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山本 智彦; 加藤 篤志; 早川 雅人; 下山 一仁; 荒 邦章; 畠山 望*; 山内 和*; 江田 優平*; 由井 正弘*
Nuclear Engineering and Technology, 56(3), p.893 - 899, 2024/03
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)In a secondary cooling system of a sodium-cooled fast reactor (SFR), rapid detection of hydrogen due to sodium-water reaction (SWR) caused by water leakage from a heat exchanger tube of a steam generator (SG) is important in terms of safety and property protection of the SFR. For hydrogen detection, the hydrogen detectors using atomic transmission phenomenon of hydrogen within Ni-membrane were used in Japanese proto-type SFR "Monju." However, during the plant operation, detection signals of water leakage were observed even in the situation without SWR concerning temperature up and down in the cooling system. For this reason, the study of a new hydrogen detector has been carried out to improve stability, accuracy and reliability. In this research, the authors focus on the difference in composition of hydrogen and the difference between the background hydrogen under normal plant operation and the one generated by SWR and theoretically estimate the hydrogen behavior in liquid sodium by using ultra-accelerated quantum chemical molecular dynamics (UA-QCMD). Based on the estimation, dissolved H or NaH, rather than molecular hydrogen (H), is the predominant form of the background hydrogen in liquid sodium in terms of energetical stability. On the other hand, it was found that hydrogen molecules produced by the sodium-water reaction can exist stably as a form of a fine bubble concerning some confinement mechanism such as a NaH layer on their surface. In parallel, we observed experimentally that the fine bubbles of H
stably existed in the liquid sodium than expected before. This paper describes the comparison between the theoretical estimation and experimental results based on hydrogen form in sodium in the development of the new hydrogen detector in Japan.
山本 智彦; 加藤 篤志; 早川 雅人; 下山 一仁; 荒 邦章; 畠山 望*; 山内 和*; 江田 優平*; 由井 正弘*
Proceedings of 2023 International Congress on Advanced in Nuclear Power Plants (ICAPP 2023) (Internet), 6 Pages, 2023/04
In the secondary cooling system of sodium-cooled fast reactor (SFR), a rapid detection of hydrogen explosion due to sodium-water reaction by water leakage from heat exchanger tube is steam generator (SG) is important in terms of safety and property protection. For the hydrogen detection, Ni-membrane hydrogen detectors using atomic transmission phenomenon were used in Japanese proto-type sodium-cooled fast reactor "Monju". However, during the plant operation, many alarms of water leakage were occurred without sodium-water reaction in relation to temperature up and down. The authors focus on the difference in composition of hydrogen and the difference between the background hydrogen under normal operation and the hydrogen generated by the sodium-water reaction and theoretically estimate the hydrogen behavior in liquid sodium by using ultra-accelerated quantum chemical molecular dynamics (UA-QCMD). As the results of theoretical estimation, dissolved H or NaH, rather than H, is the predominant form of the background hydrogen in liquid sodium, and hydrogen produced in large amounts by sodium-water reaction can exist stably as fine bubbles with a NaH layer on their surface. Currently, the authors study the new hydrogen detector system focusing on the difference between the background hydrogen (dissolved H) and the hydrogen by sodium-water reaction (fine bubbles H
). This paper describes the comparison between the theoretical estimation and experimental results based on hydrogen form in sodium.
