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津田 修一; 佐藤 達彦; 小川 達彦
JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 141, 2016/09
イオンビームに対する生物学的効果を評価する上で、生体中でのイオンビームの飛跡およびその近傍における詳細なエネルギー付与分布は重要なデータである。本研究では、PHITSに組み込まれている最新の生物学的線量評価モデルのエネルギー付与分布計算の精度検証を行うため、高崎量子応用研究所TIARAで 壁なし型組織等価比例計数管にペンシル状のビームを照射し、径方向の線エネルギー()分布データおよびの線量平均値()を取得した。その結果、PHITSによる計算結果は測定した分布をよく再現することがわかった。また30MeV陽子は、陽子より重いイオンの場合と異なり、ビーム軸上で値は最小となり、ビーム軸に対する垂直面の径方向の距離とともに緩やかに増加した。これは陽子ビームと二次的に生成されるデルタ線の阻止能がほぼ等しいことに起因するためであり、約30MeV以上の陽子ビームでは飛跡構造がほぼ一様であることを実験的に示した。
大島 康宏; 花岡 宏史*; 鈴木 結利花*; 山口 藍子*; 渡辺 茂樹; 上原 知也*; 永森 收志*; 金井 好克*; 石岡 典子; 対馬 義人*; et al.
no journal, ,
本研究では、より生体内安定性の高いBr標識アミノ酸として、新たに2-Br-bromo--methyl-L-phenylalanine (2-Br-BAMP)を合成し、新規PETイメージング薬としての有用性について検討した。放射性Br(Br及びBr)はセレン化銅ターゲットに対してプロトンビーム(20MeV)を照射することで製造した。Brは半減期16.2時間の陽電子放出核種であることからPETイメージングに使用し、Brは半減期57.1時間の線放出核種であることから基礎検討に使用した。酸化剤存在下において、放射性Brと標識前駆体(2-trimethylstannyl-N-trifluoroacetyl--methyl-L-phenylalanine methyl ester)を反応させ、2-Br-BAMP及び2-Br-BAMPを合成した。HPLC分析の結果、標識率52.611.9%、放射化学的純度95%以上で2-Br-BAMPの合成が可能であった。血清及びマウス体内における2-Br-BAMPの分解はほとんど認められず、非常に高い安定性を示した。体内分布では、2-Br-BAMPは癌へ高度に集積する一方、血中からの消失は早く、投与放射能の90%以上が6時間以内に尿中に排泄され、正常臓器へ非常に低い集積を示した。さらに2-Br-BAMPを用いてPET撮像を行った結果、癌を明瞭にイメージングすることができた。これらの結果より、2-Br-BAMPの新規PETイメージング薬としての有用性が示唆された。
小川 達彦; 八巻 徹也; 佐藤 達彦
no journal, ,
陽子や重イオンの照射による材料の物性変化は、放射線施設の管理や産業応用で重要なため、精力的な研究が進められている。物性変化は、入射粒子によりナノからマイクロメートル程度の空間にエネルギーが沈着され、材料の化学結合が変化することで起こると考えられ、吸収線量が照射効果の指標として用いられてきた。しかし吸収線量やLET(線エネルギー付与)が同じでも、入射粒子の線種によって物性変化が異なる事例も知られている。放射線輸送計算コードPHITSは、微細空間におけるエネルギー沈着を計算する機能を持ち、LETの他に比エネルギー沈着(Specific energy deposition)など を計算できる。Specific energy depositionを用いてエネルギー沈着と化学変化の関係を分析することで、物性変化の線種依存性を説明できると考え、先行研究の実験条件に適用した。合成樹脂の一種であるポリエーテルスルホンに、陽子・ヘリウム・炭素イオンを照射した際の引っ張り破断伸び(強度)低下を、Specific energy depositionを基に推定したところ、同じ吸収線量でも陽子やヘリウムによる引っ張り破断伸びの低下は、炭素イオンによる値の半分弱になるという実験結果をよく説明できた。また、分子鎖の破断がランダムな位置で起こるという簡単な仮定から、線量に対する引っ張り破断伸びの低下の飽和性も説明できた。
武内 伴照; 大塚 紀彰; 柴田 裕司; 上原 聡明; 土谷 邦彦
no journal, ,
