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大熊分析・研究センター
JAEA-Technology 2026-007, 82 Pages, 2026/09
2024年度に大熊分析・研究センター放射性物質分析・研究施設第1棟(第1棟)で実施した東京電力福島第一原子力発電所(1F)の廃棄物に対する分析の内容及び結果について報告する。2024年度は、瓦礫コンクリート、土壌、焼却灰、水処理二次廃棄物(炭酸塩スラリー及び鉄共沈スラリー)、瓦礫金属及び解体瓦礫を対象試料とし、放射性核種を分析した。核種分析方法は、国の補助事業を通して1F廃棄物分析のために新たに開発した手法を適用し、測定対象を、東京電力ホールディングス株式会社の分析計画における必須核種であるCo-60,Cs-137,Sr-90,Ni-63,Pu-238,Am-241,Cl-36,Tc-99,I-129,C-14の10核種とした。また、2024年度は第1棟の本格操業初年度となることから、その分析については、廃棄物の処理・処分の安全性の見通しを得る上での性状把握を目的とした分析値の取得という本質的な目的に加え、コンクリート、土壌、水処理二次廃棄物等様々な試料への分析手法の適用性を確認することも目的とした。このため、本報告では分析結果を得るのみならず、試料マトリクスの違いが分析に与える影響を評価すること、様々な試料への当該分析手法の適用性を評価することにも着目した。大熊分析・研究センターでは、これまでに1F廃棄物のための簡易・迅速な新しい分析手法を開発するとともに、その分析手法の1F廃棄物試料への適用性を確認することを目的として、最も主要なマトリクスであるコンクリート試料を用いた分析手法の妥当性確認を実施してきた。2024年度は、当該分析手法をコンクリートも含めた様々な試料へ適用し、各試料に対する分析手法の妥当性を確認することでその適用性を評価した。妥当性評価については、共存する放射性核種等の測定干渉の影響を受けることなく対象の測定ができ、目標とする検出下限値であるトレンチ処分の基準線量相当濃度が達成できることを確認した。その結果、すべての試料の種類において妥当性基準を満足し、コンクリート以外のマトリクスへの本分析手法の適用性を確認することができた。また、本件では、試料の違いが分析に与える影響を化学分離操作の回収率及びその標準偏差により評価した。その結果、ほとんどの試料の種類及び測定核種において、分析手法開発時に対象としたマトリクスであるコンクリート試料と同等の回収率及びその標準偏差が得られた一方で、土壌及び焼却灰のCl-36については、回収率の低下が確認された。これによる検出下限値等手法の妥当性への影響は測定時間を長くすることで対応できる程度であるが、今後より低い検出下限値への要求に十分対応できない可能性があり、分析手法の改善の必要性が課題として確認された。
中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 村上 裕晃; 大野 宏和; 尾崎 裕介; 望月 陽人; 岩井 亮; 加藤 祥成; et al.
