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論文

Structural basis for acceptor-substrate recognition of UDP-glucose: anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase from ${it Clitoria ternatea}$

廣本 武史; 本庄 栄二郎*; 野田 尚信*; 玉田 太郎; 数馬 恒平*; 鈴木 正彦*; Blaber, M.; 黒木 良太

Protein Science, 24(3), p.395 - 407, 2015/03

 被引用回数:62 パーセンタイル:88.89(Biochemistry & Molecular Biology)

チョウマメの花弁に含まれるUDP-glucose: anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase(UGT78K6)は、UDP-glucoseを糖供与体とし、青色色素の基本骨格をなすデルフィニジンへの糖転移を触媒する酵素である。本酵素は、「フラボノール」に類似した化学構造を有するにもかかわらず、デルフィニジンなど「アントシアニジン」特異的な糖転移活性を示す。その糖受容体認識に関わる構造基盤を明らかにするため、UGT78K6単独の立体構造ならびに各糖受容体(アントシアニジンに分類されるデルフィニジンとペチュニジン、またフラボノールの一種であるケンフェロール)が結合した複合体の立体構造をX線結晶構造解析により決定した。今回の研究で見出された糖受容体の結合様式は、これまでに報告されている類似の糖転移酵素(赤ブドウ由来${it Vv}$GT1)とケンフェロールとの結合様式とは全く異なるものであり、発色の異なる糖受容体「アントシアニジン」と「フラボノール」をどのように識別しているのか、その分子メカニズムの解明を可能とした。今後、得られた構造情報を基に糖受容体との相互作用部位を改変することにより、色味の異なる色素化合物の合成あるいは医薬品候補分子の合成を可能にするものと期待される。

論文

Crystal structure of UDP-glucose:anthocyanidin 3-${it O}$-glucosyltransferase from ${it Clitoria ternatea}$

廣本 武史; 本庄 栄二郎*; 玉田 太郎; 野田 尚信*; 数馬 恒平*; 鈴木 正彦*; 黒木 良太

Journal of Synchrotron Radiation, 20(6), p.894 - 898, 2013/11

 被引用回数:38 パーセンタイル:86.36(Instruments & Instrumentation)

チョウマメの花弁には、テルナチンと呼ばれるポリアシル化アントシアニンが含まれている。その生合成の最初の段階を担うのがUDP-グルコース:アントシアニジン3-${it O}$-グルコシルトランスフェラーゼ(${it Ct}$3GT-A)であり、UDP-グルコースを糖供与体とし、糖受容体であるアントシアニジン類への糖転移反応を触媒する。ここでは${it Ct}$3GT-Aの構造機能相関を明らかにするため、${it Ct}$3GT-Aの大腸菌組換え体を調製し、その立体構造をX線結晶構造解析により1.85${AA}$分解能で決定した。その全体構造は、2つのRossmann-like $$beta$$/$$alpha$$/$$beta$$ドメインから成るGT-Bフォールドを有しており、また2つのドメイン間に形成されたクレフトには、糖供与体(UDP-Glc)および糖受容体を結合するキャビティが存在していた。既に報告されている赤ブドウ由来フラボノイド3-${it O}$-グリコシルトランスフェラーゼ(${it Vv}$GT1)との構造比較より、糖受容体であるケンフェロールの結合に関与するアミノ酸残基が${it Ct}$3GT-Aにおいて有意に置換されていることが明らかとなった。これらの知見は、両酵素の糖受容体特異性の差別化を理解する上で重要と考えられる。

論文

Distinct structural requirements for interleukin-4 (IL-4) and IL-13 binding to the shared IL-13 receptor facilitate cellular tuning of cytokine responsiveness

伊藤 栄近*; 鈴木 章一*; 金地 佐千子*; 白石 裕士*; 太田 昭一郎*; 有馬 和彦*; 田中 剛*; 玉田 太郎; 本庄 栄二郎*; Garcia, K. C.*; et al.

