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鈴木 隆博; 諫山 明彦; 井手 俊介; 藤田 隆明; 及川 聡洋; 坂田 信也; 末岡 通治; 細山 博己*; 関 正美; JT-60チーム
AIP Conference Proceedings 787, p.279 - 286, 2005/09
JT-60において、低域混成波による電流駆動とモーショナルシュタルク効果による安全係数分布計測を用いた実時間安全係数分布制御システムを開発した。実時間制御のクロックである10ms以内で安全係数分布を高速に評価するための計算手法を開発し、精度よく安全係数分布を計算できることを示した。低域混成波の位相制御により電流駆動位置を制御した。中心での安全係数の正磁気シアプラズマを対象に
の正磁気シア安全係数分布を目標として制御を行ったところ、安全係数分布は目標分布に近づき、
の状態を低域混成波が安定に入射されている間(3秒間)維持した。電子サイクロトロン波による新古典テアリングモードの安定化及び、プラズマの着火・立ち上げについても本招待講演において報告する。
森山 伸一; 篠崎 信一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 44(8), p.6224 - 6229, 2005/08
被引用回数:1 パーセンタイル:4.60(Physics, Applied)実時間波形整形の手法を用い、分散処理の概念に基づいて、JT-60U高周波加熱装置の制御設備の改造を行った。改造後のシステムが、従来の集中処理システムに比べて高い性能と信頼性を発揮しているのは当然であるが、実時間波形整形機能により装置運転の役割分担を見直し、高効率で円滑な運転を実現したことは注目すべきことである。実験装置の性格上、実験運転と装置調整は平行して進められ、調整の完了は事実上ありえない。特にプラズマ対向機器でありかつ高い高周波電界の発生するアンテナのコンディショニングには、磁場やプラズマの存在する条件で、きめ細かく入射パラメータを設定することが不可欠である。改造後の典型的な役割分担では、JT-60U全体の実験パラメータを把握する実験オペレータが矩形の入射パワー波形をプログラムし、一方で高周波加熱装置、特にアンテナのその時点での状態を熟知したRFオペレータが、パワー上昇率限界など機器に固有のパラメータを入力する。これらの情報を実時間で合成した入射命令を機器側に送出するようにした。この改造では制御機器間の信号伝達を可能な限り単純化し、汎用機器を多用した。本改造で構築した単純で柔軟性のある分散処理システムは、核融合研究用高周波加熱装置の制御系のあり方を提案するものである。
藤井 常幸; 関 正美; 森山 伸一; 寺門 正之; 篠崎 信一; 平内 慎一; 下野 貢; 長谷川 浩一; 横倉 賢治; JT-60チーム
Journal of Physics; Conference Series, 25, p.45 - 50, 2005/00
JT-60U電子サイクロトロン波帯(ECRF)加熱装置は高性能プラズマの実現のために活用されている。その出力は周波数110GHzで4MWである。JT-60U ECRF加熱装置で使用するジャイロトロンの出力は、そのアノード電圧を制御することで、制御できる。これを利用して、プラズマへの入射パワーを変調するために、アノード電圧制御器を開発し、出力0.7MWで、変調周波数10500Hzを達成した。また、このアノード電圧制御器を使用して、入射パルス幅を5秒から16秒まで伸長することに成功した。このような長パルスにおいて、アルミナ製のDCブレークの最大温度は約140度に達した。これを解析した結果、目標とするパルス幅30秒を実現するには、DCブレークの材料を低損失の材料に変更する必要があることが判明した。実時間制御でのECRF加熱による新古典テアリングモードの安定化を実証した。この実時間制御系では、ECE計測より10msごとに予測されるNTM発生領域を狙って、ECRFビームが入射される。
吉越 章隆; 盛谷 浩右; 寺岡 有殿
Surface Science, 566-568(Part.2), p.1124 - 1129, 2004/09
