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浅野 典一; 西村 嵐; 高部 湧吾; 荒木 大輔; 箭内 智博; 海老沢 博幸; 小笠原 靖史; 大戸 勤; 大塚 薫; 大塚 紀彰; et al.
JAEA-Technology 2021-045, 137 Pages, 2022/06
令和元年9月9日の台風15号の強風により、JMTR(材料試験炉)にある二次冷却系統冷却塔の倒壊事象が発生した。これを受け、材料試験炉部内にUCL系統冷却塔更新検討ワーキンググループを設置し、JMTR内にある二次冷却系統冷却塔と同種の木造の冷却塔であるUCL(Utility Cooling Loop)系統冷却塔の健全性調査を行うとともに、UCL系統冷却塔の構造材料である木材の交換・補修計画及び工事の実施、使用計画、既設UCL系統冷却塔に代わる冷却設備の更新の検討を進めた。その検討の結果、既設UCL系統冷却塔については、木材の腐朽による倒壊のリスクを低減するため、廃止措置後も性能維持施設として管理する空気系統を構成する冷却設備として、新規設置することとした。新規設置に伴い、新たな冷却設備を設計する上での方針と廃止措置計画の認可に必要な設計及びその評価を行い、廃止措置計画認可申請書に反映した。本報告書は、これらの新規空気系統用冷却設備の方針及び設計の評価結果をまとめたものである。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 都築 克紀; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 武藤 琴美*; 松永 武*
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106725_1 - 106725_8, 2021/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故により周辺の森林域はCsで汚染された。複雑な山地地形における
Cs沈着量の空間分布を明らかにするために、小河川集水域全域において一定間隔で土壌試料を採取した。土壌試料は2013年夏に42地点、2015年春に6地点において、有機物層と鉱物土壌層に分けて採取した。2013年の
Cs蓄積量は高度と斜面方位に関連した大きな空間変動を示した。有機物層の
Cs残留率は6%から82%と場所により大きく変動し、有機物層の量及び高度と正の相関を示した。しかし、有機物層の
Cs残留率が55%以上であった地点においても、2015年には20%以下に低下しており、沈着から4年後までに多くが鉱物土壌層に移行し、粘土鉱物と結合することで移動性が低下していることが明らかになった。本研究ではまた、
Cs蓄積量と同じ地点で測定した空間線量率を比較し、正の直線関係を得た。この関係式と前報において同じ集水域で測定した3,797点の空間線量率のデータを用いて、全集水域の
Cs沈着量を推定した。
西村 嵐; 岡田 祐次; 菅谷 直人; 園部 博; 木村 伸明; 木村 明博; 塙 善雄; 根本 浩喜
JAEA-Technology 2021-003, 51 Pages, 2021/05
材料試験炉(JMTR)では、平成26年度に液体廃棄物の廃棄設備であるタンクヤードにおいて、廃液配管及び廃液タンクからの放射性廃液の漏えい事象が発生した。本事象に対応するため、平成28年に設計及び工事の方法の認可(設工認)を取得し、平成28年から令和元年にかけてタンクヤード内の廃液タンク,廃液配管,主要弁等の取替工事を行った。取替工事において、廃液タンク及び廃液配管は、試験研究用原子炉施設に関する構造等の技術基準(試験炉技術基準)に基づき、それぞれ、第4種容器,第4種管として製作することが可能であったが、廃液系統の構成に必要となるボール弁,玉形弁及び逆止弁(主要弁)は試験炉技術基準において機器区分外であった。このため、主要弁の製作にあたっては、準用する基準及び検査を設定する必要があった。当該主要弁の製作にあたって準用する基準は、発電用原子炉施設の工事計画に係る手続きガイドから発電用原子力設備規格設計・建設規格(JSMESNC1-2012)のクラス3を設定した。準用する検査は、製作にあたって準用する基準JSMESNC1-2012のクラス3から、原子力発電所用バルブの検査を設定した。主要弁の準用する基準及び検査を設定した後、規制当局へ基準の考え方を説明し、主要弁の製作に着手した。製作した主要弁は、基準に則った検査を実施し、仕様を満足するとともに、廃液タンク及び廃液配管とともに据付け、廃液系統として最終的な検査に合格した。本報告書は、機器区分外である主要弁に対し、準用する基準及び検査の設定の考え方とともに、主要弁の製作にあたっては、使用する流体の性質に合わせた弁座,弁体,グランドパッキンの材質の設定、また、JMTRで発生した玉形弁に関する不具合事象への対策として、玉形弁の弁体と弁棒の接続方法の見直し、それら主要弁の設計,製作,検査及び据付けについてまとめたものである。
大戸 勤; 浅野 典一; 川俣 貴則; 箭内 智博; 西村 嵐; 荒木 大輔; 大塚 薫; 高部 湧吾; 大塚 紀彰; 小嶋 慶大; et al.