JAEA-Review 2026-023, 64 Pages, 2026/08
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和8年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」について、引き続き調査研究を行う。令和8年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験の解体試験を実施する。「処分概念オプションの実証」では、坑道スケール~ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、坑道スケール~ピットスケールにおける閉じ込め性能の評価を目的に250m調査坑道周辺の割れ目および500m調査坑道の掘削損傷領域(以下、EDZ)を対象としたトレーサー試験を実施する。500m調査坑道の底盤から鉛直ボーリング孔を掘削し、EDZの広がりおよび湧水量を把握した上で、試験ピットの掘削地点を選定する。ピット周辺のEDZの範囲を評価するための解析手法と支保設計への反映方法に関して、試験ピット掘削時のEDZの広がりを計測する計画を立案する。350m調査坑道で実施した水圧擾乱試験の結果に基づき、既存の割れ目や断層のずれにくさの検討を進める。また、上記の課題を進めるに当たって必要となるデータ取得を継続するとともに、地下施設の設備の運転監視や保守点検などを実施する。国内外の大学、研究機関との研究協力を継続するとともに、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA: 物質移行試験、タスクB: 処分技術の実証と体系化、タスクC: 実規模の人工バリアシステム解体試験)について調査研究を継続する。
Gubarevich, A.*; 久保 遼太郎*; 有阪 真; 大杉 武史; 吉田 克己*; 竹下 健二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 63(6), p.667 - 676, 2026/06
被引用回数:1 パーセンタイル:41.98(Nuclear Science & Technology)多核種除去設備(ALPS)で発生する炭酸塩スラリー廃棄物を固定化・固化するため、これらの廃棄物をリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウム相に変換する化学変換プロセスと続いてそれらを緻密化する新しい低温焼結プレス(CSP)技術の導入について検討した。炭酸カルシウム-マグネシウムスラリーの模擬物をリン酸処理してリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウムを合成し、CSPを用いて300-500
Cで焼結した。カルシウムとマグネシウムの比率、ストロンチウムの取り込み、および塩化ナトリウムの添加が相組成およびCSPの緻密化に及ぼす影響を調査した。バルクサンプルを作製し、X線回折、走査型電子顕微鏡、エネルギー分散型X線分光法、およびアルキメデス法を用いて特性評価を行った。これらの結果から、(1)化学変換プロセスによってウィットロカイトとニューベライトが形成され、カルシウムとマグネシウムの比率によってこれらの相の相対的な割合が決定されること、(2)ストロンチウムはウィットロカイトの結晶構造に効果的に組み込まれ、ニューベライトは脱水促進プロセスによって緻密化を促進すること、(3)塩化ナトリウムは化学変換に影響を与えず、最終的な固体生成物には含まれないことがわかった。これらの結果は、炭酸カルシウム-マグネシウムスラリーをウィットロカイト系リン酸塩セラミックスに直接変換し、その後CSPを行うことで安定した固化が可能になることを示しており、この方法がALPS炭酸塩スラリー廃棄物の管理に有望であることを示している。
バックエンド技術部
JAEA-Review 2026-008, 39 Pages, 2026/05
本報告書は、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所バックエンド技術部における2024年度の活動を報告するものである。所掌する施設の運転・管理、放射性廃棄物の処理・管理、施設の廃止措置に関する業務、これらに関連する技術開発業務の概要をとりまとめた。2024年度の放射性廃棄物の処理実績は、可燃性固体廃棄物が約165m
、不燃性固体廃棄物が約185m
、液体廃棄物が約232m
であった。2024年度末の累積保管廃棄本数(200Lドラム缶換算)は前年度から937本増の119,601本となった。また、放射性廃棄物処理場の新規制基準対応を進めた。廃止措置に関しては、再処理特別研究棟及びプルトニウム研究1棟において、機器の撤去等を実施した。また、技術開発においては、廃棄物放射能評価法の構築に向けた廃棄物試料の放射能データの取得や環境省及び東海村の要請により福島第一原子力発電所事故に伴い発生した除去土壌の埋立処分に関する実証事業に取り組んだ。
星野 雅人; 佐々木 仁史; 堀越 秀彦*; 谷 康輔*
JAEA-Review 2025-047, 122 Pages, 2026/03
幌延深地層研究センターは、深地層研究のための地下坑道等の研究施設、またその研究内容を解説するための施設と研究者が揃っており、敷地内には、実際の人工バリアを実規模で体感できる工学研究施設もあり、高レベル放射性廃棄物の地層処分について詳しく知るための国内最高の環境を有する施設である。これらの優位性を生かし、来場する国民各層を対象として高レベル放射性廃棄物に対する漠然とした疑問、不安などの意見について、アンケート等を活用した広聴を行っている。今回、2024年4月から2025年1月までに収集したアンケート等の意見(回答者2,830人)について統計分析の結果を報告する。