被引用回数:5 パーセンタイル:28.90(Chemistry, Physical)Si(001)表面初期酸化は、超LSIのMOSトランジスター製造技術として重要であるばかりでなく、表面化学としても大変興味深い反応系である。これまでの研究から表面温度が、1000K以下では、酸化反応がpassive酸化領域とSiO脱離を伴う2次元島状酸化領域に分けることが知られている。これまでの研究は、表面吸着酸素量の時間変化、いわゆる反応速度論に基づいた議論がほとんどであり、吸着状態つまりSiの酸化状態と成長モードの関係がわからなかった。本報告では、SPring-8の軟X線ビームラインBL23SUに設置したSUREAC2000を用いて、高輝度放射光によるリアルタイム光電子分光観察によりこれらの情報を得たので報告する。実験の結果、2次元島状成長領域では、酸化初期からSiが明瞭に観察され、SiO
形成が反応初期に形成されていることがわかった。
寺岡 有殿; 吉越 章隆; 盛谷 浩右
真空, 47(4), p.301 - 307, 2004/04
Si(001)と酸素分子の高温における酸化反応の並進運動エネルギー効果について最近の研究成果を解説する。SiO分子の脱離収率の温度依存性,酸素の吸着曲線、及びシリコンの化学結合状態が並進運動エネルギーで変化することを述べる。酸化膜形成とSiO脱離が共存する化学反応過程に対する並進運動エネルギーの効果を議論する。
鈴木 勝男; 鈴土 知明; 鍋島 邦彦
日本原子力学会和文論文誌, 3(1), p.24 - 33, 2004/03
本論文ではディジタル最適H推定器を用いて異常反応度の実時間検知を行うシステムについて議論する。本システムは、反応度バランス法に基づき検知するもので、正味反応度推定器,フィードバック反応度推定器、及び反応度バランス回路から構成される。正味反応度推定器及びフィードバック反応度推定器には、それぞれH
最適フィルターが用いられた。正味反応度推定器は特に、非線形核動特性を考慮して設計した。また、高速増殖炉の実験炉「常陽」の数値シミュレーションを用いて、本システムの性能が評価された。その結果、本システムは典型的な反応度外乱1¢を0.1¢の精度で数秒以内に検知し、実用に適用できることを確認した。
外池 幸太郎; 山本 俊弘; 渡辺 庄一; 三好 慶典
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(2), p.177 - 182, 2004/02
被引用回数:15 パーセンタイル:64.92(Nuclear Science & Technology)未臨界度監視システムの開発の一環として、検出器信号を時系列データとして収録する機能とファインマン・アルファ法によりアルファ値を評価する機能を一つのシステムとして構築し、STACYの非均質体系の動特性パラメータ(アルファ値)の測定を行った。本システムには橋本の階差フィルターが組み込まれており、臨界状態における測定も可能である。本システムによる測定結果はパルス中性子法による測定と一致した。
鈴木 勝男; 鍋島 邦彦; 山根 剛; 藤井 義雄*
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.408 - 417, 2003/12
原子炉の安全運転や反応度異常の早期検知のためには、オンライン連続的な炉心反応度の監視が必要である。日本原子力研究所の高温ガス炉臨界実験装置(VHTRC)において、デジタル非線形H推定器を用いた反応度推定実験を行った。実験方法について、反応度の投入方法,サンプリング周期とアンチエリアシングフィルタ仕様,実験回路やデジタル非線形H
反応度推定器の設計を述べた。次に、種々の反応度投入に対する出力応答試験の核計装信号のサンプリングデータを入力とするデジタル非線形H
推定器の反応度推定結果について議論した。その結果、VHTRCの高出力運転及び低出力運転における動的反応度が、真値からほとんど遅れることなく、精度0.05¢
0.1¢の範囲で良好に推定された。また、デジタル非線形H
推定器により、周期Ts=10msのデータサンプリングの実時間推定が実現できることを確認した。本実験の結果から、実機のオンライン実時間反応度計として、デジタル非線形H
反応度推定器が適用可能である見通しを得た。
高桑 雄二*; 石塚 眞治*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿
化学工業, 54(9), p.687 - 692, 2003/09
Ti(0001)表面が酸素ガスによって酸化される様子を実時間その場光電子分光観察した結果について解説する。Ti-2p光電子スペクトルが金属TiからTiOに変化する様子から各酸化成分の時間変化が明らかとなった。
吉越 章隆; 盛谷 浩右; 寺岡 有殿
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 42(7B), p.4676 - 4679, 2003/07
被引用回数:1 パーセンタイル:5.50(Physics, Applied)Si(001)表面のOガスによる熱酸化は、表面科学の基礎的理解として興味深い反応系であり、SiO
/Si(001)界面形成という応用上も重要である。これまでの実時間光電子分光実験は、ある一つ固定したエネルギーの光電子ピークに注目して、その強度の時間変化が調べられてきた。そこでわれわれは、1
10
PaのO
ガスにおけるSi(001)表面の熱酸化初期状態の時間変化を、O-1s光電子スペクトルをリアルタイムで測定することにより調べた。実験は、SPring-8の軟X線ビームラインBL23SUに設置した表面反応分析装置(SUREAC2000)により行った。基板温度855K及び955KにおけるO-1s光電子スペクトルの面積強度の時間変化を、速度論で解析したところ、855Kにおいては単純なLangmuirタイプ及び955Kにおいてはautocatalytic反応モデルで説明できることが分かった。
吉越 章隆; 盛谷 浩右; 寺岡 有殿
Applied Surface Science, 216(1-4), p.388 - 394, 2003/06
被引用回数:9 パーセンタイル:45.13(Chemistry, Physical)OガスによるSi(0 0 1)表面の熱酸化は、MOSFETトランジスターのゲート酸化膜形成に主要な反応系の一つであり、近年のULSIの微細化により、ますます原子・分子レベルでの反応制御が求められている。反応初期過程の理解は、必要不可欠である。今回、われわれは、SPring-8の原研専用軟X線ビームライン(BL23SU)に設置した表面反応分析装置において、熱酸化過程のリアルタイム放射光Si2p光電子分光観察を行い反応初期における酸素分子の解離吸着過程(シリコンと酸素の化学結合状態)を調べた。放射光光電子分光法を用いたこれまでの研究は、固定されたエネルギーの光電子のみを観察しているため、ケミカルシフトを利用した化学結合状態に関する情報は十分とは言えなかった。今回、高分解能かつ高輝度という表面反応分析装置の特徴を最大に利用して上記の情報を得ることができた。表面反応の基礎的理解は、ナノテクノロジーの進展に貢献すると期待できる。
高桑 雄二*; 石塚 眞治*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 山内 康弘*; 水野 善之*; 頓田 英樹*; 本間 禎一*
Applied Surface Science, 216(1-4), p.395 - 401, 2003/06
被引用回数:19 パーセンタイル:64.85(Chemistry, Physical)SPring-8の原研軟X線ビームラインBL23SUに設置した「表面反応分析装置」を用いてTi(0001)表面のO分子による酸化素過程を放射光による光電子分光法で実時間その場観察した。また、東北大学において反射高速電子線回折(RHEED)とオージェ電子分光(AES)によっても実時間その場観察を行った。酸素分圧を2
10
Torrから8
10
Torrの範囲とし、表面温度を473Kまたは673Kとした。光電子分光観察ではTi-2pとO-1s光電子スペクトルの時間発展を観察することで、清浄Ti表面がTiO
変化する様子が観察された。また、RHEED-AES測定においては反射電子線強度とO-KLLオージェ電子強度が時間に依存した振動構造を示した。これらの実験結果から酸化されたTi(0001)表面の粗さの変化は表面の金属層の消失ばかりでなく、酸化結合状態の変化にも関係していることが明らかとなった。
吉越 章隆; 盛谷 浩右; 寺岡 有殿