Journal of Biological Chemistry, 284(36), p.24289 - 24296, 2009/09

 被引用回数:24 パーセンタイル:46.81(Biochemistry & Molecular Biology)

IL-4とIL-13はともにIL-4受容体$$alpha$$鎖とIL-13受容体$$alpha$$-1鎖(IL-13R$$alpha$$1)を共通の受容体として結合する。しかしながら、これらリガンドタンパク質の受容体結合様式には違いがあり、この違いがリガンド特異的な機能の発現をつかさどっている。われわれはこれまでにIL-13R$$alpha$$1のIg様ドメイン(D1ドメイン)がIL-13結合に特異的かつ必要不可欠な領域であることを見いだした。しかしながら、受容体D1ドメイン中のどのアミノ酸がIL-13の特異的な結合に関与しているか、さらにはD1ドメインがIL-13とIL-4をどのように識別しているかはいまだ不明のままであった。これらの疑問を解決するために、本研究では、D1ドメインへの変異体解析を構造情報を利用することにより実施した。結晶構造中においてIL-13結合に関与しているC'ストランド中のLys76, Lys77, Ile78、及び結合部位に近接したTrp65, Ala79への変異導入はIL-13結合を顕著に低下させた。よって、これらのアミノ酸がIL-13結合部位を構成していることが明らかになった。また、他の$$beta$$ストランド中のVal35, Leu38, Val42への変異導入もIL-13の結合低下をもたらした。これはこれらの変異導入がD1ドメインの構造安定性を低下させたことに起因すると推察された。さらに、上記の変異導入のいずれもIL-4結合には影響を及ぼさなかった。これらの結果から、Lys76, Lys77, Ile78から構成される疎水的な領域がIL-13特異的な認識部位として機能し、IL-4との識別を可能にしていると考えられた。

論文

Structure of HIV-1 protease in complex with potent inhibitor KNI-272 determined by high-resolution X-ray and neutron crystallography

安達 基泰; 大原 高志; 栗原 和男; 玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 岡崎 伸生; 新井 栄揮; 正山 祥生; 木村 要*; 松村 浩由*; et al.

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 106(12), p.4641 - 4646, 2009/03

 被引用回数:111 パーセンタイル:90.58(Multidisciplinary Sciences)

本研究では、プロテアーゼとその医薬品候補分子との分子間相互作用を原子レベルで解明することを目的として、阻害剤との複合体の中性子結晶構造解析を実施した。タンパク質の中性子結晶構造解析を行うには、高品質な大型結晶作成のために大量のタンパク質試料が必要となる。本研究では、コドン配列を最適化した人工遺伝子を合成することで効率的な大腸菌発現系を構築し、プロテアーゼの大量調製系を確立した。そして逆相クロマトグラフィーを用いることで自己分解物を完全に除去した純度の高い試料を調製して結晶化を行った。得られた結晶を用いてJRR-3に設置しているBIX-4にて中性子回折データを収集した結果、1.9${AA}$の回折データを得ることができた。プログラムPHENIXにより中性子とX線の同時精密化を実施し、世界で初めてHIV-1プロテアーゼの中性子結晶構造解析に成功した。重水素原子の存在と位置を確認するためにオミットマップを作成したところ、顕著な2つのピークを得た。プロトン化された触媒残基及び阻害剤のヒドロキシル基の構造を水素原子を含めて実験で初めて明らかにすることができた。

論文

Expression of the extracellular region of the human interleukin-4 receptor $$alpha$$ chain and interleukin-13 receptor $$alpha$$1 chain by a silkworm-baculovirus system

本庄 栄二郎; 正山 祥生; 玉田 太郎; 重松 秀樹*; 畠中 孝彰*; 金地 佐千子*; 有馬 和彦*; 伊東 祐二*; 出原 賢治*; 黒木 良太

Protein Expression and Purification, 60(1), p.25 - 30, 2008/07

 被引用回数:13 パーセンタイル:33.51(Biochemical Research Methods)

