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論文

X線異常分散測定による好塩性細菌由来$$beta$$-lactamaseのCs$$^{+}$$選択性結合部位の発見

新井 栄揮; 柴崎 千枝; 清水 瑠美; 安達 基泰; 玉田 太郎; 徳永 廣子*; 石橋 松二郎*; 徳永 正雄*; 黒木 良太

九州シンクロトロン光研究センター年報,2014, p.17 - 19, 2016/03

タンパク質は生物の生命活動のために、金属イオンの電荷数の違いやイオン半径のわずかな違いを識別して結合するなど、緻密な原子・分子認識機構を有する。多くのタンパク質が必須元素の金属を結合することは広く知られている。しかし、タンパク質が必須元素ではないセシウム(Cs)を選択して結合しうるのか、また、その結合部位はどのような構造をしているのか等は明らかにされていなかった。特に、東京電力福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性Csの生物への影響を知るためや、タンパク質を利用したCs吸着剤を開発するためには、タンパク質におけるCs$$^{+}$$の結合のしやすさや結合部位の構造を解明することが重要と考えられた。そこで我々は、好塩性タンパク質とCs$$^{+}$$の相互作用の研究に着手した。好塩性タンパク質は、塩湖・岩塩・塩蔵食品・発酵食品などの高塩濃度環境に生息する好塩性細菌が作るタンパク質である。好塩性タンパク質は、高塩濃度環境に適応するために多く酸性アミノ酸を含有し、多くの負電荷を有することから、Cs$$^{+}$$を含む様々な金属イオンを結合する可能性があると我々は考えた。本研究では、好塩性タンパク質の中でも比較的高い酸性アミノ酸含量を有し[(Asp + Glu) / (Arg + Lys) = 2.11]、かつ、大腸菌への遺伝子組換えによって大量調製が可能な好塩菌${it Chromohalobacter}$ sp. 560由来$$beta$$-lactamase (以下、HaBLA)について、立体構造の解明とCs$$^{+}$$結合部位の検出を試みた。

論文

Nucleoside diphosphate kinase from psychrophilic ${it Pseudoalteromonas}$ sp. AS-131 isolated from Antarctic Ocean

米澤 悌*; 永山 あい子*; 徳永 廣子*; 石橋 松二郎*; 新井 栄揮; 黒木 良太; 渡邉 啓一*; 荒川 力*; 徳永 正雄*

Protein Journal, 34(4), p.275 - 283, 2015/08

 被引用回数:4 パーセンタイル:11.12(Biochemistry & Molecular Biology)

好冷菌${it Pseudoalteromonas}$ sp. AS-131由来ヌクレオシド二リン酸キナーゼ(ASNDK)の大腸菌による発現、および、精製に成功した。通常細菌由来ヌクレオシド二リン酸キナーゼと比較して、ASNDKは、(1)37$$^{circ}$$Cの大腸菌発現では変性した不溶性の状態で発現する。(2)活性の至適温度は30$$^{circ}$$C低い。など、熱的に不安定な特徴を有していた。また、ASNDKは、中度好塩菌由来ヌクレオシド二リン酸キナーゼのような二量体構造を形成することが示唆された。

論文

Structure of a highly acidic $$beta$$-lactamase from the moderate halophile ${it Chromohalobacter}$ sp.560 and the discovery of a Cs$$^{+}$$-selective binding site

新井 栄揮; 米澤 悌*; 岡崎 伸生*; 松本 富美子*; 柴崎 千枝; 清水 瑠美; 山田 貢*; 安達 基泰; 玉田 太郎; 河本 正秀*; et al.

Acta Crystallographica Section D, 71(3), p.541 - 554, 2015/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:50.76(Biochemical Research Methods)

