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宮川 和也; 早野 明; 佐藤 菜央美; 中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*
JAEA-Data/Code 2023-009, 103 Pages, 2023/09
本ボーリング調査は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和3年度および令和4年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597) (岩盤中地下水流動評価技術高度化開発)」の一環として、令和2年度に実施した物理探査などのデータに基づき推定した地下深部の低流動域分布の妥当性を確認することを目的としたものである。ボーリング孔名はHoronobeFossilseawaterBoring-1であり、HFB-1孔と称す。HFB-1孔は幌延深地層研究センターの隣接地に掘削された垂直孔であり、令和3年度に地表から深度200mまで掘削され、令和4年度に深度200mから深度500mまで掘削されたものである。本稿は、令和2年度以降の幌延深地層研究計画に示された研究課題の1つである地下水の流れが非常に遅い領域を調査・評価する技術の高度化に必要な基礎データとして、HFB-1孔の掘削に関わる情報およびボーリング調査から得られた各種データ(岩芯記載、物理検層、化学分析など)を取りまとめたものである。
宮川 和也; 中田 弘太郎*
JAEA-Data/Code 2022-013, 19 Pages, 2023/03
幌延深地層研究計画において、2019年度までは主に地下施設建設時の坑道掘削に伴う地下水の水質変化の調査や地球化学モデルの構築および見直しを目的として、2020年度からは必須の課題へ対応するため、地下水の水質データを取得している。2022年度は、引き続き必須の課題に対応するため、地下施設を利用して得られた地下水の水質データを取得している。地下施設の140m,250mおよび350m調査坑道から掘削されたボーリング孔や3本の立坑に設置されている集水リングなどから54試料の地下水を採取し、分析を実施した。本報告は、2022年度に得られた地下水の水質データとして、pHや電気伝導度、溶存成分(Na, K, Ca, Mg, Li, NH, F, Cl, Br, NO, NO2, PO, SO,Total-Mn,Total-Fe,Al,B,Sr,Ba,I,アルカリ度,溶存有機炭素,溶存無機炭素,CO, HCO, Fe,硫化物)および酸素水素同位体比の測定・分析結果を取りまとめたものである。
宮川 和也; 柏谷 公希*; 小村 悠人*; 中田 弘太郎*
Geochemical Journal, 57(5), p.155 - 175, 2023/00
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)厚い海成堆積層の深部には、地層の堆積時に取り込まれた海水が埋没続成過程で変質したと考えられる地下水(化石海水)が存在することがあり、このような場は、地層の隆起・侵食を経ても天水浸透の影響を受けず、地下水流動が緩慢であると判断される。続成過程ではケイ酸塩からの脱水などにより間隙水の塩濃度の低下などの変化が生じる。しかしながら、鉱物からの脱水反応のみでは水質変化を定量的に説明できず、水質進化の過程が明らかではない。本研究では、埋没過程におけるケイ酸塩からの脱水反応および圧密による間隙水の上方移動を考慮した解析モデルを構築し、埋没過程で生じ得る間隙水の水質進化について検討した。その結果、オパールAから石英に至る脱水反応の影響及び粘度鉱物からの脱水影響を強く受けた水質は、ボーリング調査による観測結果と近い値を示した。本解析結果は、地層の埋没続成過程において形成された化石海水の水質が地層の隆起以降現在まで保存されている可能性を示唆するものであり、化石海水が存在する場の地下水流動が緩慢であることを強く支持するものである。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; Solomon, D. K.*; 宮川 和也; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 松本 拓也*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 小野 昌彦*; et al.