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 42(6B), p.3976 - 3982, 2003/06
被引用回数:6 パーセンタイル:27.75(Physics, Applied)Si(001)表面の熱酸化過程は、MOSFETのゲート絶縁膜形成において重要な反応系であり、ULSIの微細化により、酸化膜厚を数nmまで制御することが、ますます重要になっている。Oガス圧を1
10
Pa,表面温度を870Kから1120Kと変えたときの酸化反応を放射光Si2p及びO1s光電子分光法を用いて調べた。酸素吸着量の時間発展とその際のSi酸化状態の関係が明らかとなった。酸素吸着量の時間変化は、表面温度によりLangmuirタイプと自己触媒反応モデルという反応速度論に基づいた吸着特性で説明ができることがわかった。一方、Si2p光電子スペクトルから、この2つの酸化モデルにおけるSiの酸化状態の時間発展において、反応初期にSi
の構造が観測されないことが明らかとなった。固定したエネルギーで光電子強度を測定したこれまでの研究では明らかにできなかった情報を、今回、リアルタイム光電子分光測定により初めて明らかにすることができた。
鈴木 喜雄; 齋 和憲*; 松本 伸子*; 羽間 収
IEEE Computer Graphics and Applications, 23(2), p.32 - 39, 2003/04
被引用回数:6 パーセンタイル:51.46(Computer Science, Software Engineering)日本原子力研究所計算科学技術推進センターでは、ITBL実行計算機上で実行される数値シミュレーションの結果を可視化する、ITBL環境適合型可視化ソフトPATRAS/ITBL及びAVS/ITBLの実装及び開発を進めている。PATRAS/ITBLは、地理的に離れた場所に設置された複数台のスーパーコンピュータを有効に利用したシミュレーションに対して実時間可視化が行えるよう開発を行っている。一方、AVS/ITBLでは、AVS/Expressの機能拡張により、拠点サイトの可視化サーバから任意サイトのITBL実行計算機のディスクに置かれているデータを直接読みに行くことを可能としている。また、AVS/Expressによって可視化される画像に対して、ネットワークファイル(Vファイル) を指定するだけで、Webブラウザ上で表示できる機能も開発している。これら可視化システムの構造や機能について述べている。
平内 慎一; 篠崎 信一; 佐藤 文明*; 鈴木 康夫*; 横倉 賢治; 森山 伸一; 池田 佳隆
JAERI-Tech 2003-038, 39 Pages, 2003/03
JT-60U電子サイクロトロン加熱(ECH)装置は、周波数110GHzの高周波によりJT-60Uプラズマに対し局所加熱/電流駆動を行い、閉じ込め性能を向上させるものである。本装置は、4ユニットからなり各ユニットは、大電力の高周波を発生する大電力発振管(ジャイロトロン),それを駆動するための電源,発生した大電力高周波を伝送する伝送系及びプラズマに入射するアンテナなどから構成される。入射制御系の特徴は、プラズマ性能を向上させるため、アンテナの可動ミラ-を駆動してプラズマへの高周波ビームの入射方向を制御し、偏波変換器のミラ-を回転して高周波の楕円度や偏波角を任意に制御可能なことである。このシステムの設計、製作と運転経験をもとに行った改良について述べる。
篠崎 信一; 森山 伸一; 平内 慎一; 佐藤 文明*
JAERI-Tech 2003-032, 48 Pages, 2003/03
JT-60高周波加熱装置において、近年制御システムの老朽化にともなう稼働率の低下が大きな問題となっていた。そこで、トラブルの主原因となっていたCAMACから構成される入射制御系を、マイクロプロセッサに置き換え信頼性をあげるとともに、自動入射波形設定機能を導入し、オペレータの負担を大幅に軽減させた。また、装置の監視部にはパソコンとネットワーク通信を用いたシステムに更新しシステム全体の保守機能を向上させた。この結果、RF加熱装置の稼働率が大幅に向上した。
丸山 庸一郎; 加藤 政明
JAERI-Research 2002-040, 15 Pages, 2003/02
