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論文

ERmod; Fast and versatile computation software for solvation free energy with approximate theory of solutions

櫻庭 俊; 松林 伸幸*

Journal of Computational Chemistry, 35(21), p.1592 - 1608, 2014/08

 被引用回数:43 パーセンタイル:79.24(Chemistry, Multidisciplinary)

ERmodはエネルギー表示法に基づく、効率よく溶媒和自由エネルギーを近似計算するソフトウェアである。溶液系・参照溶媒系の2状態での分子シミュレーションのみから、溶媒和自由エネルギーを計算することが可能である。ERmodのサブプログラムである$texttt{ermod}$は溶質溶媒間相互作用エネルギーの分布関数を計算し、別のサブプログラムである$texttt{slvfe}$は溶媒和自由エネルギーを分布関数から溶液の近似汎関数理論に従い計算する。本論文ではERmodの設計と実装について記述し、またそのパフォーマンスを2つの有機分子と2つのタンパク質を溶質とする系について示す。ERmodの利用範囲は幅広く、均一溶媒系である流体やポリマーのみならず、ミセルや脂質膜系などのナノ不均一系まで適用可能である。ERmodは$texttt{http://sourceforge.net/projects/ermod}$にて公開されている。

論文

Development of an imaging system for the observation of water behavior in a channel in PEFC

野島 健大; 安田 良; 竹中 信幸*; 片桐 政樹*; 飯倉 寛; 酒井 卓郎; 松林 政仁

Physics Procedia, 43, p.282 - 287, 2013/00

 被引用回数:2 パーセンタイル:73.04

発電中のJARI標準燃料電池のガス流路内における水の挙動を可視化するために、従来に比べてノイズが低いリアルタイム撮像システムを開発した。この撮像システムは、EM-CCDカメラ、高輝度LiF/ZnS(Ag)コンバータ及び小角スリットシステムで構成されている。EM-CCDカメラは、数秒オーダーで生じる燃料電池内部の事象を捉えることができる。高輝度LiF/ZnS(Ag)コンバータは原子力機構が開発したコンバータであり、TNRFで通常使用している市販のNRコンバータと比較し、高い輝度を有する。また、スリットシステムにより$$gamma$$線由来のホワイトスポットの低減を可能とし、画像データ上のピクセルにおけるミスカウントが抑止され、定量評価をするうえで効果が得られる。これらを用いて、発電中における燃料電池の可視化を行い、流路中の水分挙動をその場観察を行った。

報告書

熱中性子ラジオグラフィ装置における燃料電池発電システムの整備

野島 健大; 安田 良; 竹中 信幸*; 林田 洋寿; 飯倉 寛; 酒井 卓郎; 松林 政仁

JAEA-Technology 2011-037, 33 Pages, 2012/02

JAEA-Technology-2011-037.pdf:4.12MB

JRR-3に設置されている熱中性子ラジオグラフィ装置(TNRF)で発電中における燃料電池可視化実験を行うため、TNRF専用の燃料電池発電システムを整備した。水素検知器やインターロック等の機器の装備により水素ガスリーク等の事故を抑制し、TNRFが設置されている原子炉施設内で安全に実験可能な仕様とした。JARI(日本自動車研究所)標準セルを用いた特性試験の結果、発電システムが仕様通りに動作することを確認し、その後中性子ラジオグラフィ実験に供して発電中における電池内部の水の可視化に成功した。

論文

Evaluation of water distribution in a small operating fuel cell using neutron color image intensifier

安田 良; 日塔 光一*; 小長井 主税*; 塩澤 方浩*; 竹中 信幸*; 浅野 等*; 村川 英樹*; 杉本 勝美*; 野島 健大; 林田 洋寿; et al.