Applied Geochemistry, 104, p.60 - 70, 2019/05
被引用回数:8 パーセンタイル:39.25(Geochemistry & Geophysics)地下水に溶存している希ガス(He, Ne, Ar, Kr, Xe)は、地下水の起源や滞留時間、涵養温度などの推定に使われる。地下水に溶存しているガスを全て定量することが望ましいが、一方で、地下水の採取に伴う溶存ガスの脱ガスを避けることは難しい。本研究は、地下水の採取に伴う溶存希ガスの脱ガス挙動について調べ、その補正方法を提案するものである。地下施設及び深層ボーリングから地下水試料を採取し、原位置の圧力を維持した状態で採取した試料と、圧力を低下させて脱ガスさせた試料との比較を行った。その結果、溶存ガス圧が低い試料(約4.6気圧以下)については、大気圧下で脱ガスさせた場合、気液平衡が成り立つことが分かった。一方で、溶存ガス圧が高い試料(約32気圧)については、気液平衡が成り立たないことが分かった。気液平衡が成り立つ試料については、脱ガスの影響を補正することが可能であるが、気液平衡が成り立たない試料については、補正が困難であり、さらなる検討が必要である。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 大山 隆弘*; 宮川 和也
Journal of Hydrology, 561, p.547 - 556, 2018/06
被引用回数:5 パーセンタイル:24.12(Engineering, Civil)高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価では、地下水シナリオは主要な評価対象の一つである。地下水の酸素・水素同位体比からは、地下水の起源や混合、移動などのプロセスを理解するために重要な知見を得ることができる。地上からのボーリング調査において、地下深部の低透水性の岩盤中の地下水を、掘削水の汚染などの影響を受けずに取得するためには、岩石コアに含まれる間隙水を取得する必要がある。この場合には、圧縮抽出により間隙水を抽出する手法が一般的であるが、段階的な圧縮過程により異なる塩分濃度の地下水が抽出されることがあることから、同位体比にも影響が見られる可能性が考えられる。本研究では、2種の天然の岩石から圧縮抽水し、水の同位体比の圧縮圧力に伴う変化とそのメカニズムについて議論した。さらに、同サンプルに直接蒸気平衡レーザー法(DVE-LS)を適用し、その結果と比較をした。その結果、圧縮抽水では、閉鎖空隙中の水の影響により、水素同位体比が圧力に伴い変化することが分かった。さらに、2種類の圧縮抽水試験を組み合わせることで、開放間隙と閉塞間隙の両方の水の同位体組成を推定可能であることを示した。また、閉鎖間隙の影響を受けない酸素・水素同位体比は、DVE-LSによって得られる値と良く一致した。このため、圧縮抽水とDVE-LSにより得られた水の酸素・水素同位体比の比較により、閉塞間隙と開放間隙の水の酸素・水素同位体比を推定可能であることが示された。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 大山 隆弘*; 石井 英一; 宮川 和也; 笹本 広
Geofluids, 2018, p.7823195_1 - 7823195_21, 2018/01
被引用回数:10 パーセンタイル:57.52(Geochemistry & Geophysics)高レベル放射性廃棄物地層処分の安全評価におけるシナリオの一つとして、地下水シナリオがある。地下水シナリオに基づく安全評価において、長期間にわたり地下水の移動が遅いことは重要な要因である。本研究では、透水性の低い堆積岩地域の一例として、北海道幌延地域に分布する新第三系の海成堆積岩である声問層と稚内層中の地下水の安定性について、塩素やヘリウムの同位体及び水の安定同位体を用いて調査・考察を行なった。その結果、稚内層の深部地下水は、約100万年前から始まった地層の隆起後も、天水の影響を受けることなく、安定に存在している可能性が示された。一方、声問層や稚内層浅部の地下水は、地層の隆起後、天水の影響を受けており、このことは地下水年代測定の結果からも支持された。本地域の様に、地層の圧密・続成作用を受けた厚い堆積層では、間隙水・結晶水の放出等の影響を受け、地下水の絶対年代を正確に推定することは難しい。しかし、本研究において検討した地下水年代測定の結果と地史との比較は、地下水の流動性に関わる概略的な評価(長期にわたる地下水の安定性の有無)を行う上で有効な手段であると考えられる。
宮川 和也; 玉村 修司*; 中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*
JAEA-Data/Code 2016-021, 60 Pages, 2017/03
