検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 69 件中 1件目~20件目を表示

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

発表言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

論文

緊急時対応への大気拡散計算の有効活用に向けて; 大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBの開発

寺田 宏明; 都築 克紀; 門脇 正尚; 永井 晴康

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 67(2), p.113 - 117, 2025/02

2011年に発生した福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が大気中に放出され、広く拡散して環境汚染が生じた。このような原子力緊急時の対応と準備に有用な情報となる精緻な大気拡散計算結果を様々な条件に対して迅速に取得可能な数値シミュレーションシステムとして、大気拡散データベースシステム(WSPEEDI-DB)が完成した。本稿では、このWSPEEDI-DBの開発経緯、システムの概要および活用例を紹介する。

論文

Application of Bayesian machine learning for estimation of uncertainty in forecasted plume directions by atmospheric dispersion simulations

門脇 正尚; 永井 晴康; 吉田 敏哉*; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(10), p.1194 - 1207, 2023/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:51.90(Nuclear Science & Technology)

大気拡散シミュレーションにより原子力事故の緊急対応を支援する場合、予測結果と合わせて結果の不確実性を提供する必要がある。本研究では、予測結果のプルームの拡散方向の不確実性をベイズ機械学習に基づいて推定する手法を開発する。機械学習用のトレーニングデータおよびテストデータは、原子力施設からのセシウム137の仮想放出を考慮したシミュレーションを2015年から2020年の期間で毎日実行することで作成された。不確実性推定に対する本手法の有効性を調べたところ、36時間後の予測においても不確実性の予測可能性は50%を超えたことから、本手法の有効性が確認された。また、不確実性が大きいと判定されたプルームの拡散方向も、本手法によって極めて良好に予測された(予測期間において不確実性を妥当に判定しなかった割合は0.9%-7.9%)。一方で、本手法により不確実性が過大に予測された割合は最大で31.2%となったが、これは許容できると考えられる。これらの結果は、本研究で開発されたベイズ機械学習による不確実性推定の手法が、大気拡散シミュレーションによって予測されたプルームの方向の不確実性を効果的に推定していることを示している。

論文

Dependency of the source term estimation method for radionuclides released into the atmosphere on the available environmental monitoring data and its applicability to real-time source term estimation

寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:84.10(Nuclear Science & Technology)

原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。

論文

Evaluation of uncertainties derived from meteorological forecast inputs in plume directions predicted by atmospheric dispersion simulations

吉田 敏哉; 永井 晴康; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*

Journal of Nuclear Science and Technology, 59(1), p.55 - 66, 2022/01

 被引用回数:3 パーセンタイル:33.11(Nuclear Science & Technology)

本研究では、気象予報の不確実性が及ぼす大気拡散予報計算への影響を定量的に評価した。そのために、大気拡散モデルを用いて原子力施設からの放出を想定した過去1年間(2018年)の拡散計算を行った。気象入力条件に解析値を用いた計算と予報値を用いた計算を行い、解析値計算に対する予報値計算の誤差を不確実性とした。不確実性の定量的な大きさは、両者の地表濃度分布の代表的な拡散方向のずれを角度で表すことで算出した。気象庁が配信している気象入力値を使用した場合、その角度は平均的には10$$^{circ}$$/日で増加した。一方、前後の時刻の不確実性とは関係なく、突発的に4、5倍に増加することも分かった。また、角度の時系列は日変化や季節変化を有していたため、拡散方向の不確実性は気象入力値だけでなく気象条件や地理的条件の影響を受けることが示唆された。さらに、不確実性の主な要因は、解析値と予報値との100kmスケール以上もしくは100kmスケール以下の風向のずれであることを示した。

論文

Spatial variations in radiocesium deposition and litter-soil distribution in a mountainous forest catchment affected by the Fukushima nuclear accident

安藤 麻里子; 小嵐 淳; 都築 克紀; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 武藤 琴美*; 松永 武*

Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106725_1 - 106725_8, 2021/11

