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Wei, P.; Xu, Y.; 永田 晋二*; 鳴海 一雅; 楢本 洋
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.233 - 236, 2003/05
被引用回数:6 パーセンタイル:42.81(Instruments & Instrumentation)互いに固溶しない組合せとして、炭素イオンを注入により非晶質化したGe単結晶((100)と(110))について、その熱処理による結晶化過程を、イオンビーム解析法(ラザフォード後方散乱分光法、イオンチャネリング法、及び核反応法)、ラマン分後法及び原子間力顕微鏡法により調べた。いずれの注入条件でも非晶質になるものの、その回復挙動は、イオン注入時の入射角に敏感であることを見出した。すなわち、斜入射の条件でCイオン注入したGeでは、450度までの熱処理により結晶化するとともに、注入された炭素原子は表面に拡散・析出してナノ黒鉛を形成した。一方垂直入射の場合には熱回復の挙動は異なり、注入された炭素と照射欠陥の分布変化及び回復は観測されなかった。これらの結果は、イオン注入時に生ずる欠陥密度と拡散に影響する歪勾配が関係している。
岡村 正愛*; 安野 紀子*; 大塚 雅子*; 田中 淳; 鹿園 直哉; 長谷 純宏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.574 - 578, 2003/05
被引用回数:93 パーセンタイル:97.75(Instruments & Instrumentation)近年、イオンビームの突然変異率が線等に比べて高いことが植物でも報告されているが、変異のスペクトルについては不明である。本研究ではイオン照射と組織培養を組み合わせる方法を使って、花色及び花弁の形態変異を誘発する効率について調査した。カーネーション(品種ビタル,チェリーピンク,フリル花弁)から採取した葉にカーボンイオンもしくはX線を照射し、シュートが再生されるまで培地上で培養した。カーボンイオン照射では、705個体の再生植物体から16個体の変異体が得られた。これらの変異体は非常にバラエティーに富んでおり、ピンク,濃ピンク,淡ピンク,サーモン,レッドの花色に加え、複色やストライプの花色,丸弁やダイアンサスタイプの花弁を持つ個体が得られた。それに対して線では、556個体の再生植物体から7個体の変異体が得られたが、それらはピンク,濃ピンク,淡ピンクの3種類だけであった。これらの結果は、イオンビームがX線に比べて花色及び花弁の形態変異において広い変異スペクトルを有すること、ならびに、イオン照射と組織培養を組み合わせた方法によって短期間で実用品種を育成できることを示している。
Tu, Z.; 小林 泰彦; 木口 憲爾*; 渡辺 宏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.591 - 595, 2003/05
われわれは原研高崎研究所に設置された重イオン照射装置を用いて、カイコのような小動物へのラジオサージャリー技術を確立した。今回、ヘリウムイオン(He, 12.5MeV/u, 水中飛程約1.5mm),炭素イオン(C, 18.3MeV/u, 水中飛程約1.1mm)及びネオンイオン(Ne, 17.5MeV/u, 水中飛程約0.6mm)など飛程の異なる3種の重イオンを家蚕(着色非休眠系統pnd pS)の幼虫に全体照射あるいは局部照射し、その生物影響の違いを調べるとともに、イオンの照射深度による生物影響も調査した。全体照射では、3種のイオン間に照射効果が明らかに異なり、飛程の長いものほど影響が大きいこと、局部照射では、存在部位の異なる標的組織・器官によってその影響が異なることが明らかになった。炭素イオンを用いてマイラーフィルム(厚さ100m)で覆うことにより照射深度を制御した場合は、真皮細胞がイオンの飛程末端までのどの部分で照射されるかによって、その鱗毛形成に障害を起こす程度が大きく変化することがわかった。イオンの照射深度を制御することにより、精確に標的組織・器官のみの機能破壊が可能である。
Vacik, J.; 楢本 洋; 鳴海 一雅; 山本 春也; 阿部 弘亨*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.395 - 398, 2003/05