インターロイキン-13に対する受容体はインターロイキン-13$$alpha$$1鎖及びインターロイキン-4$$alpha$$鎖からなる。これらの相互作用を調べるため、IL-13受容体$$alpha$$1鎖及びIL-4受容体$$alpha$$鎖細胞外領域をコードするDNAをマウスIgGのFcと融合体としてカイコ/バキュロウイルス系で発現した。受容体はプロテインAカラムを用いて回収し、トロンビン消化でFcと切り離すことができた。ゲルろ過やSPR分析の結果、IL-13とIL-13受容体$$alpha$$1鎖複合体はIL-4受容体$$alpha$$と結合したが、IL-13やIL-13受容体$$alpha$$1鎖単独でのIL-4受容体$$alpha$$との相互作用は見られなかった。これらの結果から、IL-13はIL-13受容体$$alpha$$1と相互作用し、さらにIL-4受容体$$alpha$$と結合することが明らかとなった。

論文

Mutagenesis of the crystal contact of acidic fibroblast growth factor

本庄 栄二郎; 玉田 太郎; 安達 基泰; 黒木 良太; Meher, A.*; Blaber, M.*

Journal of Synchrotron Radiation, 15(3), p.285 - 287, 2008/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:29.64(Instruments & Instrumentation)

われわれは薄板状にしか結晶化しないhaFGFの分子間接触部位を改善し結晶成長を制御することを試みている。haFGFのX線結晶構造から結晶学的に対称な位置関係にあるhaFGF分子の分子間接触部位にはGlu81の側鎖が近接して存在しており、この電荷の反発が分子間相互作用を乱している可能性が考えられた。このGlu81の側鎖が分子間相互作用に関与しているかどうかを調べるため、われわれはGlu81をAla, Val, Leu, Ser及びThrに置換したhaFGFの変異体を作成した。このGlu81の側鎖が分子間相互作用に関与しているかどうかを調べるため、われわれはGlu81をAla, Val, Leu, Ser及びThrに置換したhaFGFの変異体を作成した。それぞれの変異体について蟻酸を用いて結晶化を行ったところ、Ala, Val及びLeu変異体は野生型同様薄板状の結晶成長が見られたが、Ser及びThr変異体の結晶は野生型よりもより厚みが増していた。これらの変異体について1.5${AA}$分解能のX線構造を解いたところ分子間接触部位に存在するSerの水酸基が沈殿剤である蟻酸を介して水素結合を形成していることがわかった。このような分子間接触部位改変の試みは中性子結晶構造解析のための大型結晶育成に寄与すると考えられる。

論文

バイオ実験で失敗しない!; 抽出・精製・組換えタンパク質発現・抗体作製の実践的ノウハウと、最適な試薬・機器の選択&活用法

本庄 栄二郎; 黒木 良太; 小堀 博史*; 高蔵 晃*; 矢幡 一英*; 曽根 岳史*; 今本 文男*; 森山 達哉*

タンパク質精製と取扱いのコツ, p.135 - 178, 2007/10

研究者にとって、タンパク質の精製や取り扱いは、その後の実験の成功を左右するといっても過言ではない重要なステップである。しかしタンパク質の扱い方には、生化学的なコツや知識が必要となり、特にタンパク質に慣れていない分子生物学者にとって、大きな課題となっている。そこで本書では、組換えタンパク質の発現・精製のポイントを紹介し、通常のプロトコールでは紹介されない、キットや機器選択や実験のコツなど、実践的なノウハウに焦点を絞って概説する。

論文

"Crystal lattice engineering", an approach to engineer protein crystal contacts by creating intermolecular symmetry; Crystallization and structure determination of a mutant human RNase 1 with a hydrophobic interface of leucines

山田 秀徳*; 玉田 太郎; 小坂 恵*; 宮田 幸平*; 藤木 伸哉*; 田納 優*; 守屋 雅之*; 山西 守*; 本庄 栄二郎; 多田 宏子*; et al.