 被引用回数:3 パーセンタイル:13.15(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故により周辺の森林域は$$^{137}$$Csで汚染された。複雑な山地地形における$$^{137}$$Cs沈着量の空間分布を明らかにするために、小河川集水域全域において一定間隔で土壌試料を採取した。土壌試料は2013年夏に42地点、2015年春に6地点において、有機物層と鉱物土壌層に分けて採取した。2013年の$$^{137}$$Cs蓄積量は高度と斜面方位に関連した大きな空間変動を示した。有機物層の$$^{137}$$Cs残留率は6%から82%と場所により大きく変動し、有機物層の量及び高度と正の相関を示した。しかし、有機物層の$$^{137}$$Cs残留率が55%以上であった地点においても、2015年には20%以下に低下しており、沈着から4年後までに多くが鉱物土壌層に移行し、粘土鉱物と結合することで移動性が低下していることが明らかになった。本研究ではまた、$$^{137}$$Cs蓄積量と同じ地点で測定した空間線量率を比較し、正の直線関係を得た。この関係式と前報において同じ集水域で測定した3,797点の空間線量率のデータを用いて、全集水域の$$^{137}$$Cs沈着量を推定した。

論文

Validity of the source term for the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Station accident estimated using local-scale atmospheric dispersion simulations to reproduce the large-scale atmospheric dispersion of $$^{137}$$Cs

門脇 正尚; 古野 朗子; 永井 晴康; 川村 英之; 寺田 宏明; 都築 克紀; El-Asaad, H.

Journal of Environmental Radioactivity, 237, p.106704_1 - 106704_18, 2021/10

AA2020-0871.pdf:23.67MB

 被引用回数:5 パーセンタイル:18.34(Environmental Sciences)

本研究では、局所規模の大気拡散シミュレーションと観測から推定した福島第一原子力発電所(1F)事故の$$^{137}$$Csのソースタームの、大規模の大気拡散に対する妥当性を確認することを目的として、大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを用いた半球スケールの大気拡散シミュレーションと海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを用いた海洋拡散シミュレーションを実施した。大気拡散シミュレーションの結果は、観測値の$$^{137}$$Csの大気中濃度を一部過大評価したものの、全体として観測値を良好に再現した。また、海洋拡散シミュレーション結果は、北太平洋で観測された$$^{137}$$Csの海水中濃度を過小評価した。本研究では、大気拡散シミュレーションから得られた$$^{137}$$Cs沈着量を海洋拡散シミュレーションで用いており、$$^{137}$$Csの海水中濃度の過小評価は海洋へ沈着した$$^{137}$$Csが少なかったことが原因だと示された。大気拡散シミュレーションに用いた降水の再現性を向上させることで、$$^{137}$$Csの大気中濃度の過大評価と海水中濃度の過小評価をそれぞれ改善することができると考えられ、本研究で検証されたソースタームは、1F事故による$$^{137}$$Csの局所規模の大気拡散シミュレーションと大規模の大気拡散シミュレーションの両方で有効であることが示された。

報告書

北朝鮮地下核実験対応のためのWSPEEDI-II自動計算システムの移管と運用

根本 美穂*; 海老根 典也; 岡本 明子; 保坂 泰久*; 都築 克紀; 寺田 宏明; 早川 剛; 外川 織彦

JAEA-Technology 2021-013, 41 Pages, 2021/08

JAEA-Technology-2021-013.pdf:2.52MB

北朝鮮が地下核実験を実施した際には、原子力緊急時支援・研修センター(支援・研修センター)は、原子力規制庁からの要請に基づき、国による対応への支援活動として、原子力基礎工学研究センター(基礎工センター)の協力を得て、WSPEEDI-IIを用いて放射性物質の大気拡散予測計算を実施し、予測結果を原子力規制庁に提出する。本報告書は、北朝鮮地下核実験対応に特化するために基礎工センターで開発され、平成25年(2013年)2月から平成29年(2017年)9月までに実施された3回の地下核実験対応に使用されたWSPEEDI-II自動計算システムの支援・研修センターへの移管と整備について記述する。また、移管・整備した自動計算システムに関するその後の保守と運用について説明するとともに、北朝鮮地下核実験対応における今後の課題について記述する。