被引用回数:9 パーセンタイル:52.81(Instruments & Instrumentation)ニッケルとフラーレンとの混合薄膜及び同じ組合せの多層膜をMgO(100)結晶基板上に作製後、不活性ガス雰囲気で熱処理した時に起こる、フラーレンの移行, 分解, ニッケルの内部移動など、をラザフォード後方散乱法で調べるとともに、それに伴う表面形態の変化を走査型電子顕微鏡により観察し、相関を調べる。特に、歪が蓄積する高温下での熱処理により、通常と異なり、Niなどの内部への拡散・移動が見られ、それに伴って誘起されるナノレベルの自己組織化した縞状組織をMgOとの界面で見出した。
梅林 励; 八巻 徹也; 住田 泰史*; 山本 春也; 田中 茂; 浅井 圭介*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.264 - 267, 2003/05
被引用回数:25 パーセンタイル:81.39(Instruments & Instrumentation)CrとNbがドープされたTiOの電子構造を第一原理バンド計算と紫外線光電子分光(UPS)によって詳しく調べた。両ドープ体には、電子占有準位がバンドギャップ内に形成されることが明らかになった。これら不純物準位は、CrドープTiOではバンドギャップのほぼ中央に、Nbドープの場合は伝導帯(CB)の底付近に位置する。過去に報告された遷移金属ドープTiOの可視域における光応答特性は、これらの不純物準位を介した電子遷移過程を考えれば系統的に説明できるものと考えられる。UPS測定では、不純物準位に起因するピークが両ドープ体ともに観測された。Crドープに由来する準位のピークは価電子帯(VB)端の近くに現れたのに対し、Nbの準位はより高エネルギー側、すなわちCBに近い側に位置した。この不純物種による違いは、上記の計算結果とほぼ一致した。われわれは、Cr,NbがTiOにドープされたときにバンドギャップ内に形成される準位の特性を理論,実験の両面から明らかにした。
中西 康夫*; 若原 昭浩*; 岡田 浩*; 吉田 明*; 大島 武; 伊藤 久義; 中尾 節男*; 斎藤 和雄*; Kim, Y. T.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.1033 - 1036, 2003/05
被引用回数:18 パーセンタイル:73.94(Instruments & Instrumentation)サファイア基板上にエピタキシャル成長した窒化ガリウム(GaN)(0001)へEuイオンを注入し、フォトルミネッセンス発光特性を調べた。室温でEuイオンを多段階のエネルギーで注入することで2.810から2.810/cmのEu濃度層を形成した。注入後、NH,N雰囲気中で900から1050の温度範囲で5から30分間熱処理することで結晶を回復させた。その結果、621nm付近にEuの4f-4f遷移に起因する鋭い発光ピークが観測された。このピーク強度はEu濃度の増加とともに増加したが2.810/cmでは飽和した。
大島 武; Lee, K. K.; 小野田 忍; 神谷 富裕; 及川 将一*; Laird, J. S.; 平尾 敏雄; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.979 - 983, 2003/05
被引用回数:8 パーセンタイル:49.98(Instruments & Instrumentation)炭化ケイ素(SiC)半導体のシングルイベント耐性評価の一環として、pn接合ダイオードを試作しMeV級イオン照射により発生する過渡電流測定を行った。SiCダイオードのベースはn型エピタキシャル6H-SiCであり、800でのAl注入後1800での熱処理を行うことで表面層にp型領域を形成した。12MeVニッケルイオンマイクロビームを用いてSiCダイオードの過渡イオンビーム誘起電流(TIBIC)測定を行い、過渡電流波形を取得した。これよりダイオード電極への収集電荷量を解析した結果、印加電圧が30Vでは(1.7-1.8)10Q程度と見積もられた。また、この結果より収集効率を求めると85から93%が得られた。
磯谷 順一*; 大島 武; 大井 暁彦; 森下 憲雄; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.965 - 968, 2003/05
被引用回数:8 パーセンタイル:49.98(Instruments & Instrumentation)イオン注入により炭化ケイ素(SiC)半導体に導入したリン(P)ドナー不純物の電気的活性化に伴うP原子の格子間位置への置換や注入欠陥除去などの微視的構造変化を明らかにするため、921MeV(9段階)または340keVのエネルギーでP注入を行ったn型六方晶SiC(6H-SiC)のESR測定を実施した。P注入は室温、800または1200で行い、注入後にアルゴン中で最高温度1650まで熱処理を行った。注入後熱処理を行うことでP原子がSiC格子点に配置してドナーとなり、ドナー電子とPの超微細相互作用により2本に分裂したESRスペクトルが出現することを見出した。現在、スペクトル解析によりPドナーの構造対称性や電子スピン状態の検討を進めている。本会議ではPドナーの微視的構造の解析結果に加え、照射欠陥のアニール挙動についても報告する。
