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論文

Dosimetry of radon progeny deposited on skin in air and thermal water

迫田 晃弘; 石森 有; 神崎 訓枝; 田中 裕史; 片岡 隆浩*; 光延 文裕*; 山岡 聖典*

Journal of Radiation Research (Internet), 62(4), p.634 - 644, 2021/07

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Biology)

大気中の放射能濃度、皮膚の標的細胞、皮膚を覆う物質、沈着速度など多くの関連パラメータに不確実性はあるが、ラドン子孫核種からの皮膚線量は無視できるほど小さくはなく、通常の環境下においても生体影響の可能性はあり得るとされている。一方で、ラドンに富む温泉水に皮膚をさらすことで、免疫反応が起こり有益な健康効果が得られるという興味深い報告がなされた。本研究の目的は、リスクや効能の評価の観点から、空気や水に含まれるラドン子孫核種の皮膚沈着に着目して、一般的な線量係数を求めることである。そこで我々はまず、最新のヒト研究のデータに基づいて、2つの媒体におけるラドン子孫核種の皮膚沈着速度を推定した。次いで、アルファ線源の位置と標的細胞(基底細胞またはランゲルハンス細胞)に関する異なる仮定の下で、皮膚線量の計算を行った。さらに、「ラドン被ばく」に関連するすべての被ばく経路からの実効線量に対するラドン子孫沈着の影響について、様々な曝露シナリオを用いて評価した。その結果、いずれの媒体(空気と水)においても、ラドン子孫核種の吸入による実効線量は、他の被ばく経路よりも1桁から4桁高いことがわかった。さらに、水中のラドン濃度が空気中よりも2桁以上高い場合には、皮膚への吸収線量が全経路の中で最も高くなる可能性が示された。

論文

表面波計測による花崗岩の音響異方性評価に関する研究

岡野 蒼*; 木本 和志*; 松井 裕哉

第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.633 - 636, 2021/01

花崗岩がマイクロクラックの配向のために音響異方性を示すこと、そのため、音響異方性の測定結果からマイクロクラックの配向性や密度を非破壊的に評価できる可能性があることはよく知られている。従来の岩石コア弾性波試験は、弾性波透過試験により音響異方性の評価が行われてきたが、この方法は現場計測や不整形な供試体への適用が難しい。そこで本研究では、表面波を使った花崗岩の音響異方性評価を試みた。具体的には、円柱状の花崗岩供試体端面に設置した超音波探触子で、供試体直径方向に伝播する表面波を励起させる。この方法により、送信方向を一定の角度で段階的に変化させたときの表面波振幅や速度、周波数の変化を見ることで、音響異方性の程度を調べた。その結果、マイクロクラックによる見かけの剛性変化に起因すると考えられる音響異方性が、表面波を計測することによって検出できることが示された。

論文

Soft X-ray irradiation induced metallization of layered TiNCl

Kataoka, Noriyuki*; Tanaka, Masashi*; Hosoda, Wataru*; Taniguchi, Takumi*; 藤森 伸一; Wakita, Takanori*; Muraoka, Yuji*; Yokoya, Takashi*

Journal of Physics; Condensed Matter, 33(3), p.035501_1 - 035501_6, 2021/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Condensed Matter)

We have performed soft X-ray spectroscopy in order to study thephotoirradiation time dependence of the valence band structure and chemicalstates of layered transition metal nitride chloride TiNCl. Under the soft X-ray irradiation, the intensities of the states near the Fermi level ($$E_{rm F}$$)and the Ti$$^{3+}$$ component increased, while the Cl 2$$p$$ intensity decreased. Ti2$$p$$-3$$d$$ resonance photoemission spectroscopy confirmed a distinctive Fermiedge with Ti 3$$d$$ character. These results indicate the photo-inducedmetallization originates from deintercalation due to Cl desorption, and thusprovide a new carrier doping method that controls the conducting propertiesof TiNCl.

