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吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2025-003, 24 Pages, 2025/06
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(RuO)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。揮発性Ruは施設内を移行する過程で床面に停留するプール水中の亜硝酸によって化学吸収が促進されることが想定され、施設内の硝酸-水混合蒸気の凝縮水量がRuの施設内での移行に重要な役割を担う。当該事故の施設内の熱流動解析では、水の熱流動を解析対象とするMELCORコードを用いている。解析では、凝縮の支配因子である蒸発潜熱が、事故時での施設内の温度帯域で同程度であることから硝酸をモル数が等しい水として扱っている。本報では、この解析モデルの妥当性を確認するために、MELCORの制御関数機能を用いて硝酸-水混合蒸気を水蒸気で近似することによって生じる誤差を補正する解析モデルを作成し解析を実施し補正効果を比較することで従来の解析モデルの妥当性を確認した。その結果、補正解析モデルの適用によって各区画のプール水量の分布は変化するものの施設内のプール水量の総和には影響しないことを確認した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2024-011, 121 Pages, 2024/09
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「合理的な処分のための実機環境を考慮した汚染鉄筋コンクリート長期状態変化の定量評価」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。福島第一原子力発電所のコンクリート構造物の廃止措置では、廃棄物量や濃度を推計することが重要となる。本研究は、コンクリート部材における汚染濃度分布の定量予測を目的としている。コンクリート中の放射性核種の移動には、使用材料(セメント種類、骨材)、状態変化(ひび割れ、乾燥・炭酸化)、放射性核種との接触状態(冷却水と海水の混合、汚染水の濃度変化)等が影響を及ぼす。本研究では、実環境を考慮した放射性核種の浸透状況の推定に向けて、以下を実施した。経年変化したコンクリートの状態を数値解析上で再現するため、乾燥、再吸水によって生じる変形および水分移動に関するデータを取得した。並行して、剛体バネモデルを用いて、コンクリートの材齢変化および温度・水・応力条件を考慮できる、ひび割れの分布を計算する数値解析手法を開発した。コンクリートマトリクスへの長期的な核種の浸透挙動を評価するため、C-A-S-H系におけるCsやSrの収着に関するデータを取得し、熱力学的相平衡を考慮する多元素移動モデルに基づく、イオン浸透予測手法を構築した。構造的および化学的に変化したコンクリートへの放射性核種の浸透挙動を評価するために、ひび割れを有するコンクリートを事故後の汚染水組成相当の溶液に浸漬し、Cs、Srの浸透状況をオートラジオグラフィにより評価した。
吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2024-007, 24 Pages, 2024/08
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種(RuO)が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。RuO
の発生現象には、廃液の溶媒である硝酸の放射線分解で発生する亜硝酸が沸騰段階でのRuO
の発生を抑制することが実験的に示されている。この現象を解析的に取り扱うには、廃液の当該事故時の硝酸及び亜硝酸を含めた窒素化合物の化学変化の解析が必要となる。廃液貯槽沸騰模擬コード:SHAWEDでは、硝酸-水-FP硝酸塩系での気液平衡の仮定に基づき廃液の温度上昇、硝酸及び水の蒸発量、気泡破裂に伴う飛沫生成量を計算する。現状の解析では、廃液中の亜硝酸濃度等の変化を模擬できない。より現象に即した模擬を可能にするため当該事故時の施設内の化学的な挙動を解析するSCHERNをSHAWEDと結合させ、放射線分解による亜硝酸の生成も考慮した廃液貯槽内の熱流動挙動解析及び化学挙動解析を同時に可能とするよう改良した。本報では、両計算コードを結合した計算の流れ、両者間でのデータの授受を概説し模擬結果の一例を示す。
三浦 隆智; 工藤 淳也; 小山 大輔; 大部 智行; 佐本 寛孝