日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターでは、平成13年3月より、北海道の幌延町において幌延深地層研究計画を進めている。本計画における堆積岩を対象とした地層科学研究では、ボーリング孔の地下水などの水質分析を実施しており、これと同時に、地下水溶存ガスの分析を実施してきた。一方、幌延地圏環境研究所では、微生物を活用した資源開発の一環として、幌延地域を含む北海道に産する石炭層の有効活用を目的とした調査研究を行っており、幌延深地層研究センターとの研究協力の一環として幌延の地下水溶存ガスの分析を実施してきた。また、電力中央研究所では、幌延深地層研究センターとの共同研究の一環として、幌延の地下水中の希ガスの分析を実施してきた。本報告書は、幌延深地層研究計画に関わる平成13年度から平成27年度までの地下水溶存ガスデータを取りまとめたデータ集である。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 後藤 和幸*; 柏谷 公希*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 國丸 貴紀*; 武田 匡樹
Geochimica et Cosmochimica Acta, 192, p.166 - 185, 2016/11
被引用回数:10 パーセンタイル:36.60(Geochemistry & Geophysics)岐阜県東濃地域に分布する花崗岩中の地下水について、He法およびC法を利用した年代測定を行った。6本の深度1000m級のボーリング孔を利用して合計30区間から地下水試料を採取した。地下水の流動経路に沿って、He濃度は増加し、C濃度は減少する傾向があり、両者から推定される年代値には線形相関が認められた。このような複数の指標を利用して年代測定を行うことにより、信頼性の高い年代値が取得できると考えられる。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 岩月 輝希; 加藤 利弘
Radiocarbon, 58(3), p.491 - 503, 2016/09
被引用回数:6 パーセンタイル:24.08(Geochemistry & Geophysics)地下水のC年代測定に必要な溶存無機炭酸(DIC)の回収法(沈殿法とガス化法)の違いが、C測定値に与える影響について検証を行った。その結果、ガス化法で回収されたDICのC値は理論的に想定される値と同等の値を示した。一方で、沈殿法で回収されたDICのC値は、理論値より高い値を示し、回収処理中に現代炭素による汚染が生じることが確認された。汚染の程度は、使用した試薬の量などから算出することができた。地下水のC年代測定については、調査目的に応じてDIC回収方法を選択する必要があると考えられた。
横山 信吾*; 中田 弘太郎*; 鈴木 伸一
粘土科学, 54(1), p.28 - 35, 2015/08
福島県の土壌には様々な種類の粘土鉱物が含まれており、地域によって主要な粘土鉱物種が異なることが知られている。また、同一の粘土鉱物であっても、その環境により交換性陽イオンの組成なども異なると予想される。そのため、土壌中の放射性セ シウムの安定性を系統的に理解するうえでは、鉱物学的性質の異なる様々な粘土鉱物のCsの収着・脱離挙動を統一的な手法で評価することが重要である。また、周知のとおり放射性セシウムによる汚染度合い(放射性セシウム濃度)は地域によって異なっており、その安定性への影響評価も重要と考えられるが、十分に理解されているとは言いがたい。そこで本研究では、土壌中の放射性セシウムの安定性評価に資するため、Csの収着・脱離挙動に対する粘土鉱物種の影響、粘土鉱物の交換性陽イオン種の影響に関して調べた。具体的には、10mol/Lおよび10mol/LのCs溶液を 収着試験の初期濃度として、8種類の粘土鉱物に対して収着・脱離試験を実施した。その結果、10mol/LのCs溶液を用いた収着・脱離試験では、粘土鉱物の層問陽イオン種はCsの収着挙動に影響を与え、その影響は粘土鉱物種により異なることが明らかとなった。一方、10mol/LのCs溶液を用いた収着・脱離試験の結果より、今回使用した粘土鉱物では110mol/g程度のCsを強固に収着することが明らかとなった。
萩原 大樹; 岩月 輝希; 長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*
日本水文科学会誌, 45(2), p.21 - 38, 2015/07
大規模地下施設の建設・操業においては、長期間にわたる地下水の地上への排水に伴い、周辺の地下水環境が変化する可能性がある。本研究では、地下施設周辺の浅層地下水の深部への侵入を推定するための評価手法の構築を目的として、瑞浪超深地層研究所(MIU)の深度500mまでの建設期間中、地下水中の主要化学成分、安定同位体比(D及びO), リチウム(H)さらに浅層地下水の指標となるクロロフルオロカーボン類(CFCs)や六フッ化硫黄(SF)について、約5年間、モニタリングを継続してきた。その結果、地下施設の建設に伴う排水の影響により、深度200-400mまで浅層地下水が侵入してきており、浅層地下水の混入率はHとCFC-12濃度から最大で50%程度と見積もられた。これは、花崗岩中に深度数百m規模、排水量が数万トン/月程度の地下施設を建設し、数年間操業した場合に周辺の地下水環境に与える影響の大きさを示す事例となる。また、HとCFCsを併用した調査解析が、地下施設の建設に伴う排水による浅層地下水の地下深部への侵入を確認するための効果的な方法であることが示された。
