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福島マップ事業対応部門横断グループ
JAEA-Technology 2025-013, 206 Pages, 2026/03
東京電力株式会社福島第一原子力発電所(福島第一原発)事故による放射性物質の分布状況を平成23年6月より調査してきた。本報告書は、令和6年度の調査において得られた結果をまとめたものである。空間線量率については、走行サーベイ、平坦地上でのサーベイメータによる定点サーベイ、歩行サーベイ及び無人ヘリコプターサーベイを実施し、測定結果から空間線量率分布マップを作成するとともにその経時変化を分析した。山間部モニタリングへの無人航空機の適用可能性を確認するため、山間部における無人航空機の基礎性能試験を実施した。放射性セシウムの土壌沈着量に関しては、in-situ測定及び土壌中深度分布調査をそれぞれ実施した。さらに、これまで蓄積した測定結果を基に空間線量率及び沈着量の実効半減期を評価した。令和6年度調査での走行サーベイや歩行サーベイ等により取得した空間線量率分布データを階層ベイズ統計手法を用いて統合し、福島第一原発から80km圏内及び福島県内の空間線量率統合マップを作成した。令和6年度測定結果のWEBサイトでの公開、総合モニタリング計画に基づく放射線モニタリング及び環境試料分析を実施した。避難指示解除区域への帰還後に想定される複数の代表的な生活行動パターンを設定し、積算の被ばく線量を算出するとともに当該地方自治体・住民に向けた説明資料を作成した。令和6年度調査や原子力規制庁等で実施した環境モニタリングの測定データの一部をCSV等の形式で保存した。モニタリング地点の重要度を相対的に評価するスコアマップを作成するとともに、過去からのスコアの変化要因について考察しモニタリング地点の重点化及び最適化のための基礎評価を実施した。海水中のトリチウム濃度の評価結果を原子力規制庁へ報告する体制を構築・運用し、ALPS処理水の海洋への放出前後のトリチウム濃度の変動に着目して解析評価した。総合モニタリング計画に基づき実施された海域モニタリングの測定結果を集約するとともに、過去からの変動などに関して解析評価を行った。
原子力科学研究所 放射線管理部; 青森研究開発センター 保安管理課
JAEA-Review 2025-055, 107 Pages, 2026/03
本報告書は、日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所、播磨放射光RIラボラトリー及び青森研究開発センターにおける放射線管理に関係する2024年度の活動をまとめたものである。これらの研究開発拠点で実施した放射線管理業務として、環境モニタリング、原子力施設及び放射線業務従事者の放射線管理、個人線量管理、放射線管理用機器の維持管理等について記載するとともに、放射線管理に関連する技術開発及び研究の概要を記載した。これらの研究開発拠点において、施設の運転・利用に伴って、保安規定等に定められた線量限度を超えて被ばくした放射線業務従事者はいなかった。また、各施設から放出された気体及び液体廃棄物の量とその濃度は保安規定等に定められた放出の基準値及び放出管理目標値を下回っており、これらに起因する周辺監視区域外における実効線量も保安規定等に定められた線量限度以下であった。放射線管理の実務及び放射線計測技術に関する技術開発・研究活動を継続実施した。
放射線管理部
JAEA-Review 2025-049, 177 Pages, 2026/02
