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論文

抗酸化物質エダラボンによる活性酸素除去およびDNA酸化損傷の化学的修復

端 邦樹; Lin, M.*; 横谷 明徳*; 藤井 健太郎*; 山下 真一*; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*

放射線化学(インターネット), (103), p.29 - 34, 2017/04

エダラボン(3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン)は高い抗酸化作用を示す物質である。本研究では、$${}^{bullet}$$OHやN$$^{bullet}$$$$_{3}$$等の酸化性ラジカルとエダラボンとの反応をパルスラジオリシス法によって測定し、発生するエダラボンラジカルの生成挙動を観察した。その結果、$${}^{bullet}$$OH以外の酸化性ラジカルとの反応は電子移動反応であるが、$${}^{bullet}$$OHとは付加体を形成することが分かった。また、DNAのモノマーであるdeoxyguanosine monophosphate(dGMP)の一電子酸化型のラジカルとの反応についても調べたところ、電子移動反応によって非常に効率よくdGMPラジカルを還元することが示された。エダラボンを添加したプラスミドDNA水溶液への$$gamma$$線照射実験によって、実際のDNA上に発生したラジカルの除去効果を調べたところ、塩基損傷の前駆体に対してエダラボンが作用することが示された。これらの結果は、生体内においてエダラボンが酸化性ラジカルの捕捉作用だけでなく、ラジカルによって酸化されたDNAを化学的に修復する作用も示すことを示唆するものである。

論文

Quick measurement of continuous absorption spectrum in ion beam pulse radiolysis; Application of optical multi-channel detector into transient species observation

岩松 和宏*; 室屋 裕佐*; 山下 真一*; 木村 敦; 田口 光正; 勝村 庸介*

Radiation Physics and Chemistry, 119, p.213 - 217, 2016/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:75.52(Chemistry, Physical)

TIARA施設において、多チャンネルの光検出器を利用した、200から950nmまでの波長範囲を計測可能な光吸収スペクトル測定システムを構築し、AVFサイクロトロンからの12.5MeV/u He, 18.3MeV/u C及び17.5MeV/u Neイオンを用いた時間分解光吸収測定実験を行った。放射線化学反応のよく調べられているKSCN水溶液を試料としてイオン照射した結果、従来の100分の1程度の計測時間で(SCN)$$_{2}$$ $$^{-}$$の過渡吸収スペクトルが観測され、260-660nmにおける吸光度の感度は0.001-0.003であった。NaBr水溶液を試料とした場合には、Br$$_{2}$$$$^{-}$$とBr$$_{3}$$$$^{-}$$に起因する2つの吸収ピークが同時観測され、その時間挙動が明らかになった。以上、イオン照射による化学反応を短い計測時間で詳細に観測できるシステムの構築に成功した。

論文

Sequential radiation chemical reactions in aqueous bromide solutions; Pulse radiolysis experiment and spur model simulation

山下 真一*; 岩松 和宏; 前橋 佑樹*; 田口 光正; 端 邦樹; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*

RSC Advances (Internet), 5(33), p.25877 - 25886, 2015/02

 被引用回数:10 パーセンタイル:45.91(Chemistry, Multidisciplinary)