蛋白質を利用した希少・有害金属捕集材料の研究開発の一環として、中度好塩菌Chromohalobacter sp.560由来・高酸性$$beta$$-Lactamase(HaBLA)のX線結晶構造を解明するとともに、X線異常分散測定により、HaBLA分子上のCs$$^{+}$$, Sr$$^{2+}$$結合部位の抽出を試みた。PFのNW3AにてHaBLAのX線結晶構造を解明した後、Cs吸収端($$lambda$$=2.175${AA}$)近傍のX線を利用できるSAGA-LSのBL7やPFのBL17A、及び、Sr吸収端($$lambda$$=0.770${AA}$)近傍のX線を利用できるSPring-8のBL38B1やPFのBL5Aなどを使用して、HaBLA分子に結合したCs$$^{+}$$及びSr$$^{2+}$$を同定した。その結果、HaBLA分子上に少なくとも1ヶ所のCs$$^{+}$$結合部位、3ヶ所のSr$$^{2+}$$結合部位を発見した。特に、今回発見したCs$$^{+}$$結合部位は、Na$$^{+}$$がCs$$^{+}$$の9倍量存在する条件下(Na$$^{+}$$/Cs$$^{+}$$ = 90mM/10mM)でもCs$$^{+}$$を選択的に結合できることが明らかになった。このCs$$^{+}$$選択的結合部位は、Trp側鎖のベンゼン環によるカチオン-$$pi$$相互作用、および、主鎖の2つの酸素原子によってCs$$^{+}$$を結合していた。本研究で得たCs$$^{+}$$結合部位の立体構造情報は、原発事故によって放出された放射性Cs$$^{+}$$を捕集する蛋白質材料の設計(人工的Cs$$^{+}$$結合部位の設計)の土台として利用できる。

論文

Structural characteristics of alkaline phosphatase from the moderately halophilic bacterium ${it Halomonas}$ sp.593

新井 栄揮; 米澤 悌*; 石橋 松二郎*; 松本 富美子*; 安達 基泰; 玉田 太郎; 徳永 廣子*; Blaber, M.; 徳永 正雄*; 黒木 良太

Acta Crystallographica Section D, 70(3), p.811 - 820, 2014/03

 被引用回数:12 パーセンタイル:63.07(Biochemical Research Methods)

中度好塩菌${it Halomonas}$ sp.593のペリプラズム蛋白質Alkaline phosphatase(HaAP)は、他の好塩性Alkaline phosphataseと異なり、幅広い塩濃度域(1$$sim$$4M NaCl)において機能発現が可能である。そこで本研究では、HaAPの構造学的特徴と好塩性の関係を理解するために、HaAPのX線結晶解析を行った。分解能2.1${AA}$, 空間群${it P}$2$$_{1}$$, 格子定数${it a}$=52.7${AA}$, ${it b}$=147.0${AA}$, ${it c}$=58.3${AA}$, $$alpha$$=90$$^{circ}$$, $$beta$$=105.2$$^{circ}$$, $$gamma$$=90$$^{circ}$$, R$$_{merge}$$ 8.4%の回折データを取得して、生物学的構造単位であるHaAP二量体の立体構造を解明することに成功した。また、HaAPの立体構造を、PDB中で最も配列相同性が高い低度好塩菌${it Vibrio}$ sp.由来VAP(identity 70.0%)の立体構造と比較した。その結果、ASA$$>$$0${AA}$ $$^{2}$$の酸性アミノ酸(D, E)の数は、VAP(57個)よりもHaAP(72個)が多いことが明らかになった。また、VAPとHaAPを構成する疎水性アミノ酸(V, L, I, P, F, M, W)に着目すると、二量体界面に位置する疎水性アミノ酸の数はほぼ同じ(39個と40個)であったが、分子内部(ASAが0${AA}$)の疎水性アミノ酸はそれぞれ24個と37個であった。このようなHaAPにおける分子表面の高い酸性アミノ酸含量や分子内部の高い疎水性アミノ酸含量は、中度好塩菌のペリプラズム特有の幅広い塩濃度環境下(0.5M$$sim$$飽和塩濃度)における高い可溶性と機能発現の両立に寄与していると考えられる。

論文

生体分子の中性子単結晶回析,3; タンパク質中性子結晶構造解析の実例と応用

安達 基泰; 新井 栄揮; 廣本 武史; 黒木 良太

波紋, 24(1), p.45 - 49, 2014/02

中性子回折を使った蛋白質の構造解析は、生体高分子の構造と機能の関係を理解する上においてますます重要になっている。原子力機構の研究用原子炉およびパルス中性子施設に設置した中性子回折計の近年の発達したことによって、水和水と生体高分子の水素原子を観察することが可能となり、化学反応の機構を解明するための重要な知見が得られるようになった。ここでは、生体高分子の中性子結晶構造解析のための、試料調製、結晶成長、構造解析と得られる情報の利用について例を挙げ概説する。

論文

Decontamination of outdoor school swimming pools in Fukushima after the nuclear accident in March 2011

三枝 純; 操上 広志; 安田 良; 栗原 和男; 新井 栄揮; 黒木 良太; 松橋 信平; 小澤 隆志; 後藤 浩明; 高野 隆夫; et al.