報告書

ラドンを代表としたアルファ核種の吸入による内部被ばくの横断的生体影響(委託研究); 令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉環境国際共同研究センター; 岡山大学*

JAEA-Review 2020-029, 55 Pages, 2020/12

JAEA-Review-2020-029.pdf:2.08MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和元年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度に採択された「ラドンを代表としたアルファ核種の吸入による内部被ばくの横断的生体影響」の令和元年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、廃炉工程で発生する$$alpha$$ダスト対策に係る被ばく影響評価を目的としている。すでに先行研究の多い$$alpha$$線放出核種のラドンを用い、体内で$$alpha$$線を放出した際に周辺細胞に与える影響の推定と組織レベル・個体レベルでの生物学的応答を検討する。研究組織の分野横断的な有機的連携により、$$alpha$$線放出核種の内部被ばくによる健康影響評価モデルの構築を目指す。

報告書

ラドンを代表としたアルファ核種の吸入による内部被ばくの横断的生体影響評価(委託研究); 平成30年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業

廃炉国際共同研究センター; 岡山大学*

JAEA-Review 2019-024, 61 Pages, 2020/01

JAEA-Review-2019-024.pdf:2.22MB

日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉国際共同研究センター(CLADS)では、平成30年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度「ラドンを代表としたアルファ核種の吸入による内部被ばくの横断的生体影響評価」について取りまとめたものである。本研究は、体内で$$alpha$$線を放出した際に周辺細胞に与える影響の推定、$$alpha$$線の被ばくによる個体レベルでの生物学的応答の検討を既に先行研究の多い$$alpha$$線放出核種のラドンを用いた影響評価により、$$alpha$$核種の内部被ばくによる健康影響評価モデルの構築を、研究組織の分野横断的な有機的連携を行うことで研究拠点形成を目指す。

論文

超音波計測に基づく花崗岩中の表面波伝播特性に関する研究

木本 和志*; 岡野 蒼*; 斎藤 隆泰*; 佐藤 忠信*; 松井 裕哉

土木学会論文集,A2(応用力学)(インターネット), 76(2), p.I_97 - I_108, 2020/00

本研究は、ランダム不均質媒体における表面波の伝播挙動、超音波計測と波形解析によって調べたものである。超音波計測実験には、粗粒結晶質岩である花崗岩をランダム不均質媒体として用い、線集束型の圧電探触子で励起した表面波をレーザードップラー振動計で計測する。計測波形の解析は周波数領域で行い、フェルマーの原理に基づいて各波形観測点での到達時間を求める。この方法で得られた到達時間のアンサンブルから、到達時間が従う確率分布を伝播距離の関数として評価する。次に、確率分布の標準偏差を到達時間の不確実性(ゆらぎ)の指標として用い、伝播距離に応じたゆらぎの伝播挙動を調べる。以上の波形解析結果から、本研究に用いた花崗岩試料における到達時間のゆらぎは、概ね伝播距離の1/2乗と平均到達時間の積に比例することを明らかとする。このことは、ランダム不均質媒体における統計的波動伝播モデリングにおいて有用な知見となる。

報告書

結晶質岩を対象とした連成現象が長期挙動におよぼす影響に関する研究(2)および(3)(共同研究)

市川 康明*; 木本 和志*; 松井 裕哉

JAEA-Research 2019-005, 32 Pages, 2019/10

JAEA-Research-2019-005.pdf:6.13MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、処分坑道周辺岩盤の力学的安定性は、建設・操業時はもとより、埋め戻し部分の状態変化を可能な限り小さくするため閉鎖後にわたって維持されることが重要である。一方、坑道周辺の岩盤は、長期的にはクリープや応力緩和などの力学的な時間依存性挙動を示すことが知られており、その挙動を把握・評価できる技術の構築が地層処分の技術的信頼性向上のための課題の一つとなっている。このため、微視的亀裂の進展に着目した室内実験および化学反応も考慮できるような数値解析による研究を通じ、一般性の高い岩盤の長期挙動メカニズムに関する知見を得ることを目的とした研究を、岡山大学との共同研究として2016年度より開始した。2017年度および2018年度の研究では、2016年度までの研究成果を踏まえ、2次元的に多点での表面波計測が可能な自動計測システムを構築するとともに、微視的構造特性の評価の観点から弾性波に関する幾つかのパラメータを算出した上で、それらの有用性について予察的な検討を実施した。

論文

Quasielastic neutron scattering of brucite to analyse hydrogen transport on the atomic scale

奥地 拓生*; 豊岡 尚敬*; Purevjav, N.*; 柴田 薫

Journal of Applied Crystallography, 51, p.1564 - 1570, 2018/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Multidisciplinary)