中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 大野 宏和; 尾崎 裕介; 望月 陽人; 武田 匡樹; 木村 駿
JAEA-Research 2025-016, 141 Pages, 2026/03
幌延深地層研究計画は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施している地層処分技術に関する研究開発の計画である。幌延深地層研究計画は、「地上からの調査研究段階(第1段階)」、「坑道掘削(地下施設建設)時の調査研究段階(第2段階)」および「地下施設での調査研究段階(第3段階)」の3つの調査研究段階に分けて進めている。2020年度からは、北海道および幌延町により受け入れられた、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した令和2年度以降の必須の課題である、(1)実際の地質環境における人工バリアの適用性確認、(2)処分概念オプションの実証、(3)地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証について、第3期および第4期中長期目標期間を目途に取り組むこととしている。本報告書では、上記の令和2年度以降の必須の課題のうち、2020年度から2024年度までに所期の目標を達成した課題について調査研究の成果を取りまとめた。今後これらの課題で得られた成果については、2024年度から実施している、「坑道スケール
ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化」において、坑道やピットの配置に係る考え方、人工バリア材料などの設置方法、それらの閉じ込め性能を評価する手法の体系的な整理に反映していく。
井口 啓; 吉田 将冬; 平野 宏志*; 北村 哲浩
Nuclear Technology, 15 Pages, 2026/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)放射性物質で汚染されたグローブボックスの解体によって発生する解体物は、最終的に放射性廃棄物としてコンテナに収納される。従来この作業は、エアラインスーツ作業者によって行われてきたが、解体物によってスーツが損傷するリスクや作業員が汚染物質を吸入するリスクが内在していた。また、このようなリスクを低減させるために、解体物を布やプラスチックで養生することで、作業の安全性を高めていた。しかし、この方法では不燃性である解体物と可燃性である養生材を廃棄物処理工程で再分別する必要があり、処理工程が煩雑になるという課題があった。このような課題を解決するため、我々は解体物梱包用グローブ作業エリアを考案した。このエリアによってエアラインスーツ作業で実施していた廃棄物梱包作業をグローブ操作で実施することができ、エアラインスーツ作業に伴うリスクが大きく低減する。また、解体物を布やプラスチックで養生する代わりに金属容器に収納するようデザインすることで、再分別の必要性を排除した。グローブ作業エリアにおける梱包作業は解体物の金属容器への封入、秤量、コンテナへの収納からなり、各操作手順を改良することで作業の効率化を図った。また、グローブ作業による梱包作業の実現性を検証するため、製作したグローブ作業エリアを活用したモックアップ試験を実施した。本報告では、グローブ作業エリアの特徴や想定する梱包作業手順、そして実施したモックアップ試験から得られた知見を紹介する。
北谷 光; 小曽根 健嗣; 仲田 久和
JAEA-Technology 2025-011, 57 Pages, 2025/12
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体として、現在低レベル放射性廃棄物を対象としたトレンチ処分及びピット処分の2通りの検討を行っている。埋設施設の安全評価における被ばく線量評価には、埋設施設の浸透水量データが必要となる。浸透水量の評価には、廃棄物条件や埋設環境などによる不確実性を考慮する必要がある。そのため、本報告では、研究施設等廃棄物浅地中処分施設の概念設計の設計条件等を基にリファレンスモデルを設定し、先行事業者の申請書を参考に、最新の知見に基づいた安全評価に反映する浅地中埋設施設からの浸出水量を地下水流動解析により算出した。これにより、埋設施設の各層及び周辺土壌の透水係数が浸出水量に及ぼす影響を評価した。具体的には、有限要素法による二次元地下水流動解析コード(MIG2DF)を用いて、トレンチ埋設施設については、覆土層の経年劣化を想定した評価を行うとともにコンクリートピット埋設施設については、廃棄体に含まれる塩類の影響を想定した評価を行った。解析の結果、トレンチ埋設施設では、粘土層の透水性が劣化すると廃棄体層への浸入水量が増加し、特に排水層の透水性が低下した場合にはその傾向が一層顕著となった。これは、排水層による水平流路が機能せず、水の粘土層への浸入が促進されるためである。一方、コンクリートピット埋設施設では、粘土層の破断により周辺の流速が上昇し、廃棄体層を通過する水量が増加する現象が確認された。これらの結果は、施設の各層ごとの透水性の変化が、浸出水量にどのような影響を及ぼすかを定量的に示しており、安全評価におけるシナリオ設定や埋設施設の維持管理の方針策定に資する有効な知見といえる。
中山 雅; 石井 英一; 青柳 和平; 早野 明; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 深津 勇太; 望月 陽人; 尾崎 裕介; et al.
