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報告書

政策策定における心理学的アプローチの活用の可能性; NIMBY施設のサイト選定を例として

大澤 英昭; 大沼 進*

JAEA-Review 2026-025, 102 Pages, 2026/09

JAEA-Review-2026-025.pdf:6.77MB
JAEA-Review-2026-025-appendix(CD-ROM).zip:0.39MB

昨今、人の心理学的側面を考慮した行動経済学や行動科学の発展を契機に、政策策定において人の心理学的な"癖"を考慮する試行が行われている。さらに、社会の正義やモラルを考慮し、人の心理学的側面を政策策定やその社会的受容にどのように役立たせることができるのかといった検討も開始されている。本稿では、このような状況を踏まえ、いわゆるNIMBY 施設である、高レベル放射性廃棄物の地層処分施設のサイト選定を例に、社会における分配のあり方について、仮想シナリオ実験およびゲーミングといった心理学的アプローチを試み、政策策定やその社会的受容における心理学的アプローチの活用の可能性を検討する。

報告書

幌延深地層研究計画 令和8年度調査研究計画

中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 村上 裕晃; 大野 宏和; 尾崎 裕介; 望月 陽人; 岩井 亮; 加藤 祥成; et al.

JAEA-Review 2026-023, 64 Pages, 2026/08

JAEA-Review-2026-023.pdf:6.33MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和8年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」について、引き続き調査研究を行う。令和8年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験の解体試験を実施する。「処分概念オプションの実証」では、坑道スケール~ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、坑道スケール~ピットスケールにおける閉じ込め性能の評価を目的に250m調査坑道周辺の割れ目および500m調査坑道の掘削損傷領域(以下、EDZ)を対象としたトレーサー試験を実施する。500m調査坑道の底盤から鉛直ボーリング孔を掘削し、EDZの広がりおよび湧水量を把握した上で、試験ピットの掘削地点を選定する。ピット周辺のEDZの範囲を評価するための解析手法と支保設計への反映方法に関して、試験ピット掘削時のEDZの広がりを計測する計画を立案する。350m調査坑道で実施した水圧擾乱試験の結果に基づき、既存の割れ目や断層のずれにくさの検討を進める。また、上記の課題を進めるに当たって必要となるデータ取得を継続するとともに、地下施設の設備の運転監視や保守点検などを実施する。国内外の大学、研究機関との研究協力を継続するとともに、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA: 物質移行試験、タスクB: 処分技術の実証と体系化、タスクC: 実規模の人工バリアシステム解体試験)について調査研究を継続する。

論文

Development of new filter device removing a fine particle in high level liquid waste

高畠 容子; 後藤 一郎*; 渡部 創; 中村 雅弘; 佐野 雄一

Proceedings of International Conference on GLOBAL 2026 (Internet), p.722 - 731, 2026/08

The new filter device filled with porous silica beads treating fine particles generated in high level liquid waste (HLLW) is being developed to avoid clogging the column of minor actinide (MA) recovery. In this study, for drawing conceptual design and calculating lifetime of the device, some tests were conducted. The 108$$mu$$m porous silica beads are a better filter material for the new filter device. Lifetime of the filter material is extended by supplying HLLW slowly. To decide procedure of filling and discharging of filter material, several tests were conducted on a semi actual scale device. The optimal discharge condition is 1.7 mL/min flow rate with a 20-second stop after 20 seconds of operation. The procedure was done with low variation, and weight monitoring for removal of porous silica particles bed was available. By results of the tests, 7,208,348 L of HLLW is processed by one new filter device, and lifetime of the device is approximately 1,200 days.

論文

Neutron capture cross-section measurements at TC-Pn in KUR for tungsten among nuclides in decommissioning

中村 詔司; 芝原 雄司*; 木村 敦; 遠藤 駿典; Rovira Leveroni, G.

