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論文

原子力機構-東海タンデム加速器の現状

沓掛 健一; 松田 誠; 中村 暢彦; 石崎 暢洋; 株本 裕史; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 中川 創平; 阿部 信市

Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1080 - 1084, 2023/11

原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビームを用いた核物理、核化学、原子物理、材料照射研究などの各分野で利用されている。2022年度も放電が頻発するため、最高加速電圧を約15MVに抑えて運転を継続した。2021年度以降、絶縁性能が劣化した機器類(セラミック製加速管や発電機駆動用アクリルシャフト等)の交換を行っており、2022年度はアクリルシャフト5本の交換を行ったが、加速電圧改善の根本的な解決には至っていない。2022年度発生した主な故障として、高電圧端子内ターボポンプの動作不良や90度偏向電磁石からの水漏れがあった。その都度、整備を行うことで施設の運転を継続しているが、今後、機器の経年劣化に対する抜本的な対策を検討する必要がある。発表では、2022年度における加速器の運転・整備状況等について報告する。

論文

Investigation of niobium surface roughness and hydrogen content with different polishing conditions for performance recovery of superconducting QWRs in JAEA Tokai-Tandem Accelerator

神谷 潤一郎; 仁井 啓介*; 株本 裕史; 近藤 恭弘; 田村 潤; 原田 寛之; 松井 泰; 松田 誠; 守屋 克洋; 井田 義明*; et al.

e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 21(4), p.344 - 349, 2023/05

原子力機構東海タンデム加速器には、40台の超伝導Quarter Wave Resonator(QWR)によって重イオンを10MeV/uまで加速するブースターリニアックがあるが、2011年の震災以降、運転を停止している。近年ウラン等のより重い核種を加速するため、タンデム加速器のアップグレードが精力的に検討され、QWR再稼働の必要性が高まっている。現在、運転時に必要な加速電圧とQ値を得るため、QWR内面荒さを低減するための電解研磨条件を検証している。一方で電解研磨はNb中水素を増加させ、水素病と呼ばれるQ値の減少を引き起こす可能性がある。真空中高温焼鈍で水素を放出させることで水素病を抑えることができるが、QWRのクラッド材を構成するNbとCuの熱膨張差による空洞破損の危険性がある。そのため表面粗さの低減とNbバルク中の水素の増加を最小限に抑えるため、研磨条件を最適化する必要がある。我々はこれまで水素吸蔵量および脱離機構を昇温脱離分析(TDS)により検証できることに着目し、研究を行ってきた。発表では異なる条件で研磨したNb材料のTDS結果、表面観察結果、表面粗さの相関について得られた成果を発表する。

報告書

原子力機構-東海タンデム加速器の発電用回転シャフト装置における軸受ユニットの開発

乙川 義憲; 松田 誠; 阿部 信市

JAEA-Technology 2022-037, 23 Pages, 2023/03

JAEA-Technology-2022-037.pdf:5.38MB

原子力機構-東海タンデム加速器の発電用回転シャフト装置の軸受ユニットは、加速器の設置当初からベアリングの運転寿命が短く、交換整備後も初期故障が多発していた。そのため交換整備の数量や頻度が多く、加速器圧力容器を開放して行う定期整備において多くの時間を費やしており、これを解決することが長年の懸案事項であった。この初期故障の原因を考察した結果、軸受ユニットが軸方向変位に対し自由度がないこと、および上下の軸受ユニットの回転軸を一致させることが困難であることが主な原因であり、そのためベアリングに過度な負担が生じていると推察した。これを解決するため、軸受ユニットのフランジに軸方向変位と偏角の自由度を持たせるように金属板ばねによるカップリング(軸継手)を有した軸受ユニットを開発した。この結果、キャスティング間の距離のばらつきや、上下の軸受ユニットの回転軸のずれを許容できるようになった。開発した新型軸受ユニットを実機に設置し、実運転で使用を継続しつつ改良を加えることでベアリングの初期故障の数を減らし、運転寿命を約2倍以上に延ばすことに成功した。この開発により、軸受ユニットの交換整備数が減ったことで整備時間を1週間に短縮できた。また、年間で3回程度実施していた加速器圧力容器を開放して行う定期整備の1回化を実現し、その恩恵として温暖化ガスである六フッ化硫黄(SF$$_{6}$$)ガスの放出量を年間で約33$$sim$$50%に削減できた。本報告書では、新型軸受ユニットの開発および2006年から2020年までの整備状況について報告する。