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 10 Pages, 2023/10
東海再処理施設では、1977年から2007年までに、商業用発電炉(BWR,PWR)や新型転換炉ふげん等の使用済燃料を約1,140トン再処理した。廃止措置に移行した2018年から、リスク低減のため施設に保有する高放射性廃液(HALW)のガラス固化処理を最優先に取り組んできている。使用済燃料の再処理に伴い発生したHALWには、核分裂生成物(FP)等に加え、極微量のウランやプルトニウムを含む不溶解性残渣(スラッジ)が存在している。通常時ではHALW中のU, Puの濃度が非常に低いため、HALWが臨界に至ることは考え難い。また、事故時にHALWの冷却機能が喪失し、蒸発乾固に至る過程を考慮した場合においても、中性子吸収効果の高いFPが共存しているため、HALWが臨界に至ることは考え難い。これらを定量的に確認するために、HALWの蒸発によりU, Pu濃度が上昇し、乾固に至るまでの過程における臨界安全評価を実施した。本評価では、HALWを溶液系とスラッジ系、それぞれ無限体系モデルで、U, Pu, FPの存在比を分析データやORIGEN計算結果に基づき保守的に設定し、蒸発乾固に伴う溶液の濃縮による濃度変化に対して、無限増倍率を計算し、臨界未満の状態が維持されることを確認した。また、溶液系,スラッジ系の両系を考慮した2層の無限平板モデルでも、未臨界状態が維持されることを確認した。これにより、東海再処理施設においては、高放射性廃液の蒸発乾固の過程における臨界は想定されないことを確認した。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2023-001, 26 Pages, 2023/05
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。再処理施設のリスク評価の精度向上に資するため、計算プログラムを用いて当該事故時でのソースタームを解析的に評価する手法の整備を進めている。提案する解析手法では、まず廃液貯槽の沸騰をSHAWEDで模擬する。模擬結果の蒸気発生量等を境界条件としてMELCORにより施設内の蒸気等の流れに沿って各区画内の熱流動状態を模擬する。さらに各区画内の熱流動状態を境界条件としてSCHERNを用いてRuを含む硝酸、NO等の化学挙動を模擬し、施設外への放射性物質の移行量(ソースターム)を求める。本報では、仮想の実規模施設での当該事故を想定して、これら3つの計算プログラム間でのデータの授受を含めて解析事例を示す。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2022-057, 98 Pages, 2023/02
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和2年度に採択された「合理的な処分のための実機環境を考慮した汚染鉄筋コンクリート長期状態変化の定量評価」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、原子炉建屋内の鉄筋コンクリート部材における汚染濃度分布定量予測データベース構築を目的としている。令和3年度は、コンクリートのメソスケールのひび割れ挙動を評価するため、モルタルの乾燥、再吸水によって生じる変形および水分移動に関するデータを取得した。並行して、剛体バネモデルを用いて、コンクリートの材齢変化および温度・水・応力条件を考慮できるプログラムの開発を進めた。コンクリートマトリクスへの長期的な核種の浸透挙動を評価するため、収着に関するデータ取得および数理モデルの構築を行った。ひび割れを介したコンクリートへの核種の浸透挙動を評価するために、ひび割れ幅の異なるモルタル試験体に対する、事故直後の冷却水相当濃度でのCs、Srの浸透状況をオートラジオグラフィにより評価した。さらに、模擬ひび割れを導入したコンクリート試料を用意した。また、核種のコンクリートマトリクスへの浸透挙動を調べるため、セメントペースト試験片の長期浸漬試験を開始するとともに、骨材、塗料、鉄筋に対する
核種の分配比を測定した。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2022-011, 37 Pages, 2022/12
