Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:27 パーセンタイル:96.83(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200
Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
中野 政尚; 藤井 朋子; 永岡 美佳; 小池 優子; 山田 椋平; 久保田 智大; 吉井 秀樹*; 大谷 和義*; 檜山 佳典*; 菊地 政昭*; et al.
JAEA-Review 2020-070, 120 Pages, 2021/02
本報告書は、原子力規制関係法令を受けた「再処理施設保安規定」、「核燃料物質使用施設保安規定」、「放射線障害予防規程」、「放射線保安規則」及び茨城県等との「原子力施設周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書」、「水質汚濁防止法」並びに「茨城県条例」に基づき、平成31年4月1日から令和2年3月31日までの期間に日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所から環境へ放出した放射性排水の放出管理結果をとりまとめたものである。再処理施設,プルトニウム燃料開発施設をはじめとする各施設からの放射性液体廃棄物は、濃度及び放出量ともに保安規定及び協定書等に定められた基準値を十分に下回った。
中田 弘太郎*; 長谷川 琢磨*; Solomon, D. K.*; 宮川 和也; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 松本 拓也*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 小野 昌彦*; et al.
Applied Geochemistry, 104, p.60 - 70, 2019/05
被引用回数:4 パーセンタイル:22.78(Geochemistry & Geophysics)地下水に溶存している希ガス(He, Ne, Ar, Kr, Xe)は、地下水の起源や滞留時間、涵養温度などの推定に使われる。地下水に溶存しているガスを全て定量することが望ましいが、一方で、地下水の採取に伴う溶存ガスの脱ガスを避けることは難しい。本研究は、地下水の採取に伴う溶存希ガスの脱ガス挙動について調べ、その補正方法を提案するものである。地下施設及び深層ボーリングから地下水試料を採取し、原位置の圧力を維持した状態で採取した試料と、圧力を低下させて脱ガスさせた試料との比較を行った。その結果、溶存ガス圧が低い試料(約4.6気圧以下)については、大気圧下で脱ガスさせた場合、気液平衡が成り立つことが分かった。一方で、溶存ガス圧が高い試料(約32気圧)については、気液平衡が成り立たないことが分かった。気液平衡が成り立つ試料については、脱ガスの影響を補正することが可能であるが、気液平衡が成り立たない試料については、補正が困難であり、さらなる検討が必要である。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.
Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04
被引用回数:208 パーセンタイル:99.76(Multidisciplinary Sciences)小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。
中村 俊夫*; 田中 孝幸; 甲 昭二; 太田 友子*
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書,21, p.159 - 165, 2010/03
AMSによるC年代測定の研究室間比較研究を名古屋大学と原子力機構で行った。使用した考古学試料は、2種類であり、山梨県韮崎市教育委員会より提供された。1つは、年代既知の炭化米であり、新府城跡から採取された。この試料は、武田勝頼が1582年に、織田・徳川連合軍との戦により、火を放ち落城させた際、炭化した米である。もう一方の試料は、宿尻第二遺跡より採取された桃の種子及びオニグルミの殻の炭化物である。これらの試料での2研究室におけるAMSによる
C年代測定の結果は、統計誤差内でよく一致していた。また、年代既知の炭化米の較正年代は、新府城が落城した年代と一致していた。
道内 尊正*; 横田 祐輔*; 小松 拓磨*; 早川 弘毅*; 黒田 朋子*; 真栄田 大介*; 松尾 祥史*; 森 茂生*; 吉井 賢資; 花咲 徳亮*; et al.
