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大谷 恭平; 加藤 千明; 五十嵐 誉廣
Corrosion, 79(11), p.1277 - 1286, 2023/11
A novel corrosion inhibitor of carbon steel in fresh water using Al lactate was proposed and its corrosion-inhibition mechanism was investigated. 0.75 mM Al lactate and 0.25 mM sodium molybdate were the most inhibitive to the corrosion of carbon steel in 3 mM NaCl. Al and MoO in solution formed the metal cation layer on carbon steel with few defects, and the layer did not contain Fe. The metal cation layer on carbon steel inhibited both the cathodic oxygen reduction reaction and anodic iron dissolving reaction and thus enhances the corrosion protection of carbon steel in fresh water.
平戸 未彩紀*; 横谷 明徳*; 馬場 祐治*; 森 聖治*; 藤井 健太郎*; 和田 真一*; 泉 雄大*; 芳賀 芳範
Physical Chemistry Chemical Physics, 25(21), p.14836 - 14847, 2023/05
被引用回数:2 パーセンタイル:45.51(Chemistry, Physical)To understand the mechanism underlying the high radio-sensitization of living cells possessing brominated genomic DNA, X-ray photoelectron spectroscopy was used. It was found that the bromine atom significantly reduced the energy gap between the valence and conduction states, although the core level states were not greatly affected.
高畠 容子; 渡部 創; 入澤 啓太; 塩飽 秀啓; 渡部 雅之
Journal of Nuclear Materials, 556, p.153170_1 - 153170_7, 2021/12
被引用回数:5 パーセンタイル:47.47(Materials Science, Multidisciplinary)The long-time experimental activities on pyroprocessing have generated waste eutectic salts contaminated with nuclear materials. After reprocessing tests, waste salts should be appropriately treated, with a focus on Cl disposal considering its corrosive nature. It is important to construct Cl confinement for the waste salts. Chlorapatite (Ca(PO)Cl) has great potential for Cl confinement due to Ca and P. The chemical reactivity of Cl will be drastically reduced if chlorapatite can be synthesized in calcium aluminate cement modified with sodium polyphosphate (CAP) containing CsCl. This study confirms the chemical state of Cl and metal elements in the cement by XRD, XPS, and XANES in the CAP containing CsCl. The analyses results suggest the existence of the Ca-Cl-Cs and Al-Cl-Cs bonds in CAP containing CsCl. The formation of the chemical bonds of Cl with metal elements might be one of important factors for the chlorapatite formation from the CAP containing CsCl.
豊田 智史*; 山本 知樹*; 吉村 真史*; 住田 弘祐*; 三根生 晋*; 町田 雅武*; 吉越 章隆; 鈴木 哲*; 横山 和司*; 大橋 雄二*; et al.
Vacuum and Surface Science, 64(2), p.86 - 91, 2021/02
X線光電子分光法における時空間的な測定・解析技術を開発した。はじめに、NAP-HARPES (Near Ambient Pressure Hard X-ray Angle-Resolved Photo Emission Spectroscopy)データにより、ゲート積層膜界面の時分割深さプロファイル法を開発した。この手法を用いて時分割ARPESデータからピークフィッティングとデプスプロファイリングを迅速に行う手法を確立し、4D-XPS解析を実現した。その結果、従来の最大エントロピー法(MEM)とスパースモデリングのジャックナイフ平均法を組み合わせることで、深さ方向プロファイルを高精度に実現できることがわかった。
平尾 法恵; 下山 巖; 馬場 祐治; 和泉 寿範; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一
分析化学, 65(5), p.259 - 266, 2016/05