早川 雅人; 下山 一仁; 宮越 博幸; 鈴木 重哲*
JAEA-Technology 2021-027, 33 Pages, 2022/01
日本原子力研究開発機構大洗研究所では、これまでに高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉もんじゅなどのナトリウム冷却型高速炉の研究開発に関わる多種多様なナトリウム環境下での試験研究が実施されてきた。これまでに所期の目的を達成したナトリウム試験施設及び機器類の解体撤去が順次進められ、豊富な経験や技術が蓄積されてきた。一方、試験研究に用いられてきた大量の金属ナトリウムは新しい試験施設での再利用が図られ、その後、再利用された金属ナトリウムを内包してきた大型ナトリウムタンク類の解体が進められている。これらの解体を安全かつ効率的に進めるためには、解体前にタンク内部(特に底部)に残留するナトリウムを極力低減することが重要である。このため、複数の100m級大型ナトリウムタンクについて、底部に残留するナトリウム量の低減を図ってきた。本報告ではこれまでに実施してきた残留ナトリウム低減に関わる技術や経験について述べる。
畠山 望*; 三浦 隆治*; 宮本 直人*; 宮本 明*; 荒 邦章; 下山 一仁; 加藤 篤志; 山本 智彦
Journal of Computer Chemistry, Japan, 21(2), p.61 - 62, 2022/00
Na冷却高速炉の冷却系において、蒸気発生器伝熱管破損に伴う水リーク発生時のNa水反応で生成される水素、ならびに通常運転時に伝熱管から透過する水素の存在形態に着目して、理論計算により水素挙動を推定した。
梅田 良太; 下山 一仁; 栗原 成計
日本原子力学会和文論文誌, 19(4), p.234 - 244, 2020/12
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器では、伝熱管を介してナトリウムと水との熱交換が行われるため、何らかの原因により伝熱管が損傷した場合には、Na中に高圧の水/蒸気が漏えいし、Naと水との発熱反応により特有の高温・高アルカリ環境が形成され、隣接伝熱管が損耗する恐れがある。本報ではNa-水反応の起因事象となるセルフウェステージ現象のメカニズムを解明することを目的に、伝熱管の初期欠陥(微細円孔型と疲労き裂型の貫通欠陥)を模擬した試験体を用いて、セルフウェステージが継続的に進展する条件下で実験を実施した結果について述べる。セルフウェステージ率に及ぼす初期貫通欠陥形状(微細円孔,疲労き裂)による影響は有意ではなく、セルフプラグ現象のメカニズムとして、Na酸化物が介在して、セルフウェステージの進行を阻害するものと推察された。本実験及び既往実験で得られたセルフウェステージ率より、従来の相関式では陽に表れなかった初期のNa温度の影響が明確に現れ、この傾向を基に初期のNa温度を考慮した新相関式を導出した。
今村 弘章; 鈴木 将*; 下山 一仁; 宮越 博幸
JAEA-Technology 2019-005, 163 Pages, 2019/06
高速炉開発における安全性強化や技術実証の確立を目指した研究開発に向けて、冷却系機器開発試験施設(AtheNa施設)の整備を進めており、この一環として、このたびナトリウム試験装置(マザーループ)の製作・設置を完遂させた。本装置は、世界最大級の約240tの大容量ナトリウムを保有し、純度管理された高温ナトリウムを、大型機器開発やシステム開発等の技術実証のための各試験部へ安定して供給できるものであり、今後の国際協力を含めた研究開発として大いに期待されるものである。本報は今後の研究開発に資することを狙いに、ナトリウム試験装置(マザーループ)の設計仕様や製作・設置状況、及び機能確認結果の記録をとりまとめたものである。
栗原 成計; 梅田 良太; 下山 一仁; 菊地 晋
日本機械学会論文集(インターネット), 84(859), p.17-00382_1 - 17-00382_11, 2018/03
