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Li, Z.*; Piankova, D.*; Yang, Y.*; 熊谷 友多; Zschiesche, H.*; Jonsson, M.*; Tarakina, N. V.*; Soroka, I. L.*
Angewandte Chemie; International Edition, 61(6), p.e202112204_1 - e202112204_9, 2022/02
被引用回数:5 パーセンタイル:29.59(Chemistry, Multidisciplinary)Ce(III)水溶液の放射線誘起酸化反応によるCeO形成過程を研究した。Ce(III)はガンマ線照射による水の放射線分解で生じるOHラジカルによりCe(IV)に酸化され、水に対する溶解度が減少するため析出し、最終的にはCeOが生成する。この反応過程を透過型電子顕微鏡観察とX線結晶構造解析を用いて調べた。その結果、ガンマ線照射によって生成するCeOは、いくつかの中間的な状態を経てメソ結晶体を形成することを明らかにした。水溶液中でCe(III)が酸化されると、CeO析出の前駆体としてアモルファスなCe(IV)水酸化物が生成する。その後、Ce(IV)水酸化物中でCeOのナノ粒子が成長する。このCeOナノ粒子はアモルファス組織の中でゆっくりと配向性を有するようになり、ナノ粒子間の相互作用により規則的な構造を形成したメソ結晶体となる。さらに、このメソ結晶体を徐々に乾燥させることでメソ結晶体がさらに構造化した超結晶(supracrystal)となり、複雑な階層化アーキテクチャが形成されることを明らかにした。
熊谷 友多; Jonsson, M.*
Dalton Transactions (Internet), 49(6), p.1907 - 1914, 2020/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Inorganic & Nuclear)使用済核燃料を直接地層処分した場合には、放射線に起因する化学反応によって使用済核燃料の母材である二酸化ウランが6価ウランに酸化され、その結果ウラニルイオンとして水に溶け出す。この溶解反応の速度は地下水成分に影響される。深地層環境においても地下水には有機物が含まれることから、二酸化ウランへの吸着が考えられる有機酸の影響を研究した。本研究では、フタル酸を用いて二酸化ウランへの吸着挙動を調べ、フタル酸が吸着した二酸化ウランの溶解挙動を調べた。その結果、フタル酸は二酸化ウランに強く吸着されるが、放射線の模擬として過酸化水素を用いた反応では、ウランの溶解挙動は炭酸塩水溶液と同等であった。この結果から、吸着フタル酸は二酸化ウランの表面で生じる酸化還元反応にはほとんど影響を与えないことが分かった。一方で、放射線照射による二酸化ウランの溶解反応は、フタル酸水溶液中では抑制された。この結果から、水の放射線分解で生じるラジカル種は水溶液中でフタル酸と反応し、二酸化ウランの酸化が進みにくくなることが示唆される。
熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*
Journal of Physical Chemistry C, 123(15), p.9919 - 9925, 2019/04
被引用回数:20 パーセンタイル:63.7(Chemistry, Physical)ウランの酸化還元による化学的な変化は環境中のウランの動態を支配する重要な反応であり、特に4価の二酸化ウランが6価のウラニルイオンに酸化され水に溶けだす反応は使用済燃料等の環境中における化学的な安定性を評価する上で重要な反応である。この酸化による二酸化ウランの水への溶出について、二酸化ウランの過定比性の影響を調べるため、過酸化水素および線照射による反応を調べ、定比のUOと過定比のUOとの間で反応挙動を比較した。その結果、定比のUOは酸化還元反応に高い活性を示し、表面の酸化反応は速やかに進み、酸化反応の進展とともに徐々にウランの溶出が加速されることが観測された。一方で、過定比のUOは反応性は低いものの、酸化反応が生じると速やかにウランが溶出することが分かった。また、過酸化水素による反応と線照射による反応を比較した結果、ウランの溶出ダイナミクスは酸化剤の濃度に依存して変化することが分かった。そのため、使用済燃料等で想定される放射線による酸化反応を検討する場合、高濃度の酸化剤を用いた試験では、ウランの溶出反応を過小評価する可能性があることを明らかにした。
Fidalgo, A. B.*; 熊谷 友多; Jonsson, M.*
Journal of Coordination Chemistry, 71(11-13), p.1799 - 1807, 2018/07