ブロマイド(Br$$^{-}$$)は水酸化(OH)ラジカルと反応して分子吸光係数の大きな中間体を生じるため、放射線誘起水中OHラジカルの反応プローブとして使われてきた。放射線照射後ナノ秒領域のOHラジカルの挙動を解明するためにはBr$$^{-}$$の濃度を高くする必要があるものの、高濃度のBr$$^{-}$$とOHラジカルの反応機構は不明であった。N$$_{2}$$OおよびArで飽和した0.9-900mMのNaBr水溶液へのパルス電子線照射によって生じたOHラジカルとBr$$^{-}$$の反応中間体の時間挙動を光吸収により計測した。Br$$^{-}$$はOHラジカルと反応してBrOH$$^{cdot -}$$、さらにBr$$_{2}$$$$^{-}$$を生じる。異なる実験条件で得られたBrOH$$^{cdot -}$$やBr$$_{2}$$$$^{-}$$のタイムプロファイルに対して、既報の反応速度式、速度定数を用いたスパーモデルシミュレーションを行った結果、10mM以上の高濃度条件では、2BrOH$$^{cdot -}$$$$rightarrow$$Br$$_{2}$$ + 2OH$$^{-}$$の反応(反応度度定数: k=3.8$$times$$10$$^{9}$$ M$$^{-1}$$s$$^{-1}$$)を新たに考慮することで実験結果をよく再現できることを明らかにした。

論文

Chemical repair activity of free radical scavenger edaravone; Reduction reactions with dGMP hydroxyl radical adducts and suppression of base lesions and AP sites on irradiated plasmid DNA

端 邦樹; 漆原 あゆみ*; 山下 真一*; Lin, M.*; 室屋 裕佐*; 鹿園 直哉; 横谷 明徳; Fu, H.*; 勝村 庸介*

Journal of Radiation Research, 56(1), p.59 - 66, 2015/01

AA2014-0383.pdf:0.93MB

 被引用回数:2 パーセンタイル:75.18(Biology)

Reactions of edaravone (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one) toward deoxyguanosine monophosphate (dGMP) hydroxyl radical adducts were investigated by pulse radiolysis technique. Edaravone was found to reduce the dGMP hydroxyl radical adducts through electron transfer reactions. The rate constants of the reactions were higher than 4 $$times$$ 10$$^{8}$$ dm$$^{3}$$ mol$$^{-1}$$ s$$^{-1}$$ and similar to those of the reactions of ascorbic acid, which is a representative antioxidant. Yields of single-strand breaks, base lesions, and abasic sites produced in pUC18 plasmid DNA by $$gamma$$ ray irradiation in the presence of low concentrations of edaravone were also quantified, and the chemical repair activity of edaravone was estimated by a method recently developed by the authors. By comparing suppression efficiencies to the induction of each DNA lesion, it was found that base lesions and abasic sites were suppressed by the chemical repair activity of edaravone, although the suppression of single-strand breaks was not very effective. This phenomenon is attributed to the chemical repair activity of edaravone toward base lesions and abasic sites. However, the chemical repair activity of edaravone for base lesions was lower than that of ascorbic acid.

論文

Radiation-induced reactions of Cl$$^{-}$$, CO$$_{3}$$$$^{2-}$$ and Br$$^{-}$$ in seawater; Model calculation of $$gamma$$ radiolysis of seawater

端 邦樹; 塙 悟史; 笠原 茂樹; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*

Proceedings of 2012 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2012) (CD-ROM), 6 Pages, 2012/09

福島第一原子力発電所の事故時の対応として、海水による炉心及び燃料プールの冷却が行われた。炉内構造物は、$$gamma$$線による海水の分解生成物やCl$$^{-}$$の作用によって、これまでに想定していない腐食環境下におかれていると考えられる。本研究では、$$gamma$$線照射下における海水の放射線分解生成物濃度を見積もるため、ラジオリシスモデル計算を実施した。水分解生成物であるH$$_{2}$$, O$$_{2}$$, H$$_{2}$$O$$_{2}$$は海水中では線量の上昇に伴い増加した。H$$_{2}$$の発生が特に顕著であり、その生成収量は4.4$$times$$10$$^{-8}$$ mol J$$^{-1}$$となった。海水ラジオリシスにおける分解生成物の生成挙動はNaBr水溶液の計算結果とほぼ一致したため、海水ラジオリシスではBr$$^{-}$$の影響が支配的になっていると考えられた。これに対し、より高濃度であるCl$$^{-}$$, HCO$$_{3}$$$$^{-}$$は海水ラジオリシスにほとんど影響を与えないということが示された。

