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外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣
JAEA-Review 2022-049, 76 Pages, 2023/01
原子力施設の建設前及び操業開始後には、平常運転時及び事故時に対する環境影響評価が行われる。これらは、周辺住民の安全の確認と安心の醸成を図ることを主たる目的としている。環境影響評価には、施設周辺の環境モニタリング等による観測・測定と計算モデルによるモデル推定が用いられ、状況や必要性などに応じてそれらのどちらか、あるいは両方を併用して実施される。本報告書では、原子力施設の環境影響評価において利用される観測・測定とモデル推定について、青森県六ヶ所村再処理施設を主たる例として、まず各々の方法、役割と長短、相互の関係性を調査する。次に、観測・測定データとモデル推定結果の代表的な用途例を示し、使用に際しての留意点などを検討する。最後に、観測・測定とモデル推定の高度化や両者の融合という今後の方向性を記述する。
外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣; 永井 晴康
JAEA-Review 2021-021, 61 Pages, 2021/11
東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を契機として、原子力防災への大気拡散モデルの利用について、様々な状況とレベルで論争は続いた。しかし、計算モデルによる予測は原子力災害対策に使用可能かどうかといった二者択一の極端な議論が多く、緊急時対応の科学的検証に基づいて丁寧に議論されてきたとは言い難かった。一方、日本原子力研究開発機構(原子力機構)内外には、大気拡散モデルやその解析結果の潜在的利用希望者が少なからず存在することが分かったが、複数の種類がある大気拡散モデルについて、その目的と用途に応じた使い分けに関して理解不足と誤解があることが見受けられた。本報告書では、原子力防災に利用される大気拡散モデルについて、原子力機構で開発または使用されているモデルを中心として、モデルの概要や計算手法等を比較するとともに、それらのモデルを利用した解析例を記述した。これにより、原子力機構内外における大気拡散モデルの潜在的利用希望者に対して、今後の検討や活動に参考となることを目的とした。
平山 英夫*; 川崎 将亜; 松村 宏*; 大倉 毅史; 波戸 芳仁*; 佐波 俊哉*; 滝 光成; 大石 哲也; 吉澤 道夫
Insights Concerning the Fukushima Daiichi Nuclear Accident, Vol.4; Endeavors by Scientists, p.295 - 307, 2021/10
A method of deducing the I-131 concentration in a radioactive plume from the time history of peak count rates determined from pulse height spectra obtained from an NaI(Tl) scintillation detector employed as a detector of a monitoring post was presented. The concentrations of I-131 in the plumes were estimated from the count rates using the calculated response of the NaI(Tl) detector with egs5 for a model of a plume uniformly containing I-131. This method was applied to the data from the monitoring posts at Nuclear Science Research Institutes of Japan Atomic Energy Agency (JAEA). The estimated time history variation of I-131 concentrations in plumes was in fair agreement with those measured directly by an air sampling method. The difference was less than a factor of 4 for plumes that arrived on March 15 and March 21, indicating relatively high I-131 concentrations among the plumes studied in this work.
中野 政尚; 細見 健二; 西村 周作; 松原 菜摘; 大倉 毅史; 倉持 彰彦; 川崎 将亜; 竹内 絵里奈; 藤井 裕*; 神野 職*; et al.