松波 紀明*; 伊藤 正治*; 高井 吉明*; 田沢 真人*; 左高 正雄
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.282 - 286, 2003/05
被引用回数:24 パーセンタイル:81.39(Instruments & Instrumentation)MgO上に成長させたZnO薄膜のイオン照射による結晶性,光学的・電子的特性を調べた。イオンは100keVのNeイオンを用い、照射は10dpaまで行った。照射による結晶粒の成長がSEMにより確認された。X線回折の結果から結晶方向の再配置が見られた。可視光領域での透明度はこの照射量では変化はなかった。電気抵抗は低照射量領域では照射量とともに100倍以上増大し、その後減少し、照射前に対し約2倍のほぼ一定値を保った。単結晶フィルムとキャリアをドープしたフィルムについても議論する予定である。
住田 泰史*; 今泉 充*; 松田 純夫*; 大島 武; 大井 暁彦; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.448 - 451, 2003/05
被引用回数:55 パーセンタイル:94.72(Instruments & Instrumentation)宇宙用に開発された三接合型(InGaP/GaAs/Ge)太陽電池の陽子線照射効果を明らかにするため、20keVから10MeVのエネルギー範囲の陽子線を照射し、電気的・光学的特性の変化を調べた。モンテカルロシュミレーションより見積もった陽子線の侵入長を考慮して特性劣化を解析した結果、ミドルセルであるGaAsセルの接合付近が陽子線の侵入長にあたる場合に最も特性の劣化が大きいことを見出した。このことより耐放射線性のさらなる向上にはGaAsミドルセルの耐放射線性向上が重要であると結論できた。
Choi, Y.; 山本 春也; 齊藤 宏*; 住田 泰史*; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.241 - 244, 2003/05
被引用回数:7 パーセンタイル:46.64(Instruments & Instrumentation)二酸化チタン薄膜に対する炭素イオン照射とプラズマ処理による光触媒活性への影響を調べた。陽極酸化によって作製したアナターゼ薄膜はイオン照射でもプラズマ処理でも活性が落ちた。この試料は酸素欠陥と結晶粒界が多く含まれるため元々強度が弱く、イオン照射とプラズマ処理によって、活性点と考えられる表面の酸素欠損がこわれすぎて活性が落ちたと考えている。しかし、レーザー蒸着によってサファイア上にエピタキシャル成長させたアナターゼ薄膜はプラズマ処理によって活性が増大することがわかった。この試料は、陽極酸化によって作製した試料より強度が高く、丈夫であるためプラズマ処理をすると酸素欠損が表面上に生成され活性が増大したと考えている。これらの結果からイオン照射とプラズマ処理の制御により活性点のコントロールができ、光触媒活性の向上が期待される。
阿部 浩之; 内田 裕久*; 東 順人*; 上殿 明良*; Chen, Z. Q.*; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.224 - 227, 2003/05
被引用回数:21 パーセンタイル:77.96(Instruments & Instrumentation)パラジウム(Pd)は水素の吸放出反応により超高純度水素精製として利用されてきた。本研究ではこのPdの水素吸放出過程について、従来よりその応答性が良くなるように、イオン照射による表面改質についての研究を行った。イオン照射技術は表面改質としては良く知られている技術であり、Pdに対してその水素吸収能の向上を試みた。照射イオンは H, He, Arを用い、イオンビームエネルギー30350keV、照射量は0110/cmまで行った。その結果、イオン照射したPdは未照射に比べ、数倍吸収速度が向上した。この効果は、イオン入射エネルギーに依存することから、イオン照射により生成される欠陥の深さ方向の欠陥密度との関係によるものと考えられる。Pd表面層に生成された欠陥層は水素化物の核形成や成長に寄与し、水素吸収速度を高めていると推測できる。
山本 博之; 斉藤 健
