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富岡 大; 河内山 真美; 小曽根 健嗣; 仲田 久和; 坂井 章浩
JAEA-Technology 2024-023, 38 Pages, 2025/03
日本原子力研究開発機構は、我が国の研究施設等から発生する低レベル放射性廃棄物の浅地中埋設事業の実施主体である。これらの放射性廃棄物の放射能濃度に関する情報は、埋設事業の許可申請及びその適合性審査に向けた廃棄物埋設施設の設計や安全評価に不可欠である。このため、埋設事業センターでは、埋設対象廃棄物のうち試験研究用原子炉から発生する解体廃棄物について、放射化計算に基づく解体廃棄物の放射能評価手順の改良を進めている。今回、多群中性子スペクトルを用いてより精度の高い放射化計算が可能なORIGENコード(SCALE6.2.4に付属)の適用性を検討するため、これまで使用実績が多いORIGEN-Sコード(SCALE6.0に付属)との比較検証を行った。この検証では、炉心周辺の原子炉構造材の放射能分析データを取りまとめている立教大学研究炉の解体廃棄物を対象として両コードにより放射化計算を行った。その結果、ORIGENコードとORIGEN-Sコードの計算時間の差異はほとんどないこと、放射能濃度の評価値として前者は後者の0.81.0倍の範囲となり、放射化学分析による放射能濃度と概ね0.5
3.0倍の範囲でよく一致した結果から、ORIGENコードの適用性を確認した。さらに、原子炉構造材に含まれる微量元素の放射化を想定してORIGENコード及びORIGEN-Sコードによる放射化計算を行い、比較を行った。また、浅地中処分における被ばく線量評価上重要な170核種のうち大きな差が見られたものに対してその原因を核種毎に調べた。
中山 雅
JAEA-Review 2024-042, 111 Pages, 2024/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を再開し、350m調査坑道に新たに3本の坑道を掘削するとともに、東立坑および換気立坑の掘削を実施した。令和5年度末現在、350m調査坑道の拡張(坑道延長66m)を終了し、立坑の掘削深度は、東立坑で深度424m、換気立坑で深度393mである。また、令和5年2月から開始した幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行い、原位置試験や解析などの実施計画を検討するとともに、研究の進捗状況について確認、議論を行った。令和5年度末現在、原子力機構を含め、8つの国と地域から11の組織が参加している。幌延深地層研究計画の成果は、原子力機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
中山 雅
JAEA-Review 2024-033, 64 Pages, 2024/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」について、引き続き調査研究を行う。令和6年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や解析課題などに取り組む。また、物質移行試験について、掘削損傷領域を対象とした試験および有機物・微生物・コロイドの影響について取りまとめ、評価手法を整備する。さらに、ブロックスケールを対象とした物質移行について、稚内層深部を事例とした評価手法を取りまとめる。「処分概念オプションの実証」では、閉鎖技術の実証として、坑道掘削・閉鎖後の地質環境変化に関する調査試験結果などの整理・取りまとめを行うとともに、坑道内から掘削されたボーリング孔の閉塞技術の適用性や技術的な課題について取りまとめる。坑道スケールピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、調査・評価手法の整理や解析などを進める。また、高温度(100
C以上)等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験では、令和5年度に開始した原位置試験を継続し、ひと組の試験体を解体して100
Cを超える熱履歴を経た緩衝材の特性を確認する。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、地殻変動が地層の透水性に与える影響、ダクティリティインデックスを用いた透水性の評価手法・隆起侵食の影響の評価手法および水圧擾乱試験による断層の活動性(力学的な安定性)評価手法について取りまとめる。地下施設の建設・維持管理では、令和5年度に引き続き東立坑と換気立坑の掘削を行うとともに、湧水対策を実施した後に西立坑および500m調査坑道の掘削を開始する。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスクについて調査研究を継続する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2024-012, 122 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、更に特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。2年目の令和4年度は、1F模擬廃棄物の合成実験、各種放射線照射実験、浸出試験、ハイブリッド固化体の構造解析、固化元素の電子状態変化の放射光分析を行った。種々の計算でI固化体の固溶エネルギー、マトリクスと1次固化体との相互作用を解明した。実験と計算検討により、ヨウ素廃棄物にはマトリクスとしてSUSが適すると結論付けた。ハイブリッド固化体からの核種移行、被ばく線量に対する人工バリア、天然バリア機能の感度解析により、廃棄体寿命を長くすることが長半減期かつ難固定性のI-129には効果的であることが明らかとなった。以上により、廃棄物合成から廃棄物処分時の安全評価までの結節が達成された。
青野 竜士; 原賀 智子; 亀尾 裕
JAEA-Technology 2024-006, 48 Pages, 2024/06
日本原子力研究開発機構より発生した研究施設等廃棄物は、将来的に浅地中埋設処分する予定であり、処分を実施するまでには、廃棄物の放射能濃度を評価する方法を構築しなければならない。本報告では、動力試験炉(JPDR)から発生したコンクリート廃棄物に対する放射能濃度評価法を検討した。放射能濃度評価法の構築に当たっては、理論計算を主体として、放射化学分析による核種分析値を用いることで、評価の妥当性を確認した。評価対象として予備選定された核種において、核種分析値を用いて理論計算の結果を適切に補正することで、放射能濃度評価を行うことができる見通しを得た。