JAEA-Review 2025-042, 136 Pages, 2025/12
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和6年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」、「処分概念オプションの実証」および「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」の3つの研究課題を対象に調査研究を実施した。具体的には、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験および物質移行試験を、「処分概念オプションの実証」では、人工バリアの定置・品質確認などの方法論に関する実証試験および高温度等の限界条件下での人工バリア性能確認試験を実施した。また、「地殻変動に対する堆積岩の緩衝能力の検証」では、ダクティリティインデックスを用いた透水性評価手法の検証および水圧擾乱試験から原位置の地圧の状態を推定する手法の検討などを実施した。地下施設整備を継続し、東立坑および換気立坑が深度500mまでの掘削を完了するとともに、西立坑および500m調査坑道の掘削を開始した。令和6年度末現在の掘削進捗は、東立坑および換気立坑が深度500m、西立坑が深度472m、500m調査坑道が112.9mである。幌延国際共同プロジェクト(Horonobe International Project: HIP)では、令和6年6月には合同タスク会合を幌延深地層研究センター国際交流施設にて開催し、坑道の整備状況や試験の準備状況について確認した。また、管理委員会やタスク会合を通じて参加機関との議論を行った。HIPは令和4年度後半から令和6年度までをフェーズ1、令和7年度から令和10年度までをフェーズ2に分けて実施することとしており、令和6年度はフェーズ1の研究成果を取りまとめた。
廃炉環境国際共同研究センター; 北海道大学*
JAEA-Review 2025-037, 103 Pages, 2025/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和5年度に採択された研究課題のうち、「放射性コンクリート廃棄物の減容を考慮した合理的処理・処分方法の検討」の令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、解体に伴い大量の発生が見込まれる放射性コンクリート廃棄物に着目し、減容・減量化策の現場適用について、コンクリート廃棄物の特性評価に基づき、典型的な再資源化処理工程を想定したうえでその課題を検討し、再資源化を含む合理的な処理・処分方法を検討・評価する。令和5年度には、放射性核種およびイオンの移行挙動への遷移帯の寄与を解明することを目的とし、セメント系試料中の
Csの拡散試験、遷移帯を有する試料中のイオンの移動、Caの溶脱試験を実施した。また、遷移帯を含む核種移行モデルを構築するため、界面を挟む2つの媒体の拡散特性を考慮した確率分布をモデル化し、このサンプリング手法をランダムウォーク粒子追跡法の濃度計算に実装した。再資源化・再利用に向けた処理方法の検討として、非放射性Cs水溶液に浸漬した模擬汚染コンクリートを調製し、その特性を評価した他、骨材分離試験および熱分析試験の環境整備を行った。再資源化物の性状評価としては、模擬汚染骨材およびそれを利用した模擬再生コンクリートを調製し、模擬汚染骨材からイオン交換水や被覆したセメントペースト、再生コンクリートへのイオンの移行挙動を確認した。さらに、骨材分離の際に発生する模擬セメント微粉を用いて異なる配合の模擬廃棄体を調製し、力学あるいは化学特性を取得するとともに放射性核種の浸出挙動に関する試験を開始した。これらの結果を基に、再利用・再資源化を含む放射性コンクリート廃棄物管理シナリオを評価するため、コンクリート汚染状況に関する知見を収集、整理するとともに再利用・再資源化に伴う物量を推計するためのツールを整備した。
気液間移行モデルの高度化吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2025-011, 25 Pages, 2025/11
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウムの揮発性の化学種(RuO
)が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。RuO
は施設内を移行する過程で床面に停留すると想定されるプール水中の亜硝酸(HNO
)によって化学吸収が促進されることが想定され、この挙動は実験的に確認されており、Ruの施設内での移行に重要な役割を担う。HNO
を含む硝酸水溶液へのRuO
の移行に係る実験から得られた成果をもとに、新たな化学吸収及び物理吸収モデルが提案されている。本報では、SCHERNの解析性能の向上の一環として、これらの吸収モデルを組込み、施設内を移行するRuO
の気液各相での挙動の解析を試行した。その結果、RuO
の放出が急激に増加する沸騰晩期では、液相中のHNO
も急増する傾向が見られ、その濃度変化がその後のRuO
の移行挙動に大きく影響することを確認した。この結果から硝酸-水混合蒸気の凝縮に伴う気液各相のHNO