論文

Mechanism of radiation-induced reactions in aqueous solution of coumarin-3-carboxylic acid; Effects of concentration, gas and additive on fluorescent product yield

山下 真一; Baldacchino, G.*; 前山 拓哉*; 田口 光正; 室屋 裕佐*; Lin, M.*; 木村 敦; 村上 健*; 勝村 庸介

Free Radical Research, 46(7), p.861 - 871, 2012/07

 被引用回数:11 パーセンタイル:59.09(Biochemistry & Molecular Biology)

クマリンの水溶性誘導体であるクマリン-3-カルボン酸(C3CA)の水溶液中における放射線誘起化学反応について電子線パルスラジオリシス、$$^{60}$$Co $${gamma}$$線照射後の最終生成物分析,決定論的モデルシミュレーションによって調べた。C3CAは水和電子だけでなくOHラジカルとも拡散律速相当の速度定数(それぞれ2.1$${times}$$10$$^{10}$$, 6.8$${times}$$10$$^{9}$$ M$$^{-1}$$s$$^{-1}$$)で反応することがわかった。O$$_{2}$$$$^{-}$$$$^{bullet}$$に対する反応性は確認されなかった。蛍光物質7-ヒドロキシ-クマリン-3-カルボン酸(7OH-C3CA)は高速液体クロマトグラフィに接続した蛍光光度計により検出した。この7OH-C3CAの生成収率は、照射条件により差はあるものの、0.025から0.18(100eV)$$^{-1}$$であった。C3CA濃度, 飽和気体, 添加剤に対する7OH-C3CA収率の変化から、C3CAによるOHラジカル捕捉から7OH-C3CAが形成されるまでには少なくとも二つの経路(過酸化後のHO$$_{2}$$ラジカル放出及び不均化反応)があることが示された。これらの経路を含む反応機構を提案し、シミュレーションを実施した。OHラジカル捕捉後の7OH-C3CAへの変換効率を4.7%とすることで測定結果をよく説明できた。

論文

Hydroxyl radical, sulfate radical and nitrate radical reactivity towards crown ethers in aqueous solutions

Wan, L. K.*; Peng, J.*; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*; Fu, H. Y.*

Radiation Physics and Chemistry, 81(5), p.524 - 530, 2012/05

 被引用回数:12 パーセンタイル:22.62(Chemistry, Physical)

三種のクラウンエーテル、C$$_{8}$$H$$_{14}$$O$$_{4}$$, C$$_{10}$$H$$_{20}$$O$$_{5}$$, C$$_{12}$$H$$_{24}$$O$$_{6}$$及びそのモデルである1-4ジオキサンと、$$^{cdot}$$OH, SO$$_{4}^{cdot-}$$, NO$$_{3}^{cdot}$$ラジカルとの水溶液中での反応について、反応速度定数をレーザーフォトリシス法とパルスラジオリシス法により測定した。その結果、ジオキサン,クラウンエーテル類に対する反応性は、$$^{cdot}$$OHラジカルが最も高く、次いでSO$$_{4}^{cdot-}$$, NO$$_{3}^{cdot}$$ラジカルの順となることがわかった。さらに、各ラジカルに対するジオキサン、クラウンエーテル類の反応性を比較した結果、$$^{cdot}$$OH, SO$$_{4}^{cdot-}$$ラジカルとの反応では、反応性は分子内の水素の数に比例して増大することがわかった。この結果は、主たる反応機構がラジカルによる水素引き抜き反応であることを示す。一方、NO$$_{3}^{cdot}$$ラジカルとの反応では、比較した分子の中でC$$_{8}$$H$$_{14}$$O$$_{4}$$が最も高い反応性を示し、NO$$_{3}^{cdot}$$ラジカルとの反応性と分子内の水素の数とは相関しないことがわかった。クラウンエーテルは燃料再処理における新規抽出剤として検討されているが、硝酸水溶液中で放射線により誘起されるNO$$_{3}^{cdot}$$ラジカルとクラウンエーテル類との反応性はこれまで報告がなく、本研究の結果は再処理プロセスの高度化に資するものである。