論文

Atmospheric-dispersion database system that can immediately provide calculation results for various source term and meteorological conditions

寺田 宏明; 永井 晴康; 田中 孝典*; 都築 克紀; 門脇 正尚

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(6), p.745 - 754, 2020/06

 被引用回数:10 パーセンタイル:70.35(Nuclear Science & Technology)

世界版緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIを用いて福島第一原子力発電所事故時に放出された放射性物質の放出源情報と大気拡散過程の解析を実施してきた。この経験に基づき、原子力緊急時の様々なニーズに対応し緊急時対応計画に有用な情報を提供可能な大気拡散計算手法を開発した。この手法では、原子力施設のような放出地点が既知の場合、放出源情報を特定せず事前に作成しておいた拡散計算結果のデータベースに、提供された放出源情報を適用することで、即座に予測結果を取得することが可能である。この機能により、様々な放出源情報を適用した計算結果と測定データの容易な比較と最適な放出源情報の探索が可能である。この解析手法は、福島事故の放出源情報の推定に適用された。この計算を過去の気象解析データを用いて実施することで、様々な放出源情報と気象条件に対する拡散計算結果を即座に取得することが可能となる。このデータベースは、環境モニタリング計画の最適化や、緊急時対応計画において想定すべき事象の理解等の事前計画に活用可能である。

論文

Refinement of source term and atmospheric dispersion simulations of radionuclides during the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident

寺田 宏明; 永井 晴康; 都築 克紀; 古野 朗子; 門脇 正尚; 掛札 豊和*

Journal of Environmental Radioactivity, 213, p.106104_1 - 106104_13, 2020/03

 被引用回数:65 パーセンタイル:92.95(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故(特に測定値が利用できない事故初期)の公衆の被ばく線量評価には、大気輸送・拡散・沈着モデル(ATDM)シミュレーションによる放射性核種の環境中時間空間分布の再構築が必要である。このATDMシミュレーションに必要な放射性物質の大気中への放出源情報が多くの研究で推定されてきた。本研究では、ベイズ推定に基づく最適化手法により、これまでに推定した放出源情報とATDMシミュレーションの改善を行った。最適化では、新たに公開された大気汚染測定局で収集された浮遊粒子状物質(SPM)分析による$$^{137}$$Cs大気中濃度を含む様々な測定値(大気中濃度,地表沈着量,降下量)を使用し、拡散計算と測定の比較結果のフィードバックにより放出源情報だけでなく気象計算も改善させた。その結果、ATDMシミュレーションはSPM測定点の大気中濃度と航空機観測による地表沈着量を良く再現した。さらに、最適化放出率とATDMシミュレーションにより主要核種の大気中および地表における時間空間分布(最適化拡散データベース)を構築した。これは、避難者の行動パターンと組み合せた包括的な線量評価に活用される。

報告書

北朝鮮による地下核実験に対する大気拡散予測の対応活動

石崎 修平; 早川 剛; 都築 克紀; 寺田 宏明; 外川 織彦

JAEA-Technology 2018-007, 43 Pages, 2018/10

JAEA-Technology-2018-007.pdf:5.67MB

北朝鮮が地下核実験を実施した際、原子力緊急時支援・研修センターは、原子力規制庁からの要請に基づき、国による対応への支援活動として、原子力基礎工学研究センターの協力を得て、WSPEEDI-IIシステムを用いて放射性物質の大気拡散予測計算を実施し、予測情報を原子力規制庁に提出する。本報告書は、北朝鮮による地下核実験に対する国及び原子力機構の対応体制を説明するとともに、平成28年9月及び平成29年9月に実施された5回目及び6回目の地下核実験を主たる対象として、原子力緊急時支援・研修センターが実施した大気拡散予測に関する一連の対応活動を記述する。さらに、予測計算に使用した計算プログラムシステムの概要について説明するとともに、北朝鮮地下核実験対応における今後の計画と課題を記述する。

報告書

過去解析から短期予報まで任意の期間及び放出源情報に対する大気拡散計算結果を即座に提供可能な大気拡散データベース計算手法の開発(共同研究)