報告書

第34回「タンデム加速器及びその周辺技術の研究会」報告集

株本 裕史; 中川 創平; 松田 誠

JAEA-Conf 2022-002, 146 Pages, 2023/03

JAEA-Conf-2022-002.pdf:9.89MB

第34回「タンデム加速器及びその周辺技術の研究会」は、令和4(2022)年7月21日(木)$$sim$$22日(金)の2日間に亘り日本原子力研究開発機構原子力科学研究所により開催された。新型コロナウイルスの感染拡大防止の対応からオンライン形式とした。本研究会は、タンデム加速器を中心とした静電加速器施設を運営あるいは利用する研究者・技術者の現場レベルからの話題提供を通じて、参加者相互の情報交換を図り、関連研究の発展や施設管理に資することを目的として行われている。本研究会へは26の大学、研究機関および産業界から約100名の関係者が参加した。発表件数は25件で、各施設の現状報告や加速器の技術開発、応用研究等について報告が行われた。また、今回はオンライン開催のためにポスター発表は行わず、口頭発表のみとした。本報告集は、これらの発表内容をまとめたものである。

論文

Weyl-Kondo semimetal behavior in the chiral structure phase of Ce$$_{3}$$Rh$$_{4}$$Sn$$_{13}$$

岩佐 和晃*; Suyama, Kazuya*; 河村 聖子; 中島 健次; Raymond, S.*; Steffens, P.*; Yamada, Akira*; 松田 達磨*; Aoki, Yuji*; 川崎 郁斗; et al.

Physical Review Materials (Internet), 7(1), p.014201_1 - 014201_11, 2023/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:72.03(Materials Science, Multidisciplinary)

The spin dynamics, crystalline-electric-field (CEF) level scheme, specific heat, and X-ray photoemission spectra (XPS) of Ce$$_{3}$$Rh$$_{4}$$Sn$$_{13}$$ were investigated, which exhibits anomalous semimetal transport in the chiral crystallographic phase. CEF excitations observed at approximately 7 and 39 meV are consistent with the two inequivalent Ce-ion cites in the chiral structure. Because of broader CEF excitations and a strong 4$$f^{1}$$ peak at the Fermi level in the Ce 4$$f$$ on-resonance spectrum, the hybridized Ce 4$$f$$ electrons contribute to the semimetal carriers. In addition, the spin fluctuation associated with the Kramers doublet ground state is characterized by the peak located at 0.15 meV. The electronic state involving the spin fluctuation causes the $$T^{3}$$ behavior of specific heat below 0.6 K, which is attributed to linear dispersion relations of electrons of the Weyl Kondo semimetal in the chiral-lattice symmetry.

論文

原子力機構-東海タンデム加速器の現状

株本 裕史; 松田 誠; 中村 暢彦; 石崎 暢洋; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 中川 創平; 阿部 信市

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1109 - 1113, 2023/01

原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高運転電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビーム等を用いた核物理,核化学,原子物理,材料照射などの各分野で利用されている。本発表では、2021年度における加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。当施設では近年、運転中の放電が頻発するため、加速電圧を約15MVと以前よりも低く抑えている。これは加速電圧に対する絶縁性能が必要な機器類(セラミック製加速管や発電機駆動用アクリルシャフト等)が経年劣化してきているためと思われる。2021年度には低エネルギー側加速管7本(3.5MV相当)とアクリルシャフト2本の交換作業を行い、絶縁性能の回復を図った。2020年度にも同様の交換作業を行っており、全体的に経年劣化が進んでいると思われることから、今後は抜本的な対策を検討する必要があると考えている。また、当施設では、現在の施設のアップグレードを行い、後継となる加速器を導入する計画の立案を行っている。超伝導加速器の技術を使用し、高エネルギー・高強度の重イオンビーム等を発生させるものであり、こちらの概要についても併せて報告する。

論文

1/4波長型超伝導空洞の内面電解研磨の実施報告,2

仁井 啓介*; 井田 義明*; 上田 英貴*; 山口 隆宣*; 株本 裕史; 神谷 潤一郎; 近藤 恭弘; 田村 潤; 原田 寛之; 松井 泰; et al.