中性子準弾性散乱(QENS)は、鉱物結晶格子内で起こる原子スケール水素拡散プロセスを分析するための新規かつ有効な方法であることが実証されている。この方法は、凝縮体中の拡散性が高い水素原子または水分子の拡散頻度および距離を分析するために敏感であると以前から考えられていた。本論文では、水酸基として結晶格子に結合している非常に遅い運動の水素原子の拡散運動を分析する応用研究の結果が示されている。ブルーサイト鉱物( brucite)、Mg(OH)$$_{2}$$では、水素原子の単一の二次元層面内でのジャンプとそれに最も近い次の層へのジャンプの2種類の水素拡散プロセスが観察された。ブルーサイトの結晶構造内で観察されるこれらの拡散プロセスは、層状構造を有する様々な種類の酸化物およびミネラル内で起こる水素拡散現象にQENS測定が適用可能であることを示している。

論文

Comparative effects of radon inhalation according to mouse strain and cisplatin dose in a cisplatin-induced renal damage model

笹岡 香織*; 片岡 隆浩*; 神崎 訓枝; 小橋 佑介*; 迫田 晃弘; 石森 有; 山岡 聖典*

Pakistan Journal of Zoology, 50(3), p.1157 - 1170, 2018/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:15.87(Zoology)

シスプラチン(CDDP)は固形がんの治療に広く使用されているが、酸化ストレスによる腎毒性を持っている。そこで、我々は、ラドン吸入による放射線感受性の違いによるマウス系統差によるCDDP誘導腎障害に対する影響とCDDP濃度について検討した。まず、C57BL/6JまたはBALB/cのマウスに、1000Bq/m$$^{3}$$または2000Bq/m$$^{3}$$のラドンを24時間吸入後、CDDPを20mg/kg体重投与した。C57BL/6Jでは毛並等が改善され、BALB/cでは悪化した。次に、BALB/cマウスに、1000Bq/m$$^{3}$$のラドンを24時間後、CDDPを15mg/kg体重投与した。その結果、抗酸化機能の亢進などが見られた。以上のことから、ラドン吸入によってCDDP誘導腎障害を抑制することが可能であることが示唆された。

論文

Knowledge discovery of suppressive effect of disease and increased anti-oxidative function by low-dose radiation using self-organizing map

神崎 訓枝; 片岡 隆浩*; 小橋 佑介*; 柚木 勇人*; 石田 毅*; 迫田 晃弘; 石森 有; 山岡 聖典*

Radioisotopes, 67(2), p.43 - 57, 2018/02

我々はこれまで、低線量放射線はマウス諸臓器中で抗酸化機能を亢進し、酸化ストレス関連疾患を抑制することを報告してきた。しかしながら、それらの結果は対象疾患も低線量放射線による処置の条件も様々で、有効性が立証された治療法は確立されていない。そこで、本研究では、それらの結果から低線量放射線の健康効果を明らかにすることを目的とし、ラドン療法のような低線量放射線を活用した治療法の新規適応症を探索した。データの解析には自己組織化マップ(SOM)を用い、不安定な抗酸化機能の変化を自己組織化マップの曖昧な表現で視覚的に直感的に捉えることにより、出力された疾患抑制効果と抗酸化機能亢進の関連性を検討した。その結果、ラドン療法の適応症である疼痛への効果には明らかな線量依存性があることがわかり、肝疾患や脳疾患においても、線量依存性はないもののその効果を期待できると予測できた。本研究は、ラドン療法のような低線量放射線を活用した治療法の応用に貢献できると考える。

報告書

結晶質岩を対象とした連成現象が長期挙動におよぼす影響に関する研究(共同研究)

木本 和志*; 市川 康明*; 松井 裕哉

JAEA-Research 2017-009, 18 Pages, 2017/11

JAEA-Research-2017-009.pdf:6.5MB

原子力機構は、微視的亀裂の進展に着目した室内実験および化学反応も考慮できるような数値解析による研究を通じ、一般性の高い岩盤の長期挙動メカニズムに関する知見を得ることを目的とした研究を、岡山大学との共同研究として2016年度より開始した。2016年度は、既往の研究成果を踏まえ、円柱状の花崗岩コアサンプルを用い、速度異方性の有無を調べるための超音波計測を行った。超音波計測は、円筒の直径方向を透過する縦波、横波および表面波について行った。その結果、縦波に関しては、著しい速度異方性が認められること、横波および表面波には、方向による群速度の有意な変化は認められるものの、異方性のタイプが特定できるほどの明確な傾向は認められなかった。また、表面波計測の結果を、透過波と反射波成分に分離して検討を行った結果、結晶粒に起因した散乱は至る所で発生しているが、特に強い散乱波が局所的かつ限られた場所で発生することが分かった。