の化学的挙動の解析精度の向上が不可欠である。
大内 卓哉; 永田 寛; 篠田 侑弥; 吉田 颯竜; 井上 修一; 茅根 麻里奈; 阿部 和幸; 井手 広史; 綿引 俊介
JAEA-Technology 2025-006, 25 Pages, 2025/10
日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、将来的に埋設処分することを予定しており、放射能濃度評価方法の構築が必要である。そこで、大洗原子力工学研究所では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、将来、埋設処分対象となることが想定される放射性廃棄物から試料採取を行い、放射化学分析により放射性廃棄物に含まれる各核種の放射能濃度のデータ取得を行っている。本報告書は、放射能濃度のデータ取得にあたって、試料採取対象の選定の考え方を示すとともに、令和5年度及び令和6年度にJMTR原子炉施設において実施した汚染物からの試料採取内容についてまとめたものである。
中山 雅; 石井 英一; 早野 明; 青柳 和平; 村上 裕晃; 大野 宏和; 武田 匡樹; 望月 陽人; 尾崎 裕介; 木村 駿; et al.
JAEA-Review 2025-027, 80 Pages, 2025/09
幌延深地層研究計画は、日本原子力研究開発機構が堆積岩を対象に北海道幌延町で実施しているプロジェクトである。令和7年度は、「令和2年度以降の幌延深地層研究計画」で示した、「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」について、引き続き調査研究を行う。令和7年度に実施する主な調査研究は以下のとおりである。「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、人工バリア性能確認試験のデータ取得を継続するとともに、解体試験計画の具体化や原位置試験を対象とした解析検討の準備を行う。「処分概念オプションの実証」では、坑道スケール
ピットスケールでの調査・設計・評価技術の体系化について、坑道スケール
ピットスケールにおける閉じ込め性能の評価手法の整理を行う。500m調査坑道において先行ボーリング調査を行い、岩石の強度や岩盤の透水性などのデータを取得するとともに、トモグラフィ調査による試験坑道周辺の掘削損傷領域の広がりに関するデータを取得する。埋め戻し材や止水プラグの施工については、原位置施工試験に向けた計画検討を進める。深度500mの坑道掘削に伴う湧水量を観測するとともに、解析において予測された湧水量の範囲に収まるかどうかを確認する。500m調査坑道で施工予定のピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて原位置における掘削損傷領域の把握のための試験計画を検討する。また、割れ目からの湧水量やピット周辺の掘削損傷領域の広がりについて調査・評価手法の整理を進める。地下施設の建設・維持管理では、令和6年度に引き続き西立坑と500m調査坑道の掘削を行い、令和7年度末に施設整備を完了する予定である。国内外の資金や人材の活用に関する取り組みとして、幌延国際共同プロジェクトにて「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」および「処分概念オプションの実証」に関わる3つのタスク(タスクA:物質移行試験、タスクB:処分技術の実証と体系化、タスクC:実規模の人工バリアシステム解体試験)について調査研究を継続する。
佐藤 淳也; 高橋 裕太; 砂原 淳*; 齋藤 利充*; 吉田 幸彦; 曽根 智之; 大杉 武史
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 8, p.307 - 312, 2025/09
For low-level radioactive waste containing hazardous substances (mixed wastes) generated from uranium fuel processing plants, establishing appropriate solidification/stabilization methods is one of the key challenges for their safe and effective storage and disposal in Japan. This study investigated the solidification/stabilization methods of the mixed waste sludge containing hazardous substances of lead, cadmium and mercury by using various solidification materials. Additionally, the compressive strength of solidified products was investigated along with the leaching behavior of hazardous substances.