保健物理(インターネット), 55(2), p.102 - 109, 2020/06
2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、茨城県の環境放射線モニタリング結果の一部に上昇が観測された。技術的観点からモニタリングデータの変動等について意見交換する場として、「福島第一原発事故による環境影響検討会」を設置し、4つの原子力事業所からモニタリングデータを収集し、変動傾向, Cs/Cs放射能比等を検討した。本報告では線量率と、降下じん, 表土, カレイ・ヒラメ, 海底土中Csの検討結果について紹介する。また、検討会における課題解決についても紹介する。
廣内 淳; 大倉 毅史; 佐藤 大樹
日本原子力学会誌ATOMO, 59(3), p.152 - 155, 2017/03
本報告は、日本原子力学会2016年秋の大会において行われた保健物理・環境科学部会企画セッションのとりまとめである。環境測定、環境影響、健康影響の各テーマで、福島第一原子力発電所事故から今まで得られた知見、今後の研究の展開・課題に関する講演が行われた。講演後に会場全体でディスカッションが行われ、今後事故が起きた際に、今回の事故よりも迅速かつ適切に対応するためには今何をすべきか、幅広い分野とのつながりの重要性が主に議論された。
平山 英夫*; 川崎 将亜; 松村 宏*; 大倉 毅史; 波戸 芳仁*; 佐波 俊哉*; 滝 光成; 大石 哲也; 吉澤 道夫
日本原子力学会和文論文誌, 13(3), p.119 - 126, 2014/09
モニタリングポストの検出器として使用されるNaI(Tl)シンチレーション検出器から得られるパルス波高スペクトルから得られるピーク計数率の時系列変化から放射性プルーム中のI-131濃度を推測する方法が示された。プルーム中のI-131濃度は、I-131を一様に含むプルームのモデルに対して、egs5を用いたNaI(Tl)検出器の応答計算を用いて計数率から推定された。この方法を日本原子力研究開発機構原子力科学研究所のモニタリングポストで得られたデータに適用した。プルーム中のI-131濃度の推定された時系列変化は、空気サンプリング法で直接測定されたものとよく一致した。今回調査した比較的高いI-131濃度を示す3月15日と3月21日に飛来したプルームでは、その差はファクター4以下であった。
大倉 毅史; 大石 哲也; 滝 光成; 芝沼 行男; 菊地 正光; 秋野 仁志; 菊田 恭章; 川崎 将亜; 三枝 純; 堤 正博; et al.
JAEA-Data/Code 2012-010, 37 Pages, 2012/05
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によってもたらされた福島第一原子力発電所事故に伴い、原子力科学研究所では、緊急時環境放射線モニタリングを実施した。2011年6月上旬までのモニタリングで得られた結果を提供する。空気試料からはCs-134, Cs-137, I-131, I-132, Te-132, Xe-133などの人為由来放射性核種が検出された。2011年3月15日以降、空間線量率に連動して、大気中放射性物質濃度の変化した。それぞれのピークでの組成はさまざまな特徴を示した。実測された大気中放射性核種濃度を用いて、吸入摂取によってもたらされる内部被ばくを見積もった。
藤田 博喜; 永岡 美佳; 河野 恭彦; 竹安 正則; 川崎 将亜; 大倉 毅史; 辻村 憲雄; 住谷 秀一; 百瀬 琢麿; 古田 定昭
Proceedings of 13th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-13) (Internet), 7 Pages, 2012/05
福島第一原子力発電所事故が発生し、その事故により放出された放射性物質が、われわれの研究所まで到達し、その周辺における環境モニタリングを強化した。その特別モニタリングにおいては、線量率の監視,大気中塵埃及び降下塵の採取,測定を独自に行った。さらに、通常の環境モニタリングで行っている雨水や大気中水分についても分析を行った。幾つかの試料では、福島第一原発から放出された放射能を含んでSr, I, CsやCsが検出された。また、通常の環境モニタリングとして行っている海水や海底土等でも福島原発事故の影響が見られた。
大倉 毅史; 山澤 弘実*; 森泉 純*; 平尾 茂一*; 飯田 孝夫*
保健物理, 45(3), p.270 - 277, 2010/09
