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齋藤 広明*; 溝手 範人*; 植木 悠二; 瀬古 典明
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 57, 2014/03
ゴム材料の表面改質法として放射線グラフト重合法は有効な手法である。しかし、過度な表面改質はゴム本来の物理的特性を失うことにも繋がるため、ゴム材料としての役割に支障をきたす恐れがある。そこで、本研究では、グラフト率とゴム特性との関係を詳細に調査し、「ゴム表面の低摩擦化」と「ゴム特性の維持」との両立の可否について検討した。ゴム基材には、カーボンブラックを配合したアクリロニトリル-ブタジエンゴムシート、モノマーには、親水性モノマーであるメタクリル酸を用いた。その結果、グラフト率2%までであれば、破断強度や永久歪といったゴム特性に影響を及ぼさず、ゴム表面を低摩擦化させることが可能であることを見出した。
齋藤 広明*; 溝手 範人*; 植木 悠二; 瀬古 典明
JAEA-Review 2012-046, JAEA Takasaki Annual Report 2011, P. 45, 2013/01
放射線グラフト重合法はプラスチックのような高分子基材の表面改質だけでなく、ゴムの表面改質にも有効な技法である。本研究では、放射線グラフト重合法により作製した表面改質型親水性ゴムシートの特性評価を行った成果を報告する。ドライ/ウェット状況下での表面硬度とグラフト率との関係を詳細に検討したところ、グラフト率が高くなるほどドライ状況下において硬化傾向を示し、逆にウェット状況下においては高グラフト率のものほど軟化傾向を示すといった特異的な硬度特性を有することを見いだした。また、耐摩耗性について評価した結果、ウェット状況下ではグラフト率の増加とともに表面硬度が低下するにもかかわらず、摩耗深さは一定値を示した。この結果より、ウェット状況下においては、硬度低下効果よりも摩擦低下効果の方がより大きく表面特性に影響を与えることがわかった。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
Journal of Applied Polymer Science, 123(4), p.2172 - 2176, 2012/02
被引用回数:5 パーセンタイル:16.89(Polymer Science)天然ゴムの表面硬度,ドライ摩擦,払拭性,摩耗性を改善するため、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を天然ゴムの表面層に放射線グラフト重合した。ゴムの表層のHEMAの組成は、FT-IRで評価し、組成比として表現した。この組成比は、0.29から0.93まで、グラフト重合時のHEMA濃度及び線量で制御することができ、組成比が0.7より高いとき、表面硬度は64以上、ドライ摩擦係数は0.65以下となり、市販の塩素処理ゴムより、ガラスに対する摩耗と摩擦に対して優れた特性を示した。そのため、耐摩耗性は塩素処理ゴムの10倍に達した。しかし、HEMAをグラフトしたゴムは、湿潤状態では表面硬度は62.5となるため、95%以上の払拭率を実現した。
溝手 範人*; 齋藤 広明*; 植木 悠二; 瀬古 典明; 玉田 正男
JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 52, 2012/01
ワイパーゴムは摩擦,耐摩耗性の向上を目的として塩素化処理やコーティングなどの表面処理が行われている。しかし、これらの表面処理法では環境負荷が高い、あるいは、コーティング剤が剥離しやすいといった問題があるため、新規表面改質技術の開発が求められている。これまでに電子線同時照射共グラフト重合技術によるゴム表面改質を実施し、ゴム表面に導入したモノマーの種類並びにその組成比が表面特性を特異的に変化させることを見いだしてきた。本研究では、モノマー組成比が及ぼす摩擦摩耗特性への影響について検討した。その結果、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランに少量の2-ヒドロキシエチルメタクリレートを加えた混合モノマーをゴム表面にグラフトすることで、摩擦変動が少なく、かつ、耐摩耗性が2倍程度向上した改質面を得られることがわかった。