本報告書は、令和3年度に核燃料サイクル工学研究所(以下、「サイクル研究所」という。)放射線管理部が実施した施設の放射線管理及び放出管理、個人被ばく管理、環境放射線及び環境放射能の監視、放射線管理用機器等の保守管理、研究開発及び技術支援等の業務について取りまとめたものである。サイクル研究所には、核燃料再処理、プルトニウム(MOX)燃料製造技術、次世代サイクル技術及び放射性廃棄物の処理・処分技術の研究開発などを進めるため、核燃料物質使用施設及び放射性同位元素使用施設があり、一部の施設では廃止措置が行われている。放射線管理部は、これらの施設における放射線業務従事者等の放射線安全を目的として、作業環境の放射線状況の監視及び放射線作業の管理などの放射線管理を行うとともに、放射線業務従事者の個人線量の測定を行った。また、サイクル研究所周辺の公衆の放射線安全を目的として、再処理施設等から放出される放射性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物の濃度及び放出量の測定管理を行うとともに、サイクル研究所周辺の陸域及び海域の環境放射線/環境放射能の監視を行った。施設の放射線管理及び環境監視に使用する放射線測定器については、定期的な点検・校正を行うとともに、故障時の迅速な復旧を図り、施設の放射線安全の確保に努めた。また、校正用線源等については国家標準とのトレーサビリティの維持管理を行った。令和3年度においては、放射線業務従事者の年実効線量は個人最大で5.8mSv、平均0.1mSvであった。本年度から放射線業務従事者の眼の水晶体の等価線量限度が1年間で50mSv及び5年間で100mSvに引き下げられたが、これらの限度を超える事例はなかった。再処理施設から放出された放射性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物に起因する拡散計算に基づく施設周辺の公衆の年実効線量の評価値は最大で1.8
10
mSvであった。これらはいずれも保安規定等に定められている基準未満であった。サイクル研究所周辺の環境監視の結果についても、再処理施設等のサイクル研究所施設に起因する異常は認められなかった。また、放射線防護に関連する研究開発及び技術開発の実施、それらの成果の公表にも積極的に取り組んだ。品質マネジメント活動に関しては、保安規定に基づく品質マネジメントシステムの実施、評価確認、継続的改善を行うとともに、令和2年4月1日より運用が開始された新検査制度に基づく対応を継続して実施した。
原子力安全・防災研究所 安全研究センター リスク評価・防災研究グループ
JAEA-Data/Code 2025-015, 68 Pages, 2026/02
日本原子力研究開発機構安全研究センターでは、原子力発電所事故の確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment)研究の一環として、レベル3PRAコードOSCAARの開発を行っている。OSCAARはレベル2PRAで得られたソースタームを基に、環境中に放出された放射性物質の移流、拡散、沈着を様々な気象条件に対して評価し、これらの放射性物質によって公衆が受ける被ばく線量および健康影響を確率論的に評価することができる計算コードである。OSCAARでは、実際の原子力発電所事故時に実施される防護措置による被ばく線量低減効果を考慮することができ、原子力発電所周辺住民の事故時の被ばくを低減するための対策や計画の事前策定に資する。本報告書はOSCAARバージョン2.0にて用いられている解析モデルを説明した解説書である。
Villagrasa, C.*; Baiocco, G.*; Chaoui, Z.-E.-A.*; Dingfelder, M.*; Incerti, S.*; Kundr
t, P.*; Kyriakou, I.*; 松谷 悠佑; 甲斐 健師; Parisi, A.*; et al.