論文

Radiation chemistry of high temperature and supercritical water

Lin, M.; 勝村 庸介*; 室屋 裕佐*

放射線化学(インターネット), (93), p.3 - 13, 2012/03

本報告は、高温・超臨界水の放射線化学の研究動向を俯瞰し、総説としてまとめたものである。特に、水の放射線分解における生成物収量,生成物の反応性,水和電子の光学特性について、温度及び水の密度に対する依存性を詳細に述べる。また、最新の研究動向として、超臨界水の放射線分解をピコ秒時間分解能のバルスラジオリシス法により観測した研究を紹介するとともに、関連研究として、高温アルコールの放射線分解についても述べる。

論文

Pulse radiolysis studies of intermolecular charge transfers involving tryptophan and three-electron-bonded intermediates derived from methionine

Fu, H. Y.*; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*

Research on Chemical Intermediates, 38(1), p.135 - 145, 2012/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:95.44(Chemistry, Multidisciplinary)

放射線照射により誘起される酸化プロセスで生じた三電子結合の過渡状態であるAcMet$$_{2}$$ [S-S]$$^{+}$$とAcMet [S-Br]のトリプトファン(Trp)との反応をパルスラジオリシスにより検討した。これらの過渡状態は$$N$$-acetyl-methionine amide ($$N$$-AcMetNH$$_{2}$$)及び$$N$$-acetyl-methionine methyl ester ($$N$$-AcMetOMe)から形成したものであり、関連する反応機構について議論した。その結果、トリプトファンとメチオニン(Met)のペアが生体系にレドックス対を生成しやすいことが示唆された。このことは、メチオニンを含む合成や天然ペプチド中で分子間の電荷移動が効果的かつ高速に進行するという既存の報告と一致する。

論文

Spin-trapping reactions of a novel gauchetype radical trapper G-CYPMPO

岡 壽崇; 山下 真一; 翠川 匡道*; 佐伯 誠一; 室屋 裕佐*; 上林 將人*; 山下 正行*; 安西 和紀*; 勝村 庸介*

Analytical Chemistry, 83(24), p.9600 - 9604, 2011/10

 被引用回数:15 パーセンタイル:42.73(Chemistry, Analytical)

新規ラジカルトラップ剤G-CYPMPO($textit{sc}$-5-(5,5-dimethyl-2-oxo-1,3,2-dioxaphosphinan-2-yl)-5-methy-1-pyrroline 1-oxide)と活性酸素との反応を、35MeVの電子ビームを用いたパルスラジオリシス法と$$gamma$$線を用いたESR法で調べた。G-CYPMPOのOHラジカル及び水和電子に対する反応速度定数はそれぞれ(4.2$$pm$$0.1)$$times$$10$$^{9}$$と(11.8$$pm$$0.2)$$times$$10$$^{9}$$ M$$^{-1}$$s$$^{-1}$$と見積もられた。一方、ラジカルをトラップした後のOHラジカル及びOOHラジカル付加体のhalf-lifeはそれぞれ35と90分と見積もられた。放射線以外の手法をラジカル発生源としていた過去の研究との比較から、ラジカルトラップ剤を含む系の純度やラジカル発生法がラジカル付加体の安定性に影響を与えることが示唆された。

論文

Free-radical scavenging activities of silybin and its analogues; A Pulse radiolysis study

Fu, H. Y.*; Lin, M.; 勝村 庸介*; 室屋 裕佐*

International Journal of Chemical Kinetics, 43(10), p.590 - 597, 2011/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:97.38(Chemistry, Physical)