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.42 - 46, 2003/05
被引用回数:14 パーセンタイル:66.40(Instruments & Instrumentation)分子イオンを固体表面に照射すると1A/cm程度の電流密度においても単原子イオンを照射した場合に比べてクラスター生成効率が非常に高くなることが従来までのわれわれの成果により明らかとなっている。本研究においてはこの現象を応用し、CF等の分子イオンをSi(100),B等の表面に照射することによりSiC,BC等の二成分クラスターの生成に成功した。得られたクラスターの中でも、SiCについてはいずれの原子数からなるクラスターについてもC原子を2個以上含むものはほとんど観測されなかった。これはC原子が2個以上クラスター内に含まれる場合、その構造が大きく歪むためと考えられる。一方BCではこのような傾向は見られずほぼ任意の組成比でクラスターが得られた。以上の結果からクラスター生成において構造の安定性が大きく影響することを明らかにした。
渡辺 智; 石岡 典子; 下村 晴彦*; 村松 久和*; 関根 俊明
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.399 - 402, 2003/05
被引用回数:8 パーセンタイル:49.98(Instruments & Instrumentation)イオン注入によるXe内包フラーレンの生成の最適条件を調べることを目的とし、Xe内包フラーレンの生成率のイオン注入量及び注入エネルギー依存性について調べた。Ni基盤上に蒸着したフラーレンをターゲットとし、同位体分離器によりXeを30,34及び38keVでイオン注入した。Xeのイオン注入量は110~110個/cmとした。照射後のターゲットをオルト・ジクロロベンゼンに溶解した後、HPLC分析によりXe内包フラーレンの生成率を求めた。この生成率は、イオン注入量及び注入エネルギーの増加とともに減少することがわかった。これは、一度生成したXe内包フラーレンが、後から注入されるXeイオンによって壊されて無定形炭素化するためと結論付けた。
山本 春也; 八巻 徹也; 楢本 洋; 田中 茂
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.268 - 271, 2003/05
被引用回数:13 パーセンタイル:64.08(Instruments & Instrumentation)光触媒材料である二酸化チタン(TiO)は、遷移金属をドープすることにより光学的特性が変化し、光触媒性の向上も期待される。本研究では、パルスレーザー蒸着法を用いてCr, Nb, Ta, Wをドープしたルチル及びアナターゼ構造の高品質なTiO単結晶膜の作製を試み、成膜条件や蒸着後の熱処理などの条件を明らかにした。作製した膜の構造評価は、X線回折とラザフォード後方散乱/チャネリング法を用いた。その結果、0.2~1.5 at.%の濃度でドープした金属原子が格子位置を占めたルチル及びアナタ-ゼ型のTiO単結晶膜の作製に成功した。また、SrTiO(001), LaAlO(001)基板上に成長させたアナターゼ型TiOの熱的安定性を調べた結果、約1000Cまでアナターゼ構造を保持することがわかった。
八巻 徹也; 梅林 励; 住田 泰史*; 山本 春也; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 伊藤 久義
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206(1-4), p.254 - 258, 2003/05
被引用回数:139 パーセンタイル:98.86(Instruments & Instrumentation)二酸化チタン(TiO)単結晶に110から110ions cmの200eV Fを注入し、1200までの等時アニールを各ステップ5時間ずつ行った。アニールに伴う照射損傷の回復過程については、ラザフォード後方散乱/チャネリング解析とエネルギー可変ビームを用いた陽電子消滅測定で調べた。1200でアニールすると、空孔型欠陥の外方拡散によって結晶性が完全に回復した。二次イオン質量分析によれば、本試料は深部から表面へ向かって増大するような不純物濃度プロファイルを有していた。密度汎関数理論に基づいたバンド構造計算を行った結果、FドープはTiOの伝導帯の下端付近にわずかな変化を及ぼし、これによりバンドギャップ制御が可能であることを明らかにした。
中沢 哲也; Grismanovs, V.*; 八巻 大樹; 片野 吉男*; 有賀 武夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.166 - 170, 2003/05