PLOS ONE (Internet), 21(1), p.e0340500_1 - e0340500_22, 2026/01
被引用回数:0電離放射線被ばくの生物学的影響を理解するために重要なナノ線量測定は、分子スケールでの原子相互作用を再現するMonte Carlo Track Structure (MCTS)コードにより評価可能である。数十年にわたり独立して開発された様々なMCTSコードは、生物組織の主成分である液体水中の電子線の相互作用について、異なる物理モデルと断面積データセットを使用してきた。本研究では、様々なMCTSコード内の相互作用断面積の違いによって生じるナノ線量測定計算の不確実性を評価した。7つのMCTSコード(Geant4-DNA, PARTRAC, PHITS, MCwater、およびPTra)の計算結果から、平均電離数や2回以上の電離が起こる確率などの分子スケールの物理量に大きな相違があることが明らかとなった。最も大きな相違が確認されたのは低エネルギー電子で、相互作用断面積の寄与が不確実性の主要因であることがわかった。本成果より、断面積の相違が複雑なDNA損傷などの生物学的影響に無視できない影響を与えることが浮き彫りになった。
北谷 光; 小曽根 健嗣; 仲田 久和
JAEA-Technology 2025-011, 57 Pages, 2025/12
日本原子力研究開発機構は、研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体として、現在低レベル放射性廃棄物を対象としたトレンチ処分及びピット処分の2通りの検討を行っている。埋設施設の安全評価における被ばく線量評価には、埋設施設の浸透水量データが必要となる。浸透水量の評価には、廃棄物条件や埋設環境などによる不確実性を考慮する必要がある。そのため、本報告では、研究施設等廃棄物浅地中処分施設の概念設計の設計条件等を基にリファレンスモデルを設定し、先行事業者の申請書を参考に、最新の知見に基づいた安全評価に反映する浅地中埋設施設からの浸出水量を地下水流動解析により算出した。これにより、埋設施設の各層及び周辺土壌の透水係数が浸出水量に及ぼす影響を評価した。具体的には、有限要素法による二次元地下水流動解析コード(MIG2DF)を用いて、トレンチ埋設施設については、覆土層の経年劣化を想定した評価を行うとともにコンクリートピット埋設施設については、廃棄体に含まれる塩類の影響を想定した評価を行った。解析の結果、トレンチ埋設施設では、粘土層の透水性が劣化すると廃棄体層への浸入水量が増加し、特に排水層の透水性が低下した場合にはその傾向が一層顕著となった。これは、排水層による水平流路が機能せず、水の粘土層への浸入が促進されるためである。一方、コンクリートピット埋設施設では、粘土層の破断により周辺の流速が上昇し、廃棄体層を通過する水量が増加する現象が確認された。これらの結果は、施設の各層ごとの透水性の変化が、浸出水量にどのような影響を及ぼすかを定量的に示しており、安全評価におけるシナリオ設定や埋設施設の維持管理の方針策定に資する有効な知見といえる。
米山 海; 二田 郁子; 田中 康之; 小高 典康; 菊池 里玖; 坂野 琢真; 古瀬 貴広; 佐藤 宗一; 三本木 満; 田中 康介
JAEA-Technology 2025-008, 44 Pages, 2025/12
東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(1F)の廃炉に向け、原子炉建屋格納容器内部の調査が行われている。燃料デブリの取出しや建屋解体の作業を安全に進めるためには、汚染状況を把握し、作業の計画や作業者の被ばくを管理する必要がある。本件は、2号機原子炉格納容器貫通部X-6(X-6ペネ)内の堆積物について、含まれる元素、放射性核種濃度、核種組成を把握することを目的に分析を実施した。本分析の対象試料は、スミヤろ紙に付着したX-6ペネ内部の堆積物である。堆積物に含まれる
核種の把握、また、元素や元素の共存の様子を把握するため、非破壊分析として
線スペクトル分析、蛍光X線(XRF)分析、走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線(SEM-EDX)分析を実施した。さらに、堆積物に含まれる放射性核種やその組成を詳細に明らかにするために、堆積物を硝酸及びフッ化水素酸で溶解し、溶解液中の
核種、Sr-90及び
核種の放射能分析を実施した。得られた結果を、2020年にX-6ペネ内の異なる場所で採取された堆積物の分析結果と比較した。非破壊での
線スペクトル分析では、Co-60、Sb-125、Cs-134、Cs-137、Eu-154、Eu-155及びAm-241が検出された。XRF分析では、格納容器内の構造物由来と考えられるFeが主要な元素として検出され、そのほか燃料や燃料被覆管に由来すると考えられる微量のU及びZrが検出された。SEMEDX分析の結果では、堆積物の主要な元素としてOとFeが検出されたことに加え、Uを含む粒子が観察され、UとともにFe、Si、Cr、Ni、Zrが検出された。これらの結果は2020年採取試料と同様の傾向であった。放射能分析では、非破壊測定で検出された