ナトリウム(Na)冷却型高速炉(SFR)の蒸気発生器(SG)で想定される伝熱管破損事象では、Na中への水漏えいにより反応ジェットが形成され(Na-水反応)、そのエロージョン・コロージョン作用により隣接伝熱管(ターゲット伝熱管)に局所的な減肉が生じる(ターゲットウェステージ)。われわれは、反応ジェットに随伴される液滴衝突エロージョン(LDI)と、Na-水反応時の主要生成物である高温の水酸化ナトリウム(NaOH)及び酸化ナトリウム(NaO)による流れを伴うNa-Fe複合酸化型腐食(COCF)に起因してターゲットウェステージが生じると考え、伝熱管周囲のウェステージ環境で生成されるNaOH単体環境及びNaOH-Na
O混合環境においてCOCF実験を実施して定式化した。本報では、垂直管群を模擬した実機SG条件でのNa-水反応試験(総合検証試験)を実施し、各ターゲット伝熱管を対象に新たなウェステージ相関式の適用性を定量評価するとともに、貫通破損したターゲット伝熱管を対象に注水停止後のブローダウン過程を含めた時間におけるウェステージの時間進行を定性的に検討した。
梅田 良太; 下山 一仁; 栗原 成計
JAEA-Technology 2017-018, 70 Pages, 2017/08
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器では、低圧のナトリウムから伝熱管を介して高圧の水/蒸気に熱交換される。その伝熱管が破損して水蒸気が漏えいした場合、発熱反応を引き起こし、ナトリウム中に反応ジェットが形成される(ナトリウム-水反応)。反応ジェットは高温・高圧噴流で高アルカリ環境を形成し、この環境に曝された隣接伝熱管は、局所的な減肉により損傷を受け(ターゲットウェステージ)、SG内での影響範囲が拡大する可能性がある。本報告書では、ターゲットウェステージ現象解明を目的として、ナトリウム-水反応時の主要な反応生成物である高温の水酸化ナトリウムと副次的な生成物である酸化ナトリウム(試料)を用いて、ターゲットウェステージの環境因子(試料温度、衝突速度、試料組成割合等)を分離評価できる実験装置及び実験手法を開発した。また、開発した実験装置を用いて流れを伴う高温水酸化ナトリウム及び酸化ナトリウム環境下における腐食実験を実施し、腐食特性に及ぼすターゲットウェステージの環境因子の影響を定量的に評価するとともに、平均腐食速度とウェステージ環境因子との関係を定式化した。
梅田 良太; 栗原 成計; 下山 一仁
JAEA-Technology 2016-030, 50 Pages, 2016/12
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器において伝熱管が貫通破損した場合、高温・高速かつ高アルカリ雰囲気の反応ジェットが生成される(ナトリウム-水反応)。反応ジェットが隣接する伝熱管全体を覆うと、伝熱管の高温化によって機械的強度が低下し、伝熱管内圧で膨出破損に至ることがある(高温ラプチャ)。高温ラプチャの評価では、伝熱管温度に相当する伝熱管材料のクリープ強度を材料強度の基準値(破損クライテリア)としており、内圧による管壁のフープ応力と当該破損クライテリアを比較することで破損を判断する。このため、高温ラプチャ現象を模擬した伝熱管破損実験から得られる知見を踏まえて、破損クライテリアの妥当性を確認することが非常に重要である。本報告書では、原子力機構が所有する伝熱管破損模擬試験装置(TRUST-2)を用いて、高クロム系鋼の細径伝熱管の単管試験体及び密着型の二重試験体を対象に、最高1500Kまでの超高温条件で内圧加圧型の急速加熱伝熱管ラプチャ実験を行い、破損形態や破損強度特性などを明らかにするとともに、破損クライテリアの妥当性を検討した。
栗原 成計; 梅田 良太; 菊地 晋; 下山 一仁; 大島 宏之
日本原子力学会和文論文誌, 14(4), p.235 - 248, 2015/11