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 651(1), p.268 - 272, 2011/09

 被引用回数:7 パーセンタイル:53.81(Instruments & Instrumentation)

中性子ラジオグラフィは、燃料電池内部の水分布可視化に有効な技術である。本研究では、高輝度・高空間分解能中性子イメージング検出器の中性子イメージインテンシファイアを用いて、小型燃料電池内部を発電開始からフラッディングに起因すると考えられる電圧降下までの過程を連続的に観察した。発電過程において、電池中心部から水が生成し、徐々に流路端部の両側から滞留していく様子を確認した。一方で、発電時の電池電圧は水分の滞留とともに低下し、流路端部の水滴が結合した直後に急激な電圧降下が生じ発電を停止している。本稿では、こうした結果に加え、発電に伴う生成水の挙動と電圧変化との相関に関する考察したことについて述べる。

論文

Evaluation of water distribution in a small-sized PEFC by neutron radiography

安田 良; 塩澤 方浩*; 片桐 政樹*; 竹中 信幸*; 酒井 卓郎; 林田 洋寿; 松林 政仁

電気化学及び工業物理化学, 79(8), p.614 - 619, 2011/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:2.89(Electrochemistry)

Neutron radiography is a useful tool for visualization of water distribution in fuel cells. In this study, we prepared a high spatial resolution neutron imaging system and small-sized fuel cell, and observed the through-plane water distribution in the fuel cell after operation. Fuel cell operations were carried out while varying the gas flow rate in the constant current mode. In low flow rate conditions, voltage decreased as operation time increased, and dropped below 0.2 V at 7.5 min. In neutron images obtained after fuel cell operation, water distribution was observed around the membrane electrode assembly (MEA) at the beginning of the operation and expanded over time to the gas diffusion layer (GDL) and channel on the cathode side. In higher flow rate conditions, fuel cell operation was more stable than in the low flow rate conditions. Neutron imaging results suggest that stable fuel cell operation is attributable to water discharge due to expulsion by the gas flow.

論文

Surface characterization of homoepitaxial $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ film on $$beta$$-FeSi$$_{2}$$(111) substrate by X-ray photoelectron and absorption spectroscopy

江坂 文孝; 山本 博之; 鵜殿 治彦*; 松林 信行*; 山口 憲司; 社本 真一; 間柄 正明; 木村 貴海

Physics Procedia, 11, p.150 - 153, 2011/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01

$$beta$$-FeSi$$_{2}$$は光通信デバイスなどへの幅広い応用が期待されている半導体材料である。しかしながらその表面に関しては未知な点も多く、正確な構造・組成の把握及びそれに基づく制御が、実用化に向けた課題の一つとなっている。本研究では、放射光を励起源としたX線光電子分光(XPS)法及びX線吸収分光(XAS)法を用い、$$beta$$-FeSi$$_{2}$$(111)単結晶上にエピタキシャル成長した$$beta$$-FeSi$$_{2}$$薄膜表面の組成及び化学状態について非破壊で分析を行った。この結果、薄膜表面に生じたSiO$$_{x}$$層の膜厚,化学状態の深さ方向への変化に関する知見を得ることができた。

論文

Spectroscopic characterization of $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ single crystals and homoepitaxial $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ films by XPS and XAS

江坂 文孝; 山本 博之; 鵜殿 治彦*; 松林 信行*; 山口 憲司; 社本 真一; 間柄 正明; 木村 貴海

Applied Surface Science, 257(7), p.2950 - 2954, 2011/01

 被引用回数:9 パーセンタイル:42.5(Chemistry, Physical)