水中でも伝送可能かつ耐放射線性をもつ可視光無線伝送システムの構築を目指して、発光素子の耐放射線性を調べるため、ピーク発光波長が異なる3種類の表面実装型LED対して線照射効果を調べた。その結果、電流電圧特性は照射前後でほとんど変化しなかった。一方、全光束は照射初期に急激に減少し、その後は緩やかに減少した。また、吸収線量に対する全光束の減少速度は、発光波長が短いほど大きかった。照射後の外観から、全てのLEDについて照射前の色に関係なく照射後はレンズ部が黄色に着色したことから、線照射によってレンズ樹脂内に色中心が生成し光吸収が起きていることが示唆された。同様の傾向は、レンズ部の着色が全光束減少の主因であると示唆された砲弾型LEDでも確認されている。したがって、表面実装型LEDにおいても全光束の減少は、LED半導体部分の劣化ではなく、レンズ部の着色によるものであると考えられる。
鈴井 伸郎; 丸山 哲平*; 河地 有木; 三輪 睿太郎*; 樋口 恭子*; 藤巻 秀
no journal, ,
高等植物にとってナトリウムイオン(Na)は有害元素である。我が国の主要な穀物であるイネはNaによる塩ストレスに弱いのに対し、同じイネ科に属する野生植物ヨシは高い耐塩性を持つ。本研究では、ヨシの耐塩性機構を明らかにすべく、ナトリウムの放射性トレーサであるNaとポジトロンイメージング技術を用いて、ヨシとイネにおけるNaの動態を直接可視化することを試みた。生きたヨシとイネの根に500700kBqのNaと50mMの非放射性のNaClを含む水耕液を投与し、Naが植物の地上部へ移行する過程を撮影したところ、ヨシではNaが茎のつけねに集まり、それより上の茎や葉にはほとんど移行しないのに対し、イネではNaが留まることなく上方の葉に移行していた。その後、水耕液中からNaだけを抜き、植物体内のNaが他の部位に移行する過程を追跡したところ、イネでは根の中のNaが上方の葉に移行し続けていたのに対し、ヨシではNaが根の先端方向に向かって約0.5cm/hの速度で移行していた。これらの結果から、「根から吸収したNaを茎のつけねから下方に送り返すことにより、地上部のNa濃度を低く保つ」というヨシの耐塩性機構が明らかとなった。今後はヨシ特有の耐塩性機構に関わる遺伝子を同定し、それをイネに導入することにより、Naを地上部に移行させない、耐塩性の高いイネ品種の作出を目指す。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所における汚染水処理に伴い、多核種除去設備(以下、ALPS)から発生する凝集沈殿スラリーは線放出核種を含む多量の放射性核種を含有しており、処分のため作製する固化体への放射線影響が懸念されている。したがって、処分時の安全性の観点から、固化体中の水の放射線分解による水素ガスの発生を評価しておくことが重要である。本件では、凝集沈殿スラリー(鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリー)の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線を模擬した電子線照射を行い、水素ガスの発生量を調査した。結果、鉄共沈スラリー固化試料では炭酸塩スラリー固化試料と比較して水素の発生量が少なく、廃棄物に含まれる構成成分が電子線照射時の水素ガス発生量に影響を与えていることが示唆された。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所における多核種除去設備(以下、ALPS)から発生している凝集沈殿スラリーや吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件では、凝集沈殿スラリー(鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリー)とチタン系吸着材(酸化チタン及びチタン酸ナトリウム)の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線の照射試験を行い、水素ガス発生のG値及び固化試料の含水率を調査した。結果、模擬スラリー固化試料はチタン系吸着材固化試料と比較して、水素ガス発生のG値と固化試料の含水率がいずれも大きくなった。また、模擬スラリー固化試料では、固型化材の違いによるG値への影響も観察された。このことから、廃棄物や固型化材に含まれる構成成分が水素ガスの発生に寄与していることが推察された。
上松 敬; 宇野 定則; 花屋 博秋; 山縣 諒平; 清藤 一; 長尾 悠人; 山崎 翔太; 川島 郁男*; 八木 紀彦*; 高木 雅英*; et al.