Ferroelectrics, 378(1), p.175 - 180, 2009/00
被引用回数:18 パーセンタイル:60.6(Materials Science, Multidisciplinary)鉄イオンの電荷秩序により強誘電体となる標記物質LuFeO
につき、合成条件を変えることにより酸素量を変えた試料に対する磁性と誘電性について報告する。試料作成はCO-CO
混合ガスフロー中で行い、CO
とCOの比を変えることで酸素量を変えた。CO
:COのフロー比が1:5付近において、磁気転移温度が最高の240
250K近傍となったことから、この試料が最良のものと判断される。本試料の誘電率は、室温で10000近傍であった。誘電率の虚数部分から求めた活性化エネルギー0.4
0.5eV程度であり、これまでLuFe
O
において報告されていた0.3eVよりも大きい傾向が見られた。今後さらに測定を行い、物性の詳細のわかっていないLuFe
O
の性質とその起源を明らかにする予定である。
窪田 卓見*; 中野 朋子*; 天野 光; 鈴木 崇史; 馬原 保典*
JAEA-Conf 2008-003, p.36 - 39, 2008/04
環境中のヨウ素分析において、年代が古くI-129同位体比の低い試料を取り扱う際には、人工起源(核実験や再処理工場など)由来の汚染の影響を考慮する必要がある。さらに地下水試料などヨウ素濃度が低いものは採取量が増加するため汚染を受けやすくなる。先行実験として、I-129の同位体比が低いとされる千葉県茂原市のかん水試料(高ヨウ素濃度)を京都大学原子炉実験所内の実験室で処理を行い分析したところ、予測される同位体比の数十倍程度の値を得た。この汚染の原因の一つが塩素含有試薬であることが示唆されたため、ハロゲンを含有しない抽出法の検討を行った。また、他の汚染源についての検討を行うため、複数の処理条件下にて測定試料を調製し分析を行った。NO型陰イオン交換樹脂のヨウ素の吸着・溶離挙動は、バルク溶液の塩化物濃度が海水程度であっても影響を受けなかった。ドデカンによる溶媒抽出は、クロロホルムによる溶媒抽出と同等の結果を得た。逆抽出後のNaOH溶液からのAgI調製では、90%弱のヨウ素を回収できた。これらのことより、ハロゲンを含有しない試薬を用いたヨウ素抽出法において、総ヨウ素量の80%以上をAgIとして回収できた。
須藤 智子*; 大橋 一利*; 佐藤 俊麿*; 太田 英二*; 岡安 悟; 須貝 宏行
Physical Review B, 71(4), p.045211_1 - 045211_7, 2005/01
被引用回数:1 パーセンタイル:7.41(Materials Science, Multidisciplinary)高濃度ボロンドープしたダイヤモンド半導体単結晶にタンデム加速器からの150MeVリンイオンを照射することにより、ダイヤモンド半導体単結晶の電気抵抗率が30K以下でのみ増加することを見いだした。さらに、この高濃度ボロンドープした人工ダイヤモンド結晶の電気抵抗率と1/fノイズスペクトルを20Kから300Kまで測定し、30Kから60Kまでは10meVのエネルギー幅を持つハードギャップが存在し、30K以下では6meVのエネルギー幅を持つWignerギャップが存在することを明らかにした。リンイオン照射による30K以下での抵抗率増加は、結晶の乱れに起因するWignerギャップの消失によると考えられる。以上の結果から、70年前にWignerが予想した、3次元個体中で伝導電子が規則配列した状態であるWigner格子が、30K以下の高濃度ボロンドープした人工ダイヤモンド単結晶中で実現していることを示した。
古川 純*; 横田 はる美*; 田野井 慶太朗*; 上岡 志ほり*; 松橋 信平; 石岡 典子; 渡辺 智; 内田 博*; 辻 淳憲*; 伊藤 岳人*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 249(2), p.495 - 498, 2001/08
被引用回数:14 パーセンタイル:69.78(Chemistry, Analytical)ポジトロン放出核種を利用したイメージング装置であるPETIS(Positron Emitting Tracer Imaging System)を用いてササゲにおけるバナジウム(V)吸収をリアルタイムで測定した。バナジウム-48は、日本原子力研究所高崎研究所のAVFサイクロトロンを用い、Sc箔に50MeVの
粒子を照射することにより製造した。
Vを水耕液に添加し、PETISによりリアルタイム計測を行った。また
V水溶液を添加してから3,6,20時間目の植物体を用いてバナジウム分布をラジオグラフィにより測定した。これらにより処理開始後20時間目には植物体全体にバナジウムが分布していることが明らかになった。植物に吸収されたバナジウムが及ぼす影響を見るために、同様にポジトロン放出核種であるフッ素-18で標識した水を用いてPETISによりササゲの水分吸収動態を測定した。計測前に20時時間バナジウムを吸収させると、標識水の吸収が極端に抑えられることが示された。これらの結果は植物体の地上部に移行したバナジウムが標識水の吸収を阻害する主な原因であることを示唆している。
中西 友子*; 田野井 慶太朗*; 横田 はる美*; Kang, D.-J.*; 石井 龍一*; 石岡 典子; 渡辺 智; 長 明彦; 関根 俊明; 松橋 信平; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 249(2), p.503 - 507, 2001/08
マメ科の植物の中できわめて乾燥に強いと考えられるササゲ()を用いて水分吸収の計測を行った。ササゲは茎の下部に乾燥に耐えるための水分保持組織を発達させていると考えられている植物である。われわれは、中性子ラジオグラフィの手法を用いてこの組織が他の茎よりも水分量が多いことを確認した。またサイクロトロンによって製造された
F標識水を用いてPETIS法によりササゲの水分吸収動態を測定した。インゲンマメとササゲで水分吸収を比較すると、乾燥処理でもササゲのほうが高い水分吸収活性を維持していることが示され、より乾燥に強い性質を有していることが示唆された。
中西 友子*; 横田 はる美*; 田野井 慶太朗*; 池上 奈通子*; 大國 曜子*; 古川 純*; 石岡 典子; 渡辺 智; 長 明彦; 関根 俊明; et al.