KURNS Progress Report 2025, P. 101, 2026/06

本研究は、生成放射能を評価するために、廃止措置で問題となる核種について熱中性子捕獲断面積を測定するものである。本件では、対象核種の中から$$^{186}$$Wを選定し、京大原子炉にて放射化法によりその熱中性子捕獲断面積を測定した。今回、結果の再現性を確認するために2回の断面積測定を行い、$$^{186}$$W(n,$$gamma$$) $$^{187}$$W反応について43.5$$pm$$1.2 barns、43.1$$pm$$1.3 barnsを得た。従来の評価値38.1$$pm$$0.5 barnsは、1.4%ほど過小評価されている可能性がある。得られた断面積の結果の確かさを検証するために、Wを中性子束モニタとして使用した照射実験を1回実施した。今回得られた断面積の結果は、AuやCoモニタで求められる中性子束の結果と整合性のある中性子束を与えることを確認できた。

報告書

OSCAAR version 2.0のユーザーマニュアル

原子力安全・防災研究所 安全研究センター リスク評価・防災研究グループ

JAEA-Testing 2025-007, 110 Pages, 2026/03

JAEA-Testing-2025-007.pdf:2.57MB

日本原子力研究開発機構安全研究センターでは、原子力発電所事故の確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment)研究の一環として、レベル3PRAコードOSCAARの開発を行っている。OSCAARはレベル2PRAで得られたソースタームを基に、環境中に放出された放射性物質の移流、拡散、沈着を様々な気象条件に対して評価し、これらの放射性物質によって公衆が受ける被ばく線量および健康影響を確率論的に評価することができる計算コードである。OSCAARでは、実際の原子力発電所事故時に実施される防護措置による被ばく線量低減効果を考慮することができ、原子力発電所周辺住民の事故時の被ばくを低減するための対策や計画の事前策定に資する。本報告書はOSCAARコードバージョン2.0の使用方法を説明したユーザーマニュアルである。

報告書

幌延深地層研究センターゆめ地創館を活用したリスク・コミュニケーションについて(2024年度)

星野 雅人; 佐々木 仁史; 堀越 秀彦*; 谷 康輔*

JAEA-Review 2025-047, 122 Pages, 2026/03

JAEA-Review-2025-047.pdf:3.75MB

幌延深地層研究センターは、深地層研究のための地下坑道等の研究施設、またその研究内容を解説するための施設と研究者が揃っており、敷地内には、実際の人工バリアを実規模で体感できる工学研究施設もあり、高レベル放射性廃棄物の地層処分について詳しく知るための国内最高の環境を有する施設である。これらの優位性を生かし、来場する国民各層を対象として高レベル放射性廃棄物に対する漠然とした疑問、不安などの意見について、アンケート等を活用した広聴を行っている。今回、2024年4月から2025年1月までに収集したアンケート等の意見(回答者2,830人)について統計分析の結果を報告する。

報告書

幌延深地層研究計画における地下施設での調査研究段階(第3段階: 令和2年度以降の必須の課題2020-2024年度)研究成果報告書

中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 大野 宏和; 尾崎 裕介; 望月 陽人; 武田 匡樹; 木村 駿

JAEA-Research 2025-016, 141 Pages, 2026/03

JAEA-Research-2025-016.pdf:13.37MB

幌延深地層研究計画は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」および「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。2020年度からは、北海道および幌延町により受け入れられた、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した令和2年度以降の必須の課題である、(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証について、第3期および第4期中長期目標期間を目途に取り組むこととしている。本報告書では、上記の令和2年度以降の必須の課題のうち、2020年度から2024年度までに所期の目標を達成した課題について調査研究の成果を取りまとめた。今後これらの課題で得られた成果については、2024年度から実施している、「坑道スケール$$sim$$ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化」において、坑道やピットの配置に係る考え方、人工バリア材料などの設置方法、それらの閉じ込め性能を評価する手法の体系的な整理に反映していく。