論文

Protective effects of hot spring water drinking and radon inhalation on ethanol-induced gastric mucosal injury in mice

恵谷 玲央*; 片岡 隆浩*; 神崎 訓枝*; 迫田 晃弘; 田中 裕史; 石森 有; 光延 文裕*; 田口 勇仁*; 山岡 聖典*

Journal of Radiation Research, 58(5), p.614 - 625, 2017/05

 被引用回数:7 パーセンタイル:50.27(Biology)

ラドン($$^{222}$$Rn)ガスを用いたラドン療法は、ラドンガスの吸入とラドンを含む水の摂取の2種類の治療に分類される。温泉水の短期または長期の摂取は胃粘膜血流を増加させ、温泉水治療が慢性胃炎および胃潰瘍の治療に有効であることはわかっているが、粘膜障害に対するラドンの正確な影響やそのメカニズムは不明である。本研究では、マウスのエタノール誘導胃粘膜障害に対する温泉水摂取およびラドン吸入の抑制効果を検討した。マウスを用いて、ラドン2000Bq/m$$^{3}$$を24時間吸入、または温泉水を2週間摂取させた。水中$$^{222}$$Rn濃度は、663Bq/l(供給開始時)から100Bq/l(供給終了時)の範囲にあった。その後、マウスに3種類の濃度のエタノールを経口投与させた。粘膜障害の指標である潰瘍指数(UI)は、エタノールの投与量に依存して増加した。しかし、ラドン吸入または温泉水による処理は、エタノールによるUIの上昇を抑制した。ラドン処理群と無処理対照群では抗酸化酵素の有意差は認められなかったが、ラドンまたは温泉水で事前処理したマウスの胃の過酸化脂質レベルは有意に低かった。これらの結果は、温泉水摂取とラドン吸入がエタノール誘導胃粘膜障害を抑制することを示唆している。

論文

Measurements of radon activity concentration in mouse tissues and organs

石森 有; 田中 裕史; 迫田 晃弘; 片岡 隆浩*; 山岡 聖典*; 光延 文裕*

Radiation and Environmental Biophysics, 56(2), p.161 - 165, 2017/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:40.98(Biology)

吸入ラドンの体内動態を検討するため、約1MBq/m$$^{3}$$のラドンに曝露されたマウスの組織・臓器におけるラドン濃度を測定した。血液中のラドン濃度は液体シンチレーションカウンタで、組織・臓器は井戸型高純度半導体ゲルマニウム検出器で測定した。ラドン1MBq/m$$^{3}$$に曝露されたとき、血液中濃度の飽和値は0.410$$pm$$0.016Bq/gであった。分配係数は、肝臓で0.74$$pm$$0.19、筋肉で0.46$$pm$$0.13、脂肪組織で9.09$$pm$$0.49、その他臓器で0.22$$pm$$0.04であった。ラドンの体内動態モデルで上記結果を再現することにより、血液-空気間の分配係数は0.414と評価した。ラドン曝露中の血液中濃度の時間変動も評価した。また、本研究と先行研究の結果を詳細に比較検討した。

報告書

結晶質岩を対象とした連成現象が長期挙動におよぼす影響に関する研究; 2015年度(委託研究)

市川 康明*; 木本 和志*; 松井 裕哉; 桑原 和道; 尾崎 裕介

JAEA-Research 2016-018, 23 Pages, 2016/12

JAEA-Research-2016-018.pdf:4.41MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分坑道の力学的安定性は、建設・操業時から坑道埋戻し後の数千年$$sim$$数万年という長期にわたって要求される。時間依存的挙動を示す岩石や岩盤の長期的な挙動を把握することは重要な課題である。一方で、岩石中の地下水の化学的な反応も長期挙動に影響を及ぼすことが明らかになった。この力学と化学の連成現象にも影響を及ぼすマイクロクラックの評価については、かねてからの課題でもある。2015年度は、周波数帯域を20MHzまで拡張したレーザドップラ振動計を用い、花崗岩供試体を透過する表面波の計測と群速度の推定を行った。その結果、群速度は100kHz$$sim$$500kHzまで、振動しながら減少する傾向にあることを明らかにした。群遅延からの群速度推定は、空間的に平均化した波形を用いることで信頼性、推定可能周波数帯域が向上し、波数-周波数スペクトルによる推定よりも容易であることも示された。ここで得られた結果は、将来的に花崗岩の粘弾性理論によるモデル化や、マイクロクラック非破壊評価のための評価値を与える際に有用な情報であると考えられる。本研究の知見を利用するためには、今後、群速度の変動と亀裂や結晶粒といった媒体の微視的な性状との対応を明らかにする必要がある。

