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谷口 良徳; Luu, V. N.; 田崎 雄大; 宇田川 豊; 勝山 仁哉
Annals of Nuclear Energy, 231, p.112177_1 - 112177_16, 2026/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)Advanced technology fuels (ATF) with improved oxidation resistance are under development to enhance the safety of light water reactors. Cr-coated Zr alloy cladding, a promising near-term ATF, exhibits excellent oxidation resistance below the Cr-Zr eutectic temperature. However, its gradual loss of protective effect over time, even without mechanical damage, indicates the need to understand its degradation mechanisms. This article presents a phenomenological model describing degradation due to high-temperature oxidation, focusing on Zr ingress into the Cr coating and the formation of oxygen pathways that accelerate oxygen uptake into the Zr matrix. The model was validated against experimental data at 1200
C and 1300
C, reproducing key trends such as oxide growth, weight gain, and oxygen concentration profiles. Applying the same parameters to a different PVD-coated cladding test gave reasonable agreement at 1200
C, while discrepancies at 1300
C suggest Cr-Zr eutectic reactions from local temperature variations, highlighting the model's sensitivity near the eutectic point.
中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 大野 宏和; 尾崎 裕介; 望月 陽人; 武田 匡樹; 木村 駿
JAEA-Research 2025-016, 141 Pages, 2026/03
幌延深地層研究計画は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」および「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。2020年度からは、北海道および幌延町により受け入れられた、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した令和2年度以降の必須の課題である、(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証について、第3期および第4期中長期目標期間を目途に取り組むこととしている。本報告書では、上記の令和2年度以降の必須の課題のうち、2020年度から2024年度までに所期の目標を達成した課題について調査研究の成果を取りまとめた。今後これらの課題で得られた成果については、2024年度から実施している、「坑道スケール
ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化」において、坑道やピットの配置に係る考え方、人工バリア材料などの設置方法、それらの閉じ込め性能を評価する手法の体系的な整理に反映していく。
寺澤 知潮; 勝部 大樹*; 矢野 雅大; 小澤 孝拓*; 津田 泰孝; 吉越 章隆; 朝岡 秀人; 鈴木 誠也
Chemistry of Materials, 38(6), p.2933 - 2945, 2026/03
被引用回数:0Germanene, a honeycomb lattice of Ge atoms, has attracted attention for next-generation electronics and as a topological material. Among reported synthesis routes, the segregation method enables reproducible monolayer germanene formation on Ag(111) through simply annealing an Ag(111) thin film on a Ge(111) substrate. Despite this success, the physical origins of its monolayer selectivity and the mechanism for suppressing competing Ge phases remain unclear. Here, we investigate germanene formation via Ge segregation using in situ Raman spectroscopy and X-ray photoelectron spectroscopy to directly track Ge behavior during annealing and cooling. In situ observations revealed that annealing at 500
C yielded no Ge-related byproducts, and the system reached a high-temperature surface equilibrium state, independent of the initial Ge amount. Cooling from this state produced a Ge-enriched surface that stabilizes the formation of monolayer germanene. In contrast, heating only to 300
C produced three-dimensional Ge islands without Ge-enrichment, followed by Ge-Ag alloy formation upon subsequent cooling. By integrating the temperature-dependent diffusion length and the process-dependent diffusion direction, we established a unified description of Ge behavior on Ag/Ge(111) substrates, in which cooling-induced Ge-enrichment at the surface reproducibly stabilizes the selective formation of monolayer germanene.
河津 諒平
JAEA-Technology 2025-014, 48 Pages, 2026/02
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という。)では、日本における原子力の総合研究開発機関として原子力に係わる様々な分野の研究開発を行っており、これらの研究開発の多くにおいて計算科学技術が活用されている。原子力機構のスーパーコンピュータシステムHPE SGI8600(以下、「大型計算機システム」という。)はデジタルツイン、機械学習、ビックデータ処理等の技術進展を背景に高まっている計算需要に応える重要インフラとして令和2年12月に導入したものであり、原子力機構の研究開発の推進において欠くことのできないものとなっている。大型計算機システムにおけるプログラムの実行タスク(以下、「ジョブ運用」という。)を効率化することは、計算資源の効率的な利用、すなわち、研究開発の効率化において有用である。ジョブ運用の効率化に向け、プログラム実行の待機時間(以下、「ジョブ待機時間」という。)を調査することにより、運用開始段階では分かれていたジョブの実行リストを管理するクラス(以下、「キュークラス」という。)の統合を行えばジョブ待機時間が改善され、運用が効率化されると推定された。そのことから、キュークラスの統合を令和4年度より施行することとした。本報告書では、ジョブ運用の効率化のために行った大型計算機システムの利用情報の分析からキュークラス統合までの流れ、キュークラス統合前後のジョブ待機時間の変化について報告する。
Cho, K.*; 山下 葵平*; 角谷 心之輔*; 齊藤 拓馬*; 佐々木 泰祐*; 澤泉 克彦*; 奥川 将行*; 小泉 雄一郎*; 眞山 剛*; 菊川 泰地*; et al.