JAEA-Review 2020-018, 66 Pages, 2020/11
令和元年9月9日の台風15号の強風により、JMTR(材料試験炉)にある二次冷却系統冷却塔の倒壊事象が発生した。その倒壊に至った原因調査及び原因分析を行い、4つの原因が重なって起こったことが特定された。これを受け、JMTR内にある二次冷却系統冷却塔と同時期に設置された木造の冷却塔であるUCL(Utility Cooling Loop)系統冷却塔の健全性調査を行った。健全性調査項目は、UCL系統冷却塔の運転状態の把握、UCL冷却系統の構造材料の劣化状態、点検項目及び点検状況、過去の気象データの確認である。この調査結果から、当該設備を安全に維持・管理するため、点検項目の改善、UCL系統冷却塔の構造材料である木材の交換・補修計画及び今後のUCL系統冷却塔の使用計画を策定するとともに、既存UCL系統冷却塔に代わる新規冷却塔の更新計画を策定した。本報告書はこれらの健全性調査の結果をまとめたものである。
小野 正人; 塙 善雄; 園部 博; 西村 嵐; 菅谷 直人; 飯垣 和彦
JAEA-Technology 2020-010, 14 Pages, 2020/09
平成25年12月18日に施行された「試験研究の用に供する原子炉等の位置、構造及び設備の基準に関する規則」の適合性確認のために、高温工学試験研究炉における航空機落下確率を評価した。評価は、「実用発電用原子炉施設への航空機落下確率の評価基準について」を参考にして、原子炉建家, 使用済燃料貯蔵建家及び冷却塔を標的として実施した。その結果、落下確率は5.9810
(回/年)であり、基準である10
(回/炉・年)を下回り、防護設計が不要であることを確認した。さらに、落下確率の大きい事故については、事故件数の増加を仮定して評価を行い、評価基準に対する裕度を確認した。
菅谷 直人; 岡田 祐次; 西村 嵐; 園部 博; 木村 伸明; 木村 明博; 塙 善雄; 根本 浩喜
JAEA-Testing 2020-004, 67 Pages, 2020/08
材料試験炉(JMTR)では、2014年度に液体廃棄物の廃棄設備であるタンクヤードにおいて、廃液配管及び廃液タンクからの放射性廃液の漏えい事象が発生した。本事象に対応するため、20162019年度にかけてタンクヤード内の廃液タンク, 廃液配管等の取替え工事を行った。一方、本取替え工事において、廃液配管等の支持構造物である大型サポート(架構造型サポート)の据付け時にタンクヤード躯体コンクリート壁面に複数のひび割れが発生した。このため、ひび割れが発生したコンクリート壁面の補修が必要となった。特に、架構造型サポートを固定する一部の基礎ボルト(あと施工接着系アンカーボルト)周辺部では、隆起を伴うひび割れ(コーン状破壊)が観測された。コンクリート壁のコーン状破壊部における補修工法は規格化されているが、補修後にあと施工接着系アンカーボルトを打設するための妥当性を確認する強度基準は存在しなかった。本報告書は、コンクリート壁面のコーン状破壊部の補修工法として断面修復工法の選定及びあと施工接着系アンカーボルトの強度基準の設定をし、タンクヤードと同類の鉄筋コンクリート造である既設建家を用いて、コーン状破壊部を模擬し、選定した断面修復工法により補修した壁面にあと施工接着系アンカーボルトを打設後、あと施工接着系アンカーボルトの引張試験を行い、設定した強度基準との比較により、補修工法の妥当性評価についてまとめたものである。この試験結果から、本補修工法による、タンクヤード躯体コンクリート壁面におけるコーン状破壊部の補修に資した。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 西村 周作; 武藤 琴美*
Scientific Reports (Internet), 10(1), p.6614_1 - 6614_11, 2020/04
被引用回数:6 パーセンタイル:42.91(Multidisciplinary Sciences)リターの除去は、森林除染において効果的な方法であると考えられているが、福島原発の影響を受けた日本の森林生態系における有効性は不明である。本研究では、福島の広葉樹林の一部に非除染区を設定し、事故後約3.3年後に非除染区を除く森林全域に対してリター除去による除染を行った。除染後3年間にわたり、除染区と非除染区における森林生態系内のCsレベルの推移を調査した。その結果、森林生態系内における
