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太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康
Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊したCsの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中
Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としての
Cs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中
Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状
Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子への
Csの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中
Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中
Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。
太田 雅和; 小嵐 淳
Isotope News, (784), p.28 - 31, 2022/12
福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着した放射性セシウム(Cs)による樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各
Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹の木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系における
Csの動態を計算するモデル「SOLVEG-R」を提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した事例を紹介する。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林に沈着した
Csの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足された
Csの表面からの取り込みがそのほとんど(
99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中
Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれた
Csの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木による
Cs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年時点では、
Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部の
Cs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
太田 雅和; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 816, p.151587_1 - 151587_21, 2022/04
被引用回数:1 パーセンタイル:45.14(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着したCsによる樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各
Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系における
Csの動態を計算するモデルを提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林内の各
Cs移行過程が樹木の汚染に及ぼす影響が明示された。森林に沈着した
Csの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足された
Csの表面からの取り込みがそのほとんど(
99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中
Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれた
Csの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木による
Cs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年現在では、
Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部の
Cs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
橋本 昌司*; 田中 拓*; 小松 雅史*; Gonze, M.-A.*; 坂下 渉*; 操上 広志; 仁科 一哉*; 太田 雅和; 大橋 伸太*; Calmon, P.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106721_1 - 106721_10, 2021/11
被引用回数:3 パーセンタイル:35.77(Environmental Sciences)本研究は、福島の主に常緑針葉樹林内における放射性セシウムの移行について、複数の研究チームによるモデルを用いた解析を行い、比較を行うことで、モデルのパフォーマンスを分析したものである。また、落葉層の除去と樹木更新の2つの管理シナリオ、および落葉広葉樹林を対象とした補助シナリオについても比較、分析した。いずれのモデルも実測の放射性セシウム濃度の変化傾向などを再現できたが、事故から50年後の予測についてはばらつきが大きく、継続した調査、解析による評価が必要である。