被引用回数:4 パーセンタイル:13.50(Chemistry, Analytical)福島原子力発電所事故後の放射能汚染の主な原因であるCsは土壌中の粘土鉱物に強く固定されており、土壌除染のため様々なCs除去法が開発されている。本手法は、乾式法によるCs除去法として、乾式法における処理温度の低減を目的とし、真空溶融塩処理法を提案する。非放射性Csを飽和収着させたバーミキュライトを真空加熱し、X線光電子分光法を用いて加熱前後のCs含有量変化を分析した。バーミキュライトのみを用いた場合は、800C 3分間の加熱で約4割のCsが除去された。NaCl/CaCl混合塩をバーミキュライトに添加した場合は、450C 3分間の加熱で約7割のCsが除去されることを見いだした。これらの結果から真空溶融塩処理法による大幅な処理温度の低下と除去効率の向上が期待できる。
Uddin, M. N.; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 永野 正光*
Applied Surface Science, 241(1-2), p.246 - 249, 2005/01
被引用回数:8 パーセンタイル:36.48(Chemistry, Physical)類似化合物であるグラファイトと六方晶窒化ホウ素はそれぞれ半金属と絶縁体であって電子構造は全く異なる。これにより両者のハイブリッド材料(B-C-Nハイブリッド)半導体的性質を持つことが期待されている。われわれはB-C-Nハイブリッドを合成するためにグラファイトにボラジン(BNH)をイオン注入することによりB-C-Nハイブリッド合成を試みた。実験は高エネルギー加速器研究機構放射光施設で行った。室温及び、YAGレーザーで600Cに加熱したグラファイトに3keVに加速したボラジンのプラズマをさまざまなフルエンスで打ち込み、B原子周囲の化学結合状態について光電子分光法(XPS)を用いて調べた。室温,600CでのB1s XPSスペクトルはともにB-C, B-N, B-C-N結合に由来するさまざまな成分を示したが、各成分の強度比は温度とフルエンスに大きく依存した。特にB-C-Nに帰属されるピークは室温で合成した試料に比し600Cで合成した試料において大きく成長し、ドミナントな成分になることが確認された。この結果によりB-C-Nハイブリッドは高温でのイオン注入により優先的に合成されることを示した。
藤枝 信次*; 三浦 喜直*; 西藤 哲史*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆
Microelectronics Reliability, 45(1), p.57 - 64, 2005/01
被引用回数:11 パーセンタイル:51.06(Engineering, Electrical & Electronic)界面準位測定・電子スピン共鳴・シンクロトロン放射光XPSを行って、プラズマ窒化酸化膜の負バイアス温度不安定性(NBTI)が主として界面Siダングリングボンド(Pセンター)からの水素脱離で起こることを明らかにした。NBTIでは非P欠陥も生成されるが、窒素ダングリングボンドは含まれない。プラズマ窒化はSiO/Si界面のストイキオメトリを劣化・界面準位を増加させるとともに、新たなP欠陥を生成する。窒化起因NBTIはこの界面欠陥の量的・質的変化に起因すると考えられる。
馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; Nath, K. G.
Applied Surface Science, 237(1-4), p.176 - 180, 2004/10
被引用回数:9 パーセンタイル:43.44(Chemistry, Physical)炭化ケイ素(SiC)はシリコンに代わる次世代の半導体物質として期待されている。SiC薄膜の製造法の一つに、有機ケイ素化合物を用いた蒸着法が知られており、ミクロンオーダーの厚みを持つSiC薄膜が合成されている。本研究では、ナノメートルオーダーの厚みを持つ極薄SiCの構造を調べるため、テトラメチルシランを放電気体として用いたイオンビーム蒸着法により1原子層以下のSiCをグラファイト上に堆積させ、その電子構造を放射光光電子分光法,X線吸収微細構造法により調べた。その結果、0.1ナノメーターの厚みの蒸着層を850Cまで加熱すると、バルクのSiCと異なった二次元構造を持つSiCが生成することがわかった。この物質のX線吸収微細構造スペクトルの偏光依存性を測定したところ、Si原子周辺に*軌道的な性質を持つ軌道が存在し、この*軌道が表面に垂直であることがわかった。このことから、得られたSiC膜は、グラファイトと同様な二次元状の構造をとることが明らかとなった。
佐々木 政義*; 森本 泰臣*; 木村 博美*; 高橋 幸司; 坂本 慶司; 今井 剛; 奥野 健二*
Journal of Nuclear Materials, 329-333(1), p.899 - 903, 2004/08
被引用回数:5 パーセンタイル:28.95(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉用電子サイクロトロン波加熱(ECH)装置における真空窓として使用するCVDダイヤモンドの線照射実験を行った。照射にはコバルト60の線源を使用し、ITERにおいて10年間の照射量に相当する約16kGyまで照射を行うと同時に、XPSにより構造変化を測定した。その結果、spC+spCに対するspCの比が、酸素+炭素に対する酸素の比とほぼ等しいことがわかった。また、それらの比は3kGyまでは減少し、それ以降12kGyまでは上昇するということが判明した。これは、照射によりカルボニル基から酸素とspCへの分離の可能性を示唆しており、線照射による化学構造変化に対して、酸素の役割が非常に重要であると考えられる。
佐々木 政義*; 森本 泰臣*; 木村 宏美*; 高橋 幸司; 坂本 慶司; 今井 剛; 奥野 健二*
Journal of Nuclear Materials, 329-333(Part1), p.899 - 903, 2004/08
核融合炉用ミリ波帯高周波加熱システムのトーラス窓(高周波窓)の窓材として、CVDダイアモンドは標準となっている。トーラス窓は、トリチウム障壁としての役割も担うことから、トリチウムやヘリウム,放射性ダスト環境下にあり、したがって、ダイアモンドの化学構造に対する水素同位体等の影響を解明することは重要である。本研究では、窓と同一グレードのCVDダイアモンド試料(=10.0mm, t=0.21mm)を、アルゴンイオンビームスパッタリング(E=1keV)による酸素等の不純物除去の後に、重水素及びヘリウムイオンを照射した。照射エネルギーはそれぞれ0.25keV, 0.45keVである。照射サンプルをX線光電子分光(XPS)測定によって調べたところ、C1ピークが低エネルギー側にシフトしていることが観測された。この結果は、ダイアモンドがC-D結合によりアモルファス化したことを示唆している。
馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; Nath, K. G.