Csの保持及び循環に対する除染効果は極めて限定的であった。日本の森林では、ヨーロッパの森林とは異なり、リター層の
Cs保持能が低いことがその主要因であることが示され、日本の森林生態系に対してはより速いタイミングでのリター除去の実施が必要であったことが示唆された。
小嵐 淳; 西村 周作; 安藤 麻里子; 武藤 琴美; 松永 武*
Scientific Reports (Internet), 9, p.7034_1 - 7034_10, 2019/05
被引用回数:26 パーセンタイル:82.59(Multidisciplinary Sciences)本研究では、福島原子力発電所(福島原発)事故によって陸域生態系にもたらされたCsの表層土壌における保持メカニズムを解明することを目的として、異なる陸域生態系における表層土壌中の
Csの保持状態を、土壌鉱物及び土壌有機物との相互作用に着目して調べた。その結果、森林や果樹園の土壌では、事故から3.5カ月の時点で多くの
Csが土壌鉱物を主体とする土壌フラクションではなく粒子状有機物を主体とする土壌フラクションに存在していること、4年後においてもその存在割合は維持されていることが明らかになった。
小嵐 淳; 西村 周作; 安藤 麻里子; 松永 武*; 佐藤 努*; 長尾 誠也*
Chemosphere, 205, p.147 - 155, 2018/08
被引用回数:15 パーセンタイル:56.08(Environmental Sciences)福島原子力発電所事故の長期的な影響を評価するためには、土壌に沈着した放射性セシウムの挙動の理解が重要であるが、土壌の団粒構造が放射性セシウムの移動性や生物利用性に及ぼす影響は未解明である。本研究では、福島原子力発電所事故の影響を受けた農耕地及び森林の表層土壌を対象に、土壌の団粒化と放射性セシウムの団粒サイズ間における分布や抽出性を調べた。その結果、農耕地土壌では団粒の発達が乏しく、セシウムの多くは粘土サイズの土壌粒子に強く固定されているが、森林土壌では団粒が発達し、大きな団粒に比較的抽出されやすい状態で保持されているセシウムの割合が多いことが明らかになった。
武藤 琴美; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 都築 克紀; 松永 武*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 314(1), p.403 - 411, 2017/10
被引用回数:15 パーセンタイル:85.97(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故により森林に沈着した放射性Csが河川を通して流出することで、下流の市街地や農地への汚染が長期間続くことが懸念されている。本研究では、森林から河川への放射性Cs流出挙動を評価するために、落葉広葉樹林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し、事故の半年後から4年間調査を行った。河川中の放射性Csを懸濁態と溶存態に分けて採取し、懸濁態は粒径ごとに分画した。また、河川中の懸濁物と土壌について、炭素及び窒素の量と同位体比を分析し比較した。その結果、放射性Csの主要な流出形態は粒径75m以下の懸濁態であり、分解の進んだリターと鉱物土壌を起源としていることが明らかになった。また、リター分解を起源とする溶存態Csの流出量も無視できないことが分かった。リターから土壌への放射性Csの移行が進んでいることから、今後、溶存態による河川流出は数年で減少する一方、懸濁態による河川流出は長期間継続することが示唆された。
小嵐 淳; 西村 周作; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美
Chemosphere, 165, p.335 - 341, 2016/12
