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Birkholzer, J. T.*; Graupner, B. J.*; Harrington, J.*; Jayne, R.*; Kolditz, O.*; Kuhlman, K. L.*; LaForce, T.*; Leone, R. C.*; Mariner, P. E.*; McDermott, C.*; et al.
Geomechanics for Energy and the Environment, 42, p.100685_1 - 100685_17, 2025/06
The DECOVALEX initiative is an international research collaboration (www.decovalex.org), initiated in 1992, for advancing the understanding and modeling of coupled thermo-hydro-mechanical-chemical (THMC) processes in geological systems. DECOVALEX stands for "DEvelopment of COupled Models and VALidation against EXperiments". DECOVALEX emphasizes joint analysis and comparative modeling of the complex perturbations and coupled processes in geologic repositories and how these impact long-term performance predictions. More than fifty research teams associated with 17 international DECOVALEX partner organizations participated in the comparative evaluation of eight modeling tasks covering a wide range of spatial and temporal scales, geological formations, and coupled processes. This Virtual Special Issue on DECOVALEX-2023 provides an in-depth overview of these collaborative research efforts and how these have advanced the state-of-the-art of understanding and modeling coupled THMC processes. While primarily focused on radioactive waste, much of the work included here has wider application to many geoengineering topics.
上野 晃生*; 佐藤 聖*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 猪股 英紀*; 玉澤 聡*; 天野 由記; 宮川 和也; 長沼 毅*; 五十嵐 敏文*
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 75(6), p.006802_1 - 006802_11, 2025/06
幌延深地層研究センターの地下施設内に掘削されたボーリング孔を用い、深度350mの新第三紀堆積層中の地下水から、グラム陰性、非運動性、桿菌株の偏性嫌気性細菌を単離した。これをZ1-71株と呼ぶ。細胞は長さ2.7-4.8
m、幅0.4
mであり、温度10-42
C、pH 6.0-9.0及びNaCl濃度0-3.0%(w/v)で生育が認められた。Z1-71
株は、D-グルコースを基質として生育した場合、水素の生成が認められた。16S rRNA遺伝子配列の系統解析により、Z1-71
株は
科の
属に分類されることが示された。系統学的および表現型の特徴に基づき、Z1-71
株は
属の新種細菌であると考えられ、
sp. nov.と命名する。Z1-71
株を水素資化性メタン生成菌(
T10
株)とグルコースを基質として30
Cの嫌気環境下で4週間共培養した結果、各単離株のみでの培養では見られなかったメタンの生成が認められた。このことは、Z1-71
株より生成したギ酸塩と水素がメタン生成菌により利用されることでメタンが生成したことを示していると考えられた。
青柳 和平; 尾崎 裕介; 早野 明; 大野 宏和; 舘 幸男
日本原子力学会誌ATOMO, 67(6), p.354 - 358, 2025/06
日本原子力研究開発機構は、幌延深地層研究センターの地下施設を活用した"幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)"を開始した。本プロジェクトの主要な目的は、地層処分のための先進的な安全評価技術や工学技術に関わる研究開発の成果の最大化や、次世代の研究者や技術者の育成と知識の継承である。本解説では、日本原子力学会2024年秋の大会におけるバックエンド部会の企画セッション"幌延国際共同プロジェクトの現状と今後の展開"の流れに沿って、本プロジェクトの概要を紹介する。
森 愛理; Johansen, M. P.*; McGinnity, P.*; 高原 省五
Communications Earth & Environment (Internet), 6, p.356_1 - 356_11, 2025/05
被引用回数:0The presence of radionuclides in seafood following the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident in March 2011 have led to widespread and persistent concerns over seafood safety. We assess seafood ingestion doses before and after the accident for adults in the Tohoku Region of Northeast Japan. Using a Monte Carlo approach, we evaluate 23 anthropogenic and natural radionuclides alongside realistic seafood consumption rates. In the first year after the accident, the ingestion dose from accident-derived radionuclides was 19 Sv for consumers exposed to the 95th percentile dose, contributing only 2% of the total seafood ingestion dose, which includes natural radionuclides such as
Po and
Pb. After the third year, the dose from accident-derived radionuclides was indistinguishable to that from pre-accident background levels. These findings suggest that, with seafood restrictions in place, the impact of accident-related releases on seafood ingestion doses was minor and relatively short-lived compared with that of natural radionuclides.