Applied Surface Science, 234(1-4), p.246 - 250, 2004/07
被引用回数:10 パーセンタイル:46.22(Chemistry, Physical)炭化ケイ素(SiC)は耐熱性,化学的安定性を持つワイドギャップ半導体としての応用が期待されている材料である。しかしSiC結晶はsp結合でできており固体表面では3次元的に成長するため、数原子層以下の薄膜化は難しい。しかし最近、sp結合でできたグラファイト状の構造を持つSiC単原子層が安定に存在するという理論計算が報告された。本研究はこれを実験的に確かめるため、グラファイト単結晶表面にイオンビーム蒸着法で作成した単原子層以下のSiCの構造をX線光電子分光法(XPS),X線吸収微細構造法(XANES)などの放射光を用いた内殻分光法で調べた。その結果、XPSの化学シフト及びXANESのピークエネルギーなどから、バルクのSiCと異なる構造を持つ二次元状SiCの存在を示唆する結果が得られた。また、XANESスペクトルの偏光依存性から、この二次元相がグラファイトと類似の構造を持つことが明らかとなった。
Nath, K. G.; 下山 巖; 関口 哲弘; 馬場 祐治
Applied Surface Science, 234(1-4), p.234 - 239, 2004/07
被引用回数:7 パーセンタイル:37.12(Chemistry, Physical)ナノクラスター,ナノ粒子など、ナノメートルスケールの大きさを持つ物質の構造と物性の解明はナノテクノロジーの分野では極めて重要な課題となっている。代表的な半導体物質であるシリコンの場合、ナノメートルスケールの幅を持つ線状物質であるシリコンナノワイヤーが注目を集めており、ナノテクノロジーへの応用も期待されている。本研究では、化学的に不活性なグラファイト表面にシリコンナノワイヤーを生成させ、その酸化反応を光電子分光法により調べた。その結果、幾つかのナノ構造を持つ薄膜は、バルクのシリコンに近い構造を持つ厚い膜に比べて酸化しにくいことを見いだした。とくに0.4オングストロームの厚みの極薄膜は、全く酸化が起こらないことが明らかとなった。これらの酸化反応の違いを、ナノクラスターの立体構造及びクラスターサイズとの関係において詳細に議論した。
大矢 恭久*; 森本 泰臣*; 小柳津 誠*; 廣畑 優子*; 柳生 純一; 三代 康彦; 後藤 純孝*; 杉山 一慶*; 奥野 健二*; 宮 直之; et al.