Health Physics, 104(3), p.243 - 250, 2013/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:25.73(Environmental Sciences)

2011年3月の原子力発電所事故を受け、福島県内の多くの学校プールでは、放射性セシウムを含んだ水が農地に放出されることへの懸念から、プール水が排水できないままにあった。原子力機構では、プール水を除染するための方法として、各種のセシウム吸着材を使った方法や凝集沈殿法について調査・検討を行った。この結果をもとに、福島県内の学校プールにおいて除染の実証試験を行い、手法の見直しや改良を進めることにより、プール水の除染方法を構築した。

論文

Structure and function of $$Delta$$1-tetrahydrocannabinolic acid (THCA) synthase, the enzyme controlling the psychoactivity of ${it Cannabis sativa}$

正山 祥生*; 玉田 太郎; 栗原 和男; 竹内 彩子*; 田浦 太志*; 新井 栄揮; Blaber, M.*; 正山 征洋*; 森元 聡*; 黒木 良太

Journal of Molecular Biology, 423(1), p.96 - 105, 2012/10

 被引用回数:82 パーセンタイル:89.24(Biochemistry & Molecular Biology)

$$Delta$$1-テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)合成酵素は、基質であるカンナビゲロール酸の酸化的閉環反応を触媒し、大麻の幻覚活性をつかさどる$$Delta$$1-テトラヒドロカンナビノールの前駆体であるTHCAを合成する。本研究では、THCA合成酵素のX線結晶解析及び変異体を用いた活性測定を実施し、THCA合成酵素の機能-構造相関の解明を試みた。2.75${AA}$分解能で決定した立体構造情報に変異体解析結果を組合せことにより、THCA合成酵素の活性に寄与する残基を同定した。

論文

Reduction of salt-requirement of halophilic nucleoside diphosphate kinase by engineering S-S bond

石橋 松二郎*; 内野 真奈美*; 新井 栄揮; 黒木 良太; 荒川 力*; 徳永 正雄*

Archives of Biochemistry and Biophysics, 525(1), p.47 - 52, 2012/09

 被引用回数:7 パーセンタイル:20.98(Biochemistry & Molecular Biology)

高度好塩菌Halobacterium salinarum由来ヌクレオシド二リン酸キナーゼ(HsNDK)は、立体構造の安定化に高濃度の塩を必要とする。しかし、アスパラギン酸148番目をシステインに置換したD148C変異型HsNDKは、0.2M NaClの低塩濃度条件下において野生型HsNDKよりも10$$^{circ}$$C以上熱安定性が向上することが判明した。また、熱変性後の巻き戻りには、野生型では2M NaClを必要とするのに対し、D148C変異型では0.1M NaClで巻き戻ることができた。HsNDKは二量体どうしが会合した六量体構造を形成するが、D148C変異導入は六量体内の二量体間に3か所のジスルフィド架橋を形成させて構造を安定化し、本来構造安定化に必要な塩要求性を低減することができたと考えられる。

論文

A Structural mechanism for dimeric to tetrameric oligomer conversion in ${it Halomonas}$ sp. nucleoside diphosphate kinase

新井 栄揮; 米澤 悌; 岡崎 伸生; 松本 富美子; 玉田 太郎; 徳永 廣子*; 石橋 松二郎*; Blaber, M.; 徳永 正雄*; 黒木 良太

Protein Science, 21(4), p.498 - 510, 2012/04

 被引用回数:14 パーセンタイル:34.5(Biochemistry & Molecular Biology)