寺田 宏明; 都築 克紀; 門脇 正尚; 永井 晴康; 田中 孝典*

JAEA-Data/Code 2017-013, 31 Pages, 2018/01

JAEA-Data-Code-2017-013.pdf:9.52MB

原子力緊急時の様々な大気拡散予測のニーズに対応するとともに、事前の環境モニタリング等の事故対応計画の策定に有効な情報をデータベースとして整備することが可能な大気拡散計算手法の開発を行った。本手法では、放出源情報のうち放出点以外の放射性核種、放出率、及び放出期間を特定することなく拡散計算を実施してデータベース化しておき、放出源情報を与えた際にその条件に基づく予測結果を即座に得ることが可能である。この計算を気象解析・予報データの更新に合わせて定常的に実行し、過去から数日先までの連続的なデータベースを整備することで、過去解析から短期の将来予測まで任意の期間及び放出源情報に対する計算結果を即座に作成可能である。この機能は、過去の様々な気象条件に対する拡散解析結果の分析により、モニタリング計画の最適化等の事前計画の立案に利用できる。また、様々な仮想放出源情報を用いた拡散解析により、緊急時対策を検討する上で想定すべき事象の把握が可能である。さらに、本手法に基づきモニタリング結果から放出源情報を逆推定して放射性物質の時空間分布を再現することで、モニタリングの補完として活用可能である。

論文

Sources of $$^{137}$$Cs fluvial export from a forest catchment evaluated by stable carbon and nitrogen isotopic characterization of organic matter

武藤 琴美; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 都築 克紀; 松永 武*

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 314(1), p.403 - 411, 2017/10

 被引用回数:16 パーセンタイル:80.22(Chemistry, Analytical)

福島第一原子力発電所事故により森林に沈着した放射性Csが河川を通して流出することで、下流の市街地や農地への汚染が長期間続くことが懸念されている。本研究では、森林から河川への放射性Cs流出挙動を評価するために、落葉広葉樹林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し、事故の半年後から4年間調査を行った。河川中の放射性Csを懸濁態と溶存態に分けて採取し、懸濁態は粒径ごとに分画した。また、河川中の懸濁物と土壌について、炭素及び窒素の量と同位体比を分析し比較した。その結果、放射性Csの主要な流出形態は粒径75$$mu$$m以下の懸濁態であり、分解の進んだリターと鉱物土壌を起源としていることが明らかになった。また、リター分解を起源とする溶存態Csの流出量も無視できないことが分かった。リターから土壌への放射性Csの移行が進んでいることから、今後、溶存態による河川流出は数年で減少する一方、懸濁態による河川流出は長期間継続することが示唆された。

論文

Updating source term and atmospheric dispersion simulations for the dose reconstruction in Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident

永井 晴康; 寺田 宏明; 都築 克紀; 堅田 元喜; 太田 雅和; 古野 朗子; 朱里 秀作

EPJ Web of Conferences, 153, p.08012_1 - 08012_7, 2017/09

 被引用回数:3 パーセンタイル:83.83(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所の事故時に放出された放射性物質による住民の被ばく線量を評価するために、計算シミュレーションにより放射性物質の時間空間分布を再構築する。本研究では、放出源情報の精緻化及び大気拡散シミュレーションの高精度化により、放射性物質大気濃度・沈着量の時間空間分布データベースを開発し、住民の行動パターンや移行モデルと組み合わせた推計に活用する。大気拡散シミュレーションの改良としては、新規気象モデルの導入と沈着過程の精緻化を行った。改良モデルは、東日本スケールにおける$$^{137}$$Csの沈着分布を良好に再現したが、福島第一原子力発電所近傍では沈着分布の再現性が低下した。この結果は、放出源情報を改良モデルシミュレーションに対して最適化することにより、さらなる精緻化が必要であることを示している。

論文

Year-round variations in the fluvial transport load of particulate $$^{137}$$Cs in a forested catchment affected by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident

松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 武藤 琴美; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 310(2), p.679 - 693, 2016/11

AA2015-0821.pdf:3.78MB

 被引用回数:6 パーセンタイル:45.92(Chemistry, Analytical)