Acta Materialia, 303, p.121696_1 - 121696_18, 2026/01
被引用回数:3 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)The deformation behavior and strengthening mechanism of Inconel 718 with a hierarchical structure composed of microscale crystallographic lamellar microstructure (CLM) and nanoscale cellular structure, fabricated by laser powder bed fusion, were clarified via nanoscale microstructural and in-situ neutron diffraction analyses. The CLM is a layered structure parallel to the building direction (BD) and consists of relatively wide main and narrow sub-layers with
110
and
100
orientations, respectively, with respect to BD. This is the first study to demonstrate that the yield stress of the alloys depends strongly on deformation stresses of the sub-layers, even though Schmid factors of the primary slip system for both layers are the same. The sub-layer continues to deform elastically even beyond the micro-yield point of the main layer, which results in the macroscopic strengthening at an early stage of deformation. On the other hand, the cellular structure is formed in both layers, associated with a dendritic cell growth along
100
direction, Nb segregation between the cells and an accumulation of dislocations to decrease a residual stress. The cell boundaries with numerous dislocations and Nb segregation act as a strong barrier to dislocation motion resulting in a stress increase through the Hall-Petch law, even though they are low-angle grain boundaries. The spacing and morphology of the cell boundary depend strongly on fabrication conditions. The optimized cellular structure provides significant strengthening comparable to or greater than that caused by large-angle grain boundaries, thereby increasing the macroscopic strength of the alloys through hardening of the sub-layer.
中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 深津 勇太; 望月 陽人; 尾崎 裕介; et al.
JAEA-Review 2025-042, 136 Pages, 2025/12
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を継続し、東立坑および換気立坑が深度500mまでの掘削を完了するとともに、西立坑および500m調査坑道の掘削を開始した。令和6年度末現在の掘削進捗は、東立坑および換気立坑が深度500m、西立坑が深度472m、500m調査坑道が112.9mである。幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、令和6年6月には合同タスク会合を幌延深地層研究センター国際交流施設にて開催し、坑道の整備状況や試験の準備状況について確認した。また、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行った。HIPは令和4年度後半から令和6年度までをフェーズ1、令和7年度から令和10年度までをフェーズ2に分けて実施することとしており、令和6年度はフェーズ1の研究成果を取りまとめた。
廃炉環境国際共同研究センター; 北海道大学*