バックエンド推進部; 埋設事業センター
JAEA-Review 2023-037, 162 Pages, 2024/02
日本原子力研究開発機構では、研究施設等廃棄物の浅地中処分に向けて、廃棄物確認における技術基準への対応方法等の検討を進めている。令和4年度から「廃棄体製作基準検討委員会」を設置し、埋設事業センターにて検討中の廃棄物埋設施設を想定した暫定の廃棄物受入基準、廃棄体確認要領等の廃棄体製作に関する基準類の整備を進めていくこととした。令和4年度は、液体廃棄物のセメント固化体及び固体廃棄物の充填固化体に関する基準類を策定することとし、検討を進めた。また、廃棄物確認の方法が確立されていない課題の検討、解体廃棄物の合理的な処理方法の実証等を進めた。本報告書は、それらの内容についてまとめたものである。
中山 雅
JAEA-Review 2023-032, 159 Pages, 2024/02
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和4年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、水圧擾乱試験などによる緩衝能力の検証・定量化および地殻変動による人工バリアへの影響・回復挙動試験を実施した。また、国内外の機関と連携して研究開発を推進するため、幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)を令和5年2月から開始した。HIPの主な目的は、処分場の設計・操業・閉鎖や地層処分における先進的な安全評価技術や工学技術を開発・実証すること、また、参加機関の間でこれまでに開発された膨大な知識や経験を共有・移転することにより、次世代の技術者や研究者を育成することである。令和4年度末現在、原子力機構を含め、6つの国と地域から6つの組織がHIPに参加している。幌延深地層研究計画の成果は、日本原子力研究開発機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 丸山 一平*; 刈茅 孝一*; 齊藤 朱音*; 松井 裕哉; 望月 陽人; 勝田 長貴*; Metcalfe, R.*
Powering the Energy Transition through Subsurface Collaboration; Proceedings of the 1st Energy Geoscience Conference (Energy Geoscience Conference Series, 1), 20 Pages, 2024/00
多くの地下構造物の長期間の安全確保にあたっては、岩盤中に存在する断層や坑道近傍の掘削損傷領域を対象とした地下水流れの恒久的なシーリングが重要となる。しかし一般に用いられるセメント材では化学的な変質等によりそのような効果が期待できない。このため、天然で見られる炭酸塩鉱物によるコンクリーションに着目したコンクリーション化剤が開発された。本論文は、コンクリーション化剤に期待される性能を確認するため、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター地下施設を活用して実施した原位置試験結果をまとめたものである。原位置試験の結果、コンクリーション化剤は急速に硬化し1年間程度で掘削損傷領域の透水性を1/1000減少させるとともに、同施設近傍で起こった地震による影響と考えられる一時的な透水性の増加も再シーリングされ低下することが確認できた。これらのことから、この新しい技術は、多様な目的をもつ地下施設に適用可能であると考えられる。
中山 雅
JAEA-Review 2023-019, 70 Pages, 2023/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和5年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」について、引き続き調査研究を行う。令和5年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、国際共同研究DECOVALEX-2023において人工バリア性能確認試験を対象とした連成解析を行い、その結果について異なる解析コードによる解析結果との比較を通じて適用した解析コードの検証を行う。また、声問層に分布する割れ目を対象とした物質移行特性を評価するためのボーリング調査を継続する。「処分概念オプションの実証」では、搬送定置・回収技術の実証として、地下環境におけるコンクリートの劣化に関する試験および分析を継続する。また、閉鎖技術の実証として、350m調査坑道に新たに掘削する試験坑道の周辺を対象とした物理探査を行い、掘削直後における掘削損傷領域の割れ目の連続性や分布などの初期状態を把握するとともに、これまでに開発した物理探査技術の適用性を確認する。「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、過年度に実施した水圧擾乱試験の結果の解析や、岩石の強度・応力状態と断層/割れ目の水理学的連結性との関係に関する解析を継続する。地下施設の建設・維持管理では、掘削工事を再開し、350m調査坑道の拡張を行うとともに、深度500mに向けた立坑の掘削を開始する。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして幌延国際共同プロジェクトを本格的に実施する。このプロジェクトでは、令和2年度以降の必須の課題のうち、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA:物質移行試験、タスクB:処分技術の実証と体系化、タスクC:実規模の人工バリアシステム解体試験)を設定して調査研究を進める。
三成 映理子*; 樺沢 さつき; 三原 守弘; 牧野 仁史; 朝野 英一*; 中瀬 正彦*; 竹下 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(7), p.793 - 803, 2023/07