被引用回数:34 パーセンタイル:77.58(Environmental Sciences)福島原子力発電所事故の環境・公衆影響を評価するためには、地表面に沈着したセシウムのリター-土壌系における挙動を把握することが重要であるが、特に沈着後初期段階におけるこの挙動に関する知見は少ない。本研究では、事故後すぐに落葉広葉樹林においてライシメーターを設置し、4年間にわたってリター-土壌境界層及び土壌層内におけるセシウムの下方移行量を直接測定した。その結果、セシウムの下方移行量はすべての深さにおいて年々減少し、リター層に沈着したセシウムが速やかに土壌へ移行するとともに、土壌表層5cm以内で急速に移動性を失う様子を捉えることに成功した。この結果により、日本の落葉広葉樹林では、土壌-植生間におけるセシウムの循環は長期にわたって継続しないことが示唆された。
松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 310(2), p.679 - 693, 2016/11
被引用回数:6 パーセンタイル:53.9(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故に由来する放射性Csの森林集水域からの流出挙動とその変動要因を解明するために、渓流水中の懸濁態放射性Csの流出量を2012年から2年間連続して測定した。懸濁態Csの流出は、流域からの懸濁物質の流出と密接な関係があり、降雨量の多い8-9月に増加した。
Csは懸濁物質中の粘土鉱物に強く結びついており、流下中に水中に溶存しないことが、鉱物同定及び抽出実験の結果より示唆された。また、単位懸濁物質量あたりの
Cs濃度は、2012年から徐々に低下していた。これらの結果より、懸濁態
Csの流出量は、降雨量に関連した懸濁物質量の変動と、懸濁物質中の
Cs濃度の経年変化の両方の影響を受けて変化していることが明らかとなった。
武藤 琴美; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 小嵐 淳; 都築 克紀; 中西 貴宏; 松永 武
KEK Proceedings 2015-4, p.252 - 257, 2015/11
福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性Csの多くは森林に沈着し、現在も残留している。本研究では森林から河川への放射性Csの流出挙動を評価するために、北茨城市の森林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し調査を行った。放射性Csは粒径の異なる懸濁態と溶存態Csに分け、それぞれについて流出挙動を評価した。調査期間は2012年12月から2014年11月である。懸濁物はカートリッジフィルターを用いて捕集し、粒径毎に4種類(2000m以上, 500-2000
m, 75-500
m, 75
m以下)に篩別した。溶存態はCs吸着剤を充填したカラムに通水させ捕集した。フィルター及びカラムの交換は約1ヶ月毎に行い、各試料は乾燥させてGe半導体検出器で
線測定を行った。調査の結果、流量の増加が懸濁態・溶存態
Csの流出量に影響を与えることが明らかになった。粒径別に見ると、懸濁態全体に対する流出量の割合は粒径75
m以下のものが最大だったが、流量が特に多い期間に粒径75-2000
mの比較的大きな粒子が増加した。流出量全体では懸濁態の割合が多いが、冬期は溶存態の割合が増加する傾向が見られた。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 松永 武
Journal of Environmental Radioactivity, 147, p.1 - 7, 2015/09