Protein Science, 16(7), p.1389 - 1397, 2007/07

 被引用回数:39 パーセンタイル:59.43(Biochemistry & Molecular Biology)

タンパク質の結晶格子は分子表面同士の相互作用からなっている。結晶格子内へのタンパク質の導入のため、ロイシンジッパー様の疎水的な相互作用をヒト膵臓RNase1のへリックス2へ導入した。野生型ヒトRNase1の結晶化はまだ報告をされていないが、4残基のロイシンを導入したRNase1では複数の結晶化条件で結晶を得た。そのX線結晶構造をウシRNaseAの立体構造を用いて分子置換法により決定した。こうして決定されたヒトRNase1の立体構造は、ウシRNaseAの立体構造と大変似ており、導入したロイシン残基を介して2分子のRNase1が疎水的なパッキングしていた。ロイシン導入の効果をさらに検討するために、導入したロイシン残基の数を3残基,2残基と減らした変異体を調製し結晶化を行った。これらの場合もロイシン残基による疎水的なパッキングが形成されていた。一方、ロイシン残基をヒトRNase1の別のへリックス(へリックス3)に導入し、効果を検証した。その結果、4残基のロイシンを導入した変異体でも結晶化し、4分子のRNase1が導入したロイシン残基を介してパッキングをしていることがわかった。これらの結果は、適切なロイシン導入により分子内対称性が生じ、より効果的に結晶化を促進する可能性を示す。

論文

ヒト顆粒球コロニー刺激因子受容体の活性化機構

玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 黒木 良太

日本結晶学会誌, 48(6), p.429 - 435, 2006/12

ヒト顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)とそのヒト受容体(GCSF-R)中のリガンド結合領域との複合体の活性構造を2.8${AA}$分解能で決定した。GCSF/GCSF-R複合体の組成比は2:2で、GCSF-R中Ig様ドメインとGCSFがたすき掛けすることにより二量体化していた。この結合様式はヒトGCSFとマウスGCSF-R(CRH)ドメイン複合体中の様式とは全く異なっていた。このIg様ドメインを介したGCSF-Rの二量体化はこれまでに報告されている熱力学的及び変異体解析の結果と相関性がある。

論文

Homodimeric cross-over structure of the human granulocyte colony-stimulating factor (GCSF) receptor signaling complex

玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 前田 宜丈*; 岡本 智之*; 石橋 松二郎*; 徳永 正雄*; 黒木 良太

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 103(9), p.3135 - 3140, 2006/02

 被引用回数:95 パーセンタイル:84.67(Multidisciplinary Sciences)

ヒト顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)とそのヒト受容体(GCSF-R)中のリガンド結合領域との複合体の活性構造を2.8${AA}$分解能で決定した。GCSF:GCSF-R複合体の組成比は2:2で、GCSF-R中のIg-likeドメインとGCSFがたすき掛けすることにより二量体化していた。この結合様式はヒトGCSFとマウスGCSF(CRHドメイン)複合体中の様式とは全く異なっており、インターロイキン6とその受容体であるgp130との活性複合体中で確認された様式と類似していた。このIg-likeドメインを介したGCSF-Rの二量体化はこれまでに報告されている熱力学的及び変異体解析の結果と相関性がある。

論文

Crystallization of a 2:2 complex of Granulocyte-Colony Stimulating Factor (GCSF) with the ligand-binding region of the GCSF receptor

本庄 栄二郎; 玉田 太郎; 前田 宜丈*; 小柴 琢己*; 松倉 康子*; 岡本 智之*; 石橋 松二郎*; 徳永 正雄*; 黒木 良太

Acta Crystallographica Section F, 61(8), p.788 - 790, 2005/08

 被引用回数:7 パーセンタイル:55.15(Biochemical Research Methods)

顆粒球刺激因子(GCSF)受容体は顆粒球前駆体の分化や増殖を調節する刺激を細胞内へ伝える。その受容体のリガンド結合部位とGCSFの2:2複合体の結晶化を行った。結晶は1.0Mギ酸ナトリウムを含む0.1M酢酸緩衝液(pH4.6)の条件で結晶化した。空間群は${it P}$4$$_{1}$$2$$_{1}$$2(もしくは${it P}$4$$_{3}$$2$$_{1}$$2)で、セル長は${it a}$=${it b}$=110.1$AA , {it c}$=331.8$AA $であった。しかしながら5$AA $以上の回折データが収集できなかったことから、受容体を陰イオン交換クロマトグラフィーで精製し、再度結晶化を試みた。その結果、3$AA $以上の回折データが収集可能な新たな晶形の結晶が得られた。その結晶の空間群は${it P}$3$$_{1}$$21(or its enantiomorph ${it P}$3$$_{2}$$21)で、セル長は${it a}$=${it b}$=134.8, ${it c}$=105.7$AA $であった。