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器でナトリウム(Na)-水反応が生じると、水漏えい位置に隣接する健全な伝熱管は反応ジェットの影響によって局所的な損耗(ターゲットウェステージ)を受け、破損が伝播して影響範囲が拡大する可能性がある。従来の研究では、実機SGの伝熱管候補材料を対象に、実機SG運転条件を模擬した多くのターゲットウェステージ実験が実施され、反応ジェットを形成するマクロな境界因子でウェステージ速度が評価されてきた。しかしながら、高温・高圧運転が指向される異なるSG型式に対して同様のアプローチで安全評価を行うには、設計上の選択肢に対して汎用性に欠け、設計時の最適化に適さない。本報では、Na-水反応時の主たる反応生成物である、高温のNaOH及びNaOによる実機SG伝熱管材料の流れを伴う複合酸化型腐食挙動を把握することを目的として、ウェステージ環境に影響を及ぼす局所因子を分離可能な実験装置及び手法を開発し、減肉速度に及ぼす試料/供試体(伝熱管材料)温度及び試料衝突速度の影響を定量的に検討した結果について述べる。さらに、実験後供試体の金属組織観察や化学分析に基づき、腐食環境を推察した。
阿部 雄太; 下山 一仁; 栗原 成計
JAEA-Technology 2014-026, 40 Pages, 2014/07
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器内に配置されている伝熱管に生じた微細な貫通き裂(初期欠陥)から水/蒸気がリークすると、ナトリウムと水との化学反応に伴い、初期欠陥自体が自己損耗により拡大するセルフウェステージ現象が起こる。セルフウェステージ現象が継続すると、初期欠陥孔が拡大し、伝熱管群内の健全な伝熱管へ影響を及ぼす程度の水リークに進展する。このため、原子力機構では、安全評価を目的として多次元ナトリウム-水反応解析コードを用いたセルフウェステージ解析手法を開発している。過去のセルフウェステージ試験ではクラック型孔の試験体等が用いられてきたが、再現性がある同形状の試験体を製作するのが困難であった。そのため、孔形状の再現性がよく現象の個々の要因の効果の評価が可能な試験が望まれていた。本報告書では、過去の試験において曖昧だった腐食影響因子をできるだけ分離して、セルフウェステージ解析手法の検証に資するための基礎データを取得することを目的としたセルフウェステージ試験装置(SWAT-2R)の開発、微細孔型試験体の開発、試験概要と手順についてまとめた。
栗原 成計; 梅田 良太; 下山 一仁; 阿部 雄太; 菊地 晋; 大島 宏之
日本機械学会論文集,B, 79(808), p.2640 - 2644, 2013/12
ナトリウム(Na)冷却高速炉の蒸気発生器(SG)では、伝熱管損傷時には隣接する伝熱管が高温の反応ジェットに覆われ、伝熱管材料の機械的強度が低下し、内圧により破損する可能性がある(高温ラプチャ)。高温ラプチャ評価では伝熱管壁温度(に相当する伝熱管壁応力)の予測精度が非常に重要であり、主要影響因子である反応ジェット-隣接(ターゲット)伝熱管熱伝達率の定量評価が不可欠となる。本報では、実機SGの運転条件を模擬したNa-水反応基礎実験を実施し、反応ジェットの熱影響を受けるターゲット伝熱管周囲で熱伝達率-ボイド信号データを計測し、ターゲット伝熱管周囲の熱的環境及び既往伝熱相関式の適用性を検討した結果について報告する。
栗原 成計; 大島 宏之; 下山 一仁; 梅田 良太
日本機械学会論文集,B, 77(776), p.964 - 968, 2011/04
