小脳培養切片におけるX線と炭素線の生物学的効果の比較

Comparison of biological effects induced by X-rays and heavy ions in the organotypic slice cultures of the rat cerebellum

吉田 由香里*; 鈴木 義行*; 浜田 信行*; 白井 克幸*; 野田 真永*; Al-Jahdari, W. S.*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 和田 成一*; 小林 泰彦; 小澤 瀞司*; 中野 隆史*

Yoshida, Yukari*; Suzuki, Yoshiyuki*; Hamada, Nobuyuki*; Shirai, Katsuyuki*; Noda, Shinei*; Al-Jahdari, W. S.*; Funayama, Tomoo; Sakashita, Tetsuya; Wada, Seiichi*; Kobayashi, Yasuhiko; Ozawa, Seiji*; Nakano, Takashi*

小児の脳腫瘍に対する放射線治療は、高次脳機能の発達などにおいて晩期有害事象を生じる可能性が成人に比べ高いことが知られている。また、小児の脳腫瘍は小脳に発生することが比較的多く、小児の小脳における放射線、特に今後適応拡大が期待される重粒子線の影響を詳細に検討することは重要な課題である。しかしながら、重粒子線照射が小児の小脳に及ぼす影響については、現在までにほとんど研究されていない。そこで、脳切片培養標本を用いて小児の小脳組織及び神経細胞におけるX線及び重粒子線の生物学的効果について検討した。その結果、切片培養標本を用いた発達過程の小脳において、X線と炭素線は組織レベルで急性の形態異常を引き起こし、特にその影響は外顆粒細胞層に強く認められた。これら外顆粒細胞層の異常及び外顆粒細胞層の細胞死を指標とした場合のX線に対する炭素線の生物学的効果比は約2.0と推定された。

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