JAEA-Review 2025-037, 103 Pages, 2025/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和5年度に採択された研究課題のうち、「放射性コンクリート廃棄物の減容を考慮した合理的処理・処分方法の検討」の令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、解体に伴い大量の発生が見込まれる放射性コンクリート廃棄物に着目し、減容・減量化策の現場適用について、コンクリート廃棄物の特性評価に基づき、典型的な再資源化処理工程を想定したうえでその課題を検討し、再資源化を含む合理的な処理・処分方法を検討・評価する。令和5年度には、放射性核種およびイオンの移行挙動への遷移帯の寄与を解明することを目的とし、セメント系試料中の
Csの拡散試験、遷移帯を有する試料中のイオンの移動、Caの溶脱試験を実施した。また、遷移帯を含む核種移行モデルを構築するため、界面を挟む2つの媒体の拡散特性を考慮した確率分布をモデル化し、このサンプリング手法をランダムウォーク粒子追跡法の濃度計算に実装した。再資源化・再利用に向けた処理方法の検討として、非放射性Cs水溶液に浸漬した模擬汚染コンクリートを調製し、その特性を評価した他、骨材分離試験および熱分析試験の環境整備を行った。再資源化物の性状評価としては、模擬汚染骨材およびそれを利用した模擬再生コンクリートを調製し、模擬汚染骨材からイオン交換水や被覆したセメントペースト、再生コンクリートへのイオンの移行挙動を確認した。さらに、骨材分離の際に発生する模擬セメント微粉を用いて異なる配合の模擬廃棄体を調製し、力学あるいは化学特性を取得するとともに放射性核種の浸出挙動に関する試験を開始した。これらの結果を基に、再利用・再資源化を含む放射性コンクリート廃棄物管理シナリオを評価するため、コンクリート汚染状況に関する知見を収集、整理するとともに再利用・再資源化に伴う物量を推計するためのツールを整備した。
青柳 和平; 田村 友識; 尾崎 裕介; 石井 英一; 本島 貴之*; 菅原 健太郎*
第51回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集(インターネット), p.119 - 124, 2025/12
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、処分場設計や施工時の坑道や処分孔の掘削可否の判断根拠として、坑道掘削時に生じる掘削損傷領域(EDZ)の発達状況を把握することが重要である。本研究では、幌延深地層研究センターで現在掘削中の深度500mの双設坑道を対象として、三次元で掘削の進捗を再現した水理・力学連成解析によりEDZの発達と吹付けコンクリートに作用する応力や坑道の変位を予測した。結果として、EDZは坑道側壁面において約1.5
2.0mの範囲で発達すると予測した。また、吹付けコンクリートに作用する応力は、設計規準強度より計算される終局限界よりも小さく、変位も小さいことから、支保の安定性も見込めることを予測した。
渡辺 夏帆; 西山 裕; 角田 正勝*; 早坂 寿郎*
JAEA-Testing 2025-003, 52 Pages, 2025/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)福島廃炉安全工学研究所安全管理部遠隔機材運用課(以下「運用課」という。)は、JAEA内の原子力緊急事態に対応するための支援組織(原子力緊急事態支援組織)を運営している。運用課の重要な業務に遠隔機材の整備運用があり、令和4年度及び令和5年度に調達した四足歩行ロボット(Spot)も当該の遠隔機材に位置付けている。本報告書は、四足歩行ロボット(Spot)の遠隔操縦操作を、運用課において原子力緊急事態支援組織として活動を行うために必要な操作に着目し、マニュアルとして定めたものを報告するものである。
渡辺 夏帆; 西山 裕; 今橋 正樹; 田口 祐司; 飯塚 由伸; 大内 卓哉; 井上 修一; 小澤 太教; 根本 隆弘; 菅谷 孝; et al.
JAEA-Testing 2025-001, 56 Pages, 2025/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)福島廃炉安全工学研究所安全管理部遠隔機材運用課(旧:楢葉遠隔技術開発センター(Naraha Center for Remote Control Technology Development (NARREC))遠隔機材整備運用課)(以下「運用課」という。)所管の原子力緊急事態支援組織は、JAEA各拠点の防災業務計画に定められた遠隔機材を発災時に備え管理している。当該防災業務計画の対象は、原子力科学研究所のJRR-3 (Japan Research Reactor-3)、核燃料サイクル工学研究所の再処理施設、大洗原子力工学研究所の材料試験炉JMTR (Japan Materials Testing Reactor)、高温工学試験研究炉HTTR (High Temperature Engineering Test Reactor)及び高速実験炉常陽、高速増殖原型炉もんじゅ及び新型転換炉原型炉ふげんの7施設である。運用課は、令和3年度に当該7施設の想定発災事象・現場及び走行ルートの調査を行った。その結果、特定の現場において、現有のクローラタイプの走行ロボットの使用よりも操作要員の被ばくを低減できると判断し、令和4年度に四足歩行ロボットSpotを調達した。そして令和5年度に、当該各走行ルートにおいて、映像確認、階段走行等、Spotの機能が問題なく実行できるか、確認を行った。本報告書は、現地において令和5年度に確認試験を実施した6施設(JRR-3、JMTR、HTTR、常陽、もんじゅ及びふげん)について、その走行機能確認の結果を示したものである。