仲宗根 峻也*; 横山 須美*; 高橋 知之*; 太田 雅和; 柿内 秀樹*; 杉原 真司*; 平尾 茂一*; 百島 則幸*; 玉利 俊哉*; 島 長義*; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 16, p.2405035_1 - 2405035_5, 2021/02
液体シンチレーションカウンタによる環境水試料のトリチウム分析では、試料に含まれる溶存有機物等の不純物の除去が必要である。一般的に用いられている前処理法は試料の蒸留であるが、蒸留は時間を要する(24時間程度)という欠点がある。発表者らは、イオン交換樹脂を用いた迅速な前処理法を提案してきた。本研究では、イオン交換樹脂を用いた前処理法の定量評価を目的としてバッチ実験を実施し、実験結果から不純物の除去が短時間(5分程度)で完了することを確認した。
仲宗根 俊也*; 横山 須美*; 高橋 知之*; 太田 雅和; 柿内 秀樹*; 杉原 真司*; 平尾 茂一*; 百島 則幸*; 玉利 俊哉*; 島 長義*; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 15, p.2405027_1 - 2405027_3, 2020/05
事故時あるいはトリチウム使用施設からのトリチウム放出時の環境影響評価においては、環境試料中のトリチウムの迅速な分析が求められる。液体シンチレーションカウンタによる水試料のトリチウム分析では、その前処理として、水試料に含まれる有機物やイオンといった不純物の除去が必要である。一般的に用いられている前処理法は、試料の蒸留である。しかしながら、蒸留は時間を要するという欠点がある。本研究は、イオン交換樹脂を用いた迅速な前処理法の検討を目的とする。このために、陸水試料を用いて不純物除去のバッチ実験およびカラム実験を実施したところ、イオン交換樹脂の使用により、試料に含まれる不純物の除去が短時間(5分以内)で達成されることが確認された。
堅田 元喜*; Grote, R.*; Mauder, M.*; Zeeman, M. J.*; 太田 雅和
Biogeosciences, 17(4), p.1071 - 1085, 2020/02
被引用回数:8 パーセンタイル:62.81(Ecology)山間部の管理された草原では、冬季の寒冷な気候によって生産性が低下する。そのため、将来予想される気温上昇および雪面の変化は、草原の生産性に大きく影響する可能性がある。これを調べるため、陸面モデルSOLVEGに積雪,凍結・解氷および草の成長過程を導入し、このモデルを記録的な暖冬下における草原での熱輸送・炭素交換に適用した。モデル計算は、3年間のシミュレーション期間中に観測された熱フラックス,地温,積雪深度を再現した。計算結果から、暖冬下では高められた植物生理活動によって100g-C mのCO
固定が起きたこと、更に、この固定された炭素の多くが春先の植物成長に利用されることなく地下部の根バイオマスへと供給されたことが示された。この暖冬の影響下で起きた地下部への炭素供給は、将来の温暖化環境においては土壌への炭素蓄積量および土壌からのCO
放出量が増加するという可能性を示唆しており、既存の全球陸域生態系モデルが本過程を厳密に考慮する必要があることを示すものである。
太田 雅和; 寺田 宏明; 長谷川 英尚*; 柿内 秀樹*
Science of the Total Environment, 704, p.135319_1 - 135319_15, 2020/02
被引用回数:4 パーセンタイル:27.58(Environmental Sciences)Iの陸面移行をモデル化し、陸面モデル(SOLVEG-II)に組み込んだ。各
I移行過程の重要度を調べることを目的として、本モデルを2007年の六ケ所再処理工場からの
I大気放出影響下で観測された野外での
I移行に適用した。モデル計算結果から、対象としたササの葉の
I汚染が、主に降雨による
I湿性沈着に起因した
Iの葉面吸着によって引き起こされたことが示された。土壌への
I移行においては、
Iの湿性沈着が主であり、
I
の乾性沈着の10倍の値であった。一方、2007年の土壌への
I沈着量は、モデルが仮定した土壌中
I量の僅か2%であり、土壌中での長期に渡る
I蓄積の重要性が示された。更に、計算結果から、長期に渡る土壌中
Iの消失が、従前から考えられてきたメチル化ではなく経根吸収によって引き起こされる可能性が示された。
横山 須美*; 高橋 知之*; 太田 雅和; 柿内 秀樹*; 杉原 真司*; 平尾 茂一*; 百島 則幸*; 玉利 俊哉*; 島 長義*; 安藤 麻里子; et al.
Plasma and Fusion Research (Internet), 14(Sp.2), p.3405099_1 - 3405099_4, 2019/06
核融合科学研究所は、2017年に大型ヘリカル装置を用いたD-D実験を開始した。施設の安全確保のためにはD-D反応で生成するトリチウムの環境中移行評価法の確立が重要となる。大気及び土壌中のトリチウム水(HTO)は植生に移行し、光合成を経て有機物トリチウム(OBT)が生成される。OBTは植生中に滞留し、経口摂取による被ばくを引き起こすため、トリチウム放出においてはOBT生成の予測が重要となる。本研究は、簡易なコンパートメントモデルと実用性の高いパラメータを使用して上述した環境中トリチウム移行を推定することを目的とする。これまでに、大気・土壌・植生系から成る簡易なコンパートメントモデルを提案し、精緻なモデルであるSOLVEGとの比較によりモデルの検証を図った。本研究では、簡易モデルへの湿性沈着過程の導入及び土壌の通気性や大気・土壌・植生中トリチウム濃度の測定によるパラメータの取得、更にはOBT分析時の簡便な前処理手法の確立を計画している。
太田 雅和; 田中 拓*
Journal of Environmental Radioactivity, 201, p.5 - 18, 2019/05
被引用回数:3 パーセンタイル:15.78(Environmental Sciences)放射性廃棄物地下処分施設から漏洩するCH
は、土壌中で微生物による酸化を受けて
CO
となる。既存の
C移行モデルでは、土壌中
CO
の植生への移行が主に葉面吸収によって起こることが仮定されている。一方、