天然の四種のフラボノイド,シリビン,ナリンジェニン,ナリンジン及びヘスペレチンを対象に、ナノ秒パルスラジオリシス法を用いて、ラジカル捕捉能,抗酸化作用について研究した。シリビンとその誘導体の各種酸化ラジカルとの反応と、その機構について調べた。さらに、過渡ラジカルの同定と、捕捉反応の速度定数を決定した。これらをもとに、フラボノイドの構造と捕捉能との関係について理論的に考察した。われわれが以前行ったin vitro観測で明らかにしたDNA損傷の修復とその防護機能を考慮すると、フラボノイドが抗酸化機能を持った物質として期待できることを確認した。

論文

Time-dependent radiolytic yield of OH$$^{bullet}$$ radical studied by picosecond pulse radiolysis

El Omar, A. K.*; Schmidhammer, U.*; Jeunesse, P.*; Labre, J. P.*; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*; Pernot, P.*; Mostafavi, M.*

Journal of Physical Chemistry A, 115(44), p.12212 - 12216, 2011/10

 被引用回数:26 パーセンタイル:22.71(Chemistry, Physical)

ピコ秒バルスラジオリシスの手法を用いて、純水中のOHラジカル収量の時間依存性を測定した。263nmでのOHラジカルの吸収は水和電子の寄与、並びに空セル内に誘起される信号を差し引いて算出した。水和電子の20psでの収量を4.2$$times$$10$$^{-7}$$mol/Jとして、OHラジカルの20psでの収量を(4.80$$pm$$0.12)$$times$$10$$^{-7}$$mol/Jと決定した。

論文

Nitration activates tyrosine toward reaction with the hydrated electron

Shi, W.-Q.*; Fu, H.-Y.*; Bounds, P. L.*; 室屋 裕佐*; Lin, M.; 勝村 庸介*; Zhao, Y.-L.*; Chai, Z.-F.*

Radiation Research, 176(1), p.128 - 133, 2011/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:81.28(Biology)

3-ニトロチロシン(3NT)は酸化ストレスや活性酸素(Reactive Oxygen Species)の発生源の重要な生物的マーカーであることが報告されている。本研究では、3-NTとその誘導体と、水和電子の反応で生ずる反応中間体の紫外,可視吸収スペクトルを測定し、芳香族ニトロアニオンとしての特徴を多く有することを明らかにした。また、3-NT,N-アセチル-3-ニトロチロシンエチルエーテル(NANTE),ニトロチロシンを含有するペプチド、及びグリシン-ニトロチロシン-グリシンと水和電子との反応性を中性水溶液中で測定し、その反応性がニトロ化していない物質との反応性より約二桁高いことを見いだした。さらに、3-NT存在下での水和電子の減衰速度のpH依存性も測定した。

論文

Temperature dependence of the Fricke dosimeter and spur expansion time in the low-LET high-temperature radiolysis of water up to 350$$^{circ}$$C; A Monte-Carlo simulation study

Sanguanmith, S.*; 室屋 裕佐*; Tippayamontri, T.*; Meesungnoen, J.*; Lin, M.; 勝村 庸介*; Jay-Gerin, J.-P.*

Physical Chemistry Chemical Physics, 13(22), p.10690 - 10698, 2011/06

 被引用回数:17 パーセンタイル:36.29(Chemistry, Physical)

硫酸第一鉄水溶液(フリッケ線量計)の低LET放射線分解のモンテカルロ計算を25から350$$^{circ}$$Cの温度範囲で実施した。Fe$$^{2+}$$の酸化の予測量は温度上昇に従い、100-150$$^{circ}$$Cまでは増加し、それ以上の温度ではほぼ一定になり、実験報告と良い一致を示した。また、G(Fe$$^{3+}$$)の温度依存性は水分解の初期収量、特にH原子の収量、を反映するが、200-250$$^{circ}$$C以上ではH原子の水分子との反応の寄与がさらに顕著となり、この反応速度定数の選択によってG(Fe$$^{3+}$$)が増減した。