no journal, ,
平成26年度は、線照射施設は順調に稼働したが、電子加速器は頻発した故障のため稼働率は60%であった。運転時間は、電子加速器では746時間、コバルト第1棟では19,907時間、コバルト第2棟では13,831時間、食品棟では7,293時間であった。東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する復興対応関連課題については、電子加速器では35回、線照射施設で172回の利用があった。主要なメンテナンスについては、電子加速器では高電圧絶縁支柱故障修理、絶縁ガス漏れ修理、SFガスの精製など、コバルト2棟では定期整備、食品棟では線源の補充をそれぞれ行った。
丹野 敬嗣; 岡 弘; 大塚 智史; 矢野 康英; 皆藤 威二
no journal, ,
原子力機構では高速炉の先進燃料被覆管候補材料として9Cr/11Cr-ODS鋼の開発を進めている。9Cr-ODS鋼については700C照射における酸化物粒子の照射下安定性を、Cr量の高い11Cr-ODS鋼については400C照射による'相形成とそれによる延性低下の有無を確認する必要がある。そこで本研究ではFeイオン照射を用いて短期間で上記特性の照射量依存性の傾向を得ることを目的とした。試料は完全プレアロイ法で作製した9Cr-ODS鋼と11Cr-ODS鋼の焼きならし・焼戻し(NT)材および徐冷(FC)材であり、400および700Cで最大150dpaまで照射し、微小押し込み硬さ試験にて(延性の指標として)照射硬化を評価した。400C照射では照射硬化は1GPa前後で飽和する傾向を示したものの、9Cr/11Cr-ODS鋼の挙動はほぼ同じであり、照射後延性に対するCr量増加の影響は有意でないと考えられる。700C照射では、9Cr/11Cr-ODS鋼ともに顕著な照射軟化はみられず、強度を担保する酸化物の分解や粗大化は80dpaまで起こっていないと考えられる。
尹 永根; 鈴井 伸郎; 河地 有木; 石井 里美; 長谷 純宏; 藤巻 秀
no journal, ,
放射性セシウムの土壌溶液から植物の根への吸収、さらに可食部位への移行を解析・評価するために、植物用ガンマカメラ技術の開発を行ってきた。本研究では、イオンビーム育種技術を活用して新規に獲得したセシウム低吸収イネの候補系統に対し、ガンマカメラを用いて植物体内の放射性セシウムの移行を撮像し、定量的な評価を行った。通常のイネ(コシヒカリ)とイオンビーム育種技術で獲得したセシウム低吸収候補系統のイネ(低312-8)の地上部に対し、ガンマカメラを用いて撮像を行った結果、放射性セシウムの地上部への移行が、通常のコシヒカリでは撮像開始6時間後に始まるのに対し、セシウム低吸収候補イネである低312-8では撮像開始後12時間以降に始まり、低312-8のほうがコシヒカリに比べて遅いことが分かった。撮像開始90時間後の地上部全体への放射性セシウムの移行量は、コシヒカリのほうが低312-8に比べて約1.8倍と多く、特に、基部付近の蓄積量が多いことが分かった。また、基部における放射性セシウムの蓄積速度を算出したところ、低312-8のほうがコシヒカリの約64%であることが分かった。これらの結果から、低312-8では、セシウムの輸送に関わる遺伝に変異が起こっている可能性が示唆された。今後、引き続きほかの変異候補のイネも含め、ガンマカメラによる評価を行う予定である。
井上 利彦; 山下 真一郎; 山県 一郎; 皆藤 威二; 井岡 郁夫
no journal, ,
高Ni鋼は、良好な耐スエリング特性を有していることから燃料被覆管材料として開発されている一方、照射や高温熱時効に伴う延性の低下が課題であり、'(Ni(Ti, Al))析出物の粗大化や粒界での再析出が延性低下の要因の一つとされている。これら課題を克服するため、原子力機構ではNimonic PE16で利用している'析出型とは異なる炭窒化物析出型の高Ni鋼(15Cr-35Ni鋼)と、'よりも安定と考えられる"(NiNb)を加えた'/"析出型の高Ni鋼(15Cr-43Ni鋼)の2鋼種を開発し、特性評価を進めている。本研究では、耐スエリング特性や照射下での微細組織安定性の評価を目的として、系統的な条件での照射試験が可能な原子力機構高崎量子応用研究所イオン照射施設(TIARA)にてイオン照射を行った。平成25年度までに照射温度550650C、照射量100dpa及び照射温度700C、照射量250dpaの照射データを取得しており、平成26年度には、15Cr-35Ni鋼の加工熱処理条件を最適化して10%冷間加工を追加工した鋼種を評価対象に加え、冷間加工による高転位密度が照射欠陥のシンクサイトとして有効に働き、耐スエリング特性が改善することを確認した。