核種(Co-60、Sb-125、Cs-134、Cs-137、Eu-154、Eu-155)に加えて、Sr-90、Pu-238、Pu-239+240、Am-241、Cm-244、U-235、U-238の定量値を得た。これらの結果をもとに、1F事故に由来する汚染の主要な
線放出核種であるCs-137を基準とした放射能比を算出した。さらに、U-238に対する放射能比についても算出し、ORIGENによる2号機の燃料組成の計算値と比較した。
松尾 一樹; 井上 和美; 國分 祐司; 藤田 博喜
KEK Proceedings 2025-2(インターネット), p.124 - 129, 2025/12
福島第一原子力発電所の廃炉作業において、作業者による放射性物質の内部取り込みが発生した場合には、内部被ばくによる線量評価を行うために様々な
線放出核種や純
線放出核種を対象としたバイオアッセイが必要となる。このバイオアッセイの手順に関して、放射能測定法シリーズのような標準マニュアル等はこれまでに制定されていない。そこで、本研究では、複数の放射性元素(Sr、U、Pu、Am、Cm)を対象としたより迅速な分析法の確立を目指し、文献を調査して分析手順を作成し、その手順が利用できる可能性を評価するために、化学分析回収率を求めた。なお、この検討には、模擬便と模擬尿を使用した。作成した分析法を用いて回収率を求めたところ、模擬尿(n=3)では、Puについては55%-75%程度、Uについては50%-80%程度、Amについては90%-100%程度であった。一方、模擬便(n=3)については、回収率がPuについては50%-70%程度、Uについては90%程度、Amについては100%前後であった。なお、模擬便においては、図の分析フローではUの回収率が低下したため、UTEVAレジンをTEVAとDGAの間に加えた。なお、Srについては回収率測定中である。作成したバイオアッセイ系統分析法の分析フローに対して、回収率取得実験を実施した。その結果、本研究で検討した
線放出核種については50%以上の回収率を得られたため、本分析手順はバイオアッセイに利用できる可能性が示された。
勝沼 泰*; 佐藤 薫
Pediatric Radiology, 15 Pages, 2025/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Pediatrics)小児脊柱側弯症においては、経過観察を目的として全脊椎X線撮影が繰り返し行われることから、放射線感受性が高く、胴体前部に位置する臓器の被ばく線量が増加する傾向がある。そのため、撮影プロトコルの最適化が必要とされていた。そこで、本研究では、小児フロリダ大学ファントム(5、10、15才)及びPHITSを組み合わせることにより、全脊椎X線撮影を模擬し、銅フィルタの有無及び撮影方向(前方:AP、後方:PA)が臓器線量に及ぼす影響を解析した。その結果、PA撮影の場合、胴体後部に位置する腎臓や赤色骨髄の線量はAP撮影と比較して増加するのに対して、胴体前部に位置する乳房や甲状腺の線量は約80-93%減少し、実効線量についても半減することが示された。加えて銅フィルタの利用により、臓器線量は約5-19%減少した。以上のことから、小児全脊椎X線撮影においては、年齢に応じて変化する臓器位置を考慮しつつ、銅フィルタを用いたPA撮影を行うことが、被ばく線量低減のための撮影プロトコルとして有用であると考えられる。
勝沼 泰*; 佐藤 薫; 長谷川 隆幸*; 古場 裕介*
Radiological Physics and Technology, 14 Pages, 2025/12
近年、くも膜下出血や脳腫瘍、頭部外傷の診断のためにCT装置を用いた頭部撮影が頻繁に行われている。一方、頭部に位置する水晶体は、放射線被ばくにより白内障リスクが高まることから、被ばく線量の低減が重要な課題となる。そのため、CT装置のガントリ(X線の発生部と検出器)の角度を調整する撮影法が水晶体線量低減の手段として注目されている。しかし、具体的な角度や撮影範囲はプロトコールで定義されていなかった。本研究では、原子力機構が開発したJF103ファントムとPHITSコードを用いて頭部CT撮影で放出されるX線の挙動を模擬し、体内線量分布を解析した。その結果、ガントリ角度と撮影範囲を最適化することで水晶体への線量を有意に低減できることを定量的に示した。本知見は、頭部CT撮影において水晶体防護を最適化するためのプロトコール改訂において重要となる。
渡辺 夏帆; 西山 裕; 今橋 正樹; 田口 祐司; 飯塚 由伸; 大内 卓哉; 井上 修一; 小澤 太教; 根本 隆弘; 菅谷 孝; et al.