川崎 信史
JAEA-Review 2025-043, 74 Pages, 2025/10
ロシアは、民生分野における核エネルギー利用において、世界の最先端を行く先進国であるが、その内情の把握は、種々の理由により難しいものとなっている。そこで、ロシアの核エネルギー利用、核燃料供給、燃料製造能力、再処理・燃料サイクルの考え方について、その意図と成果に関する歴史的な整理を行い、そこから得られる知見を抽出した。また、本知見から見えてくる戦略を、「開発・実証の戦略的多様性と連続性」及び「技術活用・展開方法の多様性」として整理し、日本にとっての示唆も含めて以下のように考察した。ロシアの核エネルギー政策は、多様な原子炉型式と燃料サイクル技術を戦略的に活用し、国内外での原子力発電の拡大を目指すものである。現在、軽水炉(VVERシリーズ)を中心に、原子力発電は国内の電力発電量の約20%を占めており、2045年までにこれを25%に引き上げる計画が進められている。ロシアでは、大型炉から中型・小型モジュール炉まで、さまざまなタイプの原子炉の建設が進められており、高速炉技術の開発や、使用済み燃料の再処理・リサイクルにも注力している。国際的には、VVER-1200などの原子炉を複数の国で建設中であり、高速炉分野では中国との協力も深まっている。特筆すべき点は、ロシアが原子炉の導入から燃料の供給、再処理、廃棄物管理、さらには放射性同位体(RI)の提供に至るまで、これらすべてを一体的、あるいは部分的に選択可能な技術サービスとして、国際的に提供している点である。単なる製品の輸出や技術の供与にとどまらず、相手国の状況やニーズに応じた柔軟な対応を通じて、持続的な関係の構築と信頼の醸成を図っている。このような国際展開を可能にするために、ロシア国内では将来的に海外での展開が見込まれる分野において先行的に技術開発を進め、対象となる技術やサービスを選定し、計画的に展開を図っている。このような「技術の多様性」と「戦略の一体性」を兼ね備えた柔軟な展開は、さまざまな地政学的背景を持つ国々との協力を可能にしており、日本にとっても、単に技術を輸出するのではなく、燃料サイクル全体を見据えた包括的な国際協力のあり方や、高速炉やRI供給などを組み合わせた多角的なアプローチとして参考になる。
中山 雅; 石井 英一; 早野 明; 青柳 和平; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 望月 陽人; 尾崎 裕介; 木村 駿; et al.
JAEA-Review 2025-027, 80 Pages, 2025/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和7年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」について、引き続き調査研究を行う。令和7年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や原位置試験を対象とした解析検討の準備を行う。「処分概念オプションの実証」では、坑道スケール
ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、坑道スケール
ピットスケールにおける閉じ込め性能の評価手法の整理を行う。500m調査坑道において先行ボーリング調査を行い、岩石の強度や岩盤の透水性などのデータを取得するとともに、トモグラフィ調査による試験坑道周辺の掘削損傷領域の広がりに関するデータを取得する。埋め戻し材や止水プラグの施工については、原位置施工試験に向けた計画検討を進める。深度500mの坑道掘削に伴う湧水量を観測するとともに、解析において予測された湧水量の範囲に収まるかどうかを確認する。500m調査坑道で施工予定のピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて原位置における掘削損傷領域の把握のための試験計画を検討する。また、割れ目からの湧水量やピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて調査・評価手法の整理を進める。地下施設の建設・維持管理では、令和6年度に引き続き西立坑と500m調査坑道の掘削を行い、令和7年度末に施設整備を完了する予定である。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA:物質移行試験、タスクB:処分技術の実証と体系化、タスクC:実規模の人工バリアシステム解体試験)について調査研究を継続する。
廃炉環境国際共同研究センター; 福井大学*
JAEA-Review 2025-007, 120 Pages, 2025/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「燃料デブリ周辺物質の分析結果に基づく模擬デブリの合成による実機デブリ形成メカニズムの解明と事故進展解析結果の検証によるデブリ特性データベースの高度化」の令和3年度から令和5年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究では、酸化物デブリの形成条件の推定研究として、ガス浮遊法や微小な穴を持つタングステンパイプから溶融・噴出させる方法によりウランを含有する模擬燃料粒子を合成し、その生成条件と性状をまとめた。また、JAEAによりサンプリングデータに基づき作成された凝固パス図を再現し、鉄の挙動が熱力学予測と少し異なる結果などを得た。金属デブリの混合・溶融・凝固状態の評価では、溶融させた金属デブリのステンレスへの落下試験や溶融ステンレスの模擬金属デブリへの落下試験を行いその生成物を分析した。その結果ステンレス鋼温度が1000