高速炉蒸気発生器(SG)では、万一伝熱管が破損した場合、Na中に高温,浸食性の強い反応ジェットが形成される(Na-水反応)。この反応ジェットに曝される隣接伝熱管は局所的な減肉作用により損傷し、その伝熱管損傷範囲が拡大する可能性がある。JSFRのSGでは、経済性向上のため高温・高圧運転や稠密な伝熱管配列が検討されており、原子力機構ではその合理的安全設計に向けて汎用かつ高精度予測評価を可能とする機構論的Na-水反応現象解析評価手法を開発している。これまで、ウェステージによる隣接伝熱管破損の可能性は、Na-水反応時における計測性や予測解析が困難であることから、反応ジェットの影響をマクロ的境界因子で整理してきた。機構論的評価では、ウェステージ面の温度や近傍での流体流速など局所量による影響を定量評価した現象把握が必要となる。本研究では、ウェステージ現象解明を目的として、主要な反応生成物である高温のNaOHを伝熱管材料に衝突させ、ウェステージ環境因子の影響を分離評価できる実験手法を開発した。本実験手法によりNaOH中静的腐食実験及びNaOH衝突実験で把握した減肉速度に対する温度や速度の依存性について報告する。
下山 一仁
JNC TN9410 2004-009, 46 Pages, 2004/03
実用化戦略調査研究のナトリウム冷却炉における蒸気発生器水漏えい事故については、プラントの安全の確保や経済性の観点から水リーク対策設備を高度化し、隣接する伝熱管へと破損が次々に進展する破損伝播領域を局限化することが要求されている。現在、従来の知見や既存のツールを用いて水リーク事象の検討・評価を行っているが、12Cr鋼伝熱管材のナトリウム-水反応に対する腐食損耗、いわゆる耐ウェステージ性についてはこれまで実験データがなく定量評価がなされていない。 そこで、中規模のナトリウム-水反応試験装置(SWAT-1R)を用いて、12Cr鋼伝熱管材を試験体としたナトリウム-水反応試験を実施した。ナトリウム温度や伝熱管距離などの実験条件を固定して、水リーク率をパラメータにしたウェステージ率データを取得した。主な結果、成果を以下に示す。(1) 過去に行った伝熱管材のウェステージ率データと比較すると、12Cr鋼伝熱管材は9Cr系鋼に対して1.6倍以上、2.25Cr-1Mo鋼に対して2.7倍以上の耐ウェステージ性を持つことが把握できた。(2) 特に水リーク率の低い領域で耐ウェステージ性が良く、1g/sec以下では「もんじゅ」過熱器伝熱管材のSUS321ステンレス鋼より優れる傾向を持つことがわかった。(3) 設計評価に用いるため、9Cr系鋼伝熱管のウェステージ率評価式を基に12Cr鋼伝熱管材のウェステージ率評価式を導出した。今回導出した評価式は9Cr系鋼がベースとなっているため、特に水リーク率が低い領域では現実に比べ保守的である。今後の設計評価において、今回行った実験データより低い水リーク領域を設計基準の対象とする場合には、更に実験パラメータ範囲を広げてウェステージデータを取得し、12Cr鋼伝熱管材単独のウェステージ率評価式を導出する必要がある。
西村 正弘; 下山 一仁; 栗原 成計; 清野 裕
JNC TN9400 2003-014, 167 Pages, 2003/03
高速炉の蒸気発生器(SG)における水リーク事故時には、高温流体であるナトリウム-水反応JRットが生成して隣接する伝熱管へ影響を及ぼす。安全研究の観点からは、伝熱管の材料強度に影響を与える反応ジェットの熱的性質を明らかにすることが重要である。そのためナトリウム-水反応試験装置(SWAT-1R;Sodium Water Reaction Test Rig.)を用いて注水率をパラメータとしたナトリウム-水反応試験(RUN:158g/s,HT-2:337g/s,HT-3:542g/s)を実施した。本試験では伝熱管群を模擬した試験体を液体ナトリウム中に設置し、そこに高温高圧の水・蒸気注水により発生するナトリウム-水反応を噴出する。本試験では反応ジェットの熱的性質(温度、拡がり)を明らかにすることを目的とし、試験体に設置した熱電対を用いて温度データを取得した。また、反応ジェットから隣接する伝熱管群が受ける熱的影響を評価するため、伝熱管内部に熱電対を埋め込んだ熱伝達率測定管を設置して温度データを取得した。さらに反応ジェットにさらされた伝熱管の金相観察を実施し、受けた熱的影響の評価を行った。これらの試験から得られた結果を以下に示す。 ・反応ジェットの熱的性質 注水率をパラメータとした3つの試験の範囲内において反応ジェットの最高温度(HT-1:1161度C、HT-2:1013度C、HT-3:1164度C)に違いは確認できなかった。 各試験とも注水開始から10秒以内で反応ジェットは定在化し、その拡がりは注水率が増すほど大きくなかった。 ・伝熱管の受けた熱的影響 各試験において熱伝達率を測定するための、熱電対温度データを取得し、評価手法を確立した。 注水試験により熱的影響を受けた伝熱管の金相を観察しフォーマスタ試験による基準サンプル金相との比較により評価した結果、約20秒1100度C以上の反応JRットにさらされたものでも伝熱管の受けた熱的影響は900度Cを20秒保持したものとほぼ同等であった。この結果は、伝熱管に埋め込んだ熱電対の温度データと比較しても妥当である。
下山 一仁; 柴崎 洋一*
JNC TN9410 2001-020, 105 Pages, 2001/08
大洗工学センターの蒸気発生器安全性総合試験装置(SWAT-3)は、高速炉の蒸気発生器(SG)における伝熱管からの水漏えい事故に対して蒸気発生器の安全性を確認すること、更にSG内の損傷程度を把握し、再起動に際しての補修の必要範囲を明らかにすることを目的に建設されたナトリウム-水反応試験装置である。本書は、1996年から1999年にかけて実験したSWAT-3の解体に係るナトリウム抜き取り作業やナトリウム-水反応生成物の処理作業についてまとめたものである。国内で初めてとなる大型のナトリウム-水反応実験に使用した装置の解体作業は、ほぼ計画通りの工法にて安全かつ効率的に行うことができた。特に、大量のナトリウム-水反応生成物を沈殿させたダンプタンクの解体作業を通して、数多くの知見や経験を得ることができ、特殊な解体技術を構築することができた。以下に主な成果を紹介する。1)タンク内カバーガス空間部のナトリウム-水反応生成物による配管閉塞防止対策として電気ヒータ付二重配管が有効である。2)ナトリウム入りタンクの壁面への配管施行技術を確立した。3)タンク内に堆積するナトリウム-水反応生成物を乾燥砂で覆うことによって、タンク本体の溶断が可能となる。 また、長年にわたってナトリウム-水反応生成物と接触し続けてきたダンプタンクなどの構造材料は、解体後の材料検査で製作当時の機械加工痕が残っているなど、腐食の影響は殆ど観察されなかった。本件で得られた知見や経験は、現在稼動中のナトリウム-水反応生試験装置、あるいは不純物を多く含むナトリウムループなどを解体する際、更には実プラントの蒸気発生器で万一水リークが起こった時の事故後の措置について、作業計画や実施及び安全管理などに役立つものと思われる。
下山 一仁; 宇佐美 正行; 三宅 収; 西村 正弘; 宮原 信哉; 田辺 裕美
PNC TN9450 97-007, 81 Pages, 1997/03
「もんじゅ」2次冷却系ナトリウム漏えい事故の原因究明の目的で、第1回目を平成8年2月15日に、第2回目を平成8年3月28日に、大洗工学センターのナトリウム漏洩火災基礎試験装置(SOFT-1)を用い、温度計を模擬してナトリウム漏えい速度、漏えい形態の確認実験を行った。なお本実験データ集については、情報公開の一環として平成9年3月21日付けで、本社インフォメーションルーム、大洗工学センター展示館、敦賀事務所アトムプラザの3カ所で公開を開始した。
下山 一仁; 西村 正弘; 宇佐美 正行; 宮原 信哉; 三宅 収; 田辺 裕美
PNC TN9410 97-085, 163 Pages, 1996/11
「もんじゅ」2次主冷却系でのナトリウム漏えい事故の原因究明の一環として、動燃大洗工学センターのナトリウム漏洩火災基礎試験装置SOFT-1を用いた燃焼実験を2回実施した。本実験の目的は、破損した温度計からのナトリウムの漏えい速度と漏えい形態の確認、温度計周辺の配管保温構造とフレキシブルチューブへの影響の確認、及び温度計の温度履歴の「もんじゅ」との比較である。漏えい速度は、実験に用いた模擬温度検出器の流路が確保された条件で56(2)g/secが得られた。この漏えい速度を「もんじゅ」事故当該部に補正し53g/secの値を得た。ただし、熱電対ウェル先端アニュラス部の流路断面積は公称寸法を、また漏えいナトリウムの加圧圧力は漏えい期間中の最高圧力値1.65kg/cm