JAEA-Testing 2025-001, 56 Pages, 2025/11
日本原子力研究開発機構(JAEA)福島廃炉安全工学研究所安全管理部遠隔機材運用課(旧:楢葉遠隔技術開発センター(Naraha Center for Remote Control Technology Development (NARREC))遠隔機材整備運用課)(以下「運用課」という。)所管の原子力緊急事態支援組織は、JAEA各拠点の防災業務計画に定められた遠隔機材を発災時に備え管理している。当該防災業務計画の対象は、原子力科学研究所のJRR-3 (Japan Research Reactor-3)、核燃料サイクル工学研究所の再処理施設、大洗原子力工学研究所の材料試験炉JMTR (Japan Materials Testing Reactor)、高温工学試験研究炉HTTR (High Temperature Engineering Test Reactor)及び高速実験炉常陽、高速増殖原型炉もんじゅ及び新型転換炉原型炉ふげんの7施設である。運用課は、令和3年度に当該7施設の想定発災事象・現場及び走行ルートの調査を行った。その結果、特定の現場において、現有のクローラタイプの走行ロボットの使用よりも操作要員の被ばくを低減できると判断し、令和4年度に四足歩行ロボットSpotを調達した。そして令和5年度に、当該各走行ルートにおいて、映像確認、階段走行等、Spotの機能が問題なく実行できるか、確認を行った。本報告書は、現地において令和5年度に確認試験を実施した6施設(JRR-3、JMTR、HTTR、常陽、もんじゅ及びふげん)について、その走行機能確認の結果を示したものである。
原子力安全・防災研究所 安全研究センター リスク評価・防災研究グループ
JAEA-Testing 2025-004, 75 Pages, 2025/10
原子力施設で緊急事態が発生した場合には、施設周辺の公衆への放射線被ばくを低減するため、避難や屋内退避などの防護措置が実施される。これらの防護措置の必要性を判断する際には、刻々と変化する施設内外の状況及びそれに伴って得られる各種の情報を適切に反映し、放射性核種の大気への放出源情報(ソースターム)の推定から周辺環境への放射線影響までを迅速かつ一貫して評価する必要がある。日本原子力研究開発機構では、原子力緊急事態に実際に対応する段階において、防護措置に関する判断を行う意思決定者を支援するため、迅速かつ一貫した評価を可能とするための専門家支援ツールEXTREMEを開発した。同ツールは、事故進展並びに環境中移行及び被ばく線量評価のための簡易モデルを実装し、また、ユーザーが容易に操作できるようにPCベースのグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)で利用することができる。本報告書では、開発・整備した支援ツールの使用方法について、GUIの構成と計算の流れを中心にして記述する。本支援ツールを利用することにより、原子力緊急事態において防護措置の判断や決定を行う意思決定者をより効果的に支援できることが期待される。
廃炉環境国際共同研究センター; 東京科学大学*
JAEA-Review 2025-016, 143 Pages, 2025/10
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和5年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下、「1F」という。)の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和3年度に採択された研究課題のうち、「福島原子力発電所事故由来の難固定核種の新規ハイブリッド固化への挑戦と合理的な処分概念の構築・安全評価」の令和3年度から令和5年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、1F事故で発生した多様な廃棄物を対象とし、固定化が難しく長期被ばく線量を支配するヨウ素(I)、