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.601 - 604, 2023/01

マルイ鍍金工業では、日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同で東海タンデム加速器後段の超伝導ブースター用1/4波長型超伝導空洞(QWR)について再表面処理の検討を行っている。この空洞はニオブ-銅のクラッド板で製作されており、底部に大きな開口があるため、再度の電解研磨処理等が可能な構造になっている。再表面処理では、内面ニオブに電解研磨(EP)を施工して表面粗さを小さくし、高い加速電界(5MV/m以上)を発生できるようにすることを目標としている。2020年度には、マルイ鍍金工業がニオブ9セル空洞EPの経験で得た各種パラメータとJAEA所有の電極、治具等を組み合わせて、予備の空洞に対してEPを施工した。しかし、EP後のニオブ表面は光沢が増すものの表面粗さが良好な状態とはならず、加速電界もEP前よりは改善したが、目標値には達していなかった。2021年度には空洞のニオブ表面粗さと加速電界の改善を目指して、EPのパラメータ(電極面積,電圧,流量と揺動)を変えての実験を行い、設備,条件,表面粗さ等の評価を行った。また、今回はこれまでに観察してこなかった中心導体のドリフトチューブ部内面などについても広く観察を行ったので、そちらの結果も併せて報告する。

論文

原子力機構-東海タンデム加速器の現状

松田 誠; 田山 豪一; 石崎 暢洋; 株本 裕史; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 阿部 信市

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.394 - 398, 2021/10

原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理,核化学,原子物理,材料照射などの分野に利用されている。昨年度の利用運転日数は112日であり、主として核物理実験に利用された。最高加速電圧は15.4MVであった。4/20$$sim$$5/7の期間は新型コロナウィルスの感染拡大防止のための出勤自粛により運転を休止した。その後、希少なRI標的であるEs試料を用いた実験が計画されていたため、所内研究者のみの条件で運転を再開し、制限解除と共に通常運転へと移行した。2020年度も2019年度に引き続きSF$$_{6}$$高圧ガス施設の液化貯槽の開放検査実施のため約3ヵ月を施設検査に充てることになり、その間運転を停止した。また、発電用回転シャフトの絶縁破壊などにより性能が劣化した低エネルギー側の加速管16本(8MV相当)を予備品と交換する作業も実施したため7月から12月までの長期の定期整備間となった。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。

論文

1/4波長型超伝導空洞の内面電解研磨の実施報告

仁井 啓介*; 井田 義明*; 上田 英貴*; 山口 隆宣*; 株本 裕史; 神谷 潤一郎; 近藤 恭弘; 田村 潤; 原田 寛之; 松井 泰; et al.

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.334 - 337, 2021/10

原子力機構の東海タンデム加速器では重イオンビームを用いた核物理・核化学・材料照射などの研究が行われている。タンデム後段にはビームのエネルギーを2-3倍に増加させるための超伝導ブースターが設置されているが、長期間の休止中となっている。この超伝導ブースターの仕様は、型式=同軸1/4波長型共振器(QWR)、最適ビーム速度=光速の10%、加速電界=5.0MV/m@4Wである。現在、再稼働に向けた取り組みを行っており、各種試験を行う準備として予備の超伝導空洞の電解研磨を検討している。この空洞はニオブ-銅のクラッド板で製作されており、底部に大きな開口があるため、再度の電解研磨処理が可能な構造となっている。今回、マルイ鍍金工業と日本原子力研究開発機構が共同で1/4波長型超伝導空洞内面電解研磨について設備や条件の検討、電解研磨の実施、研磨後表面や空洞性能の評価等を行ったので、その結果を報告する。

論文

Measurement of displacement cross section for proton in the kinetic energy range from 0.4 GeV to 3 GeV

明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011050_1 - 011050_6, 2021/03

加速器駆動型核変換システム(ADS)では、加速器の真空領域と標的領域の隔壁となるビーム入射窓の開発が重要となる。ビーム窓の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(DPA)が用いられるが、DPAの導出に用いられる弾き出し断面積の実験データは20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対しほとんどないため、ADSにおいて重要な0.4$$sim$$3GeV陽子における弾き出し断面積の測定を開始した。弾き出し断面積は、損傷を維持するため極低温に冷却された試料の陽子入射に伴う抵抗率変化を陽子フルエンスとフランケル対当たりの抵抗率変化で除することにより導出できる。実験はJ-PARCセンターの3GeV陽子シンクロトロン施設で行い、アルミ及び銅を試料として用いた。実験で得られた断面積と一般的に弾き出し断面積の計算に使用されるNRTモデルの計算との比較の結果、NRTモデルの計算は実験を約3倍過大評価することが判明した。