再処理施設の過酷事故の一つとして高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故が想定される。再処理廃液の沸騰段階での放射性物質の気相部への移行のメカニズムは、沸騰によって生成される飛沫のうち比較的小さい粒径の液滴のエアロゾル化と、揮発性化学種の温度上昇に伴う気化である。気相に移行した放射性物質は、沸騰により発生する硝酸-水混合蒸気や硝酸塩の熱分解による脱硝反応で生じるNOなどとともに貯槽から流出し、施設内を移行し一部は施設外に放出されると想定される。当該事故で生じるこれらの諸事象は、すべて貯槽内の廃液の沸騰を起源とするため、それによって生じるリスクを精度良く評価するには、汎用性のある計算プログラムを用いた貯槽内の熱水力的及び化学的挙動の定量的な模擬が不可欠である。これを目的として再処理廃液の沸騰を模擬する計算プログラム: SHAWED (
imulation of
igh-level radio
ctive
aste
vaporation and
ryness)を開発した。本報では、当該事故のリスク評価に資するために、模擬対象とする事象の特徴をもとに沸騰及びそれに伴う諸事象の模擬に必要な主要な解析モデルを説明するとともに、具体的な模擬事例を示す。
小野 綾子; 坂下 弘人*; 山下 晋; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 7 Pages, 2022/10
本研究では、新しい機構論に基づいた限界熱流束予測手法を提案する。適切な安全評価を行うため、また、設計コストを削減するために、メカニズムに基づくCHFの予測方法の確立が、長い間望まれてきた。核沸騰の高熱流束域からCHFまでの加熱面付近の気液挙動に関するいくつかの実験結果から、われわれは、加圧水型軽水炉でのCHFを予測するにはマクロ液膜ドライアウトモデルが適用できると考えている。マクロ液膜ドライアウトモデルを用いてCHFを予測するには、燃料表面のマクロ液膜の厚さとその上面を覆う蒸気泡の通過期間を予測することが必要となる。本研究では、著者らが提案したマクロ液膜の厚さの予測手法と蒸気泡の通過期間の予測手法を組み合わせることで、強制対流沸騰におけるCHFを評価する。評価した結果と強制対流沸騰におけるCHFの実験データを比較することで、その妥当性を検証する。
山口 晃範*; 横塚 宗之*; 古田 昌代*; 久保田 和雄*; 藤根 幸雄*; 森 憲治*; 吉田 尚生; 天野 祐希; 阿部 仁
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 21(4), p.173 - 182, 2022/09
確率論的リスク評価(PRA)から得られるリスク情報は、原子力施設におけるシビアアクシデント対策の有効性を評価するために有用である。再処理施設に対するPRA手法は原子力発電所のそれと比べて未成熟と考えられ、本手法を成熟させるためには事故シナリオの不確実性を低減することが重要となる。本論文では、再処理施設におけるシビアアクシデントである高レベル廃液の沸騰による蒸発乾固への事象進展と、それに伴う放射性物質の移動挙動に関する文献調査の結果をまとめた。Ruの重要な特徴の一つは、事象進展の過程で揮発性化合物を形成することであり、本稿ではその移動挙動を温度に基づいて4段階に分類した。高温まで至った乾固物からはRuは放出されない一方、Csのような他の揮発性元素が放出される可能性がある。実験データは未だに不十分な状態であり、放射性物質の移行挙動の温度依存性を明らかにすることが求められる。
川口 浩一; 瀬川 智臣; 石井 克典
粉体工学会誌, 59(6), p.283 - 290, 2022/06
日本原子力研究開発機構では、高速炉用燃料製造プロセスにおける規格外ペレットを有効利用するため、これを粉砕して原料粉と混合して再利用する技術の開発を進めている。粉砕前後の粒子径分布を詳細に解析することにより、粉砕粉が粒子径分布の特徴の異なる3種類の成分粒子から構成されることを示した。また、供給粉粒子径分布から粉砕粉粒子径分布を予測する手法について検討した。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京大学*
JAEA-Review 2021-047, 127 Pages, 2022/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和2年度に採択された「合理的な処分のための実機環境を考慮した汚染鉄筋コンクリート長期状態変化の定量評価」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究の目的は、原子炉建屋内の鉄筋コンクリート部材における汚染濃度分布定量予測データベース構築である。令和2年度は、3.1節でメソスケールのひび割れ挙動を評価するためのデータ取得を目的に、試験体の作製および治具の開発等の測定準備、評価手法の確認、予備試験を実施した。