エネルギー可変の放射光を励起源として光電子スペクトルを観測した場合、光電子の運動エネルギーの変化に応じて電子の脱出深さが変化することから、表面の深さ方向分布を非破壊的に得ることが可能となる。本研究では放射光を用いたX線光電子分光法と、これよりも分析領域の深いX線吸収分光法(XAS)を用い、$$beta$$-FeSi$$_{2}$$単結晶上にホモエピタキシャル成長させた$$beta$$-FeSi$$_{2}$$薄膜表面組成及び化学状態について、非破壊深さ方向分析を行った。得られたXPSスペクトルから、励起エネルギーの増大とともにSiO$$_{2}$$及びSiO$$_{x}$$に起因するピーク強度が減少し、相対的にシリサイドによるピーク強度が増大することを明らかにした。これらの結果をもとに深さプロファイルを評価し、単結晶表面にはそれぞれSiO$$_{2}$$層0.8nm及びSiO$$_{x}$$層0.2nmが形成されていること、Fe/Si組成比は深さ方向にほとんど変化しないことが確認された。発表ではXASによるFe-L及びSi-K吸収端測定から、より深い表面領域の結果について解析を行った結果についても併せて報告する。

論文

X-ray photoelectron and X-ray absorption spectroscopic study on $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ thin films fabricated by ion beam sputter deposition

江坂 文孝; 山本 博之; 松林 信行*; 山田 洋一*; 笹瀬 雅人*; 山口 憲司; 社本 真一; 間柄 正明; 木村 貴海

Applied Surface Science, 256(10), p.3155 - 3159, 2010/03

 被引用回数:16 パーセンタイル:59.92(Chemistry, Physical)

放射光を用いたX線光電子分光法(XPS),X線吸収分光法(XAS)を用い、イオンビームスパッタ蒸着法により作製した$$beta$$-FeSi$$_{2}$$薄膜の表面化学状態及び深さプロファイルを非破壊的に解析した。873$$sim$$1173Kで成膜した試料についてXPS測定を行った結果、基板温度973Kでは、励起エネルギー(分析深さ)の減少とともにSiO$$_{2}$$及びSiO$$_{2-x}$$に起因するピークの割合が増加することを明らかにした。この結果から、最表面に1nm以下のSiO$$_{2}$$層が、さらにその直下にSiO$$_{2-x}$$層が形成されていることを確認した。また、XASによるFe-L吸収端測定では、873Kで成膜した場合には未反応のFe、1173Kでは$$alpha$$-FeSi$$_{2}$$の存在する可能性が示唆された。

論文

Effect of water distributions on performances of JARI standard PEFC by using neutron radiography

村川 英樹*; 植田 忠伸*; 吉田 壮寿*; 杉本 勝美*; 浅野 等*; 竹中 信幸*; 持木 幸一*; 飯倉 寛; 安田 良; 松林 政仁

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 605(1-2), p.127 - 130, 2009/06

 被引用回数:22 パーセンタイル:83.5(Instruments & Instrumentation)

In order to clarify the effects of water on performances of a Polymer Electrolyte Fuel Cell (PEFC), measurements of water distribution in a Japan Automobile Research Institute standard PEFC were carried out by means of neutron radiography. Furthermore, the cell voltage and the pressure drop between inlet and outlet of the air were simultaneously measured. From the measurements, the relation between cell voltage, pressure drop and movement of the water plug in the channel was confirmed. The PEFC performances were recovered as the water plug evacuated. Condensed water in the channel decreased with the relative humidity of air. However, it may affect the MEA permanence. Therefore, the most appropriate operating conditions should be decided for taking into account both the cell performances and the permanencies.

論文

Direct and indirect processes in photon-stimulated ion desorption from condensed formamide

池浦 広美*; 関口 哲弘; 馬場 祐治; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*

Surface Science, 593(1-3), p.303 - 309, 2005/11

 被引用回数:5 パーセンタイル:27.37(Chemistry, Physical)

われわれが近年開発した脱離イオン種をプローブとする(XAFS)分光法の基礎データ拡充のため、ホルムアミド分子の凝縮系試料の実験を行った。分子内のC, N, O元素におけるXAFS測定が可能でありC-H, N-H結合を区別して最表面の配向構造分析することが可能であることが示された。さまざまなX線励起エネルギー,生成物種,励起偏光角度について測定した飛行時間質量スペクトルから生成物が放出される際の初期運動エネルギーを求め、イオン脱離機構を調べた。運動エネルギーは発生メカニズム(直接解離/間接解離機構)を大きく反映すること、また多成分存在することが示された。