報告書

OSCAAR version 2.0モデル解説書

原子力安全・防災研究所 安全研究センター リスク評価・防災研究グループ

JAEA-Data/Code 2025-015, 68 Pages, 2026/02

JAEA-Data-Code-2025-015.pdf:2.82MB

日本原子力研究開発機構安全研究センターでは、原子力発電所事故の確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment)研究の一環として、レベル3PRAコードOSCAARの開発を行っている。OSCAARはレベル2PRAで得られたソースタームを基に、環境中に放出された放射性物質の移流、拡散、沈着を様々な気象条件に対して評価し、これらの放射性物質によって公衆が受ける被ばく線量および健康影響を確率論的に評価することができる計算コードである。OSCAARでは、実際の原子力発電所事故時に実施される防護措置による被ばく線量低減効果を考慮することができ、原子力発電所周辺住民の事故時の被ばくを低減するための対策や計画の事前策定に資する。本報告書はOSCAARバージョン2.0にて用いられている解析モデルを説明した解説書である。

報告書

最新の知見に基づいた研究施設等廃棄物浅地中埋設施設からの浸出水量の評価

北谷 光; 小曽根 健嗣; 仲田 久和

JAEA-Technology 2025-011, 57 Pages, 2025/12

JAEA-Technology-2025-011.pdf:5.32MB

日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体として、現在低レベル放射性廃棄物を対象としたトレンチ処分及びピット処分の2通りの検討を行っている。埋設施設の安全評価における被ばく線量評価には、埋設施設の浸透水量データが必要となる。浸透水量の評価には、廃棄物条件や埋設環境などによる不確実性を考慮する必要がある。そのため、本報告では、研究施設等廃棄物浅地中処分施設の概念設計の設計条件等を基にリファレンスモデルを設定し、先行事業者の申請書を参考に、最新の知見に基づいた安全評価に反映する浅地中埋設施設からの浸出水量を地下水流動解析により算出した。これにより、埋設施設の各層及び周辺土壌の透水係数が浸出水量に及ぼす影響を評価した。具体的には、有限要素法による二次元地下水流動解析コード(MIG2DF)を用いて、トレンチ埋設施設については、覆土層の経年劣化を想定した評価を行うとともにコンクリートピット埋設施設については、廃棄体に含まれる塩類の影響を想定した評価を行った。解析の結果、トレンチ埋設施設では、粘土層の透水性が劣化すると廃棄体層への浸入水量が増加し、特に排水層の透水性が低下した場合にはその傾向が一層顕著となった。これは、排水層による水平流路が機能せず、水の粘土層への浸入が促進されるためである。一方、コンクリートピット埋設施設では、粘土層の破断により周辺の流速が上昇し、廃棄体層を通過する水量が増加する現象が確認された。これらの結果は、施設の各層ごとの透水性の変化が、浸出水量にどのような影響を及ぼすかを定量的に示しており、安全評価におけるシナリオ設定や埋設施設の維持管理の方針策定に資する有効な知見といえる。

報告書

幌延深地層研究計画 令和6年度調査研究成果報告

中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 深津 勇太; 望月 陽人; 尾崎 裕介; et al.

JAEA-Review 2025-042, 136 Pages, 2025/12

JAEA-Review-2025-042.pdf:12.95MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を継続し、東立坑および換気立坑が深度500mまでの掘削を完了するとともに、西立坑および500m調査坑道の掘削を開始した。令和6年度末現在の掘削進捗は、東立坑および換気立坑が深度500m、西立坑が深度472m、500m調査坑道が112.9mである。幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、令和6年6月には合同タスク会合を幌延深地層研究センター国際交流施設にて開催し、坑道の整備状況や試験の準備状況について確認した。また、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行った。HIPは令和4年度後半から令和6年度までをフェーズ1、令和7年度から令和10年度までをフェーズ2に分けて実施することとしており、令和6年度はフェーズ1の研究成果を取りまとめた。

