest that the prediction accuracy of INCL4.6/GEM would be better than that of Bertini/GEM. In contrast, it is found that the dose rates in beam ducts in front of targets calculated by the INCL4.6/GEM are lower than those by the Bertini/GEM. Since both models underestimate the experimental results for neutron-production double-differential cross sections at 180
for 140-MeV proton incident on carbon, iron, and gold targets, we conclude that it is necessary to allow for a margin of uncertainty caused by the spallation models, which is a factor of two, in estimating the dose rate induced by neutron streaming through a beam duct.
古田 琢哉; 佐藤 達彦; Han, M. C.*; Yeom, Y. S.*; Kim, C. H.*; Brown, J. L.*; Bolch, W. E.*
Physics in Medicine & Biology, 62(12), p.4798 - 4810, 2017/06
被引用回数:10 パーセンタイル:52.72(Engineering, Biomedical)モンテカルロ輸送計算コードPHITSに、ポリゴン体系の一種である四面体メッシュ体系を利用できる機能を導入した。四面体メッシュは自由な形状を記述することに優れており、曲面を含む様々な複雑な体系を記述することができる。また、形式変換をすることでCAD等のソフトウェアを利用した三次元体系の設計も可能となった。本機能の導入に際し、初期段階で四面体メッシュ体系に対する分岐マップを準備し、輸送計算の計算時間を短縮する工夫を加えた。この工夫により、同数のメッシュ数であれば、ボクセルメッシュと同程度の計算時間で、四面体メッシュ体系の輸送計算を可能にした。四面体メッシュでは、異なるサイズおよび形状の四面体を組み合わせることで、より少ないメッシュ数で人体ファントム等の複雑体系を表現できる。人体ファントムに対する線量計算では、四面体メッシュを採用することで、計算時間をボクセルメッシュの計算に比べて4倍短縮できることが分かった。
中島 憲宏; 西田 明美; 川上 義明; 鈴木 喜雄
日本機械学会第24回設計工学・システム部門講演会講演論文集(USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/09
計算科学を用いたアナリシスとして有限要素法を用いた構造解析やシミュレーションが活用され始めて久しい。実現象、特に「ものづくり」における利用条件を想定したなかでの設計対象の構造分析をシミュレーションすることはやさしくない。一層合理的な設計対象の分析を可能とするために、シミュレーショ手続きを動的に管理制御し、創発的方法論に基づく設計対象の構造分析を「京」のような並列計算機を活用して、その考え方を実装した。その結果、適切な解析解の推定を可能とする見通しを得た。
坂元 眞一; 明午 伸一郎; 藤森 寛*; 原田 正英; 今野 力; 春日井 好己; 甲斐 哲也; 三宅 康博*; 池田 裕二郎
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 562(2), p.638 - 641, 2006/06
被引用回数:8 パーセンタイル:51.02(Instruments & Instrumentation)大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設は、強力なプローブとして中性子ビームやミューオンビームを提供する実験施設である。それらの2次ビームは、3GeV陽子ビーム輸送ライン(3NBT)を通して供給される大強度陽子ビームにより生成される。大きなエミッタンスを持つ陽子ビームを非常に低いビーム損失率で輸送するために、ビーム光学やそれを実現する機器の設計を実施した。一方で、3NBTには大きなビームロスがある中間標的も設置される。この串刺し標的方式の実現のために、強い放射線で引き起こされるさまざまな問題の対策を考案し設計に反映した。
中島 邦久; 中園 祥央; 荒井 康夫
Recent Advances in Actinide Science, p.448 - 450, 2006/06
使用済燃料の乾式再処理工程には、Puを回収するためのCd蒸留プロセスがある。この蒸留プロセスのふるまいを理解するために、PuCd+PuCd
及びPuCd
+PuCd
サンプルを調製しクヌーセンセルとを組合せた質量分析計を用いてこれら金属間化合物上のCd(g)の蒸気圧測定を行った。また、得られた平衡蒸気圧からPuCd
及びPuCd
の熱力学的諸量を評価した。
加藤 徹也*; 飯塚 政利*; 井上 正*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Journal of Nuclear Materials, 340(2-3), p.259 - 265, 2005/04