論文

Measurements of displacement cross section of tungsten under 389-MeV proton irradiation and thermal damage recovery

岩元 洋介; 吉田 誠*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 薮内 敦*; 嶋 達志*

Materials Science Forum, 1024, p.95 - 101, 2021/03

核破砕中性子源,加速器駆動システム等における材料の照射損傷の基礎研究、マクロな材料特性研究、機器設計等をまとめた書籍の中で、われわれが主導してきた照射損傷量の指標である原子あたりのはじき出し数(DPA)に関する最新の研究を提示する。本研究では、タングステンのDPAの計算値を検証するため、ギフォード・マクマフォン冷凍機を用いてタングステン線を冷却し、389MeVの陽子照射による、極低温(10K)下の照射欠陥に伴う電気抵抗増加の測定値からはじき出し断面積を導出した。はじき出し断面積の実験値と計算値を比較した結果、これまでの発表者らが銅を用いた実験による検証結果と同様に、従来の照射損傷モデルによる計算値に比べて、最新の非熱的な欠陥再結合補正を考慮した計算値が実験値を良く再現することを明らかにした。また、アニールに伴う照射後の欠陥回復の測定により、60Kでは約20%の欠陥が回復し、原子炉の中性子照射環境と同様の結果となる他、銅の測定結果と比べた場合、タングステンにおける欠陥の回復量が少ないこと等を示した。

論文

Experimental study of the $$Gamma_{p1}/Gamma_{p0}$$ ratios of resonance states in $$^{8}$$Be for deducing the $$^{7}$$Be($$n$$,$$p_{1}$$)$$^{7}$$Li$$^{*}$$ reaction rate relevant to the cosmological lithium problem

岩佐 直仁*; 石川 竣喜*; 久保野 茂*; 榊原 昂浩*; 小湊 和也*; 西尾 勝久; 松田 誠; 廣瀬 健太郎; 牧井 宏之; Orlandi, R.; et al.

Physical Review C, 103(1), p.015801_1 - 015801_5, 2021/01

 被引用回数:1 パーセンタイル:18.91(Physics, Nuclear)

The $$^{9}$$Be($$^{3}$$He,$$alpha$$)$$^{8}$$Be($$p$$)$$^{7}$$Li reaction was studied at $$E_{rm lab}$$($$^{3}$$He)=30 MeV to deduce the branching ratios of $$Gamma_{p1}/Gamma_{p0}$$ of resonant state at 18.91 - 20.1 MeV in $$^{8}$$Be, which are necessary to extract the $$^{7}$$Be($$n$$, $$p_{1}$$)$$^{7}$$Li$$^{*}$$ reaction rate relevant to the $$^{7}$$Be destruction in the big bang nucleosynthesis, from the $$^{7}$$Li($$p$$,$$n_{0}$$)$$^{7}$$Be reaction cross section. The decay protons from $$^{8}$$Be$$^{*}$$ to the ground and first excited states in $$^{7}$$Li were well-separately measured. The $$Gamma_{p1}/Gamma_{p0}$$ ratio of the 19.235-MeV state was deduced to be 3.4$$pm$$1.9%. The 19.86- and 20.1-MeV states were found to decay dominantly into the first excited and ground states of $$^{7}$$Li, respectively.

論文

Measurement of displacement cross-sections of copper and iron for proton with kinetic energies in the range 0.4 - 3 GeV

松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(10), p.1141 - 1151, 2020/10

 被引用回数:9 パーセンタイル:75.92(Nuclear Science & Technology)

加速器駆動型核変換システム(ADS)等の陽子ビーム加速器施設におけるビーム窓などの構造材の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(dpa)が損傷指標として広く用いられる。dpaの評価は弾き出し断面積に基づいて行われるものの、20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対する弾き出し断面積の実験データは乏しく、計算モデルの間でも約8倍の差が存在している。このため、弾き出し断面積を実験的に取得するのは計算に用いるモデルの評価のために重要となる。弾き出し断面積の取得のため、J-PARCの加速器施設において、0.4-3GeVにわたる陽子エネルギー領域における銅と鉄の断面積を測定した。弾き出し断面積は、損傷を保持するために極低温に冷却された試料における、陽子ビームに金する抵抗率変化により得ることができる。本測定で得られた実験結果を元に、計算モデルの比較検討を行った。広く用いられているNorgertt-Robinson-Torrens (NRT)モデルは、実験値を3.5倍過大評価することが判明した。一方、近年の分子動力学に基づく非熱的再結合補正(arc)モデルは実験値をよく再現したため、銅と鉄の損傷評価にはarcモデルを使うべきであると結論づけられた。