口頭

中性子結晶構造解析を目的としたタンパク質工学によるヒト酸性FGF結晶の成長性の改変

安達 基泰; 本庄 栄二郎; 玉田 太郎; Blaber, M.*; 黒木 良太

no journal, , 

繊維芽細胞成長因子(FGF)は、細胞の増殖や分化を促進する因子であり、さまざまな生命活動に関与する多機能性分泌因子として注目されている。本研究では、ヒト酸性FGFの中性子構造解析によって全原子立体構造を明らかにし、ヒト酸性FGFの構造活性相関を解明することを目的とする。タンパク質を中性子構造解析するためには、体積の大きな結晶の作成が必要である。ヒト酸性FGFの結晶は1方向に薄い板状を示すので、分子接触面の改変により成長性の改変を試みた。X線結晶構造解析により既に得られているヒト酸性FGFの原子座標をもとに結晶内の分子パッキングを解析した結果、結晶のB軸方向に垂直な面において、分子間接触面積が小さく、しかも結晶学的対称軸付近で2つのGlu81の側鎖が隣接していた。そこでGlu81をAla, Val, Leu, Ser, Thr残基に置換したところ、Ser, Thrに置換した変異体において、より厚みを増した結晶が得られた。両変異体のX線結晶構造解析の結果、変異導入したSer及びThr側鎖のOH基が沈殿剤として使用している蟻酸を介して水素結合を形成していることが明らかとなった。

口頭

カイコ発現系を用いた受容体細胞外ドメインの調製

黒木 良太; 本庄 栄二郎; 玉田 太郎

no journal, , 

カイコによる蛋白質発現系は、片倉工業で開発された迅速な発現系である。われわれは目的蛋白質である膜蛋白質の細胞外ドメインの発現を迅速に検討するためにこの系を利用している。そこではまず、目的蛋白質の細胞外領域をアミノ酸配列の相同性と立体構造の予測モデルによって絞り込み、対応するcDNAを、トロンビン切断部位を有するポリアラニンリンカーによって抗体Fc領域に融合したベクターを構築する。このベクターはカイコ発現を実施するバキュロウイルスへのトランスファーベクターであり、カイコへの感染は最終的にはこのトランスファーベクターによって作製された組換えバキュロウイルスにより行われる。カイコの系が迅速なのはこのバキュロウイルスを純化しないで用いることができるからである。これまでに10種類程度の細胞外領域蛋白質の発現を行ったが、ほとんどの蛋白質で発現が確認できた。発現量のカイコによる個体差はあまりなく、安定に発現した。今回のワークショップでは、このうち最も発現量が多かったインターロイキン-13受容体$$alpha$$1(IL-13R$$alpha$$1)鎖の細胞外ドメインの発現と調製について紹介する。IL-13R$$alpha$$1は、アレルギーの発症に関与するサイトカインIL-13の受容体であり、インターロイキン-4受容体(IL-4R)とのヘテロ複合体を構成する。このカイコ発現系によってIL-13R$$alpha$$1は、カイコ1頭あたり0.2mg、IL-4Rは、0.01mgの調製が可能であった。本研究は文部科学省タンパク3000プロジェクトにより実施したものである。

口頭

Expression and purification of extracellular region of interleukin-13 receptor $$alpha$$1 chain and its interaction with its ligand