被引用回数:23 パーセンタイル:81.92(Materials Science, Multidisciplinary)溶融塩電解精製で回収した、ウランを2.9wt.%、プルトニウムを8.7wt.%含むウラン-プルトニウム-カドミウム三元合金中のカドミウムを蒸留して、ウラン-プルトニウム二元合金を得た。約10gの三元合金を用い、蒸留は減圧下で行った。1073Kで蒸留した後の回収物中のカドミウム残留量は0.05wt.%未満であり、物質収支もよく一致した。回収物は緻密なウラン-プルトニウム二元合金であることを、SEM観察で確認した。また、蒸発したカドミウムのほぼ全量を回収することができた。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍*; 神谷 富裕
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 219-220, p.1015 - 1021, 2004/06
被引用回数:7 パーセンタイル:45.85(Instruments & Instrumentation)高エネルギーイオンは半導体素子中でエネルギーを失い、高密度の電子-正孔対を生成する。生成された電荷は、半導体素子中の電界によって電極に収集され外部回路へ電流信号として取り出される。電荷が高密度に生成されるとそれ自身によって空間の電位勾配が減じ、電荷の移動度が小さくなることを予測した。このことを確認するために、本研究では、Si pinフォトダイオードに、酸素及び炭素の2種類のイオンを照射し、生成される電子-正孔密度が異なる場合の、空間電荷効果及び移動度の違いを議論する。われわれはこの過程のモデル化を試み、この実験結果と3次元シュミレータ(TCAD)による計算とを比較したので報告する。
白井 理; 魚住 浩一*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Journal of Applied Electrochemistry, 34(3), p.323 - 330, 2004/03
被引用回数:27 パーセンタイル:52.13(Electrochemistry)723, 773及び823Kにおいて、NpClを含むLiCl-KCl共晶溶融塩中での液体Cd及びBi電極上におけるNp
/Npの電極反応をサイクリックボルタンメトリ-により検討した。溶融塩中のNp
濃度が1wt.%以下で、溶融金属相中のNpが飽和していない場合には、Npの析出反応は、溶融塩中のNp
の電極表面への拡散が律速段階となっていた。723, 773あるいは823Kにおける液体Cd電極上でのNp
/Np系の酸化還元電位は、Mo電極でのそれに比べて、それぞれ0.158, 0.140及び0.126V正側の電位であった。これらの電位シフトは、NpCd
(723K)及びNpCd
(773及び823K)形成のためにCd相中のNpの活量が低下したためと考えられる。また、723, 773あるいは823Kにおける液体Bi電極上でのNp
/Np系の酸化還元電位は、Mo電極でのそれに比べて、それぞれ0.427, 0.419及び0.410V正側の電位であった。Np-Cd系と同様に、これらの電位シフトは、NpBi
形成のためにBi相中のNpの活量が低下したためと考えられる。
井口 幸弘*; 兼平 宜紀*; 立花 光夫*; Johnsen, T.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(3), p.367 - 375, 2004/03
新型転換炉ふげん発電所は、2003年に運転を終了し、現在、廃止措置の準備が進んでいる。「ふげん」では、廃止措置のためにエンジニアリング支援システムを、3次元CADや仮想現実(VR)などの最新のソフトウェア技術を用いて開発しており、解体計画の作成に利用している。特に、VR技術による被ばく線量評価システムを開発し、試行した。本支援システムは、放射性廃棄物の定量化,放射能インベントリの可視化,解体工程のシミュレーション,放射線環境下での作業量評価、及び廃止措置の最適化等に用いるものである。また、作業者の教育訓練及び一般の理解を得るのにも有効である。
魚住 浩一*; 飯塚 政利*; 加藤 徹也*; 井上 正*; 白井 理*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Journal of Nuclear Materials, 325(1), p.34 - 43, 2004/02
被引用回数:107 パーセンタイル:98.75(Materials Science, Multidisciplinary)塩中のU/Pu比の異なる条件で液体カドミウム陰極にウラン及びプルトニウムを電気化学的に同時回収する試験を実施した。また、回収されるウラン及びプルトニウムの量に対する塩組成の影響,液体カドミウム陰極中のウラン及びプルトニウムの形態,アメリシウムの挙動を調べた。高い電流効率でウラン及びプルトニウムを10重量%を超えて成功裏に同時回収するためには、塩中のU/Pu比にしきい値が存在することが判明した。
加藤 徹也*; 魚住 浩一*; 井上 正*; 白井 理*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Proceedings of GLOBAL2003 Atoms for Prosperity; Updating Eisenhower's Global Vision for Nuclear Energy (CD-ROM), p.1591 - 1595, 2003/11
液体カドミウム陰極中にプルトニウム及びウランを高電流密度で回収する溶融塩電解試験を実施した。陰極電流密度101mA/cmの電解では、陰極中に10.4wt.%のプルトニウム及びウランをほぼ100%の電流効率で回収できた。陰極電流密度156mA/cm
の電解では、8wt.%まで回収したところで陰極電流が上昇し、るつぼの外周部に電析物が観察された。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 神谷 富裕