CO
の経根吸収の影響は把握されていない。本研究は、
CO
の経根吸収が植生への
C移行に及ぼす影響を評価するため、土壌中の
CH
の輸送と酸化をモデル化し、これを陸面
CO
移行モデル(SOLVEG-II)に組み込んだ。モデルによる土壌中
CH
移行の計算性能は、深部土壌への
CH
注入の野外実験データを用いて検証した。次に、モデルを地下水面(深度1m)からの
CH
の連続放出時の陸面
C移行に適用した。土壌中で根が浅く分布(深度11cm)する状況では、植生への
C移行では
CO
の葉面吸収の影響が支配的となり、葉への
C蓄積の80%に寄与した。一方、根が地下水面近くまで分布(深度97cm)する状況では、葉への
C蓄積の半分以上(63%)が経根吸収によってもたらされた。更に、メタン酸化が土壌深部(深度20cmあるいは80cmまで分布)で起きた場合には、葉に蓄積した
Cの全量が経根吸収によってもたらされた。これらの結果から、根が地下水面近くまで分布し、
CH
の酸化が土壌深部で起きる場合は、
CO
の経根吸収が植生への
C移行において支配的となることが明らかとなった。
太田 雅和; Kwamena, N.-O. A.*; Mihok, S.*; Korolevych, V.*
Journal of Environmental Radioactivity, 178-179, p.212 - 231, 2017/11
被引用回数:11 パーセンタイル:39.91(Environmental Sciences)環境中トリチウム移行モデルは有機結合型トリチウム(OBT)が組織自由水中トリチウム(TFWT)から直接形成されると仮定している。一方、植生中OBT/TFWT比は一定でないことが観測されている。本研究では2つのトリチウム移行モデル(CTEM-CLASS-TT及びSOLVEG-II)の計算値及びトリチウム放出施設近傍での野外実験の観測値の比較を行った。野外実験では3つの異なる灌漑(灌漑なし、低トリチウム水による灌漑及び高トリチウム水による灌漑)が施され、得られたトリチウム移行の差異は土壌から葉へのトリチウム輸送が葉内OBT/TFWT比に及ぼす影響に関する知見を与えるものであった。灌漑なし及び低トリチウム水による灌漑では、葉のTFWT及びOBT濃度の計算値は施設起因のトリチウムプルームの通過に対応した経時変化を示した。高トリチウム水による灌漑下では、土壌中の高濃度トリチウムの影響により、葉のTFWT濃度が高く維持され、OBT濃度はこのTFWT濃度と平衡となり、プルームの通過に関係なく高い値が保たれた。以上より、土壌中トリチウム濃度が高い状況では、土壌から葉へのトリチウム輸送の効果により、大気中トリチウム濃度に関係なく葉のOBT/TFWT比が決まることが明らかとなった。このことはトリチウムの経口摂取による被ばくを正確に評価するためには、トリチウム移行モデルは土壌から葉へのトリチウム輸送を厳密に考慮する必要があることを示している。
永井 晴康; 寺田 宏明; 都築 克紀; 堅田 元喜; 太田 雅和; 古野 朗子; 朱里 秀作
EPJ Web of Conferences, 153, p.08012_1 - 08012_7, 2017/09
被引用回数:3 パーセンタイル:88.17福島第一原子力発電所の事故時に放出された放射性物質による住民の被ばく線量を評価するために、計算シミュレーションにより放射性物質の時間空間分布を再構築する。本研究では、放出源情報の精緻化及び大気拡散シミュレーションの高精度化により、放射性物質大気濃度・沈着量の時間空間分布データベースを開発し、住民の行動パターンや移行モデルと組み合わせた推計に活用する。大気拡散シミュレーションの改良としては、新規気象モデルの導入と沈着過程の精緻化を行った。改良モデルは、東日本スケールにおけるCsの沈着分布を良好に再現したが、福島第一原子力発電所近傍では沈着分布の再現性が低下した。この結果は、放出源情報を改良モデルシミュレーションに対して最適化することにより、さらなる精緻化が必要であることを示している。
堅田 元喜; 太田 雅和
JAEA-Data/Code 2016-014, 35 Pages, 2017/01
自然および人為起源の大気汚染物質(ガス・エアロゾル)の陸域生態系への移行過程を評価するために、大気中ガスやエアロゾルの乾性沈着とそれに関連する過程(氷相、植物成長、土壌有機物分解)の新しいスキームを、著者らの多層大気-土壌-植生1次元モデルSOLVEGに導入し、これらのスキームの検証試験を様々な植生地で行ってきた。本報告では、新たにモデル化したそれぞれの過程と、改良したモデルの利用方法の詳細を記述した。この改良によって、地球温暖化や大気汚染に伴う大気-陸面間の水・エネルギー・物質循環の変化と、それが生態系に及ぼす影響の評価を調べるための「陸域生態系モデル」の基盤が完成した。
太田 雅和; 堅田 元喜; 永井 晴康; 寺田 宏明
Journal of Environmental Radioactivity, 162-163, p.189 - 204, 2016/10
被引用回数:6 パーセンタイル:21.51(Environmental Sciences)陸面Cモデル(SOLVEG-II)を用いて、植生の炭素取り込みが原子力施設周辺の植生への炭素14(
C)の蓄積に及ぼす影響を評価した。SOLVEG-II、気象モデルおよび大気拡散モデルを結合したモデル計算を、2007年の六ヶ所再処理工場(RRP)の試験運転中の
CO
移行に適用した。RRP周辺の水田における白米中
C比放射能の計算値は観測値と一致した。RRPからの
CO
連続放出を仮定した数値実験の結果から、収穫時の稲の
C比放射能と大気中
C比放射能の年平均値が異なることが示され、これは大気中
CO
濃度の季節変動と稲の成長に起因したものであった。
CO
放出を日中に限定したところ、日中の光合成による高い
CO
取り込みの効果によって、夜間に放出を限定した場合に比べて稲の
C蓄積が顕著に増加した。以上より、長期連続あるいは日内の短期
CO
放出時の
Cの経口摂取による被ばく評価では、各々、植物の成長段階と光合成を考慮する必要があることがわかった。
棚瀬 正和*; 藤崎 三郎*; 太田 朗生*; 椎名 孝行*; 山林 尚道*; 竹内 宣博*; 土谷 邦彦; 木村 明博; 鈴木 善貴; 石田 卓也; et al.