八丈島で観測されている大気中Rnに対する島起源のRn寄与を評価するために、八丈島島内で土壌-大気Rn散逸率及び土壌中Ra含有量の測定を行った。名古屋でのRn散逸率及び乾燥土壌中Ra含有量がそれぞれ9.7mBq ms, 23.2Bq kgであったのに対し、八丈島でのRn散逸率及び乾燥土壌中Ra含有量は、それぞれ0.88mBq ms, 6.8Bq kgであった。土壌中Ra含有量が少ないことが、Rn散逸率が低い一因である。このRn散逸率を用いて、島起源Rnの寄与を簡便なモデルにより見積もったところ、島起源Rnによる濃度上昇は、平均的な夜間の状態で、0.0350.072Bq m(寄与率412%)あり、昼間の状態ではさらに小さくなる。これらの結果から、測定器の特性を踏まえると、長距離輸送によってもたらされた大気中Rn(0.53.0Bq m)に比較して島起源Rnの影響は無視できる程度に小さい。八丈島で観測されるRnは、大陸や日本列島で散逸した長距離輸送成分Rnを観察するのに適しているといえる。
大倉 毅史; 山澤 弘実*; 森泉 純*; 平尾 茂一*; Guo, Q.*; 遠嶋 康徳*; 飯田 孝夫*
Proceedings of 3rd Asian and Oceanic Congress on Radiation Protection (AOCRP-3) (CD-ROM), 3 Pages, 2010/05
大気中Rnを大気の広域輸送の諸現象を解明するためのトレーサーとするため、東アジア域において大気中Rn濃度の連続測定ネットワークを構築した。北京,名古屋,舳倉島,八丈島,波照間島などにおいて測定した。陸域に位置する北京,名古屋において高い濃度のRnが観測され、海域に位置する八丈島,波照間島においては、低い濃度のRnが観測された。大気中Rn濃度の季節変動では、夏季に最も低く冬季に最も高い傾向が見られる。短周期の変動トレンドは、北京,名古屋では、1日周期の変動が見られ、八丈島,波照間島においては、1日周期の変動は観測されず、数日周期の変動が観測された。八丈島での大気中Rn濃度の数日周期変動は、総観規模の大気擾乱に依存していることが確認された。後方流跡線を用いて、八丈島における大気中Rn濃度と大気の輸送経路の関係を解析したところ、八丈島における大気中Rn濃度は大気の輸送経路に密接に関係しており、八丈島で観測されるRnは、おもに中国大陸北部からシベリアや日本列島を起源としたRnの長距離輸送成分に強く依存することが明らかになった。
大倉 毅史; 大石 哲也; 森山 弘文; 宮河 直人
JAEA-Testing 2009-009, 46 Pages, 2010/03
原子力科学研究所では、「発電用原子炉施設の安全解析に関する気象指針」(昭和57年1月28日原子力安全委員会決定,平成13年3月29日一部改訂)に基づき、研究所敷地内で気象観測を実施している。本報告書は、2005年4月から実施された気象観測場の変更に伴う影響評価を報告するものである。
大倉 毅史; 山澤 弘実*; 森泉 純*; 平尾 茂一*; Guo, Q.*; 遠嶋 康徳*; 飯田 孝夫*
大気環境学会誌, 44(1), p.42 - 51, 2009/01
大気中Rnを大気の広域輸送の諸現象を解明するためのトレーサーとするため、東アジア域において大気中Rn濃度の連続測定ネットワークを構築した。測定点は、北京,名古屋,舳倉島,八丈島,波照間島などである。陸域に位置する北京,名古屋において高い濃度のRnが観測され、海域に位置する八丈島,波照間島においては、低い濃度のRnが観測された。大気中Rn濃度の季節変動では、夏季に最も低く冬季に最も高い傾向が見られる。短周期の変動トレンドについては、北京,名古屋では、1日周期の変動が見られ、八丈島,波照間島においては、1日周期の変動は観測されず、数日周期の変動が観測された。八丈島での大気中Rn濃度の数日周期変動は、総観規模の大気擾乱に依存していることが確認された。後方流跡線を用いて、八丈島における大気中Rn濃度と大気の輸送経路の関係を解析したところ、八丈島における大気中Rn濃度は大気の輸送経路に密接に関係しており、八丈島で観測されるRnは、おもに中国大陸北部からシベリアや日本列島を起源としたRnの長距離輸送成分に強く依存することが明らかになった。
中村 暢彦; 松田 誠; 仲野谷 孝充; 株本 裕史; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 石井 哲朗; 浅井 雅人; 大倉 毅史
JAEA-Technology 2008-052, 17 Pages, 2008/07