Chung, J.-H.*; Kwangwoo, S.*; Yokoo, Tetsuya R.; 植田 大地*; 今井 正樹; Kim, H.-S.; Kiem, D. H.; Han, M. J.*; 社本 真一
Scientific Reports (Internet), 15, p.5978_1 - 5978_10, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)Two dimensional honeycomb ferromagnets host massless Dirac magnons which are a bosonic analogue of Dirac fermions in graphene. The Dirac magnons may become massive and topological when the time-reversal symmetry breaks and an energy gap opens up at the Dirac point, which was experimentally observed in Cr-based van der Waals magnets. Here, we investigate the spin wave excitations in the
magnetic oxide FeTiO
with Fe
electrons (
). Using inelastic neutron scattering, we observe two magnon bands separated by a 1.2-meV gap at the Dirac points indicating that its Dirac magnons are massive. Using the linear spin-wave and density functional theory calculations, we find that the spin-orbit-coupled antisymmetric Dzyaloshinskii-Moriya exchanges can best account for the observed Dirac gap opening. The associated Berry curvature and Chern number (
) indicate that FeTiO
hosts topological spin excitations via time-reversal symmetry breaking of Dirac magnons.
Metcalfe, R.*; Benbow, S. J.*; 川間 大介*; 舘 幸男
Science of the Total Environment, 958, p.177690_1 - 177690_17, 2025/01
花崗岩が隆起している条件を対象とした地層処分の安全評価においては、隆起による地質条件の変化とそれに伴う放射性核種の移行・遅延特性への影響を考慮する必要がある。このような地質環境の長期変遷を考慮した安全評価では、十分に現実的な数値モデルと適切なパラメータを適用する必要がある。しかしながら、隆起過程には、岩石特性や核種移行特性の変化などを含む複雑な連成現象が含まれるため、モデルの開発には困難を伴う。ここでは、いくつかの代表的な放射性核種を対象とした連成モデル解析を通じて、現実的で保守的なプロセスの概念化とモデルパラメータの設定を検討するための方法論を提示する。
Metcalfe, R.*; 舘 幸男; 笹尾 英嗣; 川間 大介*
Science of the Total Environment, 957, p.177375_1 - 177375_17, 2024/12
放射性廃棄物の地層処分の安全評価では、将来において地下水を介した放射性核種の移行が岩盤のバリア性能によって遅延されることを示す必要がある。サイトが選定される前の初期段階の安全評価は、特定のサイト条件を考慮しない一般的なものであり、保守的なパラメータ値や簡略化された安全評価モデルに基づくことになる。その後の特定のサイトを対象とした安全評価では、長期的な地質環境の変遷やその放射性核種の移行・遅延への影響を考慮可能な、より現実的なモデルが必要となる。隆起はそのような長期的な地質環境の変遷の一つである。ここでは、日本の既往の研究に基づき、花崗岩の特性が隆起に伴ってどのように変化するかについての知見をレビューする。また、花崗岩の隆起に伴う放射性核種の移行と遅延過程に関する概念モデルと一般的なシナリオを提示し、安全評価を支える現実的な数値モデルの基礎を提示する。
中山 雅
JAEA-Review 2024-042, 111 Pages, 2024/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を再開し、350m調査坑道に新たに3本の坑道を掘削するとともに、東立坑および換気立坑の掘削を実施した。令和5年度末現在、350m調査坑道の拡張(坑道延長66m)を終了し、立坑の掘削深度は、東立坑で深度424m、換気立坑で深度393mである。また、令和5年2月から開始した幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行い、原位置試験や解析などの実施計画を検討するとともに、研究の進捗状況について確認、議論を行った。令和5年度末現在、原子力機構を含め、8つの国と地域から11の組織が参加している。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-026, 80 Pages, 2024/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和元年度に採択された研究課題のうち、「放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明」の令和元年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、放射化学、核化学、核物理、燃料材料科学の専門家に環境微生物の専門家を加えた研究者により、模擬デブリの作製から、照射、化学的作用及び生物作用による溶出試験を行い、富岡町の国際共同研究棟等にJAEAが有する先端分析機器を駆使してデブリの性状の変化、元素の溶出挙動を分析し、放射線損傷と酸化環境下における化学的及び生物学的損傷の複合作用による燃料デブリの劣化機構を解明することを目的とした。令和4年度には、放射線・化学・生物的作用の複合効果による燃料デブリ劣化機構の解明のため、線照射下における微生物の模擬燃料デブリ劣化試験、Feと錯形成能を有するシデロフォアであるdesferrioxamine (DFO)あるいは代替物とFe、Uの錯形成能、模擬燃料デブリやマイクロ粒子を計測できるマイクロ流路を用いた溶解試験、Fe酸化物への収着へのシデロフォアなどの影響、モデル微生物や1F付近で採取した菌種による模擬燃料デブリの劣化に関する知見を実験により得た。更に、模擬デブリの劣化を時間の関数として表すモデルを作成し、計算を行った。