Physica Scripta, T108, p.57 - 62, 2004/00
JT-60Uにおいて両側排気時期に使用された外側ダイバータタイル中の水素同位体挙動をSIMS,XPS,SEMを用いて調べた。その結果、タイル中央部分では水素同位体濃度が低 く、タイル両側で高いことがわかった。下側排気ポート近くで水素同位体濃度が最も 高く、この部分に多く観察される再堆積層中に存在している可能性が示唆された。タイル中央部では再堆積層に替わってエロージョンが支配的である。放電時にタイル表面温度が上昇し、水素同位体の多くが除去されたと推察できる。一方、上部ではタイル中央部ほどストライクポイントの頻度が少ないことから、表面に重水素放電後に実施した水素放電による水素が滞留している。また、タイル内部のカーボンファイバー上に再堆積層が存在しており、表面はエロージョンが支配的であるが、内部の堆積膜中には水素同位体が存在している可能性が示唆された。これらの結果より、外側ダイバータ部では主にエロージョンが支配的であるが、ストライクポイントの頻度が少ない場所において再堆積層が存在し、その内部に水素同位体が存在していること,タイル表面における水素同位体挙動はタイルの温度,損耗の効果,ストライクポイントの位置・頻度に大きく影響を受けること等が明らかとなった。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.; 佐々木 政義*; 奥野 健二*
Journal of Vacuum Science and Technology A, 21(6), p.1843 - 1848, 2003/11
被引用回数:6 パーセンタイル:27.97(Materials Science, Coatings & Films)炭素同素体と窒化ホウ素(BN)の多形は互いに類似した結晶構造を持ち、そのハイブリッド化合物(B-C-Nハイブリッド)は新しい半導体材料となることが期待されている。しかしその合成方法は未だ十分確立されてはいない。われわれはイオン注入法によりB-C-Nハイブリッドの合成を試み、X線光電子分光法(XPS)を用いてその状態分析を行った。無機ベンゼンとして知られるボラジン(BNH)をイオン化し、得られるボラジンプラズマを3keVに加速してグラファイトにイオン注入を行った。得られた試料のXPSスペクトルはボラジンプラズマのドーズ量に依存して変化した。低ドーズにおいては、グラファイト表面にボラジンプラズマがイオン注入されることによりB-C, B-N, C-N結合に起因した光電子ピークが観測されたが、ドーズ量が増えるにつれグラファイト上にBNが堆積することによってB-N結合に起因した光電子ピークのみが観測された。これはグラファイト基板とBN薄膜との界面にB-C-Nハイブリッドが形成されたことを示している。
Nath, K. G.; 下山 巖; 関口 哲弘; 馬場 祐治
Journal of Applied Physics, 94(7), p.4583 - 4588, 2003/10
被引用回数:16 パーセンタイル:53.64(Physics, Applied)グラファイト表面に蒸着した低次元のシリコン及びゲルマニウムの電子構造を放射光光電子分光法により調べた。Si 1s, Ge 2p, C 1s光電子スペクトルによると、シリコン及びゲルマニウムと基板のグラファイトとの化学的相互作用はほとんどなく、蒸着層は元素状態で存在するが、これらの電子構造は蒸着層の厚みに依存して変化することがわかった。すなわち、5.5オングストロームのシリコン、及び4.2オングストロームのゲルマニウムは、ほぼバルクと同様の電子構造をとるが、2.7オングストロームのシリコン、及び0.3オングストロームのゲルマニウムの光電子スペクトルでは、バルクより高結合ネルギー側に新たなピークが認められた。これらの高結合エネルギーのピークはナノメートルスケールのクラスターがポリマー化したチェインからできたナノワイヤーによるものであると結論した。
森本 泰臣*; 佐々木 政義*; 木村 宏美*; 坂本 慶司; 今井 剛; 奥野 健二*
Fusion Engineering and Design, 66-68, p.651 - 656, 2003/09
被引用回数:3 パーセンタイル:25.50(Nuclear Science & Technology)核融合炉の高周波加熱・電流駆動装置では、高周波(電磁波)をトーラスに入射するための窓が不可欠で、その真空封止窓の材料として人工ダイヤモンドが注目されている。この人工ダイヤモンドのイオン照射や加熱による化学状態変化を、X線光電子分光法(XPS)により調べた。加熱前後のC 1sの結合エネルギーの変化から、高温加熱により、ダイヤモンド構造が、グラファイト化することが、明らかとなった。さらに、Ar照射により、化学状態が複雑な挙動を示すことがわかった。
吉田 崇宏; 山口 徹治; 飯田 芳久; 中山 真一
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(9), p.672 - 678, 2003/09