溝手 範人*; 片貝 秋雄*; 玉田 正男
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 47, 2011/01
ゴム製品は、ゴム表面の摩擦低減・耐摩耗性の向上を目的とした塩素化処理やコーティングが行われている。しかし、これらの表面処理は、塩素による環境負荷の問題があり、より環境に優しい表面改質技術が求められている。本研究では、電子線同時照射共グラフト法における親水性・疎水性モノマーの組成比が撥水性などのゴム表面特性へ及ぼす影響について検討を行った。その結果、疎水性モノマーのみをグラフト重合により付与するよりも、親水性モノマーを10%程度添加した系の方が、親水性モノマーのグラフト層に疎水性モノマーが選択的に取り込まれやすくなり、ゴム表面から10m程度の領域に疎水性モノマーが偏在することがわかった。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男; 松岡 広成*
Journal of Applied Polymer Science, 117(5), p.2825 - 2830, 2010/09
自動車用ワイパーゴムの表面改質として塩素処理が行われているが、この処理プロセスは、塩素,酸廃液の発生など環境負荷の問題を抱えている。一方、ゴムの滑り摩擦において、ウェット摩擦状態からドライ摩擦状態へ移行する瞬間に、摩擦極大ピークが起こるセミドライ摩擦は、雨上がりに自動車のワイパー払拭において見られる現象で、駆動モーターに負荷を与える。本研究では、これらの問題を解決する新規な技術として、親水性モノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA),疎水性モノマーである3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(MPTS)を電子線同時照射グラフト重合により加硫ゴム表面の親水化及び疎水化を行い、組成比と水の接触角及びセミドライ摩擦との相関を調べた。HEMAとMPTSのグラフト重合の結果、モノマー濃度と照射線量が増加するのにしたがって、組成比は増大した。HEMAのグラフト重合で接触角は約70まで減少し、MPTSのグラフト重合で接触角は約108まで増加した。セミドライの瞬間における摩擦挙動は、最大摩擦とドライ摩擦係数の差、で評価した。MPTSのグラフト重合によって疎水化した加硫ゴムの接触角は増加し、は減少した。一方、HEMAのグラフト重合によって親水化した加硫ゴムの接触角は減少し、は増加した。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男; 松岡 広成*
no journal, ,
ゴムの滑り摩擦において、ウェット摩擦状態からドライ摩擦状態へ移行する瞬間に、摩擦極大ピークが起こるセミドライ摩擦は、雨上がりに自動車のワイパー払拭において見られる現象で、駆動モーターに過負荷を与える。本研究では、疎水性モノマーである3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(MPTS)の電子線同時照射グラフト重合により加硫ゴム表面の疎水化を行い、水との接触角とセミドライ摩擦の相関を調べた。MPTSをグラフト重合した加硫ゴム表面の接触角は、グラフト重合の進行に伴って大きくなり、グラフト率0.5%で107度まで増大した。この結果から、MPTSのグラフト重合により加硫ゴム表面の疎水化が可能であることが明らかになった。次にMPTSのグラフトにより疎水化した加硫ゴムの接触角と(セミドライ摩擦係数とドライ摩擦係数との差)との関係を調べた。疎水化により接触角が大きくなるとが小さくなってセミドライ摩擦状態を抑制できることが明らかになり、雨上がりのワイパーシステムの払拭負荷を低減化できる見通しが得られた。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
no journal, ,