伊藤 健一*; 宮原 英隆*; 氏家 亨*; 武島 俊達*; 横山 信吾*; 中田 弘太郎*; 永野 哲志; 佐藤 努*; 八田 珠郎*; 山田 裕久*
日本原子力学会和文論文誌, 11(4), p.255 - 271, 2012/04
放射性セシウムで汚染された土壌の減容化を検討するために、福島県飯舘村の農地土壌やグラウンド土壌に対し土壌分級洗浄実験を行った。その結果、水田,畑の土壌については分級洗浄により放射性セシウムの7, 8割を0.075mm以下の濁水として回収できること、また、グラウンドの砂質土壌については粗粒画分にも有意な量が分布しているが、分級洗浄の前に分散,振動,研磨などの処理を行うことにより、放射性セシウムをより細かい画分より回収できることを明らかにした。
北村 暁; 中田 弘太郎*; 田中 知*; 戸村 努*; 亀井 玄人
サイクル機構技報, (22), p.59 - 66, 2004/03
ネプツニウム(V)(Np(V))とマグネタイト(Fe(II)1Fe(III)2O4)の間の酸化還元反応を、窒素雰囲気下で調べた。実験はバッチ法で行った。高純度のマグネタイトと0.1M NaCl水溶液をポリプロピレン製試験管に入れ、pH, 酸化還元電位および溶存ネプツニウム濃度の、振とう時間(1時間7日)、温度(298Kおよび318K)、および液固比(20, 50および100ml.g)に対する依存性を取得した。溶存Np濃度は、Np(V)からNp(IV)への還元およびNp(IV)の沈殿により、実験開始後1日以内で急速に減少した。この結果は、液固比および温度が高い試料ほど顕著に見られた。また、この反応の速度定数および活性化エネルギーの導出を行った。この酸化還元反応では、マグネタイト表面に存在するFe(II)のみならず、内奥部にあるFe(II)も反応に関与していることが示唆された。
田中 知*; 長崎 晋也*; 中田 弘太郎*; 小田 卓司*; 亀田 純*; 亀井 玄人; 舘 幸男
JNC TY8400 2003-008, 88 Pages, 2003/05
鉄(II)を含む鉱物の表面におけるクロム(Cr)およびネプツニウム(Np)の酸化還元反応について研究した。予備的な研究として,塩化第一鉄(FeCl)及びマグネタイト(Fe(II)Fe(III)O)とCr(VI)を反応させたところ,酸化還元反応が起こることが確認された。このときの実験結果から,マグネタイト表面でFe(II)が消費されると電子移動が生じ,マグネタイト表面に存在するFe(II)の量以上に酸化還元反応が進むことが示唆された。この結果は,量子化学計算を用いても定性的に示された。また,FeClとNp(V)を反応させたところ明確な酸化還元反応は見られなかったが,マグネタイトとNp(V)を反応させたときにはNpの4価への還元が確認された。この反応は,マグネタイト/水溶液比が高いほど,また温度が高いほど早く進むことが確認され,その反応速度定数を導出した。その結果,Cr(VI)の場合と同様に,マグネタイト表面に存在するFe(II)の量以上に酸化還元反応が進むことが示唆された。さらに,不活性ガス雰囲気中で石英を粉砕した際に水素ガス及び水素イオンの発生が認められ,Fe(II)を含まない鉱物でも酸化還元反応の起こる可能性が示唆された。
中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
Radiochimica Acta, 90(9-11), p.665 - 669, 2002/12
被引用回数:52 パーセンタイル:93.53(Chemistry, Inorganic & Nuclear)鉄酸化物はその表面で放射性核種を吸着することにより、地層中での放射性核種の移行を遅延させることが知られている。このような吸着反応において酸化還元反応に敏感な一部の元素に対して、単なる吸着だけでなく、鉄鉱物中のFe(II)による還元反応を伴う吸着反応の可能性が指摘されてきた。そこで、本研究ではFe(II)を含むマグネタイトとFe(III)のみのヘマタイトへのNp(V)の吸着反応について、大気条件下及び低酸素条件下で調べた。その結果、マグネタイトに対しては低酸素条件下でのNp(V)の吸着量が大気条件下よりも増加するとともに、その吸着形態は大気条件下で見られたイオン交換的な吸着よりも強い結合であることが示された。しかし、ヘマタイトではこのような現象が認めらないこと、低酸素条件下でマグネタイトに吸着したNpがNp(IV)を抽出するTTAで抽出された結果から、低酸素条件下ではマグネタイトへのNp(V)の吸着がNp(IV)への還元を伴う吸着現象である可能性を示唆した。