論文

Characterization of air-exposed surface $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ fabricated by ion beam sputter deposition method

斉藤 健; 山本 博之; 山口 憲司; 仲野谷 孝充; 北條 喜一; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.321 - 325, 2003/05

 被引用回数:7 パーセンタイル:48.01(Instruments & Instrumentation)

放射光を利用したX線光電子分光法(XPS)を用い、$$beta$$-FeSi$$_{2}$$の表面酸化過程を解析した。Si(111)基板表面に$$beta$$-FeSi$$_{2}$$を生成後、約2日間大気曝露を行い、表面酸化を試みた。XPSによりシリサイド表面の非破壊深さ方向分析を行った結果、シリサイドはアイランド状の構造をとっており、基板のSi表面も一部露出した構造をとっていることが明らかとなった。シリサイド精製時のアニール温度や初期膜厚の違いにより、表面組成が異なることが明らかとなった。シリサイド表面がSiリッチな状態の試料に関し表面酸化を行った場合には、表面に非常に薄いSiO$$_{2}$$薄膜が生成し、シリサイドがほとんど酸化されなかった。しかしながら、Feリッチな試料の場合にはシリサイドが著しく酸化されることが確認された。このことから、表面付近に生成するSiO$$_{2}$$酸化物相がシリサイド薄膜の酸化保護膜として機能していることが推測された。

論文

Fabrication of $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ thin films on Si(III) surface by solid phase epitaxy (SPE) analyzed by means of synchrotron radiation XPS (SR-XPS)

斉藤 健; 山本 博之; 朝岡 秀人; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*; 北條 喜一

Analytical Sciences (CD-ROM), 17(Suppl.), p.1073 - 1076, 2002/03

放射光を利用したX線光電子分光法(SR-XPS)を用い、$$beta$$-FeSi$$_{2}$$生成過程におけるSi,Feの深さ方向組成分布の解析を試みた。Si(111)基板表面に室温で100Å Feを蒸着し、723Kでアニールを行うことにより、$$beta$$-FeSi$$_{2}$$薄膜の作成を試みた。励起X線エネルギー200~1000eVの範囲でFe/Si比の励起X線エネルギー依存性を解析した。IMFP値を用いたFe,Siの深さ方向分布シミュレーションの結果と実験により得られたFe/Si比とを比較した結果、Fe蒸着後のアニールにより、Siが表面のFe相中に次第に拡散することが明らかとなった。Fe 2p XPSスペクトル,価電子帯光電子スペクトルそれぞれを測定した結果、723Kのアニールでは$$beta$$-FeSi$$_{2}$$の生成は起こらず、$$varepsilon$$相のみの生成が確認された。973Kでアニールを行った場合には$$beta$$-FeSi$$_{2}$$の生成が確認され$$beta$$-FeSi$$_{2}$$生成には、より高温でのアニールが必要であることが明らかになった。

論文

XAS and XPS combined analysis using high-resolution and high-flux soft X-ray from synchrotron radiation

松林 信行*; 田中 智章*; 今村 元泰*; 島田 広道*; 斉藤 健

Analytical Sciences (CD-ROM), 17(Suppl.), p.119 - 121, 2002/03

放射光の特性、すなわち励起エネルギーを変化可能なこと、高強度高分解能の偏向性を考慮した場合、X線光電子分光法(XPS)とX線吸収分光法(XAS)をあわせて用いることは、固体表面の元素分析や化学状態分析有効な手法となる。励起エネルギーを変化させ、光電子の運動エネルギーを変えることにより、非弾性平均自由行程の調整を行い、XPSによる非破壊深さ方向分析が可能となる。偏向XASは種々の機能材料に応用されている。共鳴光電子スペクトルの解析による電子構造の分析はチオシアネートの分析に用いられた。XASスペクトルと共鳴光電子スペクトルは放射光研究施設のBL-13Cにて行われた。