福島第一原子力発電所事故に由来する放射性Csの森林集水域からの流出挙動とその変動要因を解明するために、渓流水中の懸濁態放射性Csの流出量を2012年から2年間連続して測定した。懸濁態$$^{137}$$Csの流出は、流域からの懸濁物質の流出と密接な関係があり、降雨量の多い8-9月に増加した。$$^{137}$$Csは懸濁物質中の粘土鉱物に強く結びついており、流下中に水中に溶存しないことが、鉱物同定及び抽出実験の結果より示唆された。また、単位懸濁物質量あたりの$$^{137}$$Cs濃度は、2012年から徐々に低下していた。これらの結果より、懸濁態$$^{137}$$Csの流出量は、降雨量に関連した懸濁物質量の変動と、懸濁物質中の$$^{137}$$Cs濃度の経年変化の両方の影響を受けて変化していることが明らかとなった。

論文

懸濁態及び溶存態Csの森林から河川への流出とその変化傾向

武藤 琴美; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 西村 周作; 小嵐 淳; 都築 克紀; 中西 貴宏; 松永 武

KEK Proceedings 2015-4, p.252 - 257, 2015/11

福島第一原子力発電所事故により大気中に放出された放射性Csの多くは森林に沈着し、現在も残留している。本研究では森林から河川への放射性Csの流出挙動を評価するために、北茨城市の森林を集水域とする小河川に放射性Csの連続捕集装置を設置し調査を行った。放射性Csは粒径の異なる懸濁態と溶存態Csに分け、それぞれについて流出挙動を評価した。調査期間は2012年12月から2014年11月である。懸濁物はカートリッジフィルターを用いて捕集し、粒径毎に4種類(2000$$mu$$m以上, 500-2000$$mu$$m, 75-500$$mu$$m, 75$$mu$$m以下)に篩別した。溶存態はCs吸着剤を充填したカラムに通水させ捕集した。フィルター及びカラムの交換は約1ヶ月毎に行い、各試料は乾燥させてGe半導体検出器で$$gamma$$線測定を行った。調査の結果、流量の増加が懸濁態・溶存態$$^{137}$$Csの流出量に影響を与えることが明らかになった。粒径別に見ると、懸濁態全体に対する流出量の割合は粒径75$$mu$$m以下のものが最大だったが、流量が特に多い期間に粒径75-2000$$mu$$mの比較的大きな粒子が増加した。流出量全体では懸濁態の割合が多いが、冬期は溶存態の割合が増加する傾向が見られた。

論文

Catchment-scale distribution of radiocesium air dose rate in a mountainous deciduous forest and its relation to topography

安藤 麻里子; 小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 松永 武

Journal of Environmental Radioactivity, 147, p.1 - 7, 2015/09

AA2014-0585.pdf:2.18MB

 被引用回数:27 パーセンタイル:59.80(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故起源の放射性Csにより汚染を受けた山間地の小河川集水域を対象として、空間線量率分布を詳細に測定した。GPS連動型放射性自動計測システムKURAMA-IIを用いた連続測定及びNaIサーベイメーターを用いた一定間隔毎の測定により、山間地での空間線量率と地形との関係を明らかにした。2013年8-9月に測定した空間線量率は、標高の高い東向きの斜面で高く、谷と西向きの斜面で低い値を示した。また、狭い範囲であっても斜面方位の違いにより空間線量率が大きく異なっており、空間線量率分布が地形と密接に関連していることが明らかとなった。山間部における線量の評価や放射能の蓄積量の推定においては、その空間分布を考慮することが重要であることが示された。

論文

Increase in rare earth element concentrations controlled by dissolved organic matter in river water during rainfall events in a temperate, small forested catchment

松永 武; 都築 克紀; 柳瀬 信之; Kritsananuwat, R.*; 半澤 有希子; 長縄 弘親

Journal of Nuclear Science and Technology, 52(4), p.514 - 529, 2015/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:37.04(Nuclear Science & Technology)