黒木 良太; 本庄 栄二郎; 玉田 太郎; 有馬 和彦*; 出原 賢治*

no journal, , 

インターロイキン-13は、IL-13受容体a1鎖(IL-13Ra1)及びIL-4受容体a鎖(IL-4Ra)という2つの受容体と相互作用し、そのシグナルを伝達する。われわれは既にIL-13Ra1のイムノグロブリン様ドメインが、IL-13の認識に重要であることを見いだしている。その相互作用様式を立体構造的に明らかにするため、IL-13Ra1及びIL-4Raの二つの受容体の細胞外領域をコードする遺伝子を抗体のFc領域の遺伝子に融合させ、さらにカイコ蛾による発現システムを用いて生産した。発現された蛋白質をProtein Gカラムを用いて精製した後、Fc領域をプロテアーゼ消化によって除去、さらに陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製した。こうして得られたIL-13Ra1及びIL-4RaとリガンドであるIL-13との相互作用をゲル濾過を用いて解析した。その結果、IL-13は単独でIL-4Raと強く結合するが、IL-13Ra1との相互作用は弱いことがわかった。しかしながらIL-13Ra1及びIL-4Rの両方が存在するときには、IL-13の親和性は著しく向上し、3つの分子が複合体を形成することがわかった。

口頭

薬物標的分子である受容体蛋白質の計測

黒木 良太; 玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 前田 宜丈*

no journal, , 

生体内において、ある種のリガンドは受容体と呼ばれる蛋白質と結合することによって、細胞内で生ずるさまざまな反応の引き金になることが知られている。したがってリガンドはそれ自身が医薬品となる可能性があり、受容体はさまざまな薬物の標的分子として創薬研究の対象となる。受容体に関するさまざまな計測例として、ここでは顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)によるその受容体(GCSF-R)活性化機構の研究について紹介する。GCSFはすでに上市され医薬品として用いられている分子であるが、GCSF-Rとの会合様式にはさまざまな説があった。そこでGCSFとGCSFRの会合様式を明らかにするために、水溶液中でリガンドと受容体の相互作用を計測した。まずGCSFとGCSFRの相互作用を滴定型熱量計で分析すると見かけ上1つの平衡反応(KD 10-9)しか検出されなかった。これはGCSFとGCSFRが1:1の複合体を形成することを示唆する。さらにこの複合体の水溶液中での平均分子量を光散乱分析によって測定すると約13万となった。この分子量はGCSFとGCSFRが2:2で会合した複合体を形成することを示唆する。ここで観測された複合体をX線結晶構造解析した結果、GCSFとGCSFRが2:2の複合体を形成することが確認でき、さらに複合体形成に関与する領域を特定することができた。受容体などの会合様式を少量で簡便に計測できる方法があれば、人工的なリガンド(医薬品)の開発に一層弾みがつくと期待できる。

口頭

中性子を用いた構造解析の新たな挑戦と創薬研究への新展開

玉田 太郎; 新井 栄揮; 本庄 栄二郎; 黒木 良太

no journal, , 

X線結晶構造解析では1$AA $以上の高分解能でなければ決定できない水素原子の位置決定を、中性子結晶構造解析では通常の分解能(2$AA $程度)で容易に決定できる。よって、中性子解析による蛋白質の構造情報から蛋白質を取り巻く水和水の構造や水素結合・プロトン化の状態などの興味深い情報が得られる。しかしながら、中性子線の強度がX線と比べてはるかに弱く回折データ収集には少なくとも数mm$$^{3}$$以上の大きさの結晶を必要とすることから、これまでの中性子解析は「水素・水和水がその機能発現に重要な役割を果たす」蛋白質よりも「大きな結晶ができやすい」蛋白質がその解析対象であった。「水素・水和水がその機能発現に重要な役割を果たす」蛋白質を対象とした研究に取り組むために、われわれは「効果的な大型結晶作成技術の開発」,中性子解析に必要な結晶サイズを小さくするために「完全重水素化試料の作成」に取り組んでいる。これらの課題克服により、中性子解析がめざすべき重要な研究対象の1つは「創薬対象蛋白質」である。実験的に取得した水素・水和情報を加えることによりラショナルなドラッグデザインの精度が上がることが期待される。これまでに中性子及び超高分解能X線解析により得られた水素・水和情報をわれわれはデータベース化し公開した。また、創薬ターゲットであるセリンプロテアーゼ及び阻害剤複合体の中性子回折実験も開始した。われわれの試みはまだその諸についたばかりであるが、これまでに得られた結果、及び今後の展開を紹介する。