また、剛体バネモデルを用いて、水和過程から極厚部材の応力・ひび割れを追随できる数値解析手法の枠組みを開発した。3.2節では、コンクリート部材における長期的な核種の浸透挙動評価を行うためのデータ取得および境界条件、ひび割れ試験体作製方法の検討を行った。3.3節では、事故後の物質濃度相当の条件でCsとSrがひび割れたコンクリートに浸透する状況をイメージングプレートにより可視化する準備を行った。また、核種のコンクリートへの浸透挙動を調べるため、汚染水とコンクリートの接触に関する情報調査、長期浸漬の予察試験を実施した。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2021-013, 20 Pages, 2022/01
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。そのための事故対処策の一つとして貯槽から発生する混合蒸気を積極的に凝縮する凝縮器の設置案が示されている。この事故対策では、硝酸蒸気の拡散防止、Ruの除去率の向上などが期待できる。本報では、実規模の仮想的な再処理施設を対象に凝縮器を設けて施設内での蒸気及びRuの移行挙動の模擬を試行した。模擬解析では、MELCORを用いて施設内の熱流動解析を行い、得られた熱流動状態を境界条件として硝酸、窒素酸化物等の化学挙動を解析するSCHERNコードを用いてRuの定量的な移行挙動を模擬した。解析から、凝縮器による蒸気拡散防止及びRuの除去効率の向上効果を定量的に分析するとともに、凝縮器の解析モデル上の課題を明らかにすることができた。
吉田 尚生; 大野 卓也; 吉田 涼一朗; 天野 祐希; 阿部 仁
JAEA-Research 2021-011, 12 Pages, 2022/01
再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発乾固事故について、ルテニウム(Ru)の挙動が着目されている。Ruは四酸化ルテニウム(RuO)のような揮発性の化学種を形成し、硝酸、水または窒素酸化物を含む共存ガスと共に施設外へ放出される可能性があるためである。本研究では、蒸発乾固事故に対する安全性評価に資することを目的として、事故時の蒸気凝縮を模擬した、水溶液に対する気体状RuO
の液相への移行挙動を実験的に測定した。その結果、RuO
のガス吸収は液相中の亜硝酸(HNO
)濃度の増加により促進されたことから、化学吸収を伴う物質移動であることが示唆された。HNO
を用いない対照実験では、温度が低いほど液相中のRu吸収率は大であったのに対し、HNO
を用いた実験では、温度が高いほどRu吸収率が高かった。これは化学吸収に関与する化学反応が高温で活性化されたためであると考察される。
大川 富雄*; 森 昌司*; Liu, W.*; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 小野 綾子
日本原子力学会誌ATOMO, 63(12), p.820 - 824, 2021/12
原子炉設計における効率的な燃料設計および最適な安全評価のために、機構論に基づいた限界熱流束評価技術が望まれている。この長年の技術課題は、近年の詳細解析技術及び計測技術の体系的統合を段階的に進めることで、打開できる可能性がある。このため本研究専門委員会では、将来的な限界熱流束評価技術の構築に向けて、過去の膨大な研究を精査することで必要な知見を整理する。これらの議論を通して、原子炉における機構論的限界熱流束評価技術に必要な研究課題を提示する。Part2では、これまでの限界熱流束機構に関する基礎研究や限界熱流束の予測手法確立に必須な数値解析手法の発展にふれ、課題提起を行う。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Research 2021-005, 25 Pages, 2021/08
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(Ru)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。課題解決に向け当該施設での蒸気凝縮を伴う環境でのRuの移行挙動に係る小規模実験のデータ分析の結果から気液界面でのRuの物質移行係数の相関式を導出した。この相関式を用いて実規模の仮想的な再処理施設を対象に施設内でのRuの移行挙動の模擬を試行した。解析では、窒素酸化物の化学挙動を解析するSCHERNコードにこの相関式を組み込み、施設内の熱流動解析で得られた条件を境界条件としてRuの定量的な移行挙動を模擬し、その有効性を確認した。
吉田 一雄; 玉置 等史; 桧山 美奈*