論文

Difference in the action mechanism of radon inhalation and radon hot spring water drinking in suppression of hyperuricemia in mice

恵谷 玲央*; 片岡 隆浩*; 神崎 訓枝*; 迫田 晃弘; 田中 裕史; 石森 有; 光延 文裕*; 山岡 聖典*

Journal of Radiation Research, 57(3), p.250 - 257, 2016/06

 被引用回数:7 パーセンタイル:46.11(Biology)

本研究では、ラドン療法の適応症である高尿酸血症について、吸入と飲泉による抑制効果を比較検討した。マウスにラドン吸入または飲泉させた後、オキソン酸カリウムを投与して高尿酸血症を誘導した。この結果、吸入と飲泉のいずれもキサンチンオキシダーゼ活性が抑制され、血清尿酸値の上昇も有意に抑えられた。また、ラドン吸入では肝臓と腎臓の抗酸化機能の亢進がみられた。高尿酸血症の抑制効果には、ラドン吸入では抗酸化機能の亢進が、飲泉では温泉水中の化学成分による薬理作用がそれぞれ寄与していることが示唆された。

報告書

結晶質岩を対象とした連成現象が長期挙動におよぼす影響に関する研究; 2014年度(委託研究)

市川 康明*; 木本 和志*; 佐藤 稔紀; 桑原 和道; 高山 裕介

JAEA-Research 2015-025, 31 Pages, 2016/03

JAEA-Research-2015-025.pdf:13.0MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分坑道の力学的安定性は、建設・操業時から坑道埋戻し後の数千年$$sim$$数万年という長期にわたって要求される。時間依存的挙動を示す岩石や岩盤の長期的な挙動を把握することは重要な課題である。一方で、岩石中の地下水の化学的な反応も長期挙動に影響を及ぼすことが明らかになった。この力学と化学の連成現象にも影響を及ぼすマイクロクラックの評価については、研究坑道を利用した調査研究段階(第3段階)においては、重点的に取組むべき課題でもある。平成27年度は、昨年度に引き続き、結晶質岩のマイクロクラックによる、超音波の散乱減衰挙動を調べるための数値解析および計測技術の開発を行った。実験は万成花崗岩を用い、水中でヘッドウェーブを、空気中でレーザー振動計を用いて表面波の計測を行った。一方、数値シミュレーションでは、FDTD法(時間領域差分法)による弾性波の伝播散乱解析を実施した。シミュレーションの予想と実験結果に有意な差があり、この原因として、マイクロクラックおよび造岩鉱物の結晶異方性の影響が考えられる。そのため、これらの2点の影響について更に検討を行う必要があることが明らかとなった。

報告書

極微量ウラン影響効果試験,2;(共同研究)