小野田 雄一; 西野 裕之; 栗坂 健一; 山野 秀将
Proceedings of Probabilistic Safety Assessment and Management & Asian Symposium on Risk Assessment and Management (PSAM17 & ASRAM2024) (Internet), 10 Pages, 2024/10
ナトリウム冷却高速炉を対象として、設計想定を超える超高温によって破損や損傷が生じた場合でも、その拡大を抑制する技術を用いて原子炉構造のレジリエンスを向上させる対策を構築するとともに、その対策の有効性を評価した。超高温状態に至る事故進展に対して炉心損傷を防止するには、原子炉容器の加圧防止対策と炉心冷却対策の両方が必要となる。炉心冷却対策として、原子炉容器からの輻射熱伝達を促進しCV外面を自然対流により冷却する炉心冷却概念(CVACS)を構築した。事故進展の不確かさとレジリエンス向上策の成否について検討し、当該対策の有効性を評価する方法としてPRAを活用し、イベントツリーにおける分岐確率を評価して、炉心損傷頻度の低減効果を有効性評価の指標とする方法を構築した。CVACSによる炉心の冷却性を評価するとともに、構造解析及び人間信頼性評価の結果を反映して炉心冷却の成功確率を評価し、超高温に対するレジリエンス向上策の有効性を定量的に評価した。既存の対策に加えてレジリエンス向上策を講じることにより、LOHRSを起因として炉心損傷に至る頻度を従来の1/100程度に低減した。
中山 雅
JAEA-Review 2024-033, 64 Pages, 2024/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」について、引き続き調査研究を行う。令和6年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や解析課題などに取り組む。また、物質移行試験について、掘削損傷領域を対象とした試験および有機物・微生物・コロイドの影響について取りまとめ、評価手法を整備する。さらに、ブロックスケールを対象とした物質移行について、稚内層深部を事例とした評価手法を取りまとめる。「処分概念オプションの実証」では、閉鎖技術の実証として、坑道掘削・閉鎖後の地質環境変化に関する調査試験結果などの整理・取りまとめを行うとともに、坑道内から掘削されたボーリング孔の閉塞技術の適用性や技術的な課題について取りまとめる。坑道スケールピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、調査・評価手法の整理や解析などを進める。また、高温度(100
C以上)等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験では、令和5年度に開始した原位置試験を継続し、ひと組の試験体を解体して100
Cを超える熱履歴を経た緩衝材の特性を確認する。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、地殻変動が地層の透水性に与える影響、ダクティリティインデックスを用いた透水性の評価手法・隆起侵食の影響の評価手法および水圧擾乱試験による断層の活動性(力学的な安定性)評価手法について取りまとめる。地下施設の建設・維持管理では、令和5年度に引き続き東立坑と換気立坑の掘削を行うとともに、湧水対策を実施した後に西立坑および500m調査坑道の掘削を開始する。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスクについて調査研究を継続する。
伊藤 真司*; 清水 浩之*; 大野 進太郎*; 高山 裕介
土木学会論文集(インターネット), 80(8), p.24-00030_1 - 24-00030_18, 2024/08
放射性廃棄物の地層処分施設の設計検討では、建設・操業段階から閉鎖後長期にわたって生じ得る現象を考慮した力学挙動評価が求められる。このような背景のもと、長期力学解析コードMACBECEの開発を進めている。本研究では、廃棄体の発熱や地下水による再冠水などの過渡的な現象を考慮できるように、不飽和土の弾塑性構成モデルや、熱伝導/浸透流解析との連携機能を導入することで、過渡期から長期まで一貫して評価できる解析コードを構築した。そして、幌延深地層研究センターにおける原位置試験の再現解析を実施し、計測データとの比較・分析により妥当性を確認した。その結果、二次元解析の制約による乖離が一部みられるものの、機能拡張した解析コードは計測データを良好に再現できることがわかった。
Yuan, X.*; Hu, Q. H.*; Fang, X.*; Wang, Q. M.*; Ma, Y.*; 舘 幸男