JAEA-Data/Code 2021-008, 35 Pages, 2021/08
再処理施設で想定される重大事故の一つに高レベル廃液貯槽の蒸発乾固事故がある。高レベル廃液には、再処理の過程で取り除かれた核分裂生成物の硝酸塩が含まれ、それらの崩壊熱で発熱するため常時冷却する必要がある。このため全電源の喪失などにより冷却機能が全喪失した状態が継続した場合、廃液が沸騰しいずれ乾固する。この間、ルテニウムの揮発性化学種が硝酸-水混合蒸気とともに気相へ移行し、施設外へ放出される可能性がある。乾固時には、廃液に含まれる硝酸塩の熱分解による脱硝反応が進行しNOガスが発生する。NO
はルテニウムの施設内での移行挙動に影響することが実験的に確認されており、硝酸及び水が共存する環境では気液各相で複雑に化学変化することが知られている。そこで建屋区画内での熱流動条件を境界条件としてRuを含む各化学種の濃度変化を解析する計算プログラム: SCHERNの開発を進めている。本報は、SCHERN-V2として新たに整備した解析モデルを含め、当該プログラムが解析対象とする事故の概要、解析モデル、連立微分方程式、使い方等を説明する解説書である。
吉田 尚生; 天野 祐希; 大野 卓也; 吉田 涼一朗; 阿部 仁
JAEA-Research 2020-014, 33 Pages, 2020/12
使用済核燃料の再処理施設における高レベル濃縮廃液の蒸発乾固事故を考慮した場合、ルテニウムは揮発性の化合物を形成し、廃液中の放射性元素の中で比較的高い放出割合となりうる重要な元素である。本研究では、蒸発乾固事故に対する安全性評価に資することを目的として、気体状四酸化ルテニウム(RuO(g))の化学形変化挙動に与える窒素酸化物(NOx)の影響を実験的に評価した。その結果、RuO
(g)の分解速度は一酸化窒素や二酸化窒素を添加しない場合よりも添加した場合の方が遅く、これらのNOxはRuO
(g)を安定化することが明らかになった。また、安定化効果は二酸化窒素の方が高かった。
川口 浩一; 瀬川 智臣; 山本 和也; 牧野 崇義; 磯 秀敏; 石井 克典
粉体工学会誌, 57(9), p.478 - 484, 2020/09
衝突板式ジェットミルは、核燃料製造のために粒径調整可能な粉砕機として有望視されている。本ジェットミルは、分級機と粉砕室で構成される。粗粒成分は装置内を循環し、最終的に目的粒径まで粉砕される。本報告では、模擬粉砕粉を段階的に分級および粉砕し、粒度分布を比較した。衝突板式ジェットミルは過粉砕を抑えて目標粒径の粒子を製造できる。
佐野 智一*; 詠村 嵩之*; 廣瀬 明夫*; 川人 洋介*; 片山 聖二*; 荒河 一渡*; 政木 清孝*; 城 鮎美*; 菖蒲 敬久; 佐野 雄二*
Metals, 9(11), p.1192_1 - 1192_13, 2019/11
被引用回数:17 パーセンタイル:61.60(Materials Science, Multidisciplinary)本研究の目的は、ドライレーザーピーニング(DryLP)の有効性を検証することである。DryLPは、大気条件下でフェムト秒レーザーパルスを使用して、加工合金中の硬度,残留応力,疲労性能などの機械的特性を改善するピーニング技術である。レーザー溶接された2024アルミニウム合金にDryLP処理を施すと軟化した溶接金属は母材の元の硬度に回復し、溶接金属と熱影響部の残留引張応力は圧縮応力に変わった。疲労寿命は180MPaの引張圧縮試験でほぼ2倍になり、120MPaでは50倍以上増加した。以上から、DryLPは低応力振幅での溶接欠陥のあるレーザー溶接アルミニウム試験片の疲労性能を改善するのにより効果的であることを明らかにした。
桧山 美奈*; 玉置 等史; 吉田 一雄
JAEA-Data/Code 2019-006, 17 Pages, 2019/07
再処理施設で想定される重大事故の一つに高レベル廃液貯槽の蒸発乾固事故がある。高レベル廃液には、再処理の過程で取り除かれた核分裂生成物の硝酸塩が含まれ、それらの崩壊熱で発熱するため常時冷却する必要がある。このため全電源の喪失などにより冷却機能が全喪失した状態が継続した場合、廃液が沸騰しいずれ乾固する。この間、ルテニウムの揮発性化学種が硝酸-水混合蒸気とともに気相へ移行し、施設外へ放出される可能性がある。乾固時には、廃液に含まれる硝酸塩の熱分解による脱硝反応が進行しNOxガスが発生する。NOxはルテニウムの施設内での移行挙動に大きく影響することが実験的に確認されており、硝酸及び水が共存する環境では気液各相で複雑に化学変化することが知られている。そこで建屋区画内での熱流動条件を境界条件として各化学種の濃度変化を解析する計算プログラムを開発した。