口頭

Homodimeric crossover structure of the human GCSF-receptor signaling complex

玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 前田 宜丈*; 岡本 智之*; 石橋 松二郎*; 徳永 正雄*; 黒木 良太

no journal, , 

ヒト顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)とそのヒト受容体(GCSF-R)中のリガンド結合領域との複合体の活性構造を2.8$AA $分解能で決定した。GCSF/GCSF-R複合体中の構成比は2:2で、GCSF-R中のIg-likeドメインとGCSFがたすき掛けすることにより二量体化していた。この結合様式はヒトGCSFとマウスGCSF-R(CRH)ドメイン複合体中の様式とは全く異なっており、インターロイキン6とその受容体であるgp130との活性複合体中で確認された様式と類似していた。このIg-likeドメインを介したGCSF-Rの二量体化はこれまでに報告されている熱力学的及び変異体解析の結果と相関性があった。

口頭

構造解析用タンパク質試料調製の実際

本庄 栄二郎

no journal, , 

タンパク質の結晶構造解析を促進するうえで、解析装置や結晶化技術の向上と同時に試料であるタンパク質を大量・安定に調製する技術も極めて重要である。われわれは難結晶化試料を結晶化しやすい性質に改変する試みも実施中である。本講演では、タンパク質試料の高度な調製法をわかりやすく概説する。併せて実際に構造解析に成功した試料の調製についても紹介する。

口頭

Homodimeric crossover structure of the human granulocyte colony stimulating factor receptor signaling complex

黒木 良太; 本庄 栄二郎; 前田 宜丈*; 玉田 太郎

no journal, , 

われわれは、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)受容体において、イムノグロブリン様ドメインとサイトカイン相同性領域からなるリガンド結合領域の立体構造をGCSFとの複合体として、2.8A分解能のX線結晶構造解析に成功した。GCSF受容体リガンド複合体の立体構造は、2分子のGCSFが2分子の受容体分子を橋渡しするように結晶学的な2回対称軸を形成していた。この構造は先に解析されたマウス受容体とヒトリガンドの複合体とは異なる構造であった。われわれが解析に成功した立体構造は、これまでに実施された受容体へのアミノ酸置換の結果をうまく説明できるとともに、近年解析されたヒトインターロイキン-6(IL-6)リガンド・受容体複合体の立体構造の一部とよく一致していた。これらの結果からわれわれが観測した構造は、GCSF受容体の活性型構造であると結論できる。

口頭

トロンボポエチン中和抗体TN1の抗原結合における構造学的及び熱力学的変化

新井 栄揮; 玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 前田 宜丈*; 黒木 良太

no journal, , 

マウス抗体TN1は、巨核球系細胞の増殖・分化及び血小板産生を促進するサイトカインであるヒト・トロンボポエチン(hTPO)を認識する。われわれは、TN1抗体によるhTPO中和活性の発現機構の解明のために、TN1由来Fab単体のX線結晶構造を2.0${AA}$分解能で決定し、TN1由来Fab-hTPO複合体中のFabの構造と比較した。その結果、TN1抗体によるhTPO認識は、超可変領域(CDR領域)の主鎖構造がほとんど変化せず、ごくわずかに生じた側鎖レベルでのInduced-fitに基づくことが明らかになった。また、TN1由来Fab-hTPOの結合反応について等温滴定熱量測定を行った結果、2,920${AA}$ $$^{2}$$の接触面積変化に相当する$$sim$$446.4kJ/mol/Kの構造エントロピー変化が観測された。この結果は、上記結晶構造解析の結果から判明している接触面積変化の値(1,580${AA}$ $$^{2}$$)よりも大きい。FabのCDRの構造はほとんど変化しないことから、この接触面積変化の差はFabの結合によってhTPOの構造変化が生じていることを示唆する。

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