自動車用ワイパーゴムの払拭摩擦の低減や耐磨耗性の向上を目的として、ハロゲン処理やグラファイト焼付けコーティングが行われているが、ゴム表面の柔軟性の低下、ガラス追従不良による払拭性の悪化が問題となっている。本研究では放射線グラフト重合法により加硫ゴム表面の親水化を行い、摩擦低減と払拭性向上の双方が可能な表面処理技術について検討した。電子線同時照射グラフト重合により2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)をグラフトして得られた加硫ゴム表面の接触角は、グラフト率の増加に依存し、70まで低下し、HEMAによる加硫ゴム表面の親水化が可能であることがわかった。親水化した加硫ゴム表面のウェット状態から乾燥状態への移行に伴う表面硬度変化を調べた結果、HEMAのグラフト率が1.8%になると、加硫ゴムはウェット状態で表面硬度が低下し、グラフト率が高くなるほどウェットと乾燥状態での表面硬度差が大きくなることが確認できた。一方、HEMAをグラフトした加硫ゴムの摩擦係数は、グラフトの進行に伴って低下し、その値はハロゲン処理を下回ることが明らかになり、電子線同時照射グラフト重合によるワイパーゴムの表面処理法は、従来にない摩擦低減と払拭性の双方を向上させる技術として有望である。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男; 松岡 広成*
no journal, ,
ゴムの滑り摩擦において、ウェット摩擦から乾燥摩擦へ移行した直後から摩擦極大ピークが発生し、雨上がりの自動車ワイパー駆動モーターへの過負荷を与える。本研究では電子線同時照射グラフト法により加硫ゴム表面の親水化を行い、親水性とセミドライ摩擦の相関について調べた。2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のグラフト率は520kGyと照射線量の増加に伴って大きくなり、最大1.8%まで達した。また、10kGy以上ではモノマー濃度が3070wt%と高いほどグラフト率は大きくなり、HEMAのグラフト率は照射線量とモノマー濃度により0.51.8%の範囲で制御できることがわかった。HEMAのグラフト率が1.8%まで増大した時、接触角は70度まで低下する。この結果から、HEMAのグラフトにより加硫ゴム表面の親水化が可能になった。親水化した加硫天然ゴム及び疎水化した加硫天然ゴムの最大摩擦係数と乾燥摩擦係数との差を表すデルタと接触角の関係を比較検討した結果、疎水化では接触角が大きくなるとデルタが小さくなり、逆に親水化で接触角が小さくなるとデルタが大きくなることがわかった。このことから、電子線同時照射グラフト法により、セミドライ摩擦状態を制御できることが確認できた。HEMAのグラフトによる親水化によってセミドライ摩擦は増加するが、一方でワイパーシステムの払拭性が改善された。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
no journal, ,
自動車用ワイパーゴムは、払拭摩擦の低減や耐磨耗性の向上のためにハロゲン処理が行われているが、ゴム表面の柔軟性が低下し、降雨時のガラス追従不良による払拭性の低下が生じる。本研究では放射線グラフト重合法により加硫ゴム表面の親水化を行い、摩擦低減と払拭性の双方の向上が可能なワイパーゴム表面処理技術について検討した。2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のグラフト重合は、水を溶媒として用い、モノマー濃度3070wt%,照射線量1020kGyの範囲で電子線同時照射グラフト重合法によって行った。HEMAのグラフト率は照射線量の増加に伴い上昇し、モノマー濃度70wt%で1.8%に達した。HEMAをグラフトした加硫ゴム表面の接触角は、モノマー濃度70wt%,照射線量20kGyの条件で70まで低下し、その時のグラフト率は1.8%であった。これらの結果からHEMAの電子線同時照射グラフト重合により加硫ゴム表面の親水化が可能であることがわかった。次にHEMAをグラフトした加硫ゴム表面の摩擦係数のグラフト率依存性を検討したところ、グラフト率の増加に伴い摩擦係数は低下し、その値はハロゲン処理を下回ることが確認できた。また、ウェット状態でゴム表面が軟化することにより、ワイパー雨滴払拭時のガラス追従性向上による高い払拭性が得られ、HEMAのグラフトによる親水化処理は、従来にない摩擦低減と払拭性の双方を向上するワイパーゴム表面処理技術として有望であることがわかった。
片貝 秋雄; 玉田 正男; 溝手 範人*