原子力機構タンデム加速器建家地下通路において有意なアルファ線が検出されたため、検出箇所周辺のサーベイを行いつつ、アルファ線放出核種の同定を進めた。サーベイ作業中に検出箇所のコンクリートに亀裂があるのを発見し、この亀裂から放射性気体が漏出していると推定できる事象を得た。さらに、この亀裂上部で線の直接測定を行い、測定された線はすべて環境放射線であることを確認した。この気体はラドンであろうと予想できるが、一般に大気中のラドンを捕集して直接同定するのは簡単ではない。そこで、われわれは静電気捕集法を用いてこの気体の同定を試みた。今回用いた捕集方法は特別な装置を使用しない簡便な手法であるが、アルファ線及び線を測定することにより捕集した核種を同定できた。本報告ではわれわれが行った静電気捕集と、捕集したラドンの崩壊生成物であるPo, Pb及びBiの同定について述べる。これらの調査より、この放射性気体がRnであると結論した。
西沢 匡人; 永井 晴康; 茅野 政道; 森泉 純*; 吉岡 勝廣*; 大倉 毅史; 山澤 弘実*; 飯田 孝夫*; 向井 人史*; 遠嶋 康徳*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(11), p.1458 - 1466, 2007/11
被引用回数:5 パーセンタイル:37.06(Nuclear Science & Technology)メソスケール気象モデルと結合したRnとその壊変生成物のための3次元オイラー型数値モデルを開発し、モデル性能の検証のために日本におけるRn濃度の日・月変動、Pb沈着量の月変動、そして日本海沿岸部における寒冷前線通過後の線量率の上昇事象の再現に適用した。得られた結果は次の通りである。(1)モデルは離島における地上Rn濃度の月変動を再現した。しかし内陸では過小評価した。理由としてモデルの地上付近における粗い鉛直解像度が挙げられる。(2)モデルは、降水量が適切に再現されているならば観測されたPb沈着量の季節変動を再現できる。(3)モデルは寒冷前線通過時の降水による線量率の上昇を再現した。特に、融解した雪とあられに含まれたRnの壊変生成物が線量率の上昇に寄与した。
大倉 毅史; Feistenauer, P.*; Meisenberg, O.*; 篠永 妙子*; Tschiersch, J.*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故後に、原子力科学研究所で行われた大気中放射性物質モニタリングの結果について再評価を行った。事故直後の汚染環境下での測定におけるバックグラウンド(BG)評価について、Helmholtz Zentrum Mnchen (ドイツ)での再測定結果との比較により検証した。被ばく評価に重要なレベルの濃度の試料では、不確かさの範囲内で一致し、BGの評価方法として適切であったことが確認できた。一部の相対的低濃度の試料で差異がみられた。大気中濃度が大きく変化するときに、より適切なBG評価が困難であり、差異を生じさせていると考えられる。塵埃捕集用ろ紙(HE-40TA)の後段に配置された活性炭カートリッジ(CHC-50)から、放射性セシウムが検出されたことの原因を、放射性セシウムの粒度分布とHE-40TAの特性に着目し検証した。放射性セシウムの粒度分布は、捕集された塵埃をHE-40TAから分離し、カスケードインパクターに捕集することにより実験的に求められた。放射性セシウムの粒度分布とHE-40TAの特性から、約1%から5%程度の放射性セシウムがHE-40TAを透過していると見積もった。
大倉 毅史; Meisenberg, O.*; Feistenauer, P.*; 篠永 妙子*; Tschiersch, J.*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時に原子力科学研究所で行われた大気中放射性物質モニタリングにより塵埃捕集用ろ紙(HE-40TA)に捕集された放射性セシウム塵埃の粒度分布の測定を行った。本実験では、HE-40TA上に捕集された放射性塵埃を蒸留水中に離脱させ、ネビュライザーを用いて溶液中の放射性塵埃を抽出し、カスケードインパクターに捕集した。放射性セシウム塵埃の粒度分布測定は、採取地点(3地点)、採取時期の違いに着目して行った。田畑に囲まれた環境での放射性セシウム塵埃の粒度分布は、事故直後には、0.3m付近にピークを持つ単峰型分布が見られ、時間が経過するにつれて、0.3m付近のほか1-2m付近にもピークを持つ二峰型分布が見られた。一方、樹木に囲まれた環境での分布は、事故直後も、事故からの時間が経過してからも0.3m付近にピークを持つ単峰型分布であった。オートラジオグラフィによる放射性塵埃の分布の様子、参考文献による大気塵埃の粒度分布の特性などを踏まえ、1- 2m付近のピークは、再浮遊による放射性塵埃と推定した。