論文

Low-linear energy transfer radiolysis of liquid water at elevated temperatures up to 350$$^{circ}$$C; Monte-Carlo simulations

Sanguanmith, S.*; 室屋 裕佐*; Meesungnoen, J.*; Lin, M.; 勝村 庸介*; Mirsaleh Kohan, L.*; Guzonas, D. A.*; Stuart, C. R.*; Jay-Gerin, J.-P.*

Chemical Physics Letters, 508(4-6), p.224 - 230, 2011/05

 被引用回数:33 パーセンタイル:14.84(Chemistry, Physical)

最近得られた350$$^{circ}$$Cまでの実験結果を対象に、低LET放射線による高温水の放射線分解のモンテカルロ計算を再度試みた。水和電子同士の再結合反応の速度定数が150$$^{circ}$$C以上で急激に低下することを考慮することによって、放射線分解の物理化学過程のパラメーターの温度依存性を再検討した。これにより、計算結果は実験結果と良い一致を示した。さらに、200$$^{circ}$$C以上の高温での水素分子の収量に与える水素原子と水との反応の重要性についても議論した。

論文

Temperature dependent absorption spectra of Br$$^{-}$$, Br$$_{2}$$$$^{.-}$$, and Br$$_{3}$$$$^{-}$$ in aqueous solutions

Lin, M.; Archirel, P.*; Van-Oanh, N. T.*; 室屋 裕佐*; Fu, H.*; Yan, Y.*; 永石 隆二; 熊谷 友多; 勝村 庸介*; Mostafavi, M.*

Journal of Physical Chemistry A, 115(17), p.4241 - 4247, 2011/04

 被引用回数:10 パーセンタイル:56.66(Chemistry, Physical)

パルスラジオリシス法により水溶液中のBr$$_{2}$$$$^{.-}$$とBr$$_{3}$$$$^{-}$$の吸収スペクトルの温度依存性を室温から380$$^{circ}$$Cまでの温度領域で測定した。Br$$_{2}$$$$^{.-}$$とBr$$_{3}$$$$^{-}$$の吸収スペクトルの温度依存性は小さく、これらの遷移は結合状態間のものであることがわかった。また、Br$$^{-}$$の水和構造について20と300$$^{circ}$$C、25MPaのもとで古典力学の計算を行った結果、温度によらず第一水和圏の水分子は陰イオンに強く結合していることがわかった。時間依存密度汎関数法によって二つの温度でのBr$$^{-}$$の水和イオンの吸収スペクトルを計算して、実験結果と比較した。

論文

Monte-Carlo simulation of the low-LET radiolysis of liquid water over the range 25 to 350$$^{circ}$$C

Sanguanmith, S.*; 室屋 裕佐*; Meesungnoen, J.*; Lin, M.; 勝村 庸介*; Mirsaleh Kohan, L.*; Guzonas, D. A.*; Stuart, C. R.*; Jay-Gerin, J.-P.*

Proceedings of 5th International Symposium on Supercritical Water-Cooled Reactors (ISSCWR-5) (CD-ROM), 13 Pages, 2011/03

近年、25$$^{circ}$$Cから350$$^{circ}$$Cまでの水の放射線分解において、水和電子,OHラジカルなどの分解生成物に関するデータベース(収量や反応性など)が整備された(AECL-report)。それに伴い、データベースにある報告値をグローバルに再現できるモンテカルロ計算コードの開発を行った。100-150$$^{circ}$$Cの間で電子の熱化や付着性解離といった物理化学過程が温度によって非線型的に変化することを見いだすとともに、200$$^{circ}$$C以上における水素発生に寄与する化学反応機構について検討した。

論文

Pulse radiolysis study on free radical scavenger edaravone (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one), 2; A Comparative study on edaravone derivatives