Proceedings of 3rd IEEE/LEOS International Conference on Numerical Simulation of Semiconductor Optoelectronic Devices (NUSOD '03), 2 Pages, 2003/10
放射線環境場での高速通信及び光通信用光デバイスにおける重大な問題は、宇宙環境に存在する高エネルギー粒子によって生じる放射線損傷である。この影響を調べるために電子線加速器と重イオンマイクロビームを用いた照射実験を行った。実験では、評価試料であるシリコンP-I-N光デバイスに電子線を約1E15/cm照射し照射損傷を導入したうえで、重イオンマイクロビームを照射し発生するシングルイベント過渡電流を測定した。なお過渡電流の測定は照射中の温度を300
175Kまで変化させTIBICにて行った。その結果、イオン入射に伴う欠陥の増加により増幅率が減少することがわかり、さらにこの減少が周波数帯域の低下にも影響を及ぼすことを見いだした。さらに欠陥の回復と照射中の温度との関係を調べた結果、回復率は、照射中の温度が高温照射でなく低音照射時に顕著であることがわかりその原因をTCADを用いたシミュレーションにより検証した。本ワークショップではこれらの結果について発表し、議論する。
香西 直文; 大貫 敏彦; Komarneni, S.*; 神谷 富裕; 酒井 卓郎; 及川 将一*; 佐藤 隆博
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210, p.513 - 518, 2003/09
被引用回数:8 パーセンタイル:50.67(Instruments & Instrumentation)重金属イオンに対する吸着性が高い2つの材料、Na-4マイカと呼ばれる合成雲母とアパタイトによる溶液からのカドミウム除去特性について検討した。溶液のカドミウム初期濃度110
M、初期pH3の条件でのNa-4マイカへの分配係数は8.4
10
ml/gであり、アパタイトへの分配係数は8.2
10
ml/gより一桁高かった。同じ条件で、Na-4マイカとアパタイトの等量混合試料をカドミウム溶液に接触させた後、固相の一部をグラファイト板に塗布し、マイクロPIXEによる2次元元素分析を行った。その結果、カドミウムはアパタイトにのみ認められ、Na-4マイカには認められなかった。本結果は、上述の分配係数から予測される結果と一致しないが、2つの試料へのカドミウムの吸着速度の違い及び吸着の不可逆性の観点から説明できる。
Li, J.; 岸本 泰明
Physical Review Letters, 89(11), p.115002_1 - 115002_4, 2002/09
被引用回数:31 パーセンタイル:77.74(Physics, Multidisciplinary)微視的な帯状流と巨視的乱流間の相互作用に関して議論されている。鍵となる物理機構は半径方向のモード間結合として同定された。揺らぎのエネルギーは不安定な長波長領域から安定もしくは減衰する短波長モード領域に非局所的に輸送される。その結果、乱流スペクトルは大きく変形を受けるとともに非線形のパワー則から変位する。三次元のジャイロ流体イオン温度勾配モードシミュレーションを実施し、間欠的もしくはバースト的なイオン輸送挙動が観測され、トカマクプラズマにおけるITG生成帯状流に関係したスペクトル変形に関係していることが示された。
白井 理; 魚住 浩一*; 岩井 孝; 荒井 康夫
Analytical Sciences (CD-ROM), 17(Suppl.), p.959 - 962, 2002/03
723~823KのLiCL-KCl系における液体Cd及びBi電極上でのU/Uの電極反応をサイクリックボルタンメトリー,超電力測定及びクロノポテンショメトリーによって調べた。U析出反応では、塩中でのU
の拡散が律速過程であった。しかし、U溶解反応は陽極波がブロードになることから若干遅いことがわかった。723~823Kでは、液体Cd上でのU
/Uの酸化還元電位は、Mo電極上でのそれに比べて0.1V正側で現れた。これは、Cd相中でUCd
が生成してUの活量が低下したためと考えられる。他方、LiCl-KCl系における液体Bi電極上でのU
/Uの酸化還元電位は、0.3V正側でMo電極上でのそれに比べると現れた。このことは、Cd電極の場合と同様に、Bi中でUBi
が生成することによるUの活量低下で説明できた。
岩瀬 彰宏
まてりあ, 41(1), p.20 - 27, 2002/01
合金を高エネルギー粒子照射したときに生ずる溶質原子の析出(照射誘起析出)を支配する自由拡散欠陥(FMD)の生成効率を、Heイオン・重イオン2重ビーム照射下において評価した。その結果、重イオンを同時照射したときのFMD生成効率は、Heイオン単独照射時に比べ、大きく減少した。これは、重イオン照射によって生成されたカスケード損傷が、FMDに対して有効な再結合サイトとして作用したことを意味する。
Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 森 英喜; 伊藤 久義
Proceedings of 6th European Conference on Radiation and its Effects on Components and System (RADECS 2001) (CD-ROM), 7 Pages, 2002/00
15MeV酸素イオンによりシリコンエピpn接合ダイオードに誘起される過渡電流の観測を80Kから300Kの温度範囲で行った。照射時温度80Kでは300K(室温)と比較した場合、過渡電流波形のピーク高さは約2.5倍,立下り時間は約1ns短くなっていることがわかった。一方、収集電荷量は温度によらずほぼ一定である結果が得られた。また、TCADシュミレーションにわれわれ独自の温度効果モデルを取り入れることで実験で得られた過渡電流の温度依存性を再現できることが確認できた。