no journal, ,
本研究は加硫ゴム表面の親水化を電子線同時照射グラフト重合法によって行い、摩擦低減と払拭性の双方の性能向上を目的としたワイパーゴム表面処理法について検討した。親水性モノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のグラフト重合を、モノマー濃度3070wt%,照射線量1020kGyの範囲で溶媒として水を用いて行った。グラフト率は照射線量の増加に伴って上昇し、モノマー濃度70wt%で1.8%に達した。線量20kGy,モノマー濃度70wt%の条件で親水化された加硫ゴム表面の接触角は、70まで低下した。この結果からHEMAの電子線同時照射グラフト重合により加硫ゴム表面の親水化が可能であることが明らかになった。次に、加硫ゴム表面の親水化による摩擦係数の低減化について検討したところ、グラフト率の増加に伴って摩擦係数は低下し、ハロゲン処理による値を下回ることが確認できた。また、親水化によるウェット状態でのゴム表面の軟化により、ワイパー雨滴払拭時のガラス追従性が向上し、高い払拭性が得られた。このようにHEMAのグラフトによる加硫ゴム表面の親水化処理は、従来のハロゲン処理では得られない摩擦低減と払拭性の双方を向上させることができるワイパーゴム表面処理技術として有望であることがわかった。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
no journal, ,
自動車用ワイパーゴムの表面改質として塩素処理が行われているが、この塩素処理プロセスは、塩素,酸廃液の発生など環境負荷の問題を抱えている。本研究では、塩素処理の代替技術として親水性モノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の電子線同時照射グラフト重合法によるワイパーゴム表面処理技術の可能性について検討した。HEMAグラフトポリマーと天然ゴムの組成比は、照射線量及びモノマー濃度の増加に伴って増大し、照射線量20kGy,モノマー濃度70wt%のグラフト条件において0.9に達した。HEMAグラフト加硫天然ゴムの表面硬度は、組成比の増加に伴って増大し、特に0.7付近を越えると急激に上昇する。表面硬度が上昇することで摩擦の低減が期待できることから、組成比と摩擦係数の関係を検討した結果、組成比が0.7付近を越えるとドライ摩擦係数は急激に低下し、塩素処理されたゴムの摩擦係数0.65よりも低い0.56を示し、HEMAグラフト加硫天然ゴムの優位性が明らかになった。使用中の摩耗によるゴム表面改質層の消失はワイパーゴムの製品寿命と言えるため、組成比と摩耗量の関係を検討した結果、摩擦係数と同様に、組成比0.7付近を越えると摩耗量が大幅に減少し、塩素処理ゴムの摩耗量0.1mm比べ1/100程度の摩耗量を示した。以上の結果から、HEMAの電子線同時照射グラフト重合による表面改質は、塩素処理よりも優れた摩擦・摩耗特性を示すことがわかった。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
no journal, ,
自動車用ワイパーゴムの表面改質として塩素処理が行われているが、このプロセスは、塩素,酸廃液の発生など環境負荷の問題を抱えており、代替技術が望まれている。われわれは、代替技術として電子線照射グラフト重合による表面改質に着目し、表面処理された天然ゴムのワイパーゴムとしての機能特性を検討した。ゴム基材への2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のグラフトを行った結果、ゴム表面のグラフトポリマー組成比は照射線量,モノマー濃度の増加に伴って大きくなり、20kGy, 70wt%の条件で0.9に達した。グラフトポリマー組成比と表面硬度の関係では、HEMAのグラフトにより表面硬度は上昇し、0.7付近を越えると急激に上昇した。このことにより摩擦の低減化が期待できる。そこでHEMAのグラフトによる摩擦係数低減への効果を検討した。グラフトポリマー組成比が0.7を超えるとドライ摩擦係数は急激に低下し、組成比に対する表面硬度とドライ摩擦係数の変曲点が0.7付近で一致した。これらの結果から、HEMAのグラフトによるゴム表面の硬化が摩擦低減化に寄与することがわかった。塩素処理されたゴム表面の摩擦係数はおよそ0.65であり、HEMAをグラフトすることによって、優れた摩擦特性を示すことが明らかになった。