核種のマイナーアクチノイド(MA)に注目し、これらのセラミクス1次固化体を、さらに特性評価モデルに実績を有するSUSやジルカロイといったマトリクス材料中に熱間等方圧加圧法(HIP)等で固定化した"ハイブリッド固化体"とすることを提案する。核種閉じ込めの多重化、長期評価モデルの信頼性の向上により実効性・実用性のある廃棄体とし、処分概念を具体化する。潜在的有害度及び核種移行の観点から処分後の被ばく線量評価を行い、安全かつ合理的な廃棄体化法、処分方法の構築を目的としている。最終年度の令和5年度は、廃棄物合成から処分検討までの全サブテーマを結節させ、ハイブリッド固化体概念の有効性を提示した。多様な廃棄物としてALPS、AREVA沈殿系廃棄物、AgI、廃銀吸着剤、セリア吸着剤、ヨウ素アパタイト等と多様な金属や酸化物マトリクスとの適合性を、本研究で提案した迅速焼結可能なSPS法で探査後にHIP法での廃棄体化挙動を調べる方法により調査し、多くの廃棄物にとりステンレス鋼(SUS)をマトリクスとしたハイブリッド固化体が優位であることを明らかにした。さらに、核種移行計算をベースとした廃棄物処分概念検討を実施し、1F廃炉研究において、初めて廃棄物合成から安全評価までを結節させることに成功した。
原子力安全・防災研究所 安全研究センター リスク評価・防災研究グループ
JAEA-Data/Code 2025-010, 110 Pages, 2025/10
原子力施設で緊急事態が発生した場合には、施設周辺の公衆への放射線被ばくを低減するため、避難や屋内退避などの防護措置が実施される。これらの防護措置の必要性を判断する際には、刻々と変化する施設内外の状況及びそれに伴って得られる各種の情報を適切に反映し、放射性物質の大気への放出源情報(ソースターム)から周辺環境への放射線影響までを迅速かつ一貫して評価する必要がある。しかし、施設内外の状況や各種情報は膨大な量であり、かつ、判断の根拠として利用可能なものとして提供するためにはそれらの情報を適宜、適切に処理しなければならず、炉内情報や被ばく評価に関する専門知識とそれらを処理するための事前の準備が不可欠である。本研究では、上記のような背景の下、原子力緊急事態の防護措置の判断において、膨大な情報を迅速に処理し判断の根拠となる情報を提供することを目的として、原子力緊急事態への対応における専門家支援ツールEXTREME(EXpert support Tool for Responding to a nuclear EMErgency)を開発した。このツールは、炉内情報をもとに簡易ソースタームを評価する機能と、その結果に基づいて施設周辺での被ばく線量を評価する機能を有しており、また、緊急時においてもユーザーが容易に操作できるようにPCベースのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)も実装している。本報告書では、これらの機能において用いられている解析モデルと入出力データファイル並びに試計算結果について記載した。
佐藤 薫
Isotope News, (801), p.6 - 9, 2025/10
ICRPは、幹細胞領域に関する最新の放射線防護上の科学的知見を2012年に提言した。一方、体格は被ばく線量に影響するため、国内における線量評価・管理においては、欧米人より小柄な日本人の体格特性を考慮する必要がある。しかし、微小で複雑な構造を持つ幹細胞領域を体内に定義した線量評価用の成人日本人人体モデルは、これまでに存在しなかった。そこで、報告者は日本人の体格特性を考慮した線量解析等に利用するため、平均的成人日本人のポリゴン型人体モデル(男性:JPM、女性:JPF)の開発を進めてきた。今回、JPM及びJPFの消化管、膀胱、水晶体等の組織内に幹細胞領域を画像処理により新たに定義した。JPM及びJPFは、日本人の体格特性を考慮しつつ、幹細胞領域を含む臓器・組織の被ばく線量を評価することが可能な唯一の人体モデルとして、医療や原子力分野での被ばく管理・防護の最適化等への活用が期待される。本稿では、JPM及びJPFの概要について述べる。
横塚 恵莉*; 清藤 一*; 岡 壽崇; 熊谷 友多; 長澤 尚胤*