Radioisotopes, 65(5), p.237 - 245, 2016/05
Mo(
)
Mo反応で生成する
Moから高放射能濃度の
Tc溶液を得る方法として、
Mo/
Tcのアルカリ溶液からの
TcのMEKによる溶媒抽出、塩基性アルミナカラムによる精製、酸性アルミナカラムによる吸着、溶離により
Tc溶液を製品とする方法を提案した。本研究では、その基礎的検討として、
Tcの放射能として2.5
36.7TBqに相当する量の非放射性Reを代替元素として用い、Reの酸性アルミナカラムへの吸着およびその溶離特性について調べた。その結果、本試験条件のRe量において、短時間の操作時間で高い回収率を示し、JMTRで生成する15TBq規模での高濃度
Tcの製造でも、酸性アルミナカラムは十分適用可能であることが明らかになった。
太田 雅和; 永井 晴康; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 551-552, p.590 - 604, 2016/05
被引用回数:30 パーセンタイル:73(Environmental Sciences)東京電力福島第一原子力発電所事故由来Csの移行評価のために、森林内
Cs動態予測モデルを開発し、実サイトに適用した。地表有機物層に沈着した
Csの溶脱及び土壌中の
Csの吸着・輸送をモデル化し、既存の陸面水循環モデルに導入した。モデル計算は、有機物層から土壌層への事故後3年に渡る
Cs移行を良好に再現した。長期予測の結果から、沈着した
Csはその90%以上が30年間に渡り表層5cmの土壌に保持されうることが示され、森林では地下水経由の
Csの流出は小さいことが明らかとなった。また、
Cs動態に及ぼす土壌有機物の影響を評価するため、土壌中
Cs動態のパラメータ(分配係数等)を変えた数値実験を実施した。その結果、この仮想的な土壌では、土壌有機物による
Csの土壌粒子への吸着の阻害、粘土鉱物への
Csの固定の低下及び固定された
Csの再可動の促進が溶存体
Cs濃度を増加させ、植生の
Cs取り込みを増大させうること、数10年程度の期間に
Csの大部分(約30%から60%)が深さ5cmよりも深い部分へ輸送されうることが示された。以上より、土壌有機物が長期に渡り森林内
Cs移行に影響を及ぼすことが示唆される。
石田 卓也; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 木村 明博; 西方 香緒里; 柴田 晃; 棚瀬 正和*; 小林 正明*; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; et al.
JAEA-Technology 2015-030, 42 Pages, 2015/11
照射試験炉センターでは、材料試験炉(JMTR)を用いた中性子放射化法((n,)法)によるモリブデン-99(
Mo)製造に関する技術開発を行っている。(n,
)法による
Moは、核分裂法((n,f)法)と比べると比放射能が低く、得られるテクネチウム-99m(
Tc)溶液の放射能濃度も低くなる。この課題を解決するため、(n,
)法で製造した
Moから
Tcを回収する手法として、メチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目し、開発した
Mo/
Tc分離・抽出・濃縮試験装置による性能試験を行っている。本報告書は、
Mo/
Tc製造の試験体系の確立に貢献するため、高い
Tc回収率を得ることができるよう装置の改良を行い、京都大学研究用原子炉(KUR)で照射した高密度三酸化モリブデン(MoO
)ペレットを用いて、MoO
ペレット溶解及び
Tcの抽出を行い、得られた
Tc溶液の品質試験を行った結果をまとめたものである。
堅田 元喜; 茅野 政道; 小林 卓也; 寺田 宏明; 太田 雅和; 永井 晴康; 梶野 瑞王*; Draxler, R.*; Hort, M.*; Malo, A.*; et al.