C程度の場合は溶融金属のZr濃度に関わらず薄い反応相を形成してステンレス鋼損傷が抑制されることがわかり、またB
C及びジルカロイのステンレス鋼融体への溶出速度を定量化した。さらに、ステンレス鋼とZrの混合物の各種圧力容器部材や溶接部材との反応速度データを拡充し、大型試験体系での解析可能な簡素化反応速度式を提案した。また、圧力容器下部の材質を参照した大型試験体の実験と反応速度式より、溶融金属と圧力容器構造材との反応による圧力容器下部破損挙動や溶融物流出挙動を評価した。さらに、圧力容器下部におけるデブリ再溶融過程でのウラン化合物とステンレス鋼等の金属物質の反応試験データを拡充し、金属デブリ層へのウラン移行挙動を評価した。また、試験技術の整備として、二酸化ウランとZrと金属との半溶融模擬デブリの合成と分析、CCIM炉とガス浮遊炉を用いた少量のウランの模擬燃料デブリ合成試験の検討を行った。
伊東 達矢; 小川 祐平*; Gong, W.; Mao, W.*; 川崎 卓郎; 岡田 和歩*; 柴田 曉伸*; Harjo, S.
波紋, 35(3), p.129 - 133, 2025/08
Recent studies have shown that the addition of hydrogen to SUS310S stainless steel (Fe-24Cr-19Ni, mass%) simultaneously enhances both strength and ductility, indicating a phenomenon contrary to the conventional understanding of hydrogen embrittlement. In this study, we investigated the underlying mechanism through
neutron diffraction experiments during tensile deformation using TAKUMI at the MLF of J-PARC. The results revealed that solid-solution strengthening by hydrogen plays the most significant role in improving the mechanical properties. Solute hydrogen atoms distort the lattice to suppress dislocation motion, thereby increasing the strength. The raised stress in the hydrogen charged sample enables the onset of deformation twinning at a smaller strain compared to the non-hydrogen charged sample. Consequently, the twinning-induced plasticity effect contributes more significantly to work hardening and the improvement of uniform elongation due to the solid-solution strengthening by hydrogen. These findings suggest a new pathway for the effective utilization of hydrogen in austenitic steels.
杉田 裕; 大野 宏和; Beese, S.*; Pan, P.*; Kim, M.*; Lee, C.*; Jove-Colon, C.*; Lopez, C. M.*; Liang, S.-Y.*
Geomechanics for Energy and the Environment, 42, p.100668_1 - 100668_21, 2025/06
被引用回数:3 パーセンタイル:72.90(Energy & Fuels)国際共同プロジェクトDECOVALEX-2023は、数値解析を使用してベントナイト系人工バリアの熱-水-応力(または熱-水)相互作用を研究するためのタスクDとして、幌延人工バリア性能確認試験を対象とした。このタスクは、モデル化のために、1つの実物大の原位置試験と、補完的な4つの室内試験が選択された。幌延人工バリア性能確認試験は、人工的な地下水注入と組み合わせた温度制御非等温の試験であり、加熱フェーズと冷却フェーズで構成されている。6つの研究チームが、さまざまなコンピューターコード、定式化、構成法則を使用して、熱-水-応力または熱-水(研究チームのアプローチによって異なる)数値解析を実行した。
Birkholzer, J. T.*; Graupner, B. J.*; Harrington, J.*; Jayne, R.*; Kolditz, O.*; Kuhlman, K. L.*; LaForce, T.*; Leone, R. C.*; Mariner, P. E.*; McDermott, C.*; et al.