被引用回数:30 パーセンタイル:88.14(Chemistry, Inorganic & Nuclear)二酸化ウランは水中では表面から酸化され、徐々に溶出する。放射線環境下では、水の放射線分解で生じる過酸化水素が二酸化ウランを速やかに酸化するため、溶出が促進される。この過酸化水素による二酸化ウランの酸化反応においては、過酸化水素がウランを酸化せずに分解する副反応が生じることが知られていたが、その反応スキームは分かっていなかった。そこで、この二酸化ウランと過酸化水素の反応について、ウランが酸化された後に速やかに溶出する溶液条件において、過酸化水素濃度に対する依存性を調べた。その結果、過酸化水素の濃度が高くなるにつれて、反応速度定数が下がり、ウランの溶出収率も低くなることが観測された。これは、表面に反応中間体が蓄積され、反応が阻害されたことを示唆する。本研究で用いたウランの溶出が促進される溶液条件では、酸化されたウランが表面に蓄積されることは考えにくいことから、この反応挙動の変化は表面ヒドロキシルラジカルの蓄積による現象であると推定した。
Ho, D. M. L.*; Nelwamondo, A. N.*; 大久保 綾子; Ramebck, H.*; Song, K.*; Han, S.-H.*; Hancke, J. J.*; Holmgren, S.*; Jonsson, S.*; 片岡 修; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 315(2), p.353 - 363, 2018/02
被引用回数:2 パーセンタイル:20.74(Chemistry, Analytical)国際核鑑識作業グループが主催する第4回核鑑識共同試料分析演習には、過去最大の17か国からの参加があり、このうち7か国は初めての参加であった。本稿では、演習に初めて参加した5か国のラボラトリが、演習で実施した分析試料の準備および分析内容について情報を共有した。核鑑識共同試料分析演習は、各ラボラトリで確立した分析法のテスト、他の目的で確立した方法の核鑑識への適用化、分析技術の修練に非常に有用であることが確認された。また、演習実施後に開催されたレビュー会合によって、核鑑識シグネチャとその解釈に関する理解を深めることができた。
熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*
no journal, ,
核燃料の水との接触は使用済燃料の直接処分や過酷事故後に予想される。水との接触下で放射線作用を受けると、水の分解によりHOなどの酸化性化学種が生成されるため、燃料を構成するUOが表面から酸化され溶解することが知られている。そのため、燃料からの放射性核種の放出挙動を推定する上で、UOの酸化的溶解反応に関する理解は欠かせない。本研究では、この反応過程に影響し得る因子として、UO固体中のU原子価および有機物の吸着を検討した。固相U原子価の影響については定比UOと過定比UOを比較した。UOに比べて、UOはHOに対して高い反応性を示すが、反応の進行に伴う速度の低下が観測された。この反応性低下の過程ではUの溶出が抑制されており、UOの酸化的溶解は表面過定比層の形成を伴うと考えられる。有機物の吸着についてはフタル酸をモデル物質として実験を行った。1分子/nm以上のフタル酸の吸着が観測され、線照射によるUの溶出は抑制されたが、HOとの反応には有意な影響は観測されなかった。そのため、照射下でのU溶出抑制はフタル酸由来のラジカル種によるものと考えられる。
熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*
no journal, ,
水の放射線分解および過酸化水素への暴露による二酸化ウランの溶解反応の動力学について、二酸化ウランの過定比性が及ぼす影響を研究した。二酸化ウランの酸化反応による水への溶解は、使用済核燃料の直接地層処分や、燃料損傷による冷却水への直接暴露の際には起こり得る。既往の二酸化ウランの溶解に関する反応動力学研究では、ウラン酸化物の過定比性が溶解挙動に与える影響について十分に検討されてこなかった。そこで、本研究では定比の二酸化ウランおよび過定比の二酸化ウランの溶解挙動を比較した。その結果、定比と過定比の二酸化ウランで全く異なる溶解挙動が観測された。過定比の二酸化ウランでは酸化反応はゆっくりと進み、反応に伴ってウランの溶出が進行した。一方で、定比の二酸化ウランは過酸化水素と速やかに反応するが、ウランの溶出はあまり起こらなかった。しかし、定比の二酸化ウランの酸化反応を進めると、過定比の二酸化ウランに類似の反応性を示すようになることが分かった。
熊谷 友多; Jonsson, M.*
no journal, ,
使用済核燃料の直接地層処分では、地下水が処分システム内に浸食し、最終的には燃料と接触することが想定されている。地下水と接触した燃料の表面では、水の放射線分解の作用により、二酸化ウラン母材が徐々に酸化され、水に溶解する。地下水中には天然の有機物が含まれることから、本研究ではフタル酸をモデル物質として、有機物の吸着が二酸化ウランの溶解反応にどのような影響を及ぼすのかを実験により調べた。まず、フタル酸水溶液中では、二酸化ウラン表面へのフタル酸の吸着が生じ、フタル酸の濃度が高い場合には吸着量は表面の80%に達した。フタル酸の吸着した二酸化ウランに対して、水の放射線分解の模擬として過酸化水素を反応させる実験を行ったところ、高い吸着量に反して、吸着質を含まない水溶液中と同程度のウランの溶解が観測された。この結果から二酸化ウランの表面酸化反応はフタル酸の吸着の影響をほとんど受けないことが分かった。