中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
JAERI-Conf 2002-004, p.667 - 673, 2002/03
放射性廃棄物処分の安全評価では、地層中の鉱物への長半減期核種の吸着移行挙動の評価が重要である。本研究では、地層中での核種の挙動に重要な役割を果たす鉄鉱物へのネプツニウムの吸着現象を温度依存性の観点から調べた。その結果、ネプツニウムのマグネタイト(磁鉄鉱)への吸着は温度とともに増加することが明らかになった。さらに、吸着試験終了後のマグネタイトを塩化カリウム溶液(イオン交換性)及びシュウ酸カリウム溶液(非晶質鉄酸化物への吸着)による逐次抽出し、その脱離量を比較すると、塩化カリウムで抽出されるネプツニウム量とシュウ酸カリウムで抽出されるネプツニウムの量は比例しており、ネプツニウムがマグネタイト上の複数の吸着サイトへの吸着により吸着していることが推定された。
中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
Radiochimica Acta, 88(8), p.453 - 457, 2000/12
被引用回数:13 パーセンタイル:64.26(Chemistry, Inorganic & Nuclear)マグネタイトとヘマタイトへのNp(V)の吸着速度を調べるとともに、吸着したNpの吸着形態を逐次抽出法により調べた。その結果、Np(V)の吸着は、非常に速い吸着と1時間以内に平衡に達する遅い吸着からなることを示した。逐次抽出の結果から、(1)Np(V)の速い吸着は酸性及びアルカリ領域の両方でマグネタイトとヘマタイトの表面及び非結晶相への吸着により生じること、(2)アルカリ領域でのヘマタイトへの速い吸着は、結晶相への吸着によること、(3)酸性領域でのヘマタイト及び酸性、アルカリ領域でのマグネタイトへの遅い吸着は結晶相への吸着により生じることを明らかにした。また、Np(V)の吸着と脱離速度から、Np(V)の吸着量は1時間以内で平衡に達するが、Np(V)の種々の吸着種が平衡となるのは約1週間必要であることを示した。
萩原 大樹; 岩月 輝希; 長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*
no journal, ,
2015年度の研究奨励賞記念講演を下記の内容で行う。大規模地下施設の建設・操業においては、長期間にわたる地下水の地上への排水に伴い、周辺の地下水環境が変化する可能性がある。本研究では、地下施設周辺の浅層地下水の深部への侵入を推定するための評価手法の構築を目的として、瑞浪超深地層研究所(MIU)の深度500mまでの建設期間中、地下水中の主要化学成分、安定同位体比(D及びO), リチウム(H)さらに浅層地下水の指標となるクロロフルオロカーボン類(CFCs)や六フッ化硫黄(SF)について、約5年間、モニタリングを継続してきた。その結果、地下施設の建設に伴う排水の影響により、深度200-400mまで浅層地下水が侵入してきており、浅層地下水の混入率はHとCFC-12濃度から最大で50%程度と見積もられた。これは、花崗岩中に深度数百m規模、排水量が数万トン/月程度の地下施設を建設し、数年間操業した場合に周辺の地下水環境に与える影響の大きさを示す事例となる。また、HとCFCsを併用した調査解析が、地下施設の建設に伴う排水による浅層地下水の地下深部への侵入を確認するための効果的な方法であることが示された。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; 児玉 宏樹*; 宮島 徹*; 濱 克宏; 岩月 輝希
no journal, ,
トレーサーとして使用されたウラニンが混入した地下水において、溶存有機物中のCを用いた地下水年代評価法の検討を行った。DAX-8樹脂を用いた溶存有機物回収法では、ウラニンはフルボ酸に混入し、地下水年代評価の妨げとなる。しかし、ウラニン由来の有機炭素の混入率を評価する、あるいは本研究で確立したウラニン-フルボ酸分離法を適用することにより、フルボ酸単独の年代を算出する方法を示した。
岩月 輝希; 加藤 利弘; 中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所周辺の地下水環境の経時変化について理解するため、約10年間にわたって化学組成や同位体、フロン濃度のモニタリングを行った。その結果、深度200-400mの相対的に割れ目の多い花崗岩領域において、最大で50%程度の浅層地下水が浸透していることが明らかになった。一方、深度500mの割れ目の少ない花崗岩領域においては、浅層地下水の混入は認められず、水理学的な擾乱の程度は小さいと考えられた。この地下水の滞留年代は、放射性炭素濃度に基づいて18-25kaと求めることができた。