Sedimentary Geology, 465, p.106633_1 - 106633_14, 2024/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geology)Archie's cementation factor, m, is a critical parameter for petrophysical studies, and the value is influenced by several factors such as the shape, type, and size of grains, degrees of diagenesis, and associated pore structure. Using integrated experimental and theoretical approaches, the goal of this study is to obtain the cementation factor of rocks (both reservoir rock and caprock) and assess the impact of diagenesis processes on the values of the cementation factor. Thirteen samples of geologically diverse rocks (six mudstones, four fossiliferous limestones, two marbles, and one sandstone) were selected to achieve these research objectives. Two approaches, the diffusion of gas tracers and the Bosanquet formula calculation using pore-throat sizes from mercury intrusion porosimetry analyses, were used to derive the cementation factors of these rock samples. These rocks were categorized into two groups based on the correlation between average pore-throat diameter and diffusivity, and an exponential-law relationship between the cementation factor and porosity was determined for these sample groups. In addition, thin-section petrography and field emission-scanning electron microscopy observations were utilized to investigate diagenetic processes, with four diagenetic patterns being established: (1) strong compaction, strong cementation, and weak dissolution-diagenesis pattern; (2) weak compaction, medium cementation, and weak dissolution-diagenesis pattern; (3) weak compaction, medium cementation, and strong dissolution-diagenesis pattern; and (4) fracture-matrix pattern. The results indicated that diagenetic processes and microfractures contribute to the variability in the cementation factors in these rock samples.
中山 雅
JAEA-Review 2023-032, 159 Pages, 2024/02
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和4年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、水圧擾乱試験などによる緩衝能力の検証・定量化および地殻変動による人工バリアへの影響・回復挙動試験を実施した。また、国内外の機関と連携して研究開発を推進するため、幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)を令和5年2月から開始した。HIPの主な目的は、処分場の設計・操業・閉鎖や地層処分における先進的な安全評価技術や工学技術を開発・実証すること、また、参加機関の間でこれまでに開発された膨大な知識や経験を共有・移転することにより、次世代の技術者や研究者を育成することである。令和4年度末現在、原子力機構を含め、6つの国と地域から6つの組織がHIPに参加している。幌延深地層研究計画の成果は、日本原子力研究開発機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
森本 恭一; 大野 貴裕; 角谷 聡洋; 吉田 萌夏; 鈴木 壮一郎
Journal of Robotics and Mechatronics, 36(1), p.125 - 133, 2024/02
福島第一原子力発電所の廃炉推進のための遠隔操作機器の開発実証施設として楢葉遠隔技術開発センターは設立され、2016年より運用が開始された。本センターのミッションは「福島第一原子力発電所の廃炉への支援」と「福島県の復興への貢献」であり、この論文では当センターでの実規模モックアップ試験に関連する設備、遠隔操作機器の開発用の要素試験設備、バーチャルリアリティーシステム等の説明およびその利用事例について紹介する。
鎌田 正輝*; 吉田 拓真*; 杉田 宰*; 奥村 啓介
日本原子力学会誌ATOMO, 66(2), p.83 - 86, 2024/02
福島第一原子力発電所から取り出された物体の核燃料物質量を計測し、核燃料物質量に基づいて燃料デブリと放射性廃棄物に仕分けることができれば、取り出しから保管までの作業および保管施設の合理化につながる。これまで、廃炉・汚染水対策事業において、2019年度に燃料デブリと放射性廃棄物の仕分けに適用できる可能性がある非破壊計測技術を調査し、20202021年度に候補技術における計測誤差因子の影響を評価した。2022年度以降も引き続き、燃料デブリの取り出し規模の更なる拡大に向けて、燃料デブリと放射性廃棄物の仕分けのための非破壊計測技術の開発を進めているところである。
吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 丸山 一平*; 刈茅 孝一*; 齊藤 朱音*; 松井 裕哉; 望月 陽人; 勝田 長貴*; Metcalfe, R.*
Powering the Energy Transition through Subsurface Collaboration; Proceedings of the 1st Energy Geoscience Conference (Energy Geoscience Conference Series, 1), 20 Pages, 2024/00
多くの地下構造物の長期間の安全確保にあたっては、岩盤中に存在する断層や坑道近傍の掘削損傷領域を対象とした地下水流れの恒久的なシーリングが重要となる。しかし一般に用いられるセメント材では化学的な変質等によりそのような効果が期待できない。このため、天然で見られる炭酸塩鉱物によるコンクリーションに着目したコンクリーション化剤が開発された。本論文は、コンクリーション化剤に期待される性能を確認するため、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター地下施設を活用して実施した原位置試験結果をまとめたものである。原位置試験の結果、コンクリーション化剤は急速に硬化し1年間程度で掘削損傷領域の透水性を1/1000減少させるとともに、同施設近傍で起こった地震による影響と考えられる一時的な透水性の増加も再シーリングされ低下することが確認できた。これらのことから、この新しい技術は、多様な目的をもつ地下施設に適用可能であると考えられる。
Vauchy, R.; 廣岡 瞬; 村上 龍敏
Materialia, 32, p.101943_1 - 101943_8, 2023/12
The construction of the halite unit-cell from the ionic radii of the constitutive species is proposed with the use of our hybrid model, considering flexible anion and cation radii. 312 binary halite-structured stoichiometric compounds were analyzed. This systematic study focuses first on the revision of the ionic radii of the considered species then on the proposition of relations between the anionic radius as a function of the cation's size.
Vauchy, R.; 廣岡 瞬; 村上 龍敏
Materialia, 32, p.101934_1 - 101934_12, 2023/12
The construction of the fluorite unit-cell from the ionic radii of the constitutive species is proposed with the use of our hybrid model, considering flexible anion and cation radii. 27 binary and stoichiometric compounds crystallizing in this structure were investigated to find a correlation between the anion's radius as a function of the cation's size.
加藤 友彰; 山岸 功
JAEA-Technology 2023-018, 53 Pages, 2023/11
東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉作業において多核種除去設備(ALPS)前処理設備で発生する放射性の炭酸塩スラリー廃棄物(炭酸塩スラリー)は、高性能容器(HIC)に一時保管されている。2015年に炭酸塩スラリーへの気泡の保持が原因と推定されるHIC外部への溢水事象が確認され、HICに格納された炭酸塩スラリー(HICスラリー)保管に対する安全評価の必要性が高まっている。この安全評価をする上で、炭酸塩スラリー内での気泡保持放出特性等に寄与する懸濁物質粒子の化学的特性およびレオロジー特性の評価が重要である。特に、HIC外部への溢水が確認されたHICスラリーは保管上のリスクが高いと推定される。そこで本報では、当該HICスラリーのALPS入口水中Mg/Ca質量比を模擬して作製した模擬炭酸塩スラリー(模擬スラリー)を用いて、前処理設備における反応槽滞留時間やその後の濃縮過程がスラリーの化学的特性に与える影響を検討した。さらに処理液等の混入による懸濁物質濃度(SS濃度)の低下および充填後の静置時間等外的因子がレオロジー特性、特に沈降性、流動特性に与える影響を検討した。スラリー作製時の反応槽滞留時間およびスラリー濃縮過程が化学的特性に与える影響を検討した結果、クロスフローフィルタ(CFF)による濃縮過程を経ることで反応槽滞留時間の粒度への影響が微小となること、実機の通常運転時の実績と同じSS濃度150g/Lで作製した模擬スラリーは0.4m以下の不定形の粒子によって構成されていることが明らかとなった。また、処理液等の混入による充填時のSS濃度の低下および静置時間がレオロジー特性に与える影響を検討した結果、SS濃度の低下は初期の沈降速度増加に寄与すること、SS濃度150g/Lのスラリーと比較し沈降層部の密度が低くなることを明らかにした。加えて沈降に伴う密度の増加とスラリーの降伏応力間に正の指数関数的な相関が確認され、静置初期のスラリーでは非ビンガム流動的特性であるのに対し、静置期間が長期になることでビンガム流動的特性へと変化することが示唆された。これら一連の成果は、実際の福島県で保管されている炭酸塩スラリーのHIC内での現在の状態を推察する知見を与え、HIC表面線量評価やスラリー移し替え時等の安全評価への貢献が期待される。他方で、放射線によるスラリーへの化学特性への影響および気泡の保持・放出特性は検討課題としてあげられる。