荒井 陽一; 後藤 泰裕; 渡部 創; 吾郷 友宏*; 新井 剛*; 勝木 健太*; 福元 博基*; 保科 宏行*; 瀬古 典明*
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 8, p.329 - 332, 2025/09
Radioactive liquid waste containing nuclear fuel materials and chemical reagents is stored in nuclear facilities. To eliminate the radioactivity of the radioactive liquid waste, we developed RFIDA, a new perfluoroalkyl (RF)-based ligand with a basic structure of iminodiacetic acid (IDA). In this study, an adsorption test was conducted by impregnating RFIDA into porous silica with a polymer was conducted to confirm that the synthesized RFIDA adsorbs cations. The results confirmed that RFIDA exhibits the ability to adsorb or elute uranium depending on the nitric acid concentration.
坂本 雅洋; 奥村 啓介; 神野 郁夫; 松村 太伊知; 寺島 顕一; Riyana, E. S.; 金子 純一*; 溝上 暢人*; 溝上 伸也*
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(8), p.756 - 765, 2025/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)In this paper, we propose a new nuclide inventory estimation method based on computational methods, called a "theoretical scaling factor method" for difficult-to-measure (DTM) nuclides in fuel debris and radioactive wastes. The theoretical scaling factor method provides a method similar to a conventional scaling factor method. The theoretical scaling factor method, however, does not require performing many measurements to obtain correlations between a key nuclide which is easy-to-measure and a DTM nuclide. Instead of actual analytical measurements, the results of theoretical calculations are used. A correlation equation between the key nuclide and the DTM nuclide is created based on the results of theoretical calculations, and the DTM nuclide is deterministically estimated using the measurement value of the key nuclide only. In this paper, we selected Cs-135 as the DTM nuclide and Cs-137 as the key nuclide. Cs-135 has a long half-life of 2.3
10
years and is one of the important fission products in the safety evaluation for the geological disposal of high-level radioactive waste, because it dissolves and migrates in groundwater easily. We confirmed the validity of the proposed method using measured data of Cs-137 and Cs-135 on radioactive wastes from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F) accident obtained by many researchers. It can be used as a rational and efficient technology to reduce the analysis costs of various types of fuel debris and radioactive waste present at 1F.
望月 陽人; 松井 裕哉; 中山 雅; 坂本 亮*; 柴田 真仁*; 本島 貴之*; 城 まゆみ*
Case Studies in Construction Materials, 22, p.e04648_1 - e04648_20, 2025/07