Gとした。漏えい形態について、特に初期の挙動は温度検出器コネクタとフレキシブルチューブの接続状態が漏えいナトリウムの落下の様子に影響を与える。第1回実験では、「もんじゅ」事故後に現場で確認された状況に合わせて、チューブを始めから外して実験を開始したのに対し、第2回実験では接続した状態で実験を開始した。第2回実験では、漏えい開始から17秒後にチューブをコネクタのエルボ部に固定するふくろナットによる接続が外れて、第1回実験の初期状態と同じになった。接続が外れるまでの漏えい形態は、エルボ部継ぎ目からの液滴の飛散やチューブの被覆を貫いて流線状の流れが特徴的であったのに対し、接続が外れてからの漏えい形態は、チューブの内外を伝って最下端部から連続的に滴下する流れが主流であり、時折散発的にエルボ部付近からの飛散が見られた。配管保温構造(外装板等)への影響については、第1回実験においてコネクタのエルボ部に近い部分の外装板に腐食による穴が開いたが、第2回では特に穴等の損傷は見られず、その差はナトリウム漏えい時間の違いによると考えられる。温度検出器の熱電対信号は、「もんじゅ」の当該温度と極めて良く似た挙動が得られ、ナトリウムの流出と熱電対信号履歴の関係を十分説明できることが確認できた。
宮原 信哉; 佐川 憲彦; 下山 一仁
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(2), p.128 - 133, 1996/00
希ガス気泡に随伴するヨウ素のナトリウム中への移行挙動に関する実験を実施した。実験はキセノンとヨウ素を封入した石英ガラス球を液体ナトリウムプール中で破壊することによって気泡を発生させ、カバーガスに移行したヨウ素をサンプリングする方法で行った。実験で観測したボイド計信号より得た気泡上昇速度の結果を基に、気泡形状に関する3つの無次元数を求めてきのこ笠状であることを明らかにすると共に、その終末速度に関する経験式による評価結果と実験結果との比較から、発生気泡が複数に分裂している可能性を示した。又、これを水中模擬実験によって確認した。一方、気泡内ヨウ素のナトリウム中への移行に関しては、実験結果を物質移行速度として整理することによって現象が2つのプロセスで進行していることを明らかにすると共に、これに及ぼす影響が気泡内初期ヨウ素濃度に顕著であり、ガラス球の大きさやナトリウム温度に依存しないことを初めて
中桐 俊男; 石川 浩康; 大野 修司; 小沢 隆之; 加藤 一憲*; 小山 真一; 下山 一仁
PNC TN9510 94-001, 246 Pages, 1994/05
安全工学部プラント安全工学室では、高速増殖炉のソースターム研究を、一部燃料材料開発部照射燃料試験室の協力を得つつ実施しているが、本研究を今後さらに効率的かつ有効に進めていくための有益な情報を得ることを目的として、昭和63年に日本原子力発電(株)殿が米国DOEに委託したTREAT炉を用いたソースターム炉内試験計画の検討に係わる英文報告書"「燃料破損時のFP炉内移行挙動の研究(その2)」-PLANING STUDY OF IN-PILE LOOP TESTS FOR THE EVALUATION OF FISSION PRODUCT TRANSPORT-"を入手し(動燃報告書登録番号:PNC ZR1471 93-001)、関係者で和訳して、その内容を調査した。本報告書で得られた情報は、将来実施予定の以下の試験研究に反映する予定である。(1)炉内ソースタームを支配する、FP・燃料蒸気泡のナトリウム中減衰挙動の解明に重点をおいた炉内ソースターム挙動総合模擬試験に於ける事故事象の模擬方法や測定手法等。(2)現在大洗安全工学部が中心になって検討中の安全性試験炉計画(SERAPH計画)に於けるソースターム炉内試験の方法論や、試験体の考え方等。