被引用回数:23 パーセンタイル:61.72(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故起源の放射性Csにより汚染を受けた山間地の小河川集水域を対象として、空間線量率分布を詳細に測定した。GPS連動型放射性自動計測システムKURAMA-IIを用いた連続測定及びNaIサーベイメーターを用いた一定間隔毎の測定により、山間地での空間線量率と地形との関係を明らかにした。2013年8-9月に測定した空間線量率は、標高の高い東向きの斜面で高く、谷と西向きの斜面で低い値を示した。また、狭い範囲であっても斜面方位の違いにより空間線量率が大きく異なっており、空間線量率分布が地形と密接に関連していることが明らかとなった。山間部における線量の評価や放射能の蓄積量の推定においては、その空間分布を考慮することが重要であることが示された。
松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; 長尾 誠也*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(2), p.1291 - 1295, 2015/02
被引用回数:3 パーセンタイル:28.28(Chemistry, Analytical)河川中の懸濁物に含まれる放射性核種を研究する目的で、従来にない簡便な受動型の捕集方法を開発し、実証した。これは複数のカートリッジフィルターを備えた大型ホルダーを用いるものである。河川水は河床勾配を利用して、上流からホースによりフィルタホルダーに自然に導く。この方法により、長期にわたる無人捕集が可能になる。従来法に比較して大きな量(数十グラム以上)を捕集することになるので、通例の放射性核種濃度分析に加えて、懸濁物の特性分析も行うことができる長所を持つ。この手法は、懸濁物に含まれる化学物質の研究にも利用できるであろう。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作
Scientific Reports (Internet), 4, p.6853_1 - 6853_7, 2014/10
被引用回数:43 パーセンタイル:79.59(Multidisciplinary Sciences)福島第一原子力発電所事故によって、山地や丘陵地に位置する森林がCsによって汚染された。地形的要因が森林地表面における
Csの動態に及ぼす影響を解明するために、2013年8月に、落葉広葉樹林の急斜面における福島事故起源
Csの分布を調査した。落葉堆積物及びそれに保持される
Csが斜面底部に蓄積していることを見出した。蓄積している
Csの65%が、平均年齢が0.5-1.5年と推定される事故後の新しい落葉や分解のあまり進んでいない落葉に保持されていた。さらに、2011年5月(事故から2か月後)に展葉した葉の
Cs濃度が高いこと、その濃度は時間とともに低下したが、2014年においてもなお事故前の濃度レベルより2桁高いことを観測した。これらの結果から、森林斜面における底部への
Cs再分配は生物が関与したプロセスによって強く制御されており、落葉樹のリターフォールにより今後も継続することを初めて示した。
西村 周作; 小嵐 淳; 安藤 麻里子
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で大気中に拡散したCs-137は、土壌中の粘土鉱物に強く固定されることが知られている。しかし、自然環境下において粘土鉱物の大半は有機物と結合して様々な団粒を形成し、森林土壌の発達した団粒構造は土壌中のCs-137の移動性に影響を与えていることが報告されている。したがって、土壌中でのCs-137の循環等を正確に予測する上で、団粒形成を考慮したCs-137の存在形態について明らかにする必要がある。本研究では、土壌を団粒サイズに分画する手法を提示し、各画分におけるCs-137分布について測定を行った。福島市郊外で採取し、粒度分析法で分析した森林土壌を用いた。土壌団粒を団粒分画法にて分画した後、団粒別画分のCs-137を測定した。団粒分画法の重量分布は、212m以上の画分で粒径分析法に比べて高い値を示した。土壌の団粒別画分のCs-137放射能の分布は、20
212
mの画分において最も高い割合を示した。以上の結果から、本研究で用いた分画手法を用いることで団粒構造を保持した状態でのCs-137の分布測定が可能となり、Cs-137が比較的大きな団粒サイズ(20