被引用回数:33 パーセンタイル:87.82(Instruments & Instrumentation)高エネルギー酸素イオン照射したLiTiOの結晶構造及び化学状態等の変化をラマン分,X線回折及び走査型電子顕微鏡(SEM)で調べた。ラマン分光分析からは化学構造の際だった変化は観察されなかった。一方、X線回折からは1.2E+19 ions/mまでの照射で(002)の回折ピークの減少が他のピークと比較して著しいことが観察された。この結果はLi原子とTi原子の部分的なミキシングが照射によって引き起こされていることを示している。このような照射によるミキシングに起因した無秩序化への移行が表面層での粒構造の消失としてSEMによっても観察された。
斉藤 健; 山本 博之; 山口 憲司; 仲野谷 孝充; 北條 喜一; 原口 雅晴*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 田中 智章*; 島田 広道*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.321 - 325, 2003/05
被引用回数:7 パーセンタイル:46.64(Instruments & Instrumentation)放射光を利用したX線光電子分光法(XPS)を用い、-FeSiの表面酸化過程を解析した。Si(111)基板表面に-FeSiを生成後、約2日間大気曝露を行い、表面酸化を試みた。XPSによりシリサイド表面の非破壊深さ方向分析を行った結果、シリサイドはアイランド状の構造をとっており、基板のSi表面も一部露出した構造をとっていることが明らかとなった。シリサイド精製時のアニール温度や初期膜厚の違いにより、表面組成が異なることが明らかとなった。シリサイド表面がSiリッチな状態の試料に関し表面酸化を行った場合には、表面に非常に薄いSiO薄膜が生成し、シリサイドがほとんど酸化されなかった。しかしながら、Feリッチな試料の場合にはシリサイドが著しく酸化されることが確認された。このことから、表面付近に生成するSiO酸化物相がシリサイド薄膜の酸化保護膜として機能していることが推測された。
和田 成一; 夏堀 雅宏*; 伊藤 伸彦*; 舟山 知夫; 小林 泰彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.553 - 556, 2003/05
被引用回数:3 パーセンタイル:27.48(Instruments & Instrumentation)宇宙環境における高LET重粒子線被曝の生物影響を解明するためには、低線量・低フルエンスの重イオン照射によって細胞に誘導されるDNA損傷を正しく解析する必要がある。しかし、低フルエンスの重イオンはランダムにヒットするため、細胞に対する重粒子1個の生物学的効果を直接に検出することはこれまで困難だった。そこで、個々の細胞ごとのDNA損傷を評価することが可能なコメットアッセイ法を用いるとともに、同時に各細胞での重イオンのヒット位置を飛跡検出器CR-39を用いて直接に検出することが可能な方法を開発し、動物培養細胞の核にヒットしたイオン粒子数と、その細胞に生じたDNA損傷の程度を同時に検出する方法を確立した。そして、異なるLET値を有するいくつかの重粒子線照射によって細胞に誘導されたDNA損傷を定量的に解析し、照射したイオンのLET値との関連を解析した。
本橋 嘉信*; 小林 友和*; Harjo, S.*; 佐久間 隆昭*; 柴田 大受; 石原 正博; 馬場 信一; 星屋 泰二
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.144 - 147, 2003/05
被引用回数:4 パーセンタイル:33.60(Instruments & Instrumentation)3Y-TZP(3mol%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体)セラミックスに130MeVのZrイオンを、日本原子力研究所東海研究所のTANDEM加速器を用いて照射した。照射量は3.510及び2.110ions/mであった。照射によって生じた残留応力と機械的特性の変化、さらにその後の焼鈍効果について調べた。照射後の試験片表面について、残留圧縮応力の発生及び硬さと破壊靭性の増加が観察された。その後に実施した焼鈍では、これらの物性は焼鈍温度の増加に伴い徐々に低下し、1173K付近では非照射状態の値に戻った。硬さと破壊靱性の増加の主たる原因は、照射表面に生じた残留圧縮応力であると考えられる。