報告書

再処理施設の高レベル廃液蒸発乾固事故時の化学挙動解析コードSCHERNのRuO$$_{4}$$気液間移行モデルの高度化

吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史

JAEA-Research 2025-011, 25 Pages, 2025/11

JAEA-Research-2025-011.pdf:2.15MB

再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウムの揮発性の化学種(RuO$$_{4}$$)が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。RuO$$_{4}$$は施設内を移行する過程で床面に停留すると想定されるプール水中の亜硝酸(HNO$$_{2}$$)によって化学吸収が促進されることが想定され、この挙動は実験的に確認されており、Ruの施設内での移行に重要な役割を担う。HNO$$_{2}$$を含む硝酸水溶液へのRuO$$_{4}$$の移行に係る実験から得られた成果をもとに、新たな化学吸収及び物理吸収モデルが提案されている。本報では、SCHERNの解析性能の向上の一環として、これらの吸収モデルを組込み、施設内を移行するRuO$$_{4}$$の気液各相での挙動の解析を試行した。その結果、RuO$$_{4}$$の放出が急激に増加する沸騰晩期では、液相中のHNO$$_{2}$$も急増する傾向が見られ、その濃度変化がその後のRuO$$_{4}$$の移行挙動に大きく影響することを確認した。この結果から硝酸-水混合蒸気の凝縮に伴う気液各相のHNO$$_{2}$$の化学的挙動の解析精度の向上が不可欠である。

報告書

JMTRに残存する汚染物からの試料採取

大内 卓哉; 永田 寛; 篠田 侑弥; 吉田 颯竜; 井上 修一; 茅根 麻里奈; 阿部 和幸; 井手 広史; 綿引 俊介

JAEA-Technology 2025-006, 25 Pages, 2025/10

JAEA-Technology-2025-006.pdf:1.59MB

日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、将来的に埋設処分することを予定しており、放射能濃度評価方法の構築が必要である。そこで、大洗原子力工学研究所では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、将来、埋設処分対象となることが想定される放射性廃棄物から試料採取を行い、放射化学分析により放射性廃棄物に含まれる各核種の放射能濃度のデータ取得を行っている。本報告書は、放射能濃度のデータ取得にあたって、試料採取対象の選定の考え方を示すとともに、令和5年度及び令和6年度にJMTR原子炉施設において実施した汚染物からの試料採取内容についてまとめたものである。

報告書

幌延深地層研究計画 令和7年度調査研究計画

中山 雅; 石井 英一; 早野 明; 青柳 和平; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 望月 陽人; 尾崎 裕介; 木村 駿; et al.

JAEA-Review 2025-027, 80 Pages, 2025/09

JAEA-Review-2025-027.pdf:6.22MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和7年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」について、引き続き調査研究を行う。令和7年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や原位置試験を対象とした解析検討の準備を行う。「処分概念オプションの実証」では、坑道スケール$$sim$$ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、坑道スケール$$sim$$ピットスケールにおける閉じ込め性能の評価手法の整理を行う。500m調査坑道において先行ボーリング調査を行い、岩石の強度や岩盤の透水性などのデータを取得するとともに、トモグラフィ調査による試験坑道周辺の掘削損傷領域の広がりに関するデータを取得する。埋め戻し材や止水プラグの施工については、原位置施工試験に向けた計画検討を進める。深度500mの坑道掘削に伴う湧水量を観測するとともに、解析において予測された湧水量の範囲に収まるかどうかを確認する。500m調査坑道で施工予定のピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて原位置における掘削損傷領域の把握のための試験計画を検討する。また、割れ目からの湧水量やピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて調査・評価手法の整理を進める。地下施設の建設・維持管理では、令和6年度に引き続き西立坑と500m調査坑道の掘削を行い、令和7年度末に施設整備を完了する予定である。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA:物質移行試験、タスクB:処分技術の実証と体系化、タスクC:実規模の人工バリアシステム解体試験)について調査研究を継続する。

報告書

再処理施設の高レベル廃液蒸発乾固事故のMELCORを用いた施設内の熱流動解析モデルの検証

吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史

JAEA-Research 2025-003, 24 Pages, 2025/06

JAEA-Research-2025-003.pdf:2.06MB

再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(RuO$$_{4}$$)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。揮発性Ruは施設内を移行する過程で床面に停留するプール水中の亜硝酸によって化学吸収が促進されることが想定され、施設内の硝酸-水混合蒸気の凝縮水量がRuの施設内での移行に重要な役割を担う。当該事故の施設内の熱流動解析では、水の熱流動を解析対象とするMELCORコードを用いている。解析では、凝縮の支配因子である蒸発潜熱が、事故時での施設内の温度帯域で同程度であることから硝酸をモル数が等しい水として扱っている。本報では、この解析モデルの妥当性を確認するために、MELCORの制御関数機能を用いて硝酸-水混合蒸気を水蒸気で近似することによって生じる誤差を補正する解析モデルを作成し解析を実施し補正効果を比較することで従来の解析モデルの妥当性を確認した。その結果、補正解析モデルの適用によって各区画のプール水量の分布は変化するものの施設内のプール水量の総和には影響しないことを確認した。