広田 耕一
no journal, ,
日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所は、放射線を利用した材料開発、環境保全及びバイオ・医療応用技術等の研究及び産業利用を目的とした機構内外の様々なニーズに対応するため、サイクロトロン, タンデム加速器, シングルエンド加速器, イオン注入装置の四つの加速器を有するイオン照射施設の他、電子線照射施設と線照射施設を大学, 国立研究機関, 民間企業の外様々な分野の研究者に開放している。原子力機構外の研究者等がこれらの施設を利用できる三つの制度(先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業、施設供用制度、機構内共同研究(共同研究と連携重点研究))の目的及び特徴を概説するとともに、先端研究基盤共用・プラットフォーム形成事業を中心とした技術支援の概要を紹介する。
前川 雅樹; 河裾 厚男
no journal, ,
酸化亜鉛(ZnO)は、Niを添加することで強い磁気効果を発現することが知られており、希薄磁性半導体のベース材料として注目されている。しかし磁性の起源は明確ではなく、磁性原子であるNi原子のZn置換、Niナノクラスタ析出、ZnOの格子欠陥など様々なモデルが提唱されている。我々はZnO格子欠陥と磁性の関係を明らかにすることを目的として、ZnOにNiを添加すべく作製したZnO/NiO粉末混合焼結体に対し、格子欠陥と電子スピンの両方を同時に検出できるスピン偏極陽電子消滅法を適用した。陽電子線源にはTIARAサイクロトロンで生成した高スピン偏極陽電子(偏極率70%)を放出するGe-68線源を用いた。Ni添加量が最も多くなる50%の試料について、1T磁場を印加しながら磁場反転に対する消滅線エネルギー分布の変化を調べたところ、明瞭な変化は見られなかった。これは陽電子が捕獲されるバルク内部の格子欠陥には磁性を誘起する電子スピンは存在しないことを示唆している。
栗田 圭輔; 河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀
no journal, ,
農作物において、放射性セシウムの吸収・移行といった動態メカニズムを解明することは、Csの収穫部位への蓄積、人体摂取のリスクを低減させる上で非常に重要である。このため、植物体内のCs動態をイメージングする技術の開発が望まれている。しかし、従来の技術でCsのイメージングを行う場合、線の持つ強い透過力により像がぼやけ、非接触計測で得られる空間分解能には物理的な限界があった。そこで我々は、チェレンコフ光を利用したイメージング手法に着目し、放射性セシウム動態研究に有効な植物チェレンコフイメージング技術の開発と、その性能評価を行った。点線源を撮像した結果から、放射能と画像強度との間に、測定の範囲内で良好な直線性が確認できた。さらに、Csを含んだダイズ撮像した結果、CCDカメラを用いてチェレンコフ光を撮像することで、ダイズ植物の地上部・地下部に含まれるCsを画像化できることがわかった。
石井 里美; 山崎 治明*; 鈴井 伸郎; 尹 永根; 河地 有木; 島田 浩章*; 藤巻 秀
no journal, ,
トマトの生産性の向上のためには、温室等で栽培環境を制御し、炭素栄養の転流率を増加させる必要がある。このために、高濃度のCOを施用する方法が用いられているが、二酸化炭素濃度に対する転流率の応答を定量的に評価することは技術的に困難であった。そこで、本研究では、炭素11(半減期: 20分)で標識した二酸化炭素とポジトロンイメージング技術を用いて、同一個体のトマトにおける異なる二酸化炭素濃度での炭素動態を可視化し、二酸化炭素濃度の上昇に対する炭素の固定量と転流率の応答を解析した。