論文

Measurement of displacement cross section of structural materials utilized in the proton accelerator facilities with the kinematic energy above 400 MeV

明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*

EPJ Web of Conferences, 239, p.06006_1 - 06006_4, 2020/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.1(Nuclear Science & Technology)

加速器駆動型核変換システム(ADS)では、加速器の真空領域と標的領域の隔壁となるビーム入射窓の開発が重要となる。ビーム窓の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(DPA)が用いられるが、DPAの導出に用いられる弾き出し断面積の実験データは20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対しほとんどないため、ADSにおいて重要な0.4$$sim$$3GeV陽子における弾き出し断面積の測定を開始した。弾き出し断面積は、損傷を維持するため極低温に冷却された試料の陽子入射に伴う抵抗率変化を陽子フルエンスとフランケル対当たりの抵抗率変化で除することにより導出できる。実験はJ-PARCセンターの3GeV陽子シンクロトロン施設で行い、試料には銅を用いた。実験で得られた断面積と一般的に弾き出し断面積の計算に使用されるNRTモデルの計算との比較の結果、NRTモデルの計算は実験を約3倍過大評価することが判明した。

論文

原子力機構-東海タンデム加速器の現状

松田 誠; 石崎 暢洋; 田山 豪一; 株本 裕史; 中村 暢彦; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 阿部 信市; et al.

Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.948 - 952, 2020/09

原子力機構-東海タンデム加速器は最高加速電圧が約18MVの大型静電加速器であり、核物理,核化学,原子物理,材料照射などの分野に利用されている。2019年度の利用運転日数は118日であり、主として核物理実験に利用された。最高加速電圧は16.2MVであった。加速電圧が上がらない原因は、高電圧端子内の発電機を駆動するための絶縁シャフトが放電により放電痕ができ破損するなど絶縁性能が劣化したためであった。2019年度はSF$$_{6}$$高圧ガス施設において貯槽の開放検査実施のため7月から約3ヵ月をの施設検査に充てることになり、7月から5か月の長期の運転停止(定期整備)となった。2020年度も同様の検査のため長期の整備となる予定である。発表では加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。

報告書

新型コロナプローブの開発

中村 暢彦; 沓掛 健一; 松田 誠

JAEA-Technology 2019-022, 20 Pages, 2020/03

JAEA-Technology-2019-022.pdf:1.73MB

タンデム加速器(静電加速器)は、発生する電圧を制御することによって、連続した任意のエネルギーのイオンビームを容易に得ることができるという利点を持っている。したがって、当施設の加速器制御システムで運用しているスケーリング運転と連動制御を用いて、発生する電圧の制御を自動化することができれば、ビームエネルギーの制御も自動化できる。電圧制御を自動化するためには開発を進めるべき要素がいくつかある。重要な要素の1つとして、タンデム加速器の電圧を制御しているコロナプローブの位置調整を自動化しなければならない。しかしながら、旧型のコロナプローブでは、制御方式や精度の面で、自動化することは困難であった。そこで、我々はこれらの面を改良した新たなコロナプローブを開発した。新型コロナプローブは新たな制御方式, 駆動機構および位置検出機構を用いることで、位置調整の自動化、位置精度の向上、整備性の向上を達成することができた。本報告では、この新型コロナプローブの開発について詳細に述べる。

論文

Measurement of defect-induced electrical resistivity change of tungsten wire at cryogenic temperature using high-energy proton irradiation

岩元 洋介; 吉田 誠*; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 薮内 敦*; 木野村 淳*; 嶋 達志*

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.061003_1 - 061003_5, 2020/02