被引用回数:44 パーセンタイル:91.81(Nuclear Science & Technology)高pH条件下において、負電位のアルミナ表面へのPb(II)イオンのバッチ吸着実験、及びX線光電子分光法(XPS)による表面分析と分子軌道法による吸着質の化学計算を行った。バッチ法による吸着実験の結果から、Pb(II)の-AlOへの吸着はpHが11から13に増加するにつれて減少した。また吸着に対するNa濃度依存性はほとんどみられなかった。XPS分析により、高pH条件下においてアルミナに吸着したPbの化学状態は、中性pHの場合と同等であり、二座配位の表面錯体構造による吸着が示唆された。またアルミナ及びPbの電荷状態から、Pbの吸着は内圏型表面錯体であるにもかかわらず共有結合性の性格が弱いことが示唆された。分子軌道法によりPb(OH)はPb(OH)に比べて最低空軌道(LUMO)が約6eV高く、負に帯電したアルミナ表面には吸着しずらくなることが示唆された。
斉藤 健; 山本 博之; 山口 憲司; 仲野谷 孝充; 北條 喜一; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.321 - 325, 2003/05
被引用回数:7 パーセンタイル:46.64(Instruments & Instrumentation)放射光を利用したX線光電子分光法(XPS)を用い、-FeSiの表面酸化過程を解析した。Si(111)基板表面に-FeSiを生成後、約2日間大気曝露を行い、表面酸化を試みた。XPSによりシリサイド表面の非破壊深さ方向分析を行った結果、シリサイドはアイランド状の構造をとっており、基板のSi表面も一部露出した構造をとっていることが明らかとなった。シリサイド精製時のアニール温度や初期膜厚の違いにより、表面組成が異なることが明らかとなった。シリサイド表面がSiリッチな状態の試料に関し表面酸化を行った場合には、表面に非常に薄いSiO薄膜が生成し、シリサイドがほとんど酸化されなかった。しかしながら、Feリッチな試料の場合にはシリサイドが著しく酸化されることが確認された。このことから、表面付近に生成するSiO酸化物相がシリサイド薄膜の酸化保護膜として機能していることが推測された。
後藤 純孝*; 柳生 純一; 正木 圭; 木津 要; 神永 敦嗣; 児玉 幸三; 新井 貴; 田辺 哲朗*; 宮 直之
Journal of Nuclear Materials, 313-316, p.370 - 376, 2003/03
被引用回数:47 パーセンタイル:93.00(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UのW型ダイバータ領域で使用された黒鉛タイル表面上の損耗・再堆積膜分布を測定した。タイルの使用時期は1997年6月-1998年10月のプライベートフラックス領域内側からの片側排気時期で、2度のボロニゼーション、約3000回以上のD-D放電が実施された。トロイダル方向の損耗深さをダイヤルゲージにより、また再堆積膜厚さは断面SEM観察により実測し、膜の元素組成と膜中のホウ素の化学結合状態をX線光電子分光法(XPS)で解析した。外側ダイバータ板表面は損耗が支配的で、最大損耗深さ20マイクロメータが、また内側ダイバータ板では再堆積が支配的で、再堆積膜最大厚さは60マイクロメータであった。再堆積膜の下部は柱状微構造で、厚い膜では層状構造との多層構造が観察された。再堆積膜の組成は主成分の炭素の他、3-4%のホウ素,0.6%以下の酸素、Ni,Fe,Crであり、ホウ素は炭素と結合している可能性が最も高い。一方ドーム領域では、外側ウィング及び頭頂部タイル上では連続的な再堆積膜は観察されず、内側ウィングタイルの上部領域には20マイクロメータ厚さの再堆積膜が認められた。損耗・再堆積のポロイダル非対称性はダイバータ領域におけるプラズマ粒子負荷条件の内外非対称性(内側がより低温・高密度)に起因すると解釈された。
馬場 祐治
Low Temperature Physics, 29(3), p.228 - 242, 2003/03
被引用回数:54 パーセンタイル:51.76(Physics, Applied)固体表面に低温で吸着した分子の内殻軌道電子を、放射光軟X線によって選択的に光励起することができる。この特長をうまく使うと、特定の元素を含むフラグメントを表面から選択的に脱離させたり、特定のサイトや化学結合を選択的に切断することができる。そこで、どのような場合にこのような内殻電子励起による選択的な脱離を起こすことができるかについて、さまざまな実例をあげながらわかりやすく解説した。内殻電子励起後の主なエネルギー緩和過程はオージェ遷移であるため、種々の励起エネルギーにおけるオージェ遷移と脱離イオン種,脱離イオン強度の関係を特に詳細に議論した。その結果、内殻軌道から価電子帯の反結合性の非占有軌道へ共鳴励起された電子が、この軌道に一定の時間局在することによって起こる速い結合解裂が選択的な脱離にとって極めて重要であることを明らかにした。