大倉 毅史; 大石 哲也; 宮内 英明; 吉富 寛; 橘 晴夫; 東 大輔; 鈴木 朗史*; 小林 育夫*
no journal, ,
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所では、原子炉施設等の周辺において積算線量計(ガラス線量計(SC-1))を用いた環境線モニタリングを実施している。各種素子による環境線モニタリングの適用性を確認することは、緊急的に広範にわたりモニタリングを実施するうえでも重要であると考える。そこで、個人被ばく管理用の素子として既に実用化されている長瀬ランダウアによるOSL線量計の、環境線モニタリングへの適用可能性を検討した。OSL線量計とガラス線量計との、3か月間の並行配置による比較測定を1年間にわたり実施した。その結果、OSL線量計は、3か月間配置では、広範囲の環境線モニタリングに適用可能な素子性能をガラス線量計と同程度に有していることを確認した。しかし、読み取り機の精度や手法に起因すると思われる測定値のバラツキ,素子間のバラツキがガラス線量計より大きかった。今後、バラツキの原因を調査し、安定したモニタリング手法の確立を目指す。
大倉 毅史; 大森 修平; 川崎 将亜
no journal, ,
原子力機構原子力科学研究所(以下、原科研)(茨城県東海村)では、原子力施設周辺の空間線量率の連続監視を複数の観測地点で行っているが、福島第一原子力発電所事故(福島事故)の影響が、原子力施設からの影響を監視する上での障害となっている。福島事故から2016年に至る間の原科研における空間線量率から、福島事故影響の成分を分離し、その環境要因による変動を統計的に解析した。その結果の時間的推移を定量的に評価した。今後の空間線量率の推移の予測などに用いることで、福島事故による影響と原子力施設からの影響の弁別方法の構築による監視の最適化のための基礎資料とする。
大倉 毅史; 大石 哲也; 森山 弘文; 宮河 直人
no journal, ,
原子力科学研究所において、各種法令等に基づいて測定されている環境中空間線量率は、降雨に伴い、上昇する。これは、上空の塵に付着した放射性核種が降水過程において、地表付近まで輸送されることによることが知られている。空間線量率の監視において、原子力施設での異常時などに、施設からの放出に伴う上昇か、降水による自然現象に伴うものかを判別することが求められる。降水の際の上昇の度合いは、必ずしも一定ではないため、その判断を困難にしている。本調査においては、後方流跡線を用いて、降雨とともに降下する自然放射性核種の起源を特定することにより、線量率上昇時における、異常の有無を判断するための材料を提供する。(1)積算降水量が同程度の場合は、大陸のセクターの属する時ほど、単位降水量あたりの上昇度が大きかった。(2)海域を通過している時間が長いほど、単位降水量あたりの上昇度が低かった。(3)地上1000m, 2000m, 3000mともに海洋セクターに分類される場合で上昇度が高い事例はなかった。以上より、降水時の線量率上昇の度合いは、ラドン-222系列核種の輸送経路に大きく依存していることが明確に示された。
Tschiersch, J.*; Spielmann, V.*; 篠永 妙子*; Hurkamp, K.*; 吉村 和也; 大倉 毅史; 飯島 和毅; 宮原 要
no journal, ,
Radioactive aerosol (Cs) sampled after the Fukushima Daiichi accident at Tokai-mura are compared to aerosol of remediation actions in the Fukushima exclusion zone concerning on activity size distribution and solubility type. The solubility changed from the type Fast-Moderate for the primary plume to the type Moderate-Slow for the resuspended aerosol. The doses determined with the measured parameters were compared to those using ICRP default values. Variability was studied and the range of potential inhalation dose was assessed for both types of radioactive aerosol.