さまざまな生物種で保存されているヌクレオシドニリン酸キナーゼ(NDK)は、4量体もしくは6量体構造を形成することが知られる。一方、中度好塩菌${it Halomonas}$ sp. 593由来NDK(HaNDK)はNDKとしては例外的に2量体を形成し、E134A変異導入により4量体へ変換される。本研究では、ゲルろ過光散乱及びX線結晶解析により、中度好塩菌${it Halomonas}$ sp. 593由来NDKにおけるE134A変異導入による多量体変換の機構を解明した。また、E134A変異型HaNDKの結晶中には、グラム陰性菌由来MxNDKに類似した4量体構造と大腸菌由来EcNDKに類似した4量体構造が交互に現れることを明らかにした。一般に蛋白質は会合することで熱安定性や基質親和性を増大することから、少ない変異導入による多量体構造の変化は、NDKがさまざまな環境に適合するために有効に寄与している可能性がある。

論文

Dimer-tetramer assembly of nucleoside diphosphate kinase from moderately halophilic bacterium ${it Chromohalobacter salexigens}$ DSM3043; Both residues 134 and 136 are critical for the tetramer assembly

徳永 廣子*; 伊豆津 健一*; 新井 栄揮; 米澤 悌; 黒木 良太; 荒川 力*; 徳永 正雄*

Enzyme and Microbial Technology, 46(2), p.129 - 135, 2010/02

 被引用回数:6 パーセンタイル:20.75(Biotechnology & Applied Microbiology)

本論文では中度好塩菌${it Chromohalobacter salexigens}$由来CsNDKの多量体構造にかかわる134及び136番目残基の役割について議論する。CsNDKのGly134やGlu136をAlaやThrに置換した数種類の変異蛋白質を調製し、それらの会合状態を比較した結果、134及び136番目残基の両者がCsNDKのサブユニットの会合に寄与していることが明らかになった。Gly134をAla、Glu136をThrに置換したCsNDK/ANTでは、Ala134が疎水性クラスターを形成することで二量体-二量体の会合が安定化することが判明した。

論文

Structure of HIV-1 protease in complex with potent inhibitor KNI-272 determined by high-resolution X-ray and neutron crystallography

安達 基泰; 大原 高志; 栗原 和男; 玉田 太郎; 本庄 栄二郎; 岡崎 伸生; 新井 栄揮; 正山 祥生; 木村 要*; 松村 浩由*; et al.

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 106(12), p.4641 - 4646, 2009/03

 被引用回数:111 パーセンタイル:90.72(Multidisciplinary Sciences)

本研究では、プロテアーゼとその医薬品候補分子との分子間相互作用を原子レベルで解明することを目的として、阻害剤との複合体の中性子結晶構造解析を実施した。タンパク質の中性子結晶構造解析を行うには、高品質な大型結晶作成のために大量のタンパク質試料が必要となる。本研究では、コドン配列を最適化した人工遺伝子を合成することで効率的な大腸菌発現系を構築し、プロテアーゼの大量調製系を確立した。そして逆相クロマトグラフィーを用いることで自己分解物を完全に除去した純度の高い試料を調製して結晶化を行った。得られた結晶を用いてJRR-3に設置しているBIX-4にて中性子回折データを収集した結果、1.9${AA}$の回折データを得ることができた。プログラムPHENIXにより中性子とX線の同時精密化を実施し、世界で初めてHIV-1プロテアーゼの中性子結晶構造解析に成功した。重水素原子の存在と位置を確認するためにオミットマップを作成したところ、顕著な2つのピークを得た。プロトン化された触媒残基及び阻害剤のヒドロキシル基の構造を水素原子を含めて実験で初めて明らかにすることができた。

論文

Residue 134 determines the dimer-tetramer assembly of nucleoside diphosphate kinase from moderately halophilic bacteria

徳永 廣子*; 石橋 松二郎*; 有坂 文雄*; 新井 栄揮; 黒木 良太; 荒川 力*; 徳永 正雄*

FEBS Letters, 582(7), p.1049 - 1054, 2008/04

 被引用回数:17 パーセンタイル:40.45(Biochemistry & Molecular Biology)

ヌクレオシド二リン酸化キナーゼ(NDK)は、中度好塩菌${it Halomonas}$由来HaNDKの場合は2量体を形成し、通常細菌${it Pseudomonas}$由来PaNDKの場合は4量体を形成する。しかし、HaNDKのGlu134にAlaを変異導入すると4量体を形成するようになり、PaNDKのAla134にGluを変異導入すると2量体を形成するようになった。この結果は、134番目のアミノ酸一残基のみの置換でNDKの複合体構造を変換できることを意味する。中度好塩菌${it Myxococcus}$由来NDKの結晶構造に基づいて作製したHaNDKとPaNDKの分子モデルからは、Glu134による反発的相互作用が4量体中の2量体-2量体間の分裂を促すことが判明した。