被引用回数:3 パーセンタイル:47.03(Nuclear Science & Technology)As a series of studies to evaluate impact of mixed-oxide (MOX) fuel in light-water reactors (LWRs), post-closure long-term safety for various vitrified high-level radioactive waste (HLW) arising from the different fuel cycle intends to recycle Pu are examined. In this study, four fuel cycle scenarios with different ratio of spent MOX generated and two reprocessing options for each fuel cycle scenario are considered. One reprocessing option considers disposal of vitrified HLW generated separately from the reprocessing of spent UO fuel and MOX fuel (separated HLW), and the other is blended vitrified UO
-MOX HLW (blended HLW) generated during reprocessing whereby MOX spent fuel is diluted by UO
spent fuel. First, the radionuclide inventories of those vitrified HLWs are discussed. Next, radionuclide migration analyses for geological disposal of those vitrified HLWs are evaluated. It has revealed that the disposal of blended HLW will not have an adverse effect on the long-term radiological impact compared to separated HLW. Results of this study can be used as a basis for considering the blending option as a viable alternative approach in the future for managing MOX fuel used in light-water reactors.
澤口 拓磨; 高井 静霞; 笹川 剛; 打越 絵美子*; 嶋 洋佑*; 武田 聖司
MRS Advances (Internet), 8(6), p.243 - 249, 2023/06
放射性廃棄物の中深度処分では、モニタリング用のボーリング孔内が適切に閉塞されているかを確認するための手法を事前に整備しておく必要がある。そこで本研究では、堆積岩地域を想定し、どのような埋戻し設計条件であればボーリング孔内が有意な移行経路とならないかを把握し、ボーリング孔閉塞に係る確認ポイントを明らかにするため、埋戻されたボーリング孔を有する水理地質構造に対する地下水流動解析を実施した。その結果、ボーリング孔や掘削損傷領域(BDZ)が移行経路とならないための条件として、ベントナイト系材料の透水係数を母岩と同等以下にすること、BDZにグラウトを充填することなどが示された。
坂井 章浩
デコミッショニング技報, (64), p.24 - 33, 2023/05
原子力機構は、実施主体として研究施設等廃棄物の埋設事業を進めている。他方、原子力規制委員会では、埋設事業に関わる安全規制及び基準の整備が行われてきた。本報告は、原子力機構の埋設事業の計画とそれに対応した原子力規制委員会の規制及び基準の整備について紹介する。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京工業大学*
JAEA-Review 2022-072, 116 Pages, 2023/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和3年度に採択された「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、更に特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。初年度の令和3年度は、1次固化体の合成と物性評価、核種浸出性の評価、放射線影響の解明、1次固化体の構造解析、放射光を用いた固化元素の電子状態、結合性、局所構造解析、計算科学を用いた1次固化体ならびにハイブリッド固化体物性の解明、溶出モデルの検討、ハイブリッド固化体の検討、処分概念・安全評価の検討について準備が完了し、リファレンスの1次固化体とHIP試料の作製、その物性評価、放射線照射実験、放射光実験、第一原理計算の成果が得られている。
坂井 章浩
第33回原子力施設デコミッショニング技術講座テキスト, p.31 - 63, 2023/02
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体として、ピット処分及びトレンチ処分の埋設事業の計画を進めている。本報告では、原子力機構が計画している埋設処分事業について、(1)研究施設等廃棄物の発生施設や放射能インベントリの特徴と想定しているピット処分及びトレンチ処分施設の構造、(2)埋設処分するための主な性状の廃棄物の受入基準の検討状況、(3)2021年に整備されたウラン廃棄物の埋設処分に係る基準の考え方の内容を紹介した。
中山 雅
JAEA-Review 2022-026, 66 Pages, 2022/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している。令和4年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した研究課題である、実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証について、引き続き調査研究を行う。令和4年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」については、人工バリア性能確認試験において廃棄体の発熱がおさまった条件を模擬した試験を継続するとともに、物質移行試験において有機物・微生物・コロイドの影響を考慮した物質移行試験および声問層に分布する割れ目を対象とした物質移行試験を評価するためのボーリング調査に着手する。「処分概念オプションの実証」については、搬送定置・回収技術の実証として、地下環境におけるコンクリートの劣化に関する試験、分析を継続する。閉鎖技術に実証として、埋め戻し材の性能を変化させる要因となり得るベントナイトの流出挙動の発生メカニズムを検討するための室内試験を継続し、膨潤変形挙動に係るデータの拡充を図る。また、ボーリング孔を閉塞する原位置試験を行い、閉塞方法の適用性評価を行う。「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」については、過年度に実施した水圧擾乱試験の結果の解析や、断層/割れ目の水理学的連結性に関する解析を、令和3年度に再検証したダクティリティインデックスモデルを用いて行う。地下水の流れが非常に遅い領域(以下、化石海水)を調査・評価する技術の高度化として、化石海水領域の三次元分布を確認するためのボーリング調査を継続する。