論文

In-situ XAFS analysis of Y zeolite-supported Rh catalysts during high-pressure hydrogenation of CO$$_{2}$$

阪東 恭子*; 斉藤 健; 佐藤 剛一*; 田中 智章*; Dumeignil, F.*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*

Topics in Catalysis, 18(1-2), p.59 - 65, 2002/01

CO$$_{2}$$水素化反応時におけるRh担持Yゼオライト触媒に関し、XAFS分析法によりその場観察を行った。分析の結果、低温ではRhY触媒は、LiをドーピングしたRhY触媒よりも、より還元されやすいことが明らかとなった。低温でのRhの還元には、Rh酸化物の形成が関与していることが明らかとなり、この現象はLiをドーピングしたRhY触媒では観察されなかった。反応中でのRh粒子の大きさは、RhY触媒では1.3nm,LiをドーピングしたRhY触媒では0.8nmであった。CO反応の場合だけでなく、乾燥空気にさらした場合でも、RhY触媒よりもLiをドーピングしたRhY触媒の方が、より構造変化を受けやすいことも明らかとなった。これらの違いはLiドーピングしたRhY触媒におけるLi酸化物の影響が関与している可能性によるものと結論された。

論文

Orientation-selective excitation and dissociation in multilayer benzene

関口 哲弘; 馬場 祐治; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*

Applied Surface Science, 169-170(1-4), p.287 - 291, 2001/06

固体表面上の吸着角度に依存した励起分子の化学反応を調べるため、試料表面から放出される脱離イオン断片の収量を種々の放出角度で観測することができる検出器を設計・製作した。実験システムとしては超高真空チャンバー中で、試料の表面清浄化を行うことができるほかに、放射光の水平偏光面内で回転することができる飛行時間質量分析器を備えている。この装置を高エネルギー加速器研究機構・放射光研究施設に持ち込み、Si(100)上のベンゼン多分子層について予備実験を行った。結果としては、あるベンゼン平面内($$sigma$$$$^{ast}$$)に遷移モーメントをもつ共鳴内殻励起において表面平面に対して垂直方向10度以内を向いたベンゼン分子が非常に大きなH$$^{+}$$イオン脱離(解離)確率を示すことが見いだされた。

論文

Fragmentation and charge-neutralization pathways depending on molecular orientation at surfaces

関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Surface Science, 482-485(Part.1), p.279 - 284, 2001/06

X線が固体に照射されると、(電子励起により)表面層から分解イオンが放出される。この現象は「電子励起に起因する脱離現象」と呼ばれ、熱的に起こる蒸発や剥離現象と区別され、広く研究されている。最終的に脱離する分解生成物は、おもに(1)表面最上層分子の直接的な分解、(2)固体内部からの二次電子による衝突励起など一連の複雑な過程の結果として生じる。さらに周囲分子や基板からの脱励起の影響も顕著に受ける。本研究においては表面での分子構造や結合方向が分解及び脱離過程に密接にかかわっていると考え、放射光の直線偏光を利用して、分子(中のある結合)の配向方向を規定して(X線)電子励起する実験を行った。この実験を行うため超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発した。本報告では凝集ギ酸(HCOOH)分子の内殻電子励起による分解反応について報告する。

論文

Formation process of $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ on Si(111) substrate studied by means of SR-XPS