論文

中性子結晶解析によって観測されたB型DNAの水和水の配向

新井 栄揮; 茶竹 俊行*; 新村 信雄

日本結晶学会誌, 48(2), p.133 - 139, 2006/04

本研究ではB型DNA+量体d(CCATTAATGG)$$_{2}$$について、X線及び中性子結晶構造解析を行い、多くの水和水について水素原子位置を含めて決定することに成功した。DNA二重らせん周辺の水和パターンは、核酸の構造と機能に重要な役割を果たすと考えられている。特に、AT塩基対が連なる領域のMinor groove(副溝)内には、六角形状の水和パターンが存在することが知られていた。しかし、それはX線結晶回折によって明らかにされた水分子の酸素原子位置から予想されたものであった。今回、水和水の水素原子位置が決定できたことにより、水分子の配向を含めた詳細な水和水ネットワークの様子が明らかになった。これにより、水和パターンは単純な六角形だけでは表せず、これまでの予想よりも数多くの水素結合がDNA鎖-水分子間に存在することが明らかになった。

論文

Recent results on hydrogen and hydration in biology studied by neutron macromolecular crystallography

新村 信雄; 新井 栄揮; 栗原 和男; 茶竹 俊行*; 田中 伊知朗*; Bau, R.*

Cellular and Molecular Life Sciences, 63(3), p.285 - 300, 2006/02

 被引用回数:41 パーセンタイル:37.86(Biochemistry & Molecular Biology)

中性子回折は蛋白質やDNAの水素位置を直接的に決定する実験手法である。三つの異なったタイプの生体物質用高分解能中性子回折計が日本,フランス,アメリカに建設され、それらは近年、多くの蛋白質の結晶構造を決定するために頻繁に用いられてきた。本論文では、詳細な水素結合のジオメトリー,蛋白質及び核酸のH/D交換に関する情報,プロトンの正確な位置決定,酵素活性及び熱安定性における水素原子の役割,水和構造の動力学的挙動など、中性子構造解析から引出された成果を取り上げる。その他の重要な技術として開発された、結晶化相図による大型単結晶育成の最適化,完全重水素化蛋白質の調製,中性子蛋白質結晶学におけるクライオ技術の導入,生体水素水和水データベースの設立なども本論文中にて議論する。

論文

Complicated water orientations in the minor groove of the B-DNA decamer d(CCATTAATGG)$$_{2}$$ observed by neutron diffraction measurements

新井 栄揮; 茶竹 俊行*; 大原 高志; 栗原 和男; 田中 伊知朗*; 鈴木 喜大*; 藤本 瑞*; 水野 洋*; 新村 信雄

Nucleic Acids Research, 33(9), p.3017 - 3024, 2005/05

 被引用回数:93 パーセンタイル:82.96(Biochemistry & Molecular Biology)

本研究ではB型DNA十量体d(CCATTAATGG)$$_{2}$$について、X線及び中性子結晶構造解析を行い、多くの水和水について水素原子位置を含めて決定することに成功した。DNA二重らせん周辺の水和パターンは、核酸の構造と機能に重要な役割を果たすと考えられている。特に、AT塩基対が連なる領域のMinor groove(副溝)内には、六角形状の水和パターンが存在することが知られていた。しかし、それはX線結晶回折によって明らかにされた水分子の酸素原子位置から予想されたものであった。今回、水和水の水素原子位置が決定できたことにより、水分子の配向を含めた詳細な水和水ネットワークの様子が明らかになった。これにより、水和パターンは単純な六角形だけでは表せず、これまでの予想よりも数多くの水素結合がDNA鎖-水分子間に存在することが明らかになった。

論文

Hydrogen and hydration in proteins and nucleic acids; Neutron diffraction from bio-macromolecules at JAERI

新村 信雄; 新井 栄揮; 栗原 和男; 茶竹 俊行*; 田中 伊知朗*; Bau, R.*

Hydrogen- and Hydration-Sensitive Structural Biology, p.17 - 35, 2005/00

原研において、われわれは生体高分子のための幾つかの高分解能中性子回折計(BIX-type回折計)を建設した。この論文では、BIX-type回折計で得られた、蛋白質中の水素位置及び水和に関する幾つかの興味深い結果について再考する。中性子蛋白質結晶学の一般的な話題が著者らによって再考され、選ばれた幾つかのトピックスが議論される。