端 邦樹; Lin, M.; 勝村 庸介*; 室屋 裕佐*; Fu, H. Y.*; 山下 真一; 中川 秀彦*

Journal of Radiation Research, 52(1), p.15 - 23, 2011/01

 被引用回数:15 パーセンタイル:33.91(Biology)

A comparative study using the pulse radiolysis technique was carried out to investigate transient absorption spectra and rate constants for the reactions of OH radical and N$$_{3}$$ radical with edaravone (3-methyl-1-phenyl-2-pyrazolin-5-one) and its four analogue compounds, 1,3-dimethyl-2-pyrazolin- 5-one, 3-methyl-1-(pyridin-2-yl)-2-pyrazolin-5-one, 1-phenyl-3-trifluoromethyl-2-pyrazolin-5-one and 1-(4-chlorophenyl)-3-ethyl-2-pyrazolin-5-one. The results showed that, unlike reaction mechanisms previously proposed, the phenyl group of edaravone played an important role in the reaction with OH radical and OH adducts to the phenyl group were formed. Quantum chemical calculations also strongly supported this attribution and suggested that the most favorable site for attacks by OH radical is the ortho position of the phenyl group. Moreover, the rate constants for the reactions of edaravone and its analogues towards OH radical and N$$_{3}$$ radical were about 8.0$$times$$10$$^{9}$$, and 4.0$$times$$10$$^{9}$$ dm$$^{3}$$ mol$$^{-1}$$s$$^{-1}$$, respectively. Edaravone displayed higher reactivity compared to the others, in contrast a previous report in which 3-methyl-1-(pyridin-2-yl)-2-pyrazolin-5-one showed the highest reactivity towards OH radical.

論文

Solvated electrons at elevated temperatures in different alcohols; Temperature and molecular structure effects

Yan, Y.*; Lin, M.; 勝村 庸介*; Fu, H.*; 室屋 裕佐*

Radiation Physics and Chemistry, 79(12), p.1234 - 1239, 2010/12

 パーセンタイル:100(Chemistry, Physical)

パルスラジオリシス法を用いてさまざまな種類のアルコール中に生成する溶媒和電子スペクトルの温度依存性を測定した。一価,二価,三価のアルコール中の溶媒和電子について吸収ピークを調べた結果、OH基を多く含むものほど高エネルギー側に吸収ピークを持つことがわかった。次に、スペクトルの温度変化が分子構造によってどのように変化するか調べた結果、OHの数が同じ場合、長い側鎖のものほど吸収ピーク波長の温度変化(-d$$E$$$$_{rm max}$$/dT)は増加することがわかった。一方、側鎖の長さが同じ場合は、対称的な構造を持つものほど温度係数は増加することもわかった。

論文

Temperature and density effects on the absorption maximum of solvated electrons in sub- and super-critical methanol

Yan, Y.*; Lin, M.; 勝村 庸介*; 室屋 裕佐*; 山下 真一; 端 邦樹; Meesungnoen, J.*; Jay-Gerin, J.-P.*

Canadian Journal of Chemistry, 88(10), p.1026 - 1033, 2010/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:91.05(Chemistry, Multidisciplinary)

パルスラジオリシス法及びレーザーフォトリシス法を用いて、亜臨界及び超臨界状態(220-270$$^{circ}$$C)におけるメタノール中溶媒和電子の光吸収スペクトル変化を計測した。溶媒和電子の吸収ピーク($$E$$$$_{rm Amax}$$)は溶媒の密度に依存し、0.45-0.59g/cm$$^{3}$$の範囲で増加させると高エネルギー側へシフトした。水に関する過去の実験結果と同じく、$$E$$$$_{rm Amax}$$は圧力一定下においては臨界温度を超えてもなお単調減少するが、逆に密度一定下においては、臨界温度に極小点を持つことがわかった。このようなスペクトルの振る舞いを、メタノールの温度・圧力変化に伴う物性値や分子構造の変化により議論した。

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