石森 有; 迫田 晃弘; 田中 裕史; 光延 文裕*; 山岡 聖典*; 片岡 隆浩*; 恵谷 玲央*

JAEA-Research 2015-024, 41 Pages, 2016/03

JAEA-Research-2015-024.pdf:3.11MB

岡山大学と日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター(原子力機構人形峠)は、低線量放射線域でのラドン吸入に起因する影響効果に係る共同研究を実施している。岡山大学病院三朝医療センターは臨床的な知見に基づく研究課題設定を、岡山大学大学院保健学研究科は研究管理および生体応答評価を、原子力機構人形峠はラドン吸入試験設備の開発、ラドン濃度の制御、ラドンの体内挙動・線量評価をそれぞれ分担することとした。平成21年度から平成25年度は、ラドン温泉の適応症とされる活性酸素種関連疾患のモデルマウスなどで、ラドン吸入等による生体応答を確認し、その結果を解析評価することで、ラドン温泉の効果の機構解明を進め、同時に、吸入ラドンによる生体応答を定量的に議論し、また、リスクと比較して議論するため、吸入ラドンのマウスでの体内動態について把握し、各臓器・組織での吸収線量と関連付けて評価する方法について検討し、以下の成果を得た。(1)本研究の課題設定にあたり、温泉水の飲用効果について文献調査した。(2)ラドン吸入試験設備の機能を活用して作製したラドン水による飲泉試験を実施した。本飲泉条件下では、温泉含有成分(ラドンを含む)による影響効果は確認できなかった。(3)肝臓と腎臓の酸化障害の緩和症状について、事前の抗酸化物質(ビタミンC, ビタミンE)の投与とラドンの吸入効果を肝・腎機能などの観点から比較検討した。(4)吸入ラドンによる生体応答を定量的に議論するため、前期に引き続き、吸入ラドンの体内動態を評価解析した。(5)ラドンまたはその子孫核種の吸入で考えられる被ばく経路について、各経路におけるマウスの臓器線量を計算し、比較検討した。

論文

Simultaneous measurements of superradiance at multiple wavelength from helium excited states, 2; Analysis

大饗 千彰*; Harries, J.; 岩山 洋士*; 川口 健太郎*; 久間 晋*; 宮本 祐樹*; 永園 充*; 中嶋 享*; 中野 逸夫*; 繁政 英治*; et al.

Journal of the Physical Society of Japan, 85(3), p.034301_1 - 034301_10, 2016/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:56.42(Physics, Multidisciplinary)

Previous experimental studies of superradiance (SR) in multi-level systems have been explainable using the predictions of the well-known simple two-level SR model. However our recent study using EUV free-electron laser excitation of helium atoms, where SR was observed at wavelengths of 502 nm, 668 nm, and 728 nm, revealed behaviour which necessitates a full multi-level treatment of the SR development. In this paper, we report simulations of the initial excitation by the FEL pulses, and the subsequent development of multi-level SR. The results of the simulation reproduce the experimental findings, and reveal that competitive SR on two transitions with a common upper level plays an important role in the development of the system.

論文

A Streak camera study of superfluorescence at multiple wavelengths from helium atoms excited using free electron laser pulses

Harries, J.; 岩山 洋士*; 永園 充*; 富樫 格*; 矢橋 牧名*; 久間 晋*; 中嶋 享*; 宮本 祐樹*; 大饗 千彰*; 笹尾 登*; et al.

Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 48(10), p.105002_1 - 105002_9, 2015/05

 被引用回数:7 パーセンタイル:45.61(Optics)

We report the observation of superfluorescence at wavelengths (in air) of 501.6 nm, 667.8 nm, and 728.1 nm following the excitation of helium atoms with free-electron laser pulses at wavelengths of 53.7 nm ($$n$$=3 excitation) and 52.2 nm ($$n$$=4 excitation). The observed wavelengths of the superfluorescence pulses correspond to 1s3p-1s2s, 1s3d-1s2p, and 1s3s-2p transitions. Observation of superfluorescence on these transitions implies either competing cascade decays, or direct excitation of non-dipole allowed transitions. We have studied the time structure of the emitted pulses using a streak camera, and the results cannot be explained by straightforward considerations using the usual model for two-level superfluorescence.

論文

Simultaneous measurements of super-radiance at multiple wavelengths from helium excited states, 1; Experiment

中嶋 享*; Harries, J.; 岩山 洋士*; 久間 晋*; 宮本 祐樹*; 永園 充*; 大饗 千彰*; 富樫 格*; 矢橋 牧名*; 繁政 英治*; et al.

Journal of the Physical Society of Japan, 84(5), p.054301_1 - 054301_7, 2015/05

 被引用回数:6 パーセンタイル:50.95(Physics, Multidisciplinary)

In this paper, we report the results of measurements of the intensities and delays of super-radiance decays from excited helium atoms at multiple wavelengths. The experiment was performed using extreme ultraviolet radiation produced by the free electron laser at the SPring-8 Compact SASE Source test accelerator facility as an excitation source. We observed superradiant transitions on the 1s3p$$rightarrow$$1s2s ($$lambda$$=502 nm), 1s3d$$rightarrow$$1s2p ($$lambda$$=668 nm), and 1s3s$$rightarrow$$1s2p ($$lambda$$=728 nm) transitions. The pulse energy of each transition and its delay time were measured as a function of the target helium gas density. Several interesting features of the data, some of which appear to contradict with the predictions of the simple two-level super-radiance theory, are pointed out.

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