斉藤 健; 山本 博之; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*; 北條 喜一

Photon Factory Activity Report 2001, (19), P. 205, 2001/00

放射光を利用したX線光電子分光法(XPS)を用い、$$beta$$-FeSi$$_{2}$$生成過程におけるSi, Feの深さ方向組成分布の解析を試みた。Si(111)基板表面に室温でFeを蒸着後、523K, 723K, 973Kと段階的にアニールを行い、Si/Fe組成の変化の様子を放射光を用いたXPSにより解析した。励起X線エネルギー200$$sim$$1000eVの範囲でFe/Si比の励起X線エネルギー依存性を解析し、深さ方向分布の解析を行った。実験結果とIMFP値を用いたFe, Siの深さ方向分布シミュレーションの結果と比較した結果、室温でFe蒸着後のアニールを行うことにより、Siが表面のFe相中に次第に拡散することが明らかとなった。その際、Fe層は基板表面に島状構造を形成することも、同時に明らかとなった。また、シミュレーションの結果、島状構造をしたシリサイドは、基板表面50%程度覆っていることも明らかとなった。

論文

Selective fragmentation of surface molecules excited by linearly polarized SR

関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Photon Factory Activity Report 1999, Part B, P. 325, 2000/11

X線照射により固体状分子が分解する場合、表面・界面では表面垂直方向と水平方向で分子のもつ向きにより置かれた化学環境が異なるため、分解過程や最終的な分解生成物パターンや、収量などが異なってくると予想される。これを研究するため、われわれは超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発し、直線偏光をもつパルス放射光を使った実験を行った。双極子遷移選択則を使い、X線により共鳴励起を行うことにより任意の分子軸(または結合軸)方向を持つ分子集団を電子励起することができる。テスト段階として水、ベンゼン、ホルムアミド、ギ酸固体の軟X線照射実験を行った。分子配向に依存して、分解収量が異なる結果などが得られた。

論文

Site-specific ion desorption from condensed C- and N-deuterated formamide near the caron and nitrogen K-edge

関口 広美*; 関口 哲弘; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Surface Science, 454-456, p.407 - 411, 2000/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:33.64(Chemistry, Physical)

ホルムアミド(HCONH$$_{2}$$)はDNAの主鎖でもあるペプチド結合(-NH-CO-)を持つ最も簡単な分子であるため、それの分光学的性質に関する研究が実験及び理論の両面から非常に勢力的に進められている。本研究においては放射光を用いることにより炭素(C)1s準位または窒素(N)1s準位から非占有分子軌道へ共鳴励起を行い、オージェ電子分光、及び、光刺激脱離収量スペクトルのデータを測定した。重水素置換体(DCONH$$_{2}$$とHCOND$$_{2}$$)を用い、C-H結合とN-H結合での結合切断における選択性を調べた結果、C 1s励起では$$sigma^{*}$$(C-D)共鳴ピークがC-D結合に局在化していること、N 1s励起では$$sigma^{*}$$(N-D)共鳴ピークがN-D結合に局在化していることが結論された。これらのデータは将来、化学結合を選択した生体分子の軟X線顕微鏡観察の基礎となるものと思われる。

論文

Investigation on the $$beta$$-FeSi$$_{2}$$ formation mechanisms on Si(111) substrate by means of SR-XPS

斉藤 健; 山本 博之; 北條 喜一; 松林 信行*; 今村 元泰*; 島田 広道*

Photon Factory Activity Report 2000, P. 82, 2000/00

放射光を用いたX線光電子分光法(SR-XPS)により$$beta$$-FeSi$$_{2}$$生成条件の最適化を行うことを目的としてその生成過程について検討した。実験は高エネルギー加速器研究機構,放射光研究施設,BL-13Cにて行った。Si(111)基板表面に超高真空中でFeを2nm蒸着した後、473$$sim$$973Kの範囲でそれぞれ15分加熱した。各試料について、内殻軌道のスペクトルからFe/Si組成比の深さ方向分布を、価電子スペクトルから物性評価を行った。内殻軌道の強度比を評価することによりFe-Si相互拡散過程の定量的な解析を可能とした。さらに価電子スペクトルからの673K以上で$$beta$$-FeSi$$_{2}$$の生成が始まることを明らかにした。

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