212
m)に存在していることが明らかとなった。
竹内 絵里奈; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 西村 周作; 都築 克紀; 松永 武
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性Csの多くは森林に沈着し現在も留まっている。森林の空間線量率分布を明らかにすることは、放射性Csの森林内での移動を評価し、森林作業従事者の被ばくを管理するために重要である。本研究では、福島第一原子力発電所から南西約67kmの北茨城市の森林集水域を対象とし、GPS連動型放射線自動計測システムKURAMA-IIを用いた空間線量率の詳細測定を行うとともに、NaIシンチレーションサーベイメータにより5cm高さ及び100cm高さの空間線量率を測定することで、森林内の空間線量率分布の特徴を明らかにした。対象集水域の空間線量率は周辺部の尾根で高く、中心付近の谷で低い傾向が見られた。福島第一原子力発電所のある北東に面し、比較的標高の高い領域では、南西に面する領域よりも空間線量率が有意に高かった。また、NaIシンチレーションサーベイメータの測定結果より、100cm高さの空間線量率は、5cm高さの値と直線関係を示していることから、地表面の放射性Csの寄与を主に受けていると考えられる。KURAMA-IIを山間部に適用し、森林内での空間線量率の詳細な分布を測定する手段として有効であることを示した。
竹内 絵里奈; 安藤 麻里子; 西村 周作; 中西 貴宏; 都築 克紀; 小嵐 淳; 松永 武
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性Csは、現在でも森林に多く沈着しており、降雨などによる河川への流出が懸念されている。本研究では、降雨や季節変動と放射性Csの流出挙動の相関を調べるために、放射性Csを連続的に捕集する装置を設置し、森林から河川への放射性Csの流出量を溶存態と粒径の異なる懸濁態に分けて評価した。観測は北茨城市の小河川を対象とし、2012年11月から2013年12月にかけて行った。カートリッジフィルターに河川水を通水させて懸濁物を捕集し、4つのサイズ(F1: 2000m以上、F2: 500-2000
m、F3: 75-500
m、F4: 75
m以下)に篩別した。溶存態CsはCs吸着剤を充填した2本の塩ビ製カラムに通水させて捕集した。カートリッジフィルター及びカラムは、1ヵ月毎に交換し各試料はGe半導体検出器で
線測定を行った。その結果、夏季(5
10月)は降雨量が多く土砂が増えることから懸濁態Csの流出割合が多く、冬季(12
4月)になると溶存態Csの流出割合が増加する傾向が見られた。懸濁態の粒径別では、ほとんどが75
m以下のサイズで流出していることを示した。
竹内 絵里奈; 安藤 麻里子; 西村 周作; 中西 貴宏; 都築 克紀; 小嵐 淳; 松永 武
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性Csの多くは山間部の森林に沈着している。しかし、山間部での放射性Csの沈着量分布やその河川流出挙動に関する報告は少ない。我々は北茨城市内にある落葉広葉樹林の小河川集水域(0.6km)を対象として、空間線量率分布の詳細な調査と、集水域内で一定間隔毎に行った放射性Cs沈着量の測定結果をもとに、集水域全体の放射性Cs沈着量を評価した。また、放射性Csの河川流出量の季節変化を、独自に開発した河川水中Cs捕集システムを用いて、懸濁態と溶存態それぞれについて測定した。土壌表層(土壌及びリター)の放射性Cs沈着量と同じ地点の空間線量率の測定結果は直線関係を示し、対象集水域では、空間線量率分布から地表面の放射性Cs沈着量を推定可能であることが確認できた。この結果をもとに計算した全集水域の
Cs沈着量は19
7GBqであった。
Csの河川流出における各形態の割合は、懸濁態が多雨期に、溶存態が積雪期に増加した。2013年の
Cs年間流出量は5.9
0.2MBqであり、対象とした集水域から河川への
Csの流出率は0.03%と評価された。