Radioisotopes, 50(6), p.265 - 269, 2001/06
ダイズにおけるO標識水と
F標識水の吸収動態をPETIS(Positron Emitting Tracer Imaging System)法を用いて比較検討した。
O標識水(半減期: 2分)はサイクロトロンを用いて
N(d,n)
O反応により、また、
F標識水(半減期: 110分)は
O(
,pn)
F反応により調製した。標識水の供給は、根を切り落としたダイズの茎の下部から行い、植物中の標識水から放出される
線をBGO検出器(5cm
15cm)を用いてリアルタイム計測を行った。15秒ごとの計測の積算値からダイズの各茎における20分間の吸水動態を調べたところ、
F標識水の方が
O標識水より早く吸収されることがわかり、
F標識水ではフッ素は
F
イオンとなり、バルクの水とは異なる動態を示すことが示された。吸収された
O標識水の静止画像を撮ったところ、10分間の吸収後においても初葉よりも上部に
O標識水の分布は見られなかった。
小原 一浩*; 草野 譲一; 井上 均*; 高石 和年*; 山田 貴之*; 大内 伸夫; 太田 智子*
第50回塑性加工連合講演会講演論文集, p.199 - 200, 1999/10
超電導キャビティにおいては、より高い加速電界を得るためにはハーフセルを設計値に近い形状に製作する必要がある。そこで本研究では、ハーフセル形状の精度向上を目的として銅及びニオブを用いたプレス加工実験と成形後のキャビティの形状評価を行い以下の知見を得た。(1)アイリス部近傍では、半径方向及び円周方向ともに引張りのひずみが生じ、赤道部では円周方向に圧縮のひずみが生じる。(2)しわ発生の原因となる円周方向の圧縮のひずみは、赤道部近傍で最大となる。(3)ニオブを用いた実験では、上型を追込んだほうがアイリス部と赤道部を結ぶ直線部において、より目的に近い形状を得ることができる。
窪田 卓見*; 中野 朋子*; 天野 光; 鈴木 崇史; 馬原 保典*
no journal, ,
環境中のヨウ素分析において、年代が古くI-129の同位体比の低い試料を取り扱う際には、人工起源(再処理工場など)由来の汚染の影響を考慮する必要がある。著者らは、I-129の同位体比が低いとされる千葉県茂原のかん水試料の分析を行ったが、予想に反して、非常に高い同位体比を得た。原因となる汚染経路は幾つか考えられるが、本研究では、塩素を含有する試薬に起因すると推測し、ハロゲンを含有しない抽出系(イオン交換法・溶媒抽出法)を検討し、I-126を用いてその抽出系の回収率について考察を行った。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 加藤 利弘*; 林田 一貴
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所の研究坑道内に掘削されたボーリング孔から地下水を採取し、C,
He, 希ガス温度計などによる地下水年代測定を実施した。その結果、
Cの前処理方法を沈殿法からガス化法に変更することにより、
C濃度が精度よく評価できるようになった。また、
Heも流出域で、フラックスの寄与の異なるデータを収集できたことにより、フラックスの寄与を分離して、原位置生成に基づく
He年代を推定することができた。更に、希ガス濃度から涵養温度を推定することにより、研究坑道周辺の地下水は氷期に涵養した地下水の影響を強く受けていることを確認することができた。このように複数の指標を利用して地下水の滞留時間を推定し、それらの結果を相互に比較することにより、個々の結果の信頼性を向上させる方法は非常に有効であると考えられた。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太朗*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 加藤 利弘*; 林田 一貴
no journal, ,
超深地層研究所計画の一環として電力中央研究所との共同研究(共同研究件名「瑞浪超深地層研究所周辺の水理・物質移動毒性評価に関する研究」)を実施している。この共同研究は、超深地層研究所計画で進めている、物質移動モデル化技術の開発の一環として実施しているものである。本報告では、地下水年代調査および評価技術の開発のこれまでの結果について報告する。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太郎*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 濱 克宏; 岩月 輝希; 加藤 利弘*; 林田 一貴