中山 雅
JAEA-Review 2022-025, 164 Pages, 2022/11
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している。令和3年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した研究課題である、実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証について、調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、水圧擾乱試験などによる緩衝能力の検証・定量化および地殻変動による人工バリアへの影響・回復挙動試験を実施した。幌延深地層研究計画の成果は、日本原子力研究開発機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
中山 雅
JAEA-Review 2021-053, 133 Pages, 2022/02
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているものである。令和2年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した研究課題である、実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、処分概念オプションの実証、地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証について、調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界的条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、水圧擾乱試験などによる緩衝能力の検証・定量化および地殻変動による人工バリアへの影響・回復挙動試験を実施した。幌延深地層研究計画の成果は、日本原子力研究開発機構における他の研究開発拠点での成果と合わせて一連の地層処分技術として、処分事業や安全規制に適宜反映していく。そのため、国内外の研究機関との連携を図り、大学などの専門家の協力を得つつ、本計画を着実かつ効率的に進めていく。また、研究開発業務の透明性・客観性を確保する観点から研究計画の策定から成果までの情報を積極的に公表し、特に研究成果については国内外の学会や学術誌などを通じて広く公開していく。
Ochs, M.*; Dolder, F.*; 舘 幸男
Applied Geochemistry, 136, p.105161_1 - 105161_11, 2022/01
被引用回数:7 パーセンタイル:58.41(Geochemistry & Geophysics)さまざまな種類の放射性廃棄物や環境中に含まれる有機物は、放射性核種との安定な錯体を形成し、収着による遅延効果を低減させる可能性がある。本研究では、有機配位子が共存するセメントシステムにおける収着低減係数(SRF)を定量化する方法論の適用性を評価する。SRFの推定のための3つの手法、(1)溶解度上昇係数との類似性、(2)熱力学的計算に基づく化学種分布、(3)三元系での収着実測データを組合わせ、代表的な有機配位子(ISAおよびEDTA)および選択された主要な放射性核種(アクチニド)を対象に評価を行った。ここで提案した手法により、評価対象とするシステムに関連する利用可能なデータ等の情報量に応じて、3つのSRFの定量化手法の有効性を評価することが可能である。最も信頼できるSRFは、三元系での収着実測データから導出することができる。そのような直接的な証拠がない状況でSRFを導出する必要がある場合、類推評価や熱力学計算からの推定を行うことになるが、それらの推定には不確実性を伴うことに留意する必要がある。
Park, Y.-J.*; 澤田 淳; 小堤 健紀*; 田中 達也*; 橋本 秀爾*; 森田 豊*
Proceedings of 3rd International Conference on Discrete Fracture Network Engineering (DFNE 2022) (Internet), 8 Pages, 2022/00
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価には地層中の長期にわたる地下水流動と核種移行プロセスの把握が求められる。沿岸部地下環境において、地下水流動は海水起源の塩水と陸水起源の淡水の密度差による複雑な相互作用の影響を受ける。加えて、数百万年の長期においては、海進・海退に伴う海水準変動の影響を受ける。本研究では、そのような沿岸域における亀裂性の結晶質岩を対象とした処分場の地下水流動と核種移行を評価するため、塩分濃度と地下水流速などの地下水環境の長期的な変遷を評価するための広域スケールとブロックスケールを組み合わせた評価フレームを構築した。
保田 浩志*; 麓 弘道*; 齋藤 龍郎
日本原子力学会誌ATOMO, 63(8), p.610 - 614, 2021/08
自然起源の放射性核種であるウラン及びその子孫核種によって汚染されたもの、いわゆる「ウラン廃棄物」の取扱いについては、近年原子力規制委員会等において自然科学や安全工学等の知見に基づき集中的な審議が行われ、令和3(2021)年3月現在、一定の方針が示されている。一方、筆者らは、将来世代に相当の負担をもたらし得るウラン廃棄物の処分にあたっては、これまで行われてきたような理工学的視点の検討だけでなく、人文・社会科学的視点からの考察が必要であると考え、関連する分野の専門家を交えた議論を進めてきた。本報では、そうした考えをもたらした背景や今後予定している議論の方向性等について紹介する。