Isotope News, (801), p.46 - 48, 2025/10
放射線によって歯のエナメル質に生成する長寿命の炭酸ラジカルを電子スピン共鳴(ESR)測定することで被ばく線量評価を行うESR線量評価法は、Gyオーダーの線量を検出できるだけでなく、従来のアラニン線量計と比べて高感度なため1Gy未満の線量も評価できる。そこで、本研究では、炭酸ラジカルをプローブとした広線量域測定可能な線量計を開発するため、新規線量計基材として歯の再生材料である炭酸アパタイトを合成した。吸収線量に対する炭酸アパタイトの炭酸ラジカルの強度は線量の増加に対して線形性を示したことから、新規線量計の素子材料として使用できることがわかった。
吉村 和也
環境創造センター調査研究成果報告書; 平成27年度(2015)
令和6年度(2024)(インターネット), P. 22, 2025/10
避難指示区域解除に向けて開発してきた外部被ばく線量評価手法を紹介すると共に、除染検証委員会への資料提供など社会への活用事例について紹介する。
中西 貴宏
環境創造センター調査研究成果報告書; 平成27年度(2015)
令和6年度(2024)(インターネット), P. 91, 2025/10
福島第一原子力発電所(1F)の事故によって山地森林に沈着した放射性セシウム(
Cs)の一部は、現在も環境中を少しずつ移動している。なかでも、河川を経由した
Cs流出は生活圏や沿岸海洋への再移動となるため、定量的な評価結果を提供することが被ばく線量の将来予測等、住民の安全・安心につながる。そのため、原子力機構では1F近傍の複数河川において流域から河川を経由した
Csの流出・堆積挙動について総括的な調査・評価を実施してきた。本稿では、請戸川・高瀬川流域における調査結果を報告する。
佐藤 優樹
倉田奨励金研究報告書(インターネット), 54, 3 Pages, 2025/10
福島第一原子力発電所の廃止措置において、作業員の被ばくを減らし、効果的な除染を行うためには、放射能汚染の正確な位置特定が重要である。本研究ではコンプトンカメラで取得した放射線源のイメージに逆推定技術を適用し、複数の放射線源の3次元的な位置と放射能レベルを特定する手法を提案した。複数の既知の放射線源のイメージを準備し、係数を乗じて足し合わせて未知の放射線源のイメージを再現することで、未知の放射能を推定するものである。
池之上 翼; 谷 享*; 川村 英之; 佐藤 雄飛*
Environmental Science & Technology, 59(38), p.20588 - 20594, 2025/09
被引用回数:1 パーセンタイル:53.14(Engineering, Environmental)2023年以降、福島第一原子力発電所(1F)事故由来のトリチウムを含むALPS処理水が海洋放出されている。福島沿岸で採取された海産物のモニタリングの結果はトリチウム濃度の増加はごくわずかであることが示した。しかし、このモニタリングには、データ公開の遅れやサンプル数の制限といった制約がある。したがって、海産物に高濃度のトリチウムが蓄積する可能性を正確に評価するためには、予測による推定が必要である。本研究では、数値シミュレーションを用いて福島沿岸におけるヒラメ中トリチウム濃度を推定した。この推定では、トリチウム水(HTO)の海洋拡散モデルと海洋生物へのトリチウム移行モデルを組み合わせた。ヒラメへのトリチウムの蓄積は、生物中に長期間留まるトリチウムの化学形態である有機結合型トリチウム(OBT)として評価された。まず、海洋拡散モデルの再現性を福島沿岸の実測データを用いて検証し、計算結果と実測データとがよく一致することを確認した。次に、1Fからのトリチウム放出量を仮想的に最大と設定した場合のヒラメ中OBT濃度を推定した。その結果、1Fから100km以内の距離の場所であっても、OBTの最大濃度は環境水中のトリチウムの自然レベルと同程度であることが示された。また、本研究で推定されたヒラメ中OBT濃度の最大値に基づくと、ヒラメの摂取による内部被ばく量は無視できるレベルであった。