溝手 範人*; 片貝 秋雄; 玉田 正男
no journal, ,
自動車用ワイパーゴムの表面改質として塩素処理が行われているが、このプロセスでは、塩素,酸廃液の発生など環境面で大きな問題を抱えており、代替技術が望まれている。われわれは、代替技術として電子線グラフト重合による表面改質に着目し、表面処理された天然ゴムのワイパーゴムとしての機能特性を検討した。ゴム基材への2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のグラフトを行った結果、ゴム表面のグラフトポリマー組成比は照射線量、モノマー濃度の増加に伴って大きくなり、20kGy, 70wt%の条件で0.9に達した。グラフトポリマー組成比と表面硬度の関係では、グラフトの進行に伴って表面硬度は上昇し、0.7付近を越えると急激に上昇した。このことから摩擦の低減化が期待できる。そこでHEMAのグラフトによる摩擦係数低減への効果を検討した。グラフトポリマー組成比が0.7を超えるとドライ摩擦係数は急激に低下し、組成比に対する表面硬度とドライ摩擦係数の変曲点が0.7付近で一致した。これらの結果から、HEMAのグラフトによるゴム表面の硬化が摩擦低減化に寄与していることがわかった。塩素処理されたゴム表面の摩擦係数はおよそ0.65であり、HEMAをグラフトすることによって、優れた摩擦特性を示すことが明らかになった。
齋藤 広明*; 溝手 範人*; 植木 悠二; 瀬古 典明
no journal, ,
放射線グラフト重合法はプラスチックのような高分子基材の表面改質だけでなく、ゴムの表面改質にも有効な技法である。本研究では、放射線グラフト重合法により作製した表面改質型親水性ゴムシートの特性評価を行った成果を報告する。ドライ/ウェット状況下での表面硬度とグラフト率との関係を詳細に検討したところ、グラフト率が高くなるほどドライ状況下において硬化傾向を示し、逆にウェット状況下においては高グラフト率のものほど軟化傾向を示すといった特異的な硬度特性を有することを見いだした。また、耐摩耗性について評価した結果、ウェット状況下ではグラフト率の増加とともに表面硬度が低下するにもかかわらず、摩耗深さは一定値を示した。この結果より、ウェット状況下においては、硬度低下効果よりも摩擦低下効果の方がより大きく表面特性に影響を与えることがわかった。
齋藤 広明*; 溝手 範人*; 植木 悠二; 瀬古 典明
no journal, ,
ゴム材料の表面改質法として放射線グラフト重合法は有効な手法である。しかし、過度な表面改質はゴム本来の物理的特性を失うことにも繋がるため、ゴム材料としての役割に支障をきたす恐れがある。そこで、本研究では、グラフト率とゴム特性との関係を詳細に調査し、「ゴム表面の低摩擦化」と「ゴム特性の維持」との両立の可否について検討した。ゴム基材には、カーボンブラックを配合したアクリロニトリル-ブタジエンゴムシート、モノマーには、親水性モノマーであるメタクリル酸を用いた。その結果、グラフト率2%までであれば、破断強度や永久歪といったゴム特性に影響を及ぼさずにゴム表面を低摩擦化させることが可能であることを見出した。
齋藤 広明*; 溝手 範人*; 植木 悠二; 瀬古 典明
no journal, ,
高温機材の冷却システムのひとつであるウォーターポンプでは、駆動部(モータ)がインペラ部(羽根)を回転させて冷却水を循環させている。モータとインペラの境界部分には防水用シール材が組み込まれているものの、シール材の摩擦抵抗によりインペラ回転時のモータ効率が低下する。そこで本研究では、放射線グラフト重合法を利用し、摩擦抵抗が小さく、かつ、耐摩耗性に優れたシール材の開発を試みた。シール材の基材であるカーボンブラックを配合したアクリロニトリル-ブタジエンゴムシートに対して、メタクリル酸を用いたグラフト重合処理、及び、水酸化カリウム水溶液を用いてアルカリ処理を順次実施することにより、シール材の低摩擦化を図ることに成功した。本シール材の摩擦係数は、乾燥環境下では初期値(未処理ゴム)の1/6、湿潤環境下では初期値の1/30に低下した。また、本シール材を試験機に組み込み、モータ効率への影響について検証した結果、モータ効率が1.5%向上し、吐出水量が8.9%増加することを確認した。