Atmospheric Chemistry and Physics, 15(2), p.1029 - 1070, 2015/01
被引用回数:199 パーセンタイル:98.91(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故時の大気放出量の詳細な時間変化を大気拡散モデルWSPEEDI-IIと海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを用いた結合シミュレーションと環境モニタリングデータを組み合わせた逆推定法によって推定した。放射性ヨウ素のガス態(I, CH
I)およびその他の粒子態(CsI, Cs, and Te)の乾性・霧水沈着、雲内への取り込み、凝結核活性、氷相の湿性沈着を計算する新しいスキームをWSPEEDI-IIに導入した。事故起因の放射性物質の大量放出は、2011年3月12日午後の1号機のウェットベントおよび水素爆発時、13日午前中の3号機のベント後、14日深夜の2号機での3回のSRV開操作時、15日の午前および夕方から夜間、そして16日の午前中に起こったことが明らかになった。新しい推定放出量を用いたWSPEEDI-IIのシミュレーションによって、局地および領域スケールの航空サーベイによる
Iと
Csの積算沈着量と空間線量率の分布が再現された。さらに、新しいソースタームを3つの異なる大気拡散モデルを用いて領域・全球スケールで試験した。シミュレーション結果から、
Csの全推定放出量の27%が東日本の陸面に沈着し、その大部分は森林地域であったことが示された。
西方 香緒里; 木村 明博; 石田 卓也; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 棚瀬 正和*; 土谷 邦彦
JAEA-Technology 2014-034, 34 Pages, 2014/10
JMTR再稼働後の利用拡大の一環として、照射試験炉センターでは、医療用ラジオアイソトープ(RI)として用いられるモリブデン-99(Mo)/テクネチウム-99m(
Tc)の材料試験炉(JMTR)を用いた放射化法((n,
)法)による製造に関する要素技術開発を行っている。
Moは、一般的に核分裂法((n,f)法)で製造されているが、放射性廃棄物量及びコストの低減化や核不拡散上の観点から、(n,
)法による
Mo/
Tc製造に着目した。しかしながら、(n,
)法による
Mo/
Tc製造では、(n,f)法に比べ単位体積当たりの比放射能が低いという欠点がある。本報告書は、照射ターゲットの単位体積当たりの
Mo含有量を増加させるため、高密度MoO
ペレットの製造方法を確立し、得られた高密度MoO
ペレットの特性試験結果をまとめたものである。
太田 雅和; 永井 晴康; 小嵐 淳
Journal of Geophysical Research; Biogeosciences, 118(4), p.1646 - 1659, 2013/12
被引用回数:33 パーセンタイル:72.32(Environmental Sciences)深層土壌は土壌有機炭素(SOC)の半分以上を貯留していると見積もられている。しかし深層SOCの供給源・動態は不明な点が多い。根枯死によるC入力・溶存有機炭素(DOC)輸送が深層SOCの供給源として着目されてきた。本研究はこれら供給源及び関連する土壌中過程が深層SOC動態に及ぼす影響をモデルを用いて評価した。モデルは微生物分解に伴うSOCの消失、SOCとDOCの分配及び土壌中水輸送に伴うDOC輸送を分解性の異なる3つの炭素プール(各々分解の時間スケールとして年, 10年, 1000年程度を考慮)に対して考慮した。根の分布が異なる陸面生態系を模擬した数値実験により、全SOCのうち相当量(36-78%)が深層(表層30cm以深)に貯留され得ること及び深層SOCの大部分(39-73%)が10年あるいはそれ未満の時間スケールで回転しうることが示された。DOC輸送はCを深層へ供給する主要な過程であることが示され、その結果土壌中SOC分布は供給源である根の分布よりも深い分布となった。これらの結果は、表層のみに着目した従来研究では10年スケールで回転するSOCの貯留量、それゆえ土壌中炭素の気候変動、土地利用変化等に対する応答を過小評価し得ることを示すものである。