Geomechanics for Energy and the Environment, 42, p.100685_1 - 100685_17, 2025/06
被引用回数:5 パーセンタイル:89.38(Energy & Fuels)The DECOVALEX initiative is an international research collaboration (www.decovalex.org), initiated in 1992, for advancing the understanding and modeling of coupled thermo-hydro-mechanical-chemical (THMC) processes in geological systems. DECOVALEX stands for "DEvelopment of COupled Models and VALidation against EXperiments". DECOVALEX emphasizes joint analysis and comparative modeling of the complex perturbations and coupled processes in geologic repositories and how these impact long-term performance predictions. More than fifty research teams associated with 17 international DECOVALEX partner organizations participated in the comparative evaluation of eight modeling tasks covering a wide range of spatial and temporal scales, geological formations, and coupled processes. This Virtual Special Issue on DECOVALEX-2023 provides an in-depth overview of these collaborative research efforts and how these have advanced the state-of-the-art of understanding and modeling coupled THMC processes. While primarily focused on radioactive waste, much of the work included here has wider application to many geoengineering topics.
金田 結依; 小林 徹; 辻 卓也; 本田 充紀; 横山 啓一; 万福 裕蔵*; 矢板 毅*
Clays and Clay Minerals, 73, p.e26_1 - e26_8, 2025/04
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)福島の土壌に豊富に含まれる粘土鉱物である風化黒雲母(WB)に収着した安定セシウム(Cs)の脱着挙動を、ボールの衝突による物理的粉砕と化学反応を促進する湿式プロセスを組み合わせたメカノケミカル(MC)法を用いて調査した。その結果、シュウ酸溶液を用いた場合、粘土鉱物の層状構造に大きな影響を与えることなく、ある程度Csを脱着した。一方、塩化アンモニウム溶液では層状構造の剥離が確認され、安定的なCsの脱着をもたらした。福島で採取された実土壌試料においては、塩化アンモニウム溶液を用いたMC法により
Csの80%が脱着された。対照的に、シュウ酸溶液ではすべての試料で放射性Csを十分に脱着できるとは限らなかった。これらの結果から、塩化アンモニウム溶液を用いたMC法は、層状構造の剥離と化学的相互作用による相乗効果によって、粘土鉱物の層間から放射性Csの脱着を効果的に促進することが示唆された。
Kim, M.*; Lee, C.*; 杉田 裕; Kim, J.-S.*; Jeon, M.-K.*
Geomechanics for Energy and the Environment, 41, p.100628_1 - 100628_9, 2025/03
被引用回数:1 パーセンタイル:51.47(Energy & Fuels)この研究では、DECOVALEX-2023プロジェクトの一環として幌延の地下研究施設で実施された実規模大の人工バリア試験の数値解析を使用して、非等温二相流のモデリングに対する主要変数の選択の影響を調査した。検証済みの数値モデルを使用して、人工バリアシステム内の不均質多孔質媒体の熱-水連成挙動を解析した。支配方程式を離散化する際の2つの異なる主要変数スキームを比較したところ、結果に大きな違いがあることが明らかになった。
中山 雅
JAEA-Review 2024-042, 111 Pages, 2024/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を再開し、350m調査坑道に新たに3本の坑道を掘削するとともに、東立坑および換気立坑の掘削を実施した。令和5年度末現在、350m調査坑道の拡張(坑道延長66m)を終了し、立坑の掘削深度は、東立坑で深度424m、換気立坑で深度393mである。また、令和5年2月から開始した幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行い、原位置試験や解析などの実施計画を検討するとともに、研究の進捗状況について確認、議論を行った。令和5年度末現在、原子力機構を含め、8つの国と地域から11の組織が参加している。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
neutron diffractionNaeem, M.*; Ma, Y.*; Knowles, A. J.*; Gong, W.; Harjo, S.; Wang, X.-L.*; Romero Resendiz, L.*; 他6名*
Materials Science & Engineering A, 916, p.147374_1 - 147374_8, 2024/11
被引用回数:5 パーセンタイル:56.55(Nanoscience & Nanotechnology)Heterostructured materials (HSMs) improve the strength-ductility trade-off of alloys, but their cryogenic performance under real-time deformation is unclear. We studied heterostructured CrCoNi medium-entropy alloy via
neutron diffraction at 77 K and 293 K. A significant mechanical mismatch between fine and coarse grains led to an exceptional yield strength of 918 MPa at 293 K, increasing to 1244 MPa at 77 K with a uniform elongation of 34%. This strength-ductility synergy at 77 K is attributed to high dislocation pile-up density, increased planar faults, and martensitic transformation. Compared to homogeneous alloys, HSMs show promise for enhancing cryogenic mechanical performance in medium-/high-entropy alloys.