降雨時の溶存希土類元素の河川水中の様態をTRU元素のアナログとして研究した。溶存希土類元素(REE)濃度は、降雨時の河川流量の増減と連動して増減した。このREE濃度の変動は、溶存有機物中の腐植物質の特性である紫外吸光度、蛍光強度の変動と強く関係していた。そして、コロイド態で存在するREEの中の10kから30k Daltonの成分が、降雨時のREE濃度の増加に最も寄与していることが明らかとなった。さらに、溶存REE濃度の増加は、有機物濃度の規格化紫外吸光度(SUVA)と相関が高い。SUVAは溶存腐植物質の芳香族性を代表するので、本研究で見いだされた降雨時のREE濃度の増加現象には、官能基を多く有することを意味する溶存腐植物質の芳香族性が根底にあることが示唆された。

論文

A Passive collection system for whole size fractions in river suspended solids

松永 武; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 竹内 絵里奈; 都築 克紀; 西村 周作; 小嵐 淳; 乙坂 重嘉; 佐藤 努*; 長尾 誠也*

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(2), p.1291 - 1295, 2015/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:23.92(Chemistry, Analytical)

河川中の懸濁物に含まれる放射性核種を研究する目的で、従来にない簡便な受動型の捕集方法を開発し、実証した。これは複数のカートリッジフィルターを備えた大型ホルダーを用いるものである。河川水は河床勾配を利用して、上流からホースによりフィルタホルダーに自然に導く。この方法により、長期にわたる無人捕集が可能になる。従来法に比較して大きな量(数十グラム以上)を捕集することになるので、通例の放射性核種濃度分析に加えて、懸濁物の特性分析も行うことができる長所を持つ。この手法は、懸濁物に含まれる化学物質の研究にも利用できるであろう。

論文

Temporal variations in metal enrichment in suspended particulate matter during rainfall events in a rural stream

松永 武; 都築 克紀; 柳瀬 信之; Kritsananuwat, R.*; 上野 隆; 半澤 有希子; 長縄 弘親

Limnology, 15(1), p.13 - 25, 2014/01

 被引用回数:10 パーセンタイル:31.88(Limnology)

久慈川水系の山地小河川における重金属の降雨時流出を研究した。河川水中懸濁粒子に関して地殻組成で規格化した重金属元素の富加(enrichment)の傾向は、同水系の末端で採取した大気降下物と類似していた。特に、Ni, Cu, Pb, Sb, and Cdについて高い富加(enrichment)が見いだされた。降雨時の短時間間隔観測の結果、その富加(enrichment)の程度が、流量の増大とともに小さくなることがわかった。河川水中懸濁粒子の特性を考慮すると、この富加(enrichment)の変動は、大気降下物の影響をより強く受けている表層土壌粒子から、この影響の弱い岩石由来の風化物粒子への交替により起きていることが示唆される。以上から、河川流出に関する大気降下物由来並びに岩石由来重金属の相対的重要度を評価するには、河川水中懸濁粒子を構成する材料の時間的な交替と、溶存態の関与を考慮する必要がある。

報告書

北朝鮮による地下核実験に備えた放射性物質の拡散予測体制の構築と実対応

中西 千佳; 佐藤 猛; 佐藤 宗平; 永井 晴康; 掛札 豊和; 堅田 元喜; 都築 克紀; 池田 武司; 奥野 浩; 山本 一也; et al.

JAEA-Technology 2013-030, 105 Pages, 2013/10

JAEA-Technology-2013-030.pdf:29.0MB

原子力緊急時支援・研修センター及び原子力基礎工学研究部門は、文部科学省からの要請に基づき、北朝鮮による三回目の地下核実験に対するモニタリング計画の策定に資する目的から、WSPEEDI-IIを用いた放射性物質の放出を仮定した拡散予測を行った。これらの予測結果は、平成25年2月12日から22日までの毎日、文部科学省及び防衛省に提供し、文部科学省のホームページにて公開された。一方、両部門では、平成24年4月から平成25年3月までの11か月間、夜間・休日を含め、地下核実験の実施に備えた体制の維持に努めた。本報では、これらの一連の対応の概要及び得られた課題について整理した。

69 件中 1件目~20件目を表示