核破砕中性子源における高エネルギー放射線環境下のターゲット材料の寿命を予測するため、原子あたりのはじき出し数(DPA)を導出できるPHITS等の放射線挙動計算コードが使用されている。本研究では、タングステンのDPAの計算値を検証するため、ギフォード・マクマフォン冷凍機を用いた陽子照射装置に直径0.25mmのタングステン線を装着し、389MeVの陽子を照射して、はじき出し断面積に関係付けられる極低温(10K)下の照射欠陥に伴う電気抵抗率変化を測定した。これまで実施された1.1GeV及び1.9GeV陽子照射によるタングステンの電気抵抗率の測定結果と比較した結果、核反応により生成する二次粒子が陽子エネルギーの増加に伴い、照射結果に伴う電気抵抗率が増加することがわかった。

論文

Measurement of displacement cross section of structural materials utilized in the proton accelerator facilities with the kinematic energy above 400 MeV

明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.061004_1 - 061004_6, 2020/02

核変換システム等の陽子加速器施設では、標的や窓等の構造材に関する損傷の評価が重要となる。構造材の損傷評価には、原子あたりの弾き出し数(DPA)が広く用いられており、カスケードモデルに基づく計算で得られた弾き出し断面積に粒子束を乗ずることで得られる。DPAによる損傷評価は広く一般的に用いられているものの、20MeV以上のエネルギー範囲における陽子に対する弾き出し断面積の実験データは十分でなく、計算モデル間で約8倍異なることが報告されており構造材の弾き出し断面積の実験データ取得が重要となる。そこで、我々はJ-PARCセンターの3GeV陽子加速器施設を用い、400MeV以上のエネルギー範囲の陽子の弾き出し断面積の測定を開始した。弾き出し損傷断面積は、冷凍機で極低温(4K)に冷却された試料に陽子ビームを照射し、照射に伴う抵抗率の変化により得ることができる。実験で得られた断面積とPHITSコードに一般的に用いられるNRTモデルを用いて計算した結果、計算は実験を3倍程度過大評価を示した。一方、Nordlund等による最新モデルの結果は実験をよく再現し、これまでのNRTモデルに基づく標的等の弾き出し損傷は過大評価していることが明らかになった。

論文

Measurement of local temperature around the impact points of fast ions under grazing incidence

古株 弘樹*; Yoon, S.*; Lee, H.*; 中嶋 薫*; 松田 誠; 左高 正雄*; 辻本 将彦*; Toulemonde, M.*; 木村 健二*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 460, p.34 - 37, 2019/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)

Gold and platinum nanoparticles of few-nm size were deposited on amorphous silicon nitride (a-SiN) films. These samples were irradiated with 380 MeV Au ions at grazing incident angles ($$theta$$$$_{i}$$=2$$^{circ}$$-5$$^{circ}$$) to a fluence of ~1$$times$$10$$^{10}$$ ions/cm$$^{2}$$. The irradiated samples were observed using transmission electron microscopy (TEM). Ion tracks were clearly observed as long bright lines. Nanoparticles were found to be desorbed from long and narrow regions along the ion tracks. The surface temperature at the thermal spike produced by the ion impact was evaluated from the observed nanoparticle desorption. The observed temperature distribution is qualitatively explained by a one-dimensional two temperature model (1D-TTM) although there are some discrepancies which may be attributed to the surface effects which are not taken into account in 1D-TTM.

論文

Measurement of Auger electrons emitted through Coster-Kronig transitions under irradiation of fast C$$_{2}$$$$^{+}$$ ions

椎名 陽子*; 木下 亮*; 舟田 周平*; 松田 誠; 今井 誠*; 川面 澄*; 左高 正雄*; 笹 公和*; 冨田 成夫*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 460, p.30 - 33, 2019/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:23.19(Instruments & Instrumentation)

We measured the yield of Auger electrons emitted through Coster-Kronig transitions from Rydberg states 1s2p($$^{3}$$P)nl (n = 7, 8) and 1s$$^{2}$$2p($$^{2}$$P)nl (n = 5, 6, 7) of emergent atomic ions C$$^{q+}$$ under irradiation of 3.5-MeV/ atom C$$^{+}$$ and C$$_{2}$$$$^{+}$$ ions on thin C foil targets. The Auger electron yields are suppressed for C$$_{2}$$$$^{+}$$ irradiation compared with C$$^{+}$$ irradiation and the relative yield becomes larger as n increases. Thus, amount of scattered electrons having lower relative energy in the projectile rest frame becomes larger. The results obtained in this study support the influence of projectile velocity on the cluster effect of secondary electron yields.

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