大気中の微量有害物質を遠隔からリアルタイムで測定するための波長可変光源としては色素レーザーが使われている。しかし、色素レーザーは、構造が複雑で取り扱いが難しく、実用的なリアルタイム計測用光源とはなり得ない。このため、1個の結晶で広い波長域においてレーザー発振が可能な光パラメトリック発振器(OPO)を実用化光源として選定し、その高繰り返し化,高エネルギー化を目指して研究を行った。実験では、高繰り返し化の第一段階としてOPOに-Barium Borate(BBO)結晶を用い、これをNd:YAGレーザーの第二高調波でポンピングし、繰り返し数0.5kHzにおける発振特性,波長変換特性を測定した。この結果、OPO発振閾値でのポンプ光ピーク強度は、約16MW/cm
であった。OPOの最大平均出力としては、5.4Wを45%のエネルギー変換効率で達成した。また、ポンプ光の平均パワーを14Wまで増加させた場合のOPO出力は、依然増大傾向を示し、熱的な悪影響は観測されなかった。
米川 出; 川俣 陽一; 戸塚 俊之; 赤坂 博美; 末岡 通治; 栗原 研一; 木村 豊秋; JT-60Uチーム
Fusion Science and Technology (JT-60 Special Issue), 42(2-3), p.521 - 529, 2002/09
被引用回数:5 パーセンタイル:33.81(Nuclear Science & Technology)この論文では、JT-60大電流化改造後(1991年)のJT-60制御システムの進展、及び数々の制御系の改良について、JT-60設計当初の考え方を含めて述べる。JT-60制御系は、構造的には階層構造を有し、機能面では分散制御の特徴を備えている。制御系を構成するハードウエア機器としては、当初はCAMACインターフエース、現在ではVME-busシステムを採用している。プラントの運転,監視を行うシステムはCAMACハイウエイとイサーネットを通信手段として用いている。プラズマ放電シーケンス制御は、VME-busシステムとタイミングシステムから構成されるシステムによって実行される。実時間プラズマ制御系とマンマシンインターフェースシステムは、これまで、JT-60の実験の進展に合わせて、継続的に改良されてきている。
村松 一弘; 齋 和憲*
JAERI-Data/Code 2002-017, 101 Pages, 2002/08
地球シミュレータ用の可視化システムを開発した。地球シミュレータ上でのシミュレーションと同時にクライアントにおいてその結果を視覚化することができ、計算を行っている最中に、その計算及び可視化の為のパラメータを変更することも可能である。グラフィカルユーザインターフェースはJava appletで構築されており、そのためウェブブラウザさえあればよく、OSに非依存である。本システムはサーバ機能,ポストプロセッシング機能,クライアント機能で構成されている。本稿ではサーバ機能及びポストプロセッシング機能の使い方を中心に報告する。
古野 朗子; 永井 晴康; 梅山 信昭; 茅野 政道
大気環境学会誌, 37(1), p.23 - 34, 2002/01
平成12年7月に噴火した三宅島雄山は大量の火山ガスを放出し続けており、これに起因するSO濃度上昇が東北から関西までの広い範囲で報告されている。本論文では、東海、関東地区を対象とした定常的な大気拡散予測を行うとともに、昨年10月から12月までの環境測定値との比較によって信頼性を検証した。さらに秋季の中部地方へのSO
の移流メカニズムの考察、三宅島からのSO
放出量推定を行った。拡散予測は、大気力学モデルによる気象場計算と粒子拡散モデルによる大気中濃度計算の組み合わせで行った。その結果、全般的に精度の高い実時間予測ができ、実時間予測システムとしての有用性が実証された。また、詳細計算を行うためには、降雨洗浄の効果を計算に含めることが重要であることがわかった。予測計算の結果とモニタリングデータの比較から推定した放出量は、2~5万t/dayであり、三宅島のSO
放出量測定値と矛盾しない結果となった。濃度上昇は、主に日本を覆っていた移動性高気圧が中心を日本の東海上に移し、気圧の谷が近づきつつあるパターンで発生した。平成12年10月下旬から11月上旬までの期間において高濃度出現が相次いだのは、この時期としては異常に太平洋高気圧の勢力が強く、日本付近が停滞前線や低気圧の影響を受けやすかったことに対応していると考えられる。