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所において地下水年代測定を実施した結果、地下水年代はおおむね2万年程度であることを確認できた。また、希ガス濃度から涵養温度を推定した結果、涵養温度は6Cで、現在の気温よりも9
C程度低い結果であった。このため、研究所周辺の地下水は氷期に涵養した地下水であると推定できた。このように研究所周辺の地下水年代を
C,
He, 希ガス温度計という複数の方法を用いて、整合的に推定することができた。
長谷川 琢磨*; 中田 弘太朗*; 富岡 祐一*; 太田 朋子*; 岡本 駿一*; 濱 克宏; 渡辺 勇輔; 岩月 輝希
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所において複数の地下水年代測定を実施した。Heはフラックスの寄与の異なるデータを収集できたことにより、フラックスの寄与を分離して、
He年代を推定することができた。
Cは前処理方法を沈殿法からガス化法に変更することにより、大気の汚染を除去でき、精度良く評価できるようになった。これらから流出域の地下水年代は2万年程度であることを確認できた。さらに、水素・酸素同位体比が浅層地下水よりも低く、希ガス濃度から推定した涵養温度は7
Cと、現在の気温よりも7
C程度低く、氷期に涵養したものと推定された。このように研究所周辺の地下水年代を
C,
He, 水素・酸素同位体比, 希ガス温度計という複数の方法を用いて、整合的に推定することができた。
太田 朋子*; 長谷川 琢磨*; 岡本 駿一*; 渡辺 勇輔
no journal, ,
HLWの地層処分では、地下深部の地下水流動評価は安全評価に欠かせない。大深度地下坑道の掘削に伴う深部地下水への浅層地下水の流入率の評価には、SF等が活用されているが、これらは適用可能な条件には制限があるため、新しい手法の開発が望まれる。
Iは核実験以後の原子力発電所や再処理工場の稼働・運転により、近年は天水・表層海水中の濃度が高くなっている。本研究では、結晶質岩中に建設された瑞浪超深地層研究所の地下深部への浅層地下水の流入率の指標として、modern I-129をトレーサーとした流入率の推定手法の提案を行う。
中田 弘太朗*; 長谷川 琢磨*; 太田 朋子*; Jiang, W.*; Lu, Z. T.*; 宮川 和也
no journal, ,
Krは、半減期が約23万年の大気起源の放射性同位体であり、古い地層への若い地下水の浸入を把握できる可能性があることから、放射性廃棄物の地層処分に関する地下水年代調査における有用な指標として考えられている。しかしながら、放射線計測による
Krの定量には、多量のガス試料が必要とされていた。また、海成堆積層の地下水には高濃度のメタンが含まれることが多く、大気起源である
Krの濃度は相対的に低下し、分析にはメタンを主成分とする多量のガス試料の採取が必要となる。本研究では、試料中のメタン除去によるKrの濃縮手法を開発し、アトムトラップ微量分析法を用いることで、実用的な試料量による
Krの定量を試みた。その結果、メタンを酸化除去することにより、40Lのガス試料を0.5Lに減量し、90%を超える回収率でKrを濃縮することができた。また、北海道幌延町の深部地下水試料に対して本手法を適用したところ、メタンを多く含む試料でも、
Krの分析が可能となることが示された。本成果は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和3年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(岩盤中地下水流動評価技術高度化開発)」の一部である。
Takir, D.*; 北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; et al.
no journal, ,
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機・サンプルリターンミッション「はやぶさ2」は、地球近傍小惑星Ryuguに到着した。この小惑星は、原始的な炭素質天体に分類される。ここでは、「はやぶさ2」探査機に搭載された近赤外線分光器(NIRS3)の最近の観測結果を報告する。この観測は、リュウグウの表面組成の直接測定と、リターンサンプルのコンテクストを提供する。NIRS3は、観測された表面全体に2.72マイクロメートルを中心とする弱く狭い吸収特性を検出した。この吸収特性は、OHを含む鉱物の存在に起因する。また、NIRS3の観測により、リュウグウは探査機による近接観測で最も暗い天体であることが明らかになった。OHの強度と低いアルベドから、熱衝撃変成された、あるいは炭素に富む宇宙風化した始原的な水和炭素質コンドライトと一致する。