論文

More rapid evaluation of biomacromolecular crystals for diffraction experiments

新井 栄揮; 茶竹 俊行; 鈴木 喜大*; 水野 洋*; 新村 信雄

Acta Crystallographica Section D, 60(6), p.1032 - 1039, 2004/06

 被引用回数:17 パーセンタイル:76.04(Biochemical Research Methods)

生体高分子の結晶品質の評価に用いられてきたパラメータ(R-merge, I/sigma, 最大分解能, mosaicity)は回折実験の条件に強く依存する。本論文ではrelative Wilson plot法の特徴について述べ、このプロットから得られるoverall B-factorが蛋白質結晶のcharacterizationに適していることを説明する。relative Wilson plotの例として、B型DNA十量体d(CCATTAATGG),DsrD蛋白質,鶏卵白リゾチームの評価結果を示す。B型DNAやDsrD蛋白質の結晶品質は、結晶化相図上の条件に強く依存することが明らかになった。一方、鶏卵白リゾチームの結晶品質は、結晶化相図上の条件にほとんど依存しないことが判明した。

論文

Crystallization and preliminary neutron analysis of the dissimilatory sulfite reductase D (DsrD) protein from the sulfate-reducing bacterium $textit{Desulfovibrio vulgaris}$

茶竹 俊行; 水野 伸宏*; Voordown, G.*; 樋口 芳樹*; 新井 栄揮; 田中 伊知朗; 新村 信雄

Acta Crystallographica Section D, 59(Part2), p.2306 - 2309, 2003/12

 被引用回数:19 パーセンタイル:75.55(Biochemical Research Methods)

硫酸還元菌(Desulfovibrio vulgaris)由来DsrDは立体構造中にDNA結合モチーフを持つことが判明している。本研究では、DNA認識における水素結合様式及び水和構造ネットワークの解明を目的として、中性子結晶構造解析を試みている。中性子回折実験に必要な大型結晶(1mm$$^{3}$$以上)を得るために、結晶析出相図とX線回折実験による結晶化情報の検討と、マクロシーディングを行い、1.7mm$$^{3}$$の単結晶を得ることに成功した。現在、結晶1軸方向での中性子回折実験データ収集が終わり、構造解析で水素水和構造の概要が見えたので報告する。

論文

結晶評価法の確立と蛋白質宇宙実験

新村 信雄; 新井 栄揮

日本マイクログラビティ応用学会誌, 20(2), p.111 - 117, 2003/04

生体高分子の結晶品質を評価する方法は、現在まで確立されておらず、また、品質の良し悪しの実体についても全くわかっていない。本研究では、X線・中性子結晶回折によって得られるウィルソンプロットを修正して利用する、新規の評価法を開発した。さらに本論文では、これまでに評価パラメータとして用いられてきたモザイシティ(結晶内のモザイクブロックの乱れを示すパラメータ)に対しても問題点を示す。構造解析を目的とする場合、結晶品質はモザイシティではなく、単位格子内の分子の配向の状態や側鎖の乱れ(静的な乱れや熱振動等)で説明すると無理なく理解できる。

論文

Crystallization of a large single crystal of a B-DNA decamer for a neutron diffraction experiment by the phase-diagram technique

新井 栄揮; 茶竹 俊行; 峯崎 善章*; 新村 信雄

Acta Crystallographica Section D, 58(Part 1), p.151 - 153, 2002/01

 被引用回数:23 パーセンタイル:81.54(Biochemical Research Methods)

B型DNA+量体d(CCATTAATGG)を用い、結晶化の相図を作製することにより、中性子結晶回折実験に適した巨大単結晶を得ることに成功した。30%(v/v)のMPD(2-methyl-2,4-pentandiol)存在下において作製したDNAとMgCl濃度に関する相図では、MgCl$$_{2}$$が~100mM近傍でDNAの溶解度が最小になることが判明した。この溶解度最小付近の溶液条件で得たDNA結晶は1.7$$times$$1.3$$times$$0.6mmの体積を有し、中性子回折実験に十分適していることが判明した。

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