被引用回数:1 パーセンタイル:21.71(Construction & Building Technology)放射性廃棄物の地層処分で使用される低アルカリ性セメントは、長期にわたる処分場の操業期間中に大気中の二酸化炭素による炭酸化や地下水との接触によってその特性が変化する可能性がある。本研究では、フライアッシュとシリカヒュームを混合した低アルカリ性セメント(HFSC)を用いた吹付けコンクリートの化学的特性、微細構造ならびに輸送特性に対して大気中での炭酸化および地下水との接触が与える影響を、幌延の地下研究施設において16年間にわたり調査した。HFSC吹付けコンクリートの炭酸化領域と溶出領域のいずれにおいても、直径約300nm未満の細孔の毛細管空隙率が増加し、全空隙率は非変質領域よりも高くなった。これらの空隙構造の変化は、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)の脱灰とエトリンガイトの分解に関連していると考えられる。このような変化は、OPC吹付けコンクリートの変質領域では軽微であったことから、本研究の調査条件下において、HFSC吹付けコンクリートは炭酸化や地下水溶出に対する抵抗性が相対的に低いことが示された。しかしながら、HFSCの透水係数は、地層処分に用いられる低pHセメントに求められる機能要件を満たす程度に低かった。
吉田 一雄; 桧山 美奈*; 玉置 等史
JAEA-Research 2025-003, 24 Pages, 2025/06
再処理施設の過酷事故の一つである高レベル放射性廃液貯槽の冷却機能喪失による蒸発乾固事故では、沸騰により廃液貯槽から発生する硝酸-水混合蒸気とともにルテニウム(RuO
)の揮発性の化学種が放出される。このためリスク評価の観点からは、Ruの定量的な放出量の評価が重要な課題である。揮発性Ruは施設内を移行する過程で床面に停留するプール水中の亜硝酸によって化学吸収が促進されることが想定され、施設内の硝酸-水混合蒸気の凝縮水量がRuの施設内での移行に重要な役割を担う。当該事故の施設内の熱流動解析では、水の熱流動を解析対象とするMELCORコードを用いている。解析では、凝縮の支配因子である蒸発潜熱が、事故時での施設内の温度帯域で同程度であることから硝酸をモル数が等しい水として扱っている。本報では、この解析モデルの妥当性を確認するために、MELCORの制御関数機能を用いて硝酸-水混合蒸気を水蒸気で近似することによって生じる誤差を補正する解析モデルを作成し解析を実施し補正効果を比較することで従来の解析モデルの妥当性を確認した。その結果、補正解析モデルの適用によって各区画のプール水量の分布は変化するものの施設内のプール水量の総和には影響しないことを確認した。
杉田 裕; 大野 宏和; Beese, S.*; Pan, P.*; Kim, M.*; Lee, C.*; Jove-Colon, C.*; Lopez, C. M.*; Liang, S.-Y.*
Geomechanics for Energy and the Environment, 42, p.100668_1 - 100668_21, 2025/06
被引用回数:6 パーセンタイル:85.28(Energy & Fuels)国際共同プロジェクトDECOVALEX-2023は、数値解析を使用してベントナイト系人工バリアの熱-水-応力(または熱-水)相互作用を研究するためのタスクDとして、幌延人工バリア性能確認試験を対象とした。このタスクは、モデル化のために、1つの実物大の原位置試験と、補完的な4つの室内試験が選択された。幌延人工バリア性能確認試験は、人工的な地下水注入と組み合わせた温度制御非等温の試験であり、加熱フェーズと冷却フェーズで構成されている。6つの研究チームが、さまざまなコンピューターコード、定式化、構成法則を使用して、熱-水-応力または熱-水(研究チームのアプローチによって異なる)数値解析を実行した。
Birkholzer, J. T.*; Graupner, B. J.*; Harrington, J.*; Jayne, R.*; Kolditz, O.*; Kuhlman, K. L.*; LaForce, T.*; Leone, R. C.*; Mariner, P. E.*; McDermott, C.*; et al.
Geomechanics for Energy and the Environment, 42, p.100685_1 - 100685_17, 2025/06
被引用回数:7 パーセンタイル:88.59(Energy & Fuels)The DECOVALEX initiative is an international research collaboration (www.decovalex.org), initiated in 1992, for advancing the understanding and modeling of coupled thermo-hydro-mechanical-chemical (THMC) processes in geological systems. DECOVALEX stands for "DEvelopment of COupled Models and VALidation against EXperiments". DECOVALEX emphasizes joint analysis and comparative modeling of the complex perturbations and coupled processes in geologic repositories and how these impact long-term performance predictions. More than fifty research teams associated with 17 international DECOVALEX partner organizations participated in the comparative evaluation of eight modeling tasks covering a wide range of spatial and temporal scales, geological formations, and coupled processes. This Virtual Special Issue on DECOVALEX-2023 provides an in-depth overview of these collaborative research efforts and how these have advanced the state-of-the-art of understanding and modeling coupled THMC processes. While primarily focused on radioactive waste, much of the work included here has wider application to many geoengineering topics.