論文

A Review on the effect of iron on bentonite stability

Wilson, J.*; 笹本 広; 舘 幸男; 川間 大介*

Applied Clay Science, 275, p.107862_1 - 107862_15, 2025/05

 被引用回数:6 パーセンタイル:57.94(Chemistry, Physical)

高レベル放射性廃棄物の処分場では、鉄または鋼製ベースの容器/オーバーパック及びベントナイト緩衝材が用いられる。25年以上にわたり、鉄とベントナイトの相互作用に関わる研究が行われ、その中では、特に膨潤性粘土(スメクタイト)の鉄に富んだ層状珪酸塩(膨潤能が欠落する鉱物も存在)への変質可能性について検討がなされた。このような変質が生じると、人工バリア材の一つである緩衝材に期待されている膨潤性の欠落或いは低下を引き起こし、せん断応力に対するオーバーパックの保護性、水や溶質の移行抑制にも影響を与える。鉄とベントナイトの相互作用に関わるデータの多くは、実験及び地球化学モデリングによるものであり、ナチュラルアナログによるデータには乏しい。これらの既往データによれば、スメクタイト(アルミ質のモンモリロナイト)が鉄に富んだ固相(層状珪酸塩を含む)に変質したものや、グリーンラスト又は磁鉄鉱のような腐食生成物を伴う鉄に富んだ変質ゾーンが生成される可能性が示唆される。一方、このような変質ゾーンについての実態は複雑であり、現状での理解は不十分な部分もある。25年以上にもわたり研究が行われているにもかかわらず不確実な部分も多いが、今回のレビューにより、鉄とベントナイトの相互作用に伴い生じる尤もらしいシナリオが認識され、考えられ得る緩衝材特性への影響についても提示された。

報告書

試験研究用原子炉から発生する解体廃棄物に対するSCALE6.2.4付属のORIGENを用いた放射能評価手法の検討

富岡 大; 河内山 真美; 小曽根 健嗣; 仲田 久和; 坂井 章浩

JAEA-Technology 2024-023, 38 Pages, 2025/03

JAEA-Technology-2024-023.pdf:1.54MB

日本原子力研究開発機構は、我が国の研究施設等から発生する低レベル放射性廃棄物の浅地中埋設事業の実施主体である。これらの放射性廃棄物の放射能濃度に関する情報は、埋設事業の許可申請及びその適合性審査に向けた廃棄物埋設施設の設計や安全評価に不可欠である。このため、埋設事業センターでは、埋設対象廃棄物のうち試験研究用原子炉から発生する解体廃棄物について、放射化計算に基づく解体廃棄物の放射能評価手順の改良を進めている。今回、多群中性子スペクトルを用いてより精度の高い放射化計算が可能なORIGENコード(SCALE6.2.4に付属)の適用性を検討するため、これまで使用実績が多いORIGEN-Sコード(SCALE6.0に付属)との比較検証を行った。この検証では、炉心周辺の原子炉構造材の放射能分析データを取りまとめている立教大学研究炉の解体廃棄物を対象として両コードにより放射化計算を行った。その結果、ORIGENコードとORIGEN-Sコードの計算時間の差異はほとんどないこと、放射能濃度の評価値として前者は後者の0.8$$sim$$1.0倍の範囲となり、放射化学分析による放射能濃度と概ね0.5$$sim$$3.0倍の範囲でよく一致した結果から、ORIGENコードの適用性を確認した。さらに、原子炉構造材に含まれる微量元素の放射化を想定してORIGENコード及びORIGEN-Sコードによる放射化計算を行い、比較を行った。また、浅地中処分における被ばく線量評価上重要な170核種のうち大きな差が見られたものに対してその原因を核種毎に調べた。