河地 有木; 尹 永根; 鈴井 伸郎; 石井 里美; 吉原 利一*; 渡部 浩司*; 山本 誠一*; 藤巻 秀
no journal, ,
作物中の必須元素や環境汚染物質の動態を撮像する植物RIイメージング技術を用いて、原子力発電所事故後の放射性セシウムによる作物への汚染メカニズムを解明するため、これを撮像する放射線イメージング装置の開発を行ってきた。そこで、Csから放出された662keV高エネルギー線に対応する、タングステン製ピンホールコリメータを備えたガンマカメラを開発した。これまで、このガンマカメラを用いた植物RIイメージング実験を行ったところ、その特徴的なCs動態が明らかになり、この有用性が示された。本発表では、開発の過程で行ったガンマカメラの性能評価の詳細と、そこで明らかになってきた技術的な課題の克服に向けたピンホールコリメータの改良すべき点などについて議論する。
中原 里紗; 花屋 博秋; 広田 耕一; 根岸 光治; 春山 保幸; 瀧澤 春喜; 蔀 健次
no journal, ,
「施設供用」制度は、原子力機構が保有する原子力施設・設備を公共財として位置づけ、機構内に限らず外部の利用にも広く供するため設けている有償の施設利用制度である。研究開発を目的とした利用を対象に年2回、利用課題の定期公募を行っている。公募区分としては「成果公開」及び「成果非公開」があり、成果公開課題については機構内に設置されている専門部会で審査を行い、採択された課題は利用料金の一部が免除される。成果非公開課題は、実施の可能性等の検討のみで課題の審査は行わず基本の利用料金を徴収する。
花屋 博秋; 広田 耕一; 瀧澤 春喜; 春山 保幸; 金子 広久*; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 浅井 孝博*; 嵯峨 桂助*; 川畑 道子*
no journal, ,
高崎量子応用研究所のイオンビーム照射研究施設(TIARA)の平成26年度の利用状況を報告する。照射利用運転はほぼ年間運転計画どおりに行われ、原子力機構内外の研究利用に供した。4台の加速器の平成22年度から平成26年度の5年間における研究分野別の利用時間の推移については、サイクロトロンでは基盤技術開発分野及び施設供用等外部利用が近年増加傾向にある一方で、静電加速器では研究分野の比率は大きく変わらず、基盤技術開発分野が50%を占めた。また、福島第一原子力発電所事故対策に係る課題など、福島復興に貢献する課題が実施された。
佐藤 勝也; 上田 涼史郎*; 長谷 純宏; 大野 豊; 鳴海 一成*
no journal, ,
放射性セシウムの効率的な回収に資するため、デイノコッカス・ラジオデュランスにイオンビーム誘発突然変異育種技術を活用し、遺伝子組換え技術に依存しない方法で、セシウム蓄積能の向上した突然変異体を創成することを目的とした。イオンビーム照射により作出した突然変異集団から、それぞれ菌体内セシウム蓄積と細胞増殖の指標として、セシウム蓄積変異株候補株を選抜した。その結果、突然変異集団から、野生株よりも2倍以上のセシウム蓄積能を有するセシウム蓄積変異株候補株を33株選抜した。選抜したセシウム蓄積変異株候補株について、さらに詳細なセシウム蓄積能及び線に対する耐性を評価する必要があるが、イオンビーム照射技術によって作出したこれらの変異株は、バイオレメディエーションの供試菌としての利用が期待できる。
上田 涼史郎*; 佐藤 勝也; 大野 豊; 林 秀謙*; 鳴海 一成*
no journal, ,
放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスにおけるポリリン酸生合成関連遺伝子(polyphosphate kinaseをコードする遺伝子及びexopolyphosphataseをコードする遺伝子)に着目し、これら遺伝子を破壊あるいは改変させることでポリリン酸蓄積への影響を明らかにし、セシウム蓄積との関連性について解析を行った。作製した遺伝子破壊株及び過剰発現株において、菌体内ポリリン酸蓄積量及びセシウム量を測定した。その結果、ポリリン酸蓄積量の増加に伴い、セシウム蓄積量が増加する傾向にあることから、ポリリン酸蓄積とセシウム蓄積に正の相関がある可能性が示唆された。さらに、ポリリン酸の高蓄積が線耐性を低下させないことを明らかにした。