論文

New filter concept for removal of fine particle generated in high level radioactive solution

高畠 容子; 渡部 創; 渡部 雅之; 佐野 雄一; 竹内 正行

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 7, p.195 - 198, 2025/03

高レベル放射性廃液からの抽出クロマトグラフィ法によるマイナーアクチノイドの回収に係る研究開発を実施している。高レベル放射性廃液中では微粒子が発生する。抽出クロマトグラフィのカラムの閉塞を防ぐため、それを取り除く技術の開発が必要である。シリカビーズ充填カラムにおける微粒子の除去性能を実験的に評価した。シリカビーズ充填カラムにて、アルミナ粉末を回収したところ、0.12から15$$mu$$mの微粒子がカラム閉塞の原因であることが分かり、またシリカビーズを充填したカラムによる微粒子除去は実現可能であることが示された。

報告書

幌延深地層研究計画 令和5年度調査研究成果報告

中山 雅

JAEA-Review 2024-042, 111 Pages, 2024/11

JAEA-Review-2024-042.pdf:7.83MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を再開し、350m調査坑道に新たに3本の坑道を掘削するとともに、東立坑および換気立坑の掘削を実施した。令和5年度末現在、350m調査坑道の拡張(坑道延長66m)を終了し、立坑の掘削深度は、東立坑で深度424m、換気立坑で深度393mである。また、令和5年2月から開始した幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行い、原位置試験や解析などの実施計画を検討するとともに、研究の進捗状況について確認、議論を行った。令和5年度末現在、原子力機構を含め、8つの国と地域から11の組織が参加している。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。

論文

Selective resonance ionization of odd calcium isotopes using linearly polarized lasers

岩田 圭弘; 宮部 昌文; Wells, S. R.*; 山元 祐太*; 長谷川 秀一*

Proceedings of International Topical Workshop on Fukushima Decommissioning Research 2024 (FDR2024) (Internet), 4 Pages, 2024/10

本研究では、(i)レーザー偏光に依存した選択則及び(ii)奇数同位体の持つリュードベリレベルの大きな同位体シフトに着目して、奇数同位体分離を目指したCa原子の3段階及び2段階共鳴イオン化スキームを開発した。レーザー偏光が直交条件となる場合に、奇数同位体の分離を確認した。イオン化領域の電場による$$^{40}$$Caの非共鳴イオン化を抑制することで、さらなる$$^{41}$$Caの光学的同位体選択性向上が期待される。

報告書

幌延深地層研究計画 令和6年度調査研究計画

中山 雅

JAEA-Review 2024-033, 64 Pages, 2024/09

JAEA-Review-2024-033.pdf:5.15MB

幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」について、引き続き調査研究を行う。令和6年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や解析課題などに取り組む。また、物質移行試験について、掘削損傷領域を対象とした試験および有機物・微生物・コロイドの影響について取りまとめ、評価手法を整備する。さらに、ブロックスケールを対象とした物質移行について、稚内層深部を事例とした評価手法を取りまとめる。「処分概念オプションの実証」では、閉鎖技術の実証として、坑道掘削・閉鎖後の地質環境変化に関する調査試験結果などの整理・取りまとめを行うとともに、坑道内から掘削されたボーリング孔の閉塞技術の適用性や技術的な課題について取りまとめる。坑道スケール$$sim$$ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、調査・評価手法の整理や解析などを進める。また、高温度(100$$^{circ}$$C以上)等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験では、令和5年度に開始した原位置試験を継続し、ひと組の試験体を解体して100$$^{circ}$$Cを超える熱履歴を経た緩衝材の特性を確認する。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、地殻変動が地層の透水性に与える影響、ダクティリティインデックスを用いた透水性の評価手法・隆起侵食の影響の評価手法および水圧擾乱試験による断層の活動性(力学的な安定性)評価手法について取りまとめる。地下施設の建設・維持管理では、令和5年度に引き続き東立坑と換気立坑の掘削を行うとともに、湧水対策を実施した後に西立坑および500m調査